【解決手段】 ワンタッチ固定具10は、基礎面に固定されて引掛け受部29を有して基礎面から突出する錐形の突起部材26と、突起部材26をケース底部から突出させるキャップ据付具12と、キャップ据付具12の外側側面に設けられて着脱対象品100をキャップ据付具12に固定させる固定機構39と、キャップ据付具12に一端が固定されて引掛け受部29に押し当てられる引掛け部46aと、キャップ据付具12に一端が固定されて突起部材18の錐形面に弾性を有して押し当てられる押当部46bと、キャップ据付具12にスライド回転可能に嵌め合わせられるレバーキャップ13と、レバーキャップ13に内設されスライド回転で引掛け部46aを弾性変形させて引掛け受部29への当接を解除する掛外し爪と、を備える。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
以下の実施形態では、本発明に係るワンタッチ固定具について自動車のフロアマットに取り付けた例で説明する。なお、以下の実施形態において、上下の表現はフロアマットを車内に敷いた状態を基準にしたもので、カーペット側が下方になる。
【0011】
まず、
図1を用いて、実施形態に係るワンタッチ固定具10を備えるフロアマット100について概説する。
実施形態に係るフロアマット100には、
図1に示されるように、ワンタッチ固定具10の一部を構成するレバーアセンブリ11が固定される。
【0012】
レバーアセンブリ11は、キャップ据付具12にレバーキャップ13が嵌め合わされて構成されるレバーケースと、このレバーケースの内部機構、及びその付属機構で構成される。
レバーキャップ13の仕切り14上面に設けられたつまみリブ16を回転軸C周りに所定角度回転させると、カーペット17(
図3)などの基礎面からフロアマット100がレバーアセンブリ11ごと浮き上がり取り外される。
【0013】
以下、
図2〜
図6を用いてワンタッチ固定具10の構造について詳述する。
図2は、実施形態に係るワンタッチ固定具10を回転軸Cを通る縦断面で切断した側面断面図である。ただし、
図2では、
図6等で示されるトーションばね40の図示は省略されている。
図3は、ブラケット(突起部材)18を基礎面の一例であるカーペット17に取り付けた時の図である。
図4は、レバーアセンブリ11を
図1とは反対側からみた斜視図である。
ただし、
図4では、
図5のキャップ据付具裏座19の図示は省略している。
図5は、キャップ据付具12に取り付けられるキャップ据付具裏座19の斜視図である。
【0014】
まず、
図2に示されるように、フロアマット100の下には、カーペット17が敷かれている。
カーペット17は、中央部付近が穿孔されてブラケット裏座21の円筒部22がカーペット17の裏側から嵌め込まれる。
【0015】
この円筒部22には、ブラケット18の支柱部23が嵌まり込み、それぞれ対向面に設けられた雄雌の係止溝で互いに固定される。
カーペット17は、ブラケット裏座21及びブラケット18のスカート部27で挟持される。カーペット17がこれらブラケット裏座21及びスカート部27のそれぞれに設けられたブラケット爪26で裏表から噛み込みまれることで、ブラケット18はカーペット17に強固に固定される。
【0016】
カーペット17の表面からは、
図2及び
図3に示されるように、スカート部27に一体形成された錐形頭部28が突出する。
錐形頭部28とスカート部27との間の首部は、くびれて径が小さくなり引掛け受部29を形成している。
ブラケット18の錐形頭部28は、
図4に示されるような逆灰皿形状のキャップ据付具12のケース底部30に設けられた突出孔31からレバーアセンブリ11内に嵌め込まれる。
【0017】
キャップ据付具12の外側側面では、開口縁部分が、径方向外向きに広がり、フロアマット留爪32を有するフランジ(固定機構)12aを形成する。
また、キャップ据付具12の外側側面の底部付近には、
図5に示されるような中空円盤形状を有するキャップ据付具裏座(固定機構)19が嵌まり込み、雌雄の鈎部36a,36bで互いに固定される。
フロアマット100には、キャップ据付具12を嵌め込む据付孔が設けられる。この据付孔の周辺部が固定機構12a,19で裏表から挟持されることで、キャップ据付具12がフロアマット100に強固に固定される。
【0018】
また、レバーアセンブリ11内では、突出孔31周辺のケース底部30に、低台48a及び高台48bで構成される留台が設けられる。なお、留台48a,48bについては、
図6で改めて説明する。
【0019】
また、キャップ据付具12のケース底部30には、例えば
図4のように4つのスライド孔42が設けられる。このスライド孔42には、レバーキャップ13の4つの脚部のスライド爪43が掛けられ係止される。スライド爪43がスライド孔42の開口範囲内でスライドすることで、レバーキャップ13がこの開口範囲内でスライド回転可能になる。
【0020】
また、レバーキャップ13の側面にはスライド回転とともに回転する掛外し爪44(
図7(B))が内設される。
また、後述するダブルトーションばね40(
図6)の数に対応させて例えば4本回転軸C周りに支軸柱41が設けられる。
仕切り14は、掛外し爪44の上部でちょうど支軸柱41の頭頂部付近に配置される。
【0021】
次に、
図6は、レバーキャップ13を取り除いて示すレバーアセンブリ11の斜視図である。
キャップ据付具12には、
図6に示されるように、例えば2つのダブルトーションばね40が配置される。
実施形態で使用されるダブルトーションばね40は、ワイヤ46を巻き回して形成される支軸部47が異なる支軸を有する。そして、支軸部47のそれぞれが、支軸柱41a,41bに掛けられる。
【0022】
ワイヤ46は、引掛け部となるばね腕46a分を始端側に残して支軸柱41aの下端から巻き回される。このワイヤ46は、支軸柱41の上端まで到達した後、他の支軸柱41bの下端に再び引き下げられながら延び、支軸柱41bの下端から上端へ巻き回される形状を有する。支軸柱41bの上端からは押当部となる終端側のばね腕46bが延びる。この結果、ワイヤ46は、支軸部47で同一方向に巻き回される。また、引掛け部46aの先端はレバーキャップ13側に向かって屈曲して、掛外し爪44(
図7(B)等)に確実に係止されるように成形される。
【0023】
そして、ばね腕46a,46bはいずれも、留台48a,48bに、互いに交差するように押し当てられる。
低台48aは、錐形頭部28の下端高さ以下の高さ、即ち引掛け受部29の高さに設計される。この低台48aは、ブラケット18がキャップ据付具12内に挿入されたときには、引掛け部46aが引掛け受部29に引っ掛かるように大きさ、位置及び形状が設計される。
【0024】
高台48bは、錐形頭部28の下端高さより高い高さに設計される。この高台48bは、ブラケット18がキャップ据付具12内に挿入されたときには、押当部46bがブラケット18の錐形頭部28に押し当てられるように大きさ、位置及び形状が設計される。
このような留台48a,48bの構成により、レバーアセンブリ11が完全にブラケット18に取り付けられた際には、押当部46bはブラケット18の錐形頭部28に、引掛け部46aはくびれ部の引掛け受部29に引掛けられることになる。
【0025】
押当部46bと引掛け部46aとは互いに交差しているため、これらのばね腕46a,46bはいずれも広がろうとして交差を解く向きに弾性的な復元力を発生させる。つまり、これらいずれのばね腕46a,46bも、取り付けられた状態ではブラケット18の回転軸Cに向く力(ばね力)を発生させて自然形状に復元しようとする。
【0026】
押当部46bに回転軸C側に復元する力が働くと、この押当部46bはブラケット18の錐形頭部28から斜面に垂直に抗力を受ける。この抗力は押当部46bを上方に押し上げる力成分を含んでいる。従って、引掛け部46aが引掛け受部29に引っかかっていない場合、ダブルトーションばね40全体が錐形頭部28の斜面に沿って上方に滑り上がろうとする。
【0027】
なお、本実施形態では、ダブルトーションばね40が単に支軸柱41に掛けられている場合も、「ばね腕46a,46bは、レバーケース内に固定されている」に含まれるものとする。ダブルトーションばね40は、当然に上下のレバーケースに接着剤で固定されていてもよい。
【0028】
また、引掛け部46a及び押当部46bをダブルトーションばね40のばね腕である例で説明したが、これら引掛け部46a及び押当部46bは、ワイヤ状のものに限定されない。
押当部46bとレバーケースとが連動して回転軸方向に上下シフトするものであれば、押当部46bは引掛け部46aと一体的になっている必要はない。
また、引掛け部46aも、引掛け受部29に引っ掛かることで、レバーケースの上方へのシフトを阻止することができれば形状は特に限定されない。
【0029】
次に、
図7(A),(B)及び
図8(A),(B)を用いて、ロック時及びロック解除時の配置構造及び動作について説明する。
図7(A)は、ロック時のワンタッチ固定具10の上面図である。
図7(B)は、ロック時のワンタッチ固定具10で仕切り14よりの下側(カーペット17側)の配置状態を示す図である。
【0030】
図7(B)に示されるように、引掛け部46a先端の屈曲部46a
1には、掛外し爪44が掛けられている。
このとき、引掛け部46aは、くびれ部の引掛け受部29に引っかかっているため、レバーアセンブリ11はブラケット18に固定される。
【0031】
一方、
図8(A)は、ロック解除時のワンタッチ固定具10の上面図であり、
図8(B)は、ロック解除時のワンタッチ固定具10で仕切り14よりの下側(カーペット17側)の配置状態を示す図である。
図8(A)のようにつまみリブ16を右回転させると、
図8(B)のようにレバーキャップ13とともに掛外し爪44も屈曲部46a
1ごとキャップ据付具12に対し回転する。
【0032】
すると、引掛け部46aが引掛け受部29から外されて、ダブルトーションばね40を錐形頭部28に沿って上方に押し上げようとする力に対する抗力がなくなる。この結果、押当部46bが広がりながらダブルトーションばね40を錐形頭部28の表面上をスライドさせて上方へシフトさせる。ダブルトーションばね40は、レバーキャップ13に接触しこのレバーキャップ13を押し上げる。
よって、最初に述べたように、レバーアセンブリ11がフロアマット100ごとブラケット18から浮き上がるように外れる。
【0033】
次に、
図9(A),(B)及び
図10(A)〜
図10(C)を用いて、ワンタッチ固定具10をフロアマット100以外の物品に用いた例を説明する。
ワンタッチ固定具10は、
図9(A)ではバッグ50に、
図9(B)でキャリーケース60に、
図10(A)ではランドセル70に、
図10(B)ではベルト80に、図(C)では手帳90に、取り付けられる。
【0034】
図9(A)のバッグ50では、例えば、バッグ本体部51が基礎面となりブラケット18が設けられる。そして、バッグ本体部51の開口部を塞ぐバッグカバー52にレバーアセンブリ11が取り付けられて、バッグ本体部51にバッグカバー52がワンタッチで着脱可能に固定される。なお、バッグ50は、ビジネスバッグ、ハンドバッグ、化粧ポーチ等種々のバッグが含まれる。
【0035】
図9(B)のキャリーケース60では、例えば、開口部が突合された2つの開口ケース60a,60bの一方にブラケット18が設けられる。そして、他方の開口ケース60bから延びるベロ61にレバーアセンブリ11が設けられ、開口ケース60a,60bの突合状態を維持する。
なお、キャリーケース60には、ケース内外に種々の開口部があるため、
図9(B)のようなハンドル62付近に設ける例に限らず、自由な位置に設けられて開口部を閉じた状態に維持するために用いることができる。
【0036】
図10(A)のランドセル70では、ワンタッチ固定具10は、ランドセル本体71の底部で冠72を固定する錠前として利用されている。
この場合、鍵本体部73にブラケット18が設けられ、サガリとしてレバーアセンブリ11が用いられる。
なお、ランドセル70には、ランドセル本体71の内外にも開口部があるため、
図10(A)のようなサガリとしての例に限らず、自由な位置に設けられて開口部を閉じた状態に維持するために用いることができる。なお、ランドセル70は一例であり、リュックサックやシュラフなど鞄類全般に取り付けることができる。
【0037】
図10(B)のベルト80では、ベルト皮81にブラケット18が設けられ、バックルとしてレバーアセンブリ11が用いられる。
なお、ベルト80は一例であり、ワンタッチ固定具10は、ロープやたすき、シートベルト等の長尺物の固定具としても用いることができる。
図10(B)の手帳90では、手帳カバー91にブラケット18が設けられ、手帳留めとしてレバーアセンブリ11が用いられる。
なお、手帳90は一例であり、ワンタッチ固定具10は、ブックカバー、パスポートケース、小物ケース等の収納物の固定具としても用いることができる。
【0038】
さらに、例えば、鞄の蓋や壁掛け、射影スクリーン、レジャーシート、天板、灯油缶など、度々取り外しをすることが想定される柔軟部材、可撓部材、又は板材等であれば本発明に係るワンタッチ固定具を適用する着脱対象品になりうる。
【0039】
以上のように、実施形態に係るワンタッチ固定具10によれば、構造が簡素でワンタッチで着脱ができ、特にレバーキャップ13を回転操作させるだけで取り外しをすることができる。
【0040】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。
実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができる。実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。