【解決手段】治療有効量の(1S,2S,3S,5R)−3−((6−(ジフルオロメチル)−5−フルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−8−イル)オキシ)−5−(4−メチル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)シクロペンタン−1,2−ジオール、又はその薬剤として許容される塩の、それを必要とする患者への1日1回の投与を含む。
前記癌が、肺癌、骨癌、膵癌、皮膚癌、頭部もしくは頚部の癌、皮膚もしくは眼球内黒色腫、子宮癌、卵巣癌、直腸癌、肛門部の癌、胃癌、大腸癌、乳癌、子宮癌、卵管の癌腫、子宮内膜の癌腫、頚部の癌腫、膣の癌腫、外陰の癌腫、ホジキン病、食道の癌、小腸の癌、内分泌系の癌、甲状腺の癌、副甲状腺の癌、副腎の癌、軟部組織の肉腫、尿道の癌、陰茎の癌、前立腺癌、慢性もしくは急性白血病、リンパ球性リンパ腫、膀胱の癌、腎臓もしくは尿管の癌、腎細胞腫、腎盂の癌腫、中枢神経系(CNS)の新生物、原発性CNSリンパ腫、脊髄軸腫瘍、脳幹神経膠腫、および下垂体腺腫からなる群から選択される、請求項3に記載の方法。
前記癌が、非小細胞肺癌(NSCLC)、頭部および頚部扁平上皮癌(HNSCC)、食道癌、子宮体癌、子宮頚癌、膀胱癌、尿路上皮癌、または膵癌である、請求項3に記載の方法。
前記化合物1、またはその薬剤として許容される塩が、1種もしくは複数の錠剤、1種もしくは複数のカプセル剤、溶液剤、液体懸濁剤、またはシロップ剤から選択された剤形で投与される、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
前記化合物1が、約1mg、2mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、10mg、11mg、12mg、13mg、14mg、15mg、16mg、17mg、18mg、19mg、20mg、21mg、22mg、23mg、24mg、25mg、26mg、27mg、28mg、29mg、30mg、31mg、32mg、33mg、34mg、35mg、36mg、37mg、38mg、39mg、40mg、50mg、60mg、70mg、80mg、90mg、100mg、110mg、120mg、130mg、140mg、または150mgの用量で1日1回対象に投与される、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本明細書に開示された本発明は、治療有効量のPRMT5阻害剤を投与することを含む、対象における異常な細胞増殖(例えば、癌)を治療する方法を対象とする。したがって、一側面では、本発明は、対象における異常な細胞増殖を治療する方法を提供し、前記方法は、治療有効量の構造:
【0038】
を有する(1S,2S,3S,5R)−3−((6−(ジフルオロメチル)−5−フルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−8−イル)オキシ)−5−(4−メチル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)シクロペンタン−1,2−ジオール(化合物1)、またはその薬剤として許容される塩の前記対象への1日1回以下(例えば、1日1回)の(例えば、経口)投与を含む。
【0039】
いくつかの態様では、本明細書に記載の方法は、有効量の第2またはさらなる治療薬、例えば化学療法剤または生物療法剤を投与することをさらに含む。
定義
本発明は、本発明の好ましい態様および本明細書に含まれている実施例の以下の詳細な説明を参照することにより、より容易に理解することができる。本明細書で使用されている専門用語は、特定の態様を説明するためだけのものであり、限定するものではないことを理解されたい。本明細書で具体的に定義されない限り、本明細書で使用された専門用語は、関連技術分野で既知のようなその従来の意味が与えられるべきであることがさらに理解されたい。
【0040】
本明細書では、単数形「a」、「an」、および「the」は、特に指示がない限り、複数の参照を含む。例えば、「a」置換基は、1種または複数の置換基を含む。
数値的に定義されたパラメーターを修飾するために使用される用語「約」は、パラメーターが、そのパラメーターについて規定された数値を10%ほど上または下に変化してよい、すなわち±10%であることを表す。例えば、「約5mg/kg」の用量は、「5mg/kg±10%」を表し、すなわち用量は、特に指定のない限り、4.5mg/kgおよび5.5mg/kgの間で変化してよいことが理解されたい。
【0041】
用語「患者」または「対象」は、治療が望ましい、または臨床試験、疫学調査に参加している、または対照として使用されている、ヒトならびに哺乳動物獣医患者、例えばウシ、ウマ、イヌおよびネコが含まれる任意の単一対象を意味する。特定の好ましい態様では、対象はヒトである。
【0042】
本明細書では、癌または関連症状もしくは疾患を「治療する」または「治療すること」という用語は、本発明による療法を、癌または関連症状もしくは疾患を有する対象に投与して少なくとも1つの肯定的な治療効果を達成することを表す。「治療すること」は直前に定義されているように、用語「治療」は、本明細書では、特に指示がない限り、治療する行為を意味する。用語「治療すること」はまた、対象のアジュバントおよびネオアジュバント治療を含む。
【0043】
本明細書では、「投与すること」は、当業者に既知の任意の種々の方法および送達システムを用いた対象への治療薬の送達を意味する。例示的な投与経路には、例えば注射もしくは注入による、静脈内、筋肉内、皮下、腹膜内、脊髄または他の非経口の投与経路が含まれる。表現「非経口投与」は、本明細書では、通常注射による経腸および局所以外の投与モードを表し、それだけには限らないが、静脈内、筋肉内、動脈内、くも膜下腔内、リンパ管内、病変内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹膜内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内、硬膜外および胸骨内注射および注入、ならびにin vivo電気穿孔法を含む。治療薬は、非腸管外経路、または経口によって投与することができる。他の非腸管外経路には、局所、表皮または粘膜投与経路、例えば、鼻腔内、膣内、直腸、舌下または局所が含まれる。投与はまた、例えば、1回、複数回、および/または1回以上の長期間にわたって行なうことができる。
【0044】
用語「BID」(または「bid」もしくは「b.i.d.」)は、薬物が1日2度(2回)投与されることを表す。例として、8mgBIDは、1日の1回目および2回目に8mg用量で投与される16mgの1日量を表す。
【0045】
用語「QD」(または「qd」または「q.d.」)は、薬物が1日1度(1回)投与されることを表す。
用語「治療レジメン」、「投薬プロトコル」および「投薬レジメン」は、本発明の組合せにおける各治療薬の用量および投与のタイミングを参照するために区別なく用いられる。
【0046】
「改善する(ameliorating)」は、本明細書に記載の組合せによる治療後に、組合せを投与しない場合と比較して、1つまたは複数の症状が緩和または改善することを表す。「改善する」には、症状の持続時間を短期化または短縮することも含まれる。
【0047】
本明細書では、薬物、化合物または薬剤組成物の「有効投与量」または「有効量」は、疾患の生化学的、組織学的および/または行動的症状、その合併症および疾患の発生中に現れる中間の病理学的表現型を含む、任意の1つまたは複数の有益なまたは所望の効果をもたらすのに十分な量である。治療的な使用について、「治療有効量」は、治療対象である障害の1つまたは複数の症状をある程度緩和する、投与される化合物の量を意味する。有効投与量は、1回または複数の投与で投与することができる。本発明の目的では、薬物、化合物、または薬剤組成物の有効投与量は、予防的または治療的処置を直接または間接的に実現するのに十分な量である。臨床的な状況で理解されているように、薬物、化合物または薬剤組成物の有効投与量は、別の薬物、化合物または薬剤組成物と併せて達成される場合も、そうでない場合もある。
【0048】
薬剤として許容されるとは、薬理学的/毒物学的観点から患者に対し、ならびに組成、製剤、安定性、患者許容性および生物学的利用能に関する物理的/化学的観点から製薬化学者に対して許容されるその特性および/または物質を意味する。
【0049】
ピーク対トラフ比率は、観察された化合物1の最大濃度(C
max)と最小濃度(C
min)の比率を意味する。本発明に関連するのは、「定常状態」における投薬間隔の間のピーク対トラフ比率である(15日目)。
【0050】
半減期、例えば化合物1の半減期は、化合物1の血漿濃度が、方程式:0.693
*Vss/CLによって計算された50%低下するのにかかる時間を意味し、ここで、Vssは、定常状態の分布容積であり、CLは、血漿クリアランスである。
【0051】
「化学療法剤」は、癌および/または癌関連疾患の治療に有用な化学化合物である。化学療法剤の種類には:アルキル化剤、代謝拮抗物質、キナーゼ阻害剤、紡錘体毒植物アルカロイド、細胞毒性/抗腫瘍抗生物質、トポイソメラーゼ阻害剤、光増感剤、抗エストロゲンおよび選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)、抗プロゲステロン、エストロゲン受容体ダウンレギュレーター(ERD)、エストロゲン受容体アンタゴニスト、黄体化ホルモン放出ホルモンアゴニスト、抗アンドロゲン、アロマターゼ阻害剤、EGFR阻害剤、VEGF阻害剤、および異常細胞増殖または腫瘍増殖に関与する遺伝子の発現を阻害するアンチセンスオリゴヌクレオチドがあるが、それだけには限定されない。化学療法剤は、本明細書にさらに記載されている。
【0052】
「化学療法」は、本明細書では、癌および/または癌関連疾患の治療のための前記で定義したような化学療法剤、または2、3もしくは4種の化学療法剤の組合せを意味する。化学療法が、2種以上の化学療法剤からなる場合、化学療法剤は、患者に、同一治療サイクルで同じ日または異なる日に投与することができる。
【0053】
例示的な方法および材料が本明細書に記載されているが、本明細書中に記載のものと類似した、または等価の方法および材料もまた、本発明の実施または試験に使用することができる。材料、方法および実施例は、例示のためだけのものであり、限定することを意図していない。
方法、使用、および医薬品
本発明の治療法は、癌などの異常な細胞増殖を治療するための、PRMT5阻害剤、およびその薬剤として許容される塩の、それを必要とする1人または複数の対象への投与を対象とする。これらの癌は、通常固形腫瘍癌、例えば、膵癌、子宮体癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、子宮体癌、子宮頚癌、膀胱癌、食道癌、頭部および頚部扁平上皮癌(HNSCC)、および他の癌である。
【0054】
したがって、対象における異常な細胞増殖を治療する方法を含む本発明の態様が提供され、前記方法は、治療有効量の構造:
【0056】
を有する(1S,2S,3S,5R)−3−((6−(ジフルオロメチル)−5−フルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−8−イル)オキシ)−5−(4−メチル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)シクロペンタン−1,2−ジオール(化合物1)、またはその薬剤として許容される塩の前記対象への1日1回以下(例えば、1日1回)の経口投与を含む。
【0057】
化合物1の薬剤として許容される塩には、酢酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベシル酸塩、重炭酸塩/炭酸塩、重硫酸塩/硫酸塩、ホウ酸塩、カンシル酸塩、クエン酸塩、エジシル酸塩、エシル酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、ヒベンズ酸塩、塩酸塩/塩化物、臭化水素酸塩/臭化物、ヨウ化水素酸塩/ヨウ化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メシル酸塩、メチル硫酸塩、ナフチル酸塩、2−ナプシル酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オロチン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、リン酸塩/水素、リン酸塩/二水素リン酸塩、糖酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、トシル酸塩およびトリフルオロ酢酸塩、アルミニウム、アルギニン、ベンザチン、カルシウム、コリン、ジエチルアミン、ジオールアミン、グリシン、リジン、マグネシウム、メグルミン、オラミン、カリウム、ナトリウム、トロメタミン、トシル酸塩、および亜鉛塩が含まれる。適当な塩の概説については、その開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる、「Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties、Selection、and Use」by Stahl and Wermuth(Wiley−VCH、Weinheim、Germany、2002)を参照されたい。
【0058】
本発明のいくつかの態様では、異常な細胞増殖は、前記対象におけるPRMT5タンパク質の活性を阻害することによって治療される。いくつかの態様では、異常な細胞増殖は、肺癌、骨癌、膵癌、皮膚癌、頭部もしくは頚部の癌、皮膚もしくは眼球内黒色腫、子宮癌、卵巣癌、直腸癌、肛門部の癌、胃癌、大腸癌、乳癌、子宮癌、卵管の癌腫、子宮内膜の癌腫、頚部の癌腫、膣の癌腫、外陰の癌腫、ホジキン病、食道の癌、小腸の癌、内分泌系の癌、甲状腺の癌、副甲状腺の癌、副腎の癌、軟部組織の肉腫、尿道の癌、陰茎の癌、前立腺癌、慢性もしくは急性白血病、リンパ球性リンパ腫、膀胱の癌、腎臓もしくは尿管の癌、腎細胞腫、腎盂の癌腫、中枢神経系(CNS)の新生物、原発性CNSリンパ腫、脊髄軸腫瘍、脳幹神経膠腫、および下垂体腺腫からなる群から選択される癌である。
【0059】
他の態様では、本発明の方法によって治療された適応症には、非小細胞肺癌(NSCLC)、頭部および頚部扁平上皮癌(HNSCC)、食道癌、子宮体癌、子宮頚癌、膀胱癌、尿路上皮癌、または膵癌から選択される癌が含まれる。
【0060】
別の側面では、対象における異常な細胞増殖(例えば、癌)を治療する方法が提供され、前記方法は、治療有効量の構造:
【0062】
を有する(1S,2S,3S,5R)−3−((6−(ジフルオロメチル)−5−フルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−8−イル)オキシ)−5−(4−メチル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)シクロペンタン−1,2−ジオール(化合物1)、またはその薬剤として許容される塩の前記対象への1日1回以下(例えば、1日1回)の経口投与を含み、かつ有効量の第2の治療薬を投与することをさらに含む。
【0063】
いくつかの態様では、第2の治療薬は、1種または複数の化学療法剤、生物療法剤、免疫調節剤、プロテアソーム阻害剤、およびコルチコステロイドを含んでいてもよい。本発明の併用療法に使用されるさらなる治療薬には、癌ワクチン、免疫細胞療法(例えばCAR−T細胞療法)、放射線治療、ワクチン、サイトカイン療法(例えば、インターフェロン、インターロイキン、および造血成長因子などの、免疫応答を刺激する種々のシグナル伝達タンパク質を含む免疫刺激性サイトカイン)、標的化サイトカイン、他の免疫抑制経路の阻害剤、血管新生の阻害剤、T細胞活性化剤、代謝経路の阻害剤、mTOR(ラパマイシンの機構的標的)阻害剤(例えば、ラパマイシン、ラパマイシン誘導体、シロリムス、テムシロリムス、エベロリムス、およびデフォロリムス)、アデノシン経路の阻害剤、ガンマセクレターゼ阻害剤(例えばニロガセスタット)、それだけには限らないがINLYTA(登録商標)を含むチロシンキナーゼ阻害剤、ALK(未分化リンパ腫キナーゼ)阻害剤(例えば、クリゾチニブ、セリチニブ、アレクチニブ、およびスニチニブ)、BRAF阻害剤(例えば、ベムラフェニブおよびダブラフェニブ)、PI3K阻害剤、HPK1阻害剤、エピジェネティック修飾因子、Treg細胞および/または骨髄由来抑制細胞の阻害剤または枯渇薬、JAK(ヤヌスキナーゼ)阻害剤(例えば、ルキソリチニブおよびトファシチニブ、バリシチニブ、フィルゴチニブ、ガンドチニブ、レスタウルチニブ、モメロチニブ、パクリチニブ、およびウパダシチニブ)、STAT(シグナル伝達兼転写活性化因子)阻害剤(例えば、フルダラビンなどのSTAT1、STAT3、およびSTAT5阻害剤)、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)または他の細胞周期阻害剤、免疫原性剤(例えば、弱毒化された癌性細胞、腫瘍抗原、腫瘍由来抗原または核酸でパルスされた樹状細胞などの抗原提示細胞、MEK阻害剤(例えば、トラメチニブ、コビメチニブ、ビニメチニブ、およびセルメチニブ)、GLS1阻害剤、PARP阻害剤(例えばタラゾパリブ、オラパリブ、ルカパリブ、ニラパリブ)、腫瘍溶解性ウィルス、DNAを含む遺伝子療法、直接またはアデノ随伴ウィルス(AAV)もしくはナノ粒子によって送達されるRNA、先天性免疫応答モジュレーター(例えば、TLR、KIR、NKG2A)、IDO(インドールアミン−ピロール2,3−ジオキシゲナーゼ)阻害剤、PRR(パターン認識受容体)アゴニスト、それだけには限らないがGM−CSFなどの免疫刺激性サイトカインをコードする遺伝子でトランスフェクトされた細胞)が含まれる。
【0064】
本明細書に記載の治療法は、1種または複数の化学療法剤の投与を含んでいてもよい。化学療法剤の例には、アルキル化剤、例えばチオテパおよびシクロホスファミド;アルキルスルホネート、例えばブスルファン、インプロスルファンおよびピポスルファン;アジリジン、例えばベンゾドーパ、カルボコン、メツレドーパ、およびウレドーパ;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスホルアミドおよびトリメチローロメラミンを含むエチレンイミンおよびメチラメラミン;アセトゲニン(特にブラタシンおよびブラタシノン);カンプトテシン(合成類似体トポテカンを含む);ブリオスタチン;カリスタチン;CC−1065(そのアドゼレシン、カルゼレシン、およびビゼレシン合成類似体を含む);クリプトフィシン(特にクリプトフィシン1およびクリプトフィシン8);ドラスタチン;デュオカルマイシン(合成類似体、KW−2189およびCBI−TMIを含む);エリュテロビン;パンクラチスタチン;サルコジクチン;スポンギスタチン;ナイトロジェンマスタード、例えばクロランブシル、クロルナファジン、コロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、塩酸メクロレタミンオキシド、メルファラン、ノベンビチン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタード;ニトロソウレア、例えばカルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチン;抗生物質、例えばエンジイン抗生物質(例えばカリケアミシン、特にカリケアミシンガンマ1IおよびカリケアミシンphiI1、例えば、Agnew、Chem. Intl. 編 Engl.、33:183〜186頁(1994)参照;ジネミシンAを含むジネミシン;ビスホスホネート、例えばクロドロネート;エスペラミシン;ならびにネオカルチノスタチン発色団および関連色素タンパク質エンジイン抗生物質クロモモフォア)、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、オースラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カラビシン、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6−ジアゾ−5−オキソ−L−ノルロイシン、ドキソルビシン(モルホリノ−ドキソルビシン、シアノモルホリノ−ドキソルビシン、2−ピロリノ−ドキソルビシンおよびデオキシドキソルビシンを含む)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン、例えばマイトマイシンC、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン、ピューロマイシン、クエラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシン;抗代謝薬、例えばメトトレキセートおよび5−フルオロウラシル(5−FU);葉酸類似体、例えばデノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキセート;プリン類似体、例えばフルダラビン、6−メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン;ピリミジン類似体、例えばアンシタビン、6−アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン;アンドロゲン、例えばカルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン;抗副腎薬、例えばアミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン;葉酸補充剤、例えばフロリン酸;フォリン酸、5−FUおよびオキサリプラチンを含むFOLFOX;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトラキセート;デフォファミン;デメコルシン;ジアジコン(diaziquone);エルフォミチン;酢酸エリプチニウム;エポチロン;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダミン;マイタンシノイド、例えばマイタンシンおよびアンサミトシン;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダモール;ニトラクリン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ロソキサントロン;ポドフィリン酸;2−エチルヒドラジド;プロカルバジン;ラゾキサン;リゾキシン;シゾフラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジクオン;2,2’,2”−トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン(特にT−2トキシン、ベラキュリンA、ロリジンA、およびアングイジン);ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(「Ara−C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド、例えばパクリタキセルおよびドセタキセル;クロランブシル;ゲムシタビン;6−チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;白金類似体、例えばカルボプラチン;シスプラチン;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP−16);イホスファミド;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ノバントロン;テニポシド;エダトレキサート;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ;イバンドロネート;CPT−11;トポイソメラーゼ阻害剤RFS 2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイド、例えばレチノイン酸;カペシタビン;ならびに上記のいずれかの薬剤として許容される塩、酸または誘導体が含まれる。
【0065】
本明細書に記載の方法は、1種または複数の抗体などの生物療法剤を投与することを含んでいてもよい。抗体の例には、それだけには限らないが、抗CTLA−4抗体、抗CD3抗体、抗CD4抗体、抗CD8抗体、抗4−1BB抗体、抗PD−1抗体、抗PD−L1抗体、抗TIM3抗体、抗LAG3抗体、抗TIGIT抗体、抗OX40抗体、抗IL−7Rα(CD127)抗体、抗IL−8抗体、抗IL−15抗体、抗HVEM抗体、抗BTLA抗体、抗CD38抗体、抗CD40抗体、抗CD40L抗体、抗CD47抗体、抗CSF1R抗体、抗CSF1抗体、抗IL−7R抗体、抗MARCO抗体、抗CXCR4抗体、抗VEGF抗体、抗VEGFR1抗体、抗VEGFR2抗体、抗TNFR1抗体、抗TNFR2抗体、抗CD3二重特異性抗体、抗CD19抗体、抗CD20、抗Her2抗体、抗EGFR抗体、抗ICOS抗体、抗CD22抗体、抗CD52抗体、抗CCR4抗体、抗CCR8抗体、抗CD200R抗体、抗VISG4抗体、抗CCR2抗体、抗LILRb2抗体、抗CXCR4抗体、抗CD206抗体、抗CD163抗体、抗KLRG1抗体、抗FLT3抗体、抗B7−H4抗体、抗B7−H3抗体、KLRG1抗体、BTN1A1抗体、BCMA抗体、抗SLAMF7抗体、抗avb8抗体、抗CD80抗体、または抗GITR抗体が含まれる。
【0066】
いくつかの態様では、第2の治療薬は、抗PD−1抗体または抗PD−L1抗体である。抗PD−1および抗PD−L1抗体の例には、それだけには限らないが、アテゾリズマブ(TECENTRIQ(登録商標)、MPDL3280A、Roche Holding AG)、デュルバルマブ(IMFINZI(登録商標)、AstraZeneca PLC)、ニボルマブ(OPDIVO(登録商標)、ONO−4538、BMS−936558、MDX1106、Bristol−Myers Squibb Company)、ペムブロリズマブ(KEYTRUDA(登録商標)、MK−3475、ランブロリズマブ、Merck & Co.、Inc.)、BCD−100(BIOCAD Biopharmaceutical Company)、チスレリズマブ(BGB−A317、BeiGene Ltd./Celgene Corporation)、ゲノリムズマブ(CBT−501、CBT Pharmaceuticals)、CBT−502(CBT Pharmaceuticals)、GLS−010(Harbin Gloria Pharmaceuticals Co.、Ltd.)、シンチリマブ(IBI308、Innovent Biologics、Inc.)、WBP3155(CStone Pharmaceuticals Co.、Ltd.)、AMP−224(GlaxoSmithKline plc)、BI 754091(Boehringer Ingelheim GmbH)、BMS−936559(Bristol−Myers Squibb Company)、CA−170(Aurigene Discovery Technologies)、FAZ053(Novartis AG)、スパルタリズマブ(PDR001、Novartis AG)、LY3300054(Eli Lilly & Company)、MEDI0680(AstraZeneca PLC)、PDR001(Novartis AG)、ササンリマブ(PF−06801591、Pfizer Inc.)、セミプリマブ(LIBTAYO(登録商標)、REGN2810、Regeneron Pharmaceuticals、Inc.)、カムレリズマブ(SHR−1210、Incyte Corporation)、TSR−042(Tesaro、Inc.)、AGEN2034(Agenus Inc.)、CX−072(CytomX Therapeutics、Inc.)、JNJ−63723283(Johnson & Johnson)、MGD013(MacroGenics、Inc.)、AN−2005(Adlai Nortye)、ANA011(AnaptysBio、Inc.)、ANB011(AnaptysBio、Inc.)、AUNP−12(Pierre Fabre Medicament S.A.)、BBI−801(Sumitomo Dainippon Pharma Co.、Ltd.)、BION−004(Aduro Biotech)、CA−327(Aurigene Discovery Technologies)、CK−301(Fortress Biotech、Inc.)、ENUM 244C8(Enumeral Biomedical Holdings、Inc.)、FPT155(Five Prime Therapeutics、Inc.)、FS118(F−star Alpha Ltd.)、hAb21(Stainwei Biotech、Inc.)、J43(Transgene S.A.)、JTX−4014(Jounce Therapeutics、Inc.)、KD033(Kadmon Holdings、Inc.)、KY−1003(Kymab Ltd.)、MCLA−134(Merus B.V.)、MCLA−145(Merus B.V.)、PRS−332(Pieris AG)、SHR−1316(Atridia Pty Ltd.)、STI−A1010(Sorrento Therapeutics、Inc.)、STI−A1014(Sorrento Therapeutics、Inc.)、STI−A1110(LesLaboratoires Servier)、およびXmAb20717(Xencor、Inc.)が含まれる。
【0067】
本発明に記載の方法で使用するための第2の治療薬は、例えば、5T4;A33;α−葉酸受容体1(例えばミルベツキシマブ ソラブタンシン);Alk−1;BCMA(例えばWO2016166629および本明細書に開示されている他のもの参照);BTN1A1(例えばWO2018222689参照);CA19−9;CA−125(例えばアバゴボマブ);炭酸脱水酵素IX;CCR2;CCR4(例えばモガムリズマブ);CCR5(例えばレロンリマブ);CCR8;CD3[例えばブリナツモマブ(CD3/CD19二重特異性)、PF−06671008(CD3/P−カドヘリン二重特異性)、PF−06863135(CD3/BCMA二重特異性)];CD19(例えばブリナツモマブ、MOR208);CD20(例えばイブリツモマブ、チウキセタン、オビヌツズマブ、オファツムマブ、リツキシマブ、ウブリツキシマブ);CD22(イノツズマブオゾガマイシン、モキセツモマブパスドトクス);CD25;CD28;CD30(例えばブレンツキシマブベドチン);CD33(例えばゲムツズマブオゾガマイシン);CD38(例えばダラツムマブ、ダラツムマブおよびヒアルロニダーゼ、およびイサツキシマブ)、CD40;CD−40L;CD44v6;CD47(例えばHu5F9−G4、CC−90002、SRF231、B6H12);CD52(例えばアレムツズマブ);CD56;CD63;CD79(例えばポラツズマブベドチン);CD80;CD86;CD123;CD276/B7−H3(例えばオムブルタマブ);CDH17;CEA;ClhCG;CTLA−4(例えばイピリムマブ、トレメリムマブ)、CXCR4;デスモグレイン4;DLL3(例えばロバルピツズマブテシリン);DLL4;E−カドヘリン;EDA;EDB;EFNA4;EGFR(例えばセツキシマブ、デパツキシズマブマホドチン、ネシツムマブ、パニツムマブ);EGFRvIII;エンドシアリン;EpCAM(例えばオポルツズマブモナトクス);FAP;胎児アセチルコリン受容体;FLT3(例えばWO2018/220584参照);4−1BB(CD137)[例えばウトミルマブ/PF−05082566(WO2012/032433参照)またはウレルマブ/BMS−663513]、GD2(例えばジヌツキシマブ、3F8);GD3;GITR(例えばTRX518);GloboH;GM1;GM2;HER2/neu[例えばマルゲツキシマブ、ペルツズマブ、トラスツズマブ;アドトラスツズマブエムタンシン、トラスツズマブデュオカルマジン、PF−06804103(US8828401参照)];HER3;HER4;ICOS;IL−10;ITG−AvB6;LAG−3(例えばレラトリマブ、IMP701);ルイス−Y;LG;Ly−6;M−CSF[例えばPD−0360324(US7326414参照)];(膜結合型)IgE;MCSP;メソセリン;MIS受容体II型;MUC1;MUC2;MUC3;MUC4;MUC5AC;MUC5B;MUC7;MUC16;Notch1;Notch3;ネクチン−4(例えばエンホルツマブベドチン);OX40[例えばPF−04518600(US7960515参照)];P−カドヘリン[例えばPF−06671008(WO2016/001810参照)];PCDHB2;PD−1[例えばBCD−100、カムレリズマブ、セミプリマブ、ゲノリムズマブ(CBT−501)、MEDI0680、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、ササンリマブ(PF−06801591、WO2016/092419参照)、シンチリマブ、スパルタリズマブ、STI−A1110、チスレリズマブ、TSR−042、および本明細書に開示されている他のもの];PD−L1(例えばアテゾリズマブ、デュルバルマブ、BMS−936559(MDX−1105)、LY3300054、および本明細書に開示されている他のもの);PDGFRA(例えばオララツマブ);形質細胞抗原;PolySA;PSCA;PSMA;PTK7[例えばPF−06647020(US9409995参照)];Ror1;SAS;SLAMF7(例えばエロツズマブ);SHH;SIRPa(例えばED9、Effi−DEM);STEAP;sTn;TGF−β;TIGIT;TIM−3;TMPRSS3;TNF−α前駆体;TROP−2(例えば、サシツズマブゴビテカン);TSPAN8;VEGF(例えばベバシズマブ、ブロルシズマブ);VEGFR1(例えばラニビズマブ);VEGFR2(例えばラムシルマブ、ラニビズマブ);およびWue−1を対象とする、または標的化することができる。
治療
本明細書に記載の治療法におけるそれぞれの治療薬(例えば、化合物1および1種または複数の追加の治療薬)は、単独で投与してもよく、または標準薬務に従って、治療薬ならびに1つもしくは複数の薬剤として許容される担体、賦形剤および希釈剤を含む医薬品(本明細書では薬剤組成物とも呼ばれる)で投与してもよい。
【0068】
本明細書に記載の方法におけるそれぞれの治療薬は、単独療法として単独で、または1つまたは複数の追加の治療薬と併せて、任意の適当な経腸経路または非経口投与経路によって投与することができる。用語投与の「経腸経路」は、胃腸管のいずれかの部分を経由する投与を意味する。経腸経路の例には、経口、粘膜、頬、および直腸経路、または胃内経路が含まれる。投与の「非経口経路」は、経腸経路以外の投与経路を意味する。投与の非経口経路の例には、静脈内、筋肉内、皮内、腹膜内、腫瘍内、膀胱内、動脈内、くも膜下腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、経気管、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内、硬膜外および胸骨内、皮下、または局所投与が含まれる。本開示の治療薬は、任意の適当な方法を使用して、例えば経口摂取、経鼻胃管、胃瘻造設チューブ、注射、注入、埋め込み型注入ポンプ、および浸透圧ポンプによって投与することができる。投与の適当な経路および方法は、いくつかの因子、例えば使用されている特定の治療薬、所望の吸収速度、使用される特定の製剤または剤形、治療対象である障害の種類または重症度、特定の作用部位、および患者の状態に依存して異なっていてもよい。
【0069】
固体投与形態の治療薬の経口投与は、例えば、所定量の少なくとも1種の治療薬をそれぞれが含有する別個の単位、例えば、硬カプセル剤または軟カプセル剤、丸剤、カシェ剤、ロゼンジ、または錠剤で提供することができる。別の側面では、経口投与は、粉末または顆粒形態でもよい。別の側面では、経口投与形態は、例えば、ロゼンジなどの舌下である。このような固体剤形では、治療薬は、通常1種または複数のアジュバントと組み合わせる。このようなカプセル剤または錠剤は、制御放出製剤を含有してもよい。カプセル剤、錠剤、および丸剤の場合では、剤形はまた、緩衝剤を含んでいてもよく、または腸溶コーティングを施して調製してもよい。
【0070】
別の側面では、治療薬の経口投与は、液体投与形態であってよい。経口投与用の液体剤形には、例えば、当技術分野で一般に使用される不活性希釈剤(例えば、水)を含有する薬剤として許容される乳剤、液剤、懸濁剤、シロップ剤、およびエリキシル剤が含まれる。このような組成物はまた、湿潤剤、乳化剤、懸濁化剤、香味料(例えば、甘味料)、および/または芳香剤などのアジュバントを含んでいてもよい。
【0071】
したがって、例えば、いくつかの態様では、化合物1、またはその薬剤として許容される塩は、単独療法として、1種または複数の錠剤、1種または複数のカプセル剤、溶液剤、液体懸濁剤またはシロップ剤から選択される剤形で投与される。いくつかの態様では、剤形は、1種または複数の錠剤、好ましくは単一錠剤である。
【0072】
いくつかの側面では、治療薬は、非経口投与形態で投与される。「非経口投与」には、例えば、皮下注射、静脈内注射、腹膜内注射、筋肉内注射、胸骨内注射、および注入が含まれる。注射用製剤(すなわち、無菌注射用の水性または油性懸濁剤)は、適当な分散剤、湿潤剤、および/または懸濁化剤を使用して、周知の技術に従って配合し、デポー製剤を含めることができる。
【0073】
例えば、いくつかの態様では、化合物1、またはその薬剤として許容される塩は、1種または複数の錠剤、1種または複数のカプセル剤、溶液剤、液体懸濁剤またはシロップ剤から選択される剤形で投与され、第2の治療薬(例えば、ドセタキセルなどの化学療法剤またはPD−1もしくはPD−L1抗体などの生物療法剤)は、静脈内投与される。
【0074】
いくつかの側面では、治療薬は、局所投与形態で投与される。「局所投与」には、例えば、経皮パッチもしくはイオン導入デバイス経由などの経皮投与、眼内投与、または鼻腔内もしくは吸入投与が含まれる。局所投与用の組成物はまた、例えば、局所ゲル剤、スプレー剤、軟膏剤、およびクリーム剤が含まれる。局所製剤は、皮膚または他の患部を通して有効成分の吸収または浸透を高める化合物を含み得る。治療薬が経皮デバイスによって投与される場合、投与は、貯蔵器および多孔質膜タイプまたは固体マトリックスの種類のいずれかのパッチを使用して実施されるはずである。この目的のための典型的な製剤には、ゲル剤、ヒドロゲル剤、ローション剤、液剤、クリーム剤、軟膏剤、粉剤、包帯剤、発泡体、フィルム、皮膚パッチ、オブラート、インプラント、スポンジ、繊維、絆創膏およびマイクロエマルジョンが含まれる。リポソームも使用することができる。典型的な担体には、アルコール、水、鉱油、流動ワセリン、白色ワセリン、グリセリン、ポリエチレングリコールおよびプロピレングリコールが含まれる。浸透促進剤を組み込むことができ、例えば、Finnin and Morgan、J. Pharm. Sci.、88(10)、955〜958頁(1999)を参照されたい。
【0075】
医薬分野で周知の他の担体材料および投与モードも、治療薬と使用することができる。効果的な製剤および投与手順に関する上記の考慮事項は、当技術分野で周知されており、標準的な教本に記載されている。薬物の製剤は、例えば、Hoover、John E.、Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Co.、Easton、Pa.、1975;Libermanら、編、Pharmaceutical Dosage Forms、Marcel Decker、New York、N.Y.、1980;およびKibbeら、編、Handbook of Pharmaceutical Excipients(第3版)、American Pharmaceutical Association、Washington、1999で論じられている。
【0076】
併用治療の場合、本明細書に記載の方法のための投与計画(本明細書では投与レジメンとも呼ばれる)の選択は、実体の血清または組織代謝回転速度、症状のレベル、実体の免疫原性、および治療対象における標的細胞、組織または臓器への接近容易性を含む、いくつかの要因に依存し得る。好ましくは、投与計画は、副作用の許容可能なレベルと一致させて患者に送達されるそれぞれの治療薬の量を最大にする。したがって、組み合わせたそれぞれの治療薬または化学療法剤の投与量および投薬頻度は、一部、特定の治療薬、治療対象となる癌の重症度、および患者の特徴に依存する。抗体、サイトカイン、および小分子の適切な用量を選択する際のガイダンスが利用可能である。例えば、Wawrzynczak(1996)Antibody Therapy、Bios Scientific Pub.Ltd、Oxfordshire、UK;Kresina(編)(1991)Monoclonal Antibodies、Cytokines and Arthritis、Marcel Dekker、New York、NY;Bach(編)(1993)Monoclonal Antibodies and Peptide Therapy in Autoimmune Diseases、Marcel Dekker、New York、NY;Baertら(2003)New Engl. J. Med.348:601〜608頁;Milgromら(1999)New Engl. J. Med.341:1966〜1973頁;Slamonら(2001)New Engl. J. Med.344:783〜792頁;Beniaminovitzら(2000)New Engl. J. Med.342:613〜619頁;Ghoshら(2003)New Engl. J. Med.348:24〜32頁;Lipskyら(2000)New Engl. J. Med.343:1594〜1602頁;Physicians’ Desk Reference 2003(Physicians’ Desk Reference、第57版);Medical Economics Company;ISBN:1563634457;第57版(2002年11月)を参照されたい。適切な投与計画の決定は、例えば、治療に影響を及ぼすことが当技術分野で知られている、もしくは推測される、または治療に影響を及ぼすことが予測されるパラメーターまたは因子を使用して臨床医が行なってもよく、例えば、患者の病歴(例えば、以前の療法)、治療すべき癌の種類および段階、ならびに併用療法における1種または複数の治療薬に対する応答のバイオマーカーに依存するはずである。
【0077】
いくつかの側面では、対象には、約または少なくとも約0.05μg、0.2μg、0.5μg、1μg、10μg、100μg、0.1mg、0.2mg、0.3mg、0.4mg、0.5mg、0.6mg、0.7mg、0.8mg、0.9mg、1mg、2mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、10mg、11mg、12mg、13mg、14mg、15mg、16mg、17mg、18mg、19mg、20mg、21mg、22mg、23mg、24mg、25mg、26mg、27mg、28mg、29mg、30mg、31mg、32mg、33mg、34mg、35mg、36mg、37mg、38mg、39mg、40mg、41mg、42mg、43mg、44mg、45mg、46mg、47mg、48mg、49mg、50mg、51mg、52mg、53mg、54mg、55mg、56mg、57mg、58mg、59mg、60mg、61mg、62mg、63mg、64mg、65mg、66mg、67mg、68mg、69mg、70mg、75mg、80mg、90mg、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、225mg、250mg、275mg、300mg、350mg、400mg、450mg、500mg、550mg、600mg、350mg、700mg、750mg、800mg、900mg、1000mgまたは1500mg以上の固定用量で各治療薬(例えば、単独療法、または化学療法剤もしくは生物療法剤などの1種もしくは複数の追加の治療薬との併用療法における化合物1)を投与することができる。固定用量は、例えば毎日、1日おき、週に3回、または1週間、2週間、3週間に1回、毎月1回、2か月に1回、3か月に1回、4か月に1回などの間隔で投与することもできる。
【0078】
いくつかの側面では、本明細書に記載の治療法の各治療薬(例えば、単独療法、または化学療法剤もしくは生物療法剤などの1種もしくは複数の追加の治療薬との併用療法における化合物1)は、対象に、約0.05μg/kg〜約1000mg/kg、約2mg/kg〜約900mg/kg、約3mg/kg〜約800mg/kg、約4mg/kg〜約700mg/kg、約5mg/kg〜約600mg/kg、約6mg/kg〜約550mg/kg、約7mg/kg〜約500mg/kg、約8mg/kg〜約450mg/kg、約9mg/kg〜約400mg/kg、約5mg/kg〜約200mg/kg、約2mg/kg〜約150mg/kg、約5mg/kg〜約100mg/kg、約10mg/kg〜約100mg/kg、または約10mg/kg〜約60mg/kgの用量で投与することができる。例えば、第2の治療薬は、対象に、少なくとも約0.05μg/kg、0.2μg/kg、0.5μg/kg、1μg/kg、10μg/kg、100μg/kg、0.2mg/kg、1.0mg/kg、2.0mg/kg、3.0mg/kg、5.0mg/kg、10mg/kg、25mg/kg、50mg/kg体重以上の用量で投与することができる。例えば、Yangら(2003)New Engl. J. Med. 349:427〜434頁;Heroldら(2002)New Engl. J. Med. 346:1692〜1698頁;Liuら(1999) J. Neurol. Neurosurg. Psych. 67:451〜456頁;Portieljiら(2003)Cancer Immunol. Immunother. 52:133〜144頁参照。
【0079】
いくつかの側面では、本明細書に記載の治療法の各治療薬(例えば、単独療法、または化学療法剤もしくは生物療法剤などの1種もしくは複数の追加の治療薬との併用療法における化合物1)は、対象に、約1mg/m
2〜約3000mg/m
2、約2mg/m
2〜約2000mg/m
2、約3mg/m
2〜約1000mg/m
2、約4mg/m
2〜約750mg/m
2、約5mg/m
2〜約600mg/m
2、約6mg/m
2〜約550mg/m
2、約7mg/m
2〜約500mg/m
2、約8mg/m
2〜約450mg/m
2、約9mg/m
2〜約mg/m
2の用量で投与することができる。例えば、第2の治療薬は、対象に、少なくとも約5mg/m
2、10mg/m
2、15mg/m
2、20mg/m
2、25mg/m
2、30mg/m
2、35mg/m
2、40mg/m
2、45mg/m
2、50mg/m
2、55mg/m
2、60mg/m
2、65mg/m
2、70mg/m
2、75mg/m
2、80mg/m
2、85mg/m
2、90mg/m
2、95mg/m
2、100mg/m
2、105mg/m
2、110mg/m
2、115mg/m
2、120mg/m
2、130mg/m
2、135mg/m
2、140mg/m
2、145mg/m
2、150mg/m
2、155mg/m
2、160mg/m
2、165mg/m
2、170mg/m
2、175mg/m
2、180mg/m
2、185mg/m
2、190mg/m
2、195mg/m
2、または200mg/m
2の用量で投与することができる。
【0080】
いくつかの側面では、本明細書に記載の第2の治療薬は、経口、IV(静脈内)またはSC(皮下)投与で、少なくとも1日1回、1日2回、1日3回、1日4回、2日に1回、3日に1回、週に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、30日に1回、5週間に1回、6週間に1回、1か月に1回、2か月に1回、3か月に1回、または4か月に1回投与することができる。
【0081】
本明細書に記載の治療法は、患者の治療を管理する臨床医が、治療法が有効であるとみなす限り継続することができる。治療法が有効であることを示す非限定的なパラメーターには、以下のいずれか1種または複数が含まれる:腫瘍縮小(重量および/または体積に関して);個々の腫瘍コロニーの数の減少;腫瘍排除;および無増悪生存率。腫瘍サイズの変化は、画像処理などの任意の適当な方法によって決定することができる。コンピューター断層撮影法(CTスキャン)、二重エネルギーCDT、陽電子放出断層撮影、超音波、CATスキャンおよびMRIなどの、当技術分野で周知されている種々の画像診断モダリティを使用することができる。いくつかの側面では、本発明の併用療法は、触診によって、またはMRI、超音波、もしくはCATスキャンなどの当技術分野で周知されている画像処理技術によって発見できるほど十分に大きい腫瘍を治療するために使用される。
【0082】
治療のコースに関連する例示的な期間には、約1週間;約2週間;約3週間;約4週間;約5週間;約6週間;約7週間;約8週間;約9週間;約10週間;約11週間;約12週間;約13週間;約14週間;約15週間;約16週間;約17週間;約18週間;約19週間;約20週間;約21週間;約22週間;約23週間;約24週間;約7か月間;約8か月間;約9か月間;約10か月間;約11か月間;約12か月間;約13か月間;約14か月間;約15か月間;約16か月間;約17か月間;約18か月間;約19か月間;約20か月間;約21か月間;約22か月間;約23か月間;約24か月間;約30か月間;約3年間;約4年間、および約5年間が含まれる。
【0083】
したがって、いくつかの態様では、化合物1、またはその薬剤として許容される塩は、単独療法として単独で、または1種もしくは複数の追加の治療薬(例えば、化学療法剤または生物療法剤)と併せて7日間連続で投与される。
【0084】
いくつかの態様では、本明細書に記載の治療薬は、7日間連続、14日間連続、21日間連続、28日間連続、35日間連続、42日間連続、49日間連続、56日間連続、63日間連続、または70日間連続からなる1サイクルで投与され得る。いくつかの態様では、投与は、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30以上のサイクルで行なわれる。いくつかの態様では、新しい各サイクルは、前のサイクルの終了日の翌日に始まる。他の態様では、新しい各サイクルは、前のサイクルの1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、22日、23日、24日、25日、26日、27日、28日、29日、30日、1か月、2か月、3か月、または4か月後に始まる。
【0085】
いくつかの態様では、各治療薬は、1サイクルに異なる日数を有していてよい。例えば、化合物1、またはその薬剤として許容される塩は、28日からなる1サイクルで投与され、ドセタキセルなどの第2の治療薬は、21日からなる1サイクルで投与される。これらの態様のいくつかでは、投与は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、または28サイクルで行なわれる。いくつかの態様では、投与は、4サイクル、6サイクル、12サイクル、または24サイクルで行なわれる。
【0086】
いくつかの態様では、化合物1、またはその薬剤として許容される塩は、単独療法として28日間連続からなる1サイクルで投与される。これらの態様のいくつかでは、投与は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、または28サイクルで行なわれる。いくつかの態様では、投与は、4サイクル、6サイクル、12サイクル、または24サイクルで行なわれる。いくつかの態様では、新しい各サイクルは、前のサイクルの終了日の翌日に始まる。他の態様では、新しい各サイクルは、前のサイクルの1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、22日、23日、24日、25日、26日、27日、28日、29日、30日、1か月、2か月、3か月、または4か月後に始まる。
【0087】
本発明のある態様では、患者は、1mg、2mg、4mg、6mg、8mg、12mg、16mg、32mg、60mg、120mg以上の化合物1QD(1日1回)を投与される。
【0088】
いくつかの態様では、化合物1の投与は、患者が絶食している間に行なわれる。他の態様では、化合物1の投与は、患者に食事が与えられている間に行なわれる。
本発明のある態様では、患者は、1mgの化合物1QD(1日1回)を投与される。本発明のある態様では、患者は、2mgの化合物1QD(1日1回)を投与される。本発明のある態様では、患者は、4mgの化合物1QD(1日1回)を投与される。本発明のある態様では、患者は、6mgの化合物1QD(1日1回)を投与される。本発明のある態様では、患者は、8mgの化合物1QD(1日1回)を投与される。本発明のある態様では、患者は、12mgの化合物1QD(1日1回)を投与される。本発明のある態様では、患者は、16mgの化合物1QD(1日1回)を投与される。本発明のある態様では、患者は、30mgの化合物1QD(1日1回)を投与される。本発明のある態様では、患者は、32mgの化合物1QD(1日1回)を投与される。本発明のある態様では、患者は、60mgの化合物1QD(1日1回)を投与される。本発明のある態様では、患者は、120mgの化合物1QD(1日1回)を投与される。
【0089】
いくつかの態様では、患者は、1mg、2mg、4mg、6mg、8mg、12mg、16mg、30mg、32mg、60mg、または120mgの化合物1QD(1日1回)、および60mg/m
2、65mg/m
2、70mg/m
2、75mg/m
2、80mg/m
2、85mg/m
2、90mg/m
2、95mg/m
2、または100mg/m
2のドセタキセルなどの第2の治療薬を21日に1回投与される(例えば、21日からなるサイクルの1日目に1時間以上投与する)。いくつかの態様では、化合物1は、28日からなる1サイクルで投与され、ドセタキセルなどの第2の治療薬は、21日からなる1サイクルで投与される。いくつかの態様では、投与は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、または28サイクルで行なわれる。いくつかの態様では、投与は、4サイクル、6サイクル、12サイクル、または24サイクルで行なわれる。
【0090】
いくつかの態様では、患者は、1mg、2mg、4mg、6mg、8mg、12mg、16mg、30mg、32mg、60mg、または120mgの化合物1QD(1日1回)を28日からなる1サイクルで、かつ60mg/m
2、65mg/m
2、70mg/m
2、75mg/m
2、80mg/m
2、85mg/m
2、90mg/m
2、95mg/m
2、または100mg/m
2のドセタキセルなどの第2の治療薬を21日に1回投与される(例えば、21日からなるサイクルの1日目に1時間以上投与する)。
【0091】
いくつかの態様では、患者は、1mg、2mg、4mg、6mg、8mg、12mg、16mg、30mg、32mg、60mg、または120mgの化合物1QD(1日1回)を28日からなる1サイクルで、かつ60mg/m
2、65mg/m
2、70mg/m
2、75mg/m
2、80mg/m
2、85mg/m
2、90mg/m
2、95mg/m
2、または100mg/m
2のドセタキセルなどの第2の治療薬を21日に1回投与され(例えば、21日からなるサイクルの1日目に1時間以上投与する)、投与は、4サイクル、6サイクル、12サイクル、または24サイクルで行なわれる。
【0092】
いくつかの態様では、患者は、1mg、2mg、4mg、6mg、8mg、12mg、16mg、30mg、32mg、60mg、または120mgの化合物1QD(1日1回)、およびPD−1またはPD−L1抗体などの第2の治療薬を投与される。
【0093】
いくつかの側面では、第1の治療薬(すなわち、化合物1)は、第2(以上)の治療薬と同時に(すなわち、同じ医薬品で)、一緒に(すなわち、別々の医薬品で任意の順序で次々に投与される)または順次に任意の順序で投与することができる。治療薬が異なる剤形であり(例えば、化合物1が錠剤またはカプセル剤であり、第2の治療薬が無菌液体である)、かつ/または異なる投与スケジュールで投与される場合、順次投与は特に有用である。例えば、化合物1は、1日1回投与され、第2の治療薬は、週1回、2週間に1回、または3週間に1回など、投与頻度が少ない。
【0094】
いくつかの側面では、本明細書に記載の方法における第2の治療薬は、同じ癌を治療するための単独療法として薬剤が使用される場合に通常使用される同じ投与計画(治療の用量、頻度および期間)を用いて投与することができる。他の側面では、対象は、単独療法として薬剤が使用される場合よりも少なくとも1種の治療薬の合計量が少ない、例えば、用量がより少ない、投与頻度がより少ない、かつ/または治療期間がより短いこともある。
【0095】
いくつかの態様では、局所進行性または転移性乳癌(例えば、化学療法失敗後)の患者において、そのような患者には、1mg、2mg、4mg、6mg、8mg、12mg、16mg、30mg、32mg、60mg、または120mgの化合物1QDを経口的に、かつ60mg/m
2〜100mg/m
2のドセタキセルを21日に1回静脈内に投与する(例えば、21日からなるサイクルの1日目に1時間以上投与する)。いくつかの態様では、化合物1は、28日からなる1サイクルで投与され、ドセタキセルなどの第2の治療薬は、21日からなる1サイクルで投与される。いくつかの態様では、投与は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、または28サイクルで行なわれる。いくつかの態様では、投与は、化合物1およびドセタキセルについて4サイクル、6サイクル、12サイクル、または24サイクルで行なわれる。
【0096】
いくつかの態様では、局所進行性または転移性乳癌(例えば、化学療法失敗後)の患者において、そのような患者には、1mg、2mg、4mg、6mg、8mg、12mg、16mg、30mg、32mg、60mg、または120mgの化合物1QDを経口的に28日からなる1サイクルで、かつ60mg/m
2〜100mg/m
2のドセタキセルを21日に1回静脈内に投与し(例えば、21日からなるサイクルの1日目に1時間以上投与する)、投与は、化合物1およびドセタキセルについて4サイクル、6サイクル、12サイクル、または24サイクルで行なわれる。
【0097】
いくつかの態様では、乳癌(例えば、手術可能なリンパ節転移陽性乳癌)の患者において、そのような患者には、1mg、2mg、4mg、6mg、8mg、12mg、16mg、30mg、32mg、60mg、または120mgの化合物1QDを経口的に、かつ50mg/m
2のドキソルビシンおよび500mg/m
2のシクロホスファミドの後に75mg/m
2のドセタキセルを21日に1回静脈内に投与する(例えば、21日からなるサイクルの1日目に1時間以上投与する)。いくつかの態様では、化合物1は、28日からなる1サイクルで投与され、ドセタキセルなどの第2の治療薬は、21日からなる1サイクルで投与される。いくつかの態様では、投与は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、または28サイクルで行なわれる。いくつかの態様では、投与は、化合物1について4サイクル、6サイクル、12サイクル、または24サイクル、かつドセタキセル、ドキソルビシン、およびシクロホスファミドについて6サイクル(例えば、1サイクル当たり21日)で行なわれる。
【0098】
いくつかの態様では、乳癌(例えば、手術可能なリンパ節転移陽性乳癌)の患者において、そのような患者には、1mg、2mg、4mg、6mg、8mg、12mg、16mg、30mg、32mg、60mg、または120mgの化合物1QDを28日からなる1サイクルで経口的に、かつ50mg/m
2のドキソルビシンおよび500mg/m
2のシクロホスファミドの後に75mg/m
2のドセタキセルを21日に1回静脈内に投与し(例えば、21日からなるサイクルの1日目に1時間以上投与する)、投与は、化合物1について4サイクル、6サイクル、12サイクル、または24サイクル、かつドセタキセル、ドキソルビシン、およびシクロホスファミドについて6サイクル(例えば、1サイクル当たり21日)で行なわれる。
【0099】
いくつかの態様では、局所進行性または転移性NSCLC(例えば、白金療法失敗後)の患者において、そのような患者には、1mg、2mg、4mg、6mg、8mg、12mg、16mg、30mg、32mg、60mg、または120mgの化合物1QDを経口的に、かつ75mg/m
2のドセタキセルを21日に1回静脈内に投与する(例えば、21日からなるサイクルの1日目に1時間以上投与する)。いくつかの態様では、化合物1は、28日からなる1サイクルで投与され、ドセタキセルなどの第2の治療薬は、21日からなる1サイクルで投与される。いくつかの態様では、投与は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、または28サイクルで行なわれる。いくつかの態様では、投与は、化合物1およびドセタキセルの両方について4サイクル、6サイクル、12サイクル、または24サイクルで行なわれる。
【0100】
いくつかの態様では、局所進行性または転移性NSCLC(例えば、白金療法失敗後)の患者において、そのような患者には、1mg、2mg、4mg、6mg、8mg、12mg、16mg、30mg、32mg、60mg、または120mgの化合物1QDを28日からなる1サイクルで経口的に、かつ75mg/m
2のドセタキセルを21日に1回静脈内に投与し(例えば、21日からなるサイクルの1日目に1時間以上投与する)、投与は、化合物1およびドセタキセルの両方について4サイクル、6サイクル、12サイクル、または24サイクルで行なわれる。
【0101】
いくつかの態様では、切除不能な未治療の局所進行性または転移性NSCLC(例えば、化学療法未処置)の患者において、そのような患者には、1mg、2mg、4mg、6mg、8mg、12mg、16mg、30mg、32mg、60mg、または120mgの化合物1QDを経口的に、かつ75mg/m
2のドセタキセルを21日に1回静脈内に投与し(例えば、21日からなるサイクルの1日目に1時間以上投与する)、さらに続いて75mg/m
2のシスプラチンを投与する。いくつかの態様では、化合物1は、28日からなる1サイクルで投与され、ドセタキセルなどの第2の治療薬は、21日からなる1サイクルで投与される。いくつかの態様では、投与は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、または28サイクルで行なわれる。いくつかの態様では、投与は、化合物1およびドセタキセルの両方について4サイクル、6サイクル、12サイクル、または24サイクルで行なわれる。
【0102】
いくつかの態様では、切除不能な未治療の局所進行性または転移性NSCLC(例えば、化学療法未処置)の患者において、そのような患者には、1mg、2mg、4mg、6mg、8mg、12mg、16mg、30mg、32mg、60mg、または120mgの化合物1QDを28日からなる1サイクルで経口的に、かつ75mg/m
2のドセタキセルを21日に1回静脈内に投与し(例えば、21日からなるサイクルの1日目に1時間以上投与する)、さらに続いて75mg/m
2のシスプラチンを投与し、投与は、化合物1およびドセタキセルについて4サイクル、6サイクル、12サイクル、または24サイクルで行なわれる。
【0103】
いくつかの態様では、頭頸部の扁平上皮細胞癌(SCCHN)(例えば、局所進行性)の患者において、そのような患者には、1mg、2mg、4mg、6mg、8mg、12mg、16mg、30mg、32mg、60mg、または120mgの化合物1QD(1日1回)、かつ75mg/m
2のドセタキセルを21日に1回静脈内に投与し(例えば、21日からなるサイクルの1日目に1時間以上投与する)、さらに続いて75mg/m
2のシスプラチンを静脈内に投与し、続いてシスプラチン注入の終了時に開始して、1〜5日目に24時間IVとして1日当たり750mg/m
2のフルオロウラシルを投与する。いくつかの態様では、化合物1は、28日からなる1サイクルで投与され、ドセタキセルなどの第2の治療薬は、21日からなる1サイクルで投与される。いくつかの態様では、投与は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、または28サイクルで行なわれる。いくつかの態様では、投与は、化合物1について4サイクル、6サイクル、12サイクル、または24サイクル、かつドセタキセル、シスプラチン、およびフルオロウラシルについて4サイクル(例えば、1サイクル当たり21日)で行なわれる。
【0104】
いくつかの態様では、頭頸部の扁平上皮細胞癌(SCCHN)(例えば、局所進行性)の患者において、そのような患者には、1mg、2mg、4mg、6mg、8mg、12mg、16mg、30mg、32mg、60mg、または120mgの化合物1QD(1日1回)を28日からなる1サイクルで、かつ75mg/m
2のドセタキセルを21日に1回静脈内に投与し(例えば、21日からなるサイクルの1日目に1時間以上投与する)、さらに続いて75mg/m
2のシスプラチンを静脈内に投与し、続いてシスプラチン注入の終了時に開始して、1〜5日目に24時間IVとして1日当たり750mg/m
2のフルオロウラシルを投与し、投与は、化合物1について4サイクル、6サイクル、12サイクル、または24サイクル、かつドセタキセル、シスプラチン、およびフルオロウラシルについて4サイクル(例えば、1サイクル当たり21日)で行なわれる。
【0105】
いくつかの態様では、ホルモン不応性前立腺癌(HRPC)(例えば、アンドロゲン非依存性(ホルモン不応性)転移性前立腺癌)の患者において、そのような患者には、1mg、2mg、4mg、6mg、8mg、12mg、16mg、30mg、32mg、60mg、または120mgの化合物1QDを経口的に、75mg/m
2のドセタキセルを21日に1回静脈内に(例えば、21日からなるサイクルの1日目に1時間以上投与する)、かつ5mgのプレドニゾンを1日2回連続的に投与する。いくつかの態様では、化合物1は、28日からなる1サイクルで投与され、ドセタキセルなどの第2の治療薬は、21日からなる1サイクルで投与される。いくつかの態様では、投与は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、または28サイクルで行なわれる。いくつかの態様では、投与は、化合物1、ドセタキセル、およびプレドニゾンについて4サイクル、6サイクル、12サイクル、または24サイクルで行なわれる。
【0106】
いくつかの態様では、ホルモン不応性前立腺癌(HRPC)(例えば、アンドロゲン非依存性(ホルモン不応性)転移性前立腺癌)の患者において、そのような患者には、1mg、2mg、4mg、6mg、8mg、12mg、16mg、30mg、32mg、60mg、または120mgの化合物1QDを28日からなる1サイクルで経口的に、75mg/m
2のドセタキセルを21日に1回静脈内に(例えば、21日からなるサイクルの1日目に1時間以上投与する)、かつ5mgのプレドニゾンを1日2回連続的に投与し、投与は、化合物1、ドセタキセル、およびプレドニゾンについて4サイクル、6サイクル、12サイクル、または24サイクルで行なわれる。
【0107】
いくつかの態様では、胃腺癌(GC)(胃食道接合部を含む未治療の進行性GC)の患者において、そのような患者には、1mg、2mg、4mg、6mg、8mg、12mg、16mg、30mg、32mg、60mg、または120mgの化合物1QDを経口的に、75mg/m
2のドセタキセルを21日に1回静脈内に投与し(例えば、21日からなるサイクルの1日目に1時間以上投与する)、続いて75mg/m
2のシスプラチンを21日に1回投与し(例えば、21日からなるサイクルの1日目に投与する)、続いてシスプラチン注入の終了時に開始して、1〜5日目に24時間IVとして1日当たり750mg/m
2のフルオロウラシルを投与する。いくつかの態様では、化合物1は、28日からなる1サイクルで投与され、ドセタキセルなどの第2の治療薬は、21日からなる1サイクルで投与される。いくつかの態様では、投与は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、または28サイクルで行なわれる。いくつかの態様では、投与は、化合物1、ドセタキセル、シスプラチン、およびフルオロウラシルについて4サイクル、6サイクル、12サイクル、または24サイクルで行なわれる。
【0108】
いくつかの態様では、胃腺癌(GC)(胃食道接合部を含む未治療の進行性GC)の患者において、そのような患者には、1mg、2mg、4mg、6mg、8mg、12mg、16mg、30mg、32mg、60mg、または120mgの化合物1QDを28日からなる1サイクルで経口的に、75mg/m
2のドセタキセルを21日に1回静脈内に投与し(例えば、21日からなるサイクルの1日目に1時間以上投与する)、続いて75mg/m
2のシスプラチンを21日に1回投与し(例えば、21日からなるサイクルの1日目に投与する)、続いてシスプラチン注入の終了時に開始して、1〜5日目に24時間IVとして1日当たり750mg/m
2のフルオロウラシルを投与し、投与は、化合物1、ドセタキセル、シスプラチン、およびフルオロウラシルについて4サイクル、6サイクル、12サイクル、または24サイクルで行なわれる。
【0109】
いくつかの側面では、本明細書に記載の治療法は、腫瘍を除去するための手術の前または後に使用することができ、放射線治療の前、最中または後に使用することができる。
いくつかの側面では、本明細書に記載の治療法は以前に治療薬または化学療法剤で治療されたことがない、すなわち、治療未処置である患者に投与される。他の側面では、併用療法は、治療薬または化学療法剤による以前の療法後に持続的な反応を達成できなかった、すなわち、治療経験者である患者に投与される。いくつかの側面では、対象は、腫瘍を治療するために以前の療法を受け、腫瘍は、再発性、転移性、または不応性である。
【0110】
したがって、例えば、いくつかの態様では、本明細書に記載の治療法を受けているNSCLCの患者は、少なくとも第1選択のチェックポイント阻害剤(PD−1またはPD−L1阻害剤、例えばイピリムマブ、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、またはセミプリマブ−rwlcなど)および第1選択の白金ベースの化学療法(第2選択+(2L+))の後に進行した。いくつかの態様では、本明細書に記載の治療法を受けている尿路上皮癌の患者は、少なくとも第1選択の標準治療全身化学療法(シスプラチン/カルボプラチン+ゲムシタビン;またはメトトレキセート/硫酸ビンブラスチン/塩酸ドキソルビシン/シスプラチンおよびチェックポイント阻害剤(2L+)の後に進行した。いくつかの態様では、本明細書に記載の治療法を受けているHNSCCの患者は、少なくとも第1選択の標準治療全身化学療法および第1選択のチェックポイント阻害剤(2L+)の後に進行した。
【0111】
いくつかの態様では、患者は、本明細書に記載の治療法の前に、他の治療薬(例えば、デキサメタゾンなどのコルチコステロイド)を前投薬されている。例えば、患者は、本明細書に記載の治療法(例えば、単独療法または併用療法)を受ける前に、1日目に開始して3日間、1日当たり16mg(例えば、8mgBID)のデキサメタゾンなどの経口コルチコステロイドを前投薬されている。
【0112】
本明細書で提供される本発明に含まれるのは、望ましくないまたは不都合な効果を低減または回避する一方で、付加的な効力または付加的な治療効果を有する併用療法である。本発明にはまた、望ましくないまたは不都合な効果が低減または回避される一方で、治療効果が付加的より大きい相乗的な組合せが含まれる。ある側面では、本明細書で提供される方法および組成物は、より低いおよび/またはより低頻度の用量の少なくとも併用療法における治療薬を使用して、高められた抗腫瘍応答により治療が:i)少なくとも治療の効力を維持しながら、治療薬の個別投与により引き起こされる望ましくないまたは不都合な効果の発生率を低減させ;ii)患者の服薬遵守を高め、かつiii)抗腫瘍治療の効力を改善することの少なくとも1つまで改善する、疾患および障害の治療または予防を可能にする。
キット
本明細書に記載の治療法の治療薬は、好都合には、組成物を投与するためのキットの形態をとることができる。
【0113】
いくつかの態様では、キットは、容器および添付文書を含む。容器は、少なくとも1用量の化合物1を含有し、添付文書/ラベルには、化合物1を使用して患者の癌および/または癌関連疾患を治療するための使用説明書が含まれる。容器は、特定の形状(例えば、バイアル、シリンジおよびボトル)および/または材料(例えば、プラスチックまたはガラス)で構成されていてよい。キットはさらに、希釈剤、フィルター、IVバッグおよびライン、針およびシリンジなどの化合物1を投与するのに有用になり得る他の材料を含んでいてもよい。
【0114】
いくつかの態様では、キットは、少なくとも第1の容器および第2の容器および添付文書を含む。第1の容器は、少なくとも1用量の化合物1を含有し、第2の容器は、少なくとも1用量の併用療法の第2の治療薬を含有する。添付文書/ラベルには、治療薬を使用して患者の癌および/または癌関連疾患を治療するための使用説明書が含まれる。第1および第2の容器は、同一または異なる形状(例えば、バイアル、シリンジおよびボトル)および/または材料(例えば、プラスチックまたはガラス)で構成されていてよい。キットはさらに、希釈剤、フィルター、IVバッグおよびライン、針およびシリンジなどの治療薬を投与するのに有用になり得る他の材料を含んでいてもよい。
【実施例】
【0115】
さらなる詳述なしに、当業者は、前記記載を用いて、本発明を最大限の程度まで実施できると考えられる。以下の詳細な実施例は、どのように種々の化合物を調製し、かつ/または本発明の種々のプロセスを実施するかを記載しており、単なる例示として説明されているに過ぎず、先の開示をいかなる意味でも限定するものではない。当業者は、反応物質ならびに反応条件および技術の両方に関する手順から適切な変形を迅速に理解するだろう。
比較例1
化合物1、BID投薬の1日目および15日目のPKプロファイルの決定
PKプロファイルのキャラクタリゼーションのための血液試料を、1日目(1回投与)および15日目(定常状態)の投与前後に収集し、検証液体クロマトグラフィー(validated liquid chromatography)と組み合わせたタンデム型質量分析(LC−MS/MS)アッセイを使用して化合物1について分析した。アッセイの定量下限値は、0.250ng/mLであった。2mgBIDで投与した化合物1の代表的な1日目の中央値PKプロファイルを
図1に示す。2mgBIDで投与した化合物1の代表的な定常状態(15日目)中央値PKプロファイルを
図2に示す。表1(下記)は、2mgでBID投与した「定常状態」(15日目)の化合物1の代表的な平均最大(Cmax)および最小(Cmin)の毎日の濃度を示す。
【0116】
【表1】
【実施例1】
【0117】
定常状態の濃度プロファイル、QDおよびBIDの決定
母集団薬物動態学(PK)モデルは、定常状態で最大2mgBIDの用量で化合物1を経口投与された6人の患者からの予備PKデータに基づいて作成した。NCT03854227臨床試験における化合物1の定常状態(本明細書では投薬15日間)での実際の平均ピーク対トラフ比率は、BID投薬では約2であり、前臨床データ(BIDでは約4)に基づいて以前に予測されたものよりも実質的に低いことが観察された。さらに、この母集団PKモデルに基づいて、QD対BID投薬(例として16mgの1日総用量を使用)後の定常状態PKプロファイルは、これらの6人の患者のそれぞれからの個々のPKパラメーターを使用して比較した。結果は、
図3に示され、QD投薬が定常状態で低いピーク対トラフ比率(約4倍以下)をもたらすことを示す。
【実施例2】
【0118】
32mgの化合物1を用いた患者「A」のQD投薬
患者「A」への化合物1の投与および提供前に、研究者は、適切な温度および保管条件が維持されていることを確認する。記録をチェックして、接近が制限された安全な、環境が管理され、監視されている範囲に保管されていることを確認する。患者「A」は、自宅で投与される化合物1の適切な保管に関して指示される。
【0119】
化合物1は、経口投与のために錠剤(別々のラベルの付いたボトルで供給される1mg、5mgおよび25mgの錠剤)として患者「A」に提供される。患者「A」は32mgQDを受けるので、彼は、丸ごと(すなわち、つぶしたり噛んだりしないで)25mg錠剤1個、5mg錠剤1個、および1mg錠剤2個を同時に、毎朝空腹時に少なくとも8oz(240mL)の水で飲み込むことを指示されている。それぞれの用量投与の2時間前から1時間後は、食物または水以外の液体を消費してはいけない。患者「A」は診療所を毎週訪れるので、彼は診療所の薬局から訪問ごとに1週間分の化合物1を提供される。患者「A」は、自宅で上記のように化合物1を経口QDで4サイクル(1サイクルは28日)服用する。診療所への毎週の訪問は、患者によって行なわれて、化合物1の抗癌活性および副作用を評価する。
【実施例3】
【0120】
60mgの化合物1を用いた患者「B」のQD投薬
患者「B」への化合物1の投与および提供前に、研究者は、適切な温度および保管条件が維持されていることを確認する。記録をチェックして、接近が制限された安全な、環境が管理され、監視されている範囲に保管されていることを確認する。患者「B」は、自宅で投与される化合物1の適切な保管に関して指示される。
【0121】
化合物1は、経口投与のために錠剤(別々のラベルの付いたボトルで供給される5mgおよび25mgの錠剤)として患者「B」に提供される。患者「B」は60mgQDを受けるので、彼女は、丸ごと(すなわち、つぶしたり噛んだりしないで)25mg錠剤2個および5mg錠剤2個を同時に、毎朝空腹時に少なくとも8oz(240mL)の水で飲み込むことを指示されている。それぞれの用量投与の2時間前から1時間後は、食物または水以外の液体を消費してはいけない。患者「B」は診療所を毎週訪れるので、彼女は診療所の薬局から訪問ごとに1週間分の化合物1を提供される。患者「B」は、自宅で上記のように化合物1を経口QDで12サイクル(1サイクルは28日)服用する。診療所への毎週の訪問は、患者によって行なわれて、化合物1の抗癌活性および副作用を評価する。
【実施例4】
【0122】
120mgの化合物1を用いた患者「C」のQD投薬
患者「C」への化合物1の投与および提供前に、研究者は、適切な温度および保管条件が維持されていることを確認する。記録をチェックして、接近が制限された安全な、環境が管理され、監視されている範囲に保管されていることを確認する。患者「C」は、自宅で投与される化合物1の適切な保管に関して指示される。
【0123】
化合物1は、経口投与のために錠剤(別々のラベルの付いたボトルで供給される5mgおよび25mgの錠剤)として患者「C」に提供される。患者「C」は120mgQDを受けるので、彼女は、丸ごと(すなわち、つぶしたり噛んだりしないで)25mg錠剤4個および5mg錠剤4個を同時に、毎朝空腹時に少なくとも8oz(240mL)の水で飲み込むことを指示されている。それぞれの用量投与の2時間前から1時間後は、食物または水以外の液体を消費してはいけない。患者「C」は診療所を毎週訪れるので、彼女は診療所の薬局から訪問ごとに1週間分の化合物1を提供される。患者「C」は、自宅で上記のように化合物1を経口QDで24サイクル(1サイクルは28日)服用する。診療所への毎週の訪問は、患者によって行なわれて、化合物1の抗癌活性および副作用を評価する。
【実施例5】
【0124】
局所進行性または転移性の選択された固形腫瘍適応症を有する参加者において、化合物1の安全性、薬物動態、薬力学、および抗腫瘍活性を単剤として、かつ組み合わせて評価するための第1相、非盲検、多施設、用量増大および用量拡大試験。
【0125】
本研究は、2つのパート、用量増大(パート1)とそれに続く用量拡大(パート2)に分かれている。全体的な研究設計は、
図4に示されている。パート1の用量増大は、パート1Aおよび1Bにさらに分かれる。パート1Aは、MTD(最大耐用量)およびRP2D(推奨第2相用量)を決定するために、標準治療に耐性もしくは不耐性であるか、または標準治療が利用できない、局所進行性もしくは転移性の頭部および頚部扁平上皮癌(HNSCC)、非小細胞肺癌(NSCLC)、食道癌、子宮体癌、子宮頚癌、または膀胱癌を有する参加者における単剤としての用量増大を含む。パート1Bは、局所進行性または転移性NSCLCにおけるドセタキセルと組み合わせた化合物1の用量設定を含む。
【0126】
パート1A(用量増大)は、およそ9つのコホートを有し、約40人の参加者が登録されている。ベイズロジスティック回帰モデル(BLRM)を使用してMTDを決定した。参加者は、0.5mgQDから開始して用量を増大させた化合物1を受けた。用量制限毒性(DLT)をサイクル1(28日)の最後に評価して、用量増大が知らされ、MTDを決定した。コホートの大きさは、約3参加者であり、最初の3つの用量レベルではコホート当たり少なくとも1人のDLT評価可能参加者、残りのコホートではコホート当たり少なくとも2人のDLT評価可能参加者を含む。疾患の進行、参加者の拒否、または許容できない毒性まで28日サイクルで継続的に、化合物1を単剤として経口で、最初のコホート中は1日1回、後続のコホートでは1日2回(BID)または1日1回(QD)投与した。他の投薬レジメン(例えば、特定の有害事象からの回復を可能にするための投与中断を含むレジメン)は、明らかになった臨床データによってさらに裏付けられる場合に、研究に含めてもよい。推定治療期間は約2年である。2年を超える任意の追加の治療は、考慮されるべきである。
【0127】
パート2(用量拡大)は、3つの拡大コホートにおいて単剤RP2Dで化合物1単独療法の安全性および抗腫瘍活性を評価する:局所進行性または転移性NSCLC(パート2A、参加者20人)、尿路上皮癌(パート2B、参加者20人)およびHNSCC(パート2C、参加者20人)。州、地方、および施設の方針で許可されている場合、アーム当たり最大5人の参加者における治療期間中の生検の採取が強く推奨される。
【0128】
さらに、ドセタキセルと組み合わせた化合物1は、局所進行性または転移性NSCLC(パート1B併用用量設定およびパート2D併用用量拡大)で評価される。パート1Bでは、ドセタキセルと組み合わせた化合物1は、少なくとも1ラインのチェックポイント阻害剤および白金ベースの化学療法(2L+)後に進行した局所進行性または転移性NSCLCを有する参加者で評価される。EWOC(過量投与制御を伴う用量漸増)の原則に基づいた組合せのために特別に設計されたBLRMは、用量設定に使用される。化合物1は、標準治療ごとに固定用量のドセタキセルを用いて、単剤RP2D(RP2D−1)より1用量レベル低く開始する。加えて、パート1Aの安全性の結果、および著しい毒性の重複が組み合わせて予想されるかどうかに応じて、化合物1の開始用量はさらに増大または減少させることができるが、単剤RP2Dを超えない。参加者は、約3人の参加者のコホートに登録され、そのうちの少なくとも3人はDLT(用量制限毒性)評価可能である。およそ6〜9人の参加者が、パート1Bに登録している。
【0129】
併用のためのRP2Dを決定した後、合計で20人の参加者が併用RP2Dで評価されるまで追加のNSCLC参加者をパート2D併用拡大コホートに登録する。(併用RP2Dで投与されたパート1B参加者は、合計20人の参加者に加算される)。州、地方、および施設の方針で許可されている場合、アーム当たり最大5人の参加者における治療期間中の生検の採取が強く推奨される。
【0130】
約80人の参加者がパート2に登録されている。参加者の母集団を以下に簡単に説明する。単独療法拡大コホートのパート2A、2B、および2Cを以下に列挙する:
・ パート2A:少なくとも1ラインのチェックポイント阻害剤および1ラインの白金ベースの化学療法(2L+)後に進行したNSCLCを有する参加者(n=20)。
【0131】
・ パート2B:少なくとも1ラインの標準治療全身化学療法(シスプラチン/カルボプラチン+ゲムシタビン;またはメトトレキセート/硫酸ビンブラスチン/塩酸ドキソルビシン/シスプラチン[MVAC])およびチェックポイント阻害剤(2L+)後に進行した尿路上皮癌を有する参加者(n=20)。
【0132】
・ パート2C:少なくとも1ラインの標準治療全身化学療法および1ラインのチェックポイント阻害剤(2L+)後に進行したHNSCCを有する参加者(n=20)。
併用拡大コホートパート2D(ドセタキセルと組み合わせた化合物1)を以下に列挙する:
・ パート2D:少なくとも1ラインのチェックポイント阻害剤および1ラインの白金ベースの化学療法(2L+)後に進行したNSCLCを有する参加者(n=20)。
【0133】
・ パート1およびパート2の全ての参加者:
・ 研究に参加する前に最大28日間のスクリーニングを受ける。
・ 28日サイクルで最長2年まで継続的に経口投与される化合物1の用量を受ける(ドセタキセルとの併用の場合、ドセタキセル投与スケジュールと一致させるために21日サイクルを使用)。2年を超える化合物1を用いた任意の追加の治療は、治験依頼者と協議し承認されなければならない。
【0134】
・ 化合物1を用いた治療は、疾患の進行、参加者(同意の撤回または参加する意思がなくなった)、もしくは研究者による決断、または許容できない毒性のいずれかが最初に起こるまで続く。
【0135】
・ 治療終了後少なくとも28日以上35日以内で安全性追跡訪問(follow up visit)を受ける。
・ 加えて、パート1Bおよびパート2の用量拡大コホート参加者は、試験終了(最後の参加者の最初の投与から2年)まで生存データ採取のために12週間ごとに電話で連絡される。
【0136】
参加者は、全生存期間(OS)を含む研究の全ての相を完了した場合、彼/彼女は研究を完了したとみなされる。OS追跡は、研究終了後は継続しない。
食物効果サブ試験
推奨第2相用量およびレジメン(BIDまたはQD)での化合物1のPKに対する食物の効果を、パート2Bからの少なくとも6人の参加者(ただし15人以下の参加者)で評価して、化合物1がその後の臨床試験で食事制限なしで投与できるかどうかが知らされる。固定シーケンス一方向交差設計を利用して、サイクル1の15日目と16日目の絶食および摂食状態下でそれぞれ、化合物1のPKを評価し、その後空腹状態(各投与の2時間前から1時間後は食物または水以外の液体を消費しない)下で投薬を繰り返す。
【0137】
食物効果評価(サイクル1の15日目と16日目)のための研究訪問を除いて、参加者は、空腹状態(各投与の2時間前から1時間後は食物または水以外の液体を消費しない)下で化合物1(QDまたはBID)の継続的な経口投与を受ける。サイクル1の15日目に、参加者は、絶食状態(少なくとも10時間の終夜の絶食;水は許可)下で化合物1の経口投与を受ける。サイクル1の16日目に、参加者は、10時間の終夜絶食(水は許可)後、高脂肪、高カロリーの食事(朝食)と一緒に化合物1の別の経口投与を受ける。15日目および16日目の各投与後に一連のPK試料を採取する。続いて、参加者は、残りの薬物治療を空腹状態下で受ける。10時間の終夜絶食(水は許可)または高脂肪、高カロリーの食事の消費を妨げる、胃切除を受けたかまたは食事もしくは他の制限がある参加者は、この評価に参加する必要はない。
組み入れ基準
参加者は、次の全ての基準が当てはまる場合に限り研究に含めるのが適格である:
1. 年齢が18歳以上の女性および/または男性参加者。
2. パート1の用量増大では、参加者は、進行性/転移性の固形腫瘍の組織学的または細胞学的診断を受けている必要があり、参加者は、以下の腫瘍タイプに関して、標準的な処置(standard treatment)に不耐性または標準治療(standard therapy)
*に耐性がある:
・ NSCLC;
・ HNSCC;
・ 食道癌;
・ 子宮体癌;
・ 子宮頚癌;
・ 膀胱癌。
*以前の療法の不耐性または進行は、研究登録のために記録しなければならない。
3. パート2の単剤用量拡大では、NSCLC参加者は:
・ 組織学的または細胞学的に確認された、扁平上皮癌または腺癌を含む局所進行性または転移性NSCLC;
・ 利用可能な1L標的化療法(EGFR、ALK、ROS1、BRAFおよびNTRK陰性)のないNSCLCの場合、少なくとも1ラインのチェックポイント阻害剤(CPI)と1ラインの白金ベースの化学療法レジメンを転移性設定で一緒にまたは順次に投与した後に進行した2L+NSCLC;
・ 利用可能な1L標的化療法(EGFR、ALK、ROS1、BRAFまたはNTRK陽性)を伴うNSCLCの場合、少なくとも1ラインの標的化療法後に進行した2L+NSCLC;
・ 転移性設定において3ライン以下の全身療法を受けるべきである;
・ 最新の治療中または治療後の放射線進行。
4. パート2のドセタキセルとの併用拡大では、NSCLC参加者は:
・ 組織学的または細胞学的に確認された、扁平上皮癌および腺癌の両方を含む局所進行性または転移性NSCLC;
・ 利用可能な1L標的化療法(EGFR、ALK、ROS1、BRAFおよびNTRK陰性)のないNSCLCの場合、少なくとも1ラインのチェックポイント阻害剤(CPI)と1ラインの白金ベースの化学療法レジメンを転移性設定で一緒にまたは順次に投与した後に進行した2L+NSCLC;
・ 利用可能な1L標的化療法(EGFR、ALK、ROS1、BRAFまたはNTRK陽性)を伴うNSCLCの場合、少なくとも1ラインの標的化療法後に進行した2L+NSCLC;
・ 局所進行性または転移性設定においてタキサン化学療法(ドセタキセルまたはパクリタキセル)で治療されていない;
・ 転移性設定において2ライン以下の全身療法を受けるべきである;
・ 最新の治療中または治療後の放射線進行。
5. パート2の尿路上皮癌参加者では:
・ 組織学的または細胞学的に確認された、膀胱、腎盂、尿管または尿道の局所進行性または転移性尿路上皮癌;
・ 転移性設定で少なくとも1ラインの標準治療化学療法(シスプラチン/カルボプラチン+ゲムシタビン;またはMVAC)と1ラインのチェックポイント阻害剤の後に進行した2L+尿路上皮癌;
・ 転移性設定において3ライン以下の全身療法を受けるべきである;
・ 最新の治療中または治療後の放射線進行。
6. パート2のHNSCC参加者では:
・ 組織学的または細胞学的に確認された局所進行性または転移性HNSCC;
・ 転移性設定で少なくとも1ラインの標準治療全身化学療法と1ラインのチェックポイント阻害剤の後に進行した2L+HNSCC;
・ 転移性設定において3ライン以下の全身療法を受けるべきである;
・ 最新の治療中または治療後の放射線進行。
7. 必須の保管されたホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)腫瘍組織ブロックを提供する必要がある。保管されたFFPE組織が利用可能でない場合、新規(すなわち、新鮮な)腫瘍試料は、腫瘍生検に関する地域の施設の方針に従って得る必要がある。
8. 以前に照射されていない固形腫瘍の応答評価基準で定義されているとおり、参加者は、少なくとも1つの測定可能な病変(以前に照射されていない)を有している必要がある。
9. 米国東海岸癌臨床試験グループ(ECOG)一般状態(PS)が0または1。
10. 以下を含む十分な骨髄機能:
a. 好中球絶対数(ANC)が1,500/mm
3以上または1.5×10
9/L以上;
b. 血小板が100,000/mm
3以上または100×10
9/L以上;
c. ヘモグロビン9g/dL以上。スポンサーの医療モニターと話し合った後、この値に達するための限定的な輸血が許可された。最近(約3か月)において、輸血の慢性的な必要性はないはずである。
11. 以下を含む十分な腎機能、
a. 血清クレアチニンが正常値上限(ULN)の1.5倍以下または施設の標準的方法を用いて算出したクレアチニンクリアランス推定値が50mL/分以上。はっきりしない場合には、24時間採尿試験を使用してクレアチニンクリアランスをより正確に推定することができる;
b. 尿路上皮癌を有する参加者ではクレアチニンクリアランス推定値が40mL/分以上。
12. 以下を含む十分な肝機能:
パート1A、2A、2Bおよび2C単独療法の場合
a. 化合物1単独療法で総血清ビリルビンが正常値上限(ULN)の1.5倍以下(参加者がジルベール症候群を記録していない限り);
b. アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼおよびアラニンアミノトランスフェラーゼ(ASTおよびALT)がULNの2.5倍以下;化合物1単独療法でULNの5.0倍以下(腫瘍による肝臓の関与がある場合);ドセタキセルと組み合わせた化合物1でASTおよびALTがULNの1.5倍以下;
ドセタキセルと組み合わせたパート1Bおよび2Dの場合
c. ドセタキセルと組み合わせた化合物1で総ビリルビンがULN以下;
d. アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼおよびアラニンアミノトランスフェラーゼ(ASTおよびALT)がULNの1.5倍以下;ドセタキセルと組み合わせた化合物1でアルカリホスファターゼ(ALP)がULNの2.5倍以下。
13. 研究者の判断により安全性リスクを構成しないAEを除き、厳密なベースラインまたはCTCAEグレード1以下にまで以前の任意の療法の急性効果が回復。安定したホルモン補充療法の免疫療法に起因する下垂体機能低下の甲状腺機能低下症を有する参加者およびプレドニゾン同等物を15mg/日未満投与されている副腎機能不全を有する参加者は、適格である。
14. 予定されている全ての訪問、治療計画、臨床検査、ライフスタイルへの配慮、および他の研究手順に従う意思および能力を有する参加者。
15. 同意説明文書(ICD)およびこのプロトコルに記載されている要件および制限の遵守を含む、説明されている同意書に署名が可能。
剤形および包装
化合物1は、経口投与のために錠剤として提供される。0.5mg、1mg、および5mgを別々のボトルに供給し、地域の規制要件に従ってラベルを付ける。
【0138】
ドセタキセルは、市販されており、US添付文書(USPI)に従って使用される。
投与
参加者は、治験薬を丸ごと飲み込み、嚥下前に治験薬をいじったり(例えば、つぶしたり)噛んだりしない。錠剤を丸ごと飲み込めない参加者は、それらの用量を経口シリンジに溶解して、経口またはNG(経鼻胃)チューブを介した懸濁剤投与を可能にすることができる。
【0139】
化合物1は、初めにQD、その後、継続的に後続のコホートでBIDまたはQDで経口投与される。新しいデータによって裏付けられている場合、代替の断続的な投薬レジメンを検討してもよい。単独療法コホートでは、1サイクルは、服用し忘れや服用の遅れにかかわらず、28日間の連続投薬と定義される。コホート1Bおよび2D(ドセタキセルと組み合わせた化合物1)では、1サイクルは、ドセタキセル治療サイクルおよび投与スケジュールと両立させるために、21日間と定義される。
【0140】
BID投薬レジメンでは、特定の研究訪問のために、化合物1の朝の投与が行なわれる日に、その日の2回目の投与は、その日の最初の投与後8時間以上および16時間以内に行なわれるべきである(許容できる治療ウインドウ±4時間)。1日1回の投薬レジメンでは、許容できる治療ウインドウは±4時間である。
【0141】
化合物1は、サイクルごとに体のサイズを調整しないで、空腹時に経口投与される。参加者は、それらの薬物を毎日ほぼ同じ時間に服用し、どんな時にも処方された用量を超えて服用しないように指示されている。参加者が服用または治療の日を忘れた場合、彼らは、「それを補う」のではなく、処方されたようにその後の投与を再開するように指示されなければならない。加えて、参加者が服用後にいつでも嘔吐する場合;彼らは、「それを補う」のではなく、処方されたようにその後の投与を再開するように指示されなければならない。最後に、参加者が不注意で1日に1回余分に服用した場合、参加者は、化合物1の次の用量を服用すべきではない。
【0142】
化合物1の錠剤は、懸濁液に溶解して、必要に応じて経口または経鼻胃(NG)チューブを介して投与することもできる。
サイクル1の15日目および16日目に、食物効果評価に参加しているパート2参加者は、その場でそれぞれ絶食および摂食状態下で化合物1を受け、PKキャラクタリゼーションのために血液試料を回収する。
ドセタキセル投与
パート1Bおよび2Dの参加者では、疾患の進行、許容できない毒性、または参加者の拒否のいずれかが最初に起こるまで、各21日サイクルの1日目に1時間にわたってドセタキセルを75mg/m
2で静脈内投与する。全ての参加者は、体液貯留の発生率と重症度ならびに超過敏反応の重症度を軽減するために、ドセタキセル投与の1日前から開始して3日間、1日当たりデキサメタゾン16mg(例えば、8mgBID)などの経口コルチコステロイドで前投薬するべきである。参加者は、特に1回目および2回目の注入中に、超過敏反応について注意して観察される。
【実施例6】
【0143】
4mg、6mg、および8mgの化合物1による患者のQD投薬
3つのコホート(4mgQD、6mgQD、および8mgQD)の患者に化合物1を投与する前に、研究者は、適切な温度と保管条件が維持されていたことを確認した。記録をチェックして、接近が制限された安全な、環境が管理され、監視されている範囲に保管されていることを確認した。
【0144】
化合物1は、経口投与のために別々のラベルの付いたボトルに供給された錠剤((1)1mg錠剤(4mgQDで投与される患者用);ならびに2)1mgおよび5mg錠剤(6mgQDおよび8mgQDで投与される患者用))として3つのコホートの患者に提供された。患者は、それぞれ4mgQD、6mgQD、および8mgQDを受けたので、それらはそれぞれ丸ごと(すなわち、つぶしたり噛んだりしないで)1)1mg錠剤4個(4mgQDコホート用(N=3));2)5mg錠剤1個および1mg錠剤1個(6mgコホート用(N=6));ならびに3)5mg錠剤1個および1mg錠剤3個(8mgコホート用(N=2))を同時に、毎朝空腹時に少なくとも8oz(240mL)の水で飲み込むことを指示されていた。それぞれの用量投与の2時間前から1時間後は、食物または水以外の液体を消費してはいけなかった。これらのコホートの患者は、上記のように化合物1を経口QDで4サイクル(1サイクルは28日)服用した。診療所への毎週の訪問は、患者によって行なわれて、化合物1の抗癌活性および副作用を評価した。
図5、
図6、および
図7は、それぞれ4mgQD、6mgQD、および8mgQDの15日目の定常状態中央値濃度−時間プロファイルを示す。QD投薬後、低いピーク対トラフ比率(中央値=3.1)が定常状態で観察された。低いピーク対トラフ比率は、治療効果を維持しながら潜在的なC
max関連の副作用(もしあれば)を最小限にするのに役立つので、望ましい。QD投薬後に観察された低いピーク対トラフ比率は、QD投薬レジメンは実行可能であり、癌患者とその医療提供者の間の服薬遵守および利便性を高めるためにも好ましいことを示した。
【実施例7】
【0145】
化合物1による血液薬力学的バイオマーカーSDMA阻害
薬力学的バイオマーカー(PD)として血奬SDMA(対称ジメチルアルギニン)レベルを使用して、化合物1の阻害効果をモニターした。PRMT5は、多くの核および細胞質タンパク質におけるSDMAの形成を触媒し、PRMT5阻害はSDMAの減少をもたらすので、血液PDバイオマーカーとしてSDMAが選択された。試料内のSDMAなどの化合物の同定および濃度を正確に決定できる極めて感度の高い特定の分析技術である液体クロマトグラフィー質量分析(LC−MS/MS)アッセイを使用することによってSDMAの定量を行なった。アッセイは、血漿中1〜500ng/mlで検証された。
図8は、異なる用量レベルの化合物1が、時間の経過とともに60〜80%SDMAを減少させたことを示す。血漿SDMA阻害は、0.5mgQDと0.5mgBIDを含む最初の2つのコホート(各コホートでN=1)で約60%であった。血漿SDMA阻害は、1mgBID(N=2)、2mgBID(N=3)、4mgBID(N=3)、6mgBID(N=4)、4mgQD(N=5)、6mgQD(N=6)、および8mgQD(N=3)を含む、コホート3からコホート9で約80%であった。