【解決手段】閉塞性物質を脈管から除去するデバイスであって、脈管に挿入する大きさであってワイヤ対912、914を有する拡張可能構造体を備え、前記ワイヤ対の各ワイヤは、半径方向位置の変化を含む前記拡張可能構造体の遠位端から近位端までの経路を横断し、前記ワイヤ対の前記経路の途中で一方のワイヤは他方のワイヤの周りを通り、前記ワイヤ対は、前記遠位端と前記近位端の間に管状のメッシュ表面を形成し、前記ワイヤ対は、断面寸法が10〜150μmである。
前記ワイヤ対は、少なくとも2つの部分を含み、前記少なくとも2つの部分は、各々、湾曲部を含み、前記湾曲部は、位相差を伴って空間的に配置され、前記位相差は、少なくとも1つの次元で、前記少なくとも2つの部分間に空間を生成する、
請求項1に記載のデバイス。
長手方向中心軸は、前記デバイスの長さに沿った平行な円形断面の中心点を接続する線として定義され、前記デバイスの長さ全体に沿った各点において、前記円形断面は、前記デバイス内に含まれる最大の円である、
請求項1〜11のいずれか一項に記載のデバイス。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、閉塞性物質を脈管から除去するデバイスであって、
脈管に挿入する大きさである拡張可能構造体と、
前記拡張可能構造体の長手方向中心軸から半径方向に突出する1つ以上の突出部であって、前記突出部と前記拡張可能構造体のうち前記突出部に最も近い部分との間の空間が半径方向成分を含むように構成された、前記1つ以上の突出部と、
を備え、
前記空間は、閉塞性物質を受け入れるのに適した大きさおよび形状である、
前記デバイスが提供される。
【0004】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記デバイスは、ワイヤを含み、前記1つ以上の突出部は、ワイヤの一部分である。
【0005】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記突出部と前記拡張可能構造体の前記最も近い部分との間の空間は、前記デバイスの前記長手方向中心軸に正接する成分を含む。
【0006】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記突出部分と前記拡張可能構造体の前記最も近い部分との間の空間は、前記デバイスの前記長手方向中心軸に平行な成分を含む。
【0007】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記デバイスは、編組構造体を含み、前記突出部および前記最も近い部分は、前記編組構造体の縦糸および横糸ワイヤである。
【0008】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記1つ以上の突出部は、丸みを帯びている。
【0009】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記空間の前記半径方向成分は、0.01〜0.2mmである。
【0010】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記拡張可能構造体の前記長手方向中心軸は、前記拡張可能構造体内に包含可能な最大の円筒状空間の長手方向中心軸である。
【0011】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記最大の円筒状空間は、前記拡張可能構造体内に包含可能な最大長の円筒状空間である。
【0012】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記最大の円筒状空間は、前記拡張可能構造体内に包含可能な最大径の円筒状空間である。
【0013】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記最大の円筒状空間は、前記拡張可能構造体内に包含可能な最大容積の円筒状空間である。
【0014】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記拡張可能構造体は、つぶれた状態とさまざまな拡張形状とを有するように構成され、最大拡張状態まで拡張可能であり、
前記つぶれた状態における前記最大の円筒状空間の直径は、前記最大拡張状態における前記最大の円筒状空間の容積よりも小さい。
【0015】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記つぶれた空間における前記最大の円筒状空間の前記直径は、0.3〜2mmである。
【0016】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記最大拡張状態における前記最大の円筒状空間の前記直径は、1〜7mmである。
【0017】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記空間の前記半径方向成分は、前記拡張可能構造体が前記さまざまな拡張状態のそれぞれにあるときのほうが、前記デバイスが前記つぶれた状態にあるときよりも、大きい。
【0018】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記突出部と前記最も近いデバイス部分とは、少なくとも2つの接合部で結合され、前記2つの接合部間にある前記突出部の軸方向長さは、前記2つの接合部間にある前記最も近いデバイス部分の軸方向長さよりも長い。
【0019】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記突出部および前記最も近いデバイス部分は、湾曲して、当該部分間に位相差があるように空間的に配置されている。
【0020】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記拡張可能構造体は、複数の突出部を含む。
【0021】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記複数の突出部は、前記拡張可能構造体に沿った軸方向位置の周りの異なる半径方向位置に配置されている。
【0022】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記複数の突出部の1つ以上は、前記拡張可能構造体に沿った異なる軸方向位置で1つ以上の他の突出部から分散されている。
【0023】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記拡張可能構造体は、
複数のワイヤであって、各ワイヤが、前記拡張可能構造体の遠位端および近位端においてそれぞれ異なる半径方向位置で結合される、前記複数のワイヤ、を備え、
前記各ワイヤは、半径方向位置の変化を含む前記遠位端から前記近位端までの経路を横断し、
前記経路の途中で、1つ以上のワイヤは、1つ以上の他のワイヤの上および1つ以上の他のワイヤの下を通り、
前記複数のワイヤは、前記遠位端と前記近位端との間で管状のメッシュ表面を形成し、
1つのワイヤの少なくとも一部分は、前記ワイヤ経路が出発して前記管状のメッシュ表面から離れて半径方向に突出しさらに軸方向に伸張して、前記一部分と前記管状のメッシュ表面との間に前記空間を画定する、突出部を含む。
【0024】
本発明のいくつかの実施形態によれば、半径方向位置の変化を含む前記経路は、螺旋状経路である。
【0025】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記デバイスは、
前記拡張可能構造体の前記近位端に取り付けられ、前記長手方向中心軸から離れて半径方向に伸張する少なくとも1つのワイヤループ、を備え、
前記空間は、ワイヤループ内にある。
【0026】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記デバイスは、
複数のワイヤループであって、各ワイヤループが、前記拡張可能構造体の前記近位端に取り付けられた、前記複数のワイヤループ、を備え、
前記空間は、2つのワイヤループの間にある。
【0027】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記デバイスは、
複数のワイヤであって、各ワイヤが、前記拡張可能構造体の遠位端および近位端においてそれぞれ異なる半径方向位置で結合される、前記複数のワイヤ、を備え、
前記各ワイヤは、半径方向位置の変化を含む前記遠位端から前記近位端までの経路を横断し、
前記経路の途中で、1つ以上のワイヤは、1つ以上の他のワイヤの上および1つ以上の他のワイヤの下を通り、
前記複数のワイヤは、前記遠位端と前記近位端との間で管状のメッシュ表面を形成し、
1つ以上のワイヤループは、前記管状のメッシュ表面から少なくとも半径方向に突出する。
【0028】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記デバイスは、
複数のワイヤであって、各ワイヤが、前記拡張可能構造体の遠位端および近位端においてそれぞれ異なる半径方向位置で結合される、前記複数のワイヤ、を備え、
前記各ワイヤは、半径方向位置の変化を含む前記遠位端から前記近位端までの経路を横断し、
前記経路の途中で、1つ以上のワイヤは、1つ以上の他のワイヤの上および1つ以上の他のワイヤの下を通り、
前記複数のワイヤは、前記遠位端と前記近位端との間で管状のメッシュ表面を形成し、
少なくとも1つのワイヤは、突出部を含む。
【0029】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記形状は、前記閉塞性物質の少なくとも一部分を受け入れるのに適した大きさおよび形状である。
【0030】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、閉塞性物質を脈管から除去する方法であって、
収縮した拡張可能構造体を閉塞性物質の軸方向近傍に置く工程と、
前記拡張可能構造体を閉塞性物質に結合させる工程であって、前記閉塞性物質が、前記デバイスの構造体突出部と長手方向中心軸との間の少なくとも1つの空間に入る、当該工程と、
前記拡張可能構造体を移動させることによって、前記閉塞性物質を脈管から除去する工程と、
を含む前記方法が提供される。
【0031】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記少なくとも1つの空間は、複数の空間である。
【0032】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記複数の空間は、前記拡張可能構造体の長手方向軸に沿った異なる位置にある空間を含む。
【0033】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記複数の空間は、異なる半径方向位置にある空間を含む。
【0034】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記結合させる工程は、前記閉塞性物質の異なる部分に結合させ、各部分が、前記複数の空間の異なる空間に入る。
【0035】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記結合させる工程は、前記拡張可能構造体を拡張させることを含む。
【0036】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記拡張させることは、少なくとも1次元で、前記空間の大きさを増大させることを含む。
【0037】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記拡張させることは、少なくとも1次元で、前記空間の大きさを減少させることを含む。
【0038】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記少なくとも1つの空間は、構造体突出部と第2の構造体部分との間にある。
【0039】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記結合させる工程は、前記閉塞性物質の軸方向近傍を通って前記拡張可能構造体を引っ張ることを含む。
【0040】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記結合させる工程は、前記拡張可能構造体を前記閉塞性物質に押し込むことを含む。
【0041】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記方法は、少なくとも1次元で、前記少なくとも1つの空間を収縮する工程を含む。
【0042】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記除去する工程は、方向および幾何学形状が変化する前記脈管の部分を通って前記デバイスを移動させることを含む。
【0043】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記拡張させることは、前記デバイスが前記脈管の壁に外向きの力を加えるまで前記デバイスを拡張することを含む。
【0044】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記デバイスは、前記除去する間中、前記脈管の壁に外向きの力を加える。
【0045】
別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および/または科学用語の意味は、本発明が関係する分野の当業者によって一般に理解される意味と同じである。本明細書に記載するものと同様または等価の方法および材料は、本発明の実施形態の実施または試験で使用することができるが、例示的な方法および/または材料については以下に記載する。矛盾が生じた場合、定義を含む特許明細書が優先する。それに加えて、材料、方法、および実施例は単なる例示であって、必ずしも限定であることを意図しない。
【0046】
本発明のいくつかの実施形態について、添付図面を参照して、単なる例として本明細書に記載する。ここで、図面の詳細を具体的に参照する場合、図示される特徴は例であり、本発明の実施形態を図解して考察するためのものであることが強調される。この点に関して、説明を図面と組み合わせることで、本発明の実施形態をどのように実施できるかが当業者には明白となる。
【発明を実施するための形態】
【0048】
本発明は、そのいくつかの実施形態では、管腔内の閉塞を除去するデバイスおよび方法に関し、より詳細には、ただしこれに限らないが、凝塊を血管から除去する拡張可能なデバイスに関する。
【0050】
本発明のいくつかの実施形態の広範な態様は、血管内から閉塞物を除去する拡張可能なデバイスおよび方法に関する。いくつかの実施形態では、デバイスは閉塞物に結合され、そして閉塞物と共に血管から除去される。
【0051】
いくつかの実施形態では、デバイスが(例えば、デバイスの長手方向軸に対して垂直な半径方向で)寸法を変えるとき、ならびに/またはデバイスが屈曲するときおよび/もしくはつぶれるとき、デバイスと閉塞物との間の結合は少なくとも部分的に維持される。例えば、デバイス除去の間、デバイスは、脈管の方向(例えば、屈曲)および/または幾何学形状の変化に抗する。
【0052】
本発明のいくつかの実施形態の一態様は、閉塞物(例えば、凝塊物質)の少なくとも一部分を拡張可能なデバイスの一部分の下で捕捉することによって、閉塞物をデバイスに結合することに関する。例えば、閉塞物の少なくとも一部分を、半径方向成分を有するデバイスの空間内で捕捉すること(例えば、空間は、デバイスの長手方向中心軸から半径方向の次元を含む)。例えば、閉塞物の少なくとも一部分を、突き出た部分(本明細書では、「突出部」とも呼ばれる)と、突出部に最も近い部分との間の空間(例えば、2つの部分を接続する最短のベクトルを有する)内で捕捉すること。
【0053】
いくつかの実施形態では、凝塊物質は、デバイスの半径方向に突出する部分の下で捕捉される。ただし、半径方向は、デバイスの長手方向中央軸から測定される。例えば、血栓物質は(半径方向で)デバイスの長手方向中央軸と突出部との間に捕捉される。
【0054】
いくつかの実施形態では、デバイスは、例えば、デバイスの突出部が例えば脈管壁に接触するように、かつ/または接触するまで脈管内で拡張されて、(例えば、デバイスが閉塞性物質を通り越して引っ張られる際に)突出部の下の閉塞性物質を捕捉する。いくつかの実施形態では、デバイスが除去される際、例えば、脈管内の幾何学形状の変化(例えば、屈曲、ならびに/または断面積および/もしくは形状の変化)の間、突出部は脈管壁との接触を維持する。
【0055】
デバイスが非円筒状および/または不規則形状(例えば、曲げられた不規則形状の断面)を有する実施形態では、長手方向中央軸は、デバイスによって完全に包含される最大容積(および/または最大径および/または最大長)の円筒から伸張する長手方向中央軸として定義される。その代わりに、またはそれに加えて、長手方向中央軸は、デバイスの長さに沿った平行な円形断面の中心点を接続する線として定義され、形状の長さ全体に沿った各地点において、円形断面はデバイス内に含まれる最大の円である。例えば、円筒状の中央部分とテーパー状の端部を含むデバイスの場合、長手方向中央軸は、円筒状の中央部分の中心を通り、テーパー状の端部において完全に包含される円錐の中心軸を通って伸張するものとして定義されてもよい。例えば、湾曲および/または屈曲を有する管状デバイスの場合、長手方向中心軸はデバイスの湾曲に追随する。
【0056】
いくつかの実施形態では、閉塞性物質は少なくとも1つの突出部の下に伸張し、当該物質は、突出部の長さの30%〜95%もしくは40%〜90%もしくは50%〜80%、またはそれ以下もしくはそれ以上もしくは中間の範囲または比率で突出部の下に入る。
【0057】
いくつかの実施形態では、突出部は、凝塊が突出部の下に収まるように十分な大きさにサイズ決めされる。いくつかの実施形態では、凝塊は、デバイスを血管内で動かすことによって、突出部の下で捕捉される。
【0058】
いくつかの実施形態では、突出部は、例えば丸み付けられて、デバイスを拡張する間および/またはデバイスを脈管内で動かす間、脈管を損傷するのを潜在的に防ぐ。
【0059】
本発明のいくつかの実施形態の一態様は、拡張可能なデバイスの少なくとも2つの部分の間、例えば2つのワイヤ(例えば、ニチノールワイヤ)間の空間に凝塊を捕捉することによって、凝塊物質をデバイスに結合することに関する。いくつかの実施形態では、部分間の空間は、凝塊の少なくとも一部分、および/または凝塊をデバイスに結合するのに十分な大きさである凝塊の一部分を、受け入れるのに十分な大きさであるようにサイズ決めされる。いくつかの実施形態では、閉塞性物質は少なくとも2つのデバイス部分の間に挟まれる。
【0060】
いくつかの実施形態では、空間は半径方向成分を含む。
【0061】
いくつかの実施形態では、空間を画定する2つのワイヤ間の最短距離と、突出するワイヤおよび長手方向中央軸を接続する半径方向線との間の角度は、90°未満もしくは5〜89°もしくは10〜85°、またはそれ以下もしくはそれ以上もしくは中間の範囲または角度である。
【0062】
いくつかの実施形態では、凝塊物質が間に捕捉される2つの部分は、突出部と、突出部に(少なくとも1つの次元で)最も近いデバイスの第2の部分とを含む。
【0063】
いくつかの実施形態では、空間を画定する1つ以上の部分は、デバイスの中心軸からの異なる半径方向分離を有する。それに加えて、またはその代わりに、いくつかの実施形態では、空間を画定する1つ以上の部分は、デバイスの中心軸から異なる角度配向を、例えば、デバイスの外表面上における異なる円周方向位置を有する。
【0064】
例示的な一実施形態では、デバイスを拡張すると、2つのデバイス部分間の半径方向空間が増大する一方、異なる次元(例えば、半径方向に対して垂直)では当該部分間の空間の寸法が減少する。例えば、当該部分の移動によって、潜在的に空間内の閉塞性物質を挟む。
【0065】
いくつかの実施形態では、凝塊物質がデバイス内の空間(例えば、2つの部分の間、および/または突出部の下)に入ると、例えば、空間が(例えば、1つ以上の次元で)低減されて、凝塊がデバイス内で保持される。
【0066】
いくつかの実施形態では、凝塊物質は、2つ以上の部分、例えば3つ、もしくは4つ、もしくは5つ、もしくは3〜10個、またはそれ以下もしくはそれ以上もしくは中間の数の部分の間で捕捉される。
【0067】
任意選択で、いくつかの実施形態では、デバイスは、患者の体内の凝塊部位まで送られ、拡張されて、例えば、デバイスの部分の下および/または間の空間を拡大する。それに加えて、またはその代わりに、いくつかの実施形態では、デバイスを屈曲および/または捻転および/または回転させることによって、空間が拡大される。
【0068】
例示的な一実施形態では、デバイスはワイヤ対を含み、デバイスの拡張(および/または屈曲および/または回転)によって、ワイヤ対のワイヤのうち一方がワイヤ対の他方のワイヤよりも、デバイスの中心軸から軸方向で突出する。
【0069】
いくつかの実施形態では、凝塊物質がデバイス内で捕捉されると、デバイスは、血管内で動かされて、デバイスと血管壁との間で保持された凝塊物質を移動させる。
【0070】
いくつかの実施形態では、デバイスが血管内で動かされるにつれて、デバイスの形状が変更され、ならびに/または変化して、血管の幾何学形状の変化と共に、デバイスと凝塊物質との間の接触および/または結合が維持される。
【0071】
いくつかの実施形態では、突出部の下および/またはデバイスの部分間の空間は、種々のデバイス寸法に対して、凝塊物質を捕捉するのに適しているようにサイズ決めされて、潜在的には種々の血管サイズから凝塊を除去するのを可能にする。
【0072】
いくつかの実施形態では、(例えば、凝塊物質を捕捉するのに適した)1つ以上の次元での空間のサイズは、0.005〜0.5mmもしくは0.01〜0.2mmもしくは0.5〜0.1mm、またはそれ以下もしくはそれ以上もしくは中間の範囲またはサイズである。
【0073】
いくつかの実施形態では、デバイスは、1〜7mmもしくは2〜6mmもしくは1〜5mm、またはそれ以下もしくはそれ以上もしくは中間の範囲またはサイズの直径まで拡張可能である(例えば、その直径の血管内で使用するのに適したデバイス)。直径という用語は、デバイスの円筒状部分の直径、および/またはデバイスの拡張可能な部分の平均直径、および/または拡張可能なデバイス内に完全に包含される円筒の直径を指す。
【0074】
いくつかの実施形態では、デバイスは、0.3〜2mmもしくは0.3〜1.5mmもしくは0.4〜1mm、またはそれ以下もしくはそれ以上もしくは中間の範囲またはサイズの、つぶれ時および/または非拡張時の直径を含む。
【0075】
いくつかの実施形態では、デバイスは、種々の異なる直径まで拡張可能であり、デバイスの最大直径(例えば、最大容積の直径および/またはデバイス内に収容される直径円筒)は、1〜7mmもしくは2〜6mmもしくは1〜5mm、またはそれ以下もしくはそれ以上もしくは中間の範囲またはサイズである。
【0076】
いくつかの実施形態では、ワイヤ対は、2つの地点で互いに取り付けられた少なくとも2つの部分(例えば、細長い要素)を含み、取付け地点間における第1の部分の長さと第2の部分の長さは異なる。いくつかの実施形態では、2つの地点間の最短距離の変化(例えば、デバイスの拡張中)によって、ワイヤ間の空間が増大する。
【0077】
いくつかの実施形態では、ワイヤ対は、少なくとも2つの部分(例えば、細長い要素)を含み、それらはそれぞれ湾曲部を含み、湾曲部は位相差を伴って空間的に配置され、位相差は、少なくとも1つの次元で、当該部分間の空間を生成する。
【0078】
本発明の少なくとも1つの実施形態について詳細に説明する前に、本発明は、以下の説明に記述される、かつ/あるいは図面および/または実施例に例示される、構造の詳細ならびに構成要素および/または方法の構成に、その応用が必ずしも限定されないことが理解されるべきである。本発明は、他の実施形態が可能であり、様々な手法で実践または実施されることが可能である。
【0080】
図1は、本発明のいくつかの実施形態による、脈管から閉塞物(例えば、凝塊)を除去する例示的な方法のフローチャートである。
【0081】
100で、いくつかの実施形態では、画像診断、例えば超音波(例えば、Duplex超音波)および/またはMRIおよび/またはCTおよび/またはX線画像診断を使用して、脈管閉塞物(本明細書では、閉塞物とも呼ばれる)の位置が特定される。
【0082】
102で、デバイスは、閉塞物の近くに(本明細書では、「〜の近傍に」とも称される)、例えば、デバイスの少なくとも一部分が血管の軸方向で凝塊と重なり合うような血管内の位置に位置付けられる。例えば、デバイスが位置付けられるのは、閉塞物から0〜30mm、もしくは0〜10mmもしくは0.5〜10mmもしくは1〜10mm、またはそれ以下もしくはそれ以上もしくは中間の範囲または距離である。
【0083】
いくつかの実施形態では、デバイスは、閉塞物から距離を置いて血管に導入され、例えば、導入部位(例えば、切開部)から、デバイスが閉塞物の近くに至るまで、例えば閉塞の部位に至るまで(例えば、デバイスに取り付けられた十分な長さの細長い要素を使用して)押される。いくつかの実施形態では、例えば、血管の長さを通じて伸張する大きい閉塞物の場合、デバイスは、例えば医師によって選択された、所望の位置に位置付けられる。
【0084】
いくつかの実施形態では、閉塞位置へのデバイスの位置付けは、画像診断(例えば、CT、X線、超音波、MRI)を使用して、任意選択で血管に導入される造影剤を使用してガイドされる。
【0085】
例示的な一実施形態では、ガイドワイヤが最初に位置付けられ、次にカテーテルがガイドワイヤを越えて挿入され、次にデバイスがカテーテルを通して導入される。
【0086】
いくつかの実施形態では、閉塞物の近くにデバイスを位置付けることによって、閉塞物の少なくとも一部分がデバイスに結合され、その場合、例えば閉塞物の少なくとも一部分がデバイス内の空間に入る。いくつかの実施形態では、閉塞物の少なくとも一部分は、(例えば、本明細書に記載するように)デバイスの一部分の半径方向下の空間に入る。
【0087】
いくつかの実施形態では、デバイスの一部分(例えば、拡張可能構造体の少なくとも一部分)は、除去される前に、閉塞性物質を通して、ならびに/またはそれを越えて押される。例示的な一実施形態では、つぶれた構成の拡張可能構造体の少なくとも一部分が、除去されるべき閉塞性物質を越えて、ならびに/またはそれを通して押される。いくつかの実施形態では、拡張可能構造体は次に拡張され、その後に除去される。いくつかの実施形態では、突出部を突出させ、拡張可能構造体が除去される際に閉塞性物質を除去する(例えば、「掻き取る」)。
【0088】
104では、デバイスが拡張される。いくつかの実施形態では、デバイスを拡張することによって、デバイスが閉塞性物質の少なくとも一部分と結合する。
【0089】
いくつかの実施形態では、デバイスを拡張することによって、デバイスの少なくとも一部分の下において少なくとも1つの空間が生成および/または拡大される。いくつかの実施形態では、デバイスを拡張することによって、閉塞性物質が中に入るように適切にサイズ決めされた空間が生成される。
【0090】
いくつかの実施形態では、デバイスを捻転および/または屈曲および/または回転させることによって、デバイス内の1つ以上の空間が生成および/または拡大される。
【0091】
いくつかの実施形態では、デバイスに取り付けられた細長い要素を引っ張り、および/または押し、および/または回転させることによって、デバイス内の空間、ならびに/またはデバイス(例えば、デバイスの直径および/もしくは半径方向の最大範囲)が拡張される。
【0092】
いくつかの実施形態では、デバイスの一部分をデバイスの長手方向中心軸から分離することによって、空間が生成および/または拡大されて、例えば、デバイス内の少なくとも1つの半径方向空間のサイズが増大する。
【0093】
いくつかの実施形態では、デバイスの1つ以上の部分間を分離することによって、空間が生成および/または拡大されて、少なくとも1つの次元で、また例示的な一実施形態では少なくとも半径方向の次元で増大する。
【0094】
いくつかの実施形態では、デバイスの拡張によって、デバイスの部分間におけるデバイスの表面上の空間(例えば、長手方向中心軸に対して正接および/または平行)が増大する。
【0095】
いくつかの実施形態では、例えば、デバイスの拡張は、デバイスの長軸に対して垂直なデバイスの半径方向寸法および/または断面積(例えば、デバイスの平均断面積)を増大させることを含む。いくつかの実施形態では、デバイスの半径方向寸法の増大は、デバイスの長手方向長さの減少と対応する。
【0096】
106では、閉塞物の少なくとも一部がデバイスの少なくとも一部分の下に入る。
【0097】
いくつかの実施形態では、デバイスの拡張によって、閉塞物の少なくとも一部分がデバイスに入り、例えば、デバイスの一部分の軸方向下の空間(例えば、デバイスの長手方向中央軸に軸方向でより近い空間)に入る。
【0098】
いくつかの実施形態では、デバイスの拡張によって、(例えば、
図2Bに関して上述したように)デバイスの2つの部分間の分離が増大して、閉塞性物質がそこに入る。
【0099】
それに加えて、またはその代わりに、いくつかの実施形態では、デバイスの挿入によって、物質がデバイスの1つ以上の部分の下に入る。
【0100】
その代わりに、またはそれに加えて、いくつかの実施形態では、デバイスの拡張および/または挿入の間および/または後に、デバイスが動かされて(例えば、長手方向中心軸を中心にして回転させられ、かつ/または血管内で軸方向に動かされて)、閉塞性物質がデバイス内の空間に入る。
【0101】
任意選択で、いくつかの実施形態では、次に、デバイスは収縮(例えば、部分的に収縮)されて、例えば、凝塊物質が入っている空間のサイズが(例えば、少なくとも1つの次元で)低減され、凝塊物質がデバイスの部分の下および/または間で捕捉および/または保持される。いくつかの実施形態では、デバイスは、デバイスが除去される前、および/またはデバイスが除去されている間に収縮される。
【0102】
108で、いくつかの実施形態では、デバイスが(例えば、デバイスに取り付けられた細長い要素を引っ張ることによって)引き抜かれる。いくつかの実施形態では、デバイスの引き抜きによって、閉塞性物質をその中に潜在的に保持している空間のサイズが低減される。任意選択で、いくつかの実施形態では、血管壁の形状に適合し、例えば断面積を変化させ、ならびに/または血管の屈曲に適合して、潜在的に凝塊をデバイスと血管壁との間で保持する。
【0104】
次に、
図2A〜Bを参照する。
図2Aは、本発明のいくつかの実施形態による、凝塊202がある血管204内におけるデバイスの2つの部分212、214の単純化した概略断面図である。
【0105】
例示的なデバイス内の空間の例としては、次のものが挙げられる。
【0106】
空間が、突出部608とデバイス本体610の部分との間に形成される、
図6A。
【0107】
空間が、ループ708内および/またはループ708間および/またはループとデバイス本体710との間に形成される、
図7A。
【0108】
空間が、例えばワイヤ812および814の間に形成される、
図8B。
【0109】
図2A〜Cは、デバイスの長手方向軸に対して垂直に断面が取られた、デバイスの断面図を示している。血管壁204の一部のみが例示されている。
【0110】
いくつかの実施形態では、デバイスの拡張によって、部分212、214間の分離が1つ以上の次元で増大する。例えば、いくつかの実施形態では、デバイスを拡張する際、デバイスの2つの部分間の空間は、デバイスの長手方向中心軸に対して垂直な方向と、デバイスの表面上(例えば、長手方向中心軸に対して正接および/または平行)の両方で増大する。
【0111】
いくつかの実施形態では、デバイスの拡張によって、部分212、214間の分離が、1つの次元では増大し、別の次元では減少する。例えば、
図12A〜Cに関連して記載されるようなものである。
【0112】
図2Bは、本発明のいくつかの実施形態による、閉塞物がある血管内におけるデバイス拡張後のデバイスの2つの部分の単純化した概略断面図である。例示的な一実施形態では、デバイスの拡張によって、部分212、214間の半径方向分離T’が増大し(T’>T)、ならびに/または当該部分の正接方向分離D1’が増大する(D1’>D1)。
【0113】
上述したように、いくつかの実施形態では、デバイスを閉塞性物質に挿入すること、および/またはデバイスを閉塞性物質の近くに位置付けることによって、閉塞性物質がデバイスの1つ以上の部分の下に入る。次に
図2Aを参照すると、いくつかの実施形態では、デバイスを挿入する際に、凝塊物質202は、デバイスの2つの部分212、214(例えば、ワイヤ対)の間の空間に入る。いくつかの実施形態では、部分212、214は1つ以上の次元によって分離される。例えば、
図2Aに示されるように、例示的な一実施形態では、部分212、214は、距離D1の分、(デバイスの長手方向軸に対して)軸方向で分離され、距離Tの分、(長手方向軸に対して)接線方向で分離される。
【0114】
上述したように、いくつかの実施形態では、(例えば、デバイス拡張後に)デバイスは次に収縮(例えば、部分的に収縮)されて、例えば、凝塊物質が入っている空間のサイズが(例えば、少なくとも1つの次元で)低減され、凝塊物質がデバイスの部分の下および/または間で捕捉および/または保持される。いくつかの実施形態では、デバイスは、デバイスが除去される前、および/またはデバイスが除去されている間に収縮される。
【0115】
図2Cは、本発明のいくつかの実施形態による、閉塞物がある血管内におけるデバイス収縮後のデバイスの2つの部分の単純化した概略断面図である。いくつかの実施形態では、収縮後、部分間の分離は1つ以上の次元で減少され、例えばT’’<T’および/またはD’’<D’である。
【0116】
図2Cでは、部分212、214間の空間は、部分214が動いて血管204から離れることによって半径方向で低減されているが、いくつかの実施形態では、空間の半径方向サイズは、例えば部分212を半径方向で動かし、一方で例えば、閉塞性物質202に対する214の半径方向圧力が維持されることによって低減されて、例えば、デバイスの部分の間に物質が挟まれる。
【0117】
いくつかの実施形態では、任意の箇所(例えば、
図12A〜D)で更に詳細に記載するように、デバイスを拡張すると、2つのデバイス部分間の半径方向空間が増大する一方、異なる次元(例えば、半径方向に対して垂直)では部分間の空間の寸法が減少する。例えば、当該部分の移動によって、空間内の閉塞性物質が挟まれる。
【0118】
図2Dは、本発明のいくつかの実施形態による、突出部214を含むデバイス200の単純化した概略断面図である。
【0119】
いくつかの実施形態では、突出部214は、デバイスの本体242の上方に突出する。デバイスの本体は、デバイス部分(
図2Dおよび
図2Eの実線で囲った円として示される)内に完全に包含される最大円形断面242によって画定されうる。
【0120】
いくつかの実施形態では、突出部分214とデバイスの他の最も近い部分212との間の空間は、半径方向成分を含む。いくつかの実施形態では、デバイスの中央長手方向点236から伸張する半径方向線と、突出部分214に最も近いデバイスの部分212との間の角度θ1は、90°未満もしくは5〜89°もしくは10〜85°、またはそれ以下もしくはそれ以上もしくは中間の範囲または角度である。
【0121】
いくつかの実施形態では、(例えば、非円筒状の)デバイスの長手方向中央軸は、デバイスによって完全に包含される最大の円筒から伸張する長手方向中央軸として定義される。
図2Eは、本発明のいくつかの実施形態による、突出部214を含むデバイス200の単純化した概略断面図である。いくつかの実施形態では、デバイスの1つ以上の部分は、非円形断面を、例えば、
図2Eによって示されるような楕円形の断面を含む(デバイス部分は、実線で囲った円によって示される)。円242は、この地点においてデバイスによって包含される最大円形断面を示しており、長手方向中心点236を定義している(長手方向点を定義する、デバイスによって完全に包含される最大円形断面は、長手方向中心軸を定義する)。
【0122】
いくつかの実施形態では、デバイスの長手方向中心点236から伸張する半径方向線と、突出部214に最も近いデバイスの部分212との間の角度θ2は、90°未満もしくは5〜89°もしくは10〜85°、またはそれ以下もしくはそれ以上もしくは中間の範囲または角度である。
【0124】
例示的な一実施形態では、閉塞物は、血管を閉塞させる凝塊である。
【0125】
図3Aは、血管304内の凝塊302の単純化した概略断面図である。いくつかの実施形態では、凝塊302は、血管の一部分の実質的に全てを閉塞する(例えば、閉塞物は、血管の少なくとも一部分に関して、血管の断面を実質的に占める)。
【0126】
図3Bは、本発明のいくつかの実施形態による、血管304内の凝塊302および凝塊302の近傍まで送られた拡張可能なデバイス300の単純化した概略断面図である。いくつかの実施形態では、デバイス300の挿入によって、凝塊の少なくとも一部分が動き、例えば、凝塊302の一部分を血管壁から変位させる。いくつかの実施形態では、デバイス300を位置付けることによって、凝塊302の部分306がデバイス300に入り、例えばデバイス内の空間(例えば、1つ以上の突出部の半径方向下、および/または1つ以上の突出部内、および/またはデバイスの本体内)に入る。
【0127】
いくつかの実施形態では、凝塊302の少なくとも一部分がデバイス300内の少なくとも1つの空間に入るように、デバイス300が拡張される。
図3Cは、本発明のいくつかの実施形態による、血管304内で拡張されて凝塊302を捕捉しているデバイス300の単純化した概略断面図である。
【0128】
図3Dは、本発明のいくつかの実施形態による、デバイスの長手方向軸に対して垂直に取った、凝塊302の軸方向位置において血管304内で拡張させたデバイス300の断面図である。
【0129】
いくつかの実施形態では、
図3Dは、
図3Cに示されるような面A−Aで取った断面である。いくつかの実施形態では、凝塊物質302aは、拡張されたデバイス300内の少なくとも1つの空間に入る。
【0131】
上述したように、いくつかの実施形態では、デバイスは、閉塞物(例えば、凝塊)を除去する間、血管が方向および/または寸法を変化させる場合を含めて、閉塞物を血管壁に対して保持する。
【0132】
いくつかの実施形態では、デバイスの1つ以上の部分(例えば、1つ以上の突出部)は、デバイスと血管壁との間にある目立つ物質に対する十分な外向きの力を維持し、かつ/または、任意選択で血管の幾何学形状およびサイズに合わせて変化する間、目立つ物質がデバイスと共に血管を通って移動するように、デバイスは、閉塞性物質をデバイス空間内で保持する。
【0133】
例えば、いくつかの実施形態では、1つ以上の突出部(例えば、突出部608)は、様々な血管の断面積に対して血管壁との接触を維持する。
【0134】
図4Aは、本発明のいくつかの実施形態による、拡張可能なデバイス400と血管404内の捕捉された凝塊402の単純化した概略断面図である。
【0135】
図4Bは、本発明のいくつかの実施形態による、血管404の湾曲部を通って凝塊402を除去している拡張可能なデバイス400の単純化した概略断面図である。
【0136】
図4Cは、本発明のいくつかの実施形態による、血管404の拡大した部分を通って凝塊を除去している拡張可能なデバイス400の単純化した概略断面図である。
【0137】
図4Dは、本発明のいくつかの実施形態による、血管404の湾曲部および断面積変化部を移動しながら凝塊物質402を除去している拡張可能なデバイス400の単純化した概略断面図である。
【0138】
デバイスの挿入と閉塞物との例示的な相互作用
【0139】
いくつかの実施形態では、デバイスの挿入および/または位置付けによって、(例えば、
図3Bおよび
図3Cに示されるように)デバイスが閉塞物と血管の壁との間に配置される。
【0140】
いくつかの実施形態では、デバイスは閉塞物に挿入される。いくつかの実施形態では、デバイスを閉塞物に挿入することによって、閉塞性物質がデバイスから離れるように押される。それに加えて、またはその代わりに、いくつかの実施形態では、デバイスを閉塞物に挿入することによって、閉塞性物質の一部がデバイス空間(例えば、1つ以上の突出部の半径方向下、および/または1つ以上の突出部内、および/またはデバイスの本体(例えば、610、810)内)に入る。いくつかの実施形態では、閉塞性物質は、例えば
図6Aによって示されるように、血管の壁を少なくとも部分的に覆っている。
【0141】
図5Aは、本発明のいくつかの実施形態による、血管504内の凝塊502の近くまで送られた拡張可能なデバイス500の単純化した概略断面図である。
【0142】
図5Bは、本発明のいくつかの実施形態による、拡張されて凝塊502を捕捉している
図5Aのデバイスの単純化した概略断面図である。
【0144】
図6Aは、本発明のいくつかの実施形態による、閉塞物602の近傍において血管604内で拡張されたデバイス600の単純化した概略側面図である。
【0145】
例示的な一実施形態(例えば、
図6Aに示されるような)では、デバイス(例えば、均一な外圧下)は、円筒状の外形を有する中央部と、テーパー状の外形を有する末端部とを含む。
【0146】
その代わりに、またはそれに加えて、いくつかの実施形態では、デバイスは、長円形断面部(例えば、中央部)を含む。その代わりに、またはそれに加えて、いくつかの実施形態では、デバイスは不規則形状を含む。
【0147】
いくつかの実施形態では、デバイス600は、複数のワイヤで形成された拡張可能構造体を含み、ワイヤの1つ以上は、当該拡張可能構造体の遠位端および近位端において異なる半径方向位置で結合される。
【0148】
いくつかの実施形態では、デバイスは、デバイスの遠位端から近位端までワイヤの半径方向位置(例えば、長手方向中心軸から当該位置までの角度)の変化を含む経路(例えば、螺旋経路)を横断する、ワイヤを含む。いくつかの実施形態では、個々のワイヤは、他のいくつかのワイヤの上を、また残りのワイヤの下を、その経路に沿って横切る。例示的な一実施形態では、例えば
図6A〜Bに示されるように、別の方法として、ワイヤはそれらの経路内で連続するワイヤの下および上を通って、例えばメッシュを形成する。
【0149】
いくつかの実施形態では、1つ以上のワイヤは、ワイヤの遠位端および/または近位端で接続された、1つ以上の他のワイヤに接続される。いくつかの実施形態では、ワイヤは、例えば溶接および/または接着によって、互いに接続される。
【0150】
いくつかの実施形態では、ワイヤは、1つ以上の要素によって1つ以上の端部で接続される。例えば、いくつかの実施形態では、ワイヤは近位端において、ユーザがデバイスに対して力を加える(細長い要素に対して力を加えることによってデバイスを押し、かつ/または引く)のに用いられる細長い要素616に結合される。いくつかの実施形態では、ワイヤは、末端部620をキャッピング(capping)することによって、拡張可能構造体の遠位端で結合される。
【0151】
いくつかの実施形態では、近位端から遠位端まで伸張する2つ以上のワイヤが、遠位端から近位端までを2回以上横切る経路を横断する単一のワイヤから形成される。
【0152】
いくつかの実施形態では、デバイスを形成するワイヤは管状のメッシュ表面を形成し、デバイスの本体610は遠位端と近位端との間にある。
【0153】
いくつかの実施形態では、拡張可能構造体は、(例えば、
図8Bの末端部820に接続された要素824に関して記載されるように)末端部620に接続された要素を使用して、例えば、末端部620と細長い要素616との間の長手方向距離を低減することによって拡張される。
【0155】
いくつかの実施形態では、デバイス(例えば、600、700、800)は、(例えば、上述したように)凝塊物質がその下で捕捉される1つ以上の突出部(例えば、608、708、812)を含む。
【0156】
いくつかの実施形態では、突出部(例えば、608)は、例えば、デバイスが除去される際に突出したままであって、(例えば、デバイス本体610に対して)扁平になることおよび/または折り返されることがない。いくつかの実施形態では、突出部は、デバイスが除去される際に突出したままである十分な強度があるように選択されたワイヤから構築される。例えば、いくつかの実施形態では、突出部は、十分な抵抗力および/または慣性モーメントを提供するように選択された(例えば、以下で定量化するような)断面寸法を有するワイヤで構築される。
【0157】
いくつかの実施形態では、突出部は、血管に対して外向きの(例えば、弾性)力を加えて、血管の断面寸法の変化によって突出部と血管壁との間の接触を潜在的に維持する。例示的な一実施形態では、凝塊を除去するために、突出部を含むデバイスの弾性的に弛緩した断面寸法は、デバイスが通る最大の血管よりも大きい(例えば、突出部は、閉塞性物質および/または血管壁に対する弾性力を維持し、デバイスが閉塞性物質を除去している間、および/またはデバイスを除去する間、弾性的に弛緩しない)。
【0158】
例示的な一実施形態では、突出部608は丸み付けられて、デバイスを使用する間の、例えばデバイスが血管内へと拡張され、かつ/または血管を通って動かされるときの、(例えば、血管壁に対する)損傷のリスクを潜在的に低減する。
【0159】
いくつかの実施形態では、丸み付けられた突出部は、先端(半径方向に最も突出する部分)を含み、先端の幅は、突出部の長さの少なくとも20%、または少なくとも30%、または少なくとも40%であり、突出部の長さは、デバイス本体から半径方向に伸張するワイヤの軸方向長さとして測定される。
【0160】
デバイス本体に対する突出部の例示的な角度
【0161】
いくつかの実施形態では、1つ以上の突出部は角度を付けられて、突出部の遠位側外形がデバイスの除去方向630に対して鋭角θを有する。
【0162】
いくつかの実施形態では、デバイス600の拡張中、角度θは増加して、突出部608の下の軸方向空間を増大させる。いくつかの実施形態では、デバイス600の収縮中、角度θは減少して、凝塊物質を潜在的に保持する。
【0163】
いくつかの実施形態では、突出部は、例えば、デバイスの移動中に凝塊物質を捕捉するように角度を付けられ、1つ以上の突出部は、デバイスの中心軸および/または移動方向に対して鋭角で角度を付けられる。
【0165】
いくつかの実施形態では、1つ以上の突出部はループ構造(例えば、608、708)である。例えば、ワイヤがループを形成する場合、デバイスの近位端または遠位端に両方とも接続される遠位端および近位端を含む。例えば、
図6Aによって示されるデバイスは突出部608を含み、当該突出部は、細長い構成要素616に対して両端で接続されたワイヤによって形成される。
【0166】
いくつかの実施形態では、ループ端部はデバイスの異なる部分に接続される。
【0167】
いくつかの実施形態では、突出部を形成するワイヤは、管状の拡張可能なデバイスの表面から出発してそこに戻る経路に追随する。いくつかの実施形態では、(例えば、任意の箇所で記載するように)突出部を形成するワイヤは、管状表面610から半径方向に離れて伸張し、いくつかの実施形態では、ワイヤはまた、デバイスに沿って長手方向に伸張する。
【0168】
デバイスの一体部分を形成する例示的な突出部
【0169】
いくつかの実施形態では、突出部はデバイスの一体部分を形成する。例えば、
図6Aに示されるように、いくつかの実施形態では、突出部608は、デバイス本体610の一部をも形成するワイヤから形成される。
【0170】
いくつかの実施形態では、1つ以上の突出部は、デバイスの周りを、かつ/またはデバイスに沿って(例えば、デバイス円周の10〜90%、50〜80%の周りを、および/またはデバイスの長さの10〜90%もしくは50〜80%に沿って)伸張するワイヤから構築される。例えば、突出部608を形成するワイヤは、管状の拡張可能なデバイス本体610の周りの経路に追随する。
【0171】
いくつかの実施形態では、突出部は、細長い部分に直接結合されるワイヤによって形成され(例えば、細長い構成要素616に接続された突出部608)、それによって力(例えば、引っ張り)が拡張可能なデバイスに加えられる。
【0172】
潜在的に、デバイスの一体部分を形成する突出部は、例えば、(例えば、凝塊を動かすために)凝塊に力を加えるのに、デバイスに加えられた力をより効率的に伝達する。
【0174】
いくつかの実施形態では、複数の突出部608は、デバイスの長手方向中心軸から異なる半径方向角度でそれぞれ配設され、突出部は潜在的に、血管壁の異なる範囲から閉塞性物質を除去することができる。いくつかの実施形態では、異なる半径方向角度で配設された複数の突出部によって、血管壁との間の種々の回転配向で、1つ以上の突出部が閉塞物と相互作用するようにデバイスを挿入することができ、例えば、デバイスの動作は潜在的に、閉塞物に対する回転方向の位置付けの影響を受けにくい。
【0175】
例示的な一実施形態では、デバイス600は、デバイスの長手方向中心軸に対して垂直な角度で突出部位置を見たときに、突出部の中心が90°離れて配設される、4つの突出部を含む。例示的な一実施形態では、複数の突出部は、ほぼ同じサイズであり、(各突出部に対する等価の圧力を所与として)ほぼ同じ程度突出する。例示的な一実施形態では、デバイス本体610の表面に当たる各突出部の中心は、デバイスの長手方向軸に対して垂直な面を形成する。
【0176】
図6Bは、突出部608の下に、例えば突出部608とデバイス本体610との間に捕捉された凝塊物質602を示している。
【0177】
いくつかの実施形態では、突出部は、サイズ、および/または配向、および/またはデバイス上における軸方向位置が様々である。
【0178】
図7Aは、本発明のいくつかの実施形態による、複数の突出部708を含む拡張可能なデバイス700の単純化した概略側面図である。いくつかの実施形態では、突出部708は、デバイス700の長手方向軸に沿って分散される。
【0179】
いくつかの実施形態では、拡張可能構造体700は、当該拡張可能構造体の遠位端701dと近位端701pとの間で接続された複数のワイヤを含む。いくつかの実施形態(例えば、
図6Aに関して記載したような)では、複数のワイヤは管状のメッシュを形成する。
【0180】
いくつかの実施形態では、突出部は、近位端701pから伸張してそこに戻るワイヤのループ708によって形成される。いくつかの実施形態では、ループ708は、管状のメッシュ710を通る経路(ループは管状のメッシュ710内部を通る)に追随し、管状のメッシュにあるギャップを通って突出する。その場合、いくつかの実施形態では、各ループはメッシュ上の異なる位置でメッシュを通って突出し、例えば、各ループは、メッシュ上の半径方向および長手方向位置で、例えばメッシュ上の一意の半径方向および/または長手方向位置で突出する。
【0181】
図7Bは、本発明のいくつかの実施形態による、血管704内の拡張されたデバイス700の単純化した側面図である。
【0182】
図7Cは、本発明のいくつかの実施形態による、血管704内の収縮されたデバイス700の単純化した側面図である。
【0183】
図7Dは、本発明のいくつかの実施形態による、血管704内の閉塞性物質702を通して挿入されている拡張されたデバイス700の単純化した側面図である。上述したように、いくつかの実施形態では、デバイスは、閉塞を通って、かつ/またはそれを通り越して押され、次に拡張され、次に閉塞を通って引っ張られて、閉塞性物質702を血管704内におけるその元の位置から離して除去する(例えば、「掻き取る」)。
【0184】
図7Eは、本発明のいくつかの実施形態による、血管704内の閉塞性物質を通り越して引っ張られている拡張されたデバイス700の単純化した側面図である。いくつかの実施形態では、閉塞性物質は、ループ内702bおよび/またはループ間702cに入る。いくつかの実施形態では、デバイス700と血管壁との間に位置する閉塞性物質702aは、血管704を通してデバイスを引っ張ることによって移動および/または除去される。
【0185】
上述したように、任意選択で、いくつかの実施形態では、ループ708は、閉塞性物質および/または血管壁に対して外向きの力(例えば、弾性力)を加える。
【0186】
いくつかの実施形態では、デバイスの拡張中および/または拡張後、凝塊物質702は突出部708の間の空間739に入る。いくつかの実施形態では、デバイスの収縮によって、突出部間の空間が少なくとも1つの次元で低減され(例えば、空間739aは空間739bよりも大きい)、いくつかの実施形態では、突出部間の空間が半径方向で低減される。
【0187】
いくつかの実施形態では、デバイスの拡張中および/または拡張後、凝塊物質702は突出部内の空間738に入る。いくつかの実施形態では、デバイスの拡張中および/または拡張後、突出部内の空間は、サイズが、かつ/または1つ以上の次元で、かつ/または半径方向で増大される。逆に、いくつかの実施形態では、デバイスの収縮中および/または除去中、突出部内の空間は、サイズが、かつ/または1つ以上の次元で、かつ/または半径方向で減少される。
【0188】
ワイヤ対の突出部を含む例示的なデバイス
【0189】
図8Aは、本発明のいくつかの実施形態による、拡張可能なデバイス800の単純化した概略側面図である。
図8Bは、本発明のいくつかの実施形態による、拡張可能なデバイス800の単純化した概略側面図である。
【0190】
ここで、
図8Aに示されるデバイスの一部分の拡大図である、
図8Bを参照する。
【0191】
いくつかの実施形態では、デバイス800は(例えば、均一な圧力下で)、デバイスの長手方向中央部に向かって幅広になる狭い遠位端を備えた外表面を有し、デバイスの外表面は次に、デバイスの近位端に向かって狭くなる。
【0192】
例示的な一実施形態では、デバイス800は、例えば、デバイス800を血管内で動かすための、デバイスの本体に取り付けられた細長い要素816を含む。いくつかの実施形態では、デバイスの細長い要素(例えば、816、616、716)は可撓性である。いくつかの実施形態では、デバイスを構成するワイヤの第1の端部818は細長い要素816に接続される。
【0193】
いくつかの実施形態では、デバイス800は、ワイヤの第2の端部822が取り付けられる末端部820を含む。いくつかの実施形態では、操作部824(例えば、ワイヤ)が末端部822に取り付けられ、デバイスを、また任意選択で細長い要素816の中空部を通り抜ける。いくつかの実施形態では、デバイス800の幾何学形状は、細長い要素816を通して操作ワイヤ824を撤回する(例えば、引っ張る)ことによって変化する。いくつかの実施形態では、操作ワイヤ824は、デバイスの長手方向中心軸に追随する。
【0194】
いくつかの実施形態では、細長い要素を通して操作ワイヤ824を撤回することによって、デバイスの平均断面積が拡張し、デバイスの長手方向長さが低減される。
【0195】
いくつかの実施形態では、末端部820は、2つ以上のデバイスワイヤが(例えば、溶接によって)互いに接続される位置である。いくつかの実施形態では、ワイヤは、細長い要素816から末端部820までの経路に追随し、各ワイヤは少なくとも1つの他のワイヤの下および/または上を通る。いくつかの実施形態では、末端部820と細長い要素816との間で接続された1つ以上のワイヤは、1つ以上の他のワイヤよりも長く、いくつかの実施形態では、ワイヤは突出部(例えば、ワイヤ812)を形成する。いくつかの実施形態では、1つ以上のワイヤは、(例えば本明細書に記載するように、例えば熱処理によって)突出部を含む形状を有するように形作られる。
【0197】
いくつかの実施形態では、デバイス800は1つ以上のワイヤ対を含み、ワイヤ対は、少なくともデバイスの拡張のいくつかのレベル下で、分離を、例えば分離D2、D4、D6、D8を含む。
【0198】
例示的なワイヤ対および分離を参照すると、分離D2はワイヤ812および814の間である。
【0199】
図9Aおよび
図9Bは、デバイスのワイヤ対の、例えば
図8Bの領域R内に示されるワイヤ対の一部分の拡大図を示している。
【0200】
図9Aは、本発明のいくつかの実施形態による、凝塊物質を捕捉しているワイヤ対912、914の単純化した概略側面図である。
【0201】
図9Bは、本発明のいくつかの実施形態による、凝塊物質を捕捉しているワイヤ対912、914の単純化した概略側面図である。
【0202】
いくつかの実施形態では、
図9Bは、デバイス(例えば、デバイス800)が(例えば、制御ワイヤ824を前進させることによって)断面積を低減させた後の、
図9Aのワイヤ対を示している。いくつかの実施形態では、ワイヤ対のワイヤ912、914の間の分離は低減される(D2’’<D2’)。いくつかの実施形態では、分離の低減は、ワイヤ912および/または914の曲率の低減と関連付けられる。
【0203】
デバイスの編成部分に対する閉塞性物質の例示的な結合
【0204】
いくつかの実施形態では、凝塊物質はメッシュデバイス部分内に捕捉される。
【0205】
いくつかの実施形態では、凝塊物質は、織り合わされた部分(本明細書では、「メッシュ」とも呼ばれる)を含むデバイスの一部分によって捕捉され、例えば、1つ以上の部分は、当該部分の下および当該部分の上(例えば、半径方向に関して下および上)にある経路に追随する。
【0206】
図10は、本発明のいくつかの実施形態による、メッシュデバイス部分内に捕捉された凝塊物質1002の単純化した概略上面図である。
【0207】
いくつかの実施形態では、デバイスの少なくとも一部分は、1つ以上のワイヤが他のワイヤと絡み合う、例えばいくつかのワイヤの上およびいくつかのワイヤの下を通る、メッシュ構造を含む。例示的な一実施形態では、デバイスは、例えば均等に離間された、縦糸ワイヤ1026および横糸ワイヤ1028を含む。
【0208】
いくつかの実施形態では、縦糸および横糸ワイヤの交差(本明細書では、それらの間の接合とも呼ばれる)によって、(例えば、上述したような)ワイヤ対が形成される。
【0209】
図11は、本発明のいくつかの実施形態による、メッシュデバイス部分内に捕捉された閉塞性物質の単純化した概略上面図である。いくつかの実施形態では、デバイス内の閉塞性物質は、例えば閉塞性物質の固さによって、デバイス構造を歪ませる。
【0210】
図12Aは、本発明のいくつかの実施形態による、凝塊物質1202およびメッシュデバイス部分1200の単純化した概略上面図である。いくつかの実施形態では、凝塊物質1202とデバイスとの間の接触(接触長さc1、c2、c3、およびc4)は部分的であり、例えば、凝塊物質1202の接触は、横糸ワイヤ間の縦糸の長さ(a)および/または縦糸ワイヤ間の横糸の長さ(b)の5〜95%もしくは10〜90%もしくは50〜80%、またはそれ以下もしくはそれ以上または中間の範囲もしくは比率である。例えば、c1/a×100%=50〜90%である。
【0211】
いくつかの実施形態では、デバイスの拡張によって、一組のワイヤ(例えば、縦糸ワイヤ)と別の組のワイヤ(例えば、横糸ワイヤ)との間の角度が変化する。
図12Bは、本発明のいくつかの実施形態による、デバイス拡張後の
図12Aのデバイス部分の単純化した概略上面図である。いくつかの実施形態では、縦糸および横糸ワイヤの間の角度は、例えば
図12Aの90°から
図12Bの45°へと、デバイス拡張中に変化する。
【0212】
いくつかの実施形態では、拡張中の縦糸および横糸ワイヤ間の角度αの変化は、10〜90%もしくは20〜70%もしくは40〜50%、またはそれ以下もしくはそれ以上もしくは中間の角度変化である。
【0213】
いくつかの実施形態では、デバイスは、例えば、デバイスの異なる拡張レベルに対応して、5〜175°もしくは10〜165°もしくは45〜110°、またはそれ以下もしくはそれ以上もしくは中間の範囲または角度の、角度αの範囲を含む。
【0214】
いくつかの実施形態では、1つの次元で(例えば、縦糸および横糸ワイヤの間で半径方向に)空間を低減させるのと同時に、別の次元で(
図12A〜Bに示されるように、縦糸および横糸ワイヤの面内で)空間を増加させることによって、当該構造体は潜在的に、凝塊物質を受け入れるのと同時に捕捉する。
【0215】
図12Cおよび
図12Dは、本発明のいくつかの実施形態による、デバイスを拡張した際の縦糸ワイヤ1212および横糸ワイヤ1214間における凝塊物質の捕捉の側面図である。
【0216】
いくつかの実施形態では、凝塊物質は、例えば縦糸ワイヤが横糸ワイヤの上を通る、デバイスの交差部分の間にある。
図12Eは、本発明のいくつかの実施形態による、ワイヤ1212、1214間の凝塊物質1202の単純化した概略側面図である。いくつかの実施形態では、凝塊物質1202は、別の部分の下にある一部分の長さ、例えば
図12Bに示されるような長さcの、5〜95%もしくは10〜90%もしくは50〜80%、またはそれ以下もしくはそれ以上もしくは中間の範囲または比率に接触する。
【0218】
いくつかの実施形態では、その間で空間が生成および/または拡大される2つ以上のワイヤは、2つ以上の地点で接続される。いくつかの実施形態では、2つの地点間の第1のワイヤの長さは、同じ2つの地点に接続された第2のワイヤの長さよりも長い。2つの接続間の距離を低減することによって、いくつかの実施形態では、2つのワイヤ間の距離(例えば、少なくとも1つの次元での空間)が増大する。
【0219】
図13Aは、本発明のいくつかの実施形態による、ワイヤ1312、1314間の接合部1332、1334を含むワイヤ対を含む拡張可能なデバイス1300の単純化した概略側面図である。
【0220】
いくつかの実施形態では、接合部1332、1334の1つ以上はワイヤ1312、1314間の接続である。いくつかの実施形態では、接合部1332、1334の1つ以上は、1つのワイヤが別のワイヤの上および/または周りを通る地点である。
【0221】
図13Bは、本発明のいくつかの実施形態による、ワイヤ間の空間1338を拡大した後の
図13Aのデバイスの単純化した概略側面図である。
【0222】
いくつかの実施形態では、接続1332、1334間の長さを(LからL’へ、L>L’)低減させることによって、ワイヤ1312、1314間の空間1338のサイズが少なくとも1つの次元で増大する(ここで、dは空間1338の半径方向寸法であり、d<d’である)。例えば、第1のワイヤの中心軸に沿って測定した第1のワイヤ1314の長さは、第2のワイヤの中心軸に沿って測定した第2のワイヤ1312の長さよりも長い。
【0223】
いくつかの実施形態では、空間1338は、例えば、ワイヤ1312が円筒Cの表面の上方で湾曲している
図13A、およびワイヤ1312が円筒C’の表面の上方で湾曲している
図13Bに示されるように、円筒Cから突出する2つの部分の間である。
【0224】
いくつかの実施形態では、デバイス1300の半径Rを(例えば、RからR’へと)増加させることによって、接続間の分離Lが(例えば、LからL’へと)減少する。
【0225】
上述したように、いくつかの実施形態では、デバイスの長手方向中心軸1336から測定される、デバイスの半径Rが(例えば、
図13A〜Bに示されるように、RからR’へ、R<R’)拡張することによって、デバイス1300の長さが減少する。いくつかの実施形態では、円筒CおよびC’は、デバイスの外表面または本体(例えば、突出部を除く)である。
【0226】
いくつかの実施形態では、デバイス1300は、
図13A〜Bに示されるように円筒状である。いくつかの実施形態では、デバイスは、例えば、非円筒形状(例えば、
図6Aに示されるような、
図7Bに示されるような、本明細書に記載するような)を有し、円筒CおよびC’は、デバイス内に完全に包含される最大径の円筒である。
【0228】
いくつかの実施形態では、拡張可能構造体は1つ以上の湾曲部を含み、当該湾曲部は、空間が当該湾曲部間にあるようにして構造上で空間的に配置される。例示的な一実施形態では、ワイヤ対は、正弦形状部を有する第1のワイヤと正弦形状部を有する第2のワイヤとを含み、これらの正弦形状部は、位相差を伴って拡張可能構造体上に配設される。ここで、位相差とは、少なくとも1つの次元でワイヤ間に空間があることを意味する。いくつかの実施形態では、(例えば、
図13A〜Bを参照して記載したように)デバイスを拡張することによって、ワイヤ間の空間が増大する。
【0229】
図14Aは、本発明のいくつかの実施形態による、湾曲部間の位相差を伴って空間的に配置された湾曲部1412、1414を含むつぶれたデバイスの一部分の単純化した概略側面図である。
【0230】
図14Bは、本発明のいくつかの実施形態による、湾曲部間の位相差を伴って空間的に配置された湾曲部1412、1414を含む拡張されたデバイスの一部分の単純化した概略側面図である。
【0231】
図14Cは、本発明のいくつかの実施形態による、湾曲部間の位相差を伴って空間的に配置された湾曲部1412、1414を含む部分的に拡張および/または部分的に収縮されたデバイスの一部分の単純化した概略側面図である。
【0232】
いくつかの実施形態では、拡張可能構造体がつぶれたときの湾曲部間の寸法a’’(包含される最大の円筒の半径はD’’であり、線1436は円筒の長手方向中心軸を示す)は、拡張可能構造体が部分的に拡張されたときの湾曲部間の寸法a(包含される最大の円筒の半径はDである)よりも小さく、その寸法は、拡張可能構造体が拡張されたときの寸法a’(包含される最大の円筒の半径はD’である)よりも小さい。
つまり、a’’<a<a’、およびD’’<D<D’。
【0233】
いくつかの実施形態では、1つ以上のスペーサ要素1440(例えば、ロッド)が、デバイスの2つ以上の部分(例えば、ワイヤ)間に配設されて、ワイヤ間の位相差を維持する。いくつかの実施形態では、ロッドは、例えば処理(例えば、熱処理)中に拡張可能構造体に挿入される。いくつかの実施形態では、ロッドは、超弾性材料(例えば、ニチノール)を含むワイヤに形状記憶をもたらす処理で使用される。いくつかの実施形態では、スペーサ要素1440は、デバイスの製造中および/または使用前に除去される。
【0234】
図16は、本発明のいくつかの実施形態による、デバイスの2つの部分1612、1614間の空間をスペーサロッド1640が保持するデバイスの一部分の単純化した概略側面図である。
【0235】
例示的な拡張可能なデバイスの材料および構造
【0236】
いくつかの実施形態では、(例えば、本明細書に記載するような、例えば
図6A〜Bおよび
図8A〜Bに示されるような)拡張可能なデバイスは、ワイヤを使用して構築され、例えば、デバイスの本体はワイヤメッシュ(例えば、編組メッシュ)を用いて構築される。
【0237】
いくつかの実施形態では、デバイスの少なくとも一部分は、可撓性および/または弾性および/または生体適合性の材料、例えばニチノールおよび/またはコバルトクロムおよび/またはステンレス鋼を含む。いくつかの実施形態では、デバイスの少なくとも一部分は、形状記憶および/または超弾性材料(例えば、ニチノール)を含む。
【0238】
例示的な一実施形態では、デバイスの少なくとも一部分はニチノールワイヤで構築される。
【0239】
いくつかの実施形態では、閉塞性物質を捕捉するデバイスの一部分(例えば、拡張可能構造体)は、最大断面寸法(例えば、直径)10〜150μmまたは25〜150μmまたは12〜100μmのワイヤから構築される。例示的な一実施形態では、デバイスは、直径75μmのワイヤで構築された少なくとも一部分を含む。例示的な一実施形態では、デバイスは、扁平な断面形状を、例えば、最大断面寸法100μmおよび最大断面寸法に対して垂直な断面寸法50μmを有する丸み付けられた形状(例えば、50×100μmの断面を含む「テープ」)を含む、ワイヤを用いて構築された少なくとも一部分を含む。
【0240】
いくつかの実施形態では、デバイスが(例えば、編組みによって)構築された後、追加の材料がメッシュデバイスに追加される。いくつかの実施形態では、例えば、1つ以上の追加のワイヤは既存の構造上に編組みされ、いくつかの実施形態では、1つ以上の追加ワイヤは既存のワイヤの周りに巻き付けられる。
【0241】
図15は、本発明のいくつかの実施形態による、基本のワイヤ1546に結合された追加のワイヤ1544を含むデバイスの一部分の単純化した概略側面図である。いくつかの実施形態では、(例えば、本明細書に記載するような)空間1538は、追加のワイヤ1544と基本のワイヤ1546との間に形成される。
【0243】
いくつかの実施形態では、(例えば、本明細書に記載するような)デバイスは、血塊物質を脈管から除去するのに使用される。例示的な一実施形態では、(例えば、本明細書に記載するような)デバイスは、例えば脳卒中の際に、閉塞物(例えば、凝塊)を脳内の脈管から除去するのに使用される。
【0244】
いくつかの実施形態では、それに加えて、またはその代わりに、血塊物質以外の物質、例えば脂肪性沈着物および/またはプラークおよび/または血栓および/または血小板凝集塊および/または異物および/または石灰化堆積物が除去される。本明細書では、「凝塊」または「凝塊物質」は、脈管を完全および/または部分的に閉塞する、脈管内のあらゆる閉塞性物質を示すのに使用される。
【0245】
いくつかの実施形態では、(例えば、本明細書に記載するような)デバイスは、肺の塞栓および/または血栓および/または閉塞物を除去するのに使用される。いくつかの実施形態では、(例えば、本明細書に記載するような)デバイスは、末梢の塞栓および/または血栓および/または閉塞物を除去するのに使用される。いくつかの実施形態では、(例えば、本明細書に記載するような)デバイスは、心臓血管の塞栓および/または血栓および/または閉塞物を除去するのに使用される。いくつかの実施形態では、(例えば、本明細書に記載するような)デバイスは、再狭窄の脈管再生で使用される。
【0247】
本明細書で使用するとき、「約(about)」という用語および「ほぼ(approximately)」という用語は、±20%を指す。
【0248】
「備える」、「備えている」、「含む」、「含んでいる」、「有する」という用語、およびそれらの活用形は、「〜を含むがそれらに限定されない」ことを意味する。
【0249】
「〜から成る」という用語は、「〜を含み、それらに限定される」ことを意味する。
【0250】
「本質的に〜から成る」という用語は、組成物、方法、または構造が、追加の成分、ステップ、および/または部分を含んでもよいが、それらの追加の成分、ステップ、および/または部分が、特許請求される組成物、方法、または構造の基本的な新規の特性を実質的に変更しない場合に限る。
【0251】
本明細書で使用するとき、単数形「a」、「an」、「the」は、文脈において別段の明確な指示がない限り、複数を含む。例えば、「化合物(a compound)」または「少なくとも1つの化合物(at least one compound)」という用語は、複数の化合物の混合物を含めて、複数の化合物を含んでもよい。
【0252】
本出願全体を通して、本発明の様々な実施形態が範囲の形式で提示されることがある。範囲の形式での説明は、単に便宜性および簡潔性のためのものであり、本発明の範囲に対する確固たる限定として解釈されるべきでないことを理解されたい。したがって、範囲の説明は、全ての可能な部分範囲、ならびにその範囲内の個々の数値全てを具体的に開示しているものと見なされるべきである。例えば、1〜6などの範囲の説明は、1〜3、1〜4、1〜5、2〜4、2〜6、3〜6などの部分範囲、ならびにその範囲内の個々の数字、例えば1、2、3、4、5、および6を、具体的に開示しているものと見なされるべきである。これは、範囲の幅にかかわらず当てはまる。
【0253】
数字の範囲が本明細書に示されている場合は、示された範囲内にある任意の引用された数字(分数もしくは整数)を含むものと意図される。第1の指示数と第2の指示数と「の間に及ぶ/の間の範囲」、および第1の指示数「から」第2の指示数「までに及ぶ/までの範囲」という語句は、本明細書では交換可能に使用され、第1および第2の指示数ならびにそれらの間の全ての分数および整数を示すことが意図される。
【0254】
本明細書で使用するとき、「方法」という用語は、化学分野、薬理学分野、生物学分野、生化学分野、および医学分野の実務者には既知の手法、手段、技術、および手順、あるいはそれらの実務者によって既知の手法、手段、技術、または手順から容易に展開される手法、手段、技術、および手順を含むがそれらに限定されない、所与のタスクを遂行するための手法、手段、技術、および手順を指す。
【0255】
本明細書で使用するとき、「処理する」という用語は、状態の進行を抑止、実質的に阻害、緩徐化、もしくは逆転すること、状態の臨床的もしくは審美的症状を実質的に寛解させること、または状態の臨床的もしくは審美的症状の発現を実質的に防止することを含む。
【0256】
明瞭にするため、別々の実施形態の文脈において記載される本発明の特定の特徴はまた、単一の実施形態で組み合わせて提供されてもよいことが認識される。逆に、簡潔にするため、単一の実施形態の文脈において記載される本発明の様々な特徴はまた、別々に、または任意の好適な下位組み合わせで、または本発明の他の任意の記載される実施形態において好適なように提供されてもよい。様々な実施形態の文脈において記載される特定の特徴は、それらの要素がなければ実施形態が無効である場合以外は、それらの実施形態における必須の特徴と見なされるものではない。
【0257】
本発明をその具体的な実施形態と併せて記載してきたが、多くの代替物、修正、および変形が当業者には明白となることは明らかである。したがって、添付の特許請求の範囲の趣旨および広い範囲内にある、かかる代替物、修正、および変形の全てを包含するものとする。
【0258】
本明細書で言及される全ての刊行物、特許、および特許出願は、本明細書では、個々の刊行物、特許、または特許出願がそれぞれ、参照により本明細書に組み込まれるものとして具体的かつ個別に示された場合と同じ程度において、それらの全体を参照により本明細書に組み込む。それに加えて、本明細書におけるあらゆる参考文献の列挙または特定は、かかる参考文献が本発明に対する従来技術として利用可能であることを容認するものと解釈すべきでない。段落の見出しが使用される限りにおいて、それらは必ずしも限定として解釈すべきでない。