(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-109239(P2021-109239A)
(43)【公開日】2021年8月2日
(54)【発明の名称】ロールモデルの改良された適合
(51)【国際特許分類】
B21B 31/00 20060101AFI20210705BHJP
B21B 38/00 20060101ALI20210705BHJP
B21B 38/04 20060101ALI20210705BHJP
B21C 51/00 20060101ALI20210705BHJP
【FI】
B21B31/00
B21B38/00 C
B21B38/04
B21C51/00 E
B21C51/00 J
B21C51/00 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2020-199451(P2020-199451)
(22)【出願日】2020年12月1日
(31)【優先権主張番号】20151947
(32)【優先日】2020年1月15日
(33)【優先権主張国】EP
(71)【出願人】
【識別番号】516128728
【氏名又は名称】プライメタルズ・テクノロジーズ・ジャーマニー・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス・マイアーホーファー
(57)【要約】
【課題】ロール軸の方向で見たときの場所の決定でロールの温度および直径を特定することができるロールモデルを最適化する手段を提供する。
【解決手段】同じタイプの2つのロールのための格納装置は、ロールスタンドの構成部分であるか、またはロールをロールスタンドから格納装置に移すことができるようにロールスタンドに対して位置決めすることができる。格納装置は測定システムを有し、ロール軸の方向で見たときのあらかじめ規定された検出位置において、ロールの温度および/または直径を検出することができる。ロールスタンドを制御するオートメーションユニットに転送した後、ユニットは、ロールモデルを適合することができ、ロールモデルを利用して、同じタイプのロールについてのロールスタンドの動作データを使用して、ロール軸の方向で見たときの、あらかじめ規定された特定位置において、ロールの温度および/または直径を繰り返し特定する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロールスタンド(2)内の同じタイプの2つのロール(3)のための格納装置であり、前記格納装置は、前記ロールスタンド(2)の構成部分であるか、または前記ロール(3)を前記ロールスタンド(2)から前記格納装置へと移すことができる、もしくはその逆も同様であるようなやり方で、前記ロールスタンド(2)に対して位置決めすることができる格納装置であって、
前記格納装置は、少なくとも1つの測定システム(7)を有し、前記測定システム(7)を利用して、ロール軸の方向で見たときに、少なくともあらかじめ規定された検出位置(p´)において、前記ロール(3)の温度(T)および/または直径(D)を個別に、かつ互いに独立して検出することができることを特徴とする格納装置。
【請求項2】
前記格納装置は、ロール交換台車(6)として設計されることを特徴とする、請求項1に記載の格納装置。
【請求項3】
各ロール(3)について、前記測定システム(7)は、前記格納装置の本体(10)に対して場所が固定された複数の測定装置(9)を有し、これにより、前記測定装置(9)を利用して、前記ロール軸の方向で見たときの、各ケースにおいて前記あらかじめ規定された検出位置(p´)の1つにおいて、それぞれの前記ロール(3)の温度(T)および/または直径(D)を検出することを可能にすることを特徴とする、請求項2に記載の格納装置。
【請求項4】
各ロール(3)について、前記測定システム(7)は、前記格納装置の本体(10)に対して可動である複数の測定装置(9)を有し、これにより、前記測定装置(9)を利用して、前記ロール軸の方向で見たときの、各ケースにおいて前記あらかじめ規定された検出位置(p´)の少なくとも1つを含むそれぞれのサブセクション内で、それぞれの前記ロール(3)の温度(T)および/または直径(D)を検出することを可能にすることを特徴とする、請求項2に記載の格納装置。
【請求項5】
各ロール(3)について、前記測定システム(7)は、単一の測定装置(9)を有し、前記測定装置(9)を利用して、前記ロール軸の方向で見たときの前記あらかじめ規定された検出位置(p´)の少なくとも全てにおいて、それぞれの前記ロール(3)の温度(T)および/または直径(D)を検出することができることを特徴とする、請求項1または2に記載の格納装置。
【請求項6】
前記測定装置(9)は、前記ロール軸の方向で見たときに可動であるようなやり方で本体(10)上に配置され、これにより、前記測定装置(9)を前記ロール(3)の有効バレル長の全体にわたって移動させることを可能にすることを特徴とする、請求項5に記載の格納装置。
【請求項7】
前記測定装置(9)は、それぞれの前記ロール(3)が、前記ロールスタンド(2)からロール交換台車(6)内への移送中に前記測定装置(9)を通り過ぎて移動されるように、またはその逆も同様であるようなやり方で、前記格納装置の本体(10)上の固定された場所に配置されることを特徴とする、請求項5に記載の格納装置。
【請求項8】
前記測定システム(7)と、前記ロールスタンド(2)を制御するオートメーションユニット(4)との間にデータリンクがあること、ならびに、前記測定システム(7)は、前記検出された温度(T)および/または直径(D)を自動的に前記オートメーションユニット(4)に転送し、これにより、前記オートメーションユニット(4)によって、前記検出された温度(T)および/または直径(D)を前記あらかじめ規定された検出位置(p´)と対応付けることを可能にすることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の格納装置。
【請求項9】
ロールスタンド(2)の操作方法であって、
− 前記ロールスタンド(2)を通過する平坦な圧延ストック(1)が、前記ロールスタンド(2)内の同じタイプの2つのロール(3)の間で圧延され、
− 前記ロールスタンド(2)を制御するオートメーションユニット(4)は、同じタイプの前記ロール(3)についての前記ロールスタンド(2)の動作データ(BD)を使用するロールモデル(5)を利用して、ロール軸の方向で見たときに、少なくともあらかじめ規定された特定位置(p)において、前記ロール(3)の温度(T)および/または直径(D)を繰り返し特定し、特定された温度(T)および/または直径(D)に基づいて、前記ロールスタンド(2)の機能の有効化(SD)を特定し、その結果、前記ロールスタンド(2)の圧延ギャップが、可能な限り設定値入力に従って、前記平坦な圧延ストック(1)の圧延中に設定され、
− 同じタイプの前記ロール(3)が、前記ロールスタンド(2)から時折取り外され、ロール交換台車(6)内に移される、前記ロールスタンド(2)の操作方法であって、
− 前記ロールスタンド(2)上または前記ロール交換台車(6)上に配置された測定システム(7)を利用して、前記ロールスタンド(2)からの前記ロール(3)の取り外し、および前記ロール交換台車(6)内への前記ロール(3)の移送中、もしくはその直後の時に、ロール軸の方向で見たときに、少なくともあらかじめ規定された検出位置(p´)において、前記2つのロール(3)の温度(T)および/または直径(D)が自動的に検出され、
− 前記検出された温度(T)および/または直径(D)が、前記オートメーションユニット(4)に自動的に転送され、これにより、前記オートメーションユニット(4)によって、前記検出された温度(T)および/または直径(D)をあらかじめ規定された検出位置(p´)と対応付けることを可能にし、
− 前記オートメーションユニット(4)は、前記ロールモデル(5)を利用して特定された前記ロール(3)の温度(T)を、前記測定システム(7)を利用して特定された前記ロール(3)の温度(T)と比較し、および/または前記ロールモデル(5)を利用して特定された前記ロール(3)の直径(D)を、前記測定システム(7)を利用して特定された前記ロール(3)の直径(D)と比較し、この比較を使用して前記ロールモデル(5)を適合させることを特徴とする、ロールスタンド(2)の操作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロールスタンド内の同じタイプの2つのロールのための格納装置から始まっており、格納装置は、ロールスタンドの構成部分であるか、またはロールをロールスタンドから格納装置へと移すことができる、もしくはその逆も同様であるようなやり方でロールスタンドに対して位置決めすることができる。
【0002】
本発明はさらに、ロールスタンドの操作方法から始まっており、そこでは、
− ロールスタンドを通過する平坦な圧延ストックが、ロールスタンド内の同じタイプの2つのロールの間で圧延され、
− ロールスタンドを制御するオートメーションユニットは、同じタイプのロールについてのロールスタンドの動作データを使用するロールモデルを利用して、ロール軸の方向で見たときの、少なくともあらかじめ規定された特定位置において、ロールの温度および/または直径を繰り返し特定し、特定された温度および/または直径に基づいてロールスタンドの機能の有効化を特定し、その結果、ロールスタンドの圧延ギャップが、可能な限り設定値入力に従って、平坦な圧延ストックの圧延中に設定され、
− 同じタイプのロールが、ロールスタンドから時折取り外され、ロール交換台車に移される。
【背景技術】
【0003】
金属製の平坦な圧延ストックの圧延中、圧延ギャップは通常、「レベル−2」オートメーションの文脈で計算される。圧延ギャップを計算するために複雑なモデルが使用され、これは、例えばロールの設定、ロールの屈曲、ロールの平坦化、ロールの反り、ロールの摩耗、ロールの温度、圧延ストックの温度、および他の要因を考慮している。挙げられた変数の一部は、ロールバレルの幅にわたったそれぞれの特徴として指定される。よって、例えば、それぞれの場所でのロールの温度が高くなるほど、ロールの厚さは局所的に大きくなる(用語「局所的」とは、ロール軸の方向で見たときの場所を指す)。逆に、それぞれの場所でのロールの摩耗または摩滅が大きくなるほど、ロールは局所的にますます薄くなる。
【0004】
圧延ギャップが小さくなるほど、圧延ギャップが計算されなければならない絶対精度はいっそう高まる。例えば3cmの圧延ギャップの場合には、20μmまたは50μmの精度が完全に許容可能であり得る。対照的に、例えば1.2mmの圧延ギャップの場合、この種の精度は一般にもはや許容可能ではない。
【0005】
既に言及したように、圧延ギャップは、とりわけロールの局所的温度によって影響を受ける。さらに、圧延ギャップはまた、ロールが動作中に受ける摩滅によっても影響を受ける。加えて、平坦な圧延ストックの材料の温度はまた、特定の制限の範囲内で、とりわけ加工中のロールの温度にも依存する。圧延ストックの温度は、例えば圧延力の正確な特定のための重要な基準である。このことは、熱間圧延および冷間圧延の両方に当てはまる。
【0006】
加工中のロールの温度または摩滅もしくは摩耗のいずれもが、圧延中に直接測定することはできない。この理由からロールモデルが使用され、ロールモデルを利用することで、他のやり方で測定することができ既知であるロールスタンドの動作パラメータを使用し、モデルの助けを借りて、加工中のロールの温度、および加工中のロールの摩耗を特定することができる。手順の同様のやり方がロールスタンドの他のロールの対に採用されてもよく、例えば4−ハイスタンドの支持ロールに、または支持ロールと加工中のロールとの間に配置されている、6−ハイスタンドの中間ロールに採用されてもよい。
【0007】
ロールおよび圧延ギャップのモデル化に用いられるモデルは、誤りが生じやすい。したがって、当業者の目的は、モデルを最適化することである。これは、とりわけロールモデルにも適用される。
【0008】
特許文献1は、ロールスタンドのロールの場合に、ロールの温度とロールの摩耗の両方を特定することができる方法を開示している。特定は、ロール軸の方向で見たときの場所の決定で行われる。
【0009】
特許文献2および特許文献3は、平坦な圧延ストックがロールスタンドを通過している間に、ロールスタンドの加工中のロールを交換することができる手順を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際特許公開第2012/025266号パンフレット
【特許文献2】国際特許公開第2017/144227号パンフレット
【特許文献3】国際特許公開第2011/124585号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、ロール軸の方向で見たときの場所の決定からロールの温度およびその摩耗、ならびにこれによりその直径を特定することができるロールモデルを簡素で信頼できる形式で最適化することができる実現性を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的は、請求項1の特徴を有する格納装置を利用して達成される。格納装置の有利な改善点は、請求項2から請求項8の従属クレームの主題を形成する。
【0013】
本発明によると、冒頭で述べられたタイプの格納装置は、少なくとも1つの測定システムを有し、これを利用して、ロール軸の方向で見たときの、少なくともあらかじめ規定された検出位置において、ロールの温度および/または直径を個別に、かつ互いに独立して検出することができるように構成されている。
【0014】
これにより、ロールの実際の温度および/または実際の直径を測定によって検出することが可能になり、よって、それらをモデルの助けを借りて特定された対応する値と比較することが可能になり、またこの比較に基づいてロールモデルを適合させることも可能にする。
【0015】
既に言及したように、単なる例外として、格納装置をロールスタンドの構成部分にすることも可能である。しかしながら、この構成は概して、特有の実施形態でのみ適切である。しかしながら概して、格納装置は、ロール交換台車として設計される。このようなケースではとりわけ、測定システムが、平坦な圧延ストックを圧延する際に生じるようなロールスタンドの荒い動作に曝されないことを、簡素な形式で確実にすることが可能である。
【0016】
各ロールについて、測定システムは、格納装置の本体に対して場所が固定された複数の測定装置を有し、これにより、測定装置を利用して、ロール軸の方向で見たときの、各ケースにおいてあらかじめ規定された検出位置の1つにおいて、それぞれのロールの温度および/または直径を検出することを可能にする。そのような一実施形態の場合、それぞれのロールの温度および/または直径をそれぞれの位置において検出することができる測定装置は、ロール軸の方向で見たとき、例えば10cmごとに、または20cmごとに設けることができる。
【0017】
1つの代替として、各ロールについて、測定システムは、格納装置の本体に対してロール軸の方向に可動である複数の測定装置を有し、これにより、測定装置を利用して、ロール軸の方向で見たときの、各ケースにおいてあらかじめ規定された検出位置の少なくとも1つを含むそれぞれのサブセクション内で、それぞれのロールの温度および/または直径を検出することを可能にする。例えば測定装置は、ロール軸の方向で見たときの、それぞれの測定装置の中心位置から、各ケースにおいて、5cm、8cm、12cmまたは15cmだけ左および右に可動であってよい。このケースでは、それぞれのロールの温度および/または直径は、各ケースにおいて測定装置の1つを利用して、10cm、16cm、24cmまたは30cmのそれぞれのサブ領域内で検出することができる。先と同様、言及した数値は、単なる例示である。サブ領域のサイズおよび例えば10cmまたは20cmであるそれらの間のずれに応じて、サブ領域は互いに重なってもよいし、または互いに対して分離していてもよい。
【0018】
別の代替として、各ロールについて、測定システムは単一の測定装置を有し、これを利用して、ロール軸の方向で見たときの、あらかじめ規定された検出位置の少なくとも全てにおいて、それぞれのロールの温度および/または直径を検出することができる。この実施形態は、最低限の数の測定装置しか必要としないという利点を有する。
【0019】
後者のケースでは、2つの互いに代替となる実施形態がここでもまた可能である。
【0020】
一方で、測定装置は、ロール軸の方向で見たとき可動であるようなやり方で格納装置の本体の上に配置され、これにより、測定装置をロールの有効バレル長の全体にわたって移動させることを可能にする。このケースでは、ロールは最初に格納装置の本体に配置される。測定装置がその後、ロールに沿って移動される。このような移動は、個々の測定プロセスに対して繰り返し中断されてよく、この移動の間にロールの温度および/または直径が検出される。
【0021】
一方で、測定装置は、それぞれのロールが、ロールスタンドからロール交換台車へのまたはその逆への移送中に測定装置を通り過ぎて移動されるようなやり方で、格納装置の本体上の固定された場所に配置されることも可能である。この実施形態は、ロールをロールスタンドからロール交換台車に移すために、またはその逆の場合も同様に、いずれのケースでも存在する必要がある部品の他にいかなる別の可動部分も必要としないため、とりわけ簡素である。より具体的には、この実施形態はさらに、ロール交換台車だけでなく、ロールスタンドそのものにも実装することができる。詳細には、このケースでは、測定装置をオペレータ側のスタンドハウジングの保護領域内に配置させることが可能である。
【0022】
検出された測定値を、ロールスタンドを制御するオートメーションユニットに手動で送ることが可能である。しかしながら好的に、測定システムと前記オートメーションユニットとの間にデータリンクがあり、測定システムは、検出された温度および/または直径を自動的にオートメーションユニットに転送し、これにより、オートメーションユニットによって、検出された温度および/または直径をあらかじめ規定された検出位置と対応付けることを可能にする。この目的のために、温度および/または直径に加えて、オートメーションユニットに検出位置を転送することも必要であり得る。
【0023】
この目的は、請求項9の特徴を有する、ロールスタンドのための操作方法を利用してさらに達成される。本発明によると、冒頭で述べたタイプの操作方法は、
− ロールスタンド上またはロール交換台車上に配置された測定システムを利用して、ロールスタンドからのロールの取り外し、およびロール交換台車へのロールの移送中、またはその直後の時に、ロール軸の方向で見たときの、少なくともあらかじめ規定された検出位置において、2つのロールの温度および/または直径が自動化された形式で検出され、
− 検出された温度および/または直径が、オートメーションユニットに自動的に転送され、これにより、オートメーションユニットによって、検出された温度および/または直径をあらかじめ規定された検出位置と対応付けることを可能にし、
− オートメーションユニットは、ロールモデルを利用して特定されたロールの温度を、測定システムを利用して特定されたロールの温度と比較し、および/またはロールモデルを利用して特定されたロールの直径を、測定システムを利用して特定されたロールの直径と比較し、この比較を使用してロールモデルを適合させるようなやり方で具現化される。
【0024】
本発明の上記の特性、特徴および利点、ならびに、これらが達成される形式は、例示の実施形態の以下の説明と併せると、より明確に、はっきりと理解できるようになり、これらの実施形態は、図面と組み合わせてより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】圧延ストックの圧延中のマルチスタンドロール列を示す概要図である。
【
図2】圧延ギャップのモデルおよびロールスタンドの機能の有効化の特定を示す概要図である。
【
図3】ロールスタンドからのロールスタンドのロールの取り外しを示す概要図である。
【
図4】圧延の停止中の、
図1のロール列を示す概要図である。
【
図5】測定システムおよびオートメーション装置を示す概要図である。
【
図7】ロール交換台車の1つの可能な実施形態を示す概要図である。
【
図8】
図7のロール交換台車の修正形態を示す概要図である。
【
図9】
図5のロール交換台車の更なる修正形態を示す概要図である。
【
図10】ロール交換台車の別の可能な実施形態を示す概要図である。
【
図11】ロールスタンドの1つの可能な実施形態を示す概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1によると、金属製の平坦な圧延ストック1は、ロール列のロールスタンド2の中を通過し、そのプロセス中に圧延される。圧延は、各ケースにおいて、それぞれのロールスタンド2内の同じタイプの2つのロール3の間で行われる。平坦な圧延ストック1は、ストリップまたはプレートであり得る。平坦な圧延ストック1を構成する金属は、例えば鋼またはアルミニウムであり得る。原則として、平坦な圧延ストック1は、熱間圧延されることが可能である。しかしながら、本発明は、特に圧延が冷間圧延である場合に有利であるように使用することができる。同じタイプの2つのロール3は概して、それぞれのロールスタンド2の2つの加工中のロールであり、すなわち平坦な圧延ストック1に対して直接かつ直に接して作用するロールである。あるいは、それらは、加工中のロールに対して直接、または間接的に作用するロールである場合もあり、例えば4−ハイスタンドもしくは6−ハイスタンドの場合の支持ロール、または6−ハイスタンドの場合、支持ロールと加工中のロールとの間に配置された中間ロールであり得る。各ケースでは、ロール3は、機能的に同じタイプであり、かつ2つのロール3の一方は上から圧延ストック1に作用し、一方は下から作用するという意味において、同じタイプである。
【0027】
ロール列は、オートメーションユニット4によって制御される。詳細には、オートメーションユニット4はこれにより、ロールスタンド2も制御する。オートメーションユニット4によるロールスタンド2の1つの制御は、
図2と組み合わせて、全てのロールスタンド2の代表的な例として、以下により詳細に説明される。最初に、このタイプの制御はそれ自体、当業者に広く知られているものであるという事実に注目されたい。特有の実装形態の詳細は、それ故必要とされない。
【0028】
図2によると、オートメーションユニット4は、ロールモデル5を実装する。オートメーションユニット4は、ロールスタンド2の動作データBDをロールモデル5に送る。概して、動作データBDは、平坦な圧延ストック1がロールスタンド2内に進むときの、例えばその幅、その厚さ、その化学的組成、およびその温度などの平坦な圧延ストック1の実際の特性を含む。概して、動作データBDはさらに、平坦な圧延ストック1がロールスタンド2から出て進むとき、対応付けられた外形、対応付けられた輪郭および/または対応付けられた平坦さと併せたその厚さなどの平坦な圧延ストック1の設定値特性を含む。オートメーションユニット4はさらに、たとえ一時的だけであっても、ロールスタンド2に関する制御データSDを設定する。制御データSDもまた、ロールモデル5に送られる。制御データSDは、例えば設定、圧延力、屈曲力および他の要因を含むことができる。ロールモデル5を利用して、制御装置は、同じタイプの2つのロール3に関して、それぞれのロール3の温度Tおよび/またはそれぞれのロール3の直径Dを特定する。さらに、制御装置はまた、平坦な圧延ストック1がロールスタンド2から出て進むとき、結果として生じる圧延ギャップの特徴を特定し、また後者に基づいて、平坦な圧延ストック1の予測される実際の特性を特定する。全てのケースにおいて、特定は、ロール軸の方向で見たときの場所の決定で行われる。よって、それは少なくともあらかじめ規定された特定位置pにおいて行われる。しかしながら、隣接する特定位置pの間の、
図2で指摘される20cmの間隔は、単なる例示として理解すべきである。
【0029】
オートメーションユニット4はその後、ロールモデル5を利用して特定されている、平坦な圧延ストック1がロールスタンド2から出て進むときのその予測される実際の特性を、平坦な圧延ストック1がロールスタンド2から出て進むときのその所望の設定値特性と比較する。必要である限り、平坦な圧延ストック1がロールスタンド2から出て進むときのその予測される実際の特性を、平坦な圧延ストック1がロールスタンド2から出て進むときのその所望の設定値特性に対して可能な限り近づけるために、そこで、オートメーションユニット4は制御データSDを変更する。必要である限り、これは繰り返しの手順を伴う。制御データSDの変化は、動作データBDが、オートメーションユニット4によってロールモデル5のみに送られるのに対して、制御データSDは、両方向に送信することができるという事実によって、
図2に示されている。
【0030】
既に言及したように、説明される手順は、当業者に既に広く知られており、そういうものとしてよく知られている。それは、平坦な圧延ストック1の圧延中、例えば平坦な圧延ストック1の新たなセクションに対して、またはその後に続く平坦な圧延ストック1に対して繰り返し実施される。結果として、オートメーションユニット4はこれにより、ロール3の温度Tおよび/または直径Dを繰り返し特定し、(いくつかある要因の中でも特に、およびロール軸の方向で見たときの場所の決定から、)それに基づいて、ロールスタンド2のそれぞれの機能の有効化SD、すなわち制御データSDを特定する。直径Dの特定は、温度によって誘発されたロール3の拡張、および直径Dの摩耗に関連する変化の両方を包含する。対応するモデルは、TWC(サーマルウェアクラウン)という用語で当業者に知られている。モデル化の一部として、平坦な圧延ストック1の温度も特定されることが多い。これも、当業者に広く知られており、よく知られている。
【0031】
特定個数の平坦な圧延ストック1を圧延した後、例えば20または25個の平坦な圧延ストック1を圧延した後、ロール3を交換する必要がある。この目的のために、
図3の例証によると、ロール交換台車6が、ロール3を交換すべきロールスタンド2の隣に位置決めされる。詳細には、ロールスタンド2は、オペレータ側のスタンドハウジング2´と、駆動側のスタンドハウジング2´´とを有する。ロール交換台車6は、オペレータ側のスタンドハウジング2´の隣に配置される。ロール3が次にロールスタンド2から取り外され、
図3の対応する矢印によって示されるようにロール交換台車6に移される。取り外されたロール3は、
図3において点線で示されている。
【0032】
概して、平坦な圧延ストック1がロール列内で圧延されない圧延の中断が、このプロセスに取り入れられる。
図4は、これに対応するロール列の状態を示す。しかしながら、平坦な圧延ストック1がロールスタンド2の中を通過している間にロール3を交換することができる既知の手順もある。本発明の文脈において、手順のどれが採用されるかは、さほど重要ではない事柄である。
【0033】
ロール3の取り外しおよびロール3のロール交換台車6への移送は、従来式の広く知られた形式で行うことができる。しかしながら2つのロール3の温度Tおよび/または直径Dは、ロール3をロールスタンド2から取り外し、ロール3をロール交換台車6に移す間に、または前記手順の直後の時に検出されることが重要である。よって、検出は、ロール交換台車6がロールスタンド2から離れるように移動される前に実施される。
【0034】
検出は、測定システム7を利用して自動式に実施され、測定システムは、ロールスタンド2上、またはロール交換台車6上に配置される。さらに、検出は、ロール軸の方向で見たときの場所の決定で実施される、つまり、少なくともあらかじめ規定された検出位置p´において実施される。直接隣接する検出位置p´は、例えば互いから8cm、10cm、12cm、15cmまたは20cmの間隔を有することができる。
【0035】
さらに、温度Tおよび/または直径Dは、測定システム7を利用して個別に、かつ互いに独立して検出することができる。よって、特定の検出位置p´に関して検出された温度Tから、別の検出位置p´に関する温度Tについての結論を導き出すことは不可能であるか、または容易には可能でない。同様の状況が、検出された直径Dに関しても当てはまる。この手順の可能な実装形態が以下に説明される。
【0036】
検出された温度Tおよび/または直径Dは、測定システム7からオートメーションユニット4に自動的に転送される。この目的のために、測定システム7は、オートメーションユニット4とのデータリンクを有する。有線転送または無線転送が、ここでの可能な選択肢である。無線転送を実装するため、測定システム7およびオートメーションユニット4は、例えば
図5の例証に従って、アンテナ8を介して無線リンクを実装することができる。
【0037】
検出された温度Tおよび/または直径Dは、オートメーションユニット4が検出された温度Tおよび/または直径Dをあらかじめ規定された検出位置p´に対応付けられる状態となるように転送される。例えば、検出位置p´が同時に転送される場合がある。オートメーションユニット4はまた、温度Tおよび/または直径Dがどの検出位置p´において検出されるか、および温度Tおよび/または直径Dがどの順序で測定システム7からオートメーションユニット4に転送されるか、を前もって知ることが可能である。
【0038】
オートメーションユニット4は、
図6によるステップS1において、転送された温度Tおよび/または直径Dを受け取る。ステップS2で、オートメーションユニット4は、座標マッチングを実施する。検出位置p´に関して検出された温度Tおよび/または直径Dを使用して、例えば線形補間によって、または任意の他の種類の補間法によって特定位置pに関して対応する温度Tおよび/または直径Dを特定することができる。1つの代替として、ステップS2において、特定位置pに関してモデルの助けを借りて特定された温度Tおよび/または直径Dを、線形補間によって、または任意の他の種類の補間法によって検出位置p´に変換することが可能である。検出位置p´と特定位置pとが互いに直接対応している場合、ステップS2は省略することができる。
【0039】
ステップS3で、オートメーションユニット4は、ロールモデル5を利用して特定されたロール3の温度Tおよび/または対応する直径Dを、測定システム7を利用して検出されたロール3の温度Tおよび/または直径Dと比較する。詳細には、ステップS3において、オートメーションユニット4は、温度Tの比較に基づいて、ロールモデル5の第1のモデルパラメータk1に関する第1の修正値δk1を特定し、直径Dの比較に基づいて、ロールモデル5の第2のモデルパラメータk2に関する第2の修正値δk2を特定することが可能である。特定された修正値δk1、δk2を使用して、オートメーションユニット4はその後、ステップS4でモデルパラメータk1、k2を修正することができ、それによりロールモデル5を適合させることができる。当然のことながら、モデルパラメータk1、k2は、ロール3の温度Tおよび/または直径Dの決定の一部になり、これはロールモデル5を利用して実施される。
【0040】
次に、温度Tおよび/または直径Dの検出を実行することができる可能な実施形態を、
図7から
図11と組み合わせて以下で説明する。
【0041】
全ての実施形態において、2つのロール3のための格納装置が存在する。実施形態のほとんどでは、格納装置は、
図7から
図10の例証に従ってロール交換台車6として設計されている。このようなケースでは、格納装置(すなわちロール交換台車6)は、ロール3をロールスタンド2から格納装置へと移すことができる、またはその逆も同様であるようなやり方で、ロールスタンド2に対して位置決めすることができる。しかしながら個々のケースでは、格納装置は、
図11の例証のように、ロールスタンド2自体の構成部分である場合もある。
【0042】
よって、例えば
図7に例証によると、測定システム7は、各ロール3について複数の測定装置9を有することが可能である。
図7による実施形態では、測定装置9は、ロール交換台車6の本体10に対して固定された場所に配置される。測定装置9を利用して、各ケースにおいて、ロール軸の方向で見たときの、あらかじめ規定された検出位置p´の1つにおいて、それぞれのロール3の温度Tおよび/または直径Dが検出される。
図7による実施形態の文脈において、ロール3はこれにより、最初にロールスタンド2から取り外され、ロール交換台車6へと移される。この後、各測定装置9は、そのそれぞれの検出位置p´について関連するロール3の温度Tおよび/または直径Dを検出する。温度Tの検出は、接触によるものと、非接触式のいずれでも達成することができる。接触による温度Tの検出は、例えば感知プローブを利用して達成することができる。この目的のために、感知プローブは、例えばPT100要素を実装することができる。同一の感知プローブまたは何らかの他の感知プローブを利用して、適用可能な場合には接触による直径Dの検出を行うことも可能である。直径Dを検出するために、対応する感知プローブは、例えばマイクロメーターねじと設計が似ている場合がある。1つの代替として、温度Tの非接触検出は、例えば赤外線カメラを利用して行うことができる。例えばレーザによる距離測定または超音波による距離測定を利用して、直径Dの非接触検出を行うことも同様に可能である。
【0043】
図8は、
図7のものと同様の実施形態を示す。
図8に示される実施形態の場合にも、測定システム7は、各ロール3について複数の測定装置9を有する。しかしながら
図7の実施形態とは対照的に、
図8による実施形態における測定装置9は、本体10に対してロール軸の方向に個別に、または一緒に可動であるように配置されている。可動性は、
図8における対応する両方向矢印によって示される。測定装置9を利用して、各ケースにおいて、ロール軸の方向で見たときの、あらかじめ規定された検出位置p´の少なくとも1つを含むそれぞれのサブセクションにおいて、それぞれのロール3の温度Tおよび/または直径Dを検出することができる。他の点に関しては、
図7に関連する表現が引き続き適用される。
【0044】
図7および
図8に示される実施形態のケースでは、測定システム7は、各ケースにおいて、各ロール3について複数の測定装置9を有する。しかしながら、測定システム7が、各ロール3について単一の測定装置9しか持たないことも可能である。このようなケースでは、ロール軸の方向で見たときの、少なくともあらかじめ規定された検出位置p´の全てにおいて、個々の測定装置9を利用してそれぞれのロール3の温度Tおよび/または直径Dを検出することが可能である必要がある。
【0045】
そのような検出を可能にするために、例えば
図9の実施形態を採用することができる。
図9は、基本的に
図8の実施形態である。違いは、
図8の実施形態とは対照的に、各ロール3に関して、単一の測定装置9しか存在していないが、その埋め合わせとして、この測定装置9を、ロール軸の方向で見たときに移動させることができる領域が、これに対応して大きく、よって測定装置9を少なくともロール3の有効バレル長の全体にわたって移動させることが可能である。
図9では、
図8と同様に、可動性は、対応する両方向矢印によって示される。
【0046】
結果として、各ロール3に関して、単一の測定装置9を利用してあらかじめ規定された検出位置p´の全てにおけるデータ取得のための唯一の重要な要因は、ロール3に対する測定装置9の相対運動である。したがって、ロール3がロール交換台車6の本体10内で停止しており、測定装置9が移動されるかどうか、または反対に測定装置9が停止しており、ロール3が移動されるかどうかは、データの取得中には重要ではない。したがって、
図10の例証によると、
図9の手順を運動学的に反転させることで、測定装置9を、ロール交換台車6の本体10上の固定された場所に配置することが可能である。
【0047】
このようなケースでは、測定装置9は、それぞれのロール3が、ロールスタンド2からロール交換台車6へのまたはその逆への移送中に測定装置9を通り過ぎるように移動されるようなやり方で配置されるだけでよい。これは、容易に実装することができる。
【0048】
正確には、この実施形態は、すなわち測定装置9が固定された場所に配置され、それぞれのロール3がロールスタンド2からロール交換台車6へのまたはその逆への移送中に、測定装置9を通り過ぎて移動されるような実施形態は、
図11の例証に従って、測定装置9が、ロール交換台車6上の固定された場所に配置されず、ロールスタンド2自体の上に、詳細にはオペレータ側のスタンドハウジング2´上に配置されるようなやり方で実装することもできる。このようなケースでは、格納装置はしたがって、ロールスタンド2の構成部分である。
【0049】
本発明には多くの利点がある。詳細には、ロールモデル5のモデルパラメータk1、k2の継続的な修正が、簡素で信頼できる形式で可能である。改良されたモデル化により、圧延ストック1の圧延における品質を改善することもできる。詳細には、厚さ、平坦さ、および輪郭の品質を高めることができる。圧延ストック1の温度のモデル化もまた改善することができる。さらに、新たな材料の圧延における改善された予測が可能である。
【0050】
好的な例示の実施形態を利用して、本発明を例示し、より具体的に記載してきたが、本発明は、開示される実施例によって制限されるものではなく、本発明の保護の範囲を超えることなく、当業者によってそこから他の変形形態を導き出すことができる。
【符号の説明】
【0051】
1 ・・・圧延ストック
2 ・・・ロールスタンド
2´、2´´ ・・・スタンドハウジング
3 ・・・ロール
4 ・・・オートメーションユニット
5 ・・・ロールモデル
6 ・・・ロール交換台車
7 ・・・測定システム
8 ・・・アンテナ
9 ・・・測定装置
10 ・・・本体
BD ・・・動作データ
D ・・・直径
k1、k2 ・・・モデルパラメータ
p ・・・特定位置
p´ ・・・検出位置
S1からS4 ・・・ステップ
SD ・・・制御データ
T ・・・温度
δk1、δk2 ・・・修正値
【外国語明細書】