【解決手段】超音波画像観賞システム1に、受検者が乗る診察台5と、診察台上の受検者に超音波を照射して、照射した超音波の反射波を検出することによりエコー信号データを取得するプローブと、エコー信号データに基づいて、受検者の体内を表現したエコー画像データを作成するとともに、エコー画像データに基づいて、観賞画像データを作成する画像作成部と、診察台上の受検者に略正対した位置に観賞画像データを表示させることにより、診察台上の受検者に向けて観賞画像データを提供するスクリーン4とを設ける。
前記観賞画像データに応じて準備された音声データに基づいて、前記診察台上の前記受検者に向けて、音声を再生するスピーカを備える請求項1ないし4のいずれか記載の超音波画像観賞システム。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の好適な実施の形態について、添付の図面を参照しつつ、詳細に説明する。ただし、以下の説明において特に断らない限り、方向や向きに関する記述は、当該説明の便宜上、図面に対応するものであり、例えば実施品、製品または権利範囲等を限定するものではない。
【0011】
図1および
図2は、超音波画像観賞システム1の設置例を示す図である。
【0012】
超音波画像観賞システム1は、診察室2に設置されており、プロジェクタ3、スクリーン4、診察台5、プリンタ6および診断装置7を備えている。
【0013】
なお、以下の説明では、「受検者」とは、超音波画像観賞システム1によって自己の体内の状態観察を望む者である。すなわち、超音波画像観賞システム1は、その使用目的が、診断や検査のための利用に限定されないため、受検者とは、患者に限定されるものではない。また、以下の説明では、超音波画像観賞システム1による観賞を行う者として受検者のみを例に説明するが、観賞を行う者には受検者の関係者(家族や親族、友人などの他人)が含まれてもよい。また、操作者とは、超音波画像観賞システム1を操作する者であって、例えば、医師や技師などの専門知識を有する者を想定している。さらに、以下の説明では、受検者として「妊婦」を想定し、観察の対象として「胎児」を想定するが、もちろんこれに限定されるものではない。
【0014】
診察室2は、壁20,21,22およびドア23を有している。診察室2は、四方を壁20,21,22と、図示しない一枚の壁(壁21と対向する位置に配置される。)とで囲まれた略直方体の部屋である。
図1に示すように、診察室の壁21には、ドア23が取り付けられている。ドア23は、壁21の中央より壁20側に取り付けられている。ドア23から入って右手側に壁20が配置されている。また、
図2に示すように、ドア23から入って左手側に壁22が配置される。
【0015】
プロジェクタ3は、天吊り金具30を用いて壁20に対向する壁22の天井付近から吊りさげられ、壁20の方向に向けて映像を投影するように設置されている。診察台5は、診察室2の真ん中付近に壁20に向けて設置されている。診断装置6は、診察室2のドア23を入って左側の脇(ドア23を入って左側の壁21の傍ら)に設置されている。
【0016】
プロジェクタ3は、診断装置7から受信した画像データ(後述)を、壁20に設置されたスクリーン4に映像(動画像だけでなく、静止画も含む。)として投影する装置(画像提供手段)である。プロジェクタ3としては、従来から知られている装置を適宜採用することができるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0017】
スクリーン4は、
図1に示すように、診察台5上の受検者に正対する位置に設置される。スクリーン4には、プロジェクタ3から照射された映像が投影される。これにより、受検者は、無理な姿勢を強いられることなく、スクリーン4上に再生される映像を視認することができる。したがって、スクリーン4は、画像提供部としての機能を有している。なお、プロジェクタ3は、スクリーン4ではなく、壁20に映像を直接投影させてもよい。その場合は、壁20が画像提供部となる。壁20を画像提供部として構成する場合、壁20は、平面で、白色の壁紙が敷かれ、凹凸の目立たない壁とすることが好ましい。
【0018】
診察台5は、可動式の検診台で、いわゆるリクライニングが可能となっている。これにより、受検者が座った体勢から仰向けの体勢、あるいは、仰向けの体勢から座った体勢に容易に姿勢を変更することができる。診察台5は、様々な体格の受検者が乗ることができる大きさ、強度を備えている。
【0019】
プリンタ6は、診断装置7から受信した画像データ(後述)を、シート部材(紙やフィルムなど)に印刷する装置である。このようにして画像データが印刷されたシート部材は、受検者が持って帰ることも可能である。プリンタ6としては、従来から知られている装置を適宜採用することができるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0020】
図3は、超音波画像観賞システム1のネットワーク構成図である。なお、
図3では、診断装置7の内部構成をブロックで図示する。また、
図3では、ネットワークに接続されていないスクリーン4および診察台5の図示を省略している。
【0021】
超音波画像観賞システム1は、
図1および
図2に示す構成以外に、コンピュータ8を備えている。超音波画像観賞システム1では、プロジェクタ3、プリンタ6、診断装置7およびコンピュータ8が、ネットワーク9を介して、データ通信が可能な状態で互いに接続されている。なお、診断装置7に、HDMI(登録商標)等の外部モニタ接続端子を備え、当該外部モニタ接続端子にプロジェクタ3を接続する構成としてもよい。
【0022】
なお、ネットワーク9は、LANやインターネット、一般公衆網などに限られるものではない。例えば、診断装置7とコンピュータ8(プリンタ6)とを直接LANケーブルで接続する形態であってもよい。また、ネットワーク9は、有線に限定されるものでもなく、無線であってもよい。例えば、プロジェクタ3と診断装置7との間のネットワーク9は、WiFiなどの無線通信によるネットワークであってもよい。また、ネットワーク9は、1つのネットワークから構成されている必要はなく、複数のネットワークが互いに接続されていてもよい。すなわち、接続された装置間で、所定のプロトコルを用いたデータ通信が可能であれば、ネットワーク9はどのような形態のものでもよい。
【0023】
診断装置7は、いわゆる超音波検査器で、超音波を対象物(受検者)に当てて、その反響を映像化する機器である。診断装置7は、使用者によって操作される装置であり、通常、受検者が操作することは想定されていない。診断装置7は、好ましくは3D、または、4Dのエコー信号データ750を取得できる診断装置である。
【0024】
図3に示すように、診断装置7は、CPU70、記憶装置71、操作部72、表示部73、通信部74、プローブ75およびスピーカ76を備えている。
【0025】
CPU70は、記憶装置71に格納されているプログラム710を読み取りつつ実行し、各種データの演算や制御信号の生成等を行う。これにより、CPU70は、診断装置7が備える各構成を制御するとともに、各種データを演算し作成する機能を有している。すなわち、診断装置7は、一般的なコンピュータとして構成されている。
【0026】
記憶装置71は、診断装置7において各種データを記憶する機能を提供する。言い換えれば、記憶装置71が診断装置7において電子的に固定された情報を保存する。
【0027】
記憶装置71としては、CPU70の一時的なワーキングエリアとして使用されるRAMやバッファ、読み取り専用のROM、不揮発性のメモリ(例えばNANDメモリなど)、比較的大容量のデータを記憶するハードディスク、専用の読み取り装置に装着された可搬性の記憶媒体(CD−ROM、DVD−ROM、PCカード、SDカード、USBメモリなど)等が該当する。
図3においては、記憶装置71を、あたかも1つの構造物であるかのように図示している。しかし、通常、記憶装置71は、上記例示した各種装置(あるいは媒体)のうち、必要に応じて採用される複数種類の装置から構成されるものである。すなわち、記憶装置71は、データを記憶する機能を有する装置群の総称である。
【0028】
また、現実のCPU70は高速にアクセス可能なRAMを内部に備えた電子回路である。しかし、このようなCPU70が備える記憶装置も、説明の都合上、記憶装置71に含めて説明する。すなわち、以下の説明では、一時的にCPU70自体が記憶するデータも、記憶装置71が記憶するとして説明する。
図3に示すように、記憶装置71は、プログラム710を記憶するために使用される。
【0029】
操作部72は、診断装置7に対して、主に使用者が指示を入力するために操作するハードウェアである。操作部72は、使用者により超音波照射の指令や、照射の条件および画像の表示条件の選択を受け付ける。操作部72としては、例えば、各種キーやボタン類、スイッチ、タッチパネル、ポインティングデバイス、あるいは、ジョグダイヤルなどが該当する。
【0030】
図4は、診断装置7の外観斜視図である。
図4に示すように、診断装置7の操作部72は、具体的には、電源ボタン720、キーボード721、操作キー722およびトラックボール723を備えている。
【0031】
電源ボタン720は、診断装置7の電源をON状態とOFF状態との間で切り替えるために使用される。キーボード721は、診断装置7に文字などを入力する場合に使用される。操作キー722は、例えば、診断装置7が備えるプローブ75やスピーカ76を操作するために使用される。さらに、トラックボール723は、ポインティングデバイスを構成しており、カーソルを移動させる場合などに使用される。
【0032】
なお、後述するコントロールパネル731の画面前面には、図示しないタッチセンサが設置されている。当該タッチセンサは、コントロールパネル731に対する使用者の操作を検出する。これにより、コントロールパネル731の画面に表示されたアイコン画像に使用者が触れることにより、使用者は所定の指示入力を操作部72に対して入力することができる。
【0033】
表示部73は、各種データを表示することにより使用者に対して当該データを出力する機能を有するハードウェアである。表示部73としては、例えば、ランプやLED、CRT、液晶ディスプレイや液晶パネルなどが該当する。
【0034】
図4に示すように、診断装置7の表示部73は、具体的には、ディスプレイ730およびコントロールパネル731を備えている。ディスプレイ730は、超音波画像(エコー画像データ712)を表示する装置(表示手段)である。また、コントロールパネル731は、使用者によって操作されるアイコン画像などを画面に表示する。
【0035】
通信部74は、詳細は図示しないが、コネクタや端子を備えるインタフェース部として構成されている。
【0036】
通信部74は、診断装置7をネットワーク9に、データ通信が可能な状態で接続する機能を有している。
図3に示すように、ネットワーク9には、プロジェクタ3、プリンタ6およびコンピュータ8が接続されている。したがって、診断装置7は、通信部74によって、これらの装置との間で、ネットワーク9を介したデータ通信が可能である。
【0037】
また、通信部74は、プローブ75やスピーカ76からの通信ケーブルが接続される端子(図示せず)を備えている。プローブ75やスピーカ76からの通信ケーブルが通信部74に接続されることにより、CPU70はこれらの装置との間でデータの送受信が可能となる。
【0038】
プローブ75は、
図4に示すように、接触部751および持ち手752を備えている。
【0039】
接触部751は、詳細は図示しないが、超音波を照射する照射部と、照射した超音波の反射波を検出する検出部とを備えている。また、持ち手752は、使用者がプローブ75を操作するときに保持する部分である。
【0040】
これにより、プローブ75は、いわゆる医療用超音波プローブを構成しており、受検者の体内の構造を超音波の反射により、エコー信号データ750として取得する装置(信号検出手段)として構成されている。使用者は、プローブ75の持ち手752を保持しながら、接触部751を、受検者の体表面に接触させつつ、移動させることにより、受検者の体内を表現したエコー信号データ750をプローブ75に取得させる。
【0041】
さらに、プローブ75は、
図4に示すように、ケーブル753およびコネクタ754を備えている。図示を省略しているが、ケーブル753の一端はプローブ75の持ち手752側に接続されており、他端はコネクタ754に接続されている。コネクタ754は、診断装置7の本体(通信部74)に接続されている。これにより、プローブ75は、接触部751により取得したエコー信号データ750を、診断装置7の通信部74に向けて転送することができる。
【0042】
図3に戻って、スピーカ76は、CPU70から送信される電気信号を音声に変換するハードウェアである。
図3では、スピーカ76が一つの装置として図示されている。しかし、通常、スピーカ76は、複数の装置(例えば、左右のスピーカや補助スピーカなど)から構成されており、いわゆるスピーカシステムを構成している。
図1および
図2において図示を省略しているが、スピーカ76は、再生される音声を受検者が心地よく聞くことができる位置に配置される。例えば、そのような位置として、スクリーン4の両脇にスピーカ76を配置して、診察台5上の受検者に正対させることが考えられる。あるいは、スピーカ76は、受検者が直接頭部に装着するヘッドホンタイプのものであってもよい。
【0043】
図5は、診断装置7が備える機能ブロックをデータの流れとともに示す図である。
図5に示す通信制御部700、画像作成部701および表示制御部702は、CPU70がプログラム710に従って動作することにより実現される機能ブロックである。
【0044】
コンテンツデータ711は、後述する使用者用画面713および観賞画像データ714を構成する候補となるデータが含まれているデータである。例えば、使用者用画面713に付加されるデータは、主に使用者に対して提供されるデータであって、アイコン画像、GUI画像、受検者の履歴、病状や症例に関するデータ、比較対象となる参考データ、あるいは、表示部73に表示する指示メッセージなどが想定される。一方、観賞画像データ714に付加されるデータは、主に受検者に対して提供されるデータであって、音楽や台詞を表現した音声データや装飾画像などである。
【0045】
エコー画像データ712は、プローブ75によって取得されたエコー信号データ750を変換したデータであるが、詳細は後述する。
【0046】
使用者用画面713は、表示部73に表示され、使用者に提供されるデータである。使用者用画面713は、診断装置7を操作するために必要となるデータと、エコー画像データ712とから構成される。なお、
図4に示すエコー画像データ712は、厳密には、使用者用画面713に含まれているエコー画像データ712である。
【0047】
観賞画像データ714は、超音波画像観賞システム1によって、受検者に提供されるデータであって、画像データだけでなく音声データも含まれる。
図1において、スクリーン4に投影されている画像は、観賞画像データ714の一例であるが、詳細は後述する。なお、スクリーン4は、ディスプレイ730より大きく構成されており、好ましくは2倍以上大きく構成されている。
【0048】
通信制御部700は、通信部74を制御する機能を有する。例えば、通信制御部700は、記憶装置71に記憶されている観賞画像データ714を、ネットワーク9を介して、プロジェクタ3、プリンタ6およびコンピュータ8に向けて、適宜、送信するように通信部74を制御する。このように、通信制御部700と通信部74とが互いに協働して動作することにより、診断装置7において、ネットワーク9を介したデータ通信機能が実現される。
【0049】
また、通信制御部700は、プローブ75に対して制御信号を送信するように通信部74を制御するとともに、通信部74がプローブ75から受信したエコー信号データ750を記憶装置71に記憶させる機能を有している。
【0050】
さらに、通信制御部700は、観賞画像データ714に含まれる音声データを、スピーカ76に向けて送信するように通信部74を制御する。
【0051】
画像作成部701は、例えば、操作部72からの指示入力(使用者が操作部72を操作することによって入力される。)に応じて、コンテンツデータ711を作成・更新する。これにより、使用者は、コンテンツデータ711を、適宜、編集することが可能である。このようにして更新されるデータとしては、例えば、コンテンツデータ711に含まれる受検者の履歴などが想定される。なお、コンテンツデータ711は、ネットワーク9を介して、外部のサーバからダウンロードされてもよい。
【0052】
画像作成部701は、記憶装置71に記憶されているエコー信号データ750を画像化処理する機能を有している。エコー信号データ750は、受検者に超音波を照射することで、その反射波として検出されたデータであり、受検者の体内を表現したデータである。一方、エコー信号データ750は、通常、プローブ75が検出したLAWデータである。このようなデータは、例え表示部73などに出力されたとしても、使用者や受検者が直接的に内容(体内の状態)を知覚することはできない。
【0053】
そこで、画像作成部701は、人間が知覚できるように、エコー信号データ750を、画像として表現したエコー画像データ712に変換する。このように、画像作成部701は、エコー信号データ750に基づいて、受検者の体内を表現したエコー画像データ712を作成する機能を有している。すなわち、画像作成部701は、エコー画像作成部(エコー画像作成手段)として構成されている。
【0054】
なお、従来の超音波検査機においても、このような画像処理は実行されていた。したがって、画像作成部701がエコー画像データ712を作成するために実行する画像化処理は、従来の技術を適宜採用することができるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0055】
また、エコー信号データ750は、随時、継続的に取得されるデータである。したがって、エコー画像データ712は、原則として動画像となる。ただし、動画像のうちの、例えば、1フレーム分の画像データを抽出して表示することにより、容易に静止画像として表示することができる。したがって、以下の説明では、エコー画像データ712が動画像であるか静止画であるかについて、特に区別しない。
【0056】
作成されたエコー画像データ712は、画像作成部701によって、記憶装置71に記憶される。このとき、画像作成部701は、作成したエコー画像データ712と、コンテンツデータ711に含まれる受検者の個人情報などとを互いに関連づける。
【0057】
また、画像作成部701は、操作部72からの指示入力に応じて、エコー画像データ712に基づいて、使用者に向けて提供される使用者用画面713を作成する。すなわち、画像作成部701は、使用者用画像作成部(使用者用画像作成手段)として構成されている。
【0058】
使用者用画面713の元となるデータは、すでに説明したエコー画像データ712に限られるものではない。例えば、予め準備されているコンテンツデータ711、および、操作部72から入力されたデータも、使用者用画面713を構成するデータとして利用される。
【0059】
従来の超音波検査機においても、使用者用画面713に相当するデータを、当該装置が備えるディスプレイに表示し、これを使用者が確認するように構成されている。同様に、超音波画像観賞システム1においても、エコー画像データ712を表示部73に表示させるために、使用者用画面713を作成する。したがって、使用者用画面713は、すでに説明したように、エコー画像データ712を含むデータとして構成されている。
【0060】
超音波画像観賞システム1において、使用者用画面713は、後述する操作インタフェース画像713a,713b,713cを含め、使用者が診断装置7を操作するために必要となるデータとして構成する。したがって、使用者用画面713は、受検者に提供されることを念頭に構成されるデータではなく、実質的には、従来の超音波検査機のディスプレイに表示される画像データと同質のデータである。
【0061】
さらに、画像作成部701は、エコー画像データ712に基づいて、観賞画像データ714を作成する機能を有する。すなわち、画像作成部701は、観賞画像作成部(観賞画像作成手段)として構成されている。
【0062】
観賞画像データ714の元となるデータは、すでに説明したエコー画像データ712に限られるものではない。例えば、予め準備されているコンテンツデータ711も、観賞画像データ714を構成するデータとして利用されるが詳細は後述する。
【0063】
表示制御部702は、表示部73を制御して、使用者用画面713を表示部73に表示させる。このように、表示制御部702と表示部73とが互いに協働して動作することにより、診断装置7において、使用者用画面713を使用者に対して提供する機能が実現される。
【0064】
図5に示すように、使用者用画面713は、図示の便宜上、1つの構成として図示している。しかし、実際の使用者用画面713は、例えば、用途別に分割された様々な画像(データ)の集合体である。表示制御部702は、使用者用画面713の各画像に応じて、表示部73における表示先や、画面上での表示位置などを決定する。詳細は後述するが、例えば、
図4に示すように、表示制御部702は、ディスプレイ730に表示させる画像と、コントロールパネル731に表示させる画像とを決定する。
【0065】
図6は、コンピュータ8のブロック図である。なお、詳細は後述するが、コンピュータ8は、一般的なパーソナルコンピュータとして構成されている。
【0066】
コンピュータ8は、CPU80、記憶装置81、操作部82、表示部83、および、通信部84を備えている。
【0067】
CPU80は、記憶装置81に格納されているプログラム810を読み取りつつ実行し、各種データの演算や制御信号の生成等を行う。これにより、CPU80は、コンピュータ8が備える各構成を制御するとともに、各種データを演算し作成する機能を有している。
【0068】
記憶装置81は、コンピュータ8において各種データを記憶する機能を提供する。言い換えれば、記憶装置81がコンピュータ8において電子的に固定された情報を保存する。
【0069】
記憶装置81としては、CPU80の一時的なワーキングエリアとして使用されるRAMやバッファ、読み取り専用のROM、不揮発性のメモリ(例えばNANDメモリなど)、比較的大容量のデータを記憶するハードディスクなどが該当する。
【0070】
図6では、本来は、記憶装置81を構成するディスク装置811を別途図示している。ディスク装置811は、着脱可能な可搬性の記録媒体812(CD−ROM、DVD−ROM、PCカード、SDカード、USBメモリなど)に対して、データの読み書きが可能な装置である。このようなディスク装置811を備えることにより、記録媒体812に観賞画像データ714を書き込み、受検者が持ち帰ることができる。
【0071】
なお、
図6においては、ディスク装置811以外の記憶装置81を、あたかも1つの構造物であるかのように図示している。しかし、通常、記憶装置81は、上記例示した各種装置(あるいは媒体)のうち、必要に応じて採用される複数種類の装置から構成されるものである。すなわち、記憶装置81は、データを記憶する機能を有する装置群の総称である。
【0072】
また、現実のCPU80は高速にアクセス可能なRAMを内部に備えた電子回路である。しかし、このようなCPU80が備える記憶装置も、説明の都合上、記憶装置81に含めて説明する。すなわち、以下の説明では、一時的にCPU80自体が記憶するデータも、記憶装置81が記憶するとして説明する。
図6に示すように、記憶装置81は、プログラム810および観賞画像データ714を記憶するために使用される。
【0073】
操作部82は、コンピュータ8に対して使用者が指示を入力するために操作するハードウェアである。操作部82としては、例えば、各種キーやボタン類、スイッチ、タッチパネル、ポインティングデバイス、あるいは、ジョグダイヤルなどが該当する。
【0074】
表示部83は、各種データを表示することにより使用者に対して当該データを出力する機能を有するハードウェアである。表示部83としては、例えば、ランプやLED、CRT、液晶ディスプレイや液晶パネルなどから構成される。
【0075】
通信部84は、コンピュータ8をネットワーク9に、データ通信が可能な状態で接続する機能を有している。
図6に示すように、ネットワーク9には、診断装置7が接続されている。したがって、コンピュータ8は、通信部84によって、診断装置7との間で、ネットワーク9を介したデータ通信が可能である。
【0076】
図1および
図2において、コンピュータ8の図示を省略しているが、コンピュータ8は診察室2の内部に設置されていてもよい。ただし、コンピュータ8の設置場所は、診察室2に限定されるものではない。例えば、受検者の自宅にコンピュータ8を設置してもよい。すなわち、受検者は、自宅のパソコンをコンピュータ8として用い、ネットワーク9を介して、診断装置7から自分の観賞画像データ714をダウンロードしてもよい。
【0077】
以上が、超音波画像観賞システム1の構成および機能の説明である。次に、超音波画像観賞システム1を用いた超音波画像提供方法について説明する。
【0078】
図7は、超音波画像提供方法を示す流れ図である。なお、
図7に示す処理が開始されるまでに、コンテンツデータ711が作成され、記憶装置71に記憶され、準備されているものとする。また、プロジェクタ3、プリンタ6およびコンピュータ8の電源は、すでに投入されているものとする。さらに、受検者は、すでに診察台5の上に乗っており、提供を受ける(検査を受ける)準備を完了しているものとする。
【0079】
超音波画像観賞システム1の診断装置7の電源ボタン720が使用者によって操作されると、診断装置7に対する電源の供給が開始される。これによって、診断装置7(CPU70)が初期設定を開始する(ステップS1)。ステップS1では、例えば、記憶装置71からの必要なデータの読み出しや、初期画面(図示せず)を表示部73に表示する処理、あるいは、ネットワーク9への接続処理などが実行される。
【0080】
ステップS1を実行すると、CPU70は、使用者からの開始指示があったか否かを判定する(ステップS2)。ステップS2における判定は、CPU70が操作部72から入力される信号を監視することによって実行することができる。
【0081】
ステップS2においてNoと判定される間は、CPU70は、ステップS2の処理を繰り返しており、いわゆる待機状態となっている。ただし、この待機状態の間に、他の処理を実行してもよい。
【0082】
この状態の間に、使用者は、操作部72を操作して、超音波の照射条件や、表示部73における表示条件、受検者の情報などを入力する。また、使用者は、プローブ75の持ち手752を保持しながら、接触部751を受検者の体表面に接触させる。必要な準備が整ったら、使用者は、操作部72を操作して、超音波の照射を開始させるための開始指示を入力する。この開始指示が入力されたことを検出すると、ステップS2においてYesと判定される。
【0083】
ステップS2においてYesと判定すると、通信制御部700が、超音波の照射を開始する制御信号をプローブ75に向けて送信するように通信部74を制御する。この制御信号を受信することにより、プローブ75が超音波の照射を開始する(ステップS3)。
【0084】
ステップS3が実行されて、超音波が照射されている状態となると、超音波画像観賞システム1は、画像提供処理を実行する(ステップS4)。
【0085】
図8は、画像提供処理を示す流れ図である。なお、ステップS4の画像提供処理は、
図8に示すように、4つの処理が並列的かつ継続的に実行される処理である。画像提供処理は、後述するステップS20においてYesと判定されたときに終了する。
【0086】
4つの処理を簡単に説明すると、第1の処理は、超音波画像を作成する処理である。第2の処理は、使用者に使用者用画面713を提供する処理である。第3の処理は、受検者に観賞画像データ714を提供する処理である。さらに、第4の処理は、使用者による指示を実行する処理である。
【0087】
まず、第1の処理について説明する。ステップS3が実行されて超音波の照射が行われると、その反射波がプローブ75によって検出されて、エコー信号データ750が取得される(ステップS11)。なお、プローブ75において取得されたエコー信号データ750は、通信部74によって受信され、通信制御部700によって記憶装置71に記憶される。
【0088】
ステップS11が実行されることにより、エコー信号データ750が記憶装置71に記憶されると、画像作成部701が、新たに記憶されたエコー信号データ750に基づいてエコー画像データ712を作成する(ステップS12)。このように、診断装置7では、画像提供処理が継続される限り、ステップS11,S12が実行されるため、エコー画像データ712が新たに作成され続けることになる。
【0089】
次に、第2の処理について説明する。ステップS12が実行されてエコー画像データ712が作成されると、画像作成部701が、作成されたエコー画像データ712を含む使用者用画面713を作成する(ステップS13)。本実施の形態における使用者用画面713は、大きく分けて、ディスプレイ730に表示されるデータと、コントロールパネル731に表示されるデータとが作成される。
【0090】
ステップS13が実行されると、表示制御部702は、ステップS13において作成された使用者用画面713を表示するように、表示部73を制御する。これにより、表示部73が使用者用画面713を表示する(ステップS14)。
【0091】
図9は、ディスプレイ730に表示される使用者用画面713を例示する図である。
【0092】
図9に示す例では、ディスプレイ730に表示される画像(使用者用画面713)には、エコー画像データ712、操作インタフェース画像713a,713b,713cおよびアウトライン表示画像713dが含まれている。
【0093】
操作インタフェース画像713aは、選択されたファイル中にある画像を前画像あるいは次画像に動かすためのアイコン画像などである。操作インタフェース画像713bは、表示するファイルを選択させるカーソルや終了ボタンの画像である。また、操作インタフェース画像713cは、表示されたエコー画像110のデータの保存や、プリントなどのアイコン画像である。このような操作インタフェース画像713a,713b,713cは、例えば、コンテンツデータ711から、使用者の好みに応じて抽出し、使用者用画面713に含めることができる。
【0094】
また、操作インタフェース画像713aには、モード切替ボタン(図示省略)と、表示画像指定ボタン(図示省略)が設けられている。モード切替ボタンは、同時表示モードと指定画像表示モードとを切り替えることができる。
【0095】
同時表示モードのとき、診断装置7のCPU70は、ディスプレイ730に表示されるエコー画像データ712と、プロジェクタ3によってスクリーン4に投影する観賞画像データ714におけるエコー画像データ712を同じ画像データとし、両方同時に表示する。したがって、操作インタフェース画像713a,713b,713cの操作によってディスプレイ730に表示されるエコー画像データ712が変更されると、プロジェクタ3によってスクリーン4に投影する観賞画像データ714も同時に変更される。
【0096】
指定画像表示モードのとき、診断装置7のCPU70は、ディスプレイ730に表示されるエコー画像データ712のうち、指示された画像をプロジェクタ3によってスクリーン4に投影する。したがって、操作インタフェース画像713a,713b,713cの操作によってディスプレイ730に表示されるエコー画像データ712が変更されても、プロジェクタ3によってスクリーン4に投影する観賞画像データ714は変更されず、指示されたタイミングでディスプレイ730に表示されるエコー画像データ712に表示しているエコー画像のみをプロジェクタ3によってスクリーン4に投影する。このため、例えば操作に慣れない使用者が、胎児がきれいに見えるタイミングのエコー画像を探してからプロジェクタ3によってスクリーン4に投影し、また別の角度で胎児がよく見えるタイミングでプロジェクタ3によってスクリーン4に投影するエコー画像を切り替えるといった操作ができる。
【0097】
また、
図9に示すように、エコー画像データ712には、エコー画像データ712の撮影日時や撮影条件などのアウトライン表示画像713dが重ねて表示されている。
【0098】
このように、エコー画像データ712だけでなく、操作インタフェース画像713a,713b,713cおよびアウトライン表示画像713dが含まれている使用者用画面713が表示されることにより、使用者は、エコー画像データ712を確認することができるだけでなく、容易に診断装置7を操作することができる。
【0099】
使用者は、必要なエコー画像データ712が取得されているかを確認しなければ、例えば、プローブ75を操作することができない。また、診断や検診であれば、エコー画像データ712によって胎児の状態を確認するのが普通である。したがって、使用者に対して、エコー画像データ712が表示され提供されることは不可欠である。しかし、エコー画像データ712を表示するだけでは、操作性が高いとは言えないため、診断装置7は、操作インタフェース画像713a,713b,713cやアウトライン表示画像713dなどが含まれる使用者用画面713を作成して、診断装置7の表示部73に表示させるのである。
【0100】
また、診断装置7では、画像提供処理が継続される限り、ステップS13,S14が実行されるため、使用者用画面713が新たに作成され続けることになる。これは、ステップS12が実行され続けることにより新たに作成されるエコー画像データ712によって、使用者用画面713を更新し続ける処理とも言える。
【0101】
次に、
図8に戻って、第3の処理について説明する。ステップS12が実行されてエコー画像データ712が作成されると、画像作成部701が、作成されたエコー画像データ712を含む観賞画像データ714を作成する(ステップS15)。
【0102】
ステップS15が実行されると、通信制御部700は、ステップS15において作成された観賞画像データ714を通信部74に転送しつつ、当該観賞画像データ714をプロジェクタ3に向けて送信するように、通信部74を制御する。これにより、診断装置7において作成された観賞画像データ714がプロジェクタ3に向けて送信される。
【0103】
プロジェクタ3は、診断装置7から観賞画像データ714を受信すると、受信した観賞画像データ714をスクリーン4に向けて投影する。これにより、超音波画像観賞システム1は、スクリーン4に観賞画像データ714を表示する(ステップS15)。すなわち、ステップS15を実行することにより、超音波画像観賞システム1は、診察台5上の受検者に略正対した位置に観賞画像データ714を表示させることにより、診察台5上の受検者に向けて観賞画像データ714を提供する。
【0104】
従来の技術では、使用者のために提供される画像を、受検者も見るように構成されている。これは、すなわち、表示部73のディスプレイ730に表示された画像を、受検者が観賞することに相当する。しかし、ディスプレイ730は、使用者が見るために都合がよいように配置されるものである。したがって、受検者がディスプレイ730に表示された画像を見ようとすると、顔を横に向ける、あるいは、体をよじるなど、体勢を変える必要がある。
【0105】
しかし、超音波画像観賞システム1は、診察台5上の受検者が見やすい位置に、受検者用の観賞画像データ714を表示させる。すなわち、受検者に無理な体勢を強いることなく、観賞画像データ714(エコー画像データ712:超音波画像)を観賞してもらうことができる。したがって、受検者は、ディスプレイ730をのぞき込む必要がなくなり、容易に超音波画像を観賞することができる。特に、受検者が妊婦の場合には、体勢を自由に変えることがそもそも困難であり、超音波画像を楽な姿勢で観賞できることは大変好ましい。
【0106】
図10は、受検者に向けて提供される観賞画像データ714の一例である。
すでに説明したように、プロジェクタ3が観賞画像データ714を投影すると、スクリーン4には当該観賞画像データ714が表示される。
【0107】
図10に示す例では、超音波画像であるエコー画像データ712のみがスクリーン4に表示されている。逆に言えば、
図9に示した使用者用画面713のような、操作インタフェース画像713a,713b,713cおよびアウトライン表示画像713dが表示されていない。すなわち、
図10に示す例では、観賞画像データ714は、エコー画像データ712のみのデータとして作成されており、操作インタフェースを表現した部分画像(操作インタフェース画像713a,713b,713cおよびアウトライン表示画像713d)の少なくとも一部を除いたデータとなっている。
【0108】
操作インタフェース画像713a,713b,713cや、アウトライン表示画像713dは、使用者が、診断装置7(プローブ75)を操作するための画像である。このような画像は、使用者に提供されれば、もちろん有益である。一方で、受検者は診断装置7を操作することはないので、このような画像は不要であるばかりでなく、エコー画像データ712を観賞するためには邪魔ですらある。
【0109】
しかし、超音波画像観賞システム1は、受検者にとって必要のない画像を除いた観賞画像データ714を作成し、表示する。これにより、受検者にとって、より観賞しやすい観賞画像データ714を表示することができる。
【0110】
また、エコー画像データ712のみの観賞画像データ714は、画像作成部701が容易に自動的に作成することが可能である。したがって、使用者に特別な操作を要求することがないので、使用者の負担を増大させることもない。
【0111】
なお、観賞画像データ714は、エコー画像データ712のみのデータでなくてもよい。すなわち、観賞画像データ714は、エコー画像データ712以外に、その他の画像データや音声データを含んでいてもよい。この場合、エコー画像データ712以外にも、様々な装飾画像を表示することにより、受検者は、より一層、エコー画像データ712を楽しく観賞することができる。
【0112】
ステップS16を実行すると、通信制御部700は、ステップS15において作成された観賞画像データ714に音声データが含まれているか否かを判定する(ステップS17)。
【0113】
画像作成部701は、観賞画像データ714を作成するときに、作成する観賞画像データ714に、特定の音声データを関連づけることも可能である。このような音声データは、装飾画像と同様に、コンテンツデータ711に予め格納しておき、テンプレートで指定することによって、関連づけを行うことができる。
【0114】
このように、ステップS15において作成された観賞画像データ714に音声データが含まれている場合(ステップS17においてYes)、通信制御部700は、当該音声データを通信部74に転送しつつ、当該音声データをスピーカ76に向けて送信するように、通信部74を制御する。これにより、診断装置7において作成された観賞画像データ714(音声データ)がスピーカ76に向けて送信される。
【0115】
スピーカ76は、診断装置7から音声データを受信すると、受信した音声データを再生する(ステップS18)。すなわち、ステップS18を実行することにより、超音波画像観賞システム1は、診察台5上の受検者に対して、観賞画像データ714に適した音声を提供することも可能である。したがって、受検者は、より一層、エコー画像データ712を楽しく観賞することができる。
【0116】
このようにして提供される音声としては、BGMとして再生する楽曲、メッセージの録音データ、あるいは、効果音などである。例えば、病状や症例に関する説明メッセージなどは医師の代わりにスピーカ76が再生することにより、医師の負担を軽減することができる。
【0117】
図8に戻って、第4の処理について説明する。画像提供処理が実行されている間、CPU70は、操作部72が使用者によって操作されたか否かを判定する(ステップS19)。ステップS19においてNoと判定する間は、ステップS20,S21はスキップされるので実行されない。
【0118】
ステップS19においてYesと判定すると、CPU70は、入力された指示入力を解析して、終了指示であるか否かをさらに判定する(ステップS20)。入力された指示入力が終了指示である場合(ステップS20においてYes)、CPU70は、画像提供処理を終了して
図7に示す処理に戻る。
【0119】
一方、入力された指示入力が終了指示でない場合(ステップS20においてNo)、CPU70は、操作によって入力された指示入力に応じた処理を実行する(ステップS21)。
【0120】
ステップS21において実行される処理とは、例えば、プローブ75の照射条件を変更する処理、プローブ75による超音波の照射を中断する処理、表示部73における表示を変更する処理、コンテンツデータ711を編集する処理、あるいは、観賞画像データ714を保存する処理などが想定される。ただし、このような処理に限定されるものではない。
【0121】
なお、観賞画像データ714を保存する処理が指示された場合、診断装置7は、紙媒体に保存するか、電子的記録媒体に保存するかを使用者に選択させる。使用者が紙媒体を選択した場合には、観賞画像データ714をプリンタ6に向けて送信し、用紙に印刷させる。一方、電子的記録媒体が選択された場合には、観賞画像データ714をコンピュータ8に向けて送信し、記録媒体812に保存させる。
【0122】
これにより、受検者は、用紙に印刷された観賞画像データ714や、観賞画像データ714が保存された記録媒体812を持ち帰ることができる。
【0123】
図7に戻って、画像提供処理(ステップS4)を終了すると、超音波の照射を停止するための制御信号をプローブ75に向けて送信するように、通信制御部700が通信部74を制御する。これにより、通信部74が当該制御信号をプローブ75に向けて送信し、プローブ75が超音波の照射を停止する(ステップS5)。
【0124】
ステップS5が実行されると、超音波画像観賞システム1は、超音波画像提供方法を終了する。
【0125】
以上のように、超音波画像観賞システム1は、受検者が乗る診察台5と、診察台5上の受検者に超音波を照射して、照射した超音波の反射波を検出することによりエコー信号データ750を取得するプローブ75と、エコー信号データ750に基づいて、受検者の体内を表現したエコー画像データ712を作成するとともに、エコー画像データ712に基づいて、観賞画像データ714を作成する画像作成部701と、診察台5上の受検者に略正対した位置に観賞画像データ714を表示させることにより、診察台5上の受検者に向けて観賞画像データ714を提供するスクリーン4とを備える。これにより、受検者のための観賞画像データ714を提供することができる。したがって、受検者の満足度が向上する。
【0126】
また、使用者用画面713は、操作インタフェース画像713a,713b,713cを含み、観賞画像データ714は、これらの画像の少なくとも一部を除いたデータであることにより、受検者にとって不要な、操作のための画像が受検者に提供されることがない。
【0127】
また、画像作成部701は、観賞画像データ714に装飾に係る画像(装飾画像714a,714b)を含めることにより、受検者がさらに楽しむことができる。
【0128】
また、観賞画像データ714に応じて準備された音声データに基づいて、診察台5上の受検者に向けて、音声を再生するスピーカ76を備える。これにより、受検者がさらに楽しむことができる。
【0129】
また、観賞画像データ714を可搬性の記録媒体812に記録するディスク装置811をさらに備える。これにより、観賞画像データ714を、他の場所で利用することができる。
【0130】
また、スクリーン4は、ディスプレイ730より大きく構成されており、好ましくは2倍以上大きく構成されているため、受検者やその関係者は、大きな画像で胎児のエコー画像を見ることができる。特に、スクリーン4に投影する観賞画像データ714は、ほとんどがエコー画像データ712であり、操作インタフェース画像713a,713b,713cが含まれていないため、より大きく観賞できるとともに、よけいな情報がなく集中して胎児を観賞することができる。
【0131】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。
【0132】
例えば、上記実施の形態に示した各工程は、あくまでも例示であって、上記に示した順序や内容に限定されるものではない。すなわち、同様の効果が得られるならば、適宜、順序や内容が変更されてもよい。
【0133】
また、上記実施の形態に示した機能ブロック(例えば、通信制御部700、画像作成部701および表示制御部702)は、CPU70がプログラム710に従って動作することにより、ソフトウェア的に実現されると説明した。しかし、このような機能ブロックの一部または全部を専用の論理回路で構成し、ハードウェア的に実現してもよい。
【0134】
また、診断装置7は、必ずしも1つの装置でなくてもよい。例えば、画像作成部701のうち、観賞画像データ714を作成する機能をコンピュータ8に設けてもよい。その場合、診断装置7がコンピュータ8に向けてエコー画像データ712を送信すればよい。また、その場合には、コンピュータ8が、プロジェクタ3やプリンタ6、スピーカ76にそれぞれ観賞画像データに応じたデータを送信するように構成すればよい。
【0135】
また、スクリーン4の代わりに、診察台5上の受検者に略正対した位置に設置されるディスプレイを設けてもよい。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の好適な実施の形態について、添付の図面を参照しつつ、詳細に説明する。ただし、以下の説明において特に断らない限り、方向や向きに関する記述は、当該説明の便宜上、図面に対応するものであり、例えば実施品、製品または権利範囲等を限定するものではない。
【0011】
図1および
図2は、超音波画像観賞システム1の設置例を示す図である。
【0012】
超音波画像観賞システム1は、診察室2に設置されており、プロジェクタ3、スクリーン4、診察台5、プリンタ6および診断装置7を備えている。
【0013】
なお、以下の説明では、「受検者」とは、超音波画像観賞システム1によって自己の体内の状態観察を望む者である。すなわち、超音波画像観賞システム1は、その使用目的が、診断や検査のための利用に限定されないため、受検者とは、患者に限定されるものではない。また、以下の説明では、超音波画像観賞システム1による観賞を行う者として受検者のみを例に説明するが、観賞を行う者には受検者の関係者(家族や親族、友人などの他人)が含まれてもよい。また、操作者とは、超音波画像観賞システム1を操作する者であって、例えば、医師や技師などの専門知識を有する者を想定している。さらに、以下の説明では、受検者として「妊婦」を想定し、観察の対象として「胎児」を想定するが、もちろんこれに限定されるものではない。
【0014】
診察室2は、壁20,21,22およびドア23を有している。診察室2は、四方を壁20,21,22と、図示しない一枚の壁(壁21と対向する位置に配置される。)とで囲まれた略直方体の部屋である。
図1に示すように、診察室の壁21には、ドア23が取り付けられている。ドア23は、壁21の中央より壁20側に取り付けられている。ドア23から入って右手側に壁20が配置されている。また、
図2に示すように、ドア23から入って左手側に壁22が配置される。
【0015】
プロジェクタ3は、天吊り金具30を用いて壁20に対向する壁22の天井付近から吊りさげられ、壁20の方向に向けて映像を投影するように設置されている。診察台5は、診察室2の真ん中付近に壁20に向けて設置されている。診断装置6は、診察室2のドア23を入って左側の脇(ドア23を入って左側の壁21の傍ら)に設置されている。
【0016】
プロジェクタ3は、診断装置7から受信した画像データ(後述)を、壁20に設置されたスクリーン4に映像(動画像だけでなく、静止画も含む。)として投影する装置(画像提供手段)である。プロジェクタ3としては、従来から知られている装置を適宜採用することができるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0017】
スクリーン4は、
図1に示すように、診察台5上の受検者に正対する位置に設置される。スクリーン4には、プロジェクタ3から照射された映像が投影される。これにより、受検者は、無理な姿勢を強いられることなく、スクリーン4上に再生される映像を視認することができる。したがって、スクリーン4は、画像提供部としての機能を有している。なお、プロジェクタ3は、スクリーン4ではなく、壁20に映像を直接投影させてもよい。その場合は、壁20が画像提供部となる。壁20を画像提供部として構成する場合、壁20は、平面で、白色の壁紙が敷かれ、凹凸の目立たない壁とすることが好ましい。
【0018】
診察台5は、可動式の検診台で、いわゆるリクライニングが可能となっている。これにより、受検者が座った体勢から仰向けの体勢、あるいは、仰向けの体勢から座った体勢に容易に姿勢を変更することができる。診察台5は、様々な体格の受検者が乗ることができる大きさ、強度を備えている。
【0019】
プリンタ6は、診断装置7から受信した画像データ(後述)を、シート部材(紙やフィルムなど)に印刷する装置である。このようにして画像データが印刷されたシート部材は、受検者が持って帰ることも可能である。プリンタ6としては、従来から知られている装置を適宜採用することができるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0020】
図3は、超音波画像観賞システム1のネットワーク構成図である。なお、
図3では、診断装置7の内部構成をブロックで図示する。また、
図3では、ネットワークに接続されていないスクリーン4および診察台5の図示を省略している。
【0021】
超音波画像観賞システム1は、
図1および
図2に示す構成以外に、コンピュータ8を備えている。超音波画像観賞システム1では、プロジェクタ3、プリンタ6、診断装置7およびコンピュータ8が、ネットワーク9を介して、データ通信が可能な状態で互いに接続されている。なお、診断装置7に、HDMI(登録商標)等の外部モニタ接続端子を備え、当該外部モニタ接続端子にプロジェクタ3を接続する構成としてもよい。
【0022】
なお、ネットワーク9は、LANやインターネット、一般公衆網などに限られるものではない。例えば、診断装置7とコンピュータ8(プリンタ6)とを直接LANケーブルで接続する形態であってもよい。また、ネットワーク9は、有線に限定されるものでもなく、無線であってもよい。例えば、プロジェクタ3と診断装置7との間のネットワーク9は、WiFiなどの無線通信によるネットワークであってもよい。また、ネットワーク9は、1つのネットワークから構成されている必要はなく、複数のネットワークが互いに接続されていてもよい。すなわち、接続された装置間で、所定のプロトコルを用いたデータ通信が可能であれば、ネットワーク9はどのような形態のものでもよい。
【0023】
診断装置7は、いわゆる超音波検査器で、超音波を対象物(受検者)に当てて、その反響を映像化する機器である。診断装置7は、使用者によって操作される装置であり、通常、受検者が操作することは想定されていない。診断装置7は、好ましくは3D、または、4Dのエコー信号データ750を取得できる診断装置である。
【0024】
図3に示すように、診断装置7は、CPU70、記憶装置71、操作部72、表示部73、通信部74、プローブ75およびスピーカ76を備えている。
【0025】
CPU70は、記憶装置71に格納されているプログラム710を読み取りつつ実行し、各種データの演算や制御信号の生成等を行う。これにより、CPU70は、診断装置7が備える各構成を制御するとともに、各種データを演算し作成する機能を有している。すなわち、診断装置7は、一般的なコンピュータとして構成されている。
【0026】
記憶装置71は、診断装置7において各種データを記憶する機能を提供する。言い換えれば、記憶装置71が診断装置7において電子的に固定された情報を保存する。
【0027】
記憶装置71としては、CPU70の一時的なワーキングエリアとして使用されるRAMやバッファ、読み取り専用のROM、不揮発性のメモリ(例えばNANDメモリなど)、比較的大容量のデータを記憶するハードディスク、専用の読み取り装置に装着された可搬性の記憶媒体(CD−ROM、DVD−ROM、PCカード、SDカード、USBメモリなど)等が該当する。
図3においては、記憶装置71を、あたかも1つの構造物であるかのように図示している。しかし、通常、記憶装置71は、上記例示した各種装置(あるいは媒体)のうち、必要に応じて採用される複数種類の装置から構成されるものである。すなわち、記憶装置71は、データを記憶する機能を有する装置群の総称である。
【0028】
また、現実のCPU70は高速にアクセス可能なRAMを内部に備えた電子回路である。しかし、このようなCPU70が備える記憶装置も、説明の都合上、記憶装置71に含めて説明する。すなわち、以下の説明では、一時的にCPU70自体が記憶するデータも、記憶装置71が記憶するとして説明する。
図3に示すように、記憶装置71は、プログラム710を記憶するために使用される。
【0029】
操作部72は、診断装置7に対して、主に使用者が指示を入力するために操作するハードウェアである。操作部72は、使用者により超音波照射の指令や、照射の条件および画像の表示条件の選択を受け付ける。操作部72としては、例えば、各種キーやボタン類、スイッチ、タッチパネル、ポインティングデバイス、あるいは、ジョグダイヤルなどが該当する。
【0030】
図4は、診断装置7の外観斜視図である。
図4に示すように、診断装置7の操作部72は、具体的には、電源ボタン720、キーボード721、操作キー722およびトラックボール723を備えている。
【0031】
電源ボタン720は、診断装置7の電源をON状態とOFF状態との間で切り替えるために使用される。キーボード721は、診断装置7に文字などを入力する場合に使用される。操作キー722は、例えば、診断装置7が備えるプローブ75やスピーカ76を操作するために使用される。さらに、トラックボール723は、ポインティングデバイスを構成しており、カーソルを移動させる場合などに使用される。
【0032】
なお、後述するコントロールパネル731の画面前面には、図示しないタッチセンサが設置されている。当該タッチセンサは、コントロールパネル731に対する使用者の操作を検出する。これにより、コントロールパネル731の画面に表示されたアイコン画像に使用者が触れることにより、使用者は所定の指示入力を操作部72に対して入力することができる。
【0033】
表示部73は、各種データを表示することにより使用者に対して当該データを出力する機能を有するハードウェアである。表示部73としては、例えば、ランプやLED、CRT、液晶ディスプレイや液晶パネルなどが該当する。
【0034】
図4に示すように、診断装置7の表示部73は、具体的には、ディスプレイ730およびコントロールパネル731を備えている。ディスプレイ730は、超音波画像(エコー画像データ712)を表示する装置(表示手段)である。また、コントロールパネル731は、使用者によって操作されるアイコン画像などを画面に表示する。
【0035】
通信部74は、詳細は図示しないが、コネクタや端子を備えるインタフェース部として構成されている。
【0036】
通信部74は、診断装置7をネットワーク9に、データ通信が可能な状態で接続する機能を有している。
図3に示すように、ネットワーク9には、プロジェクタ3、プリンタ6およびコンピュータ8が接続されている。したがって、診断装置7は、通信部74によって、これらの装置との間で、ネットワーク9を介したデータ通信が可能である。
【0037】
また、通信部74は、プローブ75やスピーカ76からの通信ケーブルが接続される端子(図示せず)を備えている。プローブ75やスピーカ76からの通信ケーブルが通信部74に接続されることにより、CPU70はこれらの装置との間でデータの送受信が可能となる。
【0038】
プローブ75は、
図4に示すように、接触部751および持ち手752を備えている。
【0039】
接触部751は、詳細は図示しないが、超音波を照射する照射部と、照射した超音波の反射波を検出する検出部とを備えている。また、持ち手752は、使用者がプローブ75を操作するときに保持する部分である。
【0040】
これにより、プローブ75は、いわゆる医療用超音波プローブを構成しており、受検者の体内の構造を超音波の反射により、エコー信号データ750として取得する装置(信号検出手段)として構成されている。使用者は、プローブ75の持ち手752を保持しながら、接触部751を、受検者の体表面に接触させつつ、移動させることにより、受検者の体内を表現したエコー信号データ750をプローブ75に取得させる。
【0041】
さらに、プローブ75は、
図4に示すように、ケーブル753およびコネクタ754を備えている。図示を省略しているが、ケーブル753の一端はプローブ75の持ち手752側に接続されており、他端はコネクタ754に接続されている。コネクタ754は、診断装置7の本体(通信部74)に接続されている。これにより、プローブ75は、接触部751により取得したエコー信号データ750を、診断装置7の通信部74に向けて転送することができる。
【0042】
図3に戻って、スピーカ76は、CPU70から送信される電気信号を音声に変換するハードウェアである。
図3では、スピーカ76が一つの装置として図示されている。しかし、通常、スピーカ76は、複数の装置(例えば、左右のスピーカや補助スピーカなど)から構成されており、いわゆるスピーカシステムを構成している。
図1および
図2において図示を省略しているが、スピーカ76は、再生される音声を受検者が心地よく聞くことができる位置に配置される。例えば、そのような位置として、スクリーン4の両脇にスピーカ76を配置して、診察台5上の受検者に正対させることが考えられる。あるいは、スピーカ76は、受検者が直接頭部に装着するヘッドホンタイプのものであってもよい。
【0043】
図5は、診断装置7が備える機能ブロックをデータの流れとともに示す図である。
図5に示す通信制御部700、画像作成部701および表示制御部702は、CPU70がプログラム710に従って動作することにより実現される機能ブロックである。
【0044】
コンテンツデータ711は、後述する使用者用画面713および観賞画像データ714を構成する候補となるデータが含まれているデータである。例えば、使用者用画面713に付加されるデータは、主に使用者に対して提供されるデータであって、アイコン画像、GUI画像、受検者の履歴、病状や症例に関するデータ、比較対象となる参考データ、あるいは、表示部73に表示する指示メッセージなどが想定される。一方、観賞画像データ714に付加されるデータは、主に受検者に対して提供されるデータであって、音楽や台詞を表現した音声データや装飾画像などである。
【0045】
エコー画像データ712は、プローブ75によって取得されたエコー信号データ750を変換したデータであるが、詳細は後述する。
【0046】
使用者用画面713は、表示部73に表示され、使用者に提供されるデータである。使用者用画面713は、診断装置7を操作するために必要となるデータと、エコー画像データ712とから構成される。なお、
図4に示すエコー画像データ712は、厳密には、使用者用画面713に含まれているエコー画像データ712である。
【0047】
観賞画像データ714は、超音波画像観賞システム1によって、受検者に提供されるデータであって、画像データだけでなく音声データも含まれる。
図1において、スクリーン4に投影されている画像は、観賞画像データ714の一例であるが、詳細は後述する。なお、スクリーン4は、ディスプレイ730より大きく構成されており、好ましくは2倍以上大きく構成されている。
【0048】
通信制御部700は、通信部74を制御する機能を有する。例えば、通信制御部700は、記憶装置71に記憶されている観賞画像データ714を、ネットワーク9を介して、プロジェクタ3、プリンタ6およびコンピュータ8に向けて、適宜、送信するように通信部74を制御する。このように、通信制御部700と通信部74とが互いに協働して動作することにより、診断装置7において、ネットワーク9を介したデータ通信機能が実現される。
【0049】
また、通信制御部700は、プローブ75に対して制御信号を送信するように通信部74を制御するとともに、通信部74がプローブ75から受信したエコー信号データ750を記憶装置71に記憶させる機能を有している。
【0050】
さらに、通信制御部700は、観賞画像データ714に含まれる音声データを、スピーカ76に向けて送信するように通信部74を制御する。
【0051】
画像作成部701は、例えば、操作部72からの指示入力(使用者が操作部72を操作することによって入力される。)に応じて、コンテンツデータ711を作成・更新する。これにより、使用者は、コンテンツデータ711を、適宜、編集することが可能である。このようにして更新されるデータとしては、例えば、コンテンツデータ711に含まれる受検者の履歴などが想定される。なお、コンテンツデータ711は、ネットワーク9を介して、外部のサーバからダウンロードされてもよい。
【0052】
画像作成部701は、記憶装置71に記憶されているエコー信号データ750を画像化処理する機能を有している。エコー信号データ750は、受検者に超音波を照射することで、その反射波として検出されたデータであり、受検者の体内を表現したデータである。一方、エコー信号データ750は、通常、プローブ75が検出したLAWデータである。このようなデータは、例え表示部73などに出力されたとしても、使用者や受検者が直接的に内容(体内の状態)を知覚することはできない。
【0053】
そこで、画像作成部701は、人間が知覚できるように、エコー信号データ750を、画像として表現したエコー画像データ712に変換する。このように、画像作成部701は、エコー信号データ750に基づいて、受検者の体内を表現したエコー画像データ712を作成する機能を有している。すなわち、画像作成部701は、エコー画像作成部(エコー画像作成手段)として構成されている。
【0054】
なお、従来の超音波検査機においても、このような画像処理は実行されていた。したがって、画像作成部701がエコー画像データ712を作成するために実行する画像化処理は、従来の技術を適宜採用することができるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0055】
また、エコー信号データ750は、随時、継続的に取得されるデータである。したがって、エコー画像データ712は、原則として動画像となる。ただし、動画像のうちの、例えば、1フレーム分の画像データを抽出して表示することにより、容易に静止画像として表示することができる。したがって、以下の説明では、エコー画像データ712が動画像であるか静止画であるかについて、特に区別しない。
【0056】
作成されたエコー画像データ712は、画像作成部701によって、記憶装置71に記憶される。このとき、画像作成部701は、作成したエコー画像データ712と、コンテンツデータ711に含まれる受検者の個人情報などとを互いに関連づける。
【0057】
また、画像作成部701は、操作部72からの指示入力に応じて、エコー画像データ712に基づいて、使用者に向けて提供される使用者用画面713を作成する。すなわち、画像作成部701は、使用者用画像作成部(使用者用画像作成手段)として構成されている。
【0058】
使用者用画面713の元となるデータは、すでに説明したエコー画像データ712に限られるものではない。例えば、予め準備されているコンテンツデータ711、および、操作部72から入力されたデータも、使用者用画面713を構成するデータとして利用される。
【0059】
従来の超音波検査機においても、使用者用画面713に相当するデータを、当該装置が備えるディスプレイに表示し、これを使用者が確認するように構成されている。同様に、超音波画像観賞システム1においても、エコー画像データ712を表示部73に表示させるために、使用者用画面713を作成する。したがって、使用者用画面713は、すでに説明したように、エコー画像データ712を含むデータとして構成されている。
【0060】
超音波画像観賞システム1において、使用者用画面713は、後述する操作インタフェース画像713a,713b,713cを含め、使用者が診断装置7を操作するために必要となるデータとして構成する。したがって、使用者用画面713は、受検者に提供されることを念頭に構成されるデータではなく、実質的には、従来の超音波検査機のディスプレイに表示される画像データと同質のデータである。
【0061】
さらに、画像作成部701は、エコー画像データ712に基づいて、観賞画像データ714を作成する機能を有する。すなわち、画像作成部701は、観賞画像作成部(観賞画像作成手段)として構成されている。
【0062】
観賞画像データ714の元となるデータは、すでに説明したエコー画像データ712に限られるものではない。例えば、予め準備されているコンテンツデータ711も、観賞画像データ714を構成するデータとして利用されるが詳細は後述する。
【0063】
表示制御部702は、表示部73を制御して、使用者用画面713を表示部73に表示させる。このように、表示制御部702と表示部73とが互いに協働して動作することにより、診断装置7において、使用者用画面713を使用者に対して提供する機能が実現される。
【0064】
図5に示すように、使用者用画面713は、図示の便宜上、1つの構成として図示している。しかし、実際の使用者用画面713は、例えば、用途別に分割された様々な画像(データ)の集合体である。表示制御部702は、使用者用画面713の各画像に応じて、表示部73における表示先や、画面上での表示位置などを決定する。詳細は後述するが、例えば、
図4に示すように、表示制御部702は、ディスプレイ730に表示させる画像と、コントロールパネル731に表示させる画像とを決定する。
【0065】
図6は、コンピュータ8のブロック図である。なお、詳細は後述するが、コンピュータ8は、一般的なパーソナルコンピュータとして構成されている。
【0066】
コンピュータ8は、CPU80、記憶装置81、操作部82、表示部83、および、通信部84を備えている。
【0067】
CPU80は、記憶装置81に格納されているプログラム810を読み取りつつ実行し、各種データの演算や制御信号の生成等を行う。これにより、CPU80は、コンピュータ8が備える各構成を制御するとともに、各種データを演算し作成する機能を有している。
【0068】
記憶装置81は、コンピュータ8において各種データを記憶する機能を提供する。言い換えれば、記憶装置81がコンピュータ8において電子的に固定された情報を保存する。
【0069】
記憶装置81としては、CPU80の一時的なワーキングエリアとして使用されるRAMやバッファ、読み取り専用のROM、不揮発性のメモリ(例えばNANDメモリなど)、比較的大容量のデータを記憶するハードディスクなどが該当する。
【0070】
図6では、本来は、記憶装置81を構成するディスク装置811を別途図示している。ディスク装置811は、着脱可能な可搬性の記録媒体812(CD−ROM、DVD−ROM、PCカード、SDカード、USBメモリなど)に対して、データの読み書きが可能な装置である。このようなディスク装置811を備えることにより、記録媒体812に観賞画像データ714を書き込み、受検者が持ち帰ることができる。
【0071】
なお、
図6においては、ディスク装置811以外の記憶装置81を、あたかも1つの構造物であるかのように図示している。しかし、通常、記憶装置81は、上記例示した各種装置(あるいは媒体)のうち、必要に応じて採用される複数種類の装置から構成されるものである。すなわち、記憶装置81は、データを記憶する機能を有する装置群の総称である。
【0072】
また、現実のCPU80は高速にアクセス可能なRAMを内部に備えた電子回路である。しかし、このようなCPU80が備える記憶装置も、説明の都合上、記憶装置81に含めて説明する。すなわち、以下の説明では、一時的にCPU80自体が記憶するデータも、記憶装置81が記憶するとして説明する。
図6に示すように、記憶装置81は、プログラム810および観賞画像データ714を記憶するために使用される。
【0073】
操作部82は、コンピュータ8に対して使用者が指示を入力するために操作するハードウェアである。操作部82としては、例えば、各種キーやボタン類、スイッチ、タッチパネル、ポインティングデバイス、あるいは、ジョグダイヤルなどが該当する。
【0074】
表示部83は、各種データを表示することにより使用者に対して当該データを出力する機能を有するハードウェアである。表示部83としては、例えば、ランプやLED、CRT、液晶ディスプレイや液晶パネルなどから構成される。
【0075】
通信部84は、コンピュータ8をネットワーク9に、データ通信が可能な状態で接続する機能を有している。
図6に示すように、ネットワーク9には、診断装置7が接続されている。したがって、コンピュータ8は、通信部84によって、診断装置7との間で、ネットワーク9を介したデータ通信が可能である。
【0076】
図1および
図2において、コンピュータ8の図示を省略しているが、コンピュータ8は診察室2の内部に設置されていてもよい。ただし、コンピュータ8の設置場所は、診察室2に限定されるものではない。例えば、受検者の自宅にコンピュータ8を設置してもよい。すなわち、受検者は、自宅のパソコンをコンピュータ8として用い、ネットワーク9を介して、診断装置7から自分の観賞画像データ714をダウンロードしてもよい。
【0077】
以上が、超音波画像観賞システム1の構成および機能の説明である。次に、超音波画像観賞システム1を用いた超音波画像提供方法について説明する。
【0078】
図7は、超音波画像提供方法を示す流れ図である。なお、
図7に示す処理が開始されるまでに、コンテンツデータ711が作成され、記憶装置71に記憶され、準備されているものとする。また、プロジェクタ3、プリンタ6およびコンピュータ8の電源は、すでに投入されているものとする。さらに、受検者は、すでに診察台5の上に乗っており、提供を受ける(検査を受ける)準備を完了しているものとする。
【0079】
超音波画像観賞システム1の診断装置7の電源ボタン720が使用者によって操作されると、診断装置7に対する電源の供給が開始される。これによって、診断装置7(CPU70)が初期設定を開始する(ステップS1)。ステップS1では、例えば、記憶装置71からの必要なデータの読み出しや、初期画面(図示せず)を表示部73に表示する処理、あるいは、ネットワーク9への接続処理などが実行される。
【0080】
ステップS1を実行すると、CPU70は、使用者からの開始指示があったか否かを判定する(ステップS2)。ステップS2における判定は、CPU70が操作部72から入力される信号を監視することによって実行することができる。
【0081】
ステップS2においてNoと判定される間は、CPU70は、ステップS2の処理を繰り返しており、いわゆる待機状態となっている。ただし、この待機状態の間に、他の処理を実行してもよい。
【0082】
この状態の間に、使用者は、操作部72を操作して、超音波の照射条件や、表示部73における表示条件、受検者の情報などを入力する。また、使用者は、プローブ75の持ち手752を保持しながら、接触部751を受検者の体表面に接触させる。必要な準備が整ったら、使用者は、操作部72を操作して、超音波の照射を開始させるための開始指示を入力する。この開始指示が入力されたことを検出すると、ステップS2においてYesと判定される。
【0083】
ステップS2においてYesと判定すると、通信制御部700が、超音波の照射を開始する制御信号をプローブ75に向けて送信するように通信部74を制御する。この制御信号を受信することにより、プローブ75が超音波の照射を開始する(ステップS3)。
【0084】
ステップS3が実行されて、超音波が照射されている状態となると、超音波画像観賞システム1は、画像提供処理を実行する(ステップS4)。
【0085】
図8は、画像提供処理を示す流れ図である。なお、ステップS4の画像提供処理は、
図8に示すように、4つの処理が並列的かつ継続的に実行される処理である。画像提供処理は、後述するステップS20においてYesと判定されたときに終了する。
【0086】
4つの処理を簡単に説明すると、第1の処理は、超音波画像を作成する処理である。第2の処理は、使用者に使用者用画面713を提供する処理である。第3の処理は、受検者に観賞画像データ714を提供する処理である。さらに、第4の処理は、使用者による指示を実行する処理である。
【0087】
まず、第1の処理について説明する。ステップS3が実行されて超音波の照射が行われると、その反射波がプローブ75によって検出されて、エコー信号データ750が取得される(ステップS11)。なお、プローブ75において取得されたエコー信号データ750は、通信部74によって受信され、通信制御部700によって記憶装置71に記憶される。
【0088】
ステップS11が実行されることにより、エコー信号データ750が記憶装置71に記憶されると、画像作成部701が、新たに記憶されたエコー信号データ750に基づいてエコー画像データ712を作成する(ステップS12)。このように、診断装置7では、画像提供処理が継続される限り、ステップS11,S12が実行されるため、エコー画像データ712が新たに作成され続けることになる。
【0089】
次に、第2の処理について説明する。ステップS12が実行されてエコー画像データ712が作成されると、画像作成部701が、作成されたエコー画像データ712を含む使用者用画面713を作成する(ステップS13)。本実施の形態における使用者用画面713は、大きく分けて、ディスプレイ730に表示されるデータと、コントロールパネル731に表示されるデータとが作成される。
【0090】
ステップS13が実行されると、表示制御部702は、ステップS13において作成された使用者用画面713を表示するように、表示部73を制御する。これにより、表示部73が使用者用画面713を表示する(ステップS14)。
【0091】
図9は、ディスプレイ730に表示される使用者用画面713を例示する図である。
【0092】
図9に示す例では、ディスプレイ730に表示される画像(使用者用画面713)には、エコー画像データ712、操作インタフェース画像713a,713b,713cおよびアウトライン表示画像713dが含まれている。
【0093】
操作インタフェース画像713aは、選択されたファイル中にある画像を前画像あるいは次画像に動かすためのアイコン画像などである。操作インタフェース画像713bは、表示するファイルを選択させるカーソルや終了ボタンの画像である。また、操作インタフェース画像713cは、表示されたエコー画像110のデータの保存や、プリントなどのアイコン画像である。このような操作インタフェース画像713a,713b,713cは、例えば、コンテンツデータ711から、使用者の好みに応じて抽出し、使用者用画面713に含めることができる。
【0094】
また、操作インタフェース画像713aには、モード切替ボタン(図示省略)と、表示画像指定ボタン(図示省略)が設けられている。モード切替ボタンは、同時表示モードと指定画像表示モードとを切り替えることができる。
【0095】
同時表示モードのとき、診断装置7のCPU70は、ディスプレイ730に表示されるエコー画像データ712と、プロジェクタ3によってスクリーン4に投影する観賞画像データ714におけるエコー画像データ712を同じ画像データとし、両方同時に表示する。したがって、操作インタフェース画像713a,713b,713cの操作によってディスプレイ730に表示されるエコー画像データ712が変更されると、プロジェクタ3によってスクリーン4に投影する観賞画像データ714も同時に変更される。
【0096】
指定画像表示モードのとき、診断装置7のCPU70は、ディスプレイ730に表示されるエコー画像データ712のうち、指示された画像をプロジェクタ3によってスクリーン4に投影する。したがって、操作インタフェース画像713a,713b,713cの操作によってディスプレイ730に表示されるエコー画像データ712が変更されても、プロジェクタ3によってスクリーン4に投影する観賞画像データ714は変更されず、指示されたタイミングでディスプレイ730に表示されるエコー画像データ712に表示しているエコー画像のみをプロジェクタ3によってスクリーン4に投影する。このため、例えば操作に慣れない使用者が、胎児がきれいに見えるタイミングのエコー画像を探してからプロジェクタ3によってスクリーン4に投影し、また別の角度で胎児がよく見えるタイミングでプロジェクタ3によってスクリーン4に投影するエコー画像を切り替えるといった操作ができる。
【0097】
また、
図9に示すように、エコー画像データ712には、エコー画像データ712の撮影日時や撮影条件などのアウトライン表示画像713dが重ねて表示されている。
【0098】
このように、エコー画像データ712だけでなく、操作インタフェース画像713a,713b,713cおよびアウトライン表示画像713dが含まれている使用者用画面713が表示されることにより、使用者は、エコー画像データ712を確認することができるだけでなく、容易に診断装置7を操作することができる。
【0099】
使用者は、必要なエコー画像データ712が取得されているかを確認しなければ、例えば、プローブ75を操作することができない。また、診断や検診であれば、エコー画像データ712によって胎児の状態を確認するのが普通である。したがって、使用者に対して、エコー画像データ712が表示され提供されることは不可欠である。しかし、エコー画像データ712を表示するだけでは、操作性が高いとは言えないため、診断装置7は、操作インタフェース画像713a,713b,713cやアウトライン表示画像713dなどが含まれる使用者用画面713を作成して、診断装置7の表示部73に表示させるのである。
【0100】
また、診断装置7では、画像提供処理が継続される限り、ステップS13,S14が実行されるため、使用者用画面713が新たに作成され続けることになる。これは、ステップS12が実行され続けることにより新たに作成されるエコー画像データ712によって、使用者用画面713を更新し続ける処理とも言える。
【0101】
次に、
図8に戻って、第3の処理について説明する。ステップS12が実行されてエコー画像データ712が作成されると、画像作成部701が、作成されたエコー画像データ712を含む観賞画像データ714を作成する(ステップS15)。
【0102】
ステップS15が実行されると、通信制御部700は、ステップS15において作成された観賞画像データ714を通信部74に転送しつつ、当該観賞画像データ714をプロジェクタ3に向けて送信するように、通信部74を制御する。これにより、診断装置7において作成された観賞画像データ714がプロジェクタ3に向けて送信される。
【0103】
プロジェクタ3は、診断装置7から観賞画像データ714を受信すると、受信した観賞画像データ714をスクリーン4に向けて投影する。これにより、超音波画像観賞システム1は、スクリーン4に観賞画像データ714を表示する(ステップS15)。すなわち、ステップS15を実行することにより、超音波画像観賞システム1は、診察台5上の受検者に略正対した位置に観賞画像データ714を表示させることにより、診察台5上の受検者に向けて観賞画像データ714を提供する。
【0104】
従来の技術では、使用者のために提供される画像を、受検者も見るように構成されている。これは、すなわち、表示部73のディスプレイ730に表示された画像を、受検者が観賞することに相当する。しかし、ディスプレイ730は、使用者が見るために都合がよいように配置されるものである。したがって、受検者がディスプレイ730に表示された画像を見ようとすると、顔を横に向ける、あるいは、体をよじるなど、体勢を変える必要がある。
【0105】
しかし、超音波画像観賞システム1は、診察台5上の受検者が見やすい位置に、受検者用の観賞画像データ714を表示させる。すなわち、受検者に無理な体勢を強いることなく、観賞画像データ714(エコー画像データ712:超音波画像)を観賞してもらうことができる。したがって、受検者は、ディスプレイ730をのぞき込む必要がなくなり、容易に超音波画像を観賞することができる。特に、受検者が妊婦の場合には、体勢を自由に変えることがそもそも困難であり、超音波画像を楽な姿勢で観賞できることは大変好ましい。
【0106】
図10は、受検者に向けて提供される観賞画像データ714の一例である。
すでに説明したように、プロジェクタ3が観賞画像データ714を投影すると、スクリーン4には当該観賞画像データ714が表示される。
【0107】
図10に示す例では、超音波画像であるエコー画像データ712のみがスクリーン4に表示されている。逆に言えば、
図9に示した使用者用画面713のような、操作インタフェース画像713a,713b,713cおよびアウトライン表示画像713dが表示されていない。すなわち、
図10に示す例では、観賞画像データ714は、エコー画像データ712のみのデータとして作成されており、操作インタフェースを表現した部分画像(操作インタフェース画像713a,713b,713cおよびアウトライン表示画像713d)の少なくとも一部を除いたデータとなっている。
【0108】
操作インタフェース画像713a,713b,713cや、アウトライン表示画像713dは、使用者が、診断装置7(プローブ75)を操作するための画像である。このような画像は、使用者に提供されれば、もちろん有益である。一方で、受検者は診断装置7を操作することはないので、このような画像は不要であるばかりでなく、エコー画像データ712を観賞するためには邪魔ですらある。
【0109】
しかし、超音波画像観賞システム1は、受検者にとって必要のない画像を除いた観賞画像データ714を作成し、表示する。これにより、受検者にとって、より観賞しやすい観賞画像データ714を表示することができる。
【0110】
また、エコー画像データ712のみの観賞画像データ714は、画像作成部701が容易に自動的に作成することが可能である。したがって、使用者に特別な操作を要求することがないので、使用者の負担を増大させることもない。
【0111】
なお、観賞画像データ714は、エコー画像データ712のみのデータでなくてもよい。すなわち、観賞画像データ714は、エコー画像データ712以外に、その他の画像データや音声データを含んでいてもよい。この場合、エコー画像データ712以外にも、様々な装飾画像を表示することにより、受検者は、より一層、エコー画像データ712を楽しく観賞することができる。
【0112】
ステップS16を実行すると、通信制御部700は、ステップS15において作成された観賞画像データ714に音声データが含まれているか否かを判定する(ステップS17)。
【0113】
画像作成部701は、観賞画像データ714を作成するときに、作成する観賞画像データ714に、特定の音声データを関連づけることも可能である。このような音声データは、装飾画像と同様に、コンテンツデータ711に予め格納しておき、テンプレートで指定することによって、関連づけを行うことができる。
【0114】
このように、ステップS15において作成された観賞画像データ714に音声データが含まれている場合(ステップS17においてYes)、通信制御部700は、当該音声データを通信部74に転送しつつ、当該音声データをスピーカ76に向けて送信するように、通信部74を制御する。これにより、診断装置7において作成された観賞画像データ714(音声データ)がスピーカ76に向けて送信される。
【0115】
スピーカ76は、診断装置7から音声データを受信すると、受信した音声データを再生する(ステップS18)。すなわち、ステップS18を実行することにより、超音波画像観賞システム1は、診察台5上の受検者に対して、観賞画像データ714に適した音声を提供することも可能である。したがって、受検者は、より一層、エコー画像データ712を楽しく観賞することができる。
【0116】
このようにして提供される音声としては、BGMとして再生する楽曲、メッセージの録音データ、あるいは、効果音などである。例えば、病状や症例に関する説明メッセージなどは医師の代わりにスピーカ76が再生することにより、医師の負担を軽減することができる。
【0117】
図8に戻って、第4の処理について説明する。画像提供処理が実行されている間、CPU70は、操作部72が使用者によって操作されたか否かを判定する(ステップS19)。ステップS19においてNoと判定する間は、ステップS20,S21はスキップされるので実行されない。
【0118】
ステップS19においてYesと判定すると、CPU70は、入力された指示入力を解析して、終了指示であるか否かをさらに判定する(ステップS20)。入力された指示入力が終了指示である場合(ステップS20においてYes)、CPU70は、画像提供処理を終了して
図7に示す処理に戻る。
【0119】
一方、入力された指示入力が終了指示でない場合(ステップS20においてNo)、CPU70は、操作によって入力された指示入力に応じた処理を実行する(ステップS21)。
【0120】
ステップS21において実行される処理とは、例えば、プローブ75の照射条件を変更する処理、プローブ75による超音波の照射を中断する処理、表示部73における表示を変更する処理、コンテンツデータ711を編集する処理、あるいは、観賞画像データ714を保存する処理などが想定される。ただし、このような処理に限定されるものではない。
【0121】
なお、観賞画像データ714を保存する処理が指示された場合、診断装置7は、紙媒体に保存するか、電子的記録媒体に保存するかを使用者に選択させる。使用者が紙媒体を選択した場合には、観賞画像データ714をプリンタ6に向けて送信し、用紙に印刷させる。一方、電子的記録媒体が選択された場合には、観賞画像データ714をコンピュータ8に向けて送信し、記録媒体812に保存させる。
【0122】
これにより、受検者は、用紙に印刷された観賞画像データ714や、観賞画像データ714が保存された記録媒体812を持ち帰ることができる。
【0123】
図7に戻って、画像提供処理(ステップS4)を終了すると、超音波の照射を停止するための制御信号をプローブ75に向けて送信するように、通信制御部700が通信部74を制御する。これにより、通信部74が当該制御信号をプローブ75に向けて送信し、プローブ75が超音波の照射を停止する(ステップS5)。
【0124】
ステップS5が実行されると、超音波画像観賞システム1は、超音波画像提供方法を終了する。
【0125】
以上のように、超音波画像観賞システム1は、受検者が乗る診察台5と、診察台5上の受検者に超音波を照射して、照射した超音波の反射波を検出することによりエコー信号データ750を取得するプローブ75と、エコー信号データ750に基づいて、受検者の体内を表現したエコー画像データ712を作成するとともに、エコー画像データ712に基づいて、観賞画像データ714を作成する画像作成部701と、診察台5上の受検者に略正対した位置に観賞画像データ714を表示させることにより、診察台5上の受検者に向けて観賞画像データ714を提供するスクリーン4とを備える。これにより、受検者のための観賞画像データ714を提供することができる。したがって、受検者の満足度が向上する。
【0126】
また、使用者用画面713は、操作インタフェース画像713a,713b,713cを含み、観賞画像データ714は、これらの画像の少なくとも一部を除いたデータであることにより、受検者にとって不要な、操作のための画像が受検者に提供されることがない。
【0127】
また、画像作成部701は、観賞画像データ714に装飾に係る画像を含めることにより、受検者がさらに楽しむことができる。
【0128】
また、観賞画像データ714に応じて準備された音声データに基づいて、診察台5上の受検者に向けて、音声を再生するスピーカ76を備える。これにより、受検者がさらに楽しむことができる。
【0129】
また、観賞画像データ714を可搬性の記録媒体812に記録するディスク装置811をさらに備える。これにより、観賞画像データ714を、他の場所で利用することができる。
【0130】
また、スクリーン4は、ディスプレイ730より大きく構成されており、好ましくは2倍以上大きく構成されているため、受検者やその関係者は、大きな画像で胎児のエコー画像を見ることができる。特に、スクリーン4に投影する観賞画像データ714は、ほとんどがエコー画像データ712であり、操作インタフェース画像713a,713b,713cが含まれていないため、より大きく観賞できるとともに、よけいな情報がなく集中して胎児を観賞することができる。
【0131】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。
【0132】
例えば、上記実施の形態に示した各工程は、あくまでも例示であって、上記に示した順序や内容に限定されるものではない。すなわち、同様の効果が得られるならば、適宜、順序や内容が変更されてもよい。
【0133】
また、上記実施の形態に示した機能ブロック(例えば、通信制御部700、画像作成部701および表示制御部702)は、CPU70がプログラム710に従って動作することにより、ソフトウェア的に実現されると説明した。しかし、このような機能ブロックの一部または全部を専用の論理回路で構成し、ハードウェア的に実現してもよい。
【0134】
また、診断装置7は、必ずしも1つの装置でなくてもよい。例えば、画像作成部701のうち、観賞画像データ714を作成する機能をコンピュータ8に設けてもよい。その場合、診断装置7がコンピュータ8に向けてエコー画像データ712を送信すればよい。また、その場合には、コンピュータ8が、プロジェクタ3やプリンタ6、スピーカ76にそれぞれ観賞画像データに応じたデータを送信するように構成すればよい。
【0135】
また、スクリーン4の代わりに、診察台5上の受検者に略正対した位置に設置されるディスプレイを設けてもよい。