【課題】シールドガス開閉部と溶接トーチの距離が長い場合、シールドガス開閉部を開路しても溶接トーチの先端からシールドガスが噴出するまでに時間遅れがあり、溶接開始時の作業性が低下する。
【解決手段】溶接トーチ3に組み込まれたセンサ11にて溶接トーチ3の移動を移動判別信号Movとして検知し、溶接トーチ3が移動した場合、トーチスイッチ信号Tsの起動信号が発せられる前に、シールドガス開閉部2を開路して、シールドガスGasを溶接トーチ3に供給することにより、トーチスイッチ信号Tsの起動信号と同時にアークスタートができ、溶接開始時の作業性を向上する。
前記ガス制御部は、前記センサが前記溶接トーチの移動したことを検知し、前記シールドガス開閉部を開路してから所定の時間内に、前記トーチスイッチが前記溶接電源に起動信号を指令しない場合は、前記シールドガス開閉部を閉路すること、
を特徴とする請求項1に記載の溶接装置。
【背景技術】
【0002】
シールドガス供給源からシールドガスを溶接トーチに供給および停止を行うため、溶接トーチとシールドガス供給源の間には、シールドガス開閉部が設けられており、シールドガス開閉部の開路および閉路で溶接トーチへのシールドガスの供給および停止を行っている。シールドガス開閉部と溶接トーチの距離が長い場合、シールドガス開閉部を開路し、実際に溶接トーチの先端からシールドガスが噴出するまでの時間遅れが長くなり、溶接作業性が低下する。
【0003】
上述したとおりシールドガスの供給および停止を行うシールドガス開閉部と溶接トーチの距離が長い場合、シールドガス開閉部を開いてシールドガスを溶接トーチに供給しても、溶接トーチ先端からシールドガスが噴出するまでに数秒程度の時間がかかる。そのため、溶接トーチに組み込まれたトーチスイッチから溶接電源へ起動信号を指令しても、シールドガスが溶接トーチの先端から噴出した状態でアークスタートするように、トーチスイッチからの起動信号の指令から、実際にアークを発生させるまでの時間に遅れを持たせる、いわゆるプリフロー時間を設けている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1には、ガス流量センサを設け、流量が所定値以上に達した時点でアークを発生させる発明がなされている。しかし、シールドガスの供給および停止を行うシールドガス開閉部と溶接トーチの距離が長い場合、シールドガス開閉部を開いてシールドガスを溶接トーチに供給しても、溶接トーチ先端からシールドガスが噴出するまで数秒程度の時間がかかるため、流量センサを設けても、トーチスイッチの起動信号から実際にアークを発生させるまでのプリフロー時間を短くすることは出来ず、溶接作業性が低下する問題は解決できない。
【0006】
そこで、本発明は、シールドガス開閉部と溶接トーチの距離が長い場合でも、トーチスイッチの起動信号と同時にアークスタートがすることができる溶接装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、請求項1の発明は、
溶接トーチと、
前記溶接トーチに電力を供給してアーク溶接を行う溶接電源と、
前記溶接トーチに組み込まれた前記溶接電源へ起動信号および停止信号を指令するトーチスイッチと、
前記溶接トーチに組み込まれた前記溶接トーチが移動したことを検知するセンサと、
前記溶接トーチにシールドガスの供給および停止を行うシールドガス開閉部と、
前記シールドガス開閉部の開路と閉路を制御するガス制御部と、
を備え、
前記ガス制御部は、前記トーチスイッチが前記溶接電源に停止信号を指令しており、
かつ前記センサが前記溶接トーチの移動したことを検知した場合に、前記シールドガス開閉部を開路すること、
を特徴とする溶接装置である。
【0008】
請求項2の発明は、
前記ガス制御部は、前記センサが前記溶接トーチの移動したことを検知し、前記シールドガス開閉部を開路してから所定の時間内に、前記トーチスイッチが前記溶接電源に起動信号を指令しない場合は、前記シールドガス開閉部を閉路すること、
を特徴とする請求項1に記載の溶接装置である。
【0009】
請求項3の発明は、
前記ガス制御部は、前記シールドガス開閉部の閉路から所定の時間以上経過し、
かつ前記センサが前記溶接トーチの移動したことを検知し、
かつ前記トーチスイッチが前記溶接電源に停止信号を指令している場合のみ、前記シールドガス開閉部を開路すること、
を特徴とする請求項2に記載の溶接装置である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、シールドガス開閉部と溶接トーチの距離が長く、シールドガス開閉部が開路して溶接トーチの先端からシールドガスが噴出するまでの時間遅れが長くなっても、トーチスイッチからの起動信号の指令と同時にアーク発生することができ、溶接開始時の作業性を向上することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0013】
〔実施の形態〕
図1は、本発明の実施の形態に係る溶接装置の接続図および各機能のブロック図である。以下、同図を参照して各ブロックについて説明する。溶接電源PMは、消耗電極式アーク溶接電源である。溶接ワイヤ6は、送給モータMに結合された送給ロール12の回転によって溶接トーチ3内に送給され、母材8との間にアーク9が発生する。溶接トーチ3内の給電チップ(図示は省略)は、パワーケーブル5にて溶接電源PMの出力端子プラス側と接続され、母材ケーブル13にて溶接電源PMのマイナス側に接続された母材8との間に溶接電圧を印加し、溶接電流Iwを通電する。溶接トーチ3の先端からはシールドガスGasが噴出して、アーク9を大気から遮断する。
【0014】
シールドガス供給源1は、アーク9を大気から遮断するためのガスであり、溶接ワイヤ6の材質が鉄鋼の場合には炭酸ガスまたはアルゴンガスと炭酸ガスとの混合ガスが使用され、溶接ワイヤ6の材質がアルミニウムの場合にはアルゴンガスが使用される。
【0015】
シールドガス開閉部2とワイヤ送給装置14は、ガスホース4にて接続されており、シールドガス開閉部2は、ガス制御部7からのガス開閉信号Solにより、シールドガス供給源1のシールドガスGasをワイヤ送給装置14を介して、溶接トーチ3へ供給および停止を行う。ガス開閉信号SolがHighの時、シールドガス開閉部2は開路し、シールドガスGasを溶接トーチ3へ供給する。ガス開閉信号SolがLowの時、シールドガス開閉部2は閉路し、溶接トーチ3へのシールドガスGasを停止する。
【0016】
トーチスイッチ10は、溶接トーチ3に組み込まれたスイッチであり、溶接電源PMに起動信号および停止信号を指令するトーチスイッチ信号Tsを発生させる。トーチスイッチ信号Tsは、Highの場合起動信号であり、Lowの場合停止信号となる。
【0017】
センサ11は、溶接トーチ3に組み込まれたセンサであり、溶接トーチ3が移動したことを検知する移動判別信号Movを発生させる。移動を検知するセンサとしては、加速度センサやジャイロセンサなどの慣性センサが用いられ、溶接トーチ3が移動しているか、停止しているかを検知する。移動判別信号Movは、溶接トーチ3が移動している場合High、溶接トーチ3が停止している場合Lowとなる。
【0018】
ガス制御部7は、トーチスイッチ10からのトーチスイッチ信号Tsとセンサ11からの移動判別信号Movをもとに次の処理を行い、シールドガス開閉部2にガス開閉信号Solを出力する。
1)トーチスイッチ信号TsがHigh(起動)の場合、ガス開閉信号SolをHigh(開路)にし、シールドガス開閉部2を開路し、溶接トーチ3にシールドガスGasを供給する。
2)トーチスイッチ信号TsがLow(停止)であり、かつガス開閉信号SolがHigh(開路)からLow(閉路)に切り替わってから所定の時間T2以上経過している場合、移動判別信号MovがHigh(移動)になるとガス開閉信号SolをHigh(開路)にし、シールドガス開閉部2を開路し、溶接トーチ3にシールドガスGasを供給する。
3)2)項の移動判別信号MovがHigh(移動)になったため、ガス開閉信号SolをLow(閉路)からHigh(開路)に切り替えてから所定の時間T1以内にトーチスイッチ信号TsがLow(停止)からHigh(起動)に切り替わらない場合、ガス開閉信号SolをLow(閉路)にし、シールドガス開閉部2を閉路し、溶接トーチ3へのシールドガスGasを停止する。
4)トーチスイッチ信号Tsが、High(起動)からLow(停止)に切り替わると、ガス開閉信号SolをHigh(開路)からLow(閉路)に切り替え、シールドガス開閉部2を閉路し、溶接トーチ3へシールドガスGasを停止する。
【0019】
図2は、シールドガス開閉部2が閉路してから所定の時間T2以上経過後の、本発明の実施の形態における溶接トーチ3の移動を検知し、溶接作業者が溶接開始する前にシールドガスGasを溶接トーチ3に供給する動作を示すタイミングチャートである。同図(a)は溶接トーチ3の移動判別信号Movを示し、同図(b)はトーチスイッチ10からのトーチスイッチ信号Tsを示し、同図(c)はガス開閉信号Solを示し、同図(d)は溶接トーチ3の先端から噴出するシールドガスGasを示し、同図(e)は溶接電流Iwを示す。以下、同図を参照してシールドガス制御の動作を説明する。
【0020】
〔時刻t1〜t5の溶接開開始時の動作〕
t1:時刻t1において、溶接作業者は溶接作業を開始するため、溶接トーチ3を握り溶接開始点へと溶接トーチ3を移動する。すると、同図(a)に示すとおり移動判別信号MovはLow(停止)からHigh(移動)に切り替わる。この時、溶接作業者は、溶接トーチ3を溶接開始場所に移動しているのみであり、トーチスイッチ10により溶接電源PMに起動信号を指令することはなく、同図(b)に示すとおりトーチスイッチ信号TsはLow(停止)である。したがって、ガス制御部7は、同図(c)に示すとおりガス開閉信号SolをLow(閉路)からHigh(開路)に切り替え、シールドガス開閉部2を開路し、シールドガスGasを溶接トーチ3へ供給する。
【0021】
t2:シールドガス開閉部2と溶接トーチ3間の距離が長く、使用するガスホース4が長いため、シールドガス開閉部2が開路してから実際に溶接トーチ3の先端からシールドガスGasが噴出するには、時間遅れTdがある。そのため、時刻t1からTdが経過した時刻t2に達した時点で、同図(d)に示すとおり溶接トーチ3の先端からシールドガスGasが噴出する。シールドガス開閉部2と溶接トーチ3間の距離が長く、ガスホース4が長い場合、Tdは3秒程度である。
【0022】
t3:時刻t3において、溶接作業者が溶接トーチ3を移動し、溶接トーチ3から突出した溶接ワイヤ6の先端が溶接作業開始場所に到達したため、溶接トーチ3の移動を停止して溶接開始場所の狙いを定める。そのため、同図(a)に示すとおり移動判別信号MovはHigh(移動)からLow(停止)に切り替わる。
【0023】
t4:時刻t4において、溶接開始場所の狙いが定まり、溶接作業者は、トーチスイッチ10により溶接電源PMに起動信号を指令し、同図(b)に示すとおりトーチスイッチ信号TsはLow(停止)からHigh(起動)に切り替わり、同図(e)に示すとおり溶接電流Iwが流れ、溶接を開始する。
【0024】
t5:時刻t4においてアーク9が発生し、母材8に充分溶融池が形成されたことを確認した溶接作業者は、時刻t5において溶接ラインに倣って、溶接トーチ3を移動していくため、同図(a)に示すとおり移動判別信号MovはLow(停止)からHigh(移動)に切り替わる。
【0025】
本発明によれば、溶接トーチ3の移動を検知し、シールドガスGasを溶接トーチ3へ供給すことにより、トーチスイッチ10からの起動信号の指令と同時にアーク9を発生させることができるため、溶接開始時の作業性を向上することができる。
【0026】
シールドガス開閉部2を開路して溶接トーチ3の先端からシールドガスGasが一旦噴出すれば、シールドガス開閉部2を閉路しても、溶接トーチ3の先端からシールドガスGasは徐々に漏れていくものの、所定の期間T2以内であればガスホース4内に残存するシールドガスGasは、充分アーク9を大気から遮断できる量は残っており、シールドガス開閉部2の開路とともに即座に溶接トーチ3の先端からシールドガスGasを噴出することができる。そのため、シールドガス開閉部2を開路から閉路に切り替えてから所定の時間T2以内に、溶接作業者が溶接作業を開始しようと溶接トーチ3を移動させても、前もってシールドガス開閉部2を開路して、溶接トーチ3へシールドガスGasを供給しておく必要はない。
【0027】
図3は、本発明の実施の形態におけるシールドガス開閉部2を開路から閉路に切り替えてから所定の時間T2以内に、溶接作業者が溶接作業を開始しようと溶接トーチ3を移動させた場合の動作を示すタイミングチャートである。同図(a)は溶接トーチ3の移動判別信号Movを示し、同図(b)はトーチスイッチ10からのトーチスイッチ信号Tsを示し、同図(c)はガス開閉信号Solを示し、同図(d)は溶接トーチ先端から噴出するシールドガスGasを示し、同図(e)は溶接電流Iwを示す。以下、同図を参照してシールドガス制御の動作を説明する。シールドガス開閉部2と溶接トーチ3間の距離が長く、ガスホース4が長い場合、T2は5分程度である。
【0028】
〔時刻t1〜t5の溶接開始時の動作〕
t1:時刻t1において、溶接作業者は
図2と同様に溶接作業を開始しようとして、溶接トーチ3を握り溶接開始点へと溶接トーチ3を移動する。すると、同図(a)に示すとおり移動判別信号MovはLow(停止)からHigh(移動)に切り替わる。この時、溶接作業者は、溶接トーチ3を溶接開始場所に移動しているのみであり、トーチスイッチ10により溶接電源PMに起動信号を指令することはなく、同図(b)に示すとおりトーチスイッチ信号TsはLow(停止)であるが、ガス制御部7はガス開閉信号SolをHigh(開路)からLow(閉路)に切り替えてから所定の時間T2以内であるので、ガス制御部7は、ガス開閉信号SolをLow(閉路)に保つ。
【0029】
t3:時刻t3において、溶接作業者が溶接トーチ3を移動し、溶接トーチ3から突出した溶接ワイヤ6の先端が溶接作業開始場所に到達したため、溶接トーチ3の移動を停止して溶接開始場所の狙いを定める。そのため、同図(a)に示すとおり移動判別信号MovはHigh(移動)からLow(停止)に切り替わる。
【0030】
t4:時刻t4において、溶接開始場所の狙いが定まり、溶接作業者は、トーチスイッチ10により溶接電源PMに起動信号を指令し、同図(b)に示すとおりトーチスイッチ信号TsはLow(停止)からHigh(起動)に切り替わる。トーチスイッチ信号TsがLow(停止)からHigh(起動)に切り替わったため、ガス制御部7は、同図(c)に示すとおりガス開閉信号SolをLow(閉路)からHigh(開路)に切り替え、シールドガス開閉部2を開路する。この時、ガスホース4内に充分シールドガスGasが残存しているため、同図(d)に示すとおり溶接トーチ3の先端からシールドガスGasが、トーチスイッチ10による溶接電源PMへの起動信号の指令と同時に噴出し、同図(e)に示すとおり溶接電流Iwが流れ、溶接が開始される。
【0031】
t5:
図2と同様に、時刻t4においてアーク9が発生し、母材8に充分溶融池が形成されたことを確認した溶接作業者は、時刻t5において溶接ラインに倣って、溶接トーチ3を移動していくため、同図(a)に示すとおり移動判別信号MovはLow(停止)からHigh(移動)に切り替わる。
【0032】
本発明によれば、シールドガス開閉部2を閉路してから所定の時間T2以内であれば、溶接トーチ3が移動してもトーチスイッチ10からの起動信号の指令までの間は、シールドガスGasを供給することがないため、無駄なシールドガスGasの消費を低減できる。
【0033】
溶接現場では、溶接トーチ3を持って作業場所を移動する場合もある。この時、溶接トーチ3は常時移動しているため、移動判別信号Movは常時High(移動)となる。そのため、溶接トーチ3を持って作業場所を移動期間中、シールドガスGasが溶接トーチ3の先端から噴出され続ける状態となってしまい、無駄なシールドガスの消費を増やしまう問題がある。そのため、溶接トーチ3の移動を検知して、ガス制御部7がガス開閉信号SolをLow(閉路)からHigh(開路)に切り替え、シールドガス開閉部2を開路してから所定の時間T1以内に、トーチスイッチ10からの起動信号が指令されない場合は、ただちにシールドガス開閉部7を開路から閉路に切り替え、溶接トーチ3へのシールドガスGasを停止するシールドガス制御を行う。
【0034】
図4は、本発明の実施の形態における溶接トーチ3の移動を検知して、ガス制御部7がガス開閉信号SolをLow(閉路)からHigh(開路)に切り替え、シールドガス開閉部2を開路してから所定の時間T1以内に、トーチスイッチからの起動信号が指令されなかった場合を示すタイミングチャートである。同図(a)は溶接トーチ3の移動判別信号Movを示し、同図(b)はトーチスイッチ10からのトーチスイッチ信号Tsを示し、同図(c)はガス開閉信号Solを示し、同図(d)は溶接トーチ先端から噴出するシールドガスGasを示し、同図(e)は溶接電流Iwを示す。以下、同図を参照してシールドガス制御の動作を説明する。なお、T1は5秒程度である。
【0035】
〔時刻t10〜t40の溶接開開始時の動作〕
t10:時刻t10において、溶接作業者は溶接作業場所を移動しようとして、溶接トーチ3を持って次の溶接作業場所へ移動を開始した時点である。すると、同図(a)に示すとおり移動判別信号MovはLow(停止)からHigh(移動)に切り替わる。この時、溶接作業者は、溶接トーチ3を持って溶接開始場所に移動しているのみであり、トーチスイッチ10により溶接電源PMに起動信号を指令することはなく、同図(b)に示すとおりトーチスイッチ信号TsはLow(停止)である。したがって、ガス制御部7は、同図(c)に示すとおりガス開閉信号SolをLow(閉路)からHigh(開路)に切り替え、シールドガス開閉部2を開路し、シールドガスGasを溶接トーチ3へ供給する。
【0036】
t20:
図2と同様に、シールドガス開閉部2が開路してから実際に溶接トーチ3の先端からシールドガスGasが噴出するには、時間遅れTd(3秒程度)がかかるため、時刻t10からTdが経過した時刻t20に達した時点で、同図(d)に示すとおり溶接トーチ3の先端からシールドガスGasが噴出する。
【0037】
t30:溶接作業者は溶接作業場所を移動しようとしているのみであり、時刻t1から所定の時間T1(5秒程度)経過しても、トーチスイッチ10から起動信号が指令されることはない。そのため、時刻t30でガス制御部7は、同図(c)に示すとおりガス開閉信号SolをHigh(開路)からLow(閉路)に切り替え、シールドガス開閉部2を閉路し、溶接トーチ3へのシールドガスGasを停止する。なお、ガス制御部7がガス開閉信号SolをHigh(開路)からLow(閉路)に切り替えてから所定の時間T2以上経過している場合の動作であるが、ガス制御部7がガス開閉信号SolをHigh(開路)からLow(閉路)に切り替えてから所定の時間T2以内であれば、時刻t20から時刻t30の間もガス制御部7は、開閉信号SolをLow(閉路)に保つため、溶接トーチ3へのシールドガスGasを停止した状態となり、溶接トーチ3の先端からシールドガスGasが噴出することはない。
【0038】
t40:時刻t40において、溶接作業者は、目的の溶接作業場所に到着したため、溶接トーチ3の運搬移動を停止し、同図(a)に示すとおり移動判別信号MovはHigh(移動)からLow(停止)に切り替わる。
【0039】
本発明の実施の形態においては、ガス開閉部2が溶接電源PMに内蔵されている場合について説明を行ったが、ガス開閉部2がワイヤ送給装置14に内蔵されており、溶接トーチ3に長尺トーチを使用し、シールドガス開閉部2と溶接トーチ3の先端までの距離が長くなる場合にも適用できる。