【課題】高いトランスフェクション効率を維持しながらDNA−陽イオン性ポリマー複合体を含有するトランスフェクションカクテルを長時間安定化するための組成物および方法を提供する。
請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法であって、工程(i)のトランスフェクションカクテルが、工程(ii)の前に約10秒〜約10日、約15秒〜約5日、約30秒〜約2日、約60秒〜約1日、約90秒〜約10時間、約90秒〜約8時間、約2分〜約4時間、約4分〜約2時間、約6分〜約1時間または約10分〜約30分インキュベートされる方法。
請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法であって、該トランスフェクションカクテルが、まず該1種類以上の陽イオン性ポリマーを該安定剤と混合して結果として生じる混合物を形成し、次いでそれが該1種類以上の核酸に添加される、ことによって調製される方法。
請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法であって、該トランスフェクションカクテルが、まず該安定剤を該1種類以上の核酸と混合して結果として生じる混合物を形成し、次いでそれが該1種類以上の陽イオン性ポリマーに添加される、ことによって調製される方法。
請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法であって、該トランスフェクションカクテルが、まず該1種類以上の陽イオン性ポリマーを該1種類以上の核酸と混合して結果として生じる混合物を形成し、次いでそれが該安定剤に添加される、ことによって調製される方法。
請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法であって、該1種類以上の陽イオン性ポリマーが、細胞100万個あたり約0.05μg、細胞100万個あたり約0.1μg、細胞100万個あたり約0.2μg、細胞100万個あたり約0.4μg、細胞100万個あたり約0.6μg、細胞100万個あたり約0.8μg、細胞100万個あたり約1.0μg、細胞100万個あたり約1.5μg、細胞100万個あたり約2μg、細胞100万個あたり約2.1μg、細胞100万個あたり約2.2μg、細胞100万個あたり約2.3μg、細胞100万個あたり約2.4μg、細胞100万個あたり約2.5μg、細胞100万個あたり約2.6μg、細胞100万個あたり約2.7μg、細胞100万個あたり約2.8μg、細胞100万個あたり約2.9μg、細胞100万個あたり約3.0μg、細胞100万個あたり約3.5μg、細胞100万個あたり約4.0μg、細胞100万個あたり約4.5μg、細胞100万個あたり約5μg、細胞100万個あたり約5.5μg、細胞100万個あたり約6.0μg、細胞100万個あたり約6.5μg、細胞100万個あたり約7.0μg、細胞100万個あたり約7.5μg、細胞100万個あたり約8.0μg、細胞100万個あたり約10μgの量で使用される方法。
請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法であって、該トランスフェクションカクテル中の安定剤の量が、該1種類以上の陽イオン性ポリマーの量と比較して、約1%、約2%、約2.5%、約5%、約7.5%、約10%、約12.5%、約15%、約17.5%、約20%、約25%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約75%、約80%、約90%、約100%、約200%、約300%、約400%または約500%である方法。
請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法であって、該1種類以上の核酸が、細胞100万個あたり約0.05μg、細胞100万個あたり約0.1μg、細胞100万個あたり約0.2μg、細胞100万個あたり約0.4μg、細胞100万個あたり約0.5μg、細胞100万個あたり約0.6μg、細胞100万個あたり約0.8μg、細胞100万個あたり約1.0μg、細胞100万個あたり約1.5μg、細胞100万個あたり約2.0μg、細胞100万個あたり約2.5μg、細胞100万個あたり約3.0μg、細胞100万個あたり約3.5μg、細胞100万個あたり約4.0μg、細胞100万個あたり約4.5μg、細胞100万個あたり約5μg、細胞100万個あたり約5.5μg、細胞100万個あたり約6.0μg、細胞100万個あたり約6.5μg、細胞100万個あたり約7.0μg、細胞100万個あたり約7.5μg、細胞100万個あたり約8.0μg、細胞100万個あたり約8.5μg、細胞100万個あたり約9.0μg、細胞100万個あたり約9.5μgまたは細胞100万個あたり約10μgで使用される方法。
請求項1〜16のいずれか1項に記載の方法であって、工程(iii)における混合物が、トランスフェクションされた細胞を作製するために約15分〜約150時間インキュベートされる方法。
請求項1〜17のいずれか1項に記載の方法であって、該1種類以上の陽イオン性ポリマーが、キトサン、ポリ−L−リジン、ポリアミン(PA)、ポリアルキレンイミン(PAI)、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリ[a−(−アミノブチル)−L−グリコール酸]、キトサン、ポリアミドアミンおよびポリ(2−ジメチルアミノ)エチル メタクリレートからなる群から選択される方法。
請求項19に記載の方法であって、該陽イオン性ポリマーが、遊離塩基形態で約500Da〜約160,000Daおよび/または約2,500Da〜約250,000Daの範囲の分子量を有する方法。
請求項21に記載の方法であって、該陽イオン性ポリマーが、遊離塩基形態で約40,000Daおよび/または約22,000Daの分子量を有する加水分解された線状PEIを含む方法。
請求項24に記載の方法であって、該安定剤が、約250Da〜約35,000Daの分子量を有するPEGがグラフトされた約2,000Da〜約60,000Daの分子量を有する分枝状PEIを含む方法。
請求項26に記載の方法であって、陽イオン性ポリマーの1分子あたりにグラフトされたPEG部分の数が、1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100またはより多い方法。
請求項1〜27のいずれか1項に記載の方法であって、該1種類以上の核酸分子が、(a)AAVパッケージングタンパク質をコードする核酸および/もしくはヘルパータンパク質をコードする核酸を含む1種類以上のプラスミドならびに/または(b)対象の導入遺伝子をコードする核酸を含むプラスミドを含む方法。
請求項28に記載の方法であって、(a)の1種類以上のプラスミドが、AAVパッケージングタンパク質をコードする核酸を含む第1プラスミドおよびヘルパータンパク質をコードする核酸を含む第2プラスミドを含む方法。
請求項28〜29のいずれか1項に記載の方法であって、該コードされたAAVパッケージングタンパク質が、AAV repおよび/またはAAV capタンパク質を含む方法。
請求項28〜30のいずれか1項に記載の方法であって、コードされたヘルパータンパク質が、アデノウイルスE2および/もしくはE4、VARNAタンパク質ならびに/または非AAVヘルパータンパク質を含む方法。
請求項28〜30のいずれか1項に記載の方法であって、該導入遺伝子が、野生型または機能性バリアント血液凝固因子、ミニジストロフィン、C1エステラーゼ阻害因子、銅輸送P型ATPアーゼ(ATP7B)または銅−亜鉛スーパーオキシドジスムターゼ1(SOD1)をコードしている方法。
請求項1〜3、5〜32のいずれか1項に記載の方法であって、さらに工程(iii)で生産されたトランスフェクションされた細胞からrAAVベクターを単離および/または精製する工程(iv)を含む方法。
請求項1〜33のいずれか1項に記載の方法であって、該1種類以上の核酸による該細胞のトランスフェクションが、該安定剤の非存在下であること以外同じ条件下で実施される該細胞のトランスフェクションと比較して、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%または少なくとも50%増加する方法。
請求項1〜34のいずれか1項に記載の方法であって、該トランスフェクションされた細胞から単離/精製されるrAAVベクターの量が、該安定剤の非存在下であること以外同じ条件下でトランスフェクションされた細胞から単離/精製されるrAAVベクターの量と比較して、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%もしくは少なくとも50%またはより大きく増加する方法。
請求項1〜34のいずれか1項に記載の方法であって、該トランスフェクションされた細胞から単離/精製されるrAAVベクターの量が、該安定剤の非存在下であること以外同じ条件下でトランスフェクションされた細胞から単離/精製されるrAAVベクターの量と比較して、少なくとも2倍、少なくとも4倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも40倍、少なくとも50倍、少なくとも60倍、少なくとも80倍、少なくとも100倍またはより大きく増加する方法。
請求項1〜34のいずれか1項に記載の方法であって、該rAAV力価が、該安定剤の非存在下であること以外同じ条件下でもたらされるrAAV力価と比較して、少なくとも2倍、少なくとも4倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも40倍、少なくとも50倍、少なくとも60倍、少なくとも80倍、少なくとも100倍またはより大きく増大する方法。
請求項1〜34のいずれか1項に記載の方法であって、該rAAV力価が、該安定剤の非存在下であること以外同じ条件下でもたらされるrAAV力価と比較して、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%もしくは少なくとも50%またはより大きく増大する方法。
請求項1〜44のいずれか1項に記載の方法であって、該細胞が、バイオリアクター(例えばWAVEバイオリアクター、撹拌槽バイオリアクター)、バッグまたはフラスコ中で増殖させられる方法。
請求項47〜48、50〜51のいずれか1項に記載の組成物であって、該1種類以上の陽イオン性ポリマーの量が、約0.01μg、約0.02μg、約0.04μg、約0.06μg、約0.08μg、約1.0μg、約1.2μg、約1.4μg、約1.6μg、約1.8μg、約2.0μg、約2.2μg、約2.4μg、約2.6μg、約2.8μg、約3.0μg、約3.2μg、約3.4μg、約3.6μg、約3.8μg、約4.0μg、約4.2μg、約4.6μg、約4.8μg、約5.0μg、約5.5μg、約6.0μg、約6.5μg、約7μg、約7.5μg、約8.0μg、約8.5μg、約9.0μg、約9.5μg、約10μg、約12μg、約14μg、約16μg、約18μg、約20μg、約40μg、約60μg、約80μg、約100μg、約0.1mg、約1mg、約2mg、約4mg、約6mg、約8mgまたは約10mgである組成物。
請求項47〜52のいずれか1項に記載の組成物であって、該安定剤の量が、約0.01μg、約0.02μg、約0.04μg、約0.06μg、約0.08μg、約1.0μg、約1.2μg、約1.4μg、約1.6μg、約1.8μg、約2.0μg、約2.2μg、約2.4μg、約2.6μg、約2.8μg、約3.0μg、約3.2μg、約3.4μg、約3.6μg、約3.8μg、約4.0μg、約4.2μg、約4.6μg、約4.8μg、約5.0μg、約5.5μg、約6.0μg、約6.5μg、約7μg、約7.5μg、約8.0μg、約8.5μg、約9.0μg、約9.5μg、約10μg、約12μg、約14μg、約16μg、約18μg、約20μg、約40μg、約60μg、約80μg、約100μg、約0.1mg、約1mg、約2mg、約4mg、約6mg、約8mgまたは約10mgである組成物。
請求項48〜53のいずれか1項に記載の組成物であって、該1種類以上の核酸の量が、約0.01μg、約0.02μg、約0.04μg、約0.06μg、約0.08μg、約1.0μg、約1.2μg、約1.4μg、約1.6μg、約1.8μg、約2.0μg、約2.2μg、約2.4μg、約2.6μg、約2.8μg、約3.0μg、約3.2μg、約3.4μg、約3.6μg、約3.8μg、約4.0μg、約4.2μg、約4.6μg、約4.8μg、約5.0μg、約5.5μg、約6.0μg、約6.5μg、約7μg、約7.5μg、約8.0μg、約8.5μg、約9.0μg、約9.5μg、約10μg、約12μg、約14μg、約16μg、約18μg、約20μg、約40μg、約60μg、約80μg、約100μg、約0.1mg、約1mg、約2mg、約4mg、約6mg、約8mgまたは約10mgである組成物。
【発明の概要】
【0008】
高いトランスフェクション効率を維持しながらDNA−陽イオン性ポリマー複合体を含有するトランスフェクションカクテルを長時間安定化するための組成物および方法が、本明細書において開示される。そのような安定化されたトランスフェクションカクテルは、ウイルス産生の重要な属性、例えば力価、DNAをパッケージ化したrAAV粒子の割合およびrAAVベクター精製プロファイルに影響を与えることなく、大規模に例えばrAAVベクターを産生することができるトランスフェクションされた細胞を生産するために使用されることができる。
【0009】
トランスフェクトされた細胞を生産するための組成物および方法が、本明細書で開示および例示される。当業者は、ルーチン的な実験操作より多くを用いずに、本明細書で記載される本発明の特定の態様に対する多くの均等物を認識する、または確認することができるであろう。そのような均等物は、以下の態様(E)によって包含されることが意図されている。
【0010】
E1. 以下の工程を含む、細胞に1種類以上の核酸をトランスフェクションするための方法:
(i) 1種類以上の陽イオン性ポリマー、安定剤および1種類以上の核酸を含むトランスフェクションカクテルを調製し、
(ii) 工程(i)で調製されたトランスフェクションカクテルを、トランスフェクションされるべき細胞と接触させて混合物を形成し、そして
(iii) 工程(ii)における混合物をインキュベートし、それにより細胞に1種類以上の核酸をトランスフェクションする。
【0011】
E2. 以下の工程を含む、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)ベクターを産生する細胞を作製するための方法:
(i) 1種類以上の陽イオン性ポリマー、安定剤および1種類以上の核酸を含むトランスフェクションカクテルを調製し、
(ii) 工程(i)で調製されたトランスフェクションカクテルをトランスフェクションされるべき細胞と接触させて混合物を形成し、そして
(iii) 工程(ii)の混合物をインキュベートし、それによりrAAVベクターを産生するトランスフェクションされた細胞を作製する。
【0012】
E3. 以下の工程を含む、1種類以上の核酸を有する細胞のトランスフェクションを増大させるための方法:
(i)1種以上の陽イオン性ポリマー、安定剤および1種以上の核酸を含むトランスフェクションカクテルを調製し、
(ii) 工程(i)で調製されたトランスフェクションカクテルを、トランスフェクションされるべき細胞と接触させて混合物を形成し、そして
(iii) 工程(ii)の混合物をインキュベートし、それにより1種類以上の核酸を用いる細胞のトランスフェクションが、安定剤の非存在下であること以外同じ条件下で実施される細胞のトランスフェクションと比較して増大する。
【0013】
E4. 以下の工程を含む、高力価組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)ベクターを生産するための方法:
(i) 1種類以上の陽イオン性ポリマー、安定剤および1種類以上の核酸を含むトランスフェクションカクテルを調製し、
(ii) 工程(i)で調製されたトランスフェクションカクテルをトランスフェクションされるべき細胞と接触させて混合物を形成し、
(iii) 工程(ii)の混合物をインキュベートしてrAAVベクターを産生するトランスフェクトされた細胞を作製し、そして
(iv) 工程(iii)で生産されたトランスフェクションされた細胞からrAAVベクターを単離および/または精製する、
ここにおいて、工程(i)の開始〜工程(ii)の完了の時間は、10秒よりも長く、かつここで、rAAV力価は、安定剤の非存在下であること以外同じ条件下でもたらされるrAAV力価と比較して、少なくとも2倍、かつ/または少なくとも5%増大する。
【0014】
E5. E1〜E4のいずれか1つに記載の方法であって、工程(i)の開始〜工程(ii)の完了の時間が約10秒〜約10日である方法。
E6. E5に記載の方法であって、工程(i)の開始〜工程(ii)の完了の時間が、約15秒〜約5日、約30秒〜約2日、約60秒〜約1日、約90秒〜約10時間、約90秒〜約8時間、約2分〜約4時間、約4分〜約2時間、約6分〜約1時間または約10分〜約30分である方法。
【0015】
E7. E1〜E6のいずれか1つに記載の方法であって、工程(i)の開始〜工程(ii)の完了の時間が、約1分より長い、約2分より長い、約6分より長い、約8分より長い、約10分より長い、約15分より長い、約30分より長い、約1時間より長い、約2時間より長い、約6時間より長い、約8時間より長い、約10時間より長い、約12時間より長い、約24時間より長い、または2日より長い方法。
【0016】
E8. E1〜E7のいずれか1つに記載の方法であって、工程(i)の開始〜工程(ii)の完了の時間が、10分より長い方法。
E9. E1〜E8のいずれか1つに記載の方法であって、工程(i)の開始〜工程(ii)の完了の時間が、約30分である方法。
【0017】
E10. E1〜E9のいずれか1つに記載の方法であって、工程(i)のトランスフェクションカクテルが、工程(ii)の前に約10秒〜約10日、約15秒〜約5日、約30秒〜約2日、約60秒〜約1日、約90秒〜約10時間、約90秒〜約8時間、約2分〜約4時間、約4分〜約2時間、約6分〜約1時間または約10分〜約30分インキュベートされる方法。
【0018】
E11. E1〜E10のいずれか1つに記載の方法であって、工程(i)のトランスフェクションカクテルが、工程(ii)の前に約1分より長い時間、約2分より長い時間、約6分より長い時間、約8分より長い時間、約10分より長い時間、約15分より長い時間、約30分より長い時間、約1時間より長い時間、約2時間より長い時間、約6時間より長い時間、約8時間より長い時間、約10時間より長い時間、約12時間より長い時間、約24時間より長い時間または2日より長い時間インキュベートされる方法。
【0019】
E12. E1〜E11のいずれか1つに記載の方法であって、トランスフェクションカクテルが、まず1種類以上の陽イオン性ポリマーを安定剤と混合して結果として生じる混合物を形成し、次いでそれが1種類以上の核酸に添加される、ことによって調製される方法。
【0020】
E13. E1〜E11のいずれか1つに記載の方法であって、トランスフェクションカクテルが、まず安定剤を1種類以上の核酸と混合して結果として生じる混合物を形成し、次いでそれが1種類以上の陽イオン性ポリマーに添加される、ことによって調製される方法。
【0021】
E14. E13に記載の方法であって、細胞が、工程(ii)においてトランスフェクションカクテルと接触させられる際に高い(例えば約18×10
6細胞/mLより大きい)細胞密度である方法。
【0022】
E15. E1〜E11のいずれか1つに記載の方法であって、トランスフェクションカクテルが、まず1種類以上の陽イオン性ポリマーを1種類以上の核酸と混合して結果として生じる混合物を形成し、次いでそれが安定剤に添加される、ことによって調製される方法。
【0023】
E16. E1〜E15のいずれか1つに記載の方法であって、細胞が、工程(ii)においてトランスフェクションカクテルと接触させられる際に、少なくとも1×10
5細胞/mL、少なくとも2×10
5細胞/mL、少なくとも4×10
5細胞/mL、少なくとも6×10
5細胞/mL、少なくとも8×10
5細胞/mL、少なくとも0.5×10
6細胞/mL、少なくとも1×10
6細胞/mL、少なくとも2×10
6細胞/mL、少なくとも4×10
6細胞/mL、少なくとも6×10
6細胞/mL、少なくとも8×10
6細胞/mL、少なくとも10×10
6細胞/mL、少なくとも12×10
6細胞/mL、少なくとも14×10
6細胞/ml、少なくとも16×10
6細胞/ml、少なくとも18×10
6細胞/ml、少なくとも20×10
6細胞/ml、少なくとも22×10
6細胞/ml、少なくとも24×10
6細胞/ml、少なくとも26×10
6細胞/ml、少なくとも28×10
6細胞/ml、少なくとも30×10
6細胞/ml、少なくとも32×10
6細胞/ml、少なくとも34×10
6細胞/ml、少なくとも36×10
6細胞/ml、少なくとも38×10
6細胞/ml、少なくとも40×10
6細胞/ml、少なくとも42×10
6細胞/ml、少なくとも44×10
6細胞/mL、少なくとも46×10
6細胞/mL、少なくとも48×10
6細胞/mL、少なくとも50×10
6細胞/mLまたは少なくとも52×10
6細胞/mLの細胞密度である方法。
【0024】
E17. E16に記載の方法であって、細胞が、工程(ii)においてトランスフェクションカクテルと接触させられる際に、少なくとも12×10
6細胞/mL、少なくとも14×10
6細胞/mL、少なくとも16×10
6細胞/mL、少なくとも18×10
6細胞/mL、少なくとも20×10
6細胞/mL、少なくとも22×10
6細胞/mL、少なくとも24×10
6細胞/mL、少なくとも26×10
6細胞/mL、少なくとも28×10
6細胞/mLまたは少なくとも30×10
6細胞/mL、少なくとも32×10
6細胞/mL、少なくとも34×10
6細胞/mL、少なくとも36×10
6細胞/mL、少なくとも38×10
6細胞/mL、少なくとも40×10
6細胞/mL、少なくとも42×10
6細胞/mL、少なくとも44×10
6細胞/mL、少なくとも46×10
6細胞/mLまたは少なくとも48×10
6細胞/mLの細胞密度である方法。
【0025】
E18. E13に記載の方法であって、細胞が、工程(ii)においてトランスフェクションカクテルと接触させられる際に、少なくとも24×10
6細胞/mL、少なくとも26×10
6細胞/mL、少なくとも28×10
6細胞/mL、少なくとも30×10
6細胞/mL、少なくとも32×10
6細胞/mL、少なくとも34×10
6細胞/mL、少なくとも36×10
6細胞/mL、少なくとも38×10
6細胞/mL、少なくとも40×10
6細胞/mL、少なくとも42×10
6細胞/mL、少なくとも44×10
6細胞/mL、少なくとも46×10
6細胞/mLまたは少なくとも48×10
6細胞/mLの密度である方法。
【0026】
E19. E18に記載の方法であって、細胞が、工程(ii)においてトランスフェクションカクテルと接触させられる際に少なくとも24×10
6細胞/mLの密度である方法。
【0027】
E20. E1〜E19のいずれか1つに記載の方法であって、1種類以上の陽イオン性ポリマーが、細胞100万個あたり約0.05μg、細胞100万個あたり約0.1μg、細胞100万個あたり約0.2μg、細胞100万個あたり約0.4μg、細胞100万個あたり約0.6μg、細胞100万個あたり約0.8μg、細胞100万個あたり約1.0μg、細胞100万個あたり約1.5μg、細胞100万個あたり約2μg、細胞100万個あたり約2.1μg、細胞100万個あたり約2.2μg、細胞100万個あたり約2.3μg、細胞100万個あたり約2.4μg、細胞100万個あたり約2.5μg、細胞100万個あたり約2.6μg、細胞100万個あたり約2.7μg、細胞100万個あたり約2.8μg、細胞100万個あたり約2.9μg、細胞100万個あたり約3.0μg、細胞100万個あたり約3.5μg、細胞100万個あたり約4.0μg、細胞100万個あたり約4.5μg、細胞100万個あたり約5μg、細胞100万個あたり約5.5μg、細胞100万個あたり約6.0μg、細胞100万個あたり約6.5μg、細胞100万個あたり約7.0μg、細胞100万個あたり約7.5μg、細胞100万個あたり約8.0μg、細胞100万個あたり約10μgの量で使用される方法。
【0028】
E21. E20に記載の方法であって、1種類以上の陽イオン性ポリマーが、細胞100万個あたり約2.2μgの量で使用される方法。
E22. E1〜E21のいずれか1つに記載の方法であって、トランスフェクションカクテル中の安定剤の量が、1種類以上の陽イオン性ポリマーの量と比較して、約1%、約2%、約2.5%、約5%、約7.5%、約10%、約12.5%、約15%、約17.5%、約20%、約25%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約75%、約80%、約90%、約100%、約200%、約300%、約400%または約500%である方法。
【0029】
E23. E1〜E22のいずれか1つに記載の方法であって、トランスフェクションカクテル中の安定剤の量が、1種類以上の陽イオン性ポリマーの量と比較して、約0.01倍、約0.05倍、約0.1倍、約0.2倍、約0.4倍、約0.6倍、約0.8倍、約1倍、約5倍、約10倍、約100倍、約200倍、約300倍、約400倍、約500倍または約600倍である方法。
【0030】
E24. E22に記載の方法であって、トランスフェクションカクテル中の安定剤の量が、1種類以上の陽イオン性ポリマーの量と比較して、約7.5%、約10%、約12.5%、約15%、約17.5%、約20%、約25%、約30%または約40%である方法。
【0031】
E25. E1〜E24のいずれか1つに記載の方法であって、トランスフェクションカクテル中の安定剤の量が、約0.01μg、約0.02μg、約0.04μg、約0.06μg、約0.08μg、約1.0μg、約1.2μg、約1.4μg、約1.6μg、約1.8μg、約2.0μg、約2.2μg、約2.4μg、約2.6μg、約2.8μg、約3.0μg、約3.2μg、約3.4μg、約3.6μg、約3.8μg、約4.0μg、約4.2μg、約4.6μg、約4.8μg、約5.0μg、約5.5μg、約6.0μg、約6.5μg、約7μg、約7.5μg、約8.0μg、約8.5μg、約9.0μg、約9.5μg、約10μg、約12μg、約14μg、約16μg、約18μg、約20μg、約40μg、約60μg、約80μg、約100μg、約0.1mg、約1mg、約2mg、約4mg、約6mg、約8mgまたは約10mgである方法。
【0032】
E26. E1〜E25のいずれか1つに記載の方法であって、細胞が、工程(ii)においてトランスフェクションカクテルと接触させられる際に低い(例えば約18×10
6細胞/mL未満の)細胞密度であり、かつトランスフェクションカクテル中の安定剤の量が、1種類以上の陽イオン性ポリマーの量と比較して約7.5%〜約10%である方法。
【0033】
E27. E1〜E25のいずれか1つに記載の方法であって、細胞が、工程(ii)においてトランスフェクションカクテルと接触させられる際に高い(例えば約18×10
6細胞/mLより大きい)細胞密度であり、かつトランスフェクションカクテル中の安定剤の量が、1種類以上の陽イオン性ポリマーの量と比較して約15%〜約30%である方法。
【0034】
E28. E26に記載の方法であって、細胞が、工程(ii)においてトランスフェクションカクテルと接触させられる際に約12×10
6細胞/mLの密度であり、かつトランスフェクションカクテル中の安定剤の量が、1種類以上の陽イオン性ポリマーの量と比較して約10%である方法。
【0035】
E29. E27に記載の方法であって、細胞が、工程(ii)においてトランスフェクションカクテルと接触させられる際に約24×10
6細胞/mLの密度であり、かつトランスフェクションカクテル中の安定剤の量が、1種類以上の陽イオン性ポリマーの量と比較して約25%である方法。
【0036】
E30. E1〜E29のいずれか1つに記載の方法であって、トランスフェクションカクテル中の安定剤の量が、単独で(すなわち1種類以上の陽イオン性ポリマーなしで)使用された場合には細胞をトランスフェクションするのに不十分である方法。
【0037】
E31. E1〜E30のいずれか1つに記載の方法であって、1種類以上の核酸が、細胞100万個あたり約0.05μg、細胞100万個あたり約0.1μg、細胞100万個あたり約0.2μg、細胞100万個あたり約0.4μg、細胞100万個あたり約0.5μg、細胞100万個あたり約0.6μg、細胞100万個あたり約0.8μg、細胞100万個あたり約1.0μg、細胞100万個あたり約1.5μg、細胞100万個あたり約2.0μg、細胞100万個あたり約2.5μg、細胞100万個あたり約3.0μg、細胞100万個あたり約3.5μg、細胞100万個あたり約4.0μg、細胞100万個あたり約4.5μg、細胞100万個あたり約5μg、細胞100万個あたり約5.5μg、細胞100万個あたり約6.0μg、細胞100万個あたり約6.5μg、細胞100万個あたり約7.0μg、細胞100万個あたり約7.5μg、細胞100万個あたり約8.0μg、細胞100万個あたり約8.5μg、細胞100万個あたり約9.0μg、細胞100万個あたり約9.5μgまたは細胞100万個あたり約10μgで使用される方法。
【0038】
E32. E31に記載の方法であって、1種類以上の核酸が、細胞100万個あたり約1.0μgの量で使用される方法。
E33. E1〜E32のいずれか1つに記載の方法であって、1種類以上の核酸および1種類以上の陽イオン性ポリマーが、約1:0.01〜約1:100の範囲の重量(またはモル)比で、または約0.01:1〜約100:1の重量(またはモル)比で使用される方法。
【0039】
E34. E1〜E33のいずれか1つに記載の方法であって、工程(i)におけるトランスフェクションカクテルが、約4℃〜およそ室温で調製される方法。
E35. E34に記載の方法であって、工程(i)におけるトランスフェクションカクテルが、およそ室温で調製される方法。
【0040】
E36. E10〜E35のいずれか1つに記載の方法であって、トランスフェクションカクテルが、工程(ii)の前に約4℃〜およそ室温でインキュベートされる方法。
E37. E36に記載の方法であって、トランスフェクションカクテルが、工程(ii)の前におよそ室温でインキュベートされる方法。
【0041】
E38. E12〜E37のいずれか1つに記載の方法であって、結果として生じる混合物が、1種類以上の核酸、1種類以上の陽イオン性ポリマーまたは安定剤に混合なしで添加される方法。
【0042】
E39. E12〜E37のいずれか1つに記載の方法であって、結果として生じる混合物が、1種類以上の核酸、1種類以上の陽イオン性ポリマーまたは安定剤に添加され、約10の毎分回転数(rpm)、約20rpm、約25rpm、約30rpm、約35rpm、約40rpm、約45rpm、約50rpm、約55rpm、約60rpm、約65rpm、約70rpm、約75rpm、約80rpm、約85rpm、約90rpm、約95rpm、約100rpm、約110rpm、約120rpm、約130rpm、約140rpm、約150rpm、約200rpm、約300rpm、約400rpmまたは約500rpmで混合される方法。
【0043】
E40. E39に記載の方法であって、結果として生じる混合物が、1種類以上の核酸、1種類以上の陽イオン性ポリマーまたは安定剤に添加され、約120rpmで混合される方法。
【0044】
E41. E1〜E40のいずれか1つに記載の方法であって、工程(iii)における混合物が、トランスフェクションされた細胞を作製するために約15分〜約150時間インキュベートされる方法。
【0045】
E42. E41に記載の方法であって、工程(iii)における混合物が、トランスフェクションされた細胞を作製するために約15分、30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、20時間、40時間、60時間、80時間、100時間、120時間、140時間または150時間インキュベートされる方法。
【0046】
E43. E42に記載の方法であって、工程(iii)における混合物が、トランスフェクションされた細胞を作製するために1時間、2時間、3時間、4時間または5時間インキュベートされる方法。
【0047】
E44. E1〜E43のいずれか1つに記載の方法であって、1種類以上の陽イオン性ポリマーが、キトサン、ポリ−L−リジン、ポリアミン(PA)、ポリアルキレンイミン(PAI)、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリ[a−(−アミノブチル)−L−グリコール酸]、ポリアミドアミン、ポリ(2−ジメチルアミノ)エチル メタクリレート、ポリヒスチジン、ポリアルギニン、ポリ(4−ビニルピリジン)、ポリ(ビニルアミン)およびポリ(4−ビニル−N−アルキルピリジニウムハライド)からなる群から選択される方法。
【0048】
E45. E1〜E44のいずれか1つに記載の方法であって、陽イオン性ポリマーが、分枝状または線状である方法。
E46. E1〜E45のいずれか1つに記載の方法であって、陽イオン性ポリマーが、遊離塩基形態で約500Da〜約160,000Daおよび/または約2,500Da〜約250,000Daの範囲の分子量を有する方法。
【0049】
E47. E1〜E46のいずれか1つに記載の方法であって、1種類以上の陽イオン性ポリマーが、ポリエチレンイミン(PEI)である方法。
E48. E47に記載の方法であって、PEIが、約2,000Da〜約60,000Daの分子量を有する分枝状PEIを含む方法。
【0050】
E49. E47に記載の方法であって、PEIが、約2,000Da〜約60,000Daの分子量を有する線状PEIを含む方法。
E50. E49に記載の方法であって、陽イオン性ポリマーが、遊離塩基形態で約40,000Daおよび/または約22,000Daの分子量を有する加水分解された線状PEIを含む方法。
【0051】
E51. E47〜E50のいずれか1つに記載の方法であって、PEIが、完全に脱プロピオニル化された構造を有する方法。
E52. E47〜E52のいずれか1つに記載の方法であって、PEIが、PEImaxである方法。
【0052】
E53. E1〜E52のいずれか1つに記載の方法であって、安定剤が、中性部分をグラフトされた陽イオン性ポリマーを含む方法。
E54. E53に記載の方法であって、中性部分が、ポリ(エチレングリコール)(PEG)またはアルブミンを含む方法。
【0053】
E55. E1〜E54のいずれか1つに記載の方法であって、安定剤が、ポリ(エチレングリコール)(PEG)部分をグラフトされた陽イオン性ポリマーを含む方法。
E56. E54〜E55のいずれか1つに記載の方法であって、PEGが、約250Da〜35,000Daの分子量を有する方法。
【0054】
E57. E53〜E56のいずれか1つに記載の方法であって、中性部分(例えばPEG)をグラフトされた陽イオン性ポリマーが、キトサン、ポリ−L−リジン(pLL)、ポリアミン(PA)、ポリアルキレンイミン(PAI)、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリ[a−(−アミノブチル)−L−グリコール酸]、ポリアミドアミン、ポリ(2−ジメチルアミノ)エチル メタクリレート、ポリヒスチジン、ポリアルギニン、ポリ(4−ビニルピリジン)、ポリ(ビニルアミン)およびポリ(4−ビニル−N−アルキルピリジニウムハライド)からなる群から選択される方法。
【0055】
E58. E57に記載の方法であって、陽イオン性ポリマーが、遊離塩基形態で約500Da〜約160,000Daおよび/または約2,500Da〜約250,000Daの範囲の分子量を有する方法。
【0056】
E59. E53〜E58のいずれか1つに記載の方法であって、陽イオン性ポリマーが、分枝状または線状である方法。
E60. E53〜E59のいずれか1つに記載の方法であって、陽イオン性ポリマーが、PEIである方法。
【0057】
E61. E53〜E60のいずれか1つに記載の方法であって、安定剤が、約2,000Da〜約60,000Daの分子量を有する分枝状PEIに約250Da〜約35,000Daの分子量を有するPEGがグラフトされたものを含む方法。
【0058】
E62. E61に記載の方法であって、安定剤が、約20,000Da〜約25,000Daの分子量を有する分枝状PEIに約250Da〜約5,000Daの分子量を有するPEGがグラフトされたものを含む方法。
【0059】
E63. E62に記載の方法であって、安定剤が、約25,000Daの分子量を有する分枝状PEIに約5,000Daの分子量を有するPEGがグラフトされたものを含む方法。
【0060】
E64. E62に記載の方法であって、安定剤が、約25,000Daの分子量を有する分枝状PEIに約500Daの分子量を有するPEGがグラフトされたものを含む方法。
【0061】
E65. E53〜E60のいずれか1つに記載の方法であって、安定剤が、約2,000Da〜約60,000Daの分子量を有する線状PEIに約250Da〜約35,000Daの分子量を有するPEGがグラフトされたものを含む方法。
【0062】
E66. E65に記載の方法であって、安定剤が、約20,000Daの分子量を有する線状PEIに約5,000Daの分子量を有するPEGがグラフトされたものを含む方法。
【0063】
E67. E65に記載の方法であって、安定剤が、約20,000Daの分子量を有する線状PEIに約500Daの分子量を有するPEGがグラフトされたものを含む方法。
【0064】
E68. E53〜E59のいずれか1つに記載の方法であって、安定剤が、約5000Daの分子量を有するPEGにコンジュゲートされた約26000Daの分子量を有するpLLを含む方法。
【0065】
E69. E54〜E68のいずれか1つに記載の方法であって、陽イオン性ポリマーの1分子あたりにグラフトされたPEG部分の数が、1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100またはより多い方法。
【0066】
E70. E69に記載の方法であって、陽イオン性ポリマーの1分子あたりにグラフトされたPEG部分の数が、1、5、15または55である方法。
E71. E1〜E70のいずれか1つに記載の方法であって、1種類以上の核酸分子が、1種類以上のプラスミドを含む方法。
【0067】
E72. E71に記載の方法であって、1種類以上の核酸分子が、(a)AAVパッケージングタンパク質をコードする核酸および/もしくはヘルパータンパク質をコードする核酸を含む1種類以上のプラスミドならびに/または(b)対象の導入遺伝子をコードする核酸を含むプラスミドを含む方法。
【0068】
E73. E72に記載の方法であって、(a)の1種類以上のプラスミドが、AAVパッケージングタンパク質をコードする核酸を含む第1プラスミドおよびヘルパータンパク質をコードする核酸を含む第2プラスミドを含む方法。
【0069】
E74. E73に記載の方法であって、導入遺伝子を含むプラスミド対AAVパッケージングタンパク質をコードする核酸を含む第1プラスミド対ヘルパータンパク質をコードする核酸を含む第2プラスミドのモル比が、約1〜10:1:1または1:1〜10:1または1:1:1〜10の範囲である方法。
【0070】
E75. E72〜E74のいずれか1つに記載の方法であって、コードされたAAVパッケージングタンパク質が、AAV repおよび/またはAAV capタンパク質を含む方法。
【0071】
E76. E72〜E75のいずれか1つに記載の方法であって、コードされたヘルパータンパク質が、アデノウイルスE2および/もしくはE4、VARNAタンパク質ならびに/または非AAVヘルパータンパク質を含む方法。
【0072】
E77. E72〜E76のいずれか1つに記載の方法であって、導入遺伝子が、野生型または機能性バリアント血液凝固因子、ミニジストロフィン、C1エステラーゼ阻害因子、銅輸送P型ATPアーゼ(ATP7B)または銅−亜鉛スーパーオキシドジスムターゼ1(SOD1)をコードしている方法。
【0073】
E78. E77に記載の方法であって、野生型または機能性バリアント血液凝固因子が、第VII因子、第VIII因子または第IX因子である方法。
E79. E1〜E3、E5〜E78のいずれか1つに記載の方法であって、さらに1種類以上の核酸をトランスフェクションされている細胞を培養、拡張、単離または選択する工程(IV)を含む方法。
【0074】
E80. E1〜E3、E5〜E78のいずれか1つに記載の方法であって、さらに工程(iii)で生産されたトランスフェクションされた細胞および/または工程(iii)で生産されたトランスフェクションされた細胞からの培養培地を回収して細胞および/または培養培地回収物を生産する工程(iv)を含む方法。
【0075】
E81. E1〜E3、E5〜E78のいずれか1つに記載の方法であって、さらに工程(iii)で生産されたトランスフェクションされた細胞からrAAVベクターを単離および/または精製する工程(iv)を含む方法。
【0076】
E82. E1〜E81のいずれか1つに記載の方法であって、1種類以上の核酸による細胞のトランスフェクションが、安定剤の非存在下であること以外同じ条件下で実施される細胞のトランスフェクションと比較して、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%または少なくとも50%増加する方法。
【0077】
E83. E1〜E81のいずれか1つに記載の方法であって、トランスフェクションされた細胞から単離/精製されるrAAVベクターの量が、安定剤の非存在下であること以外同じ条件下でトランスフェクションされた細胞から単離/精製されるrAAVベクターの量と比較して、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%もしくは少なくとも50%またはより大きく増加する方法。
【0078】
E84. E1〜E81のいずれか1つに記載の方法であって、トランスフェクションされた細胞から単離/精製されるrAAVベクターの量が、安定剤の非存在下であること以外同じ条件下でトランスフェクションされた細胞から単離/精製されるrAAVベクターの量と比較して、少なくとも2倍、少なくとも4倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも40倍、少なくとも50倍、少なくとも60倍、少なくとも80倍、少なくとも100倍またはより大きく増加する方法。
【0079】
E85. E1〜E81のいずれか1つに記載の方法であって、rAAV力価が、安定剤の非存在下であること以外同じ条件下でもたらされるrAAV力価と比較して、少なくとも2倍、少なくとも4倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも40倍、少なくとも50倍、少なくとも60倍、少なくとも80倍、少なくとも100倍またはより大きく増大する方法。
【0080】
E86. E1〜E81のいずれか1つに記載の方法であって、rAAV力価が、安定剤の非存在下であること以外同じ条件下でもたらされるrAAV力価と比較して、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%もしくは少なくとも50%またはより大きく増大する方法。
【0081】
E87. E1〜E81のいずれか1つに記載の方法であって、rAAV完全ベクターの数が、安定剤の非存在下であること以外同じ条件下で生産されるrAAV完全ベクターの数と比較して、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%もしくは少なくとも50%またはより大きく増加する方法。
【0082】
E88. E1〜E81のいずれか1つに記載の方法であって、rAAV空ベクターの数が、安定剤の非存在下であること以外同じ条件下で生産されるrAAV空ベクターの数と比較して、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%もしくは少なくとも50%またはより大きく減少する方法。
【0083】
E89. E1〜E81のいずれか1つに記載の方法であって、安定剤の存在下で単離および/または精製されたrAAVベクターが、約1.0〜約1.2の260:280比を有し、一方で安定剤の非存在下であること以外同じ条件下で単離および/または精製されたrAAVベクターが、約0.6の260:280比を有する方法。
【0084】
E90. E1〜E89のいずれか1つに記載の方法であって、細胞が、哺乳類細胞、酵母細胞または昆虫細胞を含む方法。
E91. E90に記載の方法であって、細胞が、ヒト胎児腎臓(HEK)細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞または昆虫由来のSf9細胞である方法。
【0085】
E92. E91に記載の方法であって、細胞が、ヒト胎児腎臓(HEK)293細胞を含む方法。
E93. E92に記載の方法であって、細胞が、HEK 293E、HEK 293FまたはHEK 293T細胞である方法。
【0086】
E94. E92に記載の方法であって、HEK 293細胞が、懸濁状態での無血清増殖に適応している方法。
E95. E1〜E94のいずれか1つに記載の方法であって、細胞が、安定的に、または一過性にトランスフェクションされる方法。
【0087】
E96. E1〜E95のいずれか1つに記載の方法であって、細胞が、懸濁培養状態である方法。
E97. E1〜E95のいずれか1つに記載の方法であって、細胞が、接着性である方法。
【0088】
E98. E1〜E97のいずれか1つに記載の方法であって、細胞が、無血清培養培地中で増殖させられる、または維持される方法。
E99. E1〜E98のいずれか1つに記載の方法であって、細胞が、ローラーボトルまたは拡張された(expanded)ローラーボトル中で増殖する、または維持される方法。
【0089】
E100. E1〜E98のいずれか1つに記載の方法であって、細胞が、バイオリアクター中で増殖させられる方法。
E101. E1〜E98のいずれか1つに記載の方法であって、細胞が、バッグまたはフラスコ中で増殖させられる方法。
【0090】
E102. E100に記載の方法であって、細胞が、WAVEバイオリアクター中で増殖させられる方法。
E103. E100に記載の方法であって、細胞が、撹拌槽バイオリアクター中で増殖させられる方法。
【0091】
E104. 1種類以上の陽イオン性ポリマーおよび安定剤を含む組成物。
E105. E104に記載の組成物であって、さらに1種類以上の核酸を含む組成物。
【0092】
E106. E105に記載の組成物であって、さらに細胞を含む組成物。
E107. 安定剤および1種類以上の核酸を含む組成物。
E108. E107に記載の組成物であって、さらに1種類以上の陽イオン性ポリマーを含む組成物。
【0093】
E109. E108に記載の組成物であって、さらに細胞を含む組成物。
E110. 1種類以上の陽イオン性ポリマー、安定剤、1種類以上の核酸および細胞を含む組成物。
【0094】
E111. E104〜E106、E108〜E110のいずれか1つに記載の組成物であって、1種類以上の陽イオン性ポリマーの量が、約0.01μg、約0.02μg、約0.04μg、約0.06μg、約0.08μg、約1.0μg、約1.2μg、約1.4μg、約1.6μg、約1.8μg、約2.0μg、約2.2μg、約2.4μg、約2.6μg、約2.8μg、約3.0μg、約3.2μg、約3.4μg、約3.6μg、約3.8μg、約4.0μg、約4.2μg、約4.6μg、約4.8μg、約5.0μg、約5.5μg、約6.0μg、約6.5μg、約7μg、約7.5μg、約8.0μg、約8.5μg、約9.0μg、約9.5μg、約10μg、約12μg、約14μg、約16μg、約18μg、約20μg、約40μg、約60μg、約80μg、約100μg、約0.1mg、約1mg、約2mg、約4mg、約6mg、約8mgまたは約10mgである組成物。
【0095】
E112. E111に記載の組成物であって、1種類以上の陽イオン性ポリマーの量が、約20μg、約22μg、約24μg、約26μg、約26.4μg、約28μg、約30μg、約32μg、約34μg、約36μg、約38μg、約40μg、約42μg、約44μg、約46μg、約48μg、約50μg、約52μg、約52.8μg、約54μg、約56μg、約58μgまたは約60μgである組成物。
【0096】
E113. E104〜E112のいずれか1つに記載の組成物であって、安定剤の量が、約0.01μg、約0.02μg、約0.04μg、約0.06μg、約0.08μg、約1.0μg、約1.2μg、約1.4μg、約1.6μg、約1.8μg、約2.0μg、約2.2μg、約2.4μg、約2.6μg、約2.8μg、約3.0μg、約3.2μg、約3.4μg、約3.6μg、約3.8μg、約4.0μg、約4.2μg、約4.6μg、約4.8μg、約5.0μg、約5.5μg、約6.0μg、約6.5μg、約7μg、約7.5μg、約8.0μg、約8.5μg、約9.0μg、約9.5μg、約10μg、約12μg、約14μg、約16μg、約18μg、約20μg、約40μg、約60μg、約80μg、約100μg、約0.1mg、約1mg、約2mg、約4mg、約6mg、約8mgまたは約10mgである組成物。
【0097】
E114. E113に記載の組成物であって、安定剤の量が、約1.0μg、約1.2μg、約1.4μg、約1.6μg、約1.8μg、約2.0μg、約2.2μg、約2.4μg、約2.6μg、約2.64μg、約2.8μg、約3.0μg、約3.2μg、約3.4μg、約3.6μg、約3.8μg、約4.0μg、約4.2μg、約4.6μg、約4.8μg、約5.0μg、約5.5μg、約6.0μg、約6.5μg、約7μg、約7.5μg、約8.0μg、約8.5μg、約9.0μg、約9.5μg、約10μg、約12μg、約13μg、約14μg、約16μg、約18μgまたは約20μgである組成物。
【0098】
E115. E105〜E114のいずれか1つに記載の組成物であって、1種類以上の核酸の量が、約0.01μg、約0.02μg、約0.04μg、約0.06μg、約0.08μg、約1.0μg、約1.2μg、約1.4μg、約1.6μg、約1.8μg、約2.0μg、約2.2μg、約2.4μg、約2.6μg、約2.8μg、約3.0μg、約3.2μg、約3.4μg、約3.6μg、約3.8μg、約4.0μg、約4.2μg、約4.6μg、約4.8μg、約5.0μg、約5.5μg、約6.0μg、約6.5μg、約7μg、約7.5μg、約8.0μg、約8.5μg、約9.0μg、約9.5μg、約10μg、約12μg、約14μg、約16μg、約18μg、約20μg、約40μg、約60μg、約80μg、約100μg、約0.1mg、約1mg、約2mg、約4mg、約6mg、約8mgまたは約10mgである組成物。
【0099】
E116. E115に記載の組成物であって、1種類以上の核酸の量が、約12μgまたは約24μgである組成物。
E117. E106、E109〜E116のいずれか1つに記載の組成物であって、細胞が、少なくとも1×10
5細胞/mL、少なくとも2×10
5細胞/mL、少なくとも4×10
5細胞/mL、少なくとも6×10
5細胞/mL、少なくとも8×10
5細胞/mL、少なくとも0.5×10
6細胞/mL、少なくとも1×10
6細胞/mL、少なくとも2×10
6細胞/mL、少なくとも4×10
6細胞/mL、少なくとも6×10
6細胞/mL、少なくとも8×10
6細胞/mL、少なくとも10×10
6細胞/mL。少なくとも12×10
6細胞/ml、少なくとも14×10
6細胞/ml、少なくとも16×10
6細胞/ml、少なくとも18×10
6細胞/ml、少なくとも20×10
6細胞/ml、少なくとも22×10
6細胞/ml、少なくとも24×10
6細胞/ml、少なくとも26×10
6細胞/ml、少なくとも28×10
6細胞/ml、少なくとも30×10
6細胞/ml、少なくとも32×10
6細胞/ml、少なくとも34×10
6細胞/ml、少なくとも36×10
6細胞/ml、少なくとも38×10
6細胞/ml。少なくとも40×10
6細胞/ml、少なくとも42×10
6細胞/ml、少なくとも44×10
6細胞/ml、少なくとも46×10
6細胞/ml、少なくとも48×10
6細胞/ml、少なくとも50×10
6細胞/mlまたは少なくとも52×10
6細胞/mlの細胞密度である組成物。
【0100】
E118. E117に記載の組成物であって、細胞が、少なくとも12×10
6細胞/mLまたは少なくとも24×10
6細胞/mLの密度である組成物。
E119. 約12×10
6細胞/mL、細胞100万個あたり約2.2μgの1種類以上の陽イオン性ポリマー、1種類以上の陽イオン性ポリマーと比較して約10%の安定剤および細胞100万個あたり約1μgの1種類以上の核酸を含む組成物。
【0101】
E120. 約24×10
6細胞/mL、細胞100万個あたり約2.2μgの1種類以上の陽イオン性ポリマー、1種類以上の陽イオン性ポリマーと比較して約25%の安定剤および細胞100万個あたり約1μgの1種類以上の核酸を含む組成物。
【発明を実施するための形態】
【0103】
陽イオン性ポリマー、例えばポリエチレンイミン(PEI)は、細胞をトランスフェクションするための簡単、安価かつ有効な試薬である。トランスフェクションに関する古典的なプロトコルによれば、PEIおよびDNAは、トランスフェクションの前にポリプレックスを形成するために予め混合され、しばらくインキュベートされる(“トランスフェクションカクテルのインキュベーション時間”)。しかし、これらのポリプレックスは、不安定であり、トランスフェクションカクテルのインキュベーション時間の長さに応じて、DNA−PEI複合体は、凝集して大きな粒子になる可能性があり、それは、細胞をトランスフェクションするそれらの能力を蝕む。実際、トランスフェクションカクテルのインキュベーション時間とは無関係に、トランスフェクションカクテルの調製およびトランスフェクションのための細胞との接触の間のあらゆるタイムラグは、DNA−PEI複合体の凝集の可能性を増大させる。理論により束縛されるわけではないが、凝集の速度もまた、温度、混合条件、細胞密度および/またはDNA濃度に依存するという仮説が、立てられている。より高い温度、強い混合条件、より高い細胞密度およびDNA濃度は、DNA−PEI複合体のより速い凝集に寄与し得る。これは、細胞をトランスフェクションして例えばAAVベクターを大規模に生産するために陽イオン性ポリマーを使用する能力を著しく損なう。
【0104】
高いトランスフェクション効率を維持しながらDNA−陽イオン性ポリマー複合体を含有するトランスフェクションカクテルを長時間安定化するための組成物および方法が、本明細書において開示される。そのような安定化されたトランスフェクションカクテルは、ウイルス産生の重要な属性、例えば力価、DNAをパッケージ化したrAAV粒子の割合およびrAAVベクター精製プロファイルに影響を与えることなく大規模に例えばrAAVベクターを産生することができるトランスフェクションされた細胞を生成するために使用されることができる。特に、本発明者らは、比較可能なrAAV力価を得ながら(例えば実施例3〜10を参照)DNA−PEI複合体を少なくとも8時間安定化する(すなわち凝集して大きな粒子になるのを防ぐ)ことができた(実施例9を参照)。加えて、本発明者らは、高細胞密度トランスフェクションおよび低細胞密度トランスフェクションの両方に関して最大限のrAAV力価をもたらすために必要とされるトランスフェクションカクテル中の安定剤の最適な濃度および添加順序を決定した。
【0105】
一般的な技法
本発明の実施は、別途示されない限り、当該技術の技法の範囲内である分子生物学(組換え技法を含む)、微生物学、細胞生物学、生化学および免疫学の従来技法を採用するであろう。そのような技法は、文献、例えばMolecular Cloning: A Laboratory Manual, 第2版(Sambrook et al., 1989) Cold Spring Harbor Press; Oligonucleotide Synthesis (M.J. Gait, 編者, 1984); Methods in Molecular Biology, Humana Press; Cell Biology: A Laboratory Notebook (J.E. Cellis,編者, 1998) Academic Press; Animal Cell Culture (R.I. Freshney, 編者, 1987); Introduction to Cell and Tissue Culture (J.P. MatherおよびP.E. Roberts, 1998) Plenum Press; Cell and Tissue Culture: Laboratory Procedures (A. Doyle, J.B. Griffiths, およびD.G. Newell, 編者, 1993-1998) J. Wiley and Sons; Methods in Enzymology (Academic Press, Inc.); Handbook of Experimental Immunology (D.M. WeirおよびC.C. Blackwell, 編者); Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells (J.M. MillerおよびM.P. Calos, 編者, 1987); Current Protocols in Molecular Biology (F.M. Ausubel et al., 編者, 1987); PCR: The Polymerase Chain Reaction, (Mullis et al., 編者, 1994); Current Protocols in Immunology (J.E. Coligan et al., 編者, 1991); Short Protocols in Molecular Biology (Wiley and Sons, 1999)において完全に説明されている。
【0106】
定義
用語“核酸”および“ポリヌクレオチド”は、本明細書において、デオキシリボ核酸(DNA)およびリボ核酸(RNA)を含む核酸、オリゴヌクレオチドの全ての形態を指すために互換的に使用される。核酸およびポリヌクレオチドは、ゲノムDNA、cDNAおよびアンチセンスDNA、プラスミド、ならびにスプライシングされた、またはスプライシングされていないmRNA、rRNA、tRNAならびに阻害性DNAまたはRNA(RNAi、例えば小分子もしくは短鎖ヘアピン(sh)RNA、マイクロRNA(miRNA)、小分子もしくは短鎖干渉(si)RNA、トランススプライシングRNAまたはアンチセンスRNA)を含む。核酸およびポリヌクレオチドは、天然に存在する配列、合成配列および意図的に改変または変更された配列(例えばバリアント核酸)を含む。
【0107】
“プラスミド”は、典型的にはプラスミドの発現(例えば転写、複製等)または繁殖(複製)のための追加の要素を有する核酸またはポリヌクレオチドの形態である。本明細書で使用されるようなプラスミドは、核酸配列およびポリヌクレオチド配列を参照するために使用されることもできる。従って、全ての側面において、本発明の組成物および方法は、例えばプラスミド、核酸またはポリヌクレオチドを細胞中に導入するために、細胞にプラスミド、核酸またはポリヌクレオチドを形質導入(トランスフェクション)するために、プラスミド、核酸またはポリヌクレオチドを有する形質導入(トランスフェクション)された細胞を生産するために、ウイルス(例えばAAV)ベクターを産生する細胞を生産するために、ウイルス(例えばAAV)ベクターを生産するために、ウイルス(例えばAAV)ベクターを有する細胞培養培地を生産するために、等でプラスミド、核酸およびポリヌクレオチドに適用可能である。
【0108】
ある態様において、核酸またはプラスミドは、タンパク質をコードする配列を指す。そのようなタンパク質は、野生型タンパク質またはバリアントタンパク質、改変タンパク質もしくはキメラタンパク質であり得る。‘バリアントタンパク質’は、改変タンパク質が野生型タンパク質と比較してアミノ酸の変更を有するような改変タンパク質を意味することができる。
【0109】
核酸またはプラスミドによってコードされるタンパク質は、療法用タンパク質を含む。限定的でない例は、血液凝固因子(例えば第XIII因子、第IX因子、第X因子、第VIII因子、第VIIa因子またはプロテインC)、ミニジストロフィン、C1エステラーゼ阻害剤、銅輸送P型ATPアーゼ(ATP7B)、銅−亜鉛スーパーオキシドジスムターゼ1(SOD1)、apoE2、アルギニノコハク酸シンターゼ、酸性アルファ−グルコシダーゼ、β−グルコセレブロシダーゼ、a−ガラクトシダーゼ、CI阻害因子セリンプロテアーゼ阻害因子、CFTR(嚢胞性線維症膜貫通制御タンパク質)、抗体、網膜色素上皮特異的65kDaタンパク質(RPE65)、エリスロポエチン、LDL受容体、リポタンパク質リパーゼ、オルニチントランスカルバミラーゼ、β−グロビン、a−グロビン、スペクトリン、a−アンチトリプシン、アデノシンデアミナーゼ(ADA)、金属トランスポーター(ATP7AまたはATP7)、スルフアミダーゼ(sulfamidase)、リソソーム蓄積症に関わる酵素(ARSA)、ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ、β−25グルコセレブロシダーゼ、スフィンゴミエリナーゼ、リソソームヘキソサミニダーゼ、分枝鎖ケト酸デヒドロゲナーゼ、ホルモン、成長因子(例えばインスリン様成長因子1および2、血小板由来成長因子、上皮成長因子、神経成長因子、神経栄養因子−3および−4、脳由来神経栄養因子、グリア由来成長因子、形質転換成長因子aおよびβ等)、サイトカイン(例えばa−インターフェロン、β−インターフェロン、インターフェロン−γ、インターロイキン−2、インターロイキン−4、インターロイキン12、顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子、リンホトキシン等)、自殺遺伝子産物(例えば単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ、シトシンデアミナーゼ、ジフテリア毒素、シトクロムP450、デオキシシチジンキナーゼ、腫瘍壊死因子等)、薬剤耐性タンパク質(例えば癌療法において使用される薬剤に対する耐性を提供するもの)、腫瘍抑制因子タンパク質(例えばp53、Rb、Wt−1、NF1、フォン・ヒッペル・リンドウ(VHL)、腺腫様多発結腸ポリープ(APC))、免疫調節特性を有するペプチド、寛容原性または免疫原性ペプチドまたはタンパク質Tレジト−プ(Tregitopes)またはhCDRl、インスリン、グルコキナーゼ、グアニル酸シクラーゼ2D(LCA−GUCY2D)、Rabエスコートタンパク質1(コロイデレミア)、LCA5(LCA−レベルシリン)、オルニチンケト酸アミノトランスフェラーゼ(脳回転状萎縮症)、レチノスキシン1(X連鎖性網膜分離症)、USH1C(アッシャー症候群1C)、X連鎖性網膜色素変性症GTPアーゼ(XLRP)、MERTK(RP:網膜色素変性症のAR形態)、DFNB1(コネキシン26難聴)、ACHM2、3および4(色盲)、PKD−1またはPKD−2(多嚢胞性腎臓病)、リソソーム蓄積症の原因となる遺伝子欠損(例えばスルファターゼ、N−アセチルグルコサミン−l−リン酸トランスフェラーゼ、カテプシンA、GM2−AP、NPC1、VPC2、スフィンゴ脂質活性化因子タンパク質等)、ゲノム編集のための1種類以上のジンクフィンガーヌクレアーゼまたはゲノム編集のための修復鋳型として使用されるドナー配列を含む。
【0110】
ある態様において、核酸またはプラスミドは、転写された際に転写産物を生成する配列を指す。そのような転写産物は、RNA、例えば阻害性RNA(RNAi、例えば小分子もしくは短鎖ヘアピン(sh)RNA、マイクロRNA(miRNA)、小分子もしくは短鎖干渉性(si)RNA、トランススプライシングRNAまたはアンチセンスRNA)であることができる。
【0111】
限定的でない例は、以下:ハンチンチン(HTT)遺伝子、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症(dentatorubropallidolusyan atropy)と関係する遺伝子(例えばアトロフィン1、ATN1);球脊髄性筋萎縮症におけるX染色体上のアンドロゲン受容体、ヒトアタキシン−1、−2、−3および−7、(CACNA1A)によりコードされているCav2.1 P/Q電位依存性カルシウムチャンネル、TATA結合タンパク質、ATXN80Sとしても知られているアタキシン8の逆ストランド、脊髄小脳失調症(1型、2型、3型、6型、7型、8型、12型、17型)におけるセリン/スレオニン−プロテインホスファターゼ2A 55kDa調節サブユニットB ベータイソ型、脆弱性X症候群におけるFMR1(脆弱性X精神遅滞1)、脆弱性X関連振戦/失調症候群におけるFMR1(脆弱性X精神遅滞1)、脆弱性XE精神遅滞におけるFMR1(脆弱性X精神遅滞2)もしくはAF4/FMR2ファミリーメンバー2;筋緊張性ジストロフィーにおけるミオトニン−プロテインキナーゼ(MT−PK);フリードライヒ失調症におけるフラタキシン;筋萎縮性側索硬化症におけるスーパーオキシドジスムターゼ1(SOD1)遺伝子の変異体;パーキンソン病および/もしくはアルツハイマー病の病因に関わる遺伝子;アポリポタンパク質B(APOB)およびプロタンパク質変換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)、高コレステロール血症(hypercoloesterolemia);HIV感染症におけるHIV Tat、転写遺伝子のヒト免疫不全ウイルストランス活性化因子;HIV感染症におけるHIV TAR、HIV TAR、ヒト免疫不全ウイルストランス活性化因子応答要素遺伝子;HIV感染症におけるC−Cケモカイン受容体(CCR5);RSV感染症におけるラルス肉腫ウイルス(RSV)ヌクレオカプシドタンパク質、C型肝炎ウイルス感染症における肝臓特異的マイクロRNA(miR−122);p53、急性腎障害もしくは遅延移植片機能腎移植(delayed graft function kidney transplant)もしくは腎障害急性腎不全;進行性(advance)、再発性もしくは転移性の固形悪性腫瘍におけるプロテインキナーゼN3(PKN3);LMP2(LMP2は、プロテアソームサブユニットベータ9型(PSMB 9)としても知られている)、転移性メラノーマ;LMP7(プロテアソームサブユニットベータ8型(PSMB 8)としても知られている)、転移性メラノーマ;MECL1(プロテアソームサブユニットベータ10型(PSMB 10)としても知られている)、転移性メラノーマ;固形腫瘍における血管内皮成長因子(VEGF);固形腫瘍におけるキネシン紡錘タンパク質、慢性骨髄性白血病におけるアポトーシスサプレッサーB細胞CLL/リンパ腫(BCL−2);固形腫瘍におけるリボヌクレオチドレダクターゼM2(RRM2);固形腫瘍におけるフューリン;肝臓腫瘍におけるポロ様キナーゼ1(PLK1)、C型肝炎感染症におけるジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ1(DGAT1)、家族性腺腫性ポリポーシスにおけるベータカテニン;ベータ2アドレナリン受容体、緑内障;糖尿病黄斑浮腫(diabetic macular oedma)(DME)もしくは加齢関連黄斑変性症におけるRTP801/Reddl(DAN損傷誘導性転写産物4タンパク質としても知られている);加齢黄斑変性症もしくは脈絡膜血管新生における血管内皮成長因子受容体I(VEGFR1)、非動脈炎性虚血性視神経症におけるカスパーゼ2;先天性爪肥厚症(pachyonychia congenital)におけるケラチン6A N17K変異体タンパク質;インフルエンザ感染症におけるインフルエンザAウイルスゲノム/遺伝子配列;重症急性呼吸器症候群(SARS)感染症におけるSARSコロナウイルスゲノム/遺伝子配列;呼吸器多核体ウイルス感染症における呼吸器多核体ウイルスゲノム/遺伝子配列;エボラ感染症におけるエボラフィロウイルスゲノム/遺伝子配列;B型およびC型肝炎感染症におけるB型およびC型肝炎ウイルスゲノム/遺伝子配列;単純ヘルペスウイルス(HSV)感染症におけるHSVゲノム/遺伝子配列、コクサッキーウイルスB3感染症におけるコクサッキーウイルスB3ゲノム/遺伝子配列;原発性ジストニアにおけるトーシンA(TOR1A)のような遺伝子の病原性アレルのサイレンシング(アレル特異的サイレンシング)、移植におけるpan−クラスIおよびHLAアレル特異的;常染色体優性遺伝性網膜色素変性症(adRP)における変異ロドプシン遺伝子(RHO)の発現を阻害する阻害性核酸;または前記の遺伝子もしくは配列のいずれかの転写産物に結合する阻害性核酸を含む。
【0112】
核酸(プラスミド)は、一重、二重または三重、線状または環状であることができ、あらゆる長さであることができる。核酸(プラスミド)の議論において、特定のポリヌクレオチドの配列または構造は、5’〜3’方向に配列を提供する慣習に従って本明細書で記載され得る。
【0113】
本明細書で述べられるようなトランスフェクションカクテルと接触させられる細胞は、“宿主細胞”と呼ばれ得る。“宿主細胞”は、例えばパッケージングタンパク質、例えばAAVパッケージングタンパク質をコードする核酸(プラスミド)、ヘルパータンパク質をコードする核酸(プラスミド)、タンパク質をコードしているかもしくは対象の転写産物へと転写される核酸(プラスミド)または他の転移核酸(プラスミド)のレシピエントとして使用されることができるかまたは使用されていた微生物、酵母細胞、昆虫細胞および哺乳類細胞を意味する。その用語は、形質導入またはトランスフェクションされた元の細胞の子孫を含む。従って、本明細書で使用される“宿主細胞”は、一般に外因性核酸配列を形質導入またはトランスフェクションされている細胞を指す。単一の親細胞の子孫は、自然、偶発的または意図的な変異のために、形態においてまたはゲノムもしくは総核酸相補配列(total nucleic acid complement)において元の親と必ずしも完全に同一であるとは限らない可能性があることは、理解されている。
【0114】
用語“形質導入する”および“トランスフェクションする”は、核酸(プラスミド)のような分子の宿主細胞中への導入を指す。細胞は、外因性の核酸が細胞膜の内側に導入されている場合、“形質導入されている”、または“トランスフェクションされている”。従って、“形質導入された細胞”または“トランスフェクションされた細胞”は、核酸もしくはポリヌクレオチドが導入されている細胞または外因性核酸が導入されているその子孫である。
【0115】
“形質導入された”または“トランスフェクションされた”細胞において、核酸(プラスミド)は、レシピエント細胞のゲノム核酸中に組み込まれていてもいなくてもよい。導入された核酸がレシピエント細胞または生物の核酸(ゲノムDNA)中に組み込まれた状態になる場合、それは、その細胞または生物において安定に維持されることができ、さらにレシピエント細胞または生物の子孫細胞または生物に移されるか、または遺伝することができる。最後に、導入された核酸は、レシピエント細胞または宿主生物において染色体外に、または一過性にのみ存在することができる。
【0116】
用語“ベクター”は、小さなキャリヤー核酸分子、プラスミド、ウイルス(例えばAAVベクター)または核酸の挿入もしくは組み込みによって操作されることができる他のビヒクルを指す。そのようなベクターは、遺伝子操作(すなわち“クローニングベクター”)のために、ポリヌクレオチドを細胞中に導入する/移すために、そして挿入されたポリヌクレオチドを細胞中で転写または翻訳するために使用されることができる。
【0117】
“発現ベクター”は、宿主細胞における発現に必要とされる必要な調節領域を有する遺伝子または核酸配列を含有する特殊なベクターである。ベクター核酸配列は、一般に少なくとも細胞中での繁殖のための複製起点および場合により追加の要素、例えば異種ポリヌクレオチド配列、発現制御要素(例えばプロモーター、エンハンサー)、イントロン、ITR(単数または複数)、選択可能なマーカー(例えば抗生物質耐性)、ポリアデニル化シグナルを含有する。本発明の目的に関して、“ベクター”は、本明細書で述べられる際、この用語が本明細書で使用されるように“プラスミド”の範囲内である。
【0118】
ウイルスベクターは、ウイルスゲノムを含む1つ以上の核酸要素に由来するか、またはそれに基づいている。特定のウイルスベクターは、レンチウイルス、シュードタイプレンチウイルスおよびパルボウイルスベクター、例えばアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを含む。AAVベクターは、天然(すなわち野生型)または非天然(例えば組換え)AAV血清型(例えばAAV1〜12であるがそれらに限定されない)、AAV VP1、VP2および/もしくはVP3カプシドタンパク質、または改変もしくはバリアントAAV VP1、VP2および/もしくはVP3カプシドタンパク質、または野生型AAV VP1、VP2および/もしくはVP3カプシドタンパク質のいずれを含むこともできる。
【0119】
ベクター、例えば組換えウイルス、例えばレンチウイルスまたはパルボウイルス(例えばAAV)ベクターの修飾語ならびに組換えポリヌクレオチドおよびポリペプチドのような配列の修飾語としての“組み換え”という用語は、組成物が、一般に天然では発生しない様式で操作されている(すなわち工学的に操作されている)ことを意味する。AAVベクターのような組換えベクターの特定の例は、野生型ウイルス(例えばAAV)ゲノム中に通常は存在しないポリヌクレオチドがウイルスゲノム内に挿入されている、すなわち異種である場合であろう。用語“組み換え”は、本明細書において常にベクター、例えばウイルスベクターおよびAAVベクターならびに配列、例えばポリヌクレオチドを参照して使用されるわけではないが、ポリヌクレオチドを含む組換え形態は、あらゆるそのような省略にもかかわらず、明確に含まれる。
【0120】
組換えウイルスベクターまたはAAVベクターは、ウイルス、例えばAAVの野生型ゲノムから、そのウイルス(例えばAAV)から野生型ゲノムを除去して非天然核酸、例えば転写産物へと転写される核酸またはタンパク質をコードする核酸で置き換える分子的方法を用いることにより得られる。典型的には、AAVに関して、AAVゲノムの一方または両方の逆位末端反復(ITR)配列が、AAVベクター中に保持される。組換えウイルスベクター(例えばAAV)は、ウイルスゲノムの全部または一部がウイルス(例えばAAV)ゲノム核酸に関して非天然(すなわち異種)の配列で置き換えられているため、ウイルス(例えばAAV)ゲノムとは区別される。従って、非天然配列の組み込みは、ウイルスベクター(例えばAAV)を組換えベクターとして定義し、それは、AAVの場合にはrAAVベクターと呼ばれ得る。
【0121】
組換えベクター(例えばレンチ、パルボ、AAV)配列は、エキソビボ、インビトロまたはインビボでの細胞のその後の感染(形質導入)のためにパッケージングされることができる(本明細書において粒子と呼ばれる)。組換えベクター配列がカプシド形成またはパッケージングされてAAV粒子になる場合、粒子はまた、rAAVとも呼ばれ得る。そのような粒子は、ベクターゲノムをカプシド形成またはパッケージングするタンパク質を含む。特定の例は、ウイルスエンベロープタンパク質、AAVの場合にはカプシドタンパク質、例えばAAV VP1、VP2およびVP3を含む。
【0122】
ベクターゲノムは、最終的にパッケージングまたはカプシド形成されてウイルス(例えばAAV)粒子を形成する組換えプラスミド配列の部分を指す。組換えプラスミドを用いて組換えベクターを構築または製造する場合、ベクターゲノムは、組換えプラスミドのベクターゲノム配列に対応しないプラスミドの部分を含まない。組換えプラスミドのこの非ベクターゲノム部分は、プラスミド骨格と呼ばれ、それは、繁殖および組換えウイルスの産生に必要なプロセスであるプラスミドのクローニングおよび増幅のために重要であるが、それ自体はウイルス(例えばAAV)粒子中にパッケージングまたはカプシド形成されない。従って、ベクターゲノムは、ウイルス(例えばAAV)によってパッケージングまたはカプシド形成される核酸を指す。
【0123】
用語“空のカプシド”および“空の粒子”は、AAVタンパク質シェルを含むがタンパク質をコードする核酸の全部もしくは一部を欠いているかまたはAAV ITRによって隣接された対象の転写産物へと転写されるAAVビリオンを指す。従って、空のカプシドは、タンパク質をコードする核酸または対象の転写産物へと転写される核酸を宿主細胞中に移すように機能しない。しかし、空カプシド配合物は、他の適用において有用性を有する。
【0124】
本明細書で使用される際、AAVパッケージングタンパク質は、生産的なAAV複製のためにトランスで機能するAAV由来の配列を指す。従って、AAVパッケージングタンパク質は、主要なAAVのオープンリーディングフレーム(ORF)であるrepおよびcapによってコードされる。repタンパク質は、とりわけ、AAVのDNA複製起点の認識、結合およびニッキング;DNAヘリカーゼ活性;ならびにAAV(または他の異種)プロモーターからの転写の調節を含む多くの機能を有することが示されている。キャップ(カプシド)タンパク質は、必要なパッケージング機能を供給する。AAVパッケージングタンパク質は、本明細書において、AAVベクターから欠けているAAV機能をトランスで補完するために用いられる。
【0125】
AAVパッケージングタンパク質をコードする核酸は、一般に、形質導入する組換えAAVベクターを生成するために使用されるべきAAVベクターから削除されたAAV機能を提供するヌクレオチド配列を含む核酸分子を指す。AAVパッケージングタンパク質をコードする核酸は、一般にAAV repおよび/またはcap遺伝子の一過性発現を提供してAAV複製に必要である欠けているAAV機能を補完するために使用される;しかし、核酸コンストラクトは、AAV ITRを欠いており、それら自体を複製することもパッケージングすることもできない。AAVパッケージングタンパク質をコードする核酸は、プラスミド、ファージ、トランスポゾン、コスミド、ウイルスまたはビリオンの形態であり得る。RepおよびCap発現産物の両方をコードする一般的に使用されているプラスミドpAAV/AdおよびpIM29+45のようないくつかの核酸コンストラクトが、記載されている。例えば、Samulski et al. (1989) J. Virol. 63:3822-3828;およびMcCarty et al. (1991) J. Virol. 65:2936-2945を参照。RepおよびCap発現産物をコードするいくつかのベクターが、記載されている(例えば米国特許第5,139,941号および第6,376,237号)。
【0126】
ヘルパータンパク質をコードする核酸という用語は、一般に、ヘルパー機能(単数または複数)を提供するタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子(単数または複数)を指す。ヘルパータンパク質(単数または複数)をコードする核酸(単数または複数)を有するベクターは、適切な宿主細胞中にトランスフェクションされることができ、ここで、ベクターは、次いで宿主細胞中でのAAVビリオン産生を支持することができる。その用語から明確に除外されるのは、天然に存在するままの感染性ウイルス粒子、例えばアデノウイルス、ヘルペスウイルスまたはワクシニアウイルス粒子である。
【0127】
ヘルパータンパク質ベクターは、プラスミド、ファージ、トランスポゾンまたはコスミドの形態であり得る。特に、アデノウイルス遺伝子の完全相補配列はヘルパー機能に必要ではないことが、実証されている。例えばDNA複製および後期遺伝子合成ができないアデノウイルス変異体は、AAV複製に関して許容的(permissive)であることが示されている。Ito et al., (1970) J. Gen. Virol. 9:243; Ishibashi et al, (1971) Virology 45:317。
【0128】
E2BおよびE3領域内の変異体は、AAV複製を支持することが示されており、これは、E2BおよびE3領域がおそらくヘルパー機能の提供に関わっていないことを示している。Carter et al:, (1983) Virology 126:505。しかし、El領域において欠陥がある、または欠失したE4領域を有するアデノウイルスは、AAV複製を支持することができない。従って、アデノウイルスヘルパータンパク質に関して、EIAおよびE4領域は、おそらく直接的または間接的のどちらかでAAV複製に必要とされている。Laughlin et al., (1982) J. Virol. 41:868; Janik et al., (1981) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 78: 1925; Carter et al., (1983) Virology 126:505。他の特性付けられたAd変異体は、以下の変異体を含む:EIB(Laughlin et al. (1982), 上記; Janik et al. (1981), 上記; Ostrove et al., (1980) Virology 104:502); E2A(Handa et al., (1975) J. Gen. Virol. 29:239; Strauss et al., (1976) J. Virol. 17: 140; Myers et al., (1980) J. Virol. 35:665; Jay et al., (1981) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 78:2927; Myers et al., (1981) J. Biol. Chem. 256:567); E2B(Carter, Adeno-Associated Virus Helper Functions, I CRC Handbook of Parvoviruses中 (P. Tijssen 編者, 1990)); E3(Carter et al. (1983), 上記);およびE4(Carter et al.(1983), 上記; Carter (1995))。
【0129】
EIB中に変異を有するアデノウイルスによって提供されるヘルパータンパク質の研究は、El B55kがAAVビリオン産生に必要であり、一方でEIB 19kは必要ではないことを報告している。加えて、国際公開97/17458号およびMatshushita et al., (1998) Gene Therapy 5:938-945は、様々なAd遺伝子をコードするヘルパー機能ベクターを記載している。ヘルパーベクターの例は、アデノウイルスVA RNAコード領域、アデノウイルスE4 ORF6コード領域、アデノウイルスE2A 72kDコード領域、アデノウイルスEIAコード領域および完全なEI BS5kコード領域を欠くアデノウイルスEIB領域を含む(例えば国際公開第01/83797号を参照)。
【0130】
導入遺伝子は、本明細書において、細胞または生物中に導入されることが意図されている、または導入された核酸を便宜的に指すために使用されている。導入遺伝子は、あらゆる核酸、例えば転写産物へと転写される遺伝子または対象のポリペプチドもしくはタンパク質をコードする遺伝子を含む。
【0131】
発現制御要素は、作動可能に連結された核酸の発現に影響を与える核酸配列(単数または複数)を指す。制御要素は、プロモーター、エンハンサー等のような本明細書で述べられる発現制御要素を含む。AAVベクターを含むベクター配列は、1以上の発現制御要素を含むことができる。典型的には、そのような要素は、適切な異種ポリヌクレオチドの転写および適切な場合には翻訳を促進するために含まれる(例えばプロモーター、エンハンサー、イントロンに関するスプライシングシグナル、mRNAのインフレーム翻訳を可能にするための遺伝子の正しいリーディングフレームの維持および停止コドン等)。そのような要素は、典型的にはシスで作用し、“シス作用性”要素と呼ばれるが、トランスでも作用し得る。
【0132】
発現制御は、転写、翻訳、スプライシング、メッセージ安定性等のレベルであり得る。典型的には、転写を調節する発現制御要素は、転写される核酸の5’末端(すなわち上流)付近に並置される。発現制御要素は、転写される配列の3’末端(すなわち下流)に、または転写産物内(例えばイントロン中)にも位置し得る。発現制御要素は、転写される配列に隣接して、または転写される配列からある距離(例えばポリヌクレオチドから1〜10、10〜25、25〜50、50〜100、100〜500またはより多くのヌクレオチド)離れて位置することができ、かなりの距離離れて位置することさえできる。それでもなお、AAVベクターのような特定のベクターの長さ制限のために、発現制御要素は、典型的には転写される核酸から1〜1000ヌクレオチドの範囲内にあるであろう。
【0133】
機能的には、作動可能に連結された核酸の発現は、その要素(例えばプロモーター)によって、その要素が核酸の転写を調節し、そして適切な場合にはその転写産物の翻訳を調節するように、少なくとも部分的に制御可能である。発現制御要素の具体的な例は、プロモーターであり、それは、通常は転写される配列の5’に配置されている。プロモーターは、典型的にはプロモーターが存在しない場合に発現される量と比較して、作動可能に連結された核酸から発現される量を増加させる。
【0134】
本明細書で使用されるエンハンサーは、異種ポリヌクレオチドに隣接して位置する配列を指すことができる。エンハンサー要素は、典型的にはプロモーター要素の上流に位置するが、機能し、核酸配列の下流または内部に位置することもできる。従って、エンハンサー要素は、核酸の100塩基対、200塩基対または300塩基対以上上流または下流に位置することができる。エンハンサー要素は、典型的には作動可能に連結された核酸の発現をプロモーター要素によって与えられる発現よりも増加させる。
【0135】
発現コンストラクトは、特定の細胞または組織型における発現を駆動する役目を果たす調節要素を含むことができる。発現制御要素(例えばプロモーター)は、特定の組織または細胞型において活性なものを含み、それは、本明細書において“組織特異的発現制御要素/プロモーター”と呼ばれる。組織特異的発現制御要素は、典型的には特定の細胞または組織(例えば肝臓)において活性である。発現制御要素は、典型的にはそれらが特定の細胞、組織または器官のタイプに特有である転写活性化因子タンパク質または他の転写の調節因子によって認識されるため、特定の細胞、組織または器官において活性である。そのような調節要素は、当業者には既知である(例えばSambrook et al. (1989)およびAusubel et al. (1992)を参照)。 [0173] 本発明のプラスミドにおける組織特異的調節要素の組み込みは、核酸の発現に関する少なくとも部分的な組織指向性を提供する。肝臓で活性なプロモーターの例は、とりわけTTRプロモーター(例えば変異体TTRプロモーター)、ヒトアルファ1−アンチトリプシン(hAAT)プロモーター;アルブミン、Miyatake, et al. J. Virol., 71:5124-32 (1997);B型肝炎ウイルスコアプロモーター、Sandig, et al., Gene Ther. 3: 1002-9 (1996);アルファ−フェトプロテイン(AFP)、Arbuthnot, et al., Hum. Gene. Ther., 7: 1503-14 (1996)]である。肝臓で活性なエンハンサーの例は、アポリポタンパク質E(apoE)HCR−1およびHCR−2である(Allan et al., J. Biol. Chem., 272:29113-19 (1997))。
【0136】
発現制御要素は、多くの異なる細胞型においてポリヌクレオチドの発現を駆動することができるユビキタスまたは無差別(promiscuous)プロモーター/エンハンサーも含む。そのような要素は、サイトメガロウイルス(CMV)最初期プロモーター/エンハンサー配列、ラウス肉腫ウイルス(RSV)プロモーター/エンハンサー配列および様々な哺乳類細胞型において活性な他のウイルスプロモーター/エンハンサー、または天然には存在しない合成要素(例えばBoshart et al, Cell, 41:521-530 (1985)参照)、SV40プロモーター、ジヒドロ葉酸レダクターゼプロモーター、細胞質β−アクチンプロモーターおよびホスホグリセロールキナーゼ(PGK)プロモーターを含むが、それらに限定されない。
【0137】
ベクターに関する追加の要素は、限定ではなく、転写終結シグナルもしくは停止コドン、1コピー以上のAAV ITR配列のような配列に隣接する5’もしくは3’非翻訳領域(例えばポリアデニル化(polyA)配列)、フィラー(filler)もしくはスタッファー(stuffer)ポリヌクレオチド配列またはイントロンを含む。
【0138】
フィラーまたはスタッファーポリヌクレオチド配列は、パッケージングを向上させ、混入する核酸の存在を低減する。AAVベクターは、典型的には、一般に約4kb〜約5.2kbまたはそれよりわずかに大きいサイズ範囲を有するDNAの挿入断片を受け入れる。従って、より短い配列に関して、AAVベクターのウイルス粒子中へのパッケージングに許容可能なウイルスゲノム配列の通常のサイズ付近または通常のサイズに長さを調整するために、スタッファーまたはフィラーを含める。様々な態様において、フィラー/スタッファー核酸配列は、核酸の非翻訳(タンパク質をコードしていない)セグメントである。4.7Kb未満の核酸配列に関して、フィラーまたはスタッファーポリヌクレオチド配列は、その配列と組み合わせられた(例えばベクター中に挿入された)際に約3.0〜5.5Kb、または約4.0〜5.0Kb、または約4.3〜4.8Kbの全長を有する長さを有する。
【0139】
イントロンは、AAVベクターのウイルス粒子中へのパッケージングのための長さを達成するためのフィラーまたはスタッファーポリヌクレオチド配列としても機能し得る。フィラーまたはスタッファーポリヌクレオチド配列として機能するイントロンおよびイントロンフラグメントは、発現を増強することもできる。
【0140】
作動可能に連結されているという用語は、コード配列の発現に必要な調節配列が、コード配列の発現をもたらすようにコード配列に関して適切な位置に配置されていることを意味する。この同じ定義は、発現ベクター中のコード配列および転写制御要素(例えばプロモーター、エンハンサーおよび終結要素)の配置に時々適用される。この定義は、ハイブリッド核酸分子が生成される第1および第2の核酸分子の核酸配列の配置にも時々適用される。
【0141】
核酸と作動可能に連結された発現制御要素の例において、その関係は、制御要素が核酸の発現を調節するようなものである。より具体的には、例えば作動可能に連結された2つのDNA配列は、2つのDNAがDNA配列の少なくとも一方が他方の配列に対して生理的作用を発揮することができるような関係で(シスまたはトランスで)配置されていることを意味する。
【0142】
単離されたという用語は、組成物の修飾語として使用される場合、組成物が人の手によって作られているか、または完全にもしくは少なくとも部分的にそれらの天然に存在するインビボ環境から分離されていることを意味する。一般に、単離された組成物は、それらが通常天然において会合している1種類以上の物質、例えばタンパク質、核酸、脂質、炭水化物、細胞膜のような1種類以上の混入物質を実質的に含まない。
【0143】
単離されたという用語は、人の手によって生成された組み合わせ、例えば組換えベクター(例えばrAAV)配列またはベクターゲノムをパッケージングもしくはカプシド形成したウイルス粒子および医薬配合物を除外しない。用語“単離された”はまた、組成物の代替の物理的形態、例えばハイブリッド/キメラ、マルチマー/オリゴマー、修飾(例えばリン酸化、糖鎖付加、脂質付加)もしくは誘導体化された形態、または人の手によって生成された宿主細胞中で発現された形態を除外しない。
【0144】
実質的に純粋という用語は、対象の化合物(例えば核酸、オリゴヌクレオチド、タンパク質等)を少なくとも50〜60重量%含む調製物を指す。調製物は、少なくとも75重量%または約90〜99重量%の対象の化合物を含むことができる。純度は、対象の化合物に適した方法(例えばクロマトグラフィー的方法、アガロースまたはポリアクリルアミドゲル電気泳動、HPLC分析等)によって測定される。
【0145】
本明細書での値またはパラメータに関する言及は、それ自体がその値またはパラメータに向けられている態様を含む(および記載する)。例えば、“約X”に言及する記載は、“X”の記載を含む。数値範囲は、範囲を定める数を含む。一般的に言って、用語“約”は、変数の示された値および示された値の実験的誤差内(例えば平均値の95%信頼区間内)または示された値の10パーセント以内(いずれかより大きい方)である変数の全ての値を指す。
【0146】
本発明の側面または態様が代替物のマーカッシュ群または他のグループ分けに関して記載されている場合、本発明は、全体として列挙されている群全体だけでなく、群の各メンバーを個別に、そして主な群の全ての可能な下位群だけでなく群のメンバーの1つ以上を欠いた主な群も包含する。本発明は、特許請求される発明において、群のメンバーのいずれかの1つ以上の明示的な除外も想定している。
【0147】
本発明またはその好ましい態様(単数または複数)の要素を導入する場合、“a”、“an”、“the”および“said”は、要素の1つ以上が存在することを意味することが意図されている。用語“含むこと(comprising)”、“含む(comprise)”、“含む(comprises)”、“含むこと(including)”および“有すること”は、包括的であることが意図されており、列挙された要素以外の追加の要素が存在し得ることを意味する。本明細書において態様が“含むこと(comprising)”という言葉を用いて記載されている場合はどこでも、“からなる”および/または“から本質的になる”の用語で記載されているその他の点では類似の態様も提供されることは、理解されている。
【0148】
別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技法用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者に一般的に理解されている意味と同じ意味を有する。矛盾する場合、定義を含む本明細書が、支配するであろう。文脈によって別途要求されない限り、単数形の用語は、複数形を含むものとし、複数形の用語は、単数形を含むものとする。
【0149】
例示的な方法および材料が、本明細書で記載されているが、本明細書で記載された方法および材料と類似した、または均等な方法および材料も、本発明の実施または試験において使用されることができる。材料、方法、および実施例は、単に例示的なものであり、限定することは意図されていない。
【0150】
組成物および方法
ある側面において、細胞に1種類以上の核酸をトランスフェクションするための方法が、提供される。その方法は、以下の工程を含む:(i)1種類以上の陽イオン性ポリマー、安定剤および1種類以上の核酸を含むトランスフェクションカクテルを調製し、(ii)工程(i)で調製されたトランスフェクションカクテルを、トランスフェクションされるべき細胞と接触させて混合物を形成し、そして(iii)工程(ii)の混合物をインキュベートし、それにより細胞に1種類以上の核酸をトランスフェクションする。
【0151】
ある側面において、細胞に1種類以上の核酸をトランスフェクションするための方法が、提供される。その方法は、以下の工程:(i)トランスフェクションカクテルを、トランスフェクションされるべき細胞と接触させて混合物を形成し、そして(iii)工程(ii)の混合物をインキュベートし、それにより細胞に1種類以上の核酸をトランスフェクションする;を含み、ここで、トランスフェクションカクテルは、1種類以上の陽イオン性ポリマー、安定剤および1種類以上の核酸を含む。
【0152】
ある側面において、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)ベクターを産生する細胞を作製するための方法が、提供される。その方法は、以下の工程を含む:(i)1種類以上の陽イオン性ポリマー、安定剤および1種類以上の核酸を含むトランスフェクションカクテルを調製し、(ii)工程(i)で調製されたトランスフェクションカクテルをトランスフェクションされるべき細胞と接触させて混合物を形成し、そして(iii)工程(ii)の混合物をインキュベートし、それによりrAAVベクターを産生するトランスフェクションされた細胞を作製する。
【0153】
ある側面において、1種類以上の核酸を有する細胞のトランスフェクションを増大させるための方法が、提供される。その方法は、以下の工程を含む:(i)1種以上の陽イオン性ポリマー、安定剤および1種以上の核酸を含むトランスフェクションカクテルを調製し、(ii)工程(i)で調製されたトランスフェクションカクテルを、トランスフェクションされるべき細胞と接触させて混合物を形成し、そして(iii)工程(ii)の混合物をインキュベートし、それにより1種類以上の核酸を用いる細胞のトランスフェクションが、安定剤の非存在下であること以外同じ条件下で実施される細胞のトランスフェクションと比較して増大する。
【0154】
ある側面において、高力価組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)ベクターを生産するための方法が、提供される。その方法は、以下の工程:(i)1種類以上の陽イオン性ポリマー、安定剤および1種類以上の核酸を含むトランスフェクションカクテルを調製し、(ii)工程(i)で調製されたトランスフェクションカクテルをトランスフェクションされるべき細胞と接触させて混合物を形成し、(iii)工程(ii)の混合物をインキュベートしてrAAVベクターを産生するトランスフェクトされた細胞を作製し、そして(iv)工程(iii)で生産されたトランスフェクションされた細胞からrAAVベクターを単離および/または精製する;を含み、
ここにおいて、工程(i)の開始〜工程(ii)の完了の時間は、10秒よりも長く、かつここで、rAAV力価は、安定剤の非存在下であること以外同じ条件下でもたらされるrAAV力価と比較して、少なくとも2倍、かつ/または少なくとも5%増大する。
【0155】
工程(i)の開始(すなわちトランスフェクションカクテルの調製)〜工程(ii)の完了(すなわち工程(i)で調製されたトランスフェクションカクテルをトランスフェクションされるべき細胞と接触させて混合物を形成すること)の時間は、約10秒〜約10日のどの時間であることもできる。ある態様において、工程(i)の開始〜工程(ii)の完了の時間は、約15秒〜約5日、約30秒〜約2日、約60秒〜約1日、約90秒〜約10時間、約90秒〜約8時間、約2分〜約4時間、約4分〜約2時間、約6分〜約1時間または約10分〜約30分である。ある態様において、工程(i)の開始〜工程(ii)の完了の時間は、約1分より長く、約2分より長く、約6分より長く、約8分より長く、約10分より長く、約15分より長く、約30分より長く、約1時間より長く、約2時間より長く、約6時間より長く、約8時間より長く、約10時間より長く、約12時間より長く、約24時間より長く、または2日より長い。
【0156】
ある態様において、工程(i)の開始〜工程(ii)の完了の時間は、2分である。ある態様において、工程(i)の開始〜工程(ii)の完了の時間は、10分である。ある態様において、工程(i)の開始〜工程(ii)の完了の時間は、30分である。ある態様において、工程(i)の開始〜工程(ii)の完了の時間は、2分より長く、10分より長く、または30分より長い。
【0157】
ある態様において、工程(i)の開始〜工程(ii)の完了の時間は、トランスフェクションカクテルのインキュベーション時間を含まない。ある態様において、工程(i)の開始〜工程(ii)の完了の時間は、トランスフェクションカクテルのインキュベーション時間を含む。本明細書で使用される際、用語“トランスフェクションカクテルのインキュベーション時間”は、工程(i)の調製されたトランスフェクションカクテルが、トランスフェクションされるべき細胞と接触させられる前にインキュベートされる時間を指す。ある態様において、工程(i)におけるトランスフェクションカクテルは、工程(ii)の前に約10秒〜約10日、約15秒〜約5日、約30秒〜約2日、約60秒〜約1日、約90秒〜約10時間、約90秒〜約8時間、約2分〜約4時間、約4分〜約2時間、約6分〜約1時間または約10分〜約30分インキュベートされる。ある態様において、工程(i)のトランスフェクションカクテルは、工程(ii)の前に約1分より長い時間、約2分より長い時間、約6分より長い時間、約8分より長い時間、約10分より長い時間、約15分より長い時間、約30分より長い時間、約1時間より長い時間、約2時間より長い時間、約6時間より長い時間、約8時間より長い時間、約10時間より長い時間、約12時間より長い時間、約24時間より長い時間または2日より長い時間インキュベートされる。
【0158】
ある態様において、トランスフェクションカクテルは、工程(ii)の前に約4℃〜およそ室温でインキュベートされる。ある態様において、トランスフェクションカクテルは、工程(ii)の前におよそ室温でインキュベートされる。
【0159】
トランスフェクションカクテルは、1種類以上の陽イオン性ポリマー、安定剤および1種類以上の核酸を含む。ある態様において、トランスフェクションカクテルは、まず1種類以上の陽イオン性ポリマーを安定剤と混合して結果として生じる混合物を形成し、次いでそれが1種類以上の核酸に添加される、ことによって調製される。ある態様において、トランスフェクションカクテルは、まず安定剤を1種類以上の核酸と混合して結果として生じる混合物を形成し、次いでそれが1種類以上の陽イオン性ポリマーに添加される、ことによって調製される。ある態様において、トランスフェクションカクテルは、まず1種類以上の陽イオン性ポリマーを1種類以上の核酸と混合して結果として生じる混合物を形成し、次いでそれが安定剤に添加される、ことによって調製される。高い(例えば約18×10
6細胞/mLより大きい)細胞密度においてトランスフェクションされる細胞に関して、トランスフェクションカクテルは、まず安定剤を1種類以上の核酸と混合して結果として生じる混合物を形成し、次いでそれが1種類以上の陽イオン性ポリマーに添加される、ことによって調製されることができる。低い(例えば約18×10
6細胞/mL未満)細胞密度においてトランスフェクションされる細胞に関して、トランスフェクションカクテルは、その構成要素(すなわち核酸、陽イオン性ポリマーおよび安定剤)をあらゆる順序で混合することによって調製されることができる。
【0160】
ある態様において、結果として生じる混合物は、1種類以上の核酸、1種類以上の陽イオン性ポリマーまたは安定剤に混合を伴わずに添加される。ある態様において、結果として生じる混合物は、1種類以上の核酸、1種類以上の陽イオン性ポリマーまたは安定剤に添加され、約10の毎分回転数(rpm)、約20rpm、約25rpm、約30rpm、約35rpm、約40rpm、約45rpm、約50rpm、約55rpm、約60rpm、約65rpm、約70rpm、約75rpm、約80rpm、約85rpm、約90rpm、約95rpm、約100rpm、約110rpm、約120rpm、約130rpm、約140rpm、約150rpm、約200rpm、約300rpm、約400rpmまたは約500rpmで混合される。ある態様において、結果として生じる混合物は、1種類以上の核酸、1種類以上の陽イオン性ポリマーまたは安定剤に添加され、約120rpmで混合される。
【0161】
トランスフェクションカクテルは、約4℃〜およそ室温で調製されることができる。ある態様において、トランスフェクションカクテルは、およそ室温で調製される。用語‘室温’は、本明細書で使用される際、20℃〜25℃の範囲の温度を指す。
【0162】
本明細書で使用される際、用語“陽イオン性ポリマー”は、核酸(例えばDNA)を凝縮する能力を有する正に荷電したポリマーを指すことが意図される。陽イオン性ポリマーは、高分子電解質および陽イオン性ポリペプチドを含む。陽イオン性ポリマーの限定的でない例は、キトサン、ポリ−L−リジン(pLL)、ポリアミン(PA)、ポリアルキレンイミン(PAI)、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリ[a−(−アミノブチル)−L−グリコール酸]、ポリアミドアミン、ポリ(2−ジメチルアミノ)エチル メタクリレート、ポリヒスチジン、ポリアルギニン、ポリ(4−ビニルピリジン)、ポリ(ビニルアミン)およびポリ(4−ビニル−N−アルキルピリジニウムハライド)を含む。
【0163】
陽イオン性ポリマーは、分枝状または線状であることができる。ある態様において、陽イオン性ポリマーは、遊離塩基形態で約500Da〜約160,000Daおよび/または約2,500Da〜約250,000Daの範囲の分子量を有する。
【0164】
ある態様において、陽イオン性ポリマーは、ポリエチレンイミン(PEI)またはポリ−L−リジン(pLL)である。ある態様において、陽イオン性ポリマーは、ポリエチレンイミン(PEI)である。PEIは、線状PEIまたは分枝状PEIであることができる。PEIは、塩の形態または遊離塩基であることができる。ある態様において、PEIは、線状PEI、例えば場合により加水分解された線状PEIである。加水分解されたPEIは、完全にまたは部分的に加水分解されていることができる。加水分解された線状PEIは、加水分解されていない線状PEIと比較してより大きい割合の遊離(プロトン化可能な)窒素を有し、典型的には加水分解されていない線状PEIと比較して少なくとも1〜5%多い遊離(プロトン化可能な)窒素を有し、より典型的には加水分解されていない線状PEIと比較して5〜10%多い遊離(プロトン化可能な)窒素を有し、または最も典型的には加水分解されていない線状PEIと比較して10〜15%多い遊離(プロトン化可能な)窒素を有する。
【0165】
ある態様において、PEIは、約4,000〜約160,000の範囲および/または約2,500〜約250,000の範囲の分子量を遊離塩基形態で有することができる。ある態様において、PEIは、遊離塩基形態で約40,000の分子量および/または約25,000の分子量を有することができる。ある態様において、PEIは、遊離塩基形態で約40,000の分子量および/または約22,000の分子量を有することができる。ある態様において、陽イオン性ポリマーは、遊離塩基形態で約40,000の分子量および/または約22,000の分子量を有する加水分解された線状PEIを含む。さらに、化学的に修飾された線状PEIまたは分枝状PEIも、使用されることができる。ある態様において、PEIは、完全に脱プロピオニル化された構造を有する。PEIは、商業的に入手可能である(例えばPolysciences, Inc.,米国ペンシルベニア州ワーリントン)。ある態様において、PEIは、PEImaxである。
【0166】
本明細書で使用される際、用語“安定剤”は、中性部分をグラフトされた(すなわちコンジュゲートされた)陽イオン性ポリマーを含む。ある態様において、中性部分は、ポリ(エチレングリコール)(PEG)またはアルブミンを含む。ある態様において、中性部分は、PEGを含む。中性部分にグラフトされた陽イオン性ポリマーは、本明細書で記載された陽イオン性ポリマーのいずれから選択されることもできる。
【0167】
ある態様において、安定剤は、ポリ(エチレングリコール)(PEG)部分をグラフトされた陽イオン性ポリマーを含む。ある態様において、PEGは、約250Da〜約35,000Daの分子量を有する。ある態様において、陽イオン性ポリマーは、PEIまたはpLLである。ある態様において、PEGをグラフトされた陽イオン性ポリマーは、PEIではない。ある態様において、PEGをグラフトされた陽イオン性ポリマーは、pLLではない。
【0168】
ある態様において、安定剤は、約2,000〜約60,000の分子量を有する分枝状PEIに約250Da〜約35,000Daの分子量を有するPEGがグラフトされたものを含む。ある態様において、安定剤は、約20,000Da〜約25,000Daの分子量を有する分枝状PEIに約250Da〜約5,000Daの分子量を有するPEGがグラフトされたものを含む。ある態様において、安定剤は、約25,000Daの分子量を有する分枝状PEIに約5,000Daの分子量を有するPEGがグラフトされたものを含む。ある態様において、安定剤は、約25,000Daの分子量を有する分枝状PEIに約500Daの分子量を有するPEGがグラフトされたものを含む。
【0169】
ある態様において、安定剤は、約2,000Da〜約60,000Daの分子量を有する線状PEIに約250Da〜約35,000Daの分子量を有するPEGがグラフトされたものを含む。ある態様において、安定剤は、約20,000Daの分子量を有する線状PEIに約5,000Daの分子量を有するPEGがグラフトされたものを含む。ある態様において、安定剤は、約20,000Daの分子量を有する線状PEIに約500Daの分子量を有するPEGがグラフトされたものを含む。ある態様において、安定剤は、約5000Daの分子量を有するPEGにコンジュゲートされた約26000Daの分子量を有するpLLを含む。
【0170】
ある態様において、陽イオン性ポリマーの1分子あたりにグラフトされたPEG部分の数は、1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100またはより多い。ある態様において、陽イオン性ポリマーの1分子あたりにグラフトされたPEG部分の数は、1、5、15または55である。
【0171】
本明細書で記載された方法のいずれかの工程(ii)においてトランスフェクションカクテルと接触させられる際、細胞は、少なくとも1×10
5細胞/mL、少なくとも2×10
5細胞/mL、少なくとも4×10
5細胞/mL、少なくとも6×10
5細胞/mL、少なくとも8×10
5細胞/mL、少なくとも0.5×10
6細胞/mL、少なくとも1×10
6細胞/mL、少なくとも2×10
6細胞/mL、少なくとも4×10
6細胞/mL、少なくとも6×10
6細胞/mL、少なくとも8×10
6細胞/mL、少なくとも10×10
6細胞/mL、少なくとも12×10
6細胞/ml、少なくとも14×10
6細胞/ml、少なくとも16×10
6細胞/ml、少なくとも18×10
6細胞/ml、少なくとも20×10
6細胞/ml、少なくとも22×10
6細胞/ml、少なくとも24×10
6細胞/ml、少なくとも26×10
6細胞/ml、少なくとも28×10
6細胞/ml、少なくとも30×10
6細胞/ml、少なくとも32×10
6細胞/ml、少なくとも34×10
6細胞/ml、少なくとも36×10
6細胞/ml、少なくとも38×10
6細胞/ml、少なくとも40×10
6細胞/mL、少なくとも42×10
6細胞/mL、少なくとも44×10
6細胞/mL、少なくとも46×10
6細胞/mL、少なくとも48×10
6細胞/mL、少なくとも50×10
6細胞/mLまたは少なくとも52×10
6細胞/mLの細胞密度であることができる。
【0172】
ある態様において、細胞は、工程(ii)においてトランスフェクションカクテルと接触させられる際、少なくとも12×10
6細胞/mL、少なくとも14×10
6細胞/mL、少なくとも16×10
6細胞/mL、少なくとも18×10
6細胞/mL、少なくとも20×10
6細胞/mL、少なくとも22×10
6細胞/mL、少なくとも24×10
6細胞/mL、少なくとも26×10
6細胞/mL、少なくとも28×10
6細胞/mL、または少なくとも30×10
6細胞/mL、少なくとも32×10
6細胞/mL、少なくとも34×10
6細胞/mL、少なくとも36×10
6細胞/mL、少なくとも38×10
6細胞/mL、少なくとも40×10
6細胞/mL、少なくとも42×10
6細胞/mL、少なくとも44×10
6細胞/mL、少なくとも46×10
6細胞/mLまたは少なくとも48×10
6細胞/mLの密度である。
【0173】
ある態様において、細胞は、工程(ii)においてトランスフェクションカクテルと接触させられる際、少なくとも24×10
6細胞/mL、少なくとも26×10
6細胞/mL、少なくとも28×10
6細胞/mL、少なくとも30×10
6細胞/mL、少なくとも32×10
6細胞/mL、少なくとも34×10
6細胞/mL、少なくとも36×10
6細胞/mL、少なくとも38×10
6細胞/mL、少なくとも40×10
6細胞/mL、少なくとも42×10
6細胞/mL、少なくとも44×10
6細胞/mL、少なくとも46×10
6細胞/mL、または少なくとも48×10
6細胞/mLの密度である。
【0174】
ある態様において、1種類以上の陽イオン性ポリマーは、細胞100万個あたり約0.05μg、細胞100万個あたり約0.1μg、細胞100万個あたり約0.2μg、細胞100万個あたり約0.4μg、細胞100万個あたり約0.6μg、細胞100万個あたり約0.8μg、細胞100万個あたり約1.0μg、細胞100万個あたり約1.5μg、細胞100万個あたり約2μg、細胞100万個あたり約2.1μg、細胞100万個あたり約2.2μg、細胞100万個あたり約2.3μg、細胞100万個あたり約2.4μg、細胞100万個あたり約2.5μg、細胞100万個あたり約2.6μg、細胞100万個あたり約2.7μg、細胞100万個あたり約2.8μg、細胞100万個あたり約2.9μg、細胞100万個あたり約3.0μg、細胞100万個あたり約3.5μg、細胞100万個あたり約4.0μg、細胞100万個あたり約4.5μg、細胞100万個あたり約5μg、細胞100万個あたり約5.5μg、細胞100万個あたり約6.0μg、細胞100万個あたり約6.5μg、細胞100万個あたり約7.0μg、細胞100万個あたり約7.5μg、細胞100万個あたり約8.0μg、細胞100万個あたり約10μgの量で使用される。
【0175】
ある態様において、1種類以上の陽イオン性ポリマーは、細胞100万個あたり約2.2μgの量で使用される。
ある態様において、1種類以上の陽イオン性ポリマーは、約0.01μg、約0.02μg、約0.04μg、約0.06μg、約0.08μg、約1.0μg、約1.2μg、約1.4μg、約1.6μg、約1.8μg、約2.0μg、約2.2μg、約2.4μg、約2.6μg、約2.8μg、約3.0μg、約3.2μg、約3.4μg、約3.6μg、約3.8μg、約4.0μg、約4.2μg、約4.6μg、約4.8μg、約5.0μg、約5.5μg、約6.0μg、約6.5μg、約7μg、約7.5μg、約8.0μg、約8.5μg、約9.0μg、約9.5μg、約10μg、約12μg、約14μg、約16μg、約18μg、約20μg、約40μg、約60μg、約80μg、約100μg、約0.1mg、約1mg、約2mg、約4mg、約6mg、約8mgまたは約10mgの量で使用される。ある態様において、約20μg、約22μg、約24μg、約26μg、約26.4μg、約28μg、約30μg、約32μg、約34μg、約36μg、約38μg、約40μg、約42μg、約44μg、約46μg、約48μg、約50μg、約52μg、約52.8μg、約54μg、約56μg、約58μgまたは約60μgである。
【0176】
ある態様において、トランスフェクションカクテル中の安定剤の量は、1種類以上の陽イオン性ポリマーの量と比較して、約1%、約2%、約2.5%、約5%、約7.5%、約10%、約12.5%、約15%、約17.5%、約20%、約25%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約75%、約80%、約90%、約100%、約200%、約300%、約400%または約500%である。
【0177】
ある態様において、トランスフェクションカクテル中の安定剤の量は、1種類以上の陽イオン性ポリマーの量と比較して、約0.01倍、約0.05倍、約0.1倍、約0.2倍、約0.4倍、約0.6倍、約0.8倍、約1倍、約5倍、約10倍、約100倍、約200倍、約300倍、約400倍、約500倍または約600倍である。
【0178】
ある態様において、トランスフェクションカクテル中の安定剤の量は、1種類以上の陽イオン性ポリマーの量と比較して、約5%、約5.5%、約6%、約6.5%、約7%、約7.5%、約8%、約8.5%、約9%、約9.5%、約10%、約12.5%、約15%、約17.5%、約20%、約25%、約30%または約40%である。
【0179】
他の態様において、トランスフェクションカクテル中の安定剤の量は、1種類以上の陽イオン性ポリマーの量と比較して、約5%〜7.5%、5%〜10%、5%〜12.5%、または5%〜15%である。他の態様において、トランスフェクションカクテル中の安定剤の量は、1種類以上の陽イオン性ポリマーの量と比較して、約7.5%〜10%、7.5%〜12.5%または7.5%〜15%である。他の態様において、トランスフェクションカクテル中の安定剤の量は、1種類以上の陽イオン性ポリマーの量と比較して、約10%〜約12.5%または約10%〜約15%である。前記の態様のそれぞれにおいて、陽イオン性ポリマーは、PEIであることができ、安定剤は、PEGとコンジュゲートされた分枝状または線状PEIであることができる。前記の態様のそれぞれにおいて、陽イオン性ポリマーは、PEIであり、安定剤は、PEGとコンジュゲートされた分枝状PEIである。前記の態様のそれぞれにおいて、陽イオン性ポリマーは、PEIであり、安定剤は、PEGとコンジュゲートされた分枝状PEIであり、ここで、PEIあたりのPEG部分の平均数は、約55、50、45、40、35、30、25、20または15未満である。前記の態様のそれぞれにおいて、陽イオン性ポリマーは、PEIであり、安定剤は、PEGとコンジュゲートされた分枝状PEIであり、ここでPEIあたりのPEG部分の平均数は、約15である。前記の態様のそれぞれに関して、本開示は、さらにトランスフェクションカクテルの組み合わせおよびそれを用いてトランスフェクションされるべき細胞を提供する。
【0180】
他の態様において、トランスフェクションカクテル中の安定剤の量は、1種類以上の陽イオン性ポリマーの量と比較して、約10%〜25%、10%〜20%または10%〜15%である。他の態様において、トランスフェクションカクテル中の安定剤の量は、1種類以上の陽イオン性ポリマーの量と比較して、約15%〜25%または15%〜20%である。前記の態様のそれぞれにおいて、陽イオン性ポリマーは、PEIであることができ、安定剤は、PEGとコンジュゲートされた分枝状または線状PEIであることができる。前記の態様のそれぞれにおいて、陽イオン性ポリマーは、PEIであり、安定剤は、PEGとコンジュゲートされた分枝状PEIである。前記の態様のそれぞれにおいて、陽イオン性ポリマーは、PEIであり、安定剤は、PEGとコンジュゲートされた分枝状PEIであり、ここで、PEIあたりのPEG部分の平均数は、約55、50、45、40、35、30、25、20または15よりも少ない。前記の態様のそれぞれにおいて、陽イオン性ポリマーは、PEIであり、安定剤は、PEGとコンジュゲートされた分枝状PEIであり、ここでPEIあたりのPEG部分の平均数は、約15である。前記の態様のそれぞれに関して、本開示は、さらにトランスフェクションカクテルの組み合わせおよびそれを用いてトランスフェクションされるべき細胞を提供する。
【0181】
ある態様において、トランスフェクションカクテル中の安定剤の量は、約0.01μg、約0.02μg、約0.04μg、約0.06μg、約0.08μg、約1.0μg、約1.2μg、約1.4μg、約1.6μg、約1.8μg、約2.0μg、約2.2μg、約2.4μg、約2.6μg、約2.8μg、約3.0μg、約3.2μg、約3.4μg、約3.6μg、約3.8μg、約4.0μg、約4.2μg、約4.6μg、約4.8μg、約5.0μg、約5.5μg、約6.0μg、約6.5μg、約7μg、約7.5μg、約8.0μg、約8.5μg、約9.0μg、約9.5μg、約10μg、約12μg、約14μg、約16μg、約18μg、約20μg、約40μg、約60μg、約80μg、約100μg、約0.1mg、約1mg、約2mg、約4mg、約6mg、約8mgまたは約10mgである
使用される安定剤の量は、トランスフェクション時の(すなわち、本明細書で記載される方法のいずれかの工程(ii)におけるトランスフェクションカクテルと接触させられる際の)細胞密度に依存し得る。ある態様において、細胞が低い細胞密度(例えば約18×10
6細胞/mL未満であるが、それに限定されない)でトランスフェクションされる場合、トランスフェクションカクテル中の安定剤の量は、方法で使用される1種類以上の陽イオン性ポリマーの量と比較して約7.5%〜約15%である。ある態様において、細胞が低い細胞密度でトランスフェクションされる場合、トランスフェクションカクテル中の安定剤の量は、方法で使用される1種類以上の陽イオン性ポリマーの量と比較して、約7.5%、約10%、約12.5%または約15%である。ある態様において、細胞が低い細胞密度でトランスフェクションされる場合、トランスフェクションカクテル中の安定剤の量は、方法で使用される1種類以上の陽イオン性ポリマーの量と比較して約7.5%〜約10%である。ある態様において、細胞が低い細胞密度でトランスフェクションされる場合、トランスフェクションカクテル中の安定剤の量は、方法で使用される1種類以上の陽イオン性ポリマーの量と比較して10%である。
【0182】
ある態様において、細胞は、工程(ii)においてトランスフェクションカクテルと接触させられる際、約12×10
6細胞/mLの密度であり、トランスフェクションカクテル中の安定剤の量は、1種類以上の陽イオン性ポリマーの量と比較して約10%である。ある態様において、安定剤は、約25,000Daの分子量を有する分枝状PEIに約5,000Daの分子量を有するPEGがグラフトされたものを含む。
【0183】
ある態様において、細胞が高い細胞密度(例えば約18×10
6細胞/mLより高い細胞密度であるが、それに限定されない)でトランスフェクションされる場合、トランスフェクションカクテル中の安定剤の量は、方法で使用される1種類以上の陽イオン性ポリマーの量と比較して約15%〜約30%である。ある態様において、細胞が高い細胞密度でトランスフェクションされる場合、トランスフェクションカクテル中の安定剤の量は、方法で使用される1種類以上の陽イオン性ポリマーの量と比較して、約15%、約20%、約25%または約30%である。ある態様において、細胞が高い細胞密度でトランスフェクションされる場合、トランスフェクションカクテル中の安定剤の量は、方法で使用される1種類以上の陽イオン性ポリマーの量と比較して約25%である。
【0184】
ある態様において、細胞は、工程(ii)においてトランスフェクションカクテルと接触させられる際に、少なくとも24×10
6細胞/mLの密度であり、トランスフェクションカクテル中の安定剤の量は、1種類以上の陽イオン性ポリマーの量と比較して約25%である。ある態様において、安定剤は、約25,000Daの分子量を有する分枝状PEIに約5,000Daの分子量を有するPEGがグラフトされたものを含む。
【0185】
他の態様において、高密度の細胞(従って、少なくとも約18×10
6細胞/mL、19×10
6細胞/mL、20×10
6細胞/mL、21×10
6細胞/mL、約22×10
6細胞/mL、23×10
6細胞/mL、24×10
6細胞/mL、25×10
6細胞/mL、26×10
6細胞/mL、27×10
6細胞/mL、28×10
6細胞/mL、29×10
6細胞/mL、30×10
6細胞/mLまたはより高い密度)が、核酸(単数または複数)、陽イオン性ポリマーおよび安定剤を含むトランスフェクションカクテルを用いてトランスフェクションされることができ、ここで、トランスフェクションカクテル中の安定剤の量は、陽イオン性ポリマーの量と比較して、約10%〜25%、10%〜20%、10%〜15%、15%〜25%または15%〜20%である。前記の態様のそれぞれにおいて、陽イオン性ポリマーは、PEIであることができ、安定剤は、PEGとコンジュゲートされた分枝状または線状PEIであることができる。前記の態様のそれぞれにおいて、陽イオン性ポリマーは、PEIであり、安定剤は、PEGとコンジュゲートされた分枝状PEIである。前記の態様のそれぞれにおいて、陽イオン性ポリマーは、PEIであり、安定剤は、PEGとコンジュゲートされた分枝状PEIであり、ここで、PEIあたりのPEG部分の平均数は、約55、50、45、40、35、30、25、20または15未満である。前記の態様のそれぞれにおいて、陽イオン性ポリマーは、PEIであり、安定剤は、PEGとコンジュゲートされた分枝状PEIであり、ここでPEIあたりのPEG部分の平均数は、約15である。前記の態様のそれぞれにおいて、トランスフェクションカクテルは、細胞と接触する前に、少なくとも7分、少なくとも8分、少なくとも9分、少なくとも10分またはより長い時間インキュベートされる。前記の態様のそれぞれにおいて、トランスフェクションカクテルは、核酸(例えばプラスミド)および細胞増殖培地を含む混合物Aが調製され、別々に陽イオン性ポリマー(例えばPEI)および細胞増殖培地を含む混合物Bが調製され、その後安定剤が混合物Aに添加されてそれと混合され、その後にのみ混合物Bが添加され、混合物Aおよび安定剤の先の組み合わせと混合されるように、下位混合物の組み合わせとして調製されることができる。次いで、混合物A、安定剤および混合物Bの組み合わせが、トランスフェクションのために細胞に接触させられる。
【0186】
特定の他の態様によれば、本開示は、細胞を少なくとも約18×10
6細胞/mL,、または約20×10
6細胞/mL〜28×10
6細胞/mL、または約22×10
6細胞/mL〜26×10
6細胞/mL、または約24×10
6細胞/mLの密度でプラスミドDNA、PEIおよび安定剤を含むトランスフェクションカクテルと接触させることを含む、細胞トランスフェクションの方法を提供し、ここで、トランスフェクションカクテル中の安定剤の量は、PEIの量と比較して、少なくとも10%、または約20%〜30%、または約22.5%〜27.5%、または約25%であり、かつここで、安定剤は、PEGとコンジュゲートされた分枝状PEIであり、ここで、PEIあたりのPEG部分の平均数は、約30、25、20もしくは15未満であり、またはここで、PEIあたりのPEG部分の平均数は、約15である。前記の態様のそれぞれにおいて、トランスフェクションカクテルは、細胞と接触させられる前に少なくとも7分インキュベートされる。さらに、前記の態様のそれぞれにおいて、トランスフェクションカクテルは、プラスミドおよび細胞増殖培地を含む混合物Aが調製され、別々にPEIおよび細胞増殖培地を含む混合物Bが調製され、その後安定剤が混合物Aに添加されてそれと混合され、その後にのみ混合物Bが添加され、混合物Aおよび安定剤の先の組み合わせと混合されるように、下位混合物の組み合わせとして調製されることができる。次いで、混合物A、安定剤および混合物Bの組み合わせが、トランスフェクションのために細胞に(1回のボーラスでまたはトランスフェクションカクテルの量が使い切られるまで連続的にのどちらかで)接触させられる。前記の態様のそれぞれにおいて、トランスフェクションカクテルは、特定の追加の態様において、rep、cap、アデノウイルスまたは他のウイルスのヘルパー機能および逆位末端反復を含むベクターゲノムを含むがそれらに限定されない組換えAAVベクターの産生に必要な遺伝子配列を含む1種類以上のプラスミドを含む。前記の方法に関連して、本開示は、さらにトランスフェクションカクテルおよびそれを用いてトランスフェクションされるべき細胞の組み合わせを提供する。他の態様において、トランスフェクションカクテルは、抗体またはその抗原結合フラグメントを含むがそれらに限定されない組換え療法用タンパク質の発現のための発現コンストラクトとして設計されたプラスミドまたは他の核酸を含む。
【0187】
ある態様において、トランスフェクションカクテル中の安定剤の量は、単独で(すなわち1種類以上の陽イオン性ポリマーを用いずに)使用された場合、細胞をトランスフェクションするには不十分である。例えば、安定剤単独で得られるトランスフェクション効率は、陽イオン性ポリマー(例えばPEI)単独で得られるトランスフェクション効率と比較して(例えば少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、少なくとも4倍、少なくとも6倍、少なくとも8倍または少なくとも10倍)低い。
【0188】
1種類以上の核酸は、本明細書で記載された方法のいずれかにおいて、細胞100万個あたり約0.05μg、細胞100万個あたり約0.1μg、細胞100万個あたり約0.2μg、細胞100万個あたり約0.4μg、細胞100万個あたり約0.5μg、細胞100万個あたり約0.6μg、細胞100万個あたり約0.8μg、細胞100万個あたり約1.0μg、細胞100万個あたり約1.5μg、細胞100万個あたり約2.0μg、細胞100万個あたり約2.5μg、細胞100万個あたり約3.0μg、細胞100万個あたり約3.5μg、細胞100万個あたり約4.0μg、細胞100万個あたり約4.5μg、細胞100万個あたり約5μg、細胞100万個あたり約5.5μg、細胞100万個あたり約6.0μg、細胞100万個あたり約6.5μg、細胞100万個あたり約7.0μg、細胞100万個あたり約7.5μg、細胞100万個あたり約8.0μg、細胞100万個あたり約8.5μg、細胞100万個あたり約9.0μg、細胞100万個あたり約9.5μg、細胞100万個あたり約10μgの量で使用されることができる。ある態様において、1種類以上の核酸は、細胞100万個あたり約1.0μgの量で使用される。ある態様において、1種類以上の核酸は、約12μgまたは約24μgの量で使用される。
【0189】
1種類以上の陽イオン性ポリマーおよび1種類以上の核酸は、限定されない比率で混合される。例えば、1種類以上の核酸および1種類以上の陽イオン性ポリマーは、約1:0.01〜約1:100の範囲の重量(またはモル)比で使用され、または約0.01:1〜約100:1の重量(またはモル)比で使用される。ある態様において、1種類以上の陽イオン性ポリマーおよび1種類以上の核酸は、約1:1〜50:1の範囲の重量(またはモル)比で存在する。ある態様において、1種類以上の核酸および1種類以上の陽イオン性ポリマーは、約1:1〜1:5の範囲の重量(またはモル)比で存在する。ある態様において、1種類以上の核酸および1種類以上の陽イオン性ポリマーは、約1:2.2の重量(またはモル)比で存在する。
【0190】
本発明の方法において、トランスフェクションカクテルは、トランスフェクションされるべき細胞と接触させられて混合物を形成し、その混合物がインキュベートされて細胞トランスフェクションを達成する。細胞がトランスフェクションカクテルと接触させられた後のインキュベーション時間は、数秒〜数日の範囲であり得る。ある態様において、混合物は、トランスフェクションされた細胞を作製するために、約2分〜約150時間インキュベートされる。ある態様において、混合物は、トランスフェクションされた細胞を作製するために、約15分〜約150時間インキュベートされる。
【0191】
ある態様において、本発明の方法の工程(iii)における混合物は、トランスフェクションされた細胞を作製するために、約15分、30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、20時間、40時間、60時間、80時間、100時間、120時間、140時間または150時間インキュベートされる。ある態様において、工程(iii)における混合物は、トランスフェクションされた細胞を作製するために、1時間、2時間、3時間、4時間または5時間インキュベートされる。
【0192】
細胞のトランスフェクションカクテルとのインキュベーション時間が長いほど、細胞が陽イオン性ポリマー(例えばPEI)の細胞毒性の影響を受け得る可能性がより高くなり、結果として増大した量の死(生存不能)細胞をもたらし、それによりトランスフェクション効率を低減する。
【0193】
PEIの細胞毒性を低減するため、細胞をトランスフェクションカクテルと接触させた後、培養培地は、新鮮な培養培地で置き換えられることができる。トランスフェクション後の培養培地の置き換えは、細胞のトランスフェクション効率を著しく損なうことなくPEIの細胞毒性を最小限にすることができる。
【0194】
細胞の生存可能性を維持する、または細胞の成長および/もしくは増殖を提供するのに適した数多くの成長培地が、商業的に入手可能であるか、または容易に生産されることができる。そのような培地の例は、無血清の真核生物増殖培地、例えば哺乳類(例えばヒト)細胞の生存可能性を維持する、または増殖を提供するための培地を含む。限定的でない例は、Ham’s F12またはF12K培地(Sigma−Aldrich)、FreeStyle(商標)(FS)F17培地(Thermo−Fisher Scientific)、MEM、DMEM、RPMI−1640(Thermo−Fisher Scientific)およびそれらの混合物を含む。そのような培地は、ビタミンおよび/または微量鉱質および/または塩類および/またはアミノ酸、例えば哺乳類(例えばヒト)細胞のための必須アミノ酸等を補われることができる。
【0195】
本発明の方法および組成物によってトランスフェクションされるべき細胞(すなわち“宿主細胞”)は、微生物、酵母細胞、昆虫細胞および哺乳類細胞(例えばヒト細胞)を含むが、それらに限定されない。そのような細胞は、インビトロで増殖する、もしくは生存可能性を維持することができる、またはインビトロでの組織培養に適応している初代細胞またはは細胞株であることができる。細胞株の例は、HEK(ヒト胎児腎臓)細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞または昆虫由来のSf9細胞を含む。ある態様において、細胞は、ヒト胎児腎臓(HEK)293細胞を含む。ある態様において、細胞は、HEK293E、HEK293FまたはHEK293T細胞を含む。
【0196】
細胞(例えばHEK293細胞)は、懸濁培養状態であることができ、または接着していることができる。細胞は、懸濁状態での無血清増殖に適応していることができる。ある態様において、細胞は、無血清培養培地中で増殖させられる、または維持される。ある態様において、細胞は、安定的に、または一過性にトランスフェクションされる。
【0197】
細胞は、ローラーボトルまたは拡張されたローラーボトル中で増殖させられる、または維持されることができる。ある態様において、細胞は、バイオリアクター中で増殖させられる。ある態様において、細胞は、バッグまたはフラスコ中で増殖させられる。ある態様において、細胞は、WAVEバイオリアクター中で増殖させられる。ある態様において、細胞は、撹拌槽バイオリアクター中で増殖させられる。
【0198】
本発明の方法で使用される1種類以上の核酸分子は、1種類以上のプラスミドを含むことができる。ある態様において、1種類以上の核酸または1種類以上のプラスミドは、療法的部分をコードしている。ある態様において、療法的部分は、タンパク質または転写産物を含む。療法的タンパク質の限定的でない例は、本明細書で記載されており、抗体、サイトカイン、受容体、成長因子、凝固因子、トランスポーター等を含む。転写産物の限定的でない例は、本明細書で記載されており、阻害性RNA(RNAi、例えば小分子もしくは短鎖ヘアピン(sh)RNA、マイクロRNA(miRNA)、小分子もしくは短鎖干渉(si)RNA、トランススプライシングRNAまたはアンチセンスRNA)を含む。
【0199】
ある態様において、1種類以上の核酸分子は、(a)AAVパッケージングタンパク質をコードする核酸および/もしくはヘルパータンパク質をコードする核酸を含む1種類以上のプラスミドならびに/または(b)対象の導入遺伝子をコードする核酸を含むプラスミドを含む。ある態様において、(a)の1種類以上のプラスミドは、AAVパッケージングタンパク質をコードする核酸を含む第1プラスミドおよびヘルパータンパク質をコードする核酸を含む第2プラスミドを含む。
【0200】
導入遺伝子を含むプラスミド対AAVパッケージングタンパク質をコードする核酸を含む第1プラスミド対ヘルパータンパク質をコードする核酸を含む第2プラスミドのモル比は、約1〜10:1:1または1:1〜10:1または1:1:1〜10の範囲であることができる。
【0201】
ある態様において、コードされたAAVパッケージングタンパク質は、AAV repおよび/またはAAV capタンパク質を含む。
ある態様において、コードされたヘルパータンパク質は、アデノウイルスE2および/もしくはE4、VARNAタンパク質ならびに/または非AAVヘルパータンパク質を含む。
【0202】
導入遺伝子は、あらゆる核酸、例えば転写産物へと転写される遺伝子または対象のポリペプチドもしくはタンパク質をコードする遺伝子を含む。例えば、それらに限定されないが、導入遺伝子は、野生型または機能性バリアント血液凝固因子、ミニジストロフィン、C1エステラーゼ阻害因子、銅輸送P型ATPアーゼ(ATP7B)または銅−亜鉛スーパーオキシドジスムターゼ1(SOD1)をコードしている。ある態様において、野生型または機能性バリアント血液凝固因子は、第VII因子、第VIII因子または第IX因子である。
【0203】
本明細書で記載される方法は、さらに1種類以上の核酸をトランスフェクションされている細胞を培養、拡張、単離または選択する工程を含むことができる。そうして生産されたトランスフェクションされた細胞および/またはそうして生産されたトランスフェクションされた細胞からの培養培地は、回収されることができる。
【0204】
本明細書で記載される方法は、そうして生産されたトランスフェクションされた細胞からrAAVベクターを単離および/または精製する工程をさらに含むこともできる。本明細書で記載されるような細胞トランスフェクションおよび/または組換えウイルス(例えばAAV)ベクターの生産に続いて、所望であれば、ウイルス(例えばrAAV)ビリオンは、細胞/細胞培養物から収集/回収され、場合により様々な従来の方法を用いてトランスフェクションされた細胞から精製および/または単離されることができる。そのような方法は、カラムクロマトグラフィー、CsCI勾配等を含む。例えば、複数のカラム精製工程、例えば陰イオン交換カラム、アフィニティカラムおよび/または陽イオン交換カラム上での精製が、使用されることができる。(例えば、国際公開第02/124555号および米国特許出願公開第20030207439号を参照)。あるいは、または加えて、CsCI勾配工程が、使用されることができる。(例えば、米国特許出願公開第20120135515号;および第20130072548号を参照)。さらに、パッケージングおよび/またはヘルパータンパク質を発現させるために感染性ウイルスの使用が採用される場合、残留ウイルスは、様々な方法を用いて不活化されることができる。例えば、アデノウイルスは、おおよそ60℃の温度に例えば20分以上加熱することによって不活化されることができる。この処理は、AAVが熱安定性である一方でヘルパーアデノウイルスは熱不安定性であるため、ヘルパーウイルスを効果的に不活化する。
【0205】
本明細書で記載される方法は、1種類以上の核酸による細胞のトランスフェクションを、安定剤の非存在下であること以外同じ条件下で実施される細胞のトランスフェクションと比較して、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%または少なくとも50%増加させることができる。
【0206】
本明細書で記載される方法は、トランスフェクションされた細胞から単離/精製されるrAAVベクターの量を、安定剤の非存在下であること以外同じ条件下でトランスフェクションされた細胞から単離/精製されるrAAVベクターの量と比較して、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%もしくは少なくとも50%またはより大きく増加させることができる。
【0207】
本明細書で記載される方法は、トランスフェクションされた細胞から単離/精製されるrAAVベクターの量を、安定剤の非存在下であること以外同じ条件下でトランスフェクションされた細胞から単離/精製されるrAAVベクターの量と比較して、少なくとも2倍、少なくとも4倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも40倍、少なくとも50倍、少なくとも60倍、少なくとも80倍、少なくとも100倍またはより大きく増加させることができる。
【0208】
本明細書で記載される方法は、rAAV力価を、安定剤の非存在下であること以外同じ条件下でもたらされるrAAV力価と比較して、少なくとも2倍、少なくとも4倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも40倍、少なくとも50倍、少なくとも60倍、少なくとも80倍、少なくとも100倍またはより大きく増大させることができる。
【0209】
本明細書で記載される方法は、rAAV力価を、安定剤の非存在下であること以外同じ条件下でもたらされるrAAV力価と比較して、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%もしくは少なくとも50%またはより大きく増大させることができる。
【0210】
本明細書で記載される方法は、rAAV完全ベクターの数を、安定剤の非存在下であること以外同じ条件下で生産されるrAAV完全ベクターの数と比較して、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%もしくは少なくとも50%またはより大きく増加させることができる。
【0211】
本明細書で記載される方法は、rAAV空ベクターの数を、安定剤の非存在下であること以外同じ条件下で生産されるrAAV空ベクターの数と比較して、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%もしくは少なくとも50%またはより大きく減少させることができる。
【0212】
完全/空の比率の数値は、260:280の比率を測定することによって決定されることができる。例えば、rAAVベクターは、サイズ排除高圧液体クロマトグラフィー(SE−HPLC)を用いて精製されることができ、空ベクター対完全ベクターの比率を決定するために、溶離ピークが、260nmおよび280nmの間で比較されることができる(例えば、Sommer et al. (2003) Quantification of adeno-associated virus particles and empty capsids by optical density measurement. Molecular Therapy, Vol 7, Issue 1, P122-128を参照)。空ベクター、中間ベクターおよび完全ベクターの260:280比の比較は、空ベクターが0.6に近い260:280比を有し、中間ベクターが0.9〜1.1の260:280比を有し、一方で完全ベクターが1.3〜1.4に近い260:280比を有することを明らかにした。
【0213】
ある態様において、安定剤の存在下で単離および/または精製されたrAAVベクターは、約1.0〜約1.2の260:280比を有し、一方で安定剤の非存在下であること以外同じ条件下で単離および/または精製されたrAAVベクターは、約0.6の260:280比を有する。
【0214】
本開示のある側面は、組成物も含む。ある態様において、1種類以上の陽イオン性ポリマーおよび安定剤を含む組成物が、提供される。ある態様において、組成物は、さらに1種類以上の核酸および/または細胞(例えばトランスフェクションされるべき細胞)を含む。
【0215】
ある態様において、安定剤および1種類以上の核酸を含む組成物が、提供される。ある態様において、組成物は、さらに1種類以上の陽イオン性ポリマーおよび/または細胞(例えばトランスフェクションされるべき細胞)を含む。
【0216】
ある態様において、1種類以上の陽イオン性ポリマー、安定剤、1種類以上の核酸および細胞(例えばトランスフェクションされるべき細胞)を含む組成物が、提供される。
ある態様において、本明細書で記載される組成物中の1種類以上の陽イオン性ポリマーの量は、約0.01μg、約0.02μg、約0.04μg、約0.06μg、約0.08μg、約1.0μg、約1.2μg、約1.4μg、約1.6μg、約1.8μg、約2.0μg、約2.2μg、約2.4μg、約2.6μg、約2.8μg、約3.0μg、約3.2μg、約3.4μg、約3.6μg、約3.8μg、約4.0μg、約4.2μg、約4.6μg、約4.8μg、約5.0μg、約5.5μg、約6.0μg、約6.5μg、約7μg、約7.5μg、約8.0μg、約8.5μg、約9.0μg、約9.5μg、約10μg、約12μg、約14μg、約16μg、約18μg、約20μg、約40μg、約60μg、約80μg、約100μg、約0.1mg、約1mg、約2mg、約4mg、約6mg、約8mgまたは約10mgである。ある態様において、本明細書で記載される組成物中の1種類以上の陽イオン性ポリマーの量は、約20μg、約22μg、約24μg、約26μg、約26.4μg、約28μg、約30μg、約32μg、約34μg、約36μg、約38μg、約40μg、約42μg、約44μg、約46μg、約48μg、約50μg、約52μg、約52.8μg、約54μg、約56μg、約58μgまたは約60μgである。
【0217】
ある態様において、本明細書で記載される組成物中の1種類以上の陽イオン性ポリマーの量は、トランスフェクションされる細胞の数に関係する。例えば、ある態様において、本明細書で記載される組成物中の1種類以上の陽イオン性ポリマーの量は、細胞100万個あたり約0.05μg、細胞100万個あたり約0.1μg、細胞100万個あたり約0.2μg、細胞100万個あたり約0.4μg、細胞100万個あたり約0.6μg、細胞100万個あたり約0.8μg、細胞100万個あたり約1.0μg、細胞100万個あたり約1.5μg、細胞100万個あたり約2μg、細胞100万個あたり約2.1μg、細胞100万個あたり約2.2μg、細胞100万個あたり約2.3μg、細胞100万個あたり約2.4μg、細胞100万個あたり約2.5μg、細胞100万個あたり約2.6μg、細胞100万個あたり約2.7μg、細胞100万個あたり約2.8μg、細胞100万個あたり約2.9μg、細胞100万個あたり約3.0μg、細胞100万個あたり約3.5μg、細胞100万個あたり約4.0μg、細胞100万個あたり約4.5μg、細胞100万個あたり約5μg、細胞100万個あたり約5.5μg、細胞100万個あたり約6.0μg、細胞100万個あたり約6.5μg、細胞100万個あたり約7.0μg、細胞100万個あたり約7.5μg、細胞100万個あたり約8.0μg、細胞100万個あたり約10μgである。ある態様において、本明細書で記載される組成物中の1種類以上の陽イオン性ポリマーの量は、細胞100万個あたり約2.2μgである。
【0218】
ある態様において、本明細書で記載される組成物中の安定剤の量は、約0.01μg、約0.02μg、約0.04μg、約0.06μg、約0.08μg、約1.0μg、約1.2μg、約1.4μg、約1.6μg、約1.8μg、約2.0μg、約2.2μg、約2.4μg、約2.6μg、約2.8μg、約3.0μg、約3.2μg、約3.4μg、約3.6μg、約3.8μg、約4.0μg、約4.2μg、約4.6μg、約4.8μg、約5.0μg、約5.5μg、約6.0μg、約6.5μg、約7μg、約7.5μg、約8.0μg、約8.5μg、約9.0μg、約9.5μg、約10μg、約12μg、約14μg、約16μg、約18μg、約20μg、約40μg、約60μg、約80μg、約100μg、約0.1mg、約1mg、約2mg、約4mg、約6mg、約8mgまたは約10mgである。
【0219】
ある態様において、本明細書で記載される組成物中の安定剤の量は、約1.0μg、約1.2μg、約1.4μg、約1.6μg、約1.8μg、約2.0μg、約2.2μg、約2.4μg、約2.6μg、約2.64μg、約2.8μg、約3.0μg、約3.2μg、約3.4μg、約3.6μg、約3.8μg、約4.0μg、約4.2μg、約4.6μg、約4.8μg、約5.0μg、約5.5μg、約6.0μg、約6.5μg、約7μg、約7.5μg、約8.0μg、約8.5μg、約9.0μg、約9.5μg、約10μg、約12μg、約13μg、約14μg、約16μg、約18μgまたは約20μgである。
【0220】
ある態様において、本明細書で記載される組成物中の安定剤の量は、1種類以上の陽イオン性ポリマーの量に関係する。例えば、ある態様において、本明細書で記載される組成物中の安定剤の量は、1種類以上の陽イオン性ポリマーの量と比較して、約1%、約2%、約2.5%、約5%、約7.5%、約10%、約12.5%、約15%、約17.5%、約20%、約25%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約75%、約80%、約90%、約100%、約200%、約300%、約400%または約500%である。ある態様において、本明細書で記載される組成物中の安定剤の量は、1種類以上の陽イオン性ポリマーの量と比較して、約7.5%、約10%、約12.5%、約15%、約17.5%、約20%、約25%、約30%または約40%である。
【0221】
ある態様において、本明細書で記載される組成物中の1種類以上の核酸の量は、約0.01μg、約0.02μg、約0.04μg、約0.06μg、約0.08μg、約1.0μg、約1.2μg、約1.4μg、約1.6μg、約1.8μg、約2.0μg、約2.2μg、約2.4μg、約2.6μg、約2.8μg、約3.0μg、約3.2μg、約3.4μg、約3.6μg、約3.8μg、約4.0μg、約4.2μg、約4.6μg、約4.8μg、約5.0μg、約5.5μg、約6.0μg、約6.5μg、約7μg、約7.5μg、約8.0μg、約8.5μg、約9.0μg、約9.5μg、約10μg、約12μg、約14μg、約16μg、約18μg、約20μg、約40μg、約60μg、約80μg、約100μg、約0.1mg、約1mg、約2mg、約4mg、約6mg、約8mgまたは約10mgである。ある態様において、1種類以上の核酸の量は、約12μgまたは約24μgである。
【0222】
ある態様において、本明細書で記載される組成物中の1種類以上の核酸の量は、トランスフェクションされる細胞の数に関係する。例えば、ある態様において、本明細書で記載される組成物中の1種類以上の核酸の量は、細胞100万個あたり約0.05μg、細胞100万個あたり約0.1μg、細胞100万個あたり約0.2μg、細胞100万個あたり約0.4μg、細胞100万個あたり約0.5μg、細胞100万個あたり約0.6μg、細胞100万個あたり約0.8μg、細胞100万個あたり約1.0μg、細胞100万個あたり約1.5μg、細胞100万個あたり約2.0μg、細胞100万個あたり約2.5μg、細胞100万個あたり約3.0μg、細胞100万個あたり約3.5μg、細胞100万個あたり約4.0μg、細胞100万個あたり約4.5μg、細胞100万個あたり約5μg、細胞100万個あたり約5.5μg、細胞100万個あたり約6.0μg、細胞100万個あたり約6.5μg、細胞100万個あたり約7.0μg、細胞100万個あたり約7.5μg、細胞100万個あたり約8.0μg、細胞100万個あたり約8.5μg、細胞100万個あたり約9.0μg、細胞100万個あたり約9.5μg、または細胞100万個あたり約10μgである。ある態様において、本明細書で記載される組成物中の1種類以上の核酸の量は、細胞100万個あたり約1.0μgである。
【0223】
ある態様において、本明細書で記載される組成物中の細胞は、少なくとも1×10
5細胞/mL、少なくとも2×10
5細胞/mL、少なくとも4×10
5細胞/mL、少なくとも6×10
5細胞/mL、少なくとも8×10
5細胞/mL、少なくとも0.5×10
6細胞/mL、少なくとも1×10
6細胞/mL、少なくとも2×10
6細胞/mL、少なくとも4×10
6細胞/mL、少なくとも6×10
6細胞/mL、少なくとも8×10
6細胞/mL、少なくとも10×10
6細胞/mL、少なくとも12×10
6細胞/ml、少なくとも14×10
6細胞/ml、少なくとも16×10
6細胞/ml、少なくとも18×10
6細胞/ml、少なくとも20×10
6細胞/ml、少なくとも22×10
6細胞/ml、少なくとも24×10
6細胞/ml、少なくとも26×10
6細胞/ml、少なくとも28×10
6細胞/ml、少なくとも30×10
6細胞/ml、少なくとも32×10
6細胞/ml、少なくとも34×10
6細胞/ml、少なくとも36×10
6細胞/ml、少なくとも38×10
6細胞/ml少なくとも40×10
6細胞/mL、少なくとも42×10
6細胞/mL、少なくとも44×10
6細胞/mL、少なくとも46×10
6細胞/mL、少なくとも48×10
6細胞/mL、少なくとも50×10
6細胞/mLまたは少なくとも52×10
6細胞/mLの細胞密度である。ある態様において、細胞は、少なくとも12×10
6細胞/mLまたは少なくとも24×10
6細胞/mLの密度である。
【0224】
ある側面において、約12×10
6細胞/mL、細胞100万個あたり約2.2μgの1種類以上の陽イオン性ポリマー、1種類以上の陽イオン性ポリマーと比較して約10%の安定剤および細胞100万個あたり約1μgの1種類以上の核酸を含む組成物が、提供される。
【0225】
ある側面において、約24×10
6細胞/mL、細胞100万個あたり約2.2μgの1種類以上の陽イオン性ポリマー、1種類以上の陽イオン性ポリマーと比較して約25%の安定剤および細胞100万個あたり約1μgの1種類以上の核酸を含む組成物が、提供される。
【0226】
本開示の組成物に含まれる1種類以上の陽イオン性ポリマー、安定剤、1種類以上の核酸および細胞は、本明細書で記載された通りである。ある態様において、1種類以上の陽イオン性ポリマーは、PEImaxを含む。ある態様において、安定剤は、約25,000Daの分子量を有する分枝状PEIに約5,000Daの分子量を有するPEGがグラフトされたものを含む。ある態様において、1種類以上の核酸は、(a)AAVパッケージングタンパク質をコードする核酸および/もしくはヘルパータンパク質をコードする核酸を含む1種類以上のプラスミドならびに/または(b)対象の導入遺伝子をコードする核酸を含むプラスミドを含む。ある態様において、細胞は、HEK293細胞を含む。
【0227】
ある側面において、本明細書で記載された方法を用いて生産されたトランスフェクションされた細胞が、提供される。ある側面において、本明細書で記載された方法を用いて生産されたrAAVベクターが、提供される。
【0228】
本開示は、包装材料およびその中の1つ以上の構成要素を有するキットも、提供する。キットは、典型的には構成要素の記載またはその中の構成要素の使用に関する指示を含むラベルまたは添付文書を含む。キットは、そのような構成要素、例えば核酸(プラスミド)、陽イオン性ポリマー(例えばPEI)、安定剤(例えばbPEI25k.PEG5k、分子量(Mn)25,000を有する分枝状PEIがM
n5,000を有するポリエチレングリコール(PEG)にコンジュゲートされたもの)および/または細胞の集合体を含有することができる。
【0229】
キットは、キットの1つ以上の構成要素を収容している物理的構造体を指す。包装材料は、構成要素を無菌様式で維持することができ、そのような目的のために一般的に使用される材料(例えば紙、段ボール、ガラス、プラスチック、箔、アンプル、バイアル、チューブ等)で作られていることができる。
【0230】
ラベルまたは添付文書は、その中の1つ以上の構成要素の識別情報を含むことができる。ラベルまたは添付文書は、製造業者、ロット番号、製造場所および日付、有効期限を識別する情報を含むことができる。ラベルまたは添付文書は、製造業者情報、ロット番号、製造業者の場所および日付を識別する情報を含むことができる。ラベルまたは添付文書は、方法、使用または製造プロトコルにおいてキットの構成要素の1つ以上を使用するための指示を含むことができる。指示は、組成物を生産する、または本明細書で記載された方法のいずれかを実施するための指示を含むことができる。
【0231】
ラベルまたは添付文書は、“印刷物”、例えば紙もしくはボール紙、または構成要素、キットもしくは包装材(例えば箱)と別個もしくはそれに貼り付けられたもの、またはキットの構成要素を含有するアンプル、チューブもしくはバイアルに取り付けられたものを含む。ラベルまたは添付文書は、さらにコンピューターで読み取り可能な媒体、例えばバーコードが印刷されたラベル、ディスク、光ディスク、例えばCD−もしくはDVD−ROM/RAM、DVD、MP3、磁気テープまたは電気的記憶媒体、例えばRAMおよびROMまたはこれらのハイブリッド、例えば磁気/光学記憶媒体、フラッシュメディアもしくは記憶型カード(memory type card)を含むことができる。
【0232】
以下の実施例は、説明目的のためだけに提供されており、本発明の範囲を何らかの方法で制限することは決して意図されていない。実際、本発明の様々な改変が、本明細書で示され、記載されたものに加えて、前記の説明から当業者に明らかになり、添付された特許請求の範囲の範囲内に入るであろう。
【実施例】
【0233】
実施例1.安定剤(PEGにコンジュゲートされた分枝状PEI)のスパイクによるDNA−PEI複合体の安定化
本研究の目的は、非常に少量のPEGにコンジュゲートされたPEI(安定剤)によるトランスフェクションカクテルのスパイクがDNA−PEI複合体の粒径の増大または凝集を抑止できるかどうかを試験することであった。
【0234】
材料および方法:
1.プラスミドDNA(DNA):組換えアデノ随伴ウイルスベクター(rAAV)を生産することができる3種類のプラスミド(対象の導入遺伝子をコードするプラスミド、repおよびcap遺伝子をコードするパッケージングプラスミドならびにアデノウイルスE2、E4およびVARNA遺伝子をコードするアデノウイルスヘルパープラスミド)が、本明細書で記載される全ての研究において使用された。
【0235】
2.陽イオン性ポリマー:線状完全脱プロピオニル化ポリエチレンイミン(PEI;1mg/ml ストック濃度)40KDaが、トランスフェクション試薬として使用された。
【0236】
3.培地:FreeStyle(商標)F17(F17)発現培地(Thermo Fisher Scientific,A1383501)が、トランスフェクションカクテルを作製するために使用された。
【0237】
4.安定剤:中性ポリマーにコンジュゲートされた陽イオン性ポリマーが、これらの研究に関して安定剤として使用された。具体的には、この研究に関して、我々は、bPEI25k.PEG5k(Sigma Aldrich, 900743;分子量(Mn)25,000を有する分枝状PEIがM
n5,000を有するポリエチレングリコール(PEG)にコンジュゲートされたもの)を用いた。
【0238】
5.分光光度法に基づく濁度試験:F17中のプラスミドDNA(DNA)およびPEIのみでは、ナノドロップ上で650nm波長で一切シグナルを与えない。しかし、DNAおよびPEIが一緒に混合された場合、培地は、DNAおよびPEIが複合体形成するために濁り、ナノドロップ上で650nmにおいて信号が観察される。時間の経過と共に、DNA−PEI複合体の連続的な凝集は、濁度を低下させ、650nmにおけるナノドロップのシグナルの低下につながる。このアプローチが、安定剤を用いて、および用いずにDNA−PEIを含有するトランスフェクションカクテルの安定性を試験するために使用された。
【0239】
6.トランスフェクションカクテルの調製:トランスフェクションカクテルは、以下を含有する等量の混合物からなる:混合物A−0.12mg/mlの終濃度で予め決定された比率でF17培地に添加されたプラスミドDNA(上記)、および混合物B−F17培地中の0.0264mg/mlの終濃度の安定剤を伴なわない、または伴う0.264mg/mlのPEI(これは、陽イオン性ポリマーPEIと比較した10%の安定剤に相当する)。最終的なトランスフェクションカクテルは、混合物Bを混合物Aに室温(約25℃)で添加することによって調製される。混合は、トランスフェクションカクテルをシェーカーにおいて120RPMで連続的に振盪することによって達成される。
【0240】
結果:DNAおよびPEIを含有するトランスフェクションカクテルを、上で材料および方法において記載されたように、安定剤(bPEI25k.PEG5k)を用いずに、および用いて、F17培地中で調製した。加えて、DNAおよび安定剤を含有するがPEIを含まない溶液を、陰性対照として用いた。3つの溶液を650nmにおいてナノドロップ上で分析し、濁度を試験した(
図2)。安定剤を含まないトランスフェクションカクテル(四角)は、10分に至るまで高いシグナルを与え、これは、DNA−PEI複合体の形成を示している。しかし、10分後には信号は非常に低いレベルまで急速に低下し、約20分でベースラインレベル付近に達した。安定剤を含むトランスフェクションカクテル(丸)は、最初の約10分は安定剤を含まないトランスフェクションカクテルよりも低い信号を示したが、重要なことに、より遅い時点に関して(少なくとも55分まで)信号を保持していた。DNAおよび安定剤を含むがPEIを含まない陰性対照溶液(三角)は、ベースライン信号を示し、これは、安定剤のDNAとの複合体形成がない〜非常に低いことを示唆している。
【0241】
結論:濁度プロファイルは、DNAおよびPEIが安定剤の非存在下で複合体を形成したが、約10分後に凝集を開始したことを示唆している。しかし、安定剤の存在下では、DNAおよびPEIの複合体形成は、少なくともこの研究で試験された最大時間(すなわち55分に至るまで)の間安定化された(すなわち、凝集しなかった)。
【0242】
実施例2.DNA−PEI複合体の粒径に対する安定剤(bPEI25k.PEG5k)の影響
本研究の目的は、安定剤(bPEI25k.PEG5k)の存在下でのトランスフェクションカクテル中のDNA−PEI複合体の平均粒径をチェックすることであった。
【0243】
材料および方法:
1.プラスミドDNA、陽イオン性ポリマー、培地および安定剤:実施例1で記載されたものと同じ。
【0244】
2.トランスフェクションカクテルの調製:トランスフェクションカクテルは、以下のものを含有する等量混合物からなる:混合物A−0.12mg/mlの終濃度で予め決定された比率でF17培地に添加されたプラスミドDNA(実施例1で記載された)、ならびに混合物B−F17培地中の0.264mg/mlのPEIならびに0、0.0198、0.0264、0.03168および0.0396mg/ml(それは、陽イオン性ポリマーPEIと比較して、0%、7.5%、10%、12.5%および15%に相当する)の終濃度の安定剤。最終的なトランスフェクションカクテルは、室温(約25℃)で混合物Bを混合物Aに添加することによって調製される。
【0245】
3.動的光散乱(DLS)実験:変動する量の安定剤(PEIと比較して0〜15%)を用いたトランスフェクションカクテルを、DLSを用いて分析した。一度トランスフェクションカクテルを調製したら、読み取りを5分ごとに30分間行った。
【0246】
結果:
図3は、安定剤の量の増加に伴なってDNA−PEI複合体の平均粒径(nm)が低減したことを示している。
結論:安定剤は、DNA−PEI複合体の粒径を制御し(
図3)、それによりトランスフェクションカクテル中の大きな凝集体の形成を抑制している。
【0247】
実施例3.安定剤(bPEI25k.PEG5k)のDNA−PEI複合体のトランスフェクション効率への影響。
本研究の目的は、安定剤(bPEI25k.PEG5k)の存在下でのトランスフェクションカクテルのトランスフェクション効率をチェックすることであった。
【0248】
材料および方法:
1.プラスミドDNA、陽イオン性ポリマー、培地および安定剤:実施例1で記載されたものと同じ。
【0249】
2.トランスフェクションカクテルの調製:トランスフェクションカクテルは、以下のものを含有する等量混合物からなる:混合物A−0.12mg/mlの終濃度で予め決定された比率でF17培地に添加されたプラスミドDNA(実施例1で記載された)、ならびに混合物B−F17培地中の0.264mg/mlのPEIならびに0、0.0132、0.0198、0.0264、0.03168、0.0396、0.04488、0.0528、0.066および0.0792mg/mlの終濃度の安定剤(これは、陽イオン性ポリマーPEIと比較して、0%、5%、7.5%、10%、12.5%、15%、17.5%、20%、25%および30%に相当する)。最終的なトランスフェクションカクテルは、室温(約25℃)で混合物Bを混合物Aに添加することによって調製される。混合は、トランスフェクションカクテルをシェーカー中で120RPMで連続的に振盪することによって達成される。トランスフェクションカクテルは、全細胞培養量の10%であり、使用されたDNA量は、細胞100万個あたり1ugに相当する。
【0250】
3.トランスフェクションおよびAAVの生産性試験:HEK293細胞を、6ウェルプレート中でF17培地中で37℃、5%CO
2で12×10
6細胞/mLの細胞密度まで増殖させた。トランスフェクションの前に、トランスフェクションカクテル(上で(2)において記載されたように調製された)を調製後室温で1時間インキュベートし(“トランスフェクションカクテルのインキュベーション時間”)、次いで細胞培養物に添加した。トランスフェクションの3時間後に、培養物を1×10
6細胞/mLに希釈し、細胞増殖およびAAVの産生を可能にした。細胞および細胞培養培地を含む試料を、(Vi−cellを使用する)細胞計数および細胞生存度のために、トランスフェクション後24、48および72時間の時点で採取した。細胞をトランスフェクション後72時間の時点で回収し、溶解させ、溶解物をddPCRを用いてAAV力価に関して分析した。
【0251】
結果:
図4において示されている高い生存度のデータにより示されるように、培養物への安定剤の添加は細胞に対して毒性ではないことがわかった。また、安定剤のトランスフェクションカクテルへの添加は、AAV力価を少なくとも4倍増大させた(
図5)。最高レベルのrAAV産生(約10倍の増加)が、(陽イオン性ポリマーPEIと比較して)約7.5%〜10%の安定剤を用いて得られた。
【0252】
結論:安定剤の使用は、rAAV力価により測定されるようなDNA−PEI複合体のトランスフェクション効率を増大させた。rAAV力価の最適範囲は、トランスフェクションカクテル中で約7.5%〜15%の安定剤をPEIと共に用いて得られた。より低い、またはより高い量の安定剤(ポリマーPEIと比較)は、結果としてrAAV力価の低下をもたらしたが、安定剤の添加は、安定剤の非存在下で得られたrAAV力価と比較して、rAAV力価を増大させた。
【0253】
実施例4.安定剤としてのPEGにコンジュゲートされた線状PEI対PEGにコンジュゲートされた分枝状PEIの比較
この研究の目的は、PEI−DNAトランスフェクションカクテルの安定化におけるPEGにコンジュゲートされた線状PEIの能力をPEGにコンジュゲートされた分枝状PEIの能力に対して比較することであった。
【0254】
材料および方法:
1.プラスミドDNA、陽イオン性ポリマーおよび培地:実施例1で記載されたものと同じ。
【0255】
2.安定剤:この研究に関して、我々は、以下の安定剤を使用した:bPEI25k.PEG5k(ポリエチレングリコール(PEG)、M
n5000にコンジュゲートされた分枝状PEI、M
n25000)およびLPEI20k.PEG5k(PEG、M
n5000にコンジュゲートされた線状PEI、M
n20000)。
【0256】
3.トランスフェクションカクテルの調製:トランスフェクションカクテルは、以下のものを含有する等量混合物からなる:混合物A−予め決定された比率でF17培地に添加されたプラスミドDNA(実施例1で記載された)、ならびに混合物B−F17培地中の細胞100万個あたり2.2ugのPEIならびにPEIと比較して、0%、1%、2.5%および10%の安定剤(bPEI25k.PEG5kまたはLPEI20k.PEG5k)。最終的なトランスフェクションカクテルは、室温(約25℃)で混合物Bを混合物Aに添加することによって調製される。混合は、トランスフェクションカクテルをシェーカー中で120RPMで連続的に振盪することによって達成される。トランスフェクションカクテルの体積は、培養体積の10パーセントであり、使用されたDNAの量は、細胞100万個あたり1ugに相当する。
【0257】
4.トランスフェクションおよびAAVの生産性試験:HEK293細胞を、6ウェルプレート中でF17培地中で37℃、5%CO
2で12×10
6細胞/mLの細胞密度まで増殖させた。トランスフェクションの前に、トランスフェクションカクテル(上で(3)において記載されたように調製された)を調製後室温で1時間インキュベートし(“トランスフェクションカクテルのインキュベーション時間”)、次いで細胞培養物に添加した。トランスフェクションの3時間後に、培養物を1×10
6細胞/mLに希釈し、細胞増殖およびAAVの産生を可能にした。細胞および細胞培養培地を含む試料を、(Vi−cellを使用する)細胞計数および細胞生存度のために、トランスフェクション後24、48および72時間の時点で採取した。細胞をトランスフェクション後72時間の時点で回収し、溶解させ、溶解物をddPCRを用いてAAV力価に関して分析した。
【0258】
結果:上記のように、細胞を(PEIと比較して)0%〜10%の分枝状(bPEI25k.PEG5k)または線状(LPEI20k.PEG5k)安定剤のどちらかを含有するトランスフェクションカクテルを用いてトランスフェクションした。分枝状安定剤および線状安定剤の両方とも細胞に対して毒性ではないことが分かった(
図6)。また、両方の安定剤のトランスフェクションカクテルへの添加は、rAAVの力価を増大させたが、収率は、線状安定剤と比較して分枝状安定剤でより高かった(
図7)。最高レベルのrAAV産生(4倍の増大)が、(陽イオン性ポリマー、PEIと比較して)約10%の分枝状安定剤を用いて得られた。
【0259】
結論:分枝状(bPEI25k.PEG5k)および線状(LPEI20k.PEG5k)安定剤は、両方とも細胞に対して毒性ではなく、安定剤の非存在下での収率と比較して2〜4倍の力価の向上を示した。線状安定剤および分枝状安定剤のサイズは比較可能であるが、分枝状安定剤は、線状安定剤と比較してより高いrAAV力価を与えた(PEIと比較して10%の安定剤が使用された場合に4倍の向上)。
【0260】
実施例5.分枝状PEIあたりにコンジュゲートされたPEG分子の数の比較
この研究の目的は、分枝状PEIあたりのPEG分子の大きさおよび数が異なるPEG化されたPEI化合物の安定化能力を比較することであった。
【0261】
材料および方法:
1.プラスミドDNA、陽イオン性ポリマーおよび培地:実施例1で記載されたものと同じ。
【0262】
2.安定剤:この研究に関して、我々は、以下のものを使用した:(i)bPEI25k.PEG5k(PEG、M
n5000にコンジュゲートされた分枝状PEI、M
n25000)。この安定剤は、bPEIあたり15個のPEG分子を有する。(ii)bPEI25k.PEG0.5k(PEG、M
n500にコンジュゲートされた分枝状PEI、M
n25000)。この安定剤は、bPEIあたり55個のPEG分子を有する。
【0263】
3.トランスフェクションカクテルの調製:トランスフェクションカクテルは、以下のものを含有する等量混合物からなる:混合物A−予め決定された比率でF17培地に添加されたプラスミドDNA(実施例1で記載された)、ならびに混合物B−F17培地中の細胞100万個あたり2.2ugのPEIならびにPEIと比較して、0%、7.5%もしくは12.5%のbPEI25k.PEG5kまたは5%、10%、15%、20%、30%、40%もしくは50%のbPEI25k.PEG0.5k。最終的なトランスフェクションカクテルは、室温(約25℃)で混合物Bを混合物Aに添加することによって調製される。混合は、トランスフェクションカクテルをシェーカー中で120RPMで連続的に振盪することによって達成される。トランスフェクションカクテルの体積は、培養体積の10パーセントであり、使用されたDNAの量は、細胞100万個あたり1ugに相当する。
【0264】
4.トランスフェクションおよびAAVの生産性試験:HEK293細胞を、6ウェルプレート中でF17培地中で37℃、5%CO
2で12×10
6細胞/mLの細胞密度まで増殖させた。トランスフェクションの前に、トランスフェクションカクテル(上で(3)において記載されたように調製された)を調製後室温で1時間インキュベートし(“トランスフェクションカクテルのインキュベーション時間”)、次いで細胞培養物に添加した。トランスフェクションの3時間後に、培養物を1×10
6細胞/mLに希釈し、細胞増殖およびAAVの産生を可能にした。細胞および細胞培養培地を含む試料を、(Vi−cellを使用する)細胞計数および細胞生存度のために、トランスフェクション後24、48および72時間の時点で採取した。細胞をトランスフェクション後72時間の時点で回収し、溶解させ、溶解物をddPCRを用いてAAV力価に関して分析した。
【0265】
結果:上記のように、細胞を、PEIと比較して0%〜12.5%のbPEI25k.PEG5k(bPEIあたり15PEGを有する)または0%〜50%のbPEI25k.PEG0.5k(bPEIあたり55PEG)安定剤を含有するトランスフェクションカクテルでトランスフェクションした。生存度データ(
図8)は、bPEIあたり15または55PEGを含有する安定剤の培養物への添加は細胞に対して毒性ではないことを示唆した。トランスフェクションカクテルへのbPEI25k.PEG5k(bPEIあたり15PEGを有する)の添加は、rAAV力価を4倍に増大させ、一方でbPEI25k.PEG0.5k(bPEIあたり55PEG)の添加は、安定剤の非存在下でのrAAVの収率と比較してrAAV力価を2.4倍に増大させた(
図9)。
【0266】
結論:両方の安定剤(bPEI25k.PEG5k(bPEIあたり15PEGを有する)およびbPEI25k.PEG0.5k(bPEIあたり55PEGを有する))は、細胞に対して毒性ではなく、60分のトランスフェクションカクテルのインキュベーション時間の後でさえも安定している力価収率により証明されるように、トランスフェクションカクテルを安定化することができた。bPEI25k.PEG5kの使用は、bPEI25k.PEG0.5kと比較してより高いrAAV力価収率をもたらした(それぞれ4倍対2.4倍)。
【0267】
実施例6.トランスフェクションカクテルのインキュベーション時間のAAV力価への影響
この研究の目的は、安定剤(bPEI25k.PEG5k)を用いる、および用いないトランスフェクションカクテルのインキュベーション時間の影響を比較することであった。
【0268】
材料および方法:
1.プラスミドDNA、陽イオン性ポリマー、培地および安定剤:実施例1で記載されたものと同じ。
【0269】
2.トランスフェクションカクテルの調製:トランスフェクションカクテルは、以下のものを含有する等量混合物からなる:混合物A−予め決定された比率でF17培地に添加されたプラスミドDNA(実施例1で記載された)、ならびに混合物B−F17培地中の細胞100万個あたり2.2ugのPEIおよびPEIと比較して0%または10%のどちらかの安定剤(bPEI25k.PEG5k)。最終的なトランスフェクションカクテルは、室温(約25℃)で混合物Bを混合物Aに添加することによって調製される。混合は、トランスフェクションカクテルをシェーカー中で120RPMで連続的に振盪することによって達成される。トランスフェクションカクテルの体積は、培養体積の10パーセントであり、使用されたDNAの量は、細胞100万個あたり1ugに相当する。
【0270】
3.トランスフェクションおよびAAVの生産性試験:HEK293細胞を、ambr(登録商標)15バイオリアクター中でF17培地中で37℃、5%CO
2で12×10
6細胞/mLの細胞密度まで増殖させた。トランスフェクションの前に、トランスフェクションカクテル(上で(2)において記載されたように調製された)を調製後室温で30秒、2分、7分、20分、40分、60分、90分、120分インキュベートし(“トランスフェクションカクテルのインキュベーション時間”)、次いで細胞培養物に添加した。トランスフェクションの3時間後に、トランスフェクションを停止させた(quenched)。細胞を増殖相で維持し、AAVの産生を可能にした。細胞および細胞培養培地を含む試料を、(Vi−cellを使用する)細胞計数および細胞生存度のために、トランスフェクション後24、48および72時間の時点で採取した。細胞をトランスフェクション後72時間の時点で回収し、溶解させ、溶解物をddPCRを用いてAAV力価に関して分析した。
【0271】
4.空の粒子対完全な粒子の分析:細胞溶解物をサイズ排除高圧液体クロマトグラフィー(SE−HPLC)を用いて精製し、溶離ピークを260nm〜280nmで比較して、空ベクター対完全ベクターの比率を決定した(例えばSommer et al. (2003) Quantification of adeno-associated virus particles and empty capsids by optical density measurement. Molecular Therapy, Vol 7, Issue 1, P122-128を参照)。空ベクター、中間ベクターおよび完全ベクターの260:280比の比較は、空ベクターは0.6に近い260:280比を有し、中間ベクターは0.9〜1.1の260:280比を有し、一方で完全ベクターは1.3〜1.4に近い260:280比を有することを明らかにした。
【0272】
結果:上記のように、(PEIと比較して)0%または10%のどちらかのbPEI25k.PEG5kを含有するトランスフェクションカクテルを調製し、0.5〜120分インキュベートした後、細胞培養物に添加した。最初の約7分は、安定剤の添加はrAAV力価に対する影響を有しなかった(
図10)。しかし、約7分後には、安定剤の非存在下で産生されたrAAVの量は減少し、一方で安定剤の存在下で産生されたrAAVの量は依然として影響を受けなかった(
図10)。従って、安定剤を用いると、rAAVの力価は、少なくとも120分のトランスフェクションカクテルのインキュベーション時間における増大による影響を受けなかった。完全AAVベクター対空AAVベクター(すなわちDNAを担持しているAAV粒子対DNAを担持していないAAV粒子)の間接的な尺度である260:280比も、測定された(
図11)。安定剤を用いない(すなわちトランスフェクションがPEI単独の存在下で実施された)場合、260:280比における連続的な低下が、観察され、一方で安定剤を用いた(すなわちトランスフェクションがPEIおよびbPEI25k.PEG5kを使用して実施された)場合、高い比率が維持された。
【0273】
結論:この研究は、この実験で試験された最長のトランスフェクションカクテルのインキュベーション時間(すなわち120分)に関する260:280比(1.0〜1.2)により証明されるように、安定剤がAAVの力価および空ベクターに対して比較した完全ベクターのより高い数の両方を維持することができることを実証している。安定剤の非存在下では、トランスフェクションカクテルのインキュベーション時間を増加させるとrAAVの力価は有意に(約7〜8倍)低下し、一方で260:280比は約0.6に減少し、これは、空ベクターの数の増加を示している。
【0274】
実施例7.PEIの非存在下での安定剤単独のトランスフェクション効率。
この研究の目的は、トランスフェクション試薬として単独で(すなわち陽イオン性ポリマーの非存在下で)使用された場合の安定剤のトランスフェクション効率を決定することであった。
【0275】
材料および方法:
1.プラスミドDNAおよび培地:実施例1で記載されたものと同じ。
2.トランスフェクション試薬:この研究に関して、我々は、(i)PEI(実施例1で記載された通り;陽性対照)(ii)bPEI25k.PEG5k(PEG、M
n5000にコンジュゲートされた分枝状PEI、M
n25000)または(iii)PEG M
n35000(PEG35k)のいずれかをトランスフェクション試薬として使用した。
【0276】
3.トランスフェクションカクテルの調製:トランスフェクションカクテルは、以下のものを含有する等量混合物からなる:混合物A−予め決定された比率でF17培地に添加されたプラスミドDNA(実施例1で記載された)、ならびに混合物B−以下のいずれかを含有する:(i)PEI(陽性対照;細胞100万個あたり2.2ug)、(ii)bPEI25k.PEG5k(細胞100万個あたり1〜15ug)または(iii)PEG35k(細胞100万個あたり1〜15ug)。最終的なトランスフェクションカクテルは、室温(約25℃)で混合物Bを混合物Aに添加することによって調製される。混合は、トランスフェクションカクテルをシェーカー中で120RPMで連続的に振盪することによって達成される。トランスフェクションカクテルの体積は、培養体積の10パーセントであり、使用されたDNAの量は、細胞100万個あたり1ugに相当する。
【0277】
5.トランスフェクションおよびAAVの生産性試験:HEK293細胞を、6ウェルプレート中でF17培地中で37℃、5%CO
2で12×10
6細胞/mLの細胞密度まで増殖させた。トランスフェクションの前に、トランスフェクション試薬としてPEI単独を含有するトランスフェクションカクテル(上で(3)において記載されたように調製された)を室温で2分インキュベートし、一方でトランスフェクション試薬として異なる量のbPEI25k.PEG5kまたはPEG35kのどちらかを含有するトランスフェクションカクテルを、調製後室温で1時間インキュベートし(“トランスフェクションカクテルのインキュベーション時間”)、次いで細胞培養物に添加した。トランスフェクションの3時間後に、培養物を1×10
6細胞/mLに希釈し、細胞増殖およびAAVの産生を可能にした。細胞および細胞培養培地を含む試料を、(Vi−cellを使用する)細胞計数および細胞生存度のために、トランスフェクション後24、48および72時間の時点で採取した。細胞をトランスフェクション後72時間の時点で回収し、溶解させ、溶解物をddPCRを用いてAAV力価に関して分析した。
【0278】
結果:トランスフェクションプロセスにおけるPEGおよびbPEIの役割を理解するため、DNAのトランスフェクションを、増加する量のbPEI25k.PEG5k単独またはPEG35k単独のどちらかを用いて(60分のトランスフェクションカクテルのインキュベーション時間後に)行い、トランスフェクション効率(rAAV力価として測定した)をPEI単独(2分のトランスフェクションカクテルのインキュベーション時間)に対して比較した(
図12)。PEG35kのトランスフェクション試薬としての使用は、結果としてrAAV力価における増大を一切もたらさなかったが、bPEI25k.PEG5kの細胞100万個あたり約11〜13ugの濃度での使用は、結果として最大力価をもたらし、それは、なお陽性対照(すなわちトランスフェクション試薬としてPEI単独)よりも約10倍低かった。
【0279】
結論:この研究は、bPEI25k.PEG5kが分枝状PEI部分(bPEI)を介して、かつPEG分子によらずにPEI−DNA複合体と相互作用することを実証している。PEG単独では、安定化することも細胞にトランスフェクションすることさえもできない。PEIのような陽イオン性ポリマーにコンジュゲートされたPEG分子の組み合わせが、トランスフェクションカクテルを安定化する鍵である。これらの研究に基づいて、bPEI25k.PEG5kのPEI部分が安定剤をDNAに結合させる一方で、PEG分子がDNA−PEI複合体の表面電荷を低減し、凝集体形成を最小限にすることによりDNA−PEI複合体を安定化するという仮説が立てられている。
【0280】
実施例8.陽イオン性ポリマー単独と比較した場合の、陽イオン性ポリマーおよび安定剤の組み合わせのトランスフェクション効率
この研究の目的は、陽イオン性ポリマー単独と比較した場合の陽イオン性ポリマーおよび安定剤の組み合わせのトランスフェクション効率を決定することであった。
【0281】
材料および方法:
1.プラスミドDNA、陽イオン性ポリマー、培地および安定剤:実施例1で記載された通り。
【0282】
2.トランスフェクションカクテルの調製:トランスフェクションカクテルは、以下のものを含有する等量混合物からなる:混合物A−予め決定された比率でF17培地に添加されたプラスミドDNA(実施例1で記載された通り)、ならびに混合物B−以下のものを含有する:(i)PEI(細胞100万個あたり2.2ug)、(ii)PEI(細胞100万個あたり2.2ug)および安定剤(bPEI25k.PEG5k)(細胞100万個あたり0.22ug、それはPEIと比較して10%に相当する)、(iii)安定剤(bPEI25k.PEG5k)(細胞100万個あたり24ugまたは11ug)または(iv)PEI(細胞100万個あたり4ug)および安定剤(bPEI25k.PEG5k)(細胞100万個あたり0.4ug、それはPEIと比較して10%に相当する)。最終的なトランスフェクションカクテルは、室温(約25℃)で混合物Bを混合物Aに添加することによって調製される。混合は、トランスフェクションカクテルをシェーカー中で120RPMで連続的に振盪することによって達成される。トランスフェクションカクテルの体積は、培養体積の10パーセントであり、使用されたDNAの量は、細胞100万個あたり1ugに相当する。
【0283】
3.トランスフェクションおよびAAVの生産性試験:HEK293細胞を、6ウェルプレート中でF17培地中で37℃、5%CO
2で12×10
6細胞/mLの細胞密度まで増殖させた。トランスフェクションの前に、トランスフェクションカクテル(上で(2)において記載されたように調製された)を室温で2分または60分インキュベートし(“トランスフェクションカクテルのインキュベーション時間”)、次いで細胞培養物に添加した。トランスフェクションの3時間後に、培養物を1×10
6細胞/mLに希釈し、細胞増殖およびAAVの産生を可能にした。細胞および細胞培養培地を含む試料を、(Vi−cellを使用する)細胞計数および細胞生存度のために、トランスフェクション後24、48および72時間の時点で採取した。細胞をトランスフェクション後72時間の時点で回収し、溶解させ、溶解物をddPCRを用いてAAV力価に関して分析した。
【0284】
結果:PEI単独をトランスフェクション試薬として使用した場合、トランスフェクションカクテルのインキュベーション時間が2分から60分に増加した際にrAAV力価は約10倍低下した(2分を60分に対して比較する:棒1対2、
図13)。対照的に、10%のbPEI25k.PEG25kのPEIへの添加は、2分〜60分の間に高い力価を維持した(棒3および4を棒1および2に対して比較する)。bPEI25k.PEG5k単独(PEIなし)を前の条件で使用したPEIおよびbPEI25k.PEG5kの量と同等の量で(棒5および6、
図13)、または棒1および2で示されている前の条件で単独で使用したPEIの量より5倍高い量で(棒7および8、
図13)トランスフェクションに使用した場合、rAAVの力価は、2分および60分の両方に関して10〜20倍を超えて低かった(棒1および2に対して比較した棒5〜8、
図16)。これは、それ自体のみで使用される安定剤はDNA−PEI複合体を安定化するが、その力価は単独で使用されるPEIと比較して非常に低いことを示唆している。PEIおよび安定剤の独特の組み合わせは、トランスフェクションカクテル中のDNA−PEI複合体を安定化することができ、結果として高い力価をもたらす。最後に、安定剤のレベルをPEIと比較して10%で保ちながらPEIの量も変更する場合、トランスフェクションカクテルは安定なままであり、結果として高い力価をもたらすことが、決定された(棒9〜10、
図13)。
【0285】
結論:安定剤単独(すなわち陽イオン性ポリマーであるPEIの非存在下)のトランスフェクション効率は、PEIと比較して非常に乏しい(15〜20倍低い)。トランスフェクションカクテルを長時間(7〜10分より長く)インキュベートした場合、安定剤の非存在下では、力価が著しく(10〜15倍より大きく)低下する。PEIの安定剤との組み合わせは、DNA−PEI複合体を安定化するのを助け、結果として高いrAAV力価をもたらす。
【0286】
実施例9.トランスフェクションカクテルのスケーラビリティおよび長期安定性
この研究の目的は、トランスフェクションカクテルのスケーラビリティおよび延長されたトランスフェクションカクテルのインキュベーション時間を試験することであった。
【0287】
材料および方法:
1.プラスミドDNA、陽イオン性ポリマー、培地および安定剤:実施例1で記載された通り。
【0288】
2.トランスフェクションカクテルの調製:トランスフェクションカクテルは、以下のものを含有する等量混合物からなる:混合物A−予め決定された比率でF17培地に添加されたプラスミドDNA(実施例1で記載された通り)、ならびに混合物B−F17培地中の細胞100万個あたり2.2ugのPEIおよび10%の安定剤(bPEI25k.PEG5k)。最終的なトランスフェクションカクテルは、室温(約25℃)で混合物Bを混合物Aに添加することによって調製される。混合は、トランスフェクションカクテルをシェーカー中で120RPMで連続的に振盪することによって達成される。トランスフェクションカクテルの体積は、培養体積の20パーセントであり、DNAの量は、細胞100万個あたり1ugである。
【0289】
3.トランスフェクションおよびAAVの生産性試験:HEK293細胞を、2Lのバイオリアクター中でF17培地中で37℃、5%CO
2で12×10
6細胞/mLの細胞密度まで増殖させた。トランスフェクションの前に、トランスフェクションカクテル(上で(2)において記載されたように調製された)を室温で1、4または8時間インキュベートし(“トランスフェクションカクテルのインキュベーション時間”)、次いで細胞培養物に添加した。トランスフェクションの3時間後に、トランスフェクションを停止させた。細胞を72時間増殖相で維持し、AAVの産生を可能にした。細胞および細胞培養培地を含む試料を、(Vi−cellを使用する)細胞計数および細胞生存度のために、トランスフェクション後24、48および72時間の時点で採取した。細胞をトランスフェクション後72時間の時点で回収し、溶解させ、溶解物をddPCRを用いてAAV力価に関して分析した。
【0290】
結果:トランスフェクションカクテルのインキュベーション時間(1、4または8時間)とは無関係に、比較可能なrAAV力価が得られた(
図14)。
結論:この研究は、トランスフェクションカクテルが少なくとも8時間に至るまで安定であり、結果として高いrAAV力価をもたらすことを実証している。
【0291】
実施例10.より高い細胞密度のためのトランスフェクションカクテルの安定化
この研究の目的は、高細胞密度トランスフェクション(24×10
6細胞/mL)のための安定剤を含有するトランスフェクションカクテルの安定性を試験することであった。
【0292】
材料および方法:
1.プラスミドDNA、陽イオン性ポリマー、培地および安定剤:実施例1で記載された通り。
【0293】
2.トランスフェクションカクテルの調製:トランスフェクションカクテルは、以下のものを含有する等量混合物からなる:混合物A−予め決定された比率でF17培地に添加されたプラスミドDNA(実施例1で記載された通り)およびPEIの量と比較して、10%、20%、30%、40%または50%のbPEI25k.PEG5k、ならびに混合物B−F17培地中の細胞100万個あたり2.2ugのPEI。最終的なトランスフェクションカクテルは、室温(約25℃)で混合物Bを混合物Aに添加することによって調製される。混合は、トランスフェクションカクテルをシェーカー中で120RPMで連続的に振盪することによって達成される。トランスフェクションカクテルの体積は、培養体積の10パーセントであり、使用されたDNAの量は、細胞100万個あたり1ugに相当する。
【0294】
3.トランスフェクションおよびAAVの生産性試験:HEK293細胞を、6ウェルプレート中でF17培地中で37℃、5%CO
2で24×10
6細胞/mLの細胞密度まで増殖させた。トランスフェクションの前に、トランスフェクションカクテル(上で(2)において記載されたように調製された)を室温で1時間インキュベートし(“トランスフェクションカクテルのインキュベーション時間”)、次いで細胞培養物に添加した。トランスフェクションの3時間後に、培養物を2×10
6細胞/mLに希釈し、細胞増殖およびAAVの産生を可能にした。細胞および細胞培養培地を含む試料を、(Vi−cellを使用する)細胞計数および細胞生存度のために、トランスフェクション後24、48および72時間の時点で採取した。細胞をトランスフェクション後72時間の時点で回収し、溶解させ、溶解物をddPCRを用いてAAV力価に関して分析した。
【0295】
結果:高い細胞密度(24×10
6細胞/mL)では、安定剤の添加は、陽性対照と比較して、試験した全ての量でrAAVの力価を増大させた(
図15)。最高のrAAVの力価レベルは、(PEIと比較して)約25%の安定剤の存在下で得られた(
図15)。
【0296】
結論:この研究は、高い細胞密度(例えば24×10
6細胞/mL)のトランスフェクションに関して、トランスフェクションカクテル(実施例1〜9で使用した濃度の2倍の濃度のDNAを含有する)は、安定剤bPEI25k.PEG5kを使用して安定化されることができ、最高のrAAVの力価レベルは、PEIと比較して約25%の安定剤を使用して得られたことを実証している。また、トランスフェクションカクテル中の安定剤の添加の順序が、重要であることが分かった。高い細胞密度(例えば24×10
6細胞/mL)のトランスフェクションに関しては、プラスミドを含有する混合物Aに安定剤を添加することが重要であるが、低い細胞密度(例えば12×10
6細胞/mL)のトランスフェクションに関しては、安定剤の添加の順序は、重要ではなかった(すなわち、安定剤は、混合物A(プラスミドDNAを含有する)または混合物B(PEIを含有する)に添加されることができる)。
【0297】
実施例11.代替の安定剤であるポリL−リジンにコンジュゲートされたPEG(pLL.PEG)を用いたDNA−PEI複合体の安定化
この研究の目的は、PEG化ポリL−リジン(pLL)化合物の安定化能力を比較することであった。
【0298】
材料および方法:
1.プラスミドDNA、陽イオン性ポリマーおよび培地:実施例1で記載されたものと同じ。
【0299】
2.安定剤:この研究に関して、我々は以下のものを使用した:(i)pLL.PEG_1(PEG、M
n5000にコンジュゲートされたpLL、M
n26000)。(ii)pLL.PEG_2(PEG、M
n5000にコンジュゲートされたpLL、M
n15000)
3.トランスフェクションカクテルの調製:トランスフェクションカクテルは、以下のものを含有する等量混合物からなる:混合物A−予め決定された比率でF17培地に添加されたプラスミドDNA(実施例1で記載された通り)ならびに混合物B−F17培地中の細胞100万個あたり2.2ugのPEIおよびPEIと比較して、0%、5%、10%、20%、30%、40%または50%のpLL.PEG_1もしくはpLL.PEG_2のどちらか。最終的なトランスフェクションカクテルは、室温(約25℃)で混合物Bを混合物Aに添加することによって調製される。混合は、トランスフェクションカクテルをシェーカー中で120RPMで連続的に振盪することによって達成される。トランスフェクションカクテルの体積は、培養体積の10パーセントであり、使用されたDNAの量は、細胞100万個あたり1ugに相当する。
【0300】
4.トランスフェクションおよびAAVの生産性試験:HEK293細胞を、6ウェルプレート中でF17培地中で37℃、5%CO
2で12×10
6細胞/mLの細胞密度まで増殖させた。トランスフェクションの前に、トランスフェクションカクテル(上で(3)において記載されたように調製された)を調製後室温で1時間インキュベートし(“トランスフェクションカクテルのインキュベーション時間”)、次いで細胞培養物に添加した。トランスフェクションの3時間後に、培養物を1×10
6細胞/mLに希釈し、細胞増殖およびAAVの産生を可能にした。細胞および細胞培養培地を含む試料を、(Vi−cellを使用する)細胞計数および細胞生存度のために、トランスフェクション後24、48および72時間の時点で採取した。細胞をトランスフェクション後72時間の時点で回収し、溶解させ、溶解物をddPCRを用いてAAV力価に関して分析した。
【0301】
結果:上記のように、細胞を、PEIと比較して0%〜50%のpLL.PEG_1または0%〜50%のpLL.PEG_2安定剤を含有するトランスフェクションカクテルでトランスフェクションした。生存度データ(
図16)は、pLL.PEG_1またはpLL.PEG_2を含有する安定剤の培養物への添加は細胞に対して毒性ではないことを示唆した。pLL.PEG_1またはpLL.PEG_2のトランスフェクションカクテルへの添加は、rAAV力価を6倍に増大させた(
図17)。
【0302】
結論:安定剤pLL.PEG_1およびpLL.PEG_2は、両方とも細胞に対して毒性ではなかったが、pLL.PEG_1およびpLL.PEG_2の使用は、結果として安定剤なしの条件と比較した場合に高いrAAV力価収率をもたらした。
【0303】
上記の個々の節で言及された本発明の様々な特徴および態様は、適宜他の節にも必要な変更を加えて適用される。従って、ある節で明記された特徴は、他の節で明記された特徴と適宜組み合わせられることができる。特許、特許出願、論文、教本および引用された配列アクセッション番号を含む本明細書で引用された全ての参考文献ならびにそこで引用された参考文献は、参照により本明細書にそのまま援用される。援用された文献および類似の資料の1つ以上が、定義された用語、用語の使用法、記載された技法等を含め(それらに限定されない)、本出願と異なるか矛盾する場合、本出願が支配する。