(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-109646(P2021-109646A)
(43)【公開日】2021年8月2日
(54)【発明の名称】娯楽設備を備える水上乗り物およびその動作方法
(51)【国際特許分類】
B63B 34/00 20200101AFI20210705BHJP
A63G 27/00 20060101ALI20210705BHJP
B63B 13/00 20060101ALI20210705BHJP
B63B 73/00 20200101ALI20210705BHJP
【FI】
B63B34/00
A63G27/00
B63B13/00
B63B73/00
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2020-171707(P2020-171707)
(22)【出願日】2020年10月12日
(31)【優先権主張番号】202010016520.7
(32)【優先日】2020年1月8日
(33)【優先権主張国】CN
(71)【出願人】
【識別番号】520395880
【氏名又は名称】スティーヴ ジーキン スー
【氏名又は名称原語表記】Steve Geeking Hsu
(74)【代理人】
【識別番号】100139723
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 洋
(72)【発明者】
【氏名】スティーヴ ジーキン スー
(57)【要約】
【課題】本発明は、娯楽設備を備える水上乗り物およびその動作方法を開示する。
【解決手段】娯楽設備を備える水上乗り物は、移動式水上乗り物を含み、この移動式水上乗り物は、動力システムおよび設置スペースを備える。設置スペースは、娯楽設備を配置するために使用できる。移動式水上乗り物を水上の所定の位置に移動できるように、輸送工程が提供され、移動式水上乗り物は、移動式水上乗り物のバラストタンクの液体注入/放出を調整することにより、所定の位置に係留できる。さらに、装置設置工程が提供され、ベースフレームが回転構造と枢軸的に組み合わせられ、少なくとも1つの乗客搬送装置が回転構造上に配置されて、港または河で、海岸でまたは他の水の領域でユーザを搬送するための娯楽設備(例えば観覧車)を形成する一方で、同時に特別な視覚的および娯楽効果を生じる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力システム(11)および設置スペース(13)を備え、水上の所定の位置に移動できる移動式水上乗り物10;および
ベースフレーム(21)、該ベースフレーム(21)と枢軸的に組み合わせられる回転構造(22)、および該回転構造(22)上に配置される少なくとも1つの乗客搬送装置(23)を備える、前記移動式水上乗り物(10)の前記設置スペース(10)上に提供される娯楽設備(20)
を含む、娯楽設備を備える水上乗り物。
【請求項2】
前記娯楽設備(20)が観覧車であることを特徴とする、請求項1に記載の娯楽設備を備える水上乗り物。
【請求項3】
前記移動式水上乗り物(10)が、液体注入および液体放出のためのバラストタンク(12)を備えることを特徴とする、請求項1に記載の娯楽設備を備える水上乗り物。
【請求項4】
前記移動式水上乗り物(10)が、前記設置スペース(13)の両側領域および前記娯楽設備(20)の両側領域の少なくとも1つの上に娯楽付属設備(30)を備えることを特徴とする、請求項1、2または3に記載の娯楽設備を備える水上乗り物。
【請求項5】
前記娯楽付属設備(30)が、水槽の景色を表示するための設備およびビデオスクリーンの少なくとも1つを備えることを特徴とする、請求項4に記載の娯楽設備を備える水上乗り物。
【請求項6】
動力システム(11)および設置スペース(13)を備える移動式水上乗り物(10)を提供する工程(A);
前記移動式水上乗り物(10)を水上の所定の位置に移動させるための輸送プロセスを提供する工程(B);
前記設置スペース(13)上に娯楽設備(20)を設置し、娯楽設備を備える前記水上乗り物を形成するための、設置工程を提供する工程であって、前記娯楽設備(20)が、ベースフレーム(21)、該ベースフレーム(21)と枢軸的に組み合わせられる回転構造(22)、および該回転構造(22)上に配置される少なくとも1つの乗客搬送装置(23)を備える、工程(C)
を含む、請求項1に記載の娯楽設備を備える水上乗り物の動作方法。
【請求項7】
工程(B)の後に工程(B1)が行われ、
工程(B1)が、所定の位置に前記移動式水上乗り物(10)を固定するための係留プロセスを提供する、
ことを特徴とする、請求項6に記載の娯楽設備を備える水上乗り物の動作方法。
【請求項8】
前記移動式水上乗り物(10)がバラストタンク(12)を備え、
工程(B1)が、前記移動式水上乗り物(10)の前記バラストタンク(12)の液体注入および液体放出を調整することにより、前記移動式水上乗り物(10)を固定する、
ことを特徴とする、請求項7に記載の娯楽設備を備える水上乗り物の動作方法。
【請求項9】
前記移動式水上乗り物(10)が、前記設置スペース(13)の両側領域および前記娯楽設備(20)の両側領域の少なくとも1つの上に娯楽付属設備(30)を備えることを特徴とする、請求項6、7または8に記載の娯楽設備を備える水上乗り物の動作方法。
【請求項10】
前記娯楽付属設備(30)が、水槽の景色を表示するための設備およびビデオスクリーンの少なくとも1つを備えることを特徴とする、請求項9に記載の娯楽設備を備える水上乗り物の動作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、娯楽設備を備える水上乗り物およびその動作方法に関し、より詳細には、娯楽設備を所定の位置に輸送および係留して特別な視覚的および娯楽効果を提供する輸送作業および係留作業と同時に作動できる娯楽設備を備えた電動水上船または他の同様の乗り物に適用できる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
観覧車または他の同様のシステムのような、ユーザを搬送する娯楽設備を提供するための、地面に固定されたベースフレームを含み、360度回転するホイールフレームおよび回転するホイールフレーム上に配置された乗客搬送キャビン、シートモジュールなどと組み合わされたアセンブリが、当該技術においてよく知られている。そのようなシステムの典型的な実施形態は、例えば、「FERRIS WHEEL」と題される特許文献1、または「WATER IMMERSION AMUSEMENT EQUIPMENT」と題される特許文献2に見られる。
【0003】
従来技術はまた、娯楽設備のベースを水の底部(岩層)に固定するための複雑な固定機構を用いる工程を含む技術を開示する。例えば、別の実践的な実施形態が、「FERRIS WHEEL ON FLOATING BASE」と題される特許文献3に記載される。
【0004】
当業者に知られるように、このタイプの大規模な娯楽設備の輸送および設置は、しばしば面倒であり費用がかかる。これらの大きい娯楽設備の輸送または元の場所から新しい場所への移動は、さまざまの制限に直面する。さらに、このタイプの娯楽設備はより大きい(土地)面積およびスペースを必要とし、地勢のような条件に制限される。
【0005】
より詳細には、上述の参考資料は、従来の娯楽設備の構造の設計および用途に関する技術を提供するが、同時に、実際の使用においてこれらの設備またはシステムにより直面するいくつかの問題を示す。したがって、上記の設備またはそれらの関連するシステムの構造を再考かつ再設計し、従来技術とは異なる特別な構造およびその動作機構を構築することが有益であり得、そのような娯楽設備の使用が変化されその用途もまた有効に拡大しうる。これらの問題への解決策は、上述の参考資料では教示、開示または議論されていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】台湾特許第100,114,658号明細書
【特許文献2】米国特許第4,960,275号明細書
【特許文献3】国際公開第2008/085032号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の欠点に鑑みて、本開示の主な目的は、娯楽設備を備える水上乗り物を提供することであり、水上乗り物は以下を含みうる:移動式水上乗り物を水上の所定の領域または所定の位置に移動させる動力システムを備える移動式水上乗り物。移動式水上乗り物は、移動式水上乗り物のバラストタンクの液体注入および液体放出を調整することにより、所定の位置に係留できる。一方、移動式水上乗り物はまた、娯楽設備の配置のための設置スペースを備える。娯楽設備は、ベースフレーム、ベースフレームと枢軸的に組み合わせられる回転構造、および回転構造上に配置された少なくとも1つの乗客搬送装置を備えてもよく、港または河で、海岸でまたは他の水の領域でユーザを搬送するための娯楽設備(例えば観覧車)を形成する一方で、同時に特別な視覚的および娯楽効果を生じる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に従った娯楽設備を備える水上乗り物の動作方法は、以下の工程を含みうる:
動力システムおよび設置スペースを備え、場合によってさらにバラストタンクを備えてもよい、移動式水上乗り物を提供する工程(A);
移動式水上乗り物を所定の領域または位置に移動させるための輸送プロセスを提供する工程(B)。工程(B1)が工程(B)の後に行われてもよく、工程(B1)は、移動式水上乗り物のバラストタンクの液体注入および液体放出を調整することにより、または他の固定方法(例えば錨泊)を用いることにより、所定の位置に移動式水上乗り物を固定するための係留プロセスを提供する;
設置スペース上にベースフレームを組み立て、ベースフレームを回転構造および回転構造上に配置された少なくとも1つの乗客搬送装置と枢軸的に組み合わせることにより、娯楽設備を備える水上乗り物を形成するための、娯楽設置工程を提供する工程(C)。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の実施形態に従った、娯楽設備と組み合わされた移動式水上乗り物の構造を示す斜視図
【
図2】本開示に従った、移動式水上乗り物、娯楽設備、動力システム、およびバラストタンクの構造を示す平面図
【
図3】本開示に従った、移動式水上乗り物および娯楽設備の輸送および設置工程を示すフローチャート
【
図4】本開示の別の実施形態に従った、移動式水上乗り物およびその上に提供される娯楽付属設備の構造を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1および2を参照して、本開示は、娯楽設備を備える水上乗り物を提供し、移動式水上乗り物10および娯楽設備20のアセンブリを含む。
【0011】
この実施形態において、移動式水上乗り物10は、動力システム11を備え、さらにバラストタンク12を備えてもよい。移動式水上乗り物10は、ボートまたは他の同様の乗り物として選択されてもよい。動力システム11は、港の埠頭、河、湖、または海岸のような水上の所定の領域または所定の位置に移動式水上乗り物10が移動することを可能とする。移動式水上乗り物10は、移動式水上乗り物10のバラストタンク12の液体注入および液体放出を調整することにより、所定の位置に係留できる。あるいは、移動式水上乗り物10は、錨泊のような他の固定方法を用いて係留できる。
【0012】
図1および2に示されるように、移動式水上乗り物10はまた、デッキまたは他の同様の領域のような設置スペース13を備える。設置スペース13は、娯楽設備20の配置に使用できる。娯楽設備20は、回転構造22と枢軸的に組み合わせられるベースフレーム21および回転構造22上に配置される乗客搬送装置23を備えて娯楽設備20(例えば、観覧車または他の同様の設備)を形成し、乗客搬送装置23は、港の埠頭または河、または海岸などのような場所において乗客を搬送するために、ポッド、シート、キャビンなどに形成でき、娯楽設備20によって回転される際のユーザの上昇中の変化を介してユーザに特別な視覚的および娯楽効果を生じる。
【0013】
図3を参照すると、娯楽設備を備える水上乗り物の動作方法は、以下の工程を含む:
工程(A):動力システム11、バラストタンク12および設置スペース13を備える移動式水上乗り物10を提供する;
工程(B):移動式水上乗り物10を所定の領域または位置に移動させるための輸送プロセスを提供する工程であって、工程(B1)が工程(B)の後に行われてもよい、工程;
工程(B1):移動式水上乗り物10のバラストタンク12の液体注入および液体放出を調整することにより、または錨泊のような他の固定方法を用いることにより、所定の位置に移動式水上乗り物10を固定するための係留プロセスを提供する;
工程(C):設置スペース13上に娯楽設備20を設置し、娯楽設備を備える水上乗り物を形成するための、設置工程を提供する工程であって、設置スペース13上に娯楽設備20のベースフレーム21を組み立てるプロセス、回転構造22をベースフレーム21に組み合わせるプロセス、および回転構造22上に乗客搬送装置23を配置するプロセスなどを含む、工程。
【0014】
図4を参照すると、別の実施形態において、例えば水槽の景色を表示する設備、ビデオスクリーンまたは表示または娯楽のための他の設備などの娯楽付属設備30が、移動式水上乗り物10上で設置スペース13(または娯楽設備20)の両側のそれぞれに提供されてもよく、ユーザが娯楽設備20において搬送されながら娯楽付属設備30のそばを過ぎて回転される際に、追加の特別な視覚的および娯楽効果を提供する。
【0015】
本開示により提供される移動式水上乗り物10によって、莫大な土地面積およびスペースを占有することなくかつ異なる地形により制限されることなく、さまざまの種類の娯楽設備20移動式水上乗り物10の設置スペース13上に設置できることが分かる。移動式水上乗り物10はまた、天候に依存して所定の位置に移動または進行することができる。その結果、娯楽設備20は、高い移動性および高い自由度を達成する。
【0016】
より詳細には、従来技術と比較して、娯楽設備を備える水上乗り物およびその動作方法は、少なくとも以下の利点および検討材料を含む:
1.移動式水上乗り物10および娯楽設備20、またはさらに娯楽付属設備30の組合せが、再考および再設計されてきた。例えば、移動式水上乗り物10は、動力システム11、バラストタンク12、およびベースフレーム21を備え、娯楽設備20の回転構造22および乗客搬送装置23が、移動式水上乗り物10の設置スペース13上に設置されてもよい。本開示はまた、単純なセットアップ手段、すなわち、工程(A)において移動式水上乗り物10を提供する工程、工程(B)における輸送処理、工程(B1)における係留処理、および工程(C)における設備設置工程を提供し、これらは従来技術の構造および動作方法と明らかに異なる。本開示の移動式水上乗り物を用いて、娯楽設備20は高い移動性および高い自由度を達成できる。
2.娯楽設備20と、およびさらに娯楽付属設備30と組み合わせた移動式水上乗り物10の使用は、従来技術とは著しく異なり、特別な視覚的および娯楽効果を生じる。さらに、本開示は、土地およびスペースの制限を低減し、地形および天候の変化に効果的に適応することにより、より望ましくかつより面白い娯楽設備を提供する。
【0017】
要約すれば、本開示は、構造的配置、空間形成または動作パターンの点で従来技術とは異なる、娯楽設備を備える効果的な水上乗り物およびその動作方法を提供し、実質的な進歩性を示しながら従来技術に対する利点を提供する。
【0018】
本発明の主題および利点が、特定の例示的実施形態に関して詳細に説明されてきたが、当業者は、上記の理解の獲得に基づき、本開示の原理および範囲から逸脱せずにそのような実施形態の代替物、バリエーションおよび等価物を容易に生じることができることが理解されるであろう。さらに、本発明に開示される特定の実施形態は、合わせて説明され協調的に利点の集まりを提供しうる複数の特徴を含む。本発明は、請求項に他に明白に示される範囲を除いて、これらの特徴の全てを含むまたは上述の利点の全てを提供する実施形態に限定されない。さらに、例えば冠詞「a」、「an」、「the」または「said」を用いる単数形での請求される要素への任意の言及は、当該要素を単数形に限定するものとして解釈されるべきでない。したがって、本開示の範囲は、制限する目的でなく励磁の目的である。すなわち、本発明の請求項に従って行われる任意の等価代替物および修飾が本発明の範囲内である。