特開2021-110087(P2021-110087A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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▶ 衛藤 武志の特許一覧

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  • 特開2021110087-固定袋を内蔵した補強体 図000003
  • 特開2021110087-固定袋を内蔵した補強体 図000004
  • 特開2021110087-固定袋を内蔵した補強体 図000005
  • 特開2021110087-固定袋を内蔵した補強体 図000006
  • 特開2021110087-固定袋を内蔵した補強体 図000007
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-110087(P2021-110087A)
(43)【公開日】2021年8月2日
(54)【発明の名称】固定袋を内蔵した補強体
(51)【国際特許分類】
   E04G 23/02 20060101AFI20210705BHJP
【FI】
   E04G23/02 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2020-46(P2020-46)
(22)【出願日】2020年1月5日
(71)【出願人】
【識別番号】515179358
【氏名又は名称】衛藤 武志
(72)【発明者】
【氏名】衛藤 武志
【テーマコード(参考)】
2E176
【Fターム(参考)】
2E176AA04
2E176AA07
2E176BB29
(57)【要約】
【課題】配管等の障害物を撤去あるいは移設せずに施工面へ補強材を固定する固定袋を内蔵した補強体を提案する。
【解決手段】本発明に係る固定袋を内蔵した補強体は、補強材に内蔵された固定袋からなる4方を封止した袋状の中に充填材を注入して使用する固定袋であって、補強材と固定袋の間に配管等の障害物を配置した後であっても充填材を注入することで、当該補強材を構造物の施工面へ固定することができ、構造物に容易に付設することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
補強材に内蔵された固定袋からなる、4方を封止した袋の中に充填材を注入して使用する固定袋であって、補強材と固定袋の間に配管等の障害物を配置した後に充填材を注入することで補強材を施工面へ固定する固定袋を内蔵した補強体。
【請求項2】
前記補強材は、高ヤング率の繊維から形成されている、請求項1に記載の固定袋を内蔵した補強体。
【請求項3】
前記固定袋は、前記補強材と同等以上の伸度を保持する繊維、又はプラスチックのシート、不織布、網織物で形成されており、2辺の縁は補強材の縁に他2辺の縁は補強材の縁より内側に4方を封止した袋状に配設してある、請求項1に記載の固定袋を内蔵した補強体。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の補強材を構造物に付設した付設構造であって、
前記補強材と固定袋の間に配管等の障害物を配置した後に充填材を注入することで当該補強材を施工面へ固定する、付設構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示する発明は、固定袋に充填材を充填する補強体に関する。
【背景技術】
【0002】
流動性硬化材を充填して使用する袋状の補強体は、配管等の障害物がない施工面を主眼に作られており、障害物がある場合は補強材が施工面に固定できないので障害物の撤去あるいは移設の必要がある。
【0003】
これら補強材は配管等を撤去あるいは移設しないで使うと施工面と補強材の間に配管が挟まり空隙が生じるので補強材を固定することができない。
【0004】
特許文献1には、筒状の補強材の内側に筒状の枠体を備え、補強材と枠体との間に流動性固化材を注入する補強方法が開示されているが、筒状の枠体はあらかじめ補強材に装着され補強材の上下端を封止したものであるから、既存の配管等がある場合は撤去あるいは移設しないと施工できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−168889
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上の背景に鑑みて本発明は、配管等の障害にたいして簡便に補強ができるので、補強及び補修の対象範囲が広がると考えられる。施工面へ固定し易く、構造物の補強に容易に利用可能な固定袋を内蔵した補強体を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る固定袋を内蔵した補強体は、4方を封止した袋状の中に充填材を注入して使用する固定袋であって、補強材と固定袋の間に配管等の障害物を配置した後に充填材を注入することで当該補強材を施工面へ固定する固定袋を内蔵した補強体であることを特徴とする。
【0008】
この固定袋を内蔵した補強体は、充填材を注入する注入口を配設することができる。注入口は固定袋の4方縁の内側であれば自由に配設ができる。
【0009】
本発明に係る固定袋を内蔵した補強体は、接着材を付設面あるいは補強材に塗布して使用することができるので、固定袋を通して発生する充填材の押圧力で補強材を施工面へ固定することで、構造物へ付設することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る固定袋を内蔵した補強体は、補強材に内蔵された固定袋の中に充填材を注入して補強材を施工面へ固定すると共に、配管等の障害物を回避せずに補強材を施工面へ固定する固定手段に利用できるので、施工面への固定が簡便であり、且つ鋼構造物やコンクリート構造物などの構造物へ付設してその補強に容易に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係る固定袋を内蔵した補強体の平面図(A)と側面図(B)と筒状の側面図(C)。
図2】実施形態に係る固定袋を内蔵した補強体のコラム鋼材(a1)への付設例を示す図。充填材の注入前のヨコ断面図(D)と注入後のヨコ断面図(E)、その部分詳細図(F)と(G)と注入後の
図3】タテ断面図(H)。
図4】実施形態に係る固定袋を内蔵した補強体のH形鋼材(a2)への付設例を示す図。充填材の注入前のヨコ断面図(I)と注入後のヨコ断面図(J)、注入後の
図5】タテ断面図(K)。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る固定袋を内蔵した補強体の実施形態について、図1に平面図Aと側面図Bで示している。本実施形態の固定袋を内蔵した補強体の、補強材1は高ヤング率の繊維から形成されたシート状の織物からなる。固定袋2は補強材1に使用される織物と同等以上の伸度を保持する繊維、又はプラスチックのシート、不織布、網織物で形成され、2辺の縁は補強材の縁に他2辺の縁は補強材の縁より内側に4方を封止した袋状に配設しており縁部は接着材による接着又は縫製、あるいはその両方で補強材1に接合されている。
【0013】
固定袋2の中に充填材を注入して使用するので、その注入のための注入口3が設けられている。注入口3は筒状織物、可撓性チューブあるいはプラスチック又は金属製のパイプを接着又は縫製、あるいはネジ、あるいはその両方で補強材1に接合あるいは系合されている。
【0014】
実施形態に係る固定袋を内蔵した補強体の付設例を図2、3に示す。この例は、コラム鋼材a1へ補強材1を固定したものである。充填材を注入する前の当該補強材の状態をDに示す。充填材を注入した後の当該補強材1の状態をEに示し、補強材1の縁部を上下に重ね合わせた後に固定袋2が補強材1を固定した状態の部分詳細をFに示す。固定袋2が充填材により反転した状態の部分詳細をGに示す。充填材を注入する前に補強材1と固定袋2の間に配管等の障害物b1を配置した後に補強材1の縁部を上下に重ね合わせた後に固定袋2に充填材を注入口3から注入すると固定袋2が充填材4の圧力で膨張し配管等の障害物b1を包み込んだ後に繊維は更に膨張を続け固定袋2は補強繊維1をコラム鋼材a1の施工面へ押圧して補強材1の固定が完了する。施工後の固定袋を内蔵した補強体は充填材4の硬化後に一体となった構造体を形成する。
【0015】
実施形態に係る固定袋を内蔵した補強体の付設例を図4,5に示す。この例は、H形鋼材a2へ補強材1を固定したものである。充填材を注入する前の当該補強材1の状態をIに示す。充填材を注入した後の当該補強材1の状態をJに示す。H形鋼材a2あるいは補強材1の付設面に接着材5を塗布する。充填材を注入する前に補強材1と固定袋2の間に配管等の障害物b1を配置した後に補強材1の縁部を上下に重ね合わせて、注入口3の側を型枠5で固定する。固定袋2に充填材を注入口3から注入すると固定袋2が充填材4の圧力で膨張し配管等の障害物b1を包み込んだ後に繊維は更に膨張を続け固定袋2は補強材1をH形鋼材a2の施工面へ押圧して補強材1の固定が完了する。施工後の固定袋を内蔵した補強体は充填材4の硬化後に一体となった構造体を形成する。
【0016】
実施形態に係る固定袋を内蔵した補強体は配管等の障害物b1がなくとも充填材を注入すれば補強材1の固定が完了する。
【符号の説明】
【0017】
1 補強材
2 固定袋
3 注入口
4 充填材
a1 コラム鋼材
a2 H形鋼材
b1 配管等の障害物
5 型枠
6 接着材
図1
図2
図3
図4
図5