【課題】出荷トレーラへ自動クレーンによりコイルを自動積載する際、コイルの積載目標位置であるトレーラ荷台上のスタンションポールを誤認することなく確実にその位置を自動検出し、スタンションポールの荷台後方からコイルを密着させて積載する、出荷トレーラへのコイルの自動積載方法を提供する。
【解決手段】トレーラ荷台上のスタンションポールSPの位置を基準として所定位置に停車している出荷トレーラTRの上方から、広域測距センサでスタンションポールSPの位置を検出する。スタンションポールSPの検出位置から出荷トレーラTRの進行方向後方に隙間を設けてコイルCOを着床しない状態で自動クレーンCRによって配置し、コイルCOを出荷トレーラTR前方方向に移動させ、コイルCOとスタンションポールSPを密着させ、その後、巻き下げることで、コイルCOをスタンションポールSPに密着させた状態で出荷トレーラTRに積載する。
コイルの出荷場で出荷トレーラに自動クレーンでコイルを自動積載する方法であって、トレーラ荷台上のスタンションポールが所定の範囲に停止するように、スタンションポールの位置を基準として停車している出荷トレーラの上方から、スタンションポールが存在する範囲を、広域測距センサを走査することで、その範囲内にある物体までの距離を測定し、スタンションポールの位置を検出することを特徴とする出荷トレーラへのコイルの自動積載方法。
前記スタンションポールの位置の検出を、広域測距センサの物体までの距離の測定結果から、床面高さの位置と、床面より高い測定値となる位置との境界線をトレーラ荷台の端部と認識し、該トレーラ荷台の端部との位置関係に基づいて行うことを特徴とする請求項1に記載の出荷トレーラへのコイルの自動積載方法。
前記スタンションポールの位置の検出を、荷台の端部を除く、床面より最も高い測定値となる位置に存在する物体をスタンションポールの頂点と判断し、その高さから少し低い位置までの高さの物体をスタンションポールと判断することにより行うことを特徴とする請求項2に記載の出荷トレーラへのコイルの自動積載方法。
前記トレーラ荷台上のスタンションポールの位置を検出する前に、スタンションポールが停止している所定の範囲を基準とした位置に自動クレーンを予め移動することにより、自動運行の時間短縮を行うことを特徴とする請求項1、2又は3に記載の出荷トレーラへのコイルの自動積載方法。
前記自動クレーンによって、検出したスタンションポールの位置の出荷トレーラの進行方向後方に隙間を設けてコイルを着床しない状態で配置し、該コイルを出荷トレーラ前方方向に移動させ、コイルとスタンションポールを密着させ、その後、自動クレーンを巻き下げることで、コイルをスタンションポールに密着させた状態で出荷トレーラに積載することを特徴とする請求項1、2、3又は4に記載の出荷トレーラへのコイルの自動積載方法。
【背景技術】
【0002】
コイルの出荷トレーラは、コイルを積載して公道を走行している最中に、急ブレーキを掛けたときに荷台上に積載したコイルが前方にずれないように、ずれ防止用のストッパとしてスタンションポールが立てられており、このスタンションポールの後ろ側に、スタンションポールにコイルを密着させて積載する必要がある。
【0003】
ところで、出荷トレーラは出荷トレーラ毎に荷台形状が異なり、荷台上のスタンションポールの配置が異なる。さらに、積載するコイルの数量や重量などによりスタンションポールの位置も前後に移動させる場合があり、スタンションポールの位置が定まらず、出荷トレーラ上のコイルの積載位置が毎回異なる。このため、出荷トレーラへの自動クレーンによるコイルの自動積載は困難とされていた。
これが原因で、自動クレーンによる無人化操業が進むコイル運搬作業で、出荷トレーラへのコイルの積載作業のみ、人によるクレーン手動介入が行われており、コイル運搬用自動クレーンによるクレーン運転士の省人化の阻害要因になっていた。
【0004】
なお、例えば、特許文献1に開示されているように、コイルの出荷場でレーザ距離計を用いて出荷トレーラにクレーンでコイルを積載する方法が提案されているが、スタンションポールについて考慮されておらず、出荷トレーラへの自動クレーンによるコイルの自動積載に適用することはできないものであった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、出荷トレーラへ自動クレーンによりコイルを自動積載するに当たり、コイルの積載目標位置であるトレーラ荷台上のスタンションポールを、その他の類似形状物と誤認することなく確実にその位置を自動検出し、スタンションポールの荷台後方からコイルを密着させて積載する、出荷トレーラへのコイルの自動積載方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の出荷トレーラへのコイルの自動積載方法は、コイルの出荷場で出荷トレーラに自動クレーンでコイルを自動積載する方法であって、トレーラ荷台上のスタンションポールが所定の範囲に停止するように、スタンションポールの位置を基準として所定位置に停車している出荷トレーラの上方から、スタンションポールが存在する範囲を、広域測距センサを走査することで、その範囲内にある物体までの距離を測定し、スタンションポールの位置を検出することを特徴とする。
ここで、出荷トレーラを所定位置に停車させるに当たっては、従来は出荷トレーラを出荷位置の床面に描かれた停車白線枠内に出荷トレーラの前後左右を収めるように停車していた。
本発明では、出荷トレーラの停車白線枠線内の一部の床面にカラーマーキングを施しており、トレーラ運転手は、出荷トレーラの左右方向は停車白線枠に収めるようにし、出荷トレーラの前後方向は、そのカラーマーキングをした部分にスタンションポールがくるように停車するようにする。
そのカラーマーキングの幅は、スタンションポール以外の類似造形物が、スタンションポールと一緒にそのカラーマーキングの幅内に入らないような適切な幅に設定されている。
そして、クレーン上からカラーマーキング部分の位置を狙って、広域測距センサを走査し、トレーラ荷台上に高く突出した物体をスタンションポールと認識する。
本発明では、スタンションポールのセンシングにカラーマーキングの範囲のみをセンシングすればよいので、トレーラ荷台全体をセンシングするのに比べ、誤認識のリスクを軽減できるとともに、処理演算量が少なくなり処理速度を向上することができる。
【0008】
この場合において、前記スタンションポールの位置の検出を、広域測距センサの物体までの距離の測定結果から、床面高さの位置と、床面より高い測定値となる位置との境界線をトレーラ荷台の端部と認識し、該トレーラ荷台の端部との位置関係に基づいて行うことができる。
【0009】
また、前記スタンションポールの位置の検出を、荷台の端部を除く、床面より最も高い測定値となる位置に存在する物体をスタンションポールの頂点と判断し、その高さから少し低い位置までの高さの物体をスタンションポールと判断することにより行うことができる。
これは、コイルのトレーラ荷台上にはスタンションポールと誤認しやすい類似物体が存在するが、その類似物体はトレーラ荷台の端部に存在することと、トレーラ荷台のスタンションポールの前後には存在しない特徴があることを利用するものである。
すなわち、トレーラ荷台の端部には転落防止用の安全ロープや安全ロープ用ポールが立っているので、トレーラ荷台の端部は、広域測距センサの測定結果から除き、安全ロープや安全ロープ用ポールを検出しないようにする。
【0010】
また、前記トレーラ荷台上のスタンションポールの位置を検出する前に、スタンションポールが停止している所定の範囲を基準とした位置に自動クレーンを予め移動することにより、自動運行の時間短縮を行うことができる。
すなわち、自動のサイクルタイムを短縮するために、自動クレーンは積載コイルを掴んで出荷トレーラ上に移動しながらスタンションポールのセンシングを行っているが、本発明では、スタンションポールがカラーマーキングの範囲にあることがセンシング前から特定されているので、カラーマーキングの荷台後方に自動クレーンの暫定目標位置を設定し、スタンションポールのセンシングが完了するとスタンションポールを基準とした目標位置に暫定目標位置から切り替える。カラーマーキングがなくスタンションポールが存在する位置が特定されず、適当な位置に暫定目標位置を定める場合より、無駄な動きがなく、サイクルタイムを短縮することができる。
【0011】
また、前記自動クレーンによって、検出したスタンションポールの位置の出荷トレーラの進行方向後方に隙間を設けてコイルを着床しない状態で配置し、該コイルを出荷トレーラ前方方向に移動させ、コイルとスタンションポールを密着させ、その後、自動クレーンを巻き下げることで、コイルをスタンションポールに密着させた状態で出荷トレーラに積載することができる。
【発明の効果】
【0012】
自動クレーンによるコイルの自動運搬作業で、唯一手動運転を介入し完全無人化の妨げとなっているコイル出荷トレーラへのコイルの積載作業を、クレーンの自動運転で行うことを可能とすることで、コイル運搬クレーンの完全無人化を達成できる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の出荷トレーラへのコイルの自動積載方法について、図面に基づいて説明する。
【0015】
図1〜
図6に、本発明の出荷トレーラへのコイルの自動積載方法の一実施例を示す。
【0016】
図1は、コイルの出荷場所の一例を上から平面に見下ろした画になっている。
コイル置場CYにコイルCOが整然と配置され、そのコイル置場上には、コイルCOを自動運搬するための自動クレーンCRが配置されている。
また、コイル置場の横には出荷トレーラの停車スペースが設けられている。
【0017】
その停車スペースには出荷トレーラの停止位置を示すために、例えば、白色の白線からなる出荷トレーラの停車白線枠WLが床面に引いてある。従来はこの出荷トレーラの停車白線枠WLだけで、この白線枠WL内に出荷トレーラの前後左右が収まるように停車していた。本実施例では、この停車白線枠WL内のある部分に、床面にカラーマーキングCMを施してある。
このカラーマーキングは、例えば、赤色の2m程度の幅の帯状のマーキングである。
本実施例では、出荷トレーラは、定められた方向から侵入し、この停車白線枠WLの他にカラーマーキングCMを目標に出荷トレーラを停車させる。
【0018】
トレーラ荷台TC上には、出荷トレーラTRが公道を走行中に急ブレーキなどで積載したコイルCOが出荷トレーラTR前方にずれないように、ずれ防止用のストッパとしてスタンションポールSPが立てられており、コイルCOはそのスタンションポールSPに接する形でスタンションポールSPの車体後方に積載する。
【0019】
コイルの自動積載に当たり、スタンションポールSPの位置が基準となり、スタンションポールSPの位置を把握する必要があるが、このスタンションポールSPの取り付け位置は、出荷トレーラTR毎に異なり、積載されるコイルの重量により積載位置を変えて重量バランスを取るためスタンションポールの位置を前後に変更できるようにもなっているため、スタンションポールの位置を効率よく検出する必要がある。
【0020】
本実施例では、スタンションポールSPを確実かつ容易に検出するため、出荷トレーラTRをトレーラ運転手が停車させるのに当たり、出荷トレーラTRの左右の側面方向は停車白線枠WLの内側に停車白線枠WLと平行に停車させ、かつ、カラーマーキングCMの位置の上にスタンションポールSPが来るように出荷トレーラTRを停車させる。
このとき、トレーラ運転手がカラーマーキングCMとスタンションポールSPとの位置関係を確認することは容易でないため、出荷トレーラ前方に目印を付けたり、カメラとモニターで確認する等の方法で、停車位置を確定する。
このときの出荷トレーラの停車位置関係の一例を
図2に示す。
【0021】
カラーマーキングCMの範囲内の位置にスタンションポールSPが来るように停車することで、カラーマーキングCMの範囲外のスタンションポールSPに類似の物体を誤認識することがなくなり、スタンションポールSPをセンシングするのに当たりカラーマーキングCMの範囲内のみをセンシングすればよいので、トレーラ荷台TC全域をセンシングするのに比べ、検出データ量が少なくなり演算処理が楽になり演算速度が速くなる。
さらに、スタンションポールSPの位置がカラーマーキングCMの範囲に限定されているので、スタンションポールSPのセンシングの完了前にカラーマーキングCMの位置を基準に予め自動クレーンCRを移動させることができるので自動タイムサイクルの短縮ができる。
【0022】
出荷トレーラの停車を終えると、トレーラ運転手は出荷トレーラを降車し、停車白線枠WL及びカラーマーキングCMと出荷トレーラTR及びスタンションポールSPとの位置関係の確認を行い、自動クレーンCRの自動エリアから退避し、自動クレーンCRに自動積載運転の起動信号を出す。
【0023】
自動クレーンCRが自動積載運転に入ると、
図3に示すとおり、コイルCOをコイルリフタCLで掴んだ状態で自動クレーンの進行方向TFに向かって自動クレーンCRが走行する。
図3(a)に示すとおり、自動クレーンCRの進行方向前方に、下側を向けて広域測距センサMSが付けてある。
この広域測距センサMSには、汎用の広域レーザ距離計を好適に用いることができる。
そして、この広域測距センサMSは、進行方向手前の停車白線枠WLが引かれている位置であると自動クレーンコンピュータが記憶している位置になると測定を開始し、トレーラ荷台TCを挟んで進行方向の向こう側の停車白線枠WLが引かれている位置であると自動クレーンコンピュータが記憶している位置で測定を終了する。
なお、進行方向の向こう側の停車白線枠WLに広域測距センサMSの走査線SCが到達したときにコイルリフタCLで掴まれたコイルCOが出荷トレーラTRの中心位置、すなわち、コイルの積載位置に到達しない相関位置関係になるように広域測距センサMSが取り付けられている。
このとき、自動クレーンCRは、スタンションポールSPが存在するカラーマーキングCMの後方を目標位置に移動する。
これにより、スタンションポールSPのセンシング前にスタンションポールSPの近くにコイルCOが移動しているので、スタンションポールSPのセンシング完了後、素早く次の動作工程に移れるので、タイムサイクルの短縮になる。
【0024】
進行方向手前の停車白線枠WLの位置に広域測距センサMSの走査線SCが到達し測定開始したとき、床面FL高さのデータが最初に検出される。
そして、自動クレーンの進行方向TFへの移動と伴い、広域測距センサMSの走査線SCがトレーラ荷台TCの位置に達すると、トレーラ荷台TCの高さや安全ロープ用ポールRPや安全ロープSRの高さデータが検出される。
その後、トレーラ荷台TCやスタンションポールSPの高さデータが検出された後に、再び安全ロープ用ポールRPや安全ロープSRの高さデータが検出され、その後に床面高さのデータが検出される。
【0025】
この過程で測定されたデータで、スタンションポールSPの高さデータと安全ロープ用ポールRPや安全ロープSRの高さデータが類似しているが、スタンションポールSPのデータだけをピックアップする必要がある。
床面FLの高さデータから、床面より一定量高い高さデータが検出された後の、ある一定範囲と、床面より一定量高い高さデータから床面FLの高さデータに戻った時点のある一定範囲の手前のデータをトレーラ荷台端部EGと判別する。
安全ロープ用ポールRPや安全ロープSRは、トレーラ荷台端部EGの範囲に存在するので、安全ロープ用ポールRP又は安全ロープSRの高さデータであるか、スタンションポールSPの高さデータであるかが判別できる。
【0026】
この広域測距センサMSの測定を、側面から見た図が
図3(b)である。
広域測距センサMSの走査線SCは広域に拡散されているが、床面のカラーマーキングCMがされている位置であると自動クレーンコンピュータが記憶している位置の範囲内のデータのみをピックアップする。
トレーラ荷台TCの前方端部付近や後方端部付近には、開閉ルーフ等の障害物やスタンションポールSPに類似の物体が存在するが、スタンションポールSPの前後方向近傍には、スタンションポールSPに類似の物体が存在しない。
したがって、前記のように床面のカラーマーキングCMの範囲にスタンションポールSPが来るように停車しておけば、カラーマーキングCMの範囲の位置の高さデータのみを採用すれば、スタンションポールSPの高さデータに類似する他の物体の高さデータを除去することができる。
したがって、カラーマーキングCM範囲外にあるスタンションポールSPに類似する物体を誤認識するリスクがなくなり、荷台全体の測定するのに対し、演算データ量が少ないので演算速度が速く処理される。
【0027】
そして、カラーマーキングCMの範囲内の位置で、トレーラ荷台端部EGの範囲を除いた高さデータで、最も高い位置のデータをスタンションポールSPの頂点のデータと判別し、その頂点データから、ある一定の若干低い高さの範囲のデータをスタンションポールSPのデータと判別し、スタンションポールの位置を特定する。
【0028】
図3の(a)及び(b)では、出荷トレーラの側方から自動クレーンCRが進行した場合の実施例で、レイアウトが異なる場合で出荷トレーラの後方から自動クレーンCRが進行する場合の実施例を
図4に示す。
図4(a)に示すように、カラーマーキングCMの位置の範囲内のデータを採用し、
図4(b)に示すように、停車白線枠WLの範囲内の測定データから床面FL高さとの境界線付近のトレーラ荷台端部EGの範囲を判定し、
図3の実施例と同様にカラーマーキングCMの範囲内の位置で、トレーラ荷台端部EGの範囲を除いた高さデータで、最も高い位置のデータをスタンションポールSPの頂点のデータと判別し、その頂点データから、ある一定の若干低い高さの範囲のデータをスタンションポールSPのデータと判別し、スタンションポールSPの位置を特定する。
【0029】
スタンションポールSPの位置が特定されると、
図5(a−1)及び(a−2)に示すようにスタンションポールSPとコイルCOとの間に若干の隙間が空く位置にレーザ距離計LDと反射板RFによりクラブトロリCTを位置決めし、トレーラ荷台TCから若干浮いた位置にコイルCOが来るように巻上位置を位置決めする。
続いて、
図5(b−1)及び(b−2)に示すように、クラブトロリCTを予め定めている距離だけ出荷トレーラTR前方方向に自動横行させ、ワイヤロープWRが若干斜めになることによる引張力で、スタンションポールSPとコイルCOを密着させる。
【0030】
このときの寸法関係を、
図7に示す。
広域測距センサMSで位置が特定されたスタンションポールSPにコイルCOが接した位置でワイヤロープWRが鉛直方向を向き、この位置よりさらに横行押し込み距離TL分だけ横行移動した位置、具体的には、レーザ距離計LDと反射板RFにて検出した位置に位置決めする。このときの荷重値WFに対する、荷重点までの高さ距離HLと押し込み距離TLの比で押し当て力PFが式(1)のとおり発生し、スタンションポールSPとコイルCOが密着する。
PF=WF・(TL/HL) ・・・(1)
【0031】
このとき、スタンションポールSPがコイルCOに対し斜めになっていると、押し当て力PFが斜めに作用してしまい、コイルCOが横にずれてしまうことになるが、出荷トレーラTRの全長寸法が約16mであるのに対して、スタンションポールSPの横幅寸法が約1m程度で小さいため、トレーラ運転手が出荷トレーラTRを停車白線枠WLとほぼ平行になるように停車させることで、スタンションポールSPがコイルCOに対して斜めになる度合いが無視できるレベルまで小さく抑えられ、これにより、押し当て力PFが斜めに作用することも小さく抑えることができ、コイルCOが横ずれすることを防止することができる。
【0032】
続いて、
図5(c−1)及び(c−2)に示すように、スタンションポールSPとコイルCOが押し当て力PFで密着した状態で、コイルが出荷トレーラTRに着床するまで自動で巻き下げることによりスタンションポールSPにコイルCOを密着させた状態で、出荷トレーラTRにコイルCOを自動積載させることができる。
このように、コイルCOをスタンションポールSPの後方に密着させて積載することにより、出荷トレーラTRが公道を走行しているときに急ブレーキを掛けても、積載コイルが慣性力で前に滑ってコイルを傷つけたり、前方に積載コイルが転倒して荷崩れが発生したりすることをスタンションポールSPがストッパとして作用し防止できる。
【0033】
図5の実施例は、
図3の実施例のレイアウトを基に記載しているが、
図4のレイアウトでの実施例においては、自動クレーンCR全体が動く方向(走行)とクラブトロリCTが動く方向(横行)が逆になるだけで、コイルCOと出荷トレーラTRの位置関係は同様に自動積載される。
【0034】
1個目のコイルCOが出荷トレーラTRに積載されるとコイル置場CYの方向に自動クレーンCRは自動移動し2個目のコイルCOを自動で掴みに行く。
その間、出荷トレーラTRの停車エリアが自動クレーンの自動エリアから外され、人が立ち入り、1個目のコイルCOの後方に密着させてかませ物BWを人が設置する。
かませ物BWの設置が完了すると、人が出荷トレーラTRの停止エリアから退避し、出荷トレーラTRの停車エリアを自動クレーンCRの自動エリアに戻し、2個目のコイルの自動積載指令を出す。
【0035】
2個目の自動積載指令を受けると自動クレーンCRは、
図6(a−1)及び(a−2)に示すように、1個目のコイルCOとかませ物BWの後方に隙間を開けて出荷トレーラTRに、コイルリフタCLで掴んだコイルCOが着床しない位置に自動で位置決めを行う。
続いて、
図6(b−1)及び(b−2)に示すようにクラブトロリCTを予め定めている距離だけ出荷トレーラTR前方方向に自動横行させ、ワイヤロープWRが若干斜めになることによる引張力で、かませ物BWとコイルCOを密着させる。
続いて、
図6(c−1)及び(c−2)に示すように、かませ物BWとコイルCOが密着した状態で、コイルが出荷トレーラTRに着床するまで自動で巻き下げることによりかませ物BWにコイルCOを密着させた状態で、出荷トレーラTRに2個目のコイルCOを自動積載させることができる。
【0036】
3個以上のコイルを積載する場合も、2個目のコイル積載と同様のプロセスで自動積載する。
図6の実施例は、
図3のレイアウトでの実施例であるが、
図4のレイアウトの場合も、クレーンの方向が異なるだけで同様である。
【0037】
以上、本発明の出荷トレーラへのコイルの自動積載方法について、その実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。