【実施例】
【0084】
以下の実施例は、本発明の方法および材料を例示することが意図されている。当業者には明らかである当該技術において通常遭遇する記述された条件およびパラメーターの適切な改変および適合は、本発明の精神および範囲内である。
【0085】
実施例1
抗HER2 T(kK183C+K290C)−vc0101 ADC臨床試験
A.試験の概要
この実施例は、HER2+固形腫瘍(乳癌(BC)および胃癌(GC))を有する成人患者の連続的なコホート(n=2〜15)における、およびHR+ HER2 IHC 1+またはIHC 2+/ISH−乳癌(BC)を有し、標準療法に抵抗性もしくは不耐容であるかまたは利用可能な標準療法がない閉経後の患者における、単剤T(kK183C+K290C)−vc0101 ADC(PF−06804103)の第1相、オープンラベル、多施設、多用量、安全性、PKおよびPD試験を説明しており、21日ごとに静脈内投与される増大する用量の単剤T(kK183C+K290C)−vc0101 ADCを与えられた。この試験は、用量漸増(パート1)および用量拡大(パート2)の2つのパートを含む。パート1Aおよび1Bは、単剤療法としておよび併用計画の一部としての漸増する用量のT(kK183C+K290C)−vc0101 ADCをそれぞれ評価した。パート2Aおよびパート2Bは、T(kK183C+K290C)−vc0101 ADCの選択された用量を拡大コホートにおいて単剤療法としておよび併用計画としてそれぞれ評価するであろう。全体的な試験設計が、
図2において記載されている。
【0086】
パート1Aでは、HER2陽性BCまたはHER2陽性GCを有する患者が、パート2Aで投与されるべきT(kK183C+K290C)−vc01 ADCの用量レベルを見積もるために、0.15mg/kgで開始する漸増する用量のT(kK183C+K290C)−vc0101 ADCを21日サイクルにおいてQ3Wで与えられた。
【0087】
パート1Bでは、HR陽性HER2 IHC 1+またはIHC 2+/ISH− BCを有する閉経後の患者が、(現地および地域のガイドラインに従って)パルボシクリブおよびレトロゾールのSOC用量との併用で投与される、推奨される単剤療法Q3Wパート2用量−1用量と同等の用量で開始する漸増する用量のT(kK183C+K290C)−vc0101 ADCを28日サイクルにおいてQ2Wで与えられるであろう。パート1Bの間に収集されたデータは、パート2Bでの用量拡大のために選択された用量レベルの情報を与えた。
【0088】
パート2Aでは、3L設定のHER2陽性BC患者が、最適な用量選択を支持するためにより大きい集団において安全性、有効性をさらに評価するために、そして3mg/kgまたは4mg/kg Q3Wの利益/リスクを評価するために、単剤療法としてQ3Wで投与される3mg/kgおよび4mg/kgの用量のT(kK183C+K290C)−vc0101 ADCを与えられるようにランダムに割り当てられるであろう。また、パート2Aでは、2L設定のHR陽性HER2 IHC1+またはIHC2+/ISH− BC患者が、単剤療法としてQ3Wで投与される4mg/kgのT(kK183C+K290C)−vc0101 ADCを与えられるであろう。4mg/kg Q3Wの観察された毒性が高すぎることが決定された場合、より低い用量(例えば3mg/kg)が、試験されるであろう。
【0089】
パート2Bでは、1L設定でHR陽性HER2 IHC 1+またはIHC 2+/ISH− BCを有する患者が、(現場および地域のガイドラインに従って)パルボシクリブおよびレトロゾールのSOC用量との併用で28日サイクルにおいてQ2Wで投与される選択されたT(kK183C+K290C)−vc0101 ADCの用量(パート1B)を与えられるであろう。
【0090】
T(kK183C+K290C)−vc0101 ADCによる処置は、研究者および医療監視者(medical monitor)が個々の利益/リスク評価に基づいて進行を超えた処置(treatment beyond progression)に同意しない限り、疾患の進行、患者の拒否または許容できない毒性のいずれかが発生するまで継続された。
【0091】
両方の試験パートにおいて、提案された用量レベル、スケジュールおよびPKの時点は、現れる安全性およびPKのデータに基づいて再考され得る。用量レベルまたは処置アームは、全ての利用可能な臨床、安全性、PK、PDおよび予備的な有効性の結果の評価を含むがそれらに限定されないデータの全体に応じてあらゆる時点で中止され得る。
【0092】
主な目的は、T(kK183C+K290C)−vc0101 ADCの安全性および耐容性を評価し、その用量制限毒性(DLT)を特性付け、そして乳房(BC)または胃食道胃接合部(GC)のHer2+癌を有する成人患者における推奨される第2相用量(RP2D)を決定することであった。22.5%、32.5%の同等区間を伴うおおよそ27.5%のDLT率を目標とする改変された毒性確率間隔設計が、本試験の用量漸増相において使用された。二次的な目的は、T(kK183C+K290C)−vc0101 ADCのPK特徴、免疫原性および予備的な抗腫瘍活性を評価することであった。反応の評価は、固形腫瘍における反応評価基準(RECIST v1.1)を用いてなされた。目標反応率は、反応評価可能な患者、すなわちベースラインおよび疾患の進行または新規の抗癌療法の時点までの1回以上のベースライン後評価において標的病変を有する患者に関して計算される。
【0093】
B.患者集団
試験に関して考慮され、スクリーニングに関して適格である全ての患者は、いずれかの試験特有の手順を完了する前に試験に関するインフォームドコンセントに署名する必要があった。
【0094】
パート1に関する重要な包含基準は、以下の基準を含んでいた:標準療法に不応性であるかもしくは耐えられない、または利用できる標準療法がない進行性/切除不能もしくは転移性HER2陽性BCまたは胃もしくは食道胃接合部(GC)の転移性HER2陽性腺癌の組織学的または細胞学的診断を有する成人患者(年齢18歳以上)。HER2陽性は、アメリカ臨床腫瘍学会/米国病理医協会のガイドラインに従って定義されている。以下の1つによるHER2遺伝子の増幅または過剰発現の文書による裏付けが、必要とされる:
以下のように定義されるHER2 3+として分類される免疫組織化学(IHC)による過剰発現:
乳癌:腫瘍細胞の10%より多い割合における完全な強い外周膜染色。
【0095】
胃癌(パート1Aのみ):外科的標本:10%以上の細胞における強く完全な/基底側方または側方膜反応性。
・胃癌(パート1Aのみ):生検標本:染色された腫瘍細胞の割合に無関係な強く完全な基底側方または側方膜活性を有する腫瘍細胞のクラスター(5個より多い腫瘍細胞)。
【0096】
以下のように定義されるHER2 2+として分類されるIHCによる過剰発現:
・乳癌:腫瘍細胞の10%より多い割合において観察される弱い〜中程度の完全な膜染色(IHCが曖昧である場合はインサイチュハイブリダイゼーション(ISH)で確認)。
【0097】
・胃癌(パート1Aのみ):外科的標本:10%以上の細胞における弱い〜中程度の完全な基底側方または側方膜反応性(IHCが曖昧である場合はISHで確認)。
・胃癌(パート1Aのみ):生検標本:染色された腫瘍細胞の百分率と無関係な弱い〜中程度の完全な基底側方または側方膜反応性を有する腫瘍細胞クラスター(IHCが曖昧である場合はISHで確認)。
【0098】
以下のように定義されるHER2 1+として分類されるIHCによる過剰発現:
−BC:淡い/ほとんど知覚できず、かつ腫瘍細胞の10%より多い割合における不完全な膜染色。
【0099】
−GC(パート1Aのみ):外科的標本:10%以上の腫瘍細胞における淡い/ほとんど知覚できない膜反応性;それらの膜の一部においてのみ反応性の細胞。
−GC(パート1Aのみ):生検標本:染色された腫瘍細胞と無関係な淡い、またはかすかな知覚できない(barely)膜反応性を有する腫瘍細胞クラスター。
【0100】
以下のように定義されるHER2 0として分類されるIHCによる過剰発現:
−BC:染色が観察されないか、または10%以下の腫瘍細胞における不完全であり淡い/ほとんど知覚できない膜染色。
【0101】
−GC(パート1Aのみ):外科的標本:反応性がない〜10%以下の腫瘍細胞における膜反応性。
−GC(パート1Aのみ):生検標本:あらゆる腫瘍細胞において反応性がない。
【0102】
以下のように定義されるISHによる遺伝子増幅
・単一プローブ:6.0信号/細胞以上の平均HER2コピー数;または
・単一プローブ:4.0信号/細胞以上かつ6.0信号/細胞未満の平均HER2コピー数ならびに同時のIHC 3+および/または同時の二重プローブISH群1。
【0103】
・二重プローブ:4.0信号/細胞(群1)以上の平均HER2コピー数を伴う、2.0以上のHER2/染色体数え上げ(enumeration)プローブ17(CEP17)の比率。
【0104】
・4.0信号/細胞(群2)未満かつIHC 3+。
・2.0未満の二重プローブHER2/CEP17の比率。
6.0信号/細胞(群3)以上の平均HER2コピー数は、追加の仕上げを必要とする(IHC 3+、またはIHC 2+および前の結果を伏せられた観察者による少なくとも20細胞を計数するISHの再計数が、2.0未満のHER2/CEP17の比率および6.0より大きい平均HER2信号/細胞を示す)。
【0105】
・4.0信号/細胞以上かつ6.0信号/細胞以下(群4)の平均HER2コピー数およびIHC 3+。
食品医薬品局(FDA)が承認した、または現地で検証された試験を使用した以前のHER2陽性の検査結果は、受け入れられるであろう。
【0106】
より具体的には、患者の包含基準は、以下の基準であるが、それらに限定されない:
1)パート1Aおよび2A(アームM1およびM2)
a)18歳以上の年齢の患者;
b)標準療法に不応性であるかもしくは耐えられない、または利用できる標準療法がない進行/切除不能もしくは転移性のHER2陽性BCまたは胃もしくは食道胃接合部の転移性HER2陽性腺癌;および
c)現地の実験室の結果に基づくHER2陽性BCまたは胃もしくは食道胃接合部の転移性HER2陽性腺癌の文書で裏付けられた組織学的または細胞学的に確認された診断;
2)パート2A(アームM3)
a)18歳以上の年齢の成人女性患者;
b)ホルモンベースの計画を含む少なくとも1つの先行する全身療法のラインにおいて進行した進行/切除不能または転移性HER2 IHC 1+またはIHC 2+/ISH− BC;および
c)現地の実験室の結果に基づくHER2 IHC 1+またはIHC 2+/ISH−のどちらかとして組織学的または細胞学的に定義された文書で裏付けられたHER2 IHC 1+またはIHC 2+/ISH− BC;ならびに
3)パート1Bおよび2B
a)18歳以上の年齢の成人女性患者;
b)以下のように定義される閉経後の女性:(i)以前の両側の外科的卵巣摘出術、または少なくとも12ヶ月連続する規則的な月経の自然停止もしくは代わりの病理学的もしくは生理学的な原因によらずにFSHおよびエストラジオールの血中レベルがそれらのそれぞれの閉経後の範囲にあることとして定義される医学的に確認された閉経後の状態;
c)以前に全身性抗癌療法で一切処置されていない進行/切除不能または転移性HER2 IHC 1+またはIHC 2+/ISH− BC;および
d)現地の実験室の結果に基づく組織学的または細胞学的に確認されたHER2 IHC 1+またはIHC 2+/ISH− BCの診断の文書による裏付け。HER2 IHCおよび/またはISHの状態の文書による裏付け。
【0107】
患者は、彼らが以下の重要な除外基準を満たした場合、本試験から除外された:
a)次のように定義されたHER2 IHC 0を有する患者:
(i)BC:染色が観察されないか、または不完全であり10%以下の腫瘍細胞における淡い/ほとんど知覚できない膜染色;
(ii)GC(パート1Aのみ):外科的標本−反応性がない〜10%以下の腫瘍細胞における膜反応性;または生検標本−腫瘍細胞において一切反応性がない;および
b)ステロイド処置を必要とする既知の症候性脳転移を有する患者;および
c)処置開始の4週間以内に大手術または全身抗癌療法を有する患者。
【0108】
C.処置のスケジュール
パート1A−T(kK183C+K290C)−vc0101 ADCを用いた単剤療法の用量漸増
目的は、第1相試験の用量漸増パートにおいてPF−06804103の安全性、忍容性および抗腫瘍活性を評価し、その用量制限毒性(DLT)を特性付け、そして乳房(BC)ならびに胃および食道胃接合部(GC)のHER2+癌を有する成人患者において推奨される第2相の用量を決定することであった。
【0109】
用量漸増パート(パート1)では、T(kK183C+K290C)−vc0101 ADC(PF−06804103)が、0.15mg/kgの出発用量で21日ごと(Q3W)に静脈内(IV)注入として投与された。臨床データおよびPKデータに基づいて、代替投与スケジュールが、評価されることができた。T(kK183C+K290C)−vc0101 ADCによる処置は、研究者および医療監視者が個々の利益/リスク評価に基づいて進行を超えた処置に同意しない限り、疾患の進行、患者の拒否/同意の撤回、または許容できない毒性のいずれか(どれが最初に発生した場合でも)が発生するまで継続した。
【0110】
(22.5%、32.5%)の等価区間を有するおおよそ27.5%のDLT率を目標とする修正毒性確率間隔(mTPI)が、試験のパート1において利用された。
本試験のパート1に関して計画された用量レベルが、表3において示されている。適宜現れる安全性、PKまたはPDデータに基づいて、中間的な用量が、探求されることができるであろう。
【0111】
【表3】
【0112】
評価
安全性評価は、AE、SAE、バイタルサインおよび身体検査、ECG(12誘導)、ECHOまたはMUGA、二酸化炭素に関する肺の拡散能(diffusing capacity of the lungs for carbon dioxide)(DLco)、眼科検査、妊娠検査および同時薬物療法の確認を含む検査室での安全性評価の収集を含んでいた。
【0113】
薬物動態評価は、処置の前および試験の間に採取された血液試料に対して検証された生物分析アッセイを用いてT(kK183C+K290C)−vc0101 ADC(コンジュゲートされたペイロードとして測定された)、総抗体および未コンジュゲートのペイロードの血清中濃度を定量化することを含んでいた。具体的には、総抗体濃度が、ELISA法を用いて測定され、T(kK183C+K290C)−vc0101 ADC濃度が、ハイブリッドLC−MS/MS法を用いてコンジュゲートされたペイロードとして測定され、未コンジュゲートのペイロードの濃度が、LC−MS/MS法を用いて測定されるであろう。予備的なPK評価のために、T(kK183C+K290C)−vc0101 ADCの平均血清中濃度−時間プロファイルが、各用量コホートに関して生成され;ノンコンパートメントPKパラメーターが、公称サンプリング時間を用いてサイクル1の濃度−時間データから概算された。T(kK183C+K290C)−vc0101 ADCおよび総抗体に関して、最大血漿中濃度(Cmax)、最大血漿中濃度までの時間(Tmax)および血漿中濃度対時間曲線下面積(AUC
inf、AUCτ)、クリアランス(CL)、定常状態での分布量(Vss)、終末相半減期(t
1/2)ならびに蓄積比(R
ac)を含むPKパラメーターが、計算された。未コンジュゲートペイロードに関して、Cmax、Tmax、AUC
inf、AUCτ、t
1/2およびR
acを含むPKパラメーターが、計算された。
【0114】
抗腫瘍性臨床活性は、ベースライン時に、その後は処置の開始後6週間ごとに疾患の進行が確認されるかまたは試験処置の中止までコンピューター断層撮影法または磁気共鳴画像法を用いて評価された。6ヶ月間の試験処置の後、評価は、12週間ごとに実施されることができた。
【0115】
腫瘍の奏効は、RECIST v1.1に従って評価された。客観的奏効率(ORR)が、ベースライン時の腫瘍評価および1回以上の確定的なベースライン後の評価(未確認の奏効を含む)を有する奏効評価可能な患者に関して計算された。腫瘍の大きさの変化は、完全奏効(CR)、部分奏効(PR)、安定疾患(SD)または進行性疾患(PD)として分類され、後者は、下記で定義されるような新規の病変の出現を組み込んでいる:
i)完全奏効(CR):結節性疾患を除く全ての標的病変の完全な消失。全ての標的結節は、正常な大きさ(短軸が10mm未満)まで減少しなければならない。全ての標的病変が、評価されなければならない;
ii)部分奏効(PR):測定可能な全ての標的病変の直径の合計のベースライン下の30%以上の減少。短径が、標的結節に関する合計において用いられ、一方で最長径が、全ての標的病変に関する合計において用いられる。全ての標的病変が、評価されなければならない;
iii)安定:CR、PRまたは進行に該当しない。全ての標的病変が、評価されなければならない。安定は、合計が最低値から20%未満増加するが以前に文書で証明された30%の減少がもはや保たれないのに十分である稀な場合にのみ、PRに続き得る;そして
iv)客観的進行性疾患(PD):観察された最小の合計より上の(療法の間に合計における減少が観察されない場合はベースラインより上の)測定可能な標的病変の直径の合計における20%の増加であり、最低でも5mmの絶対増加。
【0116】
結果
1.患者
重要な包含基準は、以下の基準を含むが、それらに限定されない:
a)標準療法に不応性であるかまたは利用できる標準療法がない進行/切除不能もしくは転移性HER2+ BCまたは転移性HER2+ GCの組織学的または細胞学的診断;
b)1以下の米国東海岸癌臨床試験グループパフォーマンスステータス(ECOG PS);ならびに
c) 十分な骨髄機能、腎機能および肝機能。
【0117】
35人(46%)の患者の内の16人(n=6 BCおよびn=10 GC)が、合計18の腫瘍試料を提供した。HER2免疫組織化学(IHC)検査に基づいて、12人の患者は、3+のスコアを有しており、4人の患者は、2+のスコアを有していた。スコアが2+だった患者は、全てFISH+として検査された。受けた先行する処置の数の中央値(範囲)は、GCおよびBC患者に関してそれぞれ3(1〜7)および6(3〜18)であった(表4)。全ての患者は、先行するHER2標的化療法を受けており;GCおよびBCを有する全ての患者は、トラスツズマブを与えられていた(表4)。
【0118】
【表4】
【0119】
【表5-1】
【0120】
【表5-2】
【0121】
2.臨床活性
PF−06804103による処置は、結果として全ての用量にわたる全ての奏効評価可能な患者に基づいて38.7%の客観的奏効率(ORR)をもたらした(表6)。3mg/kg以上のPF−06804103を与えられた患者に関して:(i)ORRは、11/21(52.4%)であり;8/21(38.1%)の患者が、安定疾患を達成し;そして(ii)PF−06804103を与えられた患者の2/21(9.5%)において、完全奏効が観察された(表6)。奏効の期間の中央値は、確認された、または未確認の奏効を有する患者において6.9ヶ月であった。BCまたはGCを有する患者における腫瘍サイズの最高の変化が、
図3において示されている。
【0122】
【表6】
【0123】
3.PF−06804103のPK特性付け
PF−06804103の静脈内投与後、ADCおよび未コンジュゲートペイロードの曝露における用量依存的な増加が、観察された(
図4Aおよび4B)。
【0124】
未コンジュゲートペイロードの血清中濃度は、ADCの血清中濃度よりも実質的に低く(
図4Aおよび4B);そしてADCの半減期は、2〜5日であった(表7)。
【0125】
【表7】
【0126】
4.安全性
最も一般的な処置に関連する有害事象(AE)(あらゆるグレード)は、脱毛および疲労であった。報告されたグレード3〜4の処置に関連するAEは、疲労、末梢神経障害、筋肉痛、関節痛および食欲減退を含んでいた。5人(14.3%)の患者が、処置の第1サイクルにおいてグレード3〜4の処置に関連するAEを報告した。
【0127】
用量制限毒性(DLT)(ほとんどがグレード3)は、3人の患者で報告され、関節痛、神経障害、筋肉痛、疲労および骨筋肉痛を含んでいた。
用量の低減、中断または休薬に至ったAEを有する患者の割合(PF−06804103投与群による)は、100%(0.15mg/kg)、0%(0.5mg/kg)、50%(1.2mg/kg)、25%(2.0mg/kg)、40%(3.0mg/kg)、78%(4.0mg/kg)および83%(5.0mg/kg)であった。
【0128】
5.結論
重度の前処置を受けたGCおよびBC患者のこの小さいグループにおいて、PF−06804103 ADCによる処置は、有望な有効性および一般的に管理可能な毒性プロファイルを示した。3mg/kg以上のPF−06804103を与えられた奏効評価可能な患者の間では、ORRは、52.4%であり、それは、2人(9.5%)の完全奏効を含んでいた。
【0129】
パート1B − 併用計画の用量漸増
パート1Bで評価された併用計画が、1L BC HR陽性HER2 IHC 1+またはIHC 2+/ISH−を有する患者に施されるであろう。
【0130】
PF−06804103は、SOC経口パルボシクリブおよび経口レトロゾールとの併用で、14日ごとに静脈内注入により投与されるであろう。より高い、中程度またはより低い用量を含む3.3mg/kg Q2Wまでの用量漸増または漸減(表8)は、全ての利用可能な臨床、安全性、PKおよび/またはPDデータに基づいて評価され得る。
【0131】
PF−06804103の開始用量レベルは、単剤療法パート2の用量マイナス1と同等の用量であるように計画されており、潜在的なDDI、あらゆる重複する毒性の考慮ならびに全ての利用可能な臨床、安全性、PK、忍容性および予備的有効性データに基づいて選択された。
【0132】
【表8】
【0133】
パルボシクリブは、CYP3Aの弱い時間依存性阻害剤であり、未コンジュゲートペイロードPF−06804103に関する曝露における低い〜中程度の増大をもたらすことが予想される。単剤療法パート2の用量マイナス1は、3mg/kg Q3Wであるため、単剤療法投与における3mg/kg Q3Wでの投与強度と同じ投与強度をもたらすためのパート1BにおけるPF−06804103の開始用量は、2mg/kg Q2Wであろう。4mg/kg Q3Wの単剤療法投与と同じ投与強度をもたらすための予想される最大のパート1Bの用量は、2.7mg/kg Q2Wであろう。以前に全身性抗癌療法で処置されていない患者には、PF−06804103のより高い用量が、許容され得る。それらの患者に関して、最大のパート1Bの用量は、2.7mg/kg QWを超え得る。
【0134】
より具体的には、PF−06804103は、2mg/kg Q2W + パルボシクリブ(125mg) + レトロゾール(2.5mg) Q4Wの開始用量で静脈内投与されるであろう。
【0135】
パート2A−単剤療法の用量の拡大
パート2Aでは、3L設定のHER2陽性BC患者が、最適な用量選択を支持するためにより大きい集団において安全性、有効性をさらに評価するために、そして3mg/kgまたは4mg/kg Q3Wの利益/リスクを評価するために、単剤療法としてQ3Wで投与される3mg/kgまたは4mg/kgの用量のT(kK183C+K290C)−vc0101 ADCを与えられるようにランダムに割り当てられるであろう。また、パート2Aでは、2L設定のHR陽性HER2 IHC1+またはIHC2+/ISH− BC患者が、単剤療法としてQ3Wで投与される4mg/kgのT(kK183C+K290C)−vc0101 ADCを与えられるであろう。観察された4mg/kg Q3Wの毒性が高すぎることが決定された場合、より低い用量(例えば3mg/kg)が、試験されるであろう。
【0136】
投与されるべきPF−06804103の用量レベルは、パート1Aで収集された全ての利用可能な安全性、忍容性、予備的有効性およびPKデータの再調査後に選択されるであろう。PF−06804103に関する計画されたパート2の単剤療法の用量は、3.0mg/kgおよび4.0mg/kg Q3Wである。より具体的には、パート2Aでの試験処置は、以下の処置を含む:
アームM1:PF−06804103が、3mg/kg Q3Wで静脈内投与されるであろう;
アームM2:PF−06804103が、4mg/kg Q3Wで静脈内投与されるであろう;そして
アームM3:PF−06804103が、4mg/kg Q3Wで静脈内投与されるであろう。
【0137】
パート2B−併用用量計画の拡大
パート2Bでは、1L設定でHR陽性HER2 IHC 1+またはIHC 2+/ISH− BCを有する患者が、(現地および地域のガイドラインに従って)パルボシクリブおよびレトロゾールのSOC用量との併用で28日サイクルにおいてQ2Wで投与される選択されたT(kK183C+K290C)−vc0101 ADCの用量(パート1B)を与えられた。パルボシクリブのSOC投与は、28日サイクルにおいてであり、PF−06804103 Q2Wの用量レベルの選択は、パート1Bからの全ての利用可能な臨床、安全性、忍容性、予備的有効性およびPKデータに基づくであろう。PF−06804103に関する予想されるパート2の併用用量は、2.7mg/kg Q2Wである。
【0138】
より具体的には、パート2Bにおける試験処置は、以下の通りである:
アームC1:PF−06804103(TBD)Q2W + パルボシクリブ(125mg) + レトロゾール(2.5mg)Q4Wが、静脈内投与されるであろう(表9)。
【0139】
【表9】
【0140】
実施例2
抗HER2 T(kK183C+K290C)−vc0101 ADCパート2試験(代替):
単剤として(パート2B:アームA、B、CおよびD)および併用での(パート2B:アーム1、2および3)併用用量の発見(パート2A)および用量の拡大
A.概要:
パート2Bは、さらにパート1から選択された用量を単剤としておよび併用で以下の癌を有する患者においてさらに評価することもできる。
【0141】
単剤:
アームA:HER2+ BC(HER2 IHC3+またはIHC2+ ISH+(インサイチュハイブリダイゼーション)BC;
アームB:ホルモン受容体(HR)+ HER2 IHC2+ ISH−または曖昧なBC;
アームC:HER2+(HER2 IHC3+またはIHC2+ISH+)GCまたはHER2 IHC2+ISH−または曖昧なGC;および
アームD:NSCLC(来た人全員);ならびに
併用:
アーム1およびアーム2:“第1選択(1L)MBC”:HER2+;および
アーム3:“第1選択(1L)MBC”:アジュバント処置の失敗、または新規MBCのどちらかを伴うHR+ HER2−mBC;先行するCDK4/6阻害剤への曝露なし。
【0142】
パート1からの単剤T(kK183C+K290C)−vc0101 ADC MTD/RP2Dが、パート2の単剤用量拡大アーム試験(アームA、B、CおよびD)を開始するために用いられるであろう。加えて、併用試験におけるT(kK183C+K290C)−vc0101 ADCの開始用量は、そのアームに応じて、パート1からのMTD/RP2DまたはMTD/RP2Dマイナス1の用量レベルに基づくであろう(表10参照)。T(kK183C+K290C)−vc0101 ADCの用量は、mTPI設計およびDLT基準および現れるデータ(示されている場合)に基づいて漸増または漸減し得る。
【0143】
推奨される第2相用量(RP2D)は、第1相試験の結果に基づいてさらなる調査のために選択された用量である。MTDが、妥当な数の患者において長期投与が臨床的に実行可能であることが証明された場合、この用量が、通常はRP2Dになる。MTDでのさらなる経験は、結果としてMTDより低いRP2D用量をもたらし得る。
【0144】
B.患者集団
パート2に関する重要な包含基準は、以下の基準を含む:以下の癌を有する成人患者(年齢18歳以上):
アームA:乳癌:進行/切除不能または転移性HER2 陽性(+)BCの組織学的または細胞学的診断。HER2陽性と分類された患者は、現地の標準治療の実施によって示されない場合を除き、併用または単剤としてのどちらかでのハーセプチン、ペルツズマブおよびアド−トラスツズマブ・エムタンシン(T−DM1)を含むHER2+乳癌における臨床的利益を提供することが知られている確立された療法に不応性でなければならず、またはその上で進行しており、またはそれに不耐性である。マルゲツキシマブまたはトラスツズマブ・デルクステカン(DS−8201)を含む他のモノクローナルHER2標的化療法に基づく先行する処置は、許可される。
【0145】
アームB:乳癌:進行/切除不能または転移性ホルモン受容体陽性(HR+)、HER2 IHC2+/ISH陰性(−)または曖昧である組織学的または細胞学的診断。HR+(現地の基準と一致するアッセイを利用した直近の腫瘍生検に基づくエストロゲン受容体(ER)陽性および/またはプロゲステロン受容体陽性の腫瘍(1%以上の陽性染色された細胞)の文書による裏付けを含む)およびHER2 IHC+/ISH陰性(−)または曖昧(equivocal)と分類された患者は、現地の標準治療の実施によって示されない、または許可されない場合を除き、抗ホルモン療法およびCDK(サイクリン依存性キナーゼ)4/6阻害剤を含むHR+乳癌における臨床的利益を提供することが知られている確立された療法に不応性でなければならず、またはその上で進行しており、またはそれに不耐性である。
【0146】
アームC:胃癌:胃または食道胃接合部の進行性/切除不能または転移性のHER2+およびHER2 IHC2+/ISH陰性(−)または曖昧な腺癌の組織学的または細胞学的診断。患者は、胃または食道胃接合部の腺癌(胃癌または胃食道癌)の一次(第1選択)処置に関するトラスツズマブ+シスプラチン/5−FU(フルオロウラシル)ベースの計画または標準療法に不応性でなければならず、またはその上で進行しており、またはそれに不耐性である。
【0147】
食品医薬品局(FDA)が承認した、または現地で検証された試験を使用した以前のHER2陽性の検査結果(アームAおよびアームC中のHER2+患者)は、受け入れられるであろう。
【0148】
アームD:NSCLC:進行したNSCLCの組織学的または細胞学的な文書で裏付けられた診断。患者は、標準療法に従う抗PD−1(プログラムされた細胞死タンパク質1)/プログラムされた死のリガンド1(PD−L1)チェックポイント阻害剤を用いた処置に不応性でなければならず、またはその上で進行しており、またはそれに不耐性である:別途示されない限り、患者は、PD−L1発現が1%以上[腫瘍割合スコア≧1%]である場合、化学療法との併用またはまたは単剤療法としての抗PD−1/L1を用いて処置されていなければならない。EGFR変異およびALK再配列を有する患者は、それぞれ先行するEGFRおよびALK標的化療法を受けていなければならない。腫瘍がT790M変異陽性のNSCLCである場合、患者は、オシメルチニブを与えられていなければならない。ROS1変異陽性腫瘍を有する患者は、先行するクリゾチニブを与えられていなければならない。
【0149】
患者は、彼らが以下の重要な除外基準を満たした場合、この試験から除外された:ステロイドを必要とする既知の症候性脳転移を有する患者、および処置開始の4週間以内の大手術または全身抗癌療法。
【0150】
C.処置のスケジュール
パート2B:T(kK183C+K290C)−vc0101 ADC単剤用量の拡大
パート2の用量の拡大は、単剤として21日サイクルでMTD/RP2Dで投与されたT(kK183C+K290C)−vc0101 ADCを本明細書で記載される4つの別々の用量拡大アーム(アームA、B、CおよびD)において評価するであろう。
【0151】
パート2A:T(kK183C+K290C)−vc0101 ADCの併用用量の発見
単剤T(kK183C+K290C)−vc0101 ADC MTD/RP2Dがパート1で決定された後、パート2Aへの登録が、パート2の単剤用量の拡大と並行して開始されるであろう。
【0152】
パート2Aは、HER2+ BCおよびHR+ HER2− mBCを有する女性における独立したアームにおいてペルツズマブ±ドセタキセルとの併用でのT(kK183C+K290C)−vc0101 ADC MTD/RP2Dの用量(アーム1およびアーム2)ならびにT(kK183C+K290C)−vc0101 ADC + パルボシクリブおよびレトロゾール(アーム3)をそれぞれ評価するであろう。3〜6人の患者がパート2Aの各アームに登録されるであろうことおよび各アームは少なくとも3人のDLTを評価可能な参加者を有するであろうことが、予想される。試験のこの部分の目的は、下記の患者集団における T(kK183C+K290C)−vc0101 ADCの安全性および予備的な抗腫瘍活性を評価することである。
【0153】
アーム1およびアーム2:“第1選択(1L)MBC”:HER2+;ならびに
アーム3:“第1選択(1L)MBC”:HR+ HER2− mBC、アジュバント処置の失敗または新規のMBCのどちらかを有する;先行するCDK4/6阻害剤への曝露がない。
【0154】
用量およびスケジュール:
T(kK183C+K290C)−vc0101 ADCは、21日ごとに(Q3W)静脈内注入として投与されると考えられ、アームごとの併用薬物は、表10.パート2A用量発見併用アーム(Dose Finding Combination Arms)に関する提案された用量レベルに基づいて投与されるであろう。
【0155】
【表10】
【0156】
パート2B:T(kK183C+K290C)−vc0101 ADC併用用量の拡大
パート2B/アーム1およびアーム2 − HER2+局所進行性またはmBCにおけるペルツズマブ±ドセタキセルとの併用でのT(kK183C+K290C)−vc0101 ADC (第1選択設定)
T(kK183C+K290C)−vc0101 ADCは、パート2Aでアーム1およびアーム2においてそれぞれHER2+進行性またはmBCを有する患者において決定された用量でペルツズマブ+または−ドセタキセルとの併用で評価されるであろう。以前に進行性設定または転移性設定の全身性抗癌療法を受けたことがない患者が、登録されるであろう。それぞれのアームは、30人に至るまでの患者を登録するであろう。
【0157】
投与計画:ペルツズマブ + T(kK183C+K290C)−vc0101 ADC +/− ドセタキセル(表11):
1日目にペルツズマブ840mg IV、その後420mg IV;
T(kK183C+K290C)−vc0101 ADC RP2D IV 1日目
−21日ごとのサイクル
ペルツズマブが、最初に与えられ、続いてT(kK183C+K290C)−vc0101 ADC ドセタキセル 75mg/m2 Q3Wが、与えられるであろう
パート2B/アーム3 − HR+ HER2−もしくはHER2lo局所進行性またはmBCにおけるパルボシクリブ+レトロゾールとの併用でのT(kK183C+K290C)−vc0101 ADC(第1選択設定)
T(kK183C+K290C)−vc0101 ADCは、HR+ HER2−進行性またはmBCを有する患者において、パート2Aで決定された用量でパルボシクリブ+レトロゾールとの併用で評価されるであろう。以前に進行性または転移性設定の全身性抗癌療法を受けたことがない患者が、登録されるであろう。このアームは、30人に至るまでの患者を登録するであろう。
【0158】
投与計画:レトロゾール+パルボシクリブ+NG HER2 ADC(表11):
1〜28日目にレトロゾール2.5mg PO QD;
パルボシクリブ125mg/kg PO QDを3週間
−レトロゾールおよびパルボシクリブを28日ごとに繰り返す;
NG HER2 ADC RP2D IV 1日目
−14日ごとのサイクル。
【0159】
パルボシクリブおよびレトロゾールの投与は、注入の開始とほぼ同時に行われるべきである。
用量およびスケジュールに関する情報に関して、下記の表11を参照。
【0160】
【表11】
【0161】
実施例3
治験用製品供給の剤形、包装および投与
T(kK183C+K290C)−vc0101 ADC
T(kK183C+K290C)−vc0101 ADCは、再構成および静脈内投与のための粉末として与えられる。各バイアルは、40mgのT(kK183C+K290C)−vc0101 ADCを収容しており、コーティングされた栓およびオーバーシールで密封されており、現地の規制要件に従ってラベルが貼られている。
【0162】
T(kK183C+K290C)−vc0101 ADCは、各21日サイクルの1日目に投与されるであろう。サイクルは、1日目の用量から次の1日目の用量までの時間として定義される。処置の遅れがなければ、1サイクルは、21日であろう。加えて、代替の投与スケジュールが、評価され得る。
【0163】
T(kK183C+K290C)−vc0101 ADCは、外来患者扱いでおおよそ60分(±15分)かけて静脈内投与されるであろう。
全ての患者に前投薬を組み込む決定は、治験依頼者および治験責任医師の間での協議の後なされるであろう。患者は、各PF−06804103投与のおおよそ0.5〜2時間前にアセトアミノフェンおよびジフェンヒドラミン(または他の抗ヒスタミン剤)で前処置されるべきである。
【0164】
提案される開始用量は、IVまたは経口での650mg〜1000mgアセトアミノフェンおよび50mgジフェンヒドラミン(または他の抗ヒスタミン剤の同等量)である。アセトアミノフェンの2回の追加の用量が、初回の前処置後おおよそ4〜6時間ごとに、または必要に応じて投与されることができる。
【0165】
パルボシクリブおよびレトロゾールと併用する場合、PF−06804103に関する処置スケジュール(処置に関するサイクルおよび日)は、パルボシクリブの処置スケジュールに従うべきである。
【0166】
ペルツズマブ
ペルツズマブの420mgの輸液用濃縮物は、透明〜わずかに乳白色(opalescent)の、無色〜淡黄色の液体である。1つの濃縮物の14mlバイアルは、420mgのペルツズマブを30mg/mlの濃度で収容している。
【0167】
ペルツズマブの初回用量は、60分間の静脈内注入として投与される840mgであり、その後に続いて3週間ごとに420mgが30〜60分間の静脈内注入として投与される。
【0168】
ドセタキセル
ドセタキセルは、無菌、非発熱性であり、20mg(0.5mL)または80mg(2mL)のドセタキセル(無水)を収容する単回用量バイアルで入手可能であり、使用前に希釈を必要とする。無菌、非発熱性の単回用量希釈剤が、その目的のために供給されている。希釈剤は、注射用水中13%エタノールを含有しており、バイアル中で供給される。
【0169】
ドセタキセルは、75mg/m2の開始用量で3週間ごとに静脈内投与されるであろう。総ドセタキセル用量は、1時間の静脈内注入として投与されるであろう。ドセタキセルの用量は、体表面積(mg/m2)を用いて計算されるであろう。
【0170】
ドセタキセルは、その現地の処方情報を遵守して使用されなければならず、適切な患者が試験に登録されていることを確実にするために再調査されるべきである。
全ての患者は、施設の慣習に従って、体液貯留および過敏性反応の発生率および重症度を低減するために予防的な前投薬を受けなければならない。各化学療法の投与前の提案される前投薬計画は、1日2回の経口デキサメタゾン8mgまたはドセタキセル投与の1日前に開始して3日間与えられる等しい効力の用量の経口プレドニゾンもしくはプレドニゾロンもしくはメチルプレドニゾロンからなる。
【0171】
総ドセタキセル用量は、各サイクルの1日目に1時間の注入として投与されるであろう。
パルボシクリブ
パルボシクリブは、現地の規制要件に従ってラベルが貼られた高密度ポリエチレン(HDPE)ボトル中の125mgカプセルとして供給されるであろう。100mgおよび75mgのカプセルが、用量低減のために利用可能であろう。
【0172】
患者は、パルボシクリブカプセルを丸ごと飲み込むように、そして飲み込む前にそれらを操作したり噛んだりしないように指示されるべきである。カプセルは、それが破れている、割れている、または他の点で完全ではない場合、摂取されるべきではない。患者は、毎日おおよそ同じ時間に彼らの用量を服用するように促されるべきである。患者は、毎日の投与を患者の日誌に記録するように指示されるべきである。
【0173】
患者は、パルボシクリブを食物と共に服用するべきである。パルボシクリブは、それぞれの28日サイクルに関して、1日1回21日間経口投与された後、7日間休薬(off treatment)されるであろう。
【0174】
レトロゾール
推奨される用量は、食事と共に、または食事を伴わずに1〜28日目に継続して1日1回投与される2.5mg錠剤1錠である。