特開2021-107087(P2021-107087A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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  • 特開2021107087-可変押出用押出ダイス 図000003
  • 特開2021107087-可変押出用押出ダイス 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-107087(P2021-107087A)
(43)【公開日】2021年7月29日
(54)【発明の名称】可変押出用押出ダイス
(51)【国際特許分類】
   B21C 25/02 20060101AFI20210702BHJP
   B21C 25/08 20060101ALI20210702BHJP
【FI】
   B21C25/02 Z
   B21C25/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2019-238621(P2019-238621)
(22)【出願日】2019年12月27日
(71)【出願人】
【識別番号】000100791
【氏名又は名称】アイシン軽金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114074
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 嘉一
(72)【発明者】
【氏名】江尻 圭蔵
【テーマコード(参考)】
4E029
【Fターム(参考)】
4E029AA06
4E029MB09
(57)【要約】
【課題】押出ダイスに加わるたわみ力を分散させることで、可動型のスライド性を向上させるとともに簡単な構造で高強度の可変押出用押出ダイスの提供を目的とする。
【解決手段】軽合金材の熱間押出成形用の押出ダイスであって、固定型と、前記固定型に形成してあるダイス孔の開口寸法を可変制御可能な可動型とを有し、前記固定型はメタルの流れを前記ダイス孔に向けて絞り込むためのメタルフローゾーンを有し、前記メタルフローゾーンは少なくとも部分的に開口周縁部からダイス孔に向けて形成した斜面部を有することを特徴とする。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軽合金材の熱間押出成形用の押出ダイスであって、固定型と、前記固定型に形成してあるダイス孔の開口寸法を可変制御可能な可動型とを有し、
前記固定型はメタルの流れを前記ダイス孔に向けて絞り込むためのメタルフローゾーンを有し、
前記メタルフローゾーンは少なくとも部分的に開口周縁部からダイス孔に向けて形成した斜面部を有することを特徴とする可変押出用押出ダイス。
【請求項2】
前記固定型のダイス孔側にバッカーを設けてあり、前記可動型は前記固定型とバッカーとの間にスライド可能に保持してあることを特徴とする請求項1記載の可変押出用押出ダイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミニウム又はその合金、マグネシウム又はその合金等の軽合金を用いて押出材を押出成形するのに使用される押出ダイスに関し、特に押出材の押出断面形状を可変しながら押出成形できる可変押出用押出ダイスに係る。
【背景技術】
【0002】
押出機を用いて軽合金材料を押出成形する際には、目的とする断面形状に合せて設計された押出ダイスが使用されている。
押出機には直接押出機と間接押出機があるが、いずれもコンテナ内に軽合金の鋳造ビレットを装填し、後方からステム等にて高温、高圧状態にて加圧成形するものであるため、押出ダイスには非常に大きなたわみ荷重が負荷される。
したがって、押出成形中にダイス孔の開口寸法を可変することは大変であった。
【0003】
本出願人は、先に駆動ダイスと従動ダイスとを駆動ダイスの移動方向に沿って、相互の傾斜面で接触させることで複数の方向に断面形状を可変できる押出ダイスを提案している(特許文献1)。
本発明は、断面の可変自由度が高い点では優れているものの、押出断面を直交方向から横切るように駆動ダイス及び従動ダイスが移動する構造になっているため、押出圧力によるたわみ力がそのまま押出ダイスに加わることになり、大型断面の押出材や押出性の低い高強度アルミニウム合金にあっては、可動ダイスのスライド抵抗が大きくなる技術的課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5237757号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、押出ダイスに加わるたわみ力を分散させることで、可動型のスライド性を向上させるとともに簡単な構造で高強度の可変押出用押出ダイスの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る可変押出用押出ダイスは、軽合金材の熱間押出成形用の押出ダイスであって、固定型と、前記固定型に形成してあるダイス孔の開口寸法を可変制御可能な可動型とを有し、前記固定型はメタルの流れを前記ダイス孔に向けて絞り込むためのメタルフローゾーンを有し、前記メタルフローゾーンは少なくとも部分的に開口周縁部からダイス孔に向けて形成した斜面部を有することを特徴とする。
【0007】
ここで軽合金とは押出成形可能なアルミニウム及びその合金、マグネシウム及びその合金等をいう。
また、本発明において少なくとも部分的に、開口周縁部からダイス孔に向けて形成した斜面部を有すると表現したのは、固定型に形成したメタルフローゾーンの開口部の全周からダイス孔に向けて斜面部を有している必要はなく、一部に従来の段差状のデットメタル領域を形成してもよい趣旨である。
【0008】
本発明においては、前記固定型のダイス孔側にバッカーを設けてあり、前記可動型は前記固定型とバッカーとの間にスライド可能に保持してあってもよく、その場合に前記可動型はスライド孔を有し、前記固定型とバッカーとの間に設けたスライドピンが前記スライド孔に挿通されており、前記可動型は前記スライドピンにスライド保持されていてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明においては、メタルの流れをダイス孔に向けて誘導するためのメタルフローゾーンに開口周縁部からダイス孔に向けて斜面部を形成したので、ビレットを後方から押圧するステムの加圧力が斜面部で周囲方向にも分散されるので、それだけたわみ変形が抑えられる。
また、斜面部にしたことにより従来の段差状のダイス構造に比較して固定型の斜面部が厚くなり、たわみ強度が向上するのでコンパクトな構造になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】(a)は本発明に係る押出ダイスの外観斜視図、(b)は可動型が最も前進した状態の断面図、(c)は可動型が最も後退した状態の断面図を示す。
図2】押出加工の流れを模式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明による押出ダイスの構造例を以下、図に基づいて説明する。
可変押出用の押出ダイス10の斜視図を図1(a)に示し、可動構造の部分の断面図を図1(b),(c)に示す。
まず、押出ダイス10の使用例を図2にて説明する。
押出成形用の円柱状のビレットMを装填するコンテナ1を有し、このコンテナの押出側に固定型11と可動型12からなる押出ダイス10を取り付ける。
図示を省略したが、通常はダイリングに押出ダイス,バッカー,必要に応じてバックダイを嵌装し、コンテナの前方側に保持し、後方側から油圧制御されたステム2にてビレットMを押圧し、前方側に押出材を押し出す。
【0012】
図1(a)に押出ダイス10の外観を示す。
固定型11は、軽合金等の金属材料が押し出されるダイス孔14を有し、このダイス孔14の形状により押出材の断面が成形される。
固定型11には、バッカー13を重ねるように連結してある。
また、固定型11とバッカー13との間に可動型12のスライド装着部を形成し、可動型12の可動先端部12aがダイス孔14を横切るように前進又は後退制御されている。
可動型12の外側の基部には連結部12cを有し、図示を省略した油圧制御等の駆動部に連結されている。
【0013】
固定型11には、ビレットのメタルの流れをダイス孔14に向けて絞り誘導するための凹部状のメタルフローゾーン15を有する。
メタルの流れを誘導するためのメタルフローゾーン15の開口間口寸法Sを充分に大きく確保しつつ、この間口部の周縁部からダイス孔14までの間を緩やかな傾斜面でつなぐように斜面部11aを形成した点に本発明の特徴がある。
【0014】
本実施例では、ダイス孔14の一方の側にのみ斜面部11aを形成し、他方の側は従来の段差部11bを有するデットメタル領域を形成した例になっているが、押出材の断面形状に合せて設計される。
斜面部11aは、開口周縁部からダイス孔14に向けて緩やかな斜面になっていて、途中に段差部を有していない。
押出材の断面肉厚は、固定型11のベアリング部11cと可動先端部12a側のベアリング部12bとの間の間隔にて決定される。
可動型12が前進すると、この間隔が小さくなり押出材の肉厚が薄くなり、逆に後退すると肉厚が厚く可変される。
【0015】
このように固定型11の可動型12を配置した側に斜面部12aを形成したことで、可動型12に向けて固定型11がたわむ押圧力が、この斜面部で径方向にも分散される。
また、この部分の固定型11の厚みTを従来の段差状のものよりも厚く設定することができる。
これらにより、固定型11の押出時のたわみ変形が抑えられることから、従来のダイリングを廃止することもできコンパクトな構造になる。
【符号の説明】
【0016】
10 押出ダイス
11 固定型
11a 斜面部
12 可動型
12a 可動先端部
12c 連結部
13 バッカー
14 ダイス孔
15 メタルフローゾーン
ビレット
図1
図2