(A)1μm以上の疎水化処理シリカと、(B)極性油と、を含む油性組成物であって、前記(B)極性油が前記油性組成物に含まれる油相中に40質量%以上含まれ、かつ、前記(A)1μm以上の疎水化処理シリカの含有量に対する、(B)極性油の含有量の比率が10以下である、油性組成物である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の一態様は、(A)1μm以上の疎水化処理シリカと、(B)極性油と、を含む油性組成物に関する。以下に本発明の一態様について詳細に説明するが、本発明の実施の形態はこれらに限定されない。
【0009】
<(A)疎水化処理シリカ>
本発明の一態様である疎水化処理シリカにおける、シリカの疎水化処理の方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、シリコーン処理、脂肪酸処理、脂肪酸石鹸処理、脂肪酸エステル処理、高級アルコール処理、湿式法シリカゾルを疎水化処理・乾燥して疎水化処理シリカ粒子を得る方法、親水性シリカ粒子分散液に、シラザン化合物あるいは1官能シラン化合物を加えてシリカ粒子表面をトリオルガノシリル化して疎水化処理シリカ粒子を得る方法、4官能シラン化合物を加水分解、縮合して親水性シリカ粒子分散液を得た後、親水性有機溶媒を水に置換して、次いで3官能シラン化合物で疎水化した後、更に分散媒をケトン系溶媒に置換し、シラザン化合物あるいは1官能シラン化合物でシリカ粒子表面に残存する反応性基をトリオルガノシリル化して疎水化処理する方法、親水性シリカ粒子分散液に3官能シラン化合物を加えて疎水化した後、1官能シラン化合物を加えて疎水化処理シリカ粒子を得る方法等があげられるがこれらに限定されない。これらの疎水化処理は、常法に従って行うことができる。
【0010】
具体的には、シリコーン処理としては、メチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等のシリコーンオイル;メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン等のアルキルシラン;トリフルオロメチルエチルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン等のフルオロアルキルシラン等による処理等があげられる。
【0011】
脂肪酸処理としては、パルミチン酸、イソステアリン酸、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、ロジン酸、12−ヒドロキシステアリン酸等による処理等があげられる。
【0012】
脂肪酸石鹸処理としては、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、12−ヒドロキシステアリン酸等による処理等があげられる。
【0013】
)脂肪酸エステル処理としては、デキストリン脂肪酸エステル、コレステロール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、デンプン脂肪酸エステル等による処理等があげられる。
【0014】
これらの中でも、ジメチコン処理シリカ、アモジメチコン処理シリカ、高級アルコール処理シリカが、好ましい。
【0015】
本発明の一態様で用いられる疎水化処理シリカの粒径は1μm以上、特に1〜10μmが好ましい。
【0016】
本発明の一態様の油性組成物に配合される、粒径が1μm以上である疎水化処理シリカのうち、吸油量が10〜400ml/100gのものを用いるのが好ましい。
【0017】
疎水化処理シリカの吸油量が10〜100ml/100gであれば、本発明の一態様である油性組成物を含む化粧料や医薬部外品の使用感触が、粉きしみのないものになる。これは、保湿性が好まれる化粧料や医薬部外品への用途に適する。
【0018】
疎水化処理シリカの吸油量が100〜400ml/100gであれば、本発明の一態様である油性組成物を含む化粧料や医薬部外品の使用感触が、塗布後のべたつきがないものになる。これは、使用感触が残らないような化粧料や医薬部外品への用途に適する。
【0019】
本発明の一態様である粒径が1μm以上である疎水化処理シリカは、油性組成物の全量に対して3質量%以上含まれるのが好ましい。
【0020】
本発明の一態様である粒径が1μm以上である疎水化処理シリカを配合した油性組成物によれば、油性組成物の使用性を高めるために従来用いられてきたMPBを配合しなくても、使用性に優れた油性組成物を提供することができる。
【0021】
<(B)極性油>
(B)極性油は、通常、化粧品、医薬品、食品で用いられるものであれば特に限定されない。有機化合物の極性の度合いを示す指標としては、無機性値の有機性値に対する比率を表すIOB値(Inorganic/Organic Balance(無機性値/有機性値))が用いられる。IOB値における「無機性値」、「有機性値」について、例えば、分子中の炭素原子1個について「有機性値」が20、同水酸基1個について「無機性値」が100といったように、各種原子又は官能基に応じた「無機性値」、「有機性値」が設定されている。この「無機性値」及び「有機性値」について、有機化合物中の全ての原子及び官能基の上記値を各々積算することで、当該有機化合物のIOB値を算出することができる(例えば、藤田著、「化学の領域」第11巻、第10号、第719頁〜第725頁、1957年参照)。本発明の一態様である極性油のIOB値は、特に限定されないが、0.05〜0.80であるものを用いることができる。
【0022】
そのような極性油としては、エステル基、ポリオキシアルキレン基を連続的に有する油で、オクタン酸セチルのようなエステルや、ポリオキシアルキレン基を有する油、植物油があげられる。
【0023】
<紫外線吸収極性油>
それらのうち、本発明の一態様である(B)極性油は、紫外線吸収機能を有する極性油(以下、紫外線吸収極性油ともいう場合がある)を含んでいてもよい。(B)極性油に含まれる紫外線吸収極性油としては、特に限定されないが、例えば、安息香酸誘導体、サリチル酸誘導体、ケイ皮酸誘導体、ジベンゾイルメタン誘導体、β,β−ジフェニルアクリラート誘導体、ベンゾフェノン誘導体、ベンジリデンショウノウ誘導体、フェニルベンゾイミダゾール誘導体、トリアジン誘導体、フェニルベンゾトリアゾール誘導体、アントラニル誘導体、イミダゾリン誘導体、ベンザルマロナート誘導体、4,4−ジアリールブタジエン誘導体等があげられる。具体的には、以下のとおりである。
【0024】
安息香酸誘導体としては、p−アミノ安息香酸(PABA)エチル、エチル−ジヒドロキシプロピルPABA、エチルヘキシル−ジメチルPABA、グリセリルPABA、ポリエチレングリコール(PEG)−25−PABA、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル等があげられる。
【0025】
サリチル酸誘導体としては、ホモサレート、エチルヘキシルサリチレート(サリチル酸オクチル)、ジプロピレングリコールサリチレート、TEAサリチレート等があげられる。
【0026】
ケイ皮酸誘導体としては、オクチルメトキシシンナメート又はメトキシケイ皮酸エチルヘキシル、メトキシケイ皮酸イソプロピル、メトキシケイ皮酸イソアミル、シノキセート、DEAメトキシシンナメート、メチルケイ皮酸ジイソプロピル、グリセリル−エチルヘキサノエート−ジメトキシシンナメート、ジ−(2−エチルヘキシル)−4'−メトキシベンザルマロネート等があげられる。
【0027】
ジベンゾイルメタン誘導体としては、ブチルメトキジシベンゾイルメタン(4−tert−ブチル−4'−メトキシジベンゾイルメタン)等があげられる。
β,β−ジフェニルアクリレート誘導体としては、オクトクリレン等があげられる。
【0028】
ベンゾフェノン誘導体としては、ベンゾフェノン−1、ベンゾフェノン−2、ベンゾフェノン−3又はオキシベンゾン、ベンゾフェノン−4、ベンゾフェノン−5、ベンゾフェノン−6、ベンゾフェノン−8、ベンゾフェノン−9、ベンゾフェノン−12等があげられる。
【0029】
トリアジン誘導体としては、アニソトリアジン(ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン)、エチルヘキシルトリアゾン、ジエチヘキシルブタミドトリアゾン、2,4,6−トリス(ジイソブチル−4'−アミノベンザルマロナート)−s−トリアジン等があげられる。
【0030】
フェニルベンゾトリアゾール誘導体としては、ドロメトリゾールトリシロキサン、メチレンビス(ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール)等があげられる。
【0031】
アントラニル誘導体としては、アントラニル酸メンチル等があげられる。
イミダゾリン誘導体としては、エチルヘキシルジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオナート等があげられる。
【0032】
ベンザルマロナート誘導体としては、ベンザルマロナート官能基を有するポリオルガノシロキサン等があげられる。
【0033】
4,4−ジアリールブタジエン誘導体としては、1,1−ジカルボキシ(2,2'−ジメチルプロピル)−4,4−ジフェニルブタジエン等があげられる。
【0034】
本発明の一態様である(B)極性油には上記の紫外線吸収極性油を、単独で、又は2種以上を組み合わせて配合してよい。例えば、紫外線吸収極性油として、オクトクリレン、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、サリチル酸エチルへキシル、エチルヘキシルサリチレート(サリチル酸オクチル)、オキシベンゾン−3、ホモサレート、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、アニソトリアジン(ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン)、エチルヘキシルトリアゾンを組み合わせて配合することができる。このように、上記の誘導体のベースとなる化合物が異なる複数の紫外線吸収極性油を、組み合わせて用いると、広範囲の紫外線防御作用が得られるため、好ましい。さらに好ましくは、オクトクリレン、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、サリチル酸エチルへキシルを各々単独で、又は2種以上を組み合わせて配合してよい。
【0035】
本発明の一態様である(B)極性油が紫外線吸収極性油を含む油性組成物は、日焼け止め作用がある化粧料や医薬部外品に用いられる点で好ましい。
【0036】
一般的に、油性組成物に紫外線吸収極性油であるメトキシ桂皮酸エチルヘキシルを配合した場合は、使い心地もよく、さらさらとした使用感触が得られるが、本発明の一態様である、粒径が1μm以上である疎水化処理シリカを配合する場合には、メトキシ桂皮酸エチルヘキシル以外の紫外線吸収極性油と組み合わせて配合した方が、使用性が良い。
【0037】
上記のように(B)極性油が紫外線吸収極性油を含む場合とは、紫外線吸収極性油のみが配合される場合、及び紫外線吸収極性油と紫外線吸収機能がない極性油が組み合わされて配合される場合がある。紫外線吸収機能がない極性油としては、例えば、エステル油及びポリアルキレンオキシド誘導体油があげられる。具体的には、以下のとおりである。
【0038】
エステル油としては、イソノナン酸イソノニル、ミリスチン酸イソプロピル、2−エチルヘキサン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸デキストリン、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12−ヒドロキシステアリル酸コレステリル、ジ2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N−アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ2−ヘプチルウンデカン酸グリセリル、トリ2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリット、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル(トリエチルヘキサノイン)、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル2−エチルヘキサノエート、2−エチルヘキシルパルミテート、ナフタリンジカルボン酸ジエチルヘキシル、安息香酸(炭素数12〜15)アルキル、セテアリルイソノナノエート、トリ(カプリル酸・カプリン酸)グリセリン、(ジカプリル酸/カプリン酸)ブチレングリコール、トリミリスチン酸グリセリル、トリ2−ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オレイル、セトステアリルアルコールアセトグリセライド、パルミチン酸2−ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸2−オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ2−ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバシン酸ジ2−エチルヘキシル、ミリスチン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、アジピン酸2−ヘキシルデシル、セバシン酸ジイソプロピル、コハク酸ジ2−エチルヘキシル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、クエン酸トリエチル、ジピバリン酸トリプロピレングリコール等があげられる。この中でも、ミリスチン酸イソプロピル、セバシン酸ジイソプロピル、パルミチン酸デキストリンが好ましい。
【0039】
ポリアルキレンオキシド誘導体油としては、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンペンタエリスリトールエーテル、ポリオキシプロピレンブチルエーテル等があげられる。
【0040】
上記のエステル油やポリアルキレンオキシド誘導体油は、本発明の一態様である(B)極性油として、単独で、又は2種以上を組み合わせて配合してよい。エステル油を含有する極性油を紫外線吸収極性油と組み合わせて用いると、固体状の紫外線吸収極性油の溶解が促進される。
【0041】
(B)極性油は、本発明の一態様である油性組成物に含まれる油相中に、40%以上含まれてよく、より好ましくは43%以上含まれてよい。
【0042】
本発明の一態様では、上記の(A)1μm以上の疎水化処理シリカと(B)極性油の含有量の比率は、10以下であるのが好ましく、より好ましくは7以下、さらに好ましくは5以下であってよい。
【0043】
<油相>
本発明の一態様である油性組成物には、(B)極性油以外の油が含まれる油相がありうる。そのような油分としては、一般の油性組成物に用いられる、炭化水素油、高級脂肪酸、高級アルコール、シリコーン油、植物油、動物性油分、液体油脂、固体油脂、ロウ、香料等があげられる。
【0044】
具体的には、炭化水素油としては、イソドデカン、イソヘキサデカン、イソパラフィン、流動パラフィン、オゾケライト、スクワラン、プリスタン、流動パラフィン、イソパラフィン、α−オレフィンオリゴマー、ポリブテン、セレシン、スクワレン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等があげられる。このうち、粉体、特に酸化チタンを良好に分散させることができ、また触感を向上させることができることから、イソドデカンが好ましい。
【0045】
高級脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、トール酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)等があげられる。このうち、イソステアリン酸が好ましい。
【0046】
高級アルコールとしては、直鎖アルコール(例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール等)、及び分枝鎖アルコール(例えば、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)−2−デシルテトラデシノール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等)等があげられる。
【0047】
植物油としては、アボガド油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、マ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、及び胚芽油等があげられる。
動物性油分としては、スクワラン、タートル油、ミンク油、及び卵黄油等があげられる。
【0048】
シリコーン油としては、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、テトラデカメチルヘキサシロキサン、ヘキサデカメチルヘプタシロキサン等のジメチルポリシロキサン類;オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、テトラデカメチルシクロヘプタシロキサン等の環状ポリシロキサン類(環状ジメチルポリシロキサン);メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、デカメチルポリシロキサン、ドデカメチルポリシロキサン、テトラメチルテトラハイドロジェンポリシロキサン、高重合メチルポリシロキサン、アミノ酸変性シリコーン、カプリリルメチコン等があげられる。これらの物質を本発明の一態様に関する油分として、単独で、又は2種以上を組み合わせて配合することができる。
【0049】
シリコーン油は油性組成物の油相の主要成分として用いられており、例えば、シリコーン油がある程度の量で配合されないと、さっぱりとした使用感が得られない等、油性組成物を含有する製品の使用感を向上させるために必要な成分と認識されている。しかしながら、極性油の配合量を多くしても、このような使用感が得られるような油性組成物があれば、好ましい。中でも、ケイ素−酸素結合のケイ素にメチル基等が結合したシロキサン類のポリマーのうち環状の油分である環状シリコーン油は配合しないことが好ましい。本発明の一態様である油性組成物は環状シリコーンが配合されなくても、安定性が高く、使用感にも優れた油性組成物を提供できる。
【0050】
環状シリコーン油としては、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、テトラデカメチルヘキサシロキサン、ヘキサデカメチルヘプタシロキサン等のジメチルポリシロキサン類;オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、テトラデカメチルシクロヘプタシロキサン等の環状ポリシロキサン類(環状ジメチルポリシロキサン)があげられるがこれらに限定されない。
【0051】
本発明の一態様である油性組成物は環状シリコーン油が配合されなくても、安定性が高く、使用感にも優れた、極性油が多く配合された油性組成物を提供できる。
【0052】
これらの成分を本発明の一態様に関する油分として、単独で、又は2種以上を組み合わせて配合することができる。
【0053】
このような油分の配合量は、本発明の一態様である油性組成物の全量中、10〜90質量%、好ましくは20〜80質量%、さらに好ましくは30〜70質量%である。
【0054】
<油性組成物の製造方法>
本発明の一態様に関する油性組成物は公知の方法により製造することができる。例えば、製造方法の一例としては、上記であげた水分等の水性成分と上記の適当な油性成分とを乳化装置等を用いて調製することができるが、これらに限定されず、目的とする製品の性質等に応じた製法を用いて製造できる。
【0055】
本発明の一態様に関する油性組成物は、極性油が多く配合された化粧料、医薬部外品等の用途に適している。
【0056】
<油中水型乳化組成物>
本発明の一態様に関する油性組成物は油中水型乳化組成物の構造でありうる。油中水型乳化組成物を化粧料として用いる場合には、水性化粧料よりも塗布後の潤い感が持続し、保水性にも優れる。そこで、そのような油中水型乳化組成物は、人間や動物の外皮に塗布等により用いることで、塗布後の潤い感が持続し、保水性にも優れる化粧料や医薬部外品としての用途、例えば、日焼け止め乳液や日焼け止めクリームとして好適に利用される。また、メーキャップ製品やヘア製品等、日焼け止め効果を必要とする種々の化粧料に広く適用することができる。
【0057】
本発明の一態様に関する油性組成物を油中水型乳化組成物として用いる場合、上記の成分(A)、(B)及び油相に加えて水相が構成される必要がある。水相に含まれる水性成分は、水性成分は、化粧料、医薬部外品等の外用組成物において通常用いられる水性成分であれば、特に限定されない。水性成分としては、水、水溶性アルコール、増粘剤、保湿剤、キレート剤、防腐剤、色素等を用いることができる。
【0058】
水としては、精製水、イオン交換水、水道水等を用いることができる。水の含有量は本発明の一態様である油中水型乳化組成物を含む化粧料や医薬部外品の用途等に応じて適宜選択することができる。例えば、水中油型組成物の全量に対し、20〜70質量%であると好ましく、30〜60質量%であるとより好ましい。
【0059】
本発明の一態様に関する油中水型乳化組成物の構造としては、当該油性組成物に水相が乳化粒子として安定して存在する。このような構造の化粧料等は、肌上での伸びが良好な使用感触を付与することができる。以下に説明するように、水相にはその他、水と相溶性がある物質、水に溶解するような物質等からなる水性成分が含有されていてもよい
【0060】
本発明の一態様としては、油性組成物及び油中水型乳化組成物を含む外用組成物であってもよい。このような外用組成物は、例えば、人間や動物の外皮において、塗布等により使用することができる、日焼け止め剤や頭皮頭髪化粧品等の化粧料や、皮膚外用剤としても用いることができる。外用組成物はいかなる製品形態をもとることができるが、例えば、化粧水、乳液、クリーム、パック等の、顔面、身体又は頭皮頭髪用の外用組成物として用いることができる。
【0061】
<その他の成分>
本発明の一態様に関する油性組成物及び/又は油中水型乳化組成物は、本発明の趣旨から逸脱しない限り、上記の成分(A)及び(B)等に加えて、界面活性剤、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤、美白剤、保湿剤、増粘剤、酸化防止剤、抗菌防腐剤、ビタミン類、ホルモン類、アルギニン、アミノ酸類、抗炎症剤、抗菌剤、収斂剤、清涼剤、ステロール類、アルコール類、高分子系物質、水、水性アルコール等で抽出した天然エキス、色素、中和剤、pH調整剤等を配合することができる。
【0062】
具体的には、界面活性剤としては、シリコーン系界面活性剤、高分子界面活性剤、フッ素系界面活性剤、非イオン系界面活性剤、陽イオン系界面活性剤,陰イオン系界面活性剤又は両性界面活性剤等があげられる。また、ゲル化のための界面活性剤を用いることもできる。ゲル化のための界面活性剤としては、ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライトやジメチコンがあげられるが、これらに限定されない。水相では、ノニオン性界面活性剤を用いることが好ましい。例えば、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリエーテル変性シリコーン、ポリグリセリン脂肪酸エステル、モノグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルや自己乳化型ステアリン酸プロピレングリコール等があげられるが、これらに限定されない。
【0063】
例えば、界面活性作用を有する有機ケイ素化合物のポリマーであるシリコーン系界面活性剤は、撥水性が高く、化粧料では皮膜形成剤としてファンデーションや日焼け止め、化粧下地、ヘアトリートメントのコンディショニング剤などにも広く用いられている。本発明の一態様に適するシリコーン系界面活性剤としては、例えば、(PEG−10/ラウリルジメチコン)クロスポリマー、(PEG−15/ラウリルジメチコン)クロスポリマー、(ジメチコン/(PEG−10/15))クロスポリマー、PEG/PPG−20/22ブチルエーテルジメチコン、PEG−10ジメチコン、PEG−11メチルエーテルジメチコン、PEG−3ジメチコン、PEG−9ジメチコン、PEG−9メチルエーテルジメチコン、ポリグリセリル−3ジシロキサンジメチコン、ラウリルPEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、ラウリルポリグリセリル−3ポリジメチルシロキシエチルジメチコンなどがあげられるが、これらに限定されない。中でも、PEG-9ポリジメチルポリシロキシエチルジメチコンが好ましい。
【0064】
上記の極性油としての紫外線極性油のほかに、汎用されているいかなる紫外線吸収剤をも用いることができる。具体的には、ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸ナトリウム、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノンジスルホン酸ナトリウム、ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸及びその三水塩、ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸ナトリウム、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、フェルラ酸、テレフタリリデンジショウノウスルホン酸、ベンジリデンショウノウスルホン酸等である。
【0065】
本発明の一態様である油性組成物を日焼け止め剤に用いる場合には、上記の紫外線吸収剤のほかに、紫外線散乱剤が含有されてもよい。紫外線散乱剤としては、紫外線散乱作用を有する粉体粒子であればいかなる粒子を用いることができるが、例えば、微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛等があげられる。具体的には、酸化チタンのほかには、オクチルトリエトキシシラン処理微粒子酸化亜鉛、パルミチン酸デキストリン処理微粒子酸化亜鉛もあげられるが、これらに限定されない。
【0066】
美白剤として、トラネキサム酸、4−メトキシサリチル酸カリウム塩、ニコチン酸アミドなどがあげられる。
【0067】
保湿剤としては、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、等があげられる。
【0068】
増粘剤としては、植物系高分子(例えば、アラビアガム、トラガントガム、ガラクタン、グアガム、カラギーナン等)、微生物系高分子(例えば、キサンタンガム、デキストラン、スクシノグリカン、プルラン等)、動物系高分子(例えば、コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン等)、デンプン系高分子(例えば、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等)、アルギン酸系高分子(例えば、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等)等があげられる。また、ジメチルアクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリンナトリウムクロスポリマーのような合成クロスポリマーであってもよい。
【0069】
酸化防止剤として、ブチルヒドロキシトルエン、トコフェロール、フィチン酸、アスコルビン酸、ピロ亜硫酸ナトリウム等があげられる。
【0070】
抗菌防腐剤として、安息香酸、安息香酸ナトリウム、サリチル酸、ソルビン酸、パラオキシ安息香酸アルキルエステル(エチルパラベン、ブチルパラベン等)、メチルパラベン、デヒドロ酢酸ナトリウム、フェノキシエタノール、ヘキサクロロフェン等があげられる。
キレート剤として、サリチル酸、エデト酸、メタリン酸等があげられる。
【0071】
ビタミン類として、ビタミンA及びその誘導体、ビタミンB6塩酸塩、ビタミンB6トリパルミテート、ビタミンB6ジオクタノエート、ビタミンB2及びその誘導体、ビタミンB12、ビタミンB15及びその誘導体等のビタミンB類、アスコルビン酸、アスコルビン酸硫酸エステル(塩)、アスコルビン酸リン酸エステル(塩)、アスコルビン酸ジパルミテート等のビタミンC類、α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、ビタミンE−アセテ−ト、ビタミンE−ニコチネート等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パントテチン等のビタミン類、ニコチン酸アミド、ニコチン酸ベンジル、γ−オリザノール、アラントイン、グリチルリチン酸(塩)、グリチルレチン酸及びその誘導体、ヒノキチオール、ムシジン、ビサボロール、ユーカリプトール、チモールイノシトール、パントテルエチルエーテル、エチニルエストラジオール、セファランジン、プラセンタエキス等があげられる。
【0072】
アルコールとしては、水溶性アルコールとして、例えば、低級アルコール、多価アルコール、多価アルコール重合体、アルコールアルキルエーテル、アルコールエーテルエステル、グリセリンモノアルキルエーテル、糖アルコール、単糖、オリゴ糖、多糖及びそれらの誘導体等があげられる。低級アルコールとしては、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、イソブチルアルコール、t-ブチルアルコール等があげられる。多価アルコールとしては、2価アルコール(例えば、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、エチレングリコール、トリメチレングリコール、1,2-ブチレングリコール、テトラメチレングリコール、2,3-ブチレングリコール、ペンタメチレングリコール、2-ブテン-1,4-ジオール、ヘキシレングリコール、オクチレングリコール等)、3価アルコール(例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン等)、4価アルコール(ジグリセリン、1,2,6-ヘキサントリオール等のペンタエリスリトール等)、5価アルコール(キシリトール、トリグリセリン等)、及び6価アルコール(例えば、ソルビトール、マンニトール等)、ポリエチレングリコール等があげられる。
【0073】
高分子系物質として、多価アルコール、アラビアガム、トラガントガム、ガラクタン、グアガム、キャロブガム、カラヤガム、ジェランガム、カラギーナン等の植物系高分子;キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、プルラン、バイオヒアルロン酸ナトリウム等の微生物系高分子;コラーゲン、カゼイン、ゼラチン等の動物系高分子;カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等のデンプン系高分子;メチルセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース等のセルロース系高分子;アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸系高分子;ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドンとビニルアセテート共重合物、カルボキシビニルポリマー等のビニル系高分子;ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリル酸アルカノールアミン、アルキルメタクリレートとジメチルアミノエチルメタクリレート共重合物、ポリ2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ポリメタクリロイルオキシトリメチルアンモニウム等のアクリル系高分子;2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンをモノマーとして含む高分子等があげられる。
【0074】
その他、ラウロイルコシンナトリウム等のアシルサルコシン酸、グルタチオン;アミノカプロン酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、グリコール酸、酒石酸等の有機酸等のα−ヒドロキシ酸及びこれらのナトリウム、カリウム等の塩や、ギシギシ、クララ、コウホネ、オレンジ、セージ、ノコギリ草、ゼニアオイ、センキュウ、センブリ、タイム、トウキ、トウヒ、バーチ、スギナ、ヘチマ、マロニエ、ユキノシタ、ヒオウギ、カミツレ、アルニカ、ユリ、ヨモギ、シャクヤク、アロエ、クチナシ、サワラ、ローヤルゼリー、胎盤抽出物、パントテニールエチルエーテル、グリチルリチン酸ジカリウム、ビオチン、ピリドキシン塩酸塩、アデノシン三リン酸、α−リポ酸、3−O−エチルアスコルビン酸、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、アルブチン、グルコシルヘスペリジン、グルコシルルチンがあげられる。
【0075】
これらの物質を、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で配合することができる。
【実施例】
【0076】
以下は本発明の一態様に関する油性組成物に関する実施例である。当業者であれば、本実施例で用いる物質、処方、比率、方法等は本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜変更できることを理解できる。また、本実施例の記載は本発明を実施例の範囲に限定することを意図しない。以下の実施例等における配合量「%」は特段の断りがない限りは「質量%」を表す。
【0077】
〔実施例1〜4及び比較例1〜3〕
以下の各表に掲げた組成を有する油性組成物を常法に従って調製した。実施例及び比較例に用いた油性組成物の成分組成は表1に示すとおりである。
【0078】
ここで、オクチルトリエトキシシラン処理微粒子酸化亜鉛の粒径は25nmであった。パルミチン酸デキストリン処理微粒子酸化亜鉛の粒径は15nmであった。ジメチコン処理シリカの粒径は9μmであり、吸油量は250ml/100gであった。アモジメチコン処理シリカの粒径は5μmであり、吸油は30ml/100gであった。高級アルコール処理シリカの粒径は2μmであり、吸油量は60ml/100gであった。球状シリカは多孔性であり、平均粒径は5μmであった。
当該油性組成物の使用感及び安定性を以下のように評価した。
【0079】
〔使用感〕
化粧品評価専門パネル10名により、腕に塗布した際のべたつきのなさ、粉きしみのなさを下記基準にて5段階評価し、さらにその平均点から判定した。
5点:良好
4点:やや良好
3点:普通
2点:やや不良
1点:不良
判定基準
A:平均点4.0以上
B:平均点3.0以上4.0未満
C:平均点3.0未満
【0080】
〔安定性〕
各例の化粧料(試料)を密閉容器に充填し、室温において45rpmの速度で4時間回転させた。その後、各試料の状態を目視及び実使用試験にて、以下のように評価した。
【0081】
A:変化無し
B:粉末の凝集体がみられる
その結果を以下の表1に示す。
【0082】
【表1】