【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1)平成31年1月16−18日、インターネプコンジャパン(開催場所:東京国際展示場(東京都江東区有明3丁目11−1))にて公開
【解決手段】第1質量体である回転盤1と、この回転盤1に対し対向軸m方向に相対して配置される第2質量体である基台2と、回転盤1と基台2を対向軸m回りに相対振動させる加振源3と、回転盤1と基台2の間を接続する位置に配置される第1弾性体4とを備え、第1弾性体4を、対向軸mの径方向を第1弾性体4の幅方向とした場合に、端部よりも中央部側の方が幅狭となるように構成した。
第1質量体と、この第1質量体に対し対向軸方向に相対して配置される第2質量体と、前記第1質量体と前記第2質量体を前記対向軸回りに相対振動させる加振源と、前記第1質量体と前記第2質量体の間を接続する位置に配置される第1弾性体と、を具備するものにおいて、
前記第1弾性体を、前記対向軸の径方向を当該第1弾性体の幅方向とした場合に、端部よりも中央部側の方が幅狭となるように構成したことを特徴とする、回転振動機。
前記第1弾性体は、一対のバネ要素を交叉させ、両バネ要素間の距離を端部から中央部に向かって漸次狭くなるように構成したものである、請求項2に記載の回転振動機。
前記第1弾性体を、板バネと、前記板バネの一端側に連設されて第1質量体の一部をなす第1連設部と、前記板バネの他端側に連設されて第2質量体の一部をなす第2連設部とを含む一体型板バネ構造としている、請求項1又は2に記載の回転振動機。
【背景技術】
【0002】
この種の回転振動機として、例えば
図10に示すような構造が従来より一般的である。この回転振動機100は、第1質量体である振動盤101と、この振動盤101に対し対向軸m方向に相対して配置される第2質量体である基台102と、前記振動盤101と前記基台102を前記対向軸m回りに相対振動させる加振源103と、前記振動盤101と前記基台102の間を接続する位置に配置される第1弾性体104と、を備えて構成されている。
【0003】
このような回転振動機100の振動盤101上に
図10のように搬送路105を取り付けて例えば物品搬送装置であるパーツフィーダPFとして用いるとき、搬送速度を高めるためにも、かかる回転振動機100に大振幅化が求められる。
【0004】
回転振動機100は、主として第1弾性体104が共振特性を決定する要因になる。例えば第1弾性体104が図示のような板バネである場合、板バネ104を長くすれば、近時の大振幅化の要請に応えることができる。
【0005】
特許文献1は、振動盤と基台を接続する板バネを改良した重ね板バネ構造を示している。従来は単体の板バネで構成されていたため、厚肉にすることで折れ易くなるという不具合があった。これに対して同文献のものは、複数の板バネで一枚の板バネの機能を実現しており、個々の板バネは曲がり易くなっているので、全体としての弾性係数を維持したまま個々の板バネが折れることが解消されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、振動機としての大振幅化を実現するためには、加振ロスを極力低減することが求められる。加振ロスとは、ばねと固定部材との間の内部摩擦などによる加振エネルギーの損失をさす。
【0008】
図10は、第1弾性体104が長方形の板バネによって構成されている。板バネ104は長方形状であり、振動盤101と基台102の対向軸mの周囲において当該対向軸mと傾斜する方向に延在して配置されている。
【0009】
図11のように、板バネ104の基台固定側βの厚み方向・幅方向中心に原点Oをとり、長手方向をz軸、厚み方向をx軸、幅方向をy軸とする。
【0010】
今、
図10に示すパーツフィーダPFにおいて振動盤101と基台102が互いに異なる方向に回転した場合、外周に縦向きに設置された板バネ104には、下記の3つのたわみモードが発生する。
【0011】
1つ目は、
図12に示すような、長手方向の曲げである。原点O側及び反対側のバネ両固定端にはx方向の力Fx、F´xと、y軸回りの固定モーメントMy、M´yが発生する。これをAモードのたわみとする。
【0012】
2つ目は、
図13(a)に示すような、z軸回りのねじれである。原点Oの回りには、z軸方向から見てモーメントMzが発生する。これをBモードのたわみとする。
【0013】
そして更に3つ目は、
図13(b)に示すような、幅方向の曲げである。原点と反対側には、y方向の力Fyと、x軸回りの固定モーメントMxが発生する。これはつまり、基台101に対して振動盤102が回転すると、板バネ104の振動盤側固定部αの位相が基台側固定部βの位相に対して
図13(c)においてα1からα2のように変化するため、例えばこれをy−z平面に投影したとき、振動盤側固定部αが幅方向(径外方向)に持ち出される。これをCモードのたわみとする。
【0014】
このうち、大振幅の回転振動には、Aモードの変位が支配的となるが、Bモード及びCモードのたわみにより板バネ104に掛かる応力が負担となり、大振幅を阻害する要因となる。
【0015】
このCモードのたわみは板バネ104を縦向きに配置したときに発生する固有のもので、板バネ104を横向き(水平)に配置して第1質量体と第2質量体とを連結する構造の回転振動機では生じない。縦向き配置には横向き配置に比べて、径方向の装置の大型化を防ぎつつ、十分に振幅の得られる板バネを利用して大振幅化できるという利点がある反面、こうしたCモードのたわみ応力よって、Aモードの振動が抑制されるという問題がある。
【0016】
本発明は、第1弾性体が振動する上で好ましくないたわみ応力を低減することで、振動機としての大振幅化を実現できるようにした、回転振動機及び振動搬送装置を実現することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、かかる目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
【0018】
すなわち、本発明の回転振動機は、第1質量体と、この第1質量体に対し対向軸方向に相対して配置される第2質量体と、前記第1質量体と前記第2質量体を前記対向軸回りに相対振動させる加振源と、前記第1質量体と前記第2質量体の間を接続する位置に配置される第1弾性体と、を具備するものにおいて、前記第1弾性体を、前記対向軸の径方向を当該第1弾性体の幅方向とした場合に、端部よりも中央部側の方が幅狭となるように構成したことを特徴とする。
【0019】
このようにすると、中央部側の方が幅狭でない長方形の板バネよりも、第1弾性体はBモード及びCモードの応力が低減し、Bモード、Cモードでたわみ変形し易くなる。また、Aモードのたわみ変形し易さは、両モードと比べて大きく変化しない。その結果、Aモードの変形し易さを極力に低下させず、Aモードの変形を阻害する要因が低減され、Aモードの大振幅化を実現することができる。
【0020】
前記第1弾性体は、端部から中央部に向かって漸次幅狭となるように滑らかに括れた形状の板バネを含むことが好適である。
【0021】
このようにすると、板バネを採用しその形状をゆるやかに変化する形状とすることで、特定箇所に応力が集中することを避け、破損を有効に防止することができる。
【0022】
前記第1弾性体は、一対のバネ要素を交叉させ、両バネ要素間の距離を端部から中央部に向かって漸次狭くなるように構成しているものも好適である。
【0023】
このようにすると、板バネが漸次幅狭になる括れ形状とほぼ等価な機能を実現することができる。そして、ばね素材にくびれ加工を施すことが不要になる。
【0024】
また前記第1弾性体を、板バネと、前記板バネの一端側に連設されて第1質量体の一部をなす第1連設部と、前記板バネの他端側に連設されて第2質量体の一部をなす第2連設部とを含む一体型板バネ構造としていることが好適である。
【0025】
このようにすれば、第1連設部及び第2連設部で板バネのたわみを適切に支持することができるので、板バネの両端に接続される第1質量体と第2質量体の平行を保ち、連結箇所の剛性も高めることができる。
【0026】
また前記第1弾性体を、第1質量体及び第2質量体に対して外部から着脱可能な位置に配していることが好適である。
【0027】
このようにすれば、振動特性を目的、用途に応じて変更することが容易となるので、汎用的な用途の振動機としても利用価値の高いものになる。
【0028】
そして、上記何れかに記載の回転振動機と、前記第1質量体上に固定され螺旋状の搬送路を備えた搬送体とにより振動搬送装置を構成すれば、搬送体上での物品の搬送速度を有効に向上させることができる。
【発明の効果】
【0029】
以上説明した本発明によれば、共振特性を決定づける主機械要素である第1弾性体が振動する上で好ましくないたわみ応力を低減することで、振動機の大振幅化を実現可能とした、新規有用な振動機及び振動搬送装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の一実施形態を、
図1〜
図6を参照して説明する。
【0032】
この実施形態の回転振動機Aは、第1質量体である振動盤1と、この振動盤1に対し対向軸m方向に相対して配置される第2質量体である基台2と、これら振動盤1と基台2を対向軸m回りに相対振動させる加振源3と、振動盤1と基台2の間を接続する位置に配置される第1弾性体4と、を備える。回転振動機Aには螺旋状に立ち上がる搬送路を有する搬送体Bが取り付けられて、振動搬送装置たるパーツフィーダPFが構成される。この実施形態の搬送体Bは、例えばICチップのような微小物品を整列、供給するために構成されるものである。
【0033】
振動盤1は、第1質量体の主体をなす円盤状の振動盤本体10と、この振動盤本体10に取り付けられて第1質量体の一部をなす後記の第1連設部41とから構成される。振動盤本体10の外周位には、等角複数箇所すなわち本実施形態では3箇所に第1弾性体と接続される振動盤側第1接続部11と、これら振動盤側第1接続部11とは位相のずれた等角複数箇所すなわち本実施形態では3箇所に加振源3と接続される振動盤側第2接続部12とが設けてある。振動盤側第1接続部11は、下方及び径外方向に肉盗みされた形状、具体的には側方からみて下向きU字状で有底をなす凹部である。振動盤側第2接続部12は、振動盤本体10から下向きに突出する突部である。
【0034】
基台2は、第2質量体の主体をなす切頭円錐状の基台本体20と、この基台本体20に取り付けられて第2質量体の一部をなす後記の第2連接部42とから構成される。基台本体20は設置面に防振部材2aを介して配置される。基台2の外周位には、前記振動盤側第1接続部11と対応する位置にあって第1弾性体4と接続される基台側第1接続部21と、前記振動盤側第1接続部12と対応する位置にあって加振源3と接続される基台側第2接続部22とが設けてある。基台側第1接続部21は、
図2及び
図3(a)に示すように、上方及び径外方向に肉盗みされた形状、具体的には側方からみてU字溝状で有底をなす凹部である。基台側第2接続部22は、
図2及び
図3(b)に示すように、振動盤側第2接続部12を遊動可能に配置する空間の内奥に位置して、後記の第2板バネ収容部23及び接続部材当接部24から構成される。
【0035】
加振源3は、第2質量体である基台2の一部を構成する接続部材31と、この接続部材31に基端を接続され先端側が半径方向に延びる横型配置の第2弾性体たる第2板バネ32と、この第2板バネ32の両面または片面に貼り付けられて振動によって第2板バネ32をたわませるバイモルフまたはユニモルフ型の圧電素子駆動部33と、を備える。基台2には、
図3(b)に示すように、上から見て中心から3方向にスター状に延び上方及び径外方向に開口する前記第2板バネ収容部23と、隣接する第2板バネ収容部23同士の間に位置するL字形の前記接続部材当接部24とが設けてあり、第2板バネ32の基端を取り付けた接続部材31は、2面を接続部材当接部24に当接させた状態でz方向すなわち上方向から止着具であるボルトv1によって基台2の底面に締結される。
【0036】
そして、第2板バネ32の基端部を接続部材31に止着具であるボルト21によって水平方向に連結し、第2板バネ32の先端部を、振動盤本体10から下方に突出させて設けた振動盤側第2接続部12に止着具であるボルトv22によって水平方向に連結している。
【0037】
第1弾性体4は、振動盤1と基台2とを接続することによって主たる共振バネとして機能するもので、
図4に示すように複数(本実施形態では2枚)の板バネ40と、各板バネ40の一端側に連設されて振動盤1の一部をなす前記第1連設部41と、各板バネ10の他端側に連設されて基台2の一部をなす前記第2連設部42とを含む一体型板バネ構造(さらに言えば一体型重ね板バネ構造)をなす。
【0038】
板バネ40は、互いに平行に配置されている。
図11に示したと同様、板バネ40の厚み方向・幅方向中心に原点Oをとり、長手方向をz、厚み方向をx、幅方向をyとした場合、
図1及び
図4等に示す板バネ40は、厚み方向xを回転振動機Aの円周方向に向け、幅方向yを回転振動機Aの径方向に向け、長手方向zを回転振動機Aの対向軸mと傾斜する方向に延在させて配置される。個々の板バネ40を見ると、
図5(c)に示すように、そのy方向の幅寸法Wは長手方向に沿って想像線で示すように一端40e1から他端40e2まで一律な長方形状ではなく、実線で示すように上下端40e1、40e2から中央部40mに向かって漸次幅狭となるように滑らかに括れた形状をなしている。この形状は、ばね素材であるばね鋼や炭素鋼等にくびれ加工を施すことによって付与されている。
【0039】
図4に示す第1連設部41は各板バネ40の上端部と一体をなす直方体状のもので、
図1及び
図2に示すように振動盤側第1接続部である凹部11内に緊密に配置される。
図4に示す第2連接部42は各板バネ40の下端部と一体をなす底部42aと、この底部42aの両側に各板バネ40を包囲するように配置される右側部42b及び左側部42cとが一体に構成されたU字状のもので、
図1〜
図3に示すように基台側第1接続部である凹部21内に緊密に配置される。
【0040】
すなわち第1弾性体4は、第1質量体である回転盤1及び第2質量体である基台2に対して外部から着脱可能に嵌め込むことができる位置関係に配置される。
【0041】
図1、
図2及び
図4に示すように、第1連設部41と振動盤本体10との間は、2箇所において対向軸mに平行な方向に沿って連結具v3で連結されている。
図2及び
図4において符合h3で示すものはそのための連結用孔である。
【0042】
また、第2連設部42の右側部42bと基台本体20との間は、2箇所において前記対向軸m方向と交差(直交)する第1方向sに沿ってボルトv4で連結され、第2連接部32の左側部32cと基台本体20との間は、2箇所において前記対向軸m方向及び前記第1方向sと交差(直交)する第2方向uに沿ってボルトv5で連結されている。
図4において符合h4、h5で示すものはそのための連結用孔である。この実施形態の場合、第1方向sは対向軸mの円周上の接線方向であり、第2方向uは対向軸mを通る半径方向である。また、板バネの長手方向zは対向軸mに対して若干傾斜しており、板バネ30の厚み方向xは第1方向sにほぼ合致し、板バネの幅方向yは第2方向uはほぼ合致している。
【0043】
この実施形態では、振動盤本体10を、慣性モーメント低減を図るためにアルミで作成する。しかし、振動盤本体10にばねを直接結合するとアルミ素材のヤング率は鉄よりも低いため、結合部の曲げ剛性が下がる。そこで、
図5(b)で示すように、第1質量体の一部である第1連設部41を板バネ40とともにばね鋼や炭素鋼等のばね素材で作っている。このため、第1弾性体4を構成する板バネ40と回転盤本体10との結合部の曲げ剛性を高める効果がある。これは、第1弾性体を構成する板バネ40と第2質量体の本体である基台本体20との結合部においても同様、板バネ40と一体をなす第2連設部42をばね鋼や炭素鋼等のばね素材で作っており、板バネ40と基台本体20との結合部の曲げ剛性を高める効果がある。なお、
図5(b)は説明の便宜上、1枚の板バネ40で表してあるが、本実施形態の板バネ40は
図5(a)のように2枚であるため、その各々の板バネ40において上記の構成を有し同様の効果がある。
【0044】
そして、圧電素子駆動部33に所要周波数の電圧を繰り返し印加することによって、第2板バネ32を通して振動盤1を正逆方向に加振する。これに伴い、第1弾性体である板バネ40が撓み振動する。
【0045】
その撓み振動のうち、
図6(a)に示す長手方向の曲げが発生する。この曲げは共振特性を決定づける支配的要因となる。この曲げに伴い、原点O側及び反対側のバネ両固定端にはx方向の力Fx、F´xと、y軸回りの固定モーメントMy、M´yを生じる。これをAモードのたわみとする。
【0046】
またこれに伴い、
図6(b)に示すz軸回りのねじれが発生する。このねじれに伴い、原点Oの回りにz軸方向から見てモーメントMzを生じる。これをBモードのたわみとする。
【0047】
さらこれに伴い、
図6(c)に示す幅方向の曲げが発生する。この曲げに伴い、原点と反対側には、y方向の力Fyと、x軸回りの固定モーメントMxを生じる。これはつまり、基台101に対して振動盤102が回転すると、板バネ104の振動盤側固定部αの位相が基台側固定部βの位相に対して変化するため、例えばこれをy−z平面に投影したとき、振動盤側固定部αが幅方向(径外方向)に持ち出される。これをCモードのたわみとする。
【0048】
このうち、主としてAモードの撓みによって、共振点若しくは共振点近くで必要な周波数、振幅に増幅され、振動盤1を効率良く駆動することができる。
【0049】
その際、第1弾性体である第1板バネ40は対向軸mに対して斜めの方向であるz軸方向に配置されていることによって、振動盤1は上下方向の並進運動(振動)と円周方向の回転運動(振動)を行う。その結果、振動盤1上に螺旋状の搬送路を備えた搬送体Bを取り付けた振動搬送装置であるパーツフィーダPFは、搬送路上の物品が螺旋状の搬送路に沿って搬送体Bの底部から上部に向かって搬送されることになる。
【0050】
以上のように、本実施形態の回転振動機Aは、第1質量体である回転盤1と、この回転盤1に対し対向軸m方向に相対して配置される第2質量体である基台2と、回転盤1と基台2を対向軸m回りに相対振動させる加振源3と、回転盤1と基台2の間を接続する位置に配置される第1弾性体4と、を備える。
【0051】
そして第1弾性体4を、対向軸mの径方向を第1弾性体4の幅方向とした場合に、端部よりも中央部側の方が幅狭となるように構成したものである。
【0052】
このようにすると、中央部側の方が幅狭でない長方形の板バネよりも、第1弾性体4は
図6(b)に示すBモードの応力及び
図6(c)に示すCモードの応力が低減し、Bモード、Cモードでたわみ変形し易くなる。また、Aモードのたわみ変形し易さは、両モードと比べて大きく変化しない。その結果、Aモードの変形し易さを極力に低下させず、
図6(a)に示すAモードの変形を阻害する要因が低減され、Aモードの大振幅化を実現することができるようになる。
【0053】
具体的に第1弾性体4は、端部から中央部に向かって漸次幅狭となるように滑らかに括れた形状の板バネ40を含んで構成されているため、特定箇所に応力が集中することを避け、破損を防止することができる。
【0054】
また第1弾性体4を、板バネ40と、前記板バネ40の一端側に連設されて第1質量体の一部をなす第1連設部41と、前記板バネ40の他端側に連設されて第2質量体の一部をなす第2連設部42とを含む一体型板バネ構造としており、第1連設部及び第2連設部で板バネのたわみを適切に支持することができるので、板バネ40の両端に接続される第1質量体である回転盤1と第2質量体である基台2との平行を保ち、連結箇所の剛性も高めることができる。
【0055】
また第1弾性体4を、第1質量体である回転盤1及び第2質量体である基台2に対して外部から着脱可能に配しており、振動特性を目的、用途に応じて変更することが容易となるので、汎用的な用途の振動機としても利用価値の高いものになる。例えば、ICチップのような微小物品だけでなく、ボルトやワッシャ、コンデンサ等の振動搬送装置にも有効に適用することができる。
【0056】
そして、このような回転振動機Aと、第1質量体である回転盤1上に固定され螺旋状の搬送路を備えた搬送体Bとにより振動搬送装置たるパーツフィーダPFを構成しているので、搬送体上での物品の搬送速度を有効に向上させることが可能となる。
【0057】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、各部の具体的な構成は上述した実施形態のみに限定されるものではない。
【0058】
例えば、上記実施形態の第1質量体を基台、第2質量体を振動盤となるように上下反転して用いても構わない。この場合、第1弾性体の下に位置する上向きU字状の第2連設部が上に位置して下向きU字状として配置され、反対に上に位置する第1連設部が下に位置することになり、対向軸方向の連結は基台と第1弾性体との間で優先的に行われることになる。第1質量体や第2質量体の形状等は適宜変更すればよい。
【0059】
また、上記実施形態の第1弾性体は、長方形状のバネ鋼に括れ加工を施すことによってねじり易いものにしたが、
図7に示す第1弾性体400のように、一対のバネ要素である板バネ401、402を交叉させ、板バネ401、402の中間部間をボルトv6や溶接工で連結、一体化することによって、板バネ401、402間の距離を端部から中央部に向かって漸次狭くなるように構成してもよい。この場合も、幅方向yが径方向を向き、厚み方向xが円周方向を向き、両板バネの幅方向中心点を連ねた長手方向zが対向軸mに対して傾斜方向を向くように配置している。このように第1弾性体400を構成すると、漸次幅狭になる前記実施形態の括れ形状の板バネ40とほぼ等価な機能を実現することができる。そして、これによりばね鋼や炭素鋼などのバネ素材にくびれ加工を施すことを不要にすることができる。
【0060】
また、第1連設部41と回転盤本体10との間を2箇所において対向軸mに平行な方向に沿って連結具であるボルトv3によって連結する際、
図8(a)に示すように、連結用孔h3をボルトv5による締結方向u(板バネ40のy軸方向)にずらして締結することも有効である。このようにすることで、板バネ40のCモードの曲げにより強い固定状態を実現することができる。
【0061】
勿論、このような括れ形状の板バネ40を用いる限りにおいては、第1質量体である回転盤1と第1連設部41の連結構造は上記実施形態に限定されない。例えば、
図8(b)に示すものは、第1連設部41をさらに第1質量体である回転盤1の一部をなす補助ブロック43を用いて第1水平方向tに沿って回転盤本体10に連結し、この補助ブロック43を第1水平方向tと直交するw方向に沿って回転盤本体に連結してもよい。
【0062】
このようにしても、板バネ40のBモー及びCモードの曲げ応力を効果的に低減することができる。そして、第1弾性体4を、第1質量体である回転盤1及び第2質量体である基台2に対して外部から着脱可能な構造が実現されるので、振動特性を目的、用途に応じて変更することが容易となる。このため、例えば、ICチップのような微小物品だけでなく、ボルトやワッシャ、コンデンサ等を扱う汎用的な振動搬送装置にも有効に適用することができる。
【0063】
さらに、このような括れ形状の板バネ40を用いる限りにおいては、第1質量体である回転盤1と第1連設部41の連結構造は上記実施形態に限定されなく、例えば、
図9に示すように、第1質量体である振動盤1と第2質量体である基台2にそれぞれ半径方向に延びる端面1t、2tを形成し、それらの端面1t、2tに対して第1弾性体である括れ形状を有する板バネ40の両端を円周上の接線方向Tに沿って取り付けてもよい。このようにしても、第1弾性体40を外部から着脱可能な構造が実現されるので、振動特性を目的、用途に応じて変更することが容易となる。このため、例えば、ICチップのような微小物品だけでなく、ボルトやワッシャ、コンデンサ等を扱う汎用的な振動搬送装置にも有効に適用することができる。
【0064】
その他、板バネを対向軸方向に対して傾斜させずに構成するなど、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。