特開2021-10990(P2021-10990A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特開2021010990-ワーク搬入・搬出装置及び加工装置 図000003
  • 特開2021010990-ワーク搬入・搬出装置及び加工装置 図000004
  • 特開2021010990-ワーク搬入・搬出装置及び加工装置 図000005
  • 特開2021010990-ワーク搬入・搬出装置及び加工装置 図000006
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-10990(P2021-10990A)
(43)【公開日】2021年2月4日
(54)【発明の名称】ワーク搬入・搬出装置及び加工装置
(51)【国際特許分類】
   B23Q 7/04 20060101AFI20210108BHJP
   B23Q 11/08 20060101ALI20210108BHJP
   B23Q 11/00 20060101ALI20210108BHJP
【FI】
   B23Q7/04 R
   B23Q11/08 Z
   B23Q11/00 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2019-127395(P2019-127395)
(22)【出願日】2019年7月9日
(71)【出願人】
【識別番号】504404216
【氏名又は名称】冨松工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129676
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼荒 新一
(74)【代理人】
【識別番号】100158067
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 基
(72)【発明者】
【氏名】冨松 健二
【テーマコード(参考)】
3C011
3C033
【Fターム(参考)】
3C011BB21
3C011DD01
3C011DD02
3C033HH15
(57)【要約】
【課題】正面側からワークの搬入及び搬出が容易に可能な加工装置を提供することが可能となる。
【解決手段】
加工装置20では、ワーク搬入・搬出装置40が加工装置20の前面側であって、前面扉22と仕切板26との間に設けられている。また、前面扉22と仕切板26との間の位置には、上方に上方レール32が、下方側に下方レール34が、それぞれ設けられており、上方レール32及び下方レール34に沿って移動可能なワーク搬入・搬出装置40が設けられているため、前面扉22を閉鎖した状態であっても、前面側からワークをワークスペースに搬入することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを搬入・搬出するワーク搬入・搬出装置から搬入されたワークをワーク加工台で加工する加工装置において、
前面側に設けられた前面扉と、
前記前面扉と前記ワーク加工台を有するワークスペースとの間に設けられた仕切板と、
を備え、
前記ワーク搬入・搬出装置が、前記前面扉と前記仕切板との間に位置することを特徴とする、
加工装置。
【請求項2】
請求項1に記載の加工装置において、
前記前面扉と前記仕切板との間の上方に設けられた上方レールと、
前記上方レールと対向する位置に設けられた下方レールと、
を備え、
前記ワーク搬入・搬出装置は、前記下方レールに沿って移動するサドルと、前記上方レールを挟持する挟持部と、を有することを特徴とする、
加工装置。
【請求項3】
前記下方レールは、上面の前記前面扉側に傾斜面を有し、
前記サドルは、前記傾斜面と対向する位置に設けられたロータの駆動により、前記下方レールに沿って移動することを特徴とする、
請求項2に記載の加工装置。
【請求項4】
前記下方レールは、側面に設けられた開口部を貫通して設けられており、
前記開口部の外側には、上方向に傾斜する延出部が設けられていることを特徴とする、
請求項2又は3に記載の加工装置。
【請求項5】
前面側に設けられた前面扉と、前記前面扉とワークを加工するワーク加工台を有するワークスペースとの間に設けられた仕切板と、開口部を有する側面と、を有する加工装置に前記ワークを搬入・搬出するワーク搬入・搬出装置において、
前記開口部を貫通し、前記前面扉と、前記仕切板との間に位置することを特徴とする、
ワーク搬入・搬出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワーク搬入・搬出装置及び加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複合加工旋盤の工具主軸台と共同してワークを自動的に搬入・搬出する装置が知られている。例えば、特許文献1には、主軸と、ワークハンドリング装置と、B軸まわりに旋回動する工具主軸台と、を備えた複合加工旋盤と、素材搬入ハンドと完成品受け皿を有するフレームと、フレームを往復運動させるシリンダとを備えたワーク搬入・搬出装置と、が記載されている。この複合加工旋盤及びワーク搬入・搬出装置は、カバーのドアを開いて素材の搬入と完成品の搬出を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−142920号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このとき、ワーク搬入・搬出装置は、複合加工旋盤の側面外部に位置しているため、素材の搬入及び完成品の搬出の際には、カバーのドアを開閉する必要があるという課題があった。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、素材の搬入及び搬出が容易に可能なワーク搬入・搬出装置を提供することを主目的とする。また、このワーク搬入・搬出装置を備えた加工装置を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明の加工装置は、
ワークを搬入・搬出するワーク搬入・搬出装置から搬入されたワークをワーク加工台で加工する加工装置において、
前面側に設けられた前面扉と、
前記前面扉と前記ワーク加工台を有するワークスペースとの間に設けられた仕切板と、
を備え、
前記ワーク搬入・搬出装置が、前記前面扉と前記仕切板との間に位置することを特徴とする、
ものである。
【0008】
この加工装置では、ワークを搬入・搬出するワーク搬入・搬出装置が、前面側に設けられた前面扉とワーク加工台を有するワークスペースを仕切る仕切板との間に設けられているため、前面扉を閉鎖した状態であっても、前面側からワークをワークスペースに搬入することができる。こうすることにより、ワークを加工する際の加工効率を向上させることができる。
【0009】
本発明の加工装置は、前記前面扉と前記仕切板との間の上方に設けられた上方レールと、前記上方レールと対向する位置に設けられた下方レールと、を備え、前記ワーク搬入・搬出装置は、前記下方レールに沿って移動するサドルと、前記上方レールを挟持する挟持部と、を有することを特徴としてもよい。こうすることにより、ワーク搬入・搬出装置が下方レールと上方レールの2カ所で支持されることになるため、ワーク搬入・搬出装置がワークを搬入・搬出する際の安定性を向上させることができる。
【0010】
本発明の加工装置において、前記下方レールは、上面の前記前面扉側に傾斜面を有し、前記サドルは、前記傾斜面と対向する位置に設けられたロータの駆動により、前記下方レールに沿って移動することを特徴としてもよい。このように、下方レールの上面の前面扉側に傾斜面を有することにより、ワーク領域からワークの切粉やワークを加工する際に使用する水や油等が飛散した場合であっても、下方レールの上面側に切粉等が付着し、ロータの駆動が妨げられる可能性を未然に低減することができる。
【0011】
本発明の加工装置において、前記下方レールは、側面に設けられた開口部を貫通して設けられており、前記開口部の外側には、上方向に傾斜する延出部が設けられていることを特徴としてもよい。こうすることにより、ワーク領域からワークの切粉やワークを加工する際に使用する水や油等が飛散し、ワーク搬入・搬出装置に付着した場合であっても、加工装置の内部又は延出部に切粉や水・油等が落下することになるため、加工装置の設置面を汚染する可能性を未然に低減することができる。このとき、延出部が上方向に傾斜しているため、切粉や水・油等が付着したワーク搬入・搬出装置が延出部の上方に位置する場合であって、延出部に切粉や水・油等が落下した場合には、傾斜面に沿って加工装置の内部に移動することになるため、清掃しやすい。
【0012】
本発明のワーク搬入・搬出装置は、
前面側に設けられた前面扉と、前記前面扉とワークを加工するワーク加工台を有するワークスペースとの間に設けられた仕切板と、開口部を有する側面と、を有する加工装置に前記ワークを搬入・搬出する搬入・搬出装置において、
前記開口部を貫通し、前記前面扉と、前記仕切板との間に位置することを特徴とする、
ものである。
【0013】
このワーク搬入・搬出装置は、側面に設けられた開口部を貫通し、前面扉と仕切板との間に位置するため、前面扉を閉鎖した状態であっても、前面側からワークをワークスペースに搬入することができる。こうすることにより、ワークを加工する際の加工効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、加工装置20の構成の概略を示す斜視図である。
図2図2は、前面扉22を省略した加工装置20の構成の概略を示す斜視図である。
図3図3は、加工装置20の右側面図及び下方レール34の一部を拡大した拡大図である。
図4図4は、ワークの搬入・搬出を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施の形態の一例として、加工装置20について、詳しく説明する。以下に説明する実施の形態及び図面は、本発明の実施形態の一部を例示するものであり、これらの構成に限定する目的に使用されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更することができる。なお、各図において対応する構成要素には同一又は類似の符号を付す。また、加工装置20及びワーク搬入・搬出装置40の動作の一例を説明することにより、本発明の加工装置及び搬入・搬出装置の使用方法の一例も明らかにする。
【0016】
まず、図1及び図2を用いて、本発明の実施の形態の一例である加工装置20の構成の概略について詳しく説明する。ここで、図1は、加工装置20の構成の概略を示す斜視図であり、図2は、前面扉22を省略した加工装置20の構成の概略を示す斜視図である。加工装置20は、図1及び図2に示すように、前面側に設けられたワーク搬入・搬出装置40からワーク加工台24を有するワークスペースにワークを搬入し、ワークを加工して搬出する加工装置であり、ワークの加工に関連する部分については、公知の加工技術(例えば、公知の6軸加工機)と同様であるため、この部分の構成については、説明を省略する。この加工装置20は、前面側に前面扉22が設けられており、ワークを加工するワーク加工台24が設けられたワークスペースとは、仕切板26で仕切られている。こうすることにより、ワークスペースでワークを加工した際、ワークの切粉や加工時に使用する水や油等がワークスペースの外に飛散する可能性を未然に低減することができる。
【0017】
また、前面扉22と仕切板26との間の位置には、上方に上方レール32が、下方側に下方レール34が、左側面28aに設けられた開口部29a及び右側面28bに設けられた開口部29bを貫通して、それぞれ設けられており、上方レール32及び下方レール34に沿って移動可能なワーク搬入・搬出装置40が設けられている。このワーク搬入・搬出装置40は、上方レール32及び下方レール34に沿って一方側面側(図2中、右側)から未加工のワークをワークスペースに搬入し、加工済みのワークを他方側面側(図2中、左側)に搬出する。このとき、ワーク搬入・搬出装置40は上方レール32及び下方レール34の両方を移動可能に挟持しているため、いずれか一方のみ挟持している場合と比較して、移動する際の安定性が高く、精密な位置制御を行うことができる。言い換えると、ワークの重量や形状に依らず、正確に搬入・搬出することができる。
【0018】
前面扉22は、側面方向に開閉する金属製の扉である。
【0019】
ワーク加工台24は、図示しない切削工具でワークを加工する際、ワークを固定する積置部である。このワーク加工台24は、図示しないレールに沿って前後方向に移動可能に設けられている。このワーク加工台24が、ワークを搬入・搬出する際には前方側に、ワークを加工する際には後方側に移動することにより、ワーク搬入・搬出装置40がワークを搬入・搬出する際、容易にワークを搬入・搬出することができる。
【0020】
仕切板26は、中央部に開口部26aを有する金属性の板状部材であり、開口部26aの上側には、透光性を有する樹脂製の板(例えば、アクリル樹脂製の板)からなる透光部26bが設けられており、ワーク搬入・搬出装置40がワークを搬入・搬出する際、ワーク搬入・搬出装置40に設けられた図示しないアームは、開口部26aを介してワークを搬入・搬出する。こうすることにより、正面からワークスペースの高い視認性を保ちつつ、ワークを加工する際に発生する切粉や水・油等がワークスペースから飛散することを防止し、ワークを搬入・搬出することができる。
【0021】
左側面28aは、前面側に開口部29aを有し、開口部29aの下部には、左側面28aから遠ざかるにつれて上方向に傾斜する延出部30aが設けられている。また、右側面28bは、前方側に開口部29bを有し、開口部29bの下部には、右側面28bから遠ざかるにつれて上方向に傾斜する延出部30bが設けられている。なお、以下の説明において、左側面28a及び右側面28bを「側面28」とも、開口部29a及び開口部29bのことを「開口部29」とも、延出部30a及び延出部30bのことを「延出部30」とも、それぞれ言う。
【0022】
このとき、ワーク搬入・搬出装置40は、この開口部29を通過して、ワークを搬入・搬出する。こうすることにより、ワークを搬入・搬出する際、ワーク搬入・搬出装置40は、加工装置20の内部又は延出部30の上方に位置することになるため、ワーク搬入・搬出装置40にワークを加工する際に発生する切粉や水・油等が付着した場合であっても、付着物が加工装置20の設置面を汚染することを未然に防ぐことができる。また、延出部30は側面28から遠ざかるにつれて上方向に傾斜する傾斜面として形成されているため、ワーク搬入・搬出装置40に付着した切粉等が延出部30に落下した場合には、延出部30から加工装置20の内部に自重により移動する(水や油によって切粉等の固形物が流される)ことになるため、切粉や水・油等を清掃する際、清掃しやすい。
【0023】
上方レール32及び下方レール34は、図3に示すように、前面扉22と仕切板26との間の位置であって、互いに対向する位置に設けられた一対のレールであり、ワーク領域の前面側に設けられた開口部29を貫通し、ワーク領域の前面側を横断する位置に設けられている。この上方レール32及び下方レール34に沿ってワーク搬入・搬出装置40が一方側面側から他方側面に移動することで、未加工のワークを搬入し、加工済みのワークを搬出することができる。
【0024】
また、下方レール34の前面扉22側の側面の上方側の角は、上面から前面扉22側の側面方向に傾斜する傾斜面34aが形成されている。このように、下方レール34の上面側を傾斜面とすることで、傾斜面を有しない場合と比較して、ワークを加工する際に発生する切粉や水・油等がワークスペースから飛散した場合であっても、下方レール34の上面に付着する可能性を未然に低減することができる。言い換えると、切粉や水・油等により、ワーク搬入・搬出装置40の移動が妨げられたり、移動位置がずれたりする可能性を未然に低減することができる。このとき、傾斜面34aは、前面扉22側に傾斜しているため、仕切板26側に傾斜している場合と比較して、より、下方レール34の上面に付着する可能性を未然に低減することができ、切粉や水・油等により、ワーク搬入・搬出装置40の移動が妨げられたり、移動位置がずれたりする可能性を未然に低減することができる。
【0025】
ワーク搬入・搬出装置40は、図示しないロータが下方レール34の表面で駆動することで下方レール34に沿って移動するサドル42と、サドル42と連接し上方レール32を挟持し、サドル42の移動に伴って上方レール32に沿って移動する挟持部44と、サドル42及び挟持部44とそれぞれ連接し、図示しないアームを有する本体部46と、を備えている。このワーク搬入・搬出装置40は、図示しない制御ユニットからの制御に従って図示しないロータが駆動することで、サドル42が下方レール34に沿って移動する。このとき、挟持部44によって上方レール32を挟持することにより、ワークを搬送して移動する際や、ワークをワーク加工台24に図示しないアームで移動する際、挟持部44を有しない場合と比較して、移動や搬入の際の安定性を高めることができる。こうすることにより、ワークの形状や重量にかかわらず、ワーク加工台24の所望の位置にワークを積置することができる。
【0026】
続いて、ワーク領域にワークを搬入・搬出する搬入・搬出方法について、図4を用いて説明する。ここで、図4は、ワークの搬入・搬出を説明するための説明図であるが、説明の都合上、図中において前面扉22の記載は省略した。ワーク領域にワークを搬入する際には、図示しないアームが未加工のワークを保持した状態で、ワーク搬入・搬出装置40が加工装置20の一方側面側(図4(a)参照)から加工装置20の正面位置(図4(b)参照)まで移動する。このとき、ワーク搬入・搬出装置40の移動に伴って、ワーク加工台24が前面扉22の方向に移動し、ワーク搬入・搬出装置40が加工装置20の正面位置に移動した際、ワーク加工台24は、ワークスペースから前面扉22の方向に移動した状態に位置する。この状態で、図示しないアームが回動することで、未加工のワークをワーク加工台24に積置すると共に、加工済みのワークを図示しないアームが保持する。
【0027】
続いて、ワーク搬入・搬出装置40は、加工装置20の他方側面側(図4(c)参照)に移動すると共に、ワーク加工台24がワークスペースの方向(図2中、後方)に移動する。こうすることで、ワーク領域の前面側を開放し、ワークをワークスペースから搬出することができる。また、ワーク搬入・搬出装置40にワークを加工する際に発生する切粉や水・油等が付着していた場合には、ワーク搬入・搬出装置40が停止する際の慣性力と重力により、延出部30aに落下させることができる。こうすることにより、ワーク搬入・搬出装置40から下方レール34に切粉や水・油等が落下し、下方レール34の表面を汚染する可能性を未然に低減することができる。加えて、延出部30aは加工装置20の方向に傾斜しているため、延出部30aに落下した切粉や水・油等は、開口部29aを経て、加工装置20の内部に戻されることになるため、切粉や水・油等を清掃する際の労力を低減することができる。
【0028】
その後、ワーク搬入・搬出装置40は、加工装置20の一方側面側に移動する。このとき、加工装置20の一方側面側にも延出部30bが設けられているため、他方側面側に移動した場合と同様、ワーク搬入・搬出装置40にワークを加工する際に発生する切粉や水・油等が付着していた場合には、ワーク搬入・搬出装置40が停止する際の慣性力と重力により、延出部30bに落下させることができる。こうすることにより、ワーク搬入・搬出装置40から下方レール34に切粉や水・油等が落下し、下方レール34の表面を汚染する可能性を未然に低減することができる。加えて、延出部30bは加工装置20の方向に傾斜しているため、延出部30bに落下した切粉や水・油等は、開口部29bを経て、加工装置20の内部に戻されることになるため、切粉や水・油等を清掃する際の労力を低減することができる。
【0029】
以上詳述した本実施の形態の加工装置20では、ワーク搬入・搬出装置40が加工装置20の前面側であって、前面扉22と仕切板26との間に設けられているため、前面扉22を閉鎖した状態であっても、前面側からワークをワークスペースに搬入することができる。
【0030】
また、ワーク搬入・搬出装置40は、上方レール32と下方レール34との両方を挟持しているため、上方レール32又は下方レール34のいずれか一方によって支持される場合と比較して、ワークの大きさや重量による位置ズレを未然に防止し、正確にワークを搬入・搬出することができる。
【0031】
更に、下方レール34の前面扉22側の側面の上方側には、側面方向に傾斜する傾斜面34aが形成されているため、ワーク領域からワークの切粉やワークを加工する際に使用する水や油等が飛散した場合であっても、下方レール34の上面側に切粉等が付着し、ワーク搬入・搬出装置40の移動が妨げられる可能性を未然に低減することができる。
【0032】
更にまた、ワーク搬入・搬出装置40は、加工装置20の内部及び延出部30の上方を移動するため、ワークの切粉やワークを加工する際に使用する水や油等がワーク搬入・搬出装置40に付着した場合であっても、付着物が加工装置20の設置面に落下する可能性を未然に低減することができる。
【0033】
また、延出部30は、側面28に設けられた開口部29の下部から斜め上方向に傾斜する傾斜面であるため、ワーク搬入・搬出装置40に付着したワークの切粉や水・油等が落下した場合には、傾斜面に沿って加工装置20の内部に移動するため、清掃しやすい。
【0034】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0035】
上述した実施例において、サドル42は図示しない駆動ローラを有するものとしたが、駆動ローラに加えて、下方レール34の表面に沿って移動するガード部を備えていても良い。こうすることにより、サドル42が下方レール34に沿って移動する際、下方レール34の表面に沿ってガード部が移動することになるため、ワークを加工する際に発生する切粉や水・油等がワークスペースから飛散し、下方レール34の上面に付着した場合であっても、切粉や水・油等によって駆動ローラの駆動が妨げられる可能性を未然に低減することができる。なお、ここで、ガード部とは、例えば、ブラシや布、繊維等の軟性材料や吸水性材料を用いても良いし、樹脂等の下方レール34よりも硬度の低い材料を用いても良い。いずれの場合であっても、上述した実施の形態と同様の効果が得られる。
【0036】
上述した実施の形態において、延出部30は、左側面28aと右側面28bの両方に設けられているものとしたが、左側面28a又は右側面28bのいずれか一方にのみ設けられているものとしてもよい。この場合も、上述した実施の形態と同様の効果が得られる。
【0037】
上述した実施の形態において、ワーク搬入・搬出装置40は、延出部30の上方位置に移動し、停止するものとしたが、延出部30の上方位置に移動した後、振動したり、前後に微細移動したりしてもよい。こうすることにより、ワーク搬入・搬出装置40にワークを加工する際に発生する切粉や水・油等が付着していた場合には、ワーク搬入・搬出装置40から延出部30により落下しやすくすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
上述した実施の形態で示すように、金属加工分野、特に、自動でワークを搬入して加工する加工装置として利用することができる。
【符号の説明】
【0039】
20…加工装置、22…前面扉、24…ワーク加工台、26…仕切板、26a…開口部、26b…透光部、28…側面、28a…左側面、28b…右側面、29…開口部、29a…開口部、29b…開口部、30…延出部、30a…延出部、30b…延出部、32…上方レール、34…下方レール、34a…傾斜面、40…ワーク搬入・搬出装置、42…サドル、44…挟持部、46…本体部。
図1
図2
図3
図4