特開2021-109641(P2021-109641A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-109641(P2021-109641A)
(43)【公開日】2021年8月2日
(54)【発明の名称】砕氷船用推進器
(51)【国際特許分類】
   B63B 35/10 20060101AFI20210705BHJP
   B63H 21/14 20060101ALI20210705BHJP
   B63H 23/08 20060101ALI20210705BHJP
   B63H 5/08 20060101ALI20210705BHJP
【FI】
   B63B35/10
   B63H21/14
   B63H23/08
   B63H5/08
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2020-78546(P2020-78546)
(22)【出願日】2020年4月27日
(31)【優先権主張番号】202010019596.5
(32)【優先日】2020年1月8日
(33)【優先権主張国】CN
(71)【出願人】
【識別番号】519461716
【氏名又は名称】汪涛
(74)【代理人】
【識別番号】100115303
【弁理士】
【氏名又は名称】岩永 和久
(72)【発明者】
【氏名】樊炯
(57)【要約】      (修正有)
【課題】砕氷を補助するために船体を上下に動かす機能を有する砕氷船用推進器を提示する。
【解決手段】船体21の中に動力空間23が位置的に左右対称に設けられ、動力空間の上側には上げ空間35が位置的に左右対称に設けられ、上げ空間の中には船体を上げることを補助できる補助装置101が設けられ、補助装置は位置的に左右対称に設けられた支持板38を含み、支持板が上げ空間の間にそれぞれ固定的に取り付けられ、支持板の中には駆動軸37が回転できるように連結され、各駆動軸の下側には上げファン36が固定的に設けられ、各駆動軸の上側には従動傘歯車33が固定的に設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
船体を含み、前記船体の中には動力空間が位置的に左右対称に設けられ、前記動力空間の上側には上げ空間が位置的に左右対称に設けられ、前記上げ空間の中には船体を上げることを補助できる補助装置が設けられ、前記補助装置は位置的に左右対称に設けられた支持板を含み、前記支持板が前記上げ空間の間にそれぞれ固定的に取り付けられ、前記支持板の中には駆動軸が回転できるように連結され、各前記駆動軸の下側には上げファンが固定的に設けられ、各前記駆動軸の上側には従動傘歯車が固定的に設けられ、前記動力空間の間には船体を移動させることのできる動力装置が設けられ、前記船体の底面には移動板が位置的に左右対称に固定的に設けられ、各前記移動板には前記移動板を上下に貫通した調節溝が形成され、前記移動板の間には船体の前進方向を変えることのできる転向装置が設けられ、前記動力空間の間には調節空間が設けられ、前記調節空間の下壁には開口溝が形成され、前記開口溝の左右両壁には水止め溝が形成され、前記調節空間と前記開口溝と前記水止め溝との間には前記転向装置を揺動させることのできる駆動装置が設けられていることを特徴とする砕氷船用推進器。
【請求項2】
前記動力装置は、前記動力空間の間に固定的に取り付けられた発動機を含み、前記発動機の左右両側には前記動力空間と連通した燃料空間が位置的に上下対称に固定的に設けられ、各前記燃料空間の中には推動棒がスライドできるように連結され、前記推動棒の中にはヒンジ棒がヒンジによって連結され、左側の前記上げ空間の下壁と左側の前記動力空間の上下両壁と前記船体の底面の間には一つのクランクが回転できるように連結され、右側の前記上げ空間の下壁と右側の前記動力空間の上下両壁と前記船体の底面との間にはもうひとつの前記クランクが回転できるように連結され、前記クランクが前記ヒンジ棒とヒンジによって連結され、前記クランクの上側には前記従動傘歯車と噛合できる扇形傘歯車が固定的に設けられ、前記クランクの下側にはそれぞれタービンが固定的に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の砕氷船用推進器。
【請求項3】
前記転向装置は、前記調節溝の上下両壁の間に回転できるように取り付けられた回転棒を含み、前記回転棒が位置的に左右対称になっており、各前記回転棒にはそれぞれ案内板が固定的に設けられ、各前記案内板の片側面にはそれぞれ駆動小型ブロックがスライドできるように連結され、前記駆動小型ブロックと前記案内板とが駆動ばねによって連結され、前記駆動ばねが位置的に上下対称となっており、左側の二つの前記駆動小型ブロックが一本の連結棒によって連結され、右側の二つの前記駆動小型ブロックも一本の前記連結棒によって連結され、前記連結棒が前記駆動小型ブロックとスライドできるように連結され、前記連結棒の中心部分には連結点が固定的に設けられ、各前記移動板の中にはそれぞれ回転ヘッドがスライドできるように連結され、前記回転ヘッドの底側には円形ヘッド回転棒が固定的に設けられ、前記連結棒の中には貫通溝が形成され、前記連結棒が前記貫通溝を貫通しており、前記貫通溝の中には調節棒がスライドできるように連結され、前記調節棒が前記連結点とスライドできるように連結され、前記調節棒と前記円形ヘッド回転棒が調節ばねによって連結されていることを特徴とする請求項1に記載の砕氷船用推進器。
【請求項4】
前記駆動装置は、前記調節空間の左壁に固定的に取り付けられた調節モーターを含み、前記調節モーターの中にはローラーが伝動できるように連結され、前記ローラーの中には移動棒がスライドできるように連結され、前記移動棒には前記水止め溝とスライドできるように連結された水止め板が固定的に設けられ、前記移動棒には揺動棒がスライドできるように連結され、前記揺動棒の左右両側には駆動ブロックが位置的に対称に固定的に設けられ、前記駆動ブロックが前記円形ヘッド回転棒とスライドできるように連結されていることを特徴とする請求項1に記載の砕氷船用推進器。
【請求項5】
前記駆動軸と前記従動傘歯車との間にはラチェット機構が設けられ、船体が後退するとき、前記従動傘歯車が前記駆動軸を回転させられないことを特徴とする請求項2に記載の砕氷船用推進器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は船舶推進分野を取り上げて、具体的には砕氷船用推進器である。
【背景技術】
【0002】
砕氷船とは、水面の氷を砕いて、航路を開くために使われる船である。氷圧に耐えるため特に船首を中心に船体は強固な構造になっている。船型によってアメリカ型とヨーロッパ型に、また活動の場によって内海型と航洋型に分れる。
砕氷船による砕氷作業において、砕氷を補助するために船体を上下に動かす必要のある場合が多いが、一般的な船舶の推進器は船体を前進させるだけで、砕氷船の砕氷作業を補助する上向きの力を提供できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】中国特許出願公開第101475056号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願発明の目的は砕氷船用推進器を提供し、それは上記の現在の技術中の問題を解決できる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するため、本願発明は以下の技術プランを採用する:砕氷船用推進器は、船体を含み、前記船体の中には動力空間が位置的に左右対称に設けられ、前記動力空間の上側には上げ空間が位置的に左右対称に設けられ、前記上げ空間の中には船体を上げることを補助できる補助装置が設けられ、前記補助装置は位置的に左右対称に設けられた支持板を含み、前記支持板が前記上げ空間の間にそれぞれ固定的に取り付けられ、前記支持板の中には駆動軸が回転できるように連結され、各前記駆動軸の下側には上げファンが固定的に設けられ、各前記駆動軸の上側には従動傘歯車が固定的に設けられ、前記動力空間の間には船体を移動させることのできる動力装置が設けられ、前記船体の底面には移動板が位置的に左右対称に固定的に設けられ、各前記移動板には前記移動板を上下に貫通した調節溝が形成され、前記移動板の間には船体の前進方向を変えることのできる転向装置が設けられ、前記動力空間の間には調節空間が設けられ、前記調節空間の下壁には開口溝が形成され、前記開口溝の左右両壁には水止め溝が形成され、前記調節空間と前記開口溝と前記水止め溝との間には前記転向装置を揺動させることのできる駆動装置が設けられている。
【0006】
優選の技術プランとして、前記動力装置は、前記動力空間の間に固定的に取り付けられた発動機を含み、前記発動機の左右両側には前記動力空間と連通した燃料空間が位置的に上下対称に固定的に設けられ、各前記燃料空間の中には推動棒がスライドできるように連結され、前記推動棒の中にはヒンジ棒がヒンジによって連結され、左側の前記上げ空間の下壁と左側の前記動力空間の上下両壁と前記船体の底面の間には一つのクランクが回転できるように連結され、右側の前記上げ空間の下壁と右側の前記動力空間の上下両壁と前記船体の底面との間にはもうひとつの前記クランクが回転できるように連結され、前記クランクが前記ヒンジ棒とヒンジによって連結され、前記クランクの上側には前記従動傘歯車と噛合できる扇形傘歯車が固定的に設けられ、前記クランクの下側にはそれぞれタービンが固定的に設けられている。
【0007】
優選の技術プランとして、前記転向装置は、前記調節溝の上下両壁の間に回転できるように取り付けられた回転棒を含み、前記回転棒が位置的に左右対称になっており、各前記回転棒にはそれぞれ案内板が固定的に設けられ、各前記案内板の片側面にはそれぞれ駆動小型ブロックがスライドできるように連結され、前記駆動小型ブロックと前記案内板とが駆動ばねによって連結され、前記駆動ばねが位置的に上下対称となっており、左側の二つの前記駆動小型ブロックが一本の連結棒によって連結され、右側の二つの前記駆動小型ブロックも一本の前記連結棒によって連結され、前記連結棒が前記駆動小型ブロックとスライドできるように連結され、前記連結棒の中心部分には連結点が固定的に設けられ、各前記移動板の中にはそれぞれ回転ヘッドがスライドできるように連結され、前記回転ヘッドの底側には円形ヘッド回転棒が固定的に設けられ、前記連結棒の中には貫通溝が形成され、前記連結棒が前記貫通溝を貫通しており、前記貫通溝の中には調節棒がスライドできるように連結され、前記調節棒が前記連結点とスライドできるように連結され、前記調節棒と前記円形ヘッド回転棒が調節ばねによって連結されている。
【0008】
優選の技術プランとして、前記駆動装置は、前記調節空間の左壁に固定的に取り付けられた調節モーターを含み、前記調節モーターの中にはローラーが伝動できるように連結され、前記ローラーの中には移動棒がスライドできるように連結され、前記移動棒には前記水止め溝とスライドできるように連結された水止め板が固定的に設けられ、前記移動棒には揺動棒がスライドできるように連結され、前記揺動棒の左右両側には駆動ブロックが位置的に対称に固定的に設けられ、前記駆動ブロックが前記円形ヘッド回転棒とスライドできるように連結されている。
【0009】
優選の技術プランとして、前記駆動軸と前記従動傘歯車との間にはラチェット機構が設けられ、船体が後退するとき、前記従動傘歯車が前記駆動軸を回転させられない。
【発明の効果】
【0010】
本願発明は、従来の砕氷船と比べ、船体を上昇させられる上げファンを備え、砕氷船の砕氷方法が船首で氷を砕くのだから、上げファンによって船首をより高く上げられ、より大きな下向きの力を生み出すことができ、砕氷作業がより簡単になり、さらに、転向装置によって、船体の方向をより簡単に素早く変えられる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
下記に図1〜4をあわせて本願発明について詳しく説明し、便利に説明するために、下記の方向を以下のように規定する:図1は本願発明装置の正面図であり、以下に述べる上下左右前後の方向と図1の自身投影関係の上下左右前後の方向とが一致である。
【0012】
図1図1は本願発明の全体断面の正面構成略図
図2図2図1のAの部分拡大図
図3図3図1のBの部分拡大図
図4図4図1の扇形歯車の略図
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1〜4を参照し、砕氷船用推進器は、船体21を含み、前記船体21の中には動力空間23が位置的に左右対称に設けられ、前記動力空間23の上側には上げ空間35が位置的に左右対称に設けられ、前記上げ空間35の中には船体を上げることを補助できる補助装置101が設けられ、前記補助装置101は位置的に左右対称に設けられた支持板38を含み、前記支持板38が前記上げ空間35の間にそれぞれ固定的に取り付けられ、前記支持板38の中には駆動軸37が回転できるように連結され、各前記駆動軸37の下側には上げファン36が固定的に設けられ、各前記駆動軸37の上側には従動傘歯車33が固定的に設けられ、前記動力空間23の間には船体を移動させることのできる動力装置102が設けられ、前記船体21の底面には移動板43が位置的に左右対称に固定的に設けられ、各前記移動板43には前記移動板43を上下に貫通した調節溝44が形成され、前記移動板43の間には船体の前進方向を変えることのできる転向装置103が設けられ、前記動力空間23の間には調節空間25が設けられ、前記調節空間25の下壁には開口溝32が形成され、前記開口溝32の左右両壁には水止め溝30が形成され、前記調節空間25と前記開口溝32と前記水止め溝30との間には前記転向装置103を揺動させることのできる駆動装置104が設けられている。
【0014】
前記動力装置102は、前記動力空間23の間に固定的に取り付けられた発動機42を含み、前記発動機42の左右両側には前記動力空間23と連通した燃料空間41が位置的に上下対称に固定的に設けられ、各前記燃料空間41の中には推動棒40がスライドできるように連結され、前記推動棒40の中にはヒンジ棒39がヒンジによって連結され、左側の前記上げ空間35の下壁と左側の前記動力空間23の上下両壁と前記船体21の底面の間には一つのクランク22が回転できるように連結され、右側の前記上げ空間35の下壁と右側の前記動力空間23の上下両壁と前記船体21の底面との間にはもうひとつの前記クランク22が回転できるように連結され、前記クランク22が前記ヒンジ棒39とヒンジによって連結され、前記クランク22の上側には前記従動傘歯車33と噛合できる扇形傘歯車34が固定的に設けられ、前記クランク22の下側にはそれぞれタービン59が固定的に設けられ、
前記発動機42を起動することで前記推動棒40を左右に移動させ、そして前記ヒンジ棒39によって前記クランク22を回転させる。
【0015】
前記転向装置103は、前記調節溝44の上下両壁の間に回転できるように取り付けられた回転棒45を含み、前記回転棒45が位置的に左右対称になっており、各前記回転棒45にはそれぞれ案内板46が固定的に設けられ、各前記案内板46の片側面にはそれぞれ駆動小型ブロック47がスライドできるように連結され、前記駆動小型ブロック47と前記案内板46とが駆動ばね48によって連結され、前記駆動ばね48が位置的に上下対称となっており、左側の二つの前記駆動小型ブロック47が一本の連結棒55によって連結され、右側の二つの前記駆動小型ブロック47も一本の前記連結棒55によって連結され、前記連結棒55が前記駆動小型ブロック47とスライドできるように連結され、前記連結棒55の中心部分には連結点49が固定的に設けられ、各前記移動板43の中にはそれぞれ回転ヘッド58がスライドできるように連結され、前記回転ヘッド58の底側には円形ヘッド回転棒50が固定的に設けられ、前記連結棒55の中には貫通溝54が形成され、前記連結棒55が前記貫通溝54を貫通しており、前記貫通溝54の中には調節棒52がスライドできるように連結され、前記調節棒52が前記連結点49とスライドできるように連結され、前記調節棒52と前記円形ヘッド回転棒50が調節ばね51によって連結され、
前記円形ヘッド回転棒50が揺動するとき、前記連結棒55によって前記案内板46を移動させる。
【0016】
前記駆動装置104は、前記調節空間25の左壁に固定的に取り付けられた調節モーター27を含み、前記調節モーター27の中にはローラー26が伝動できるように連結され、前記ローラー26の中には移動棒28がスライドできるように連結され、前記移動棒28には前記水止め溝30とスライドできるように連結された水止め板31が固定的に設けられ、前記移動棒28には揺動棒29がスライドできるように連結され、前記揺動棒29の左右両側には駆動ブロック53が位置的に対称に固定的に設けられ、前記駆動ブロック53が前記円形ヘッド回転棒50とスライドできるように連結され、
前記調節モーター27を起動することで前記ローラー26を回転させ、そして前記水止め溝30と前記移動棒28が連動し移動し前記揺動棒29を移動させる。
【0017】
前記駆動軸37と前記従動傘歯車33との間にはラチェット機構が設けられ、船体が後退するとき、前記従動傘歯車33が前記駆動軸37を回転させられない。
【0018】
初期状態に、案内板46が垂直状態にあり、発動機42が作動していない。
【0019】
砕氷するとき、まず発動機42を起動することで推動棒40を往復に左右移動させ、そしてヒンジ棒39によってクランク22を回転させ、そしてタービン59が連動し回転し船体21を前方へ移動させ、クランク22が扇形傘歯車34を回転させることで従動傘歯車33を回転させ、扇形傘歯車34が従動傘歯車33と噛み合ったら、駆動軸37と上げファン36が連動し回転して船体21を上昇させることを補助し、従動傘歯車33が扇形傘歯車34と噛み合わなくなったら、船体21が下方への圧迫力を生み出すことによって、船体21がより簡単に砕氷を行える。
【0020】
船体21の前進方向を変えるとき、まず調節モーター27を起動することでローラー26を回転させ、そして水止め溝30と移動棒28が連動し移動し揺動棒29を移動させ、そして駆動ブロック53が連動し揺動し円形ヘッド回転棒50を揺動させ、連結棒55によって案内板46を移動させ、タービン59の回転から生み出された水流は方向が変えられ、船体21を回転させる。
【0021】
以上に述べたのはただ本願発明の具体的な実施方式で、本願発明の保護範囲はここに限らないである。全部の創造的な労働を通じなく思いついた変化と取替は本願発明の保護範囲にカバーされる。だから本願発明の保護範囲は権利要求書が限定される保護範囲を標準とする。
図1
図2
図3
図4