特開2021-110100(P2021-110100A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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▶ 衛藤 武志の特許一覧

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  • 特開2021110100-可撓性リブを有する複合体 図000003
  • 特開2021110100-可撓性リブを有する複合体 図000004
  • 特開2021110100-可撓性リブを有する複合体 図000005
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-110100(P2021-110100A)
(43)【公開日】2021年8月2日
(54)【発明の名称】可撓性リブを有する複合体
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/14 20060101AFI20210705BHJP
   B32B 3/08 20060101ALI20210705BHJP
   B32B 5/26 20060101ALI20210705BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20210705BHJP
【FI】
   E04B1/14
   B32B3/08
   B32B5/26
   B32B27/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2020-587(P2020-587)
(22)【出願日】2020年1月6日
(71)【出願人】
【識別番号】515179358
【氏名又は名称】衛藤 武志
(72)【発明者】
【氏名】衛藤 武志
【テーマコード(参考)】
4F100
【Fターム(参考)】
4F100AK00B
4F100AT00A
4F100AT00C
4F100BA03
4F100BA06
4F100BA10A
4F100BA10C
4F100DC30B
4F100DG01A
4F100DG01C
4F100GB07
4F100GB15
4F100JK07A
4F100JK07C
4F100JK17B
(57)【要約】
【課題】面追従性と強度に優れた小断面のリブ構造の複合体を編成する。
【解決手段】繊維材からなるシートおよびリブは一体に形成され、リブは可撓性樹脂で立体形成された繊維材からなるシートであって、リブは格納して配設されている。当該シートと相対するシートの四方の縁は繊維材からなる枠材で封止して編成され、当該シートと相対するシートとの層間に充填材を注入すると格納されたリブが展開して、リブ構造の複合体を編成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートとリブとが一体に編成されたシートで、相対するシートとの層間に充填材を注入すると格納されたリブが展開することを特徴とする、可撓性リブを有する複合体。
【請求項2】
前記シートおよびリブは高ヤング率の繊維で形成してある、請求項1に記載の可撓性リブを有する複合体。
【請求項3】
前記リブは可撓性樹脂で形成してある、請求項1に記載の可撓性リブを有する複合体。
【請求項4】
前記リブは格納され、配設している、請求項1又は3に記載の可撓性リブを有する複合体。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の可撓性リブを有する複合体は充填材を前記シートの層間に注入することでリブ構造を編成する可撓性リブを有する複合体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示する発明は、可撓性リブを有する複合体に関する。
【背景技術】
【0002】
リブ状あるいは格子状に立体形成して繊維強化樹脂で編成した部材を、更に無機あるいは樹脂系のマトリックスと編成させると高靭性で高強度な複合材となる。しかし、付設面が湾曲あるいは起伏があると立体形成されたリブ状あるいは格子状部材は付設面への追従ができないので付設が困難となる。
【0003】
これらリブ状あるいは格子状に立体形成された部材は屈折部で分割されるので、継手の処理を要し、強度低下の要因ともなる。
【0004】
これらリブ状や格子状部材は板状に仕切られ多孔に形成されるので、無機あるいは樹脂系の充填材は高粘度なので密実に充填するには、前記部材の周辺に充填材の通る十分な隙間を設ける必要がある。
【0005】
特許文献1には、鉄筋コンクリート構造物に矩形のスリット穴を設け、その中に格子状部材を配設して、充填材をスリット空間に充填する方法が開示されている。この方法の場合、部材の周辺に充填材の通る隙間を設けるので既存コンクリートの欠損断面が大きくなるから付設範囲が制限される。可撓性リブを有する複合体であれば欠損断面を小さくできるので広範囲の付設ができると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2014−70389
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上の背景に鑑みて本発明は、面追従性と強度に優れた小断面のリブ構造の複合体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る可撓性リブを有する複合体は、繊維材からなるシートおよびリブは一体に形成されリブは樹脂で立体形成されたシートであって、リブは格納して配設されている。当該シートと相対するシートの四方の縁は繊維材からなる枠材で封止して編成され、当該シートと相対するシートとの層間に充填材を注入すると格納されたリブが展開して、リブ構造の複合体を編成することを特徴とする。
【0009】
本発明に係る可撓性リブを有する複合体は、リブを可撓性樹脂で形成しており、リブは湾曲あるいは屈曲して格納されている。
【0010】
本発明に係る可撓性リブを有する複合体は、当該シートの層間に充填材を注入すると膨張により格納されたリブが展開されリブの表面に充填材がいきわたるのでマトリックスとの定着がなされる。当該シートは付設面の形状に追従して付設面と当該シートの空隙がなくなるまで膨張した後にマトリックスの硬化が完了すると付設面と一体の複合体を編成する。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る可撓性リブを有する複合体は、面追従性と強度に優れた、小断面のリブ構造の複合体を編成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態に係る可撓性リブを有する複合体の平面図(A)と側面図(B)とその部分詳細図(C)。
図2】実施形態に係る可撓性リブを有する複合体の展開後の側面図(D)とその部分詳細図(E)。
図3】実施形態に係る可撓性リブを有する複合体の付設例1を横断面図(F)と(G)に示した図と、付設例2を縦断面図(H)と(I)に示した図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る可撓性リブを有する複合体の実施形態について、図1に平面図(A)と側面図(B)で示している。可撓性リブを有する複合体は、高ヤング率の繊維材で形成したシート1a,1bとリブ2a、2bが一体に形成されており、当該リブは可撓性樹脂で立体形成されたもので編成され、格納して配設されている。好ましくはリブ2a、2bは相対して直交方向に配設して応力に方向性をもたせるのがよいが、並列に配設してもよい。当該シートと相対するシートの4方の縁は繊維材から形成された枠材3で接着又は縫製、あるいはその両方で接合されている。図1Bの縁部の詳細、図1Cではリブ2a、2bは湾曲あるいは屈曲して格納されており、枠材3はマチ付きの形態で折り畳んで格納されているから展張して厚みが出るようにしてある。図2Dの縁部の詳細、図2Eでは充填材5を注入した形態を示しており、折り畳まれた枠材3は充填圧で展張して、同時に可撓性のリブ2a、2bが展開するので当該リブの表面に充填材5がいきわたる。
【0014】
当該シートの層間に無機あるいは樹脂系のマトリックスといった充填材5を注入するための注入口4が、図1A中央に設けられている。注入口4は、プラスチック又は金属製のパイプを接着材あるいはネジでシート1aあるいは1bに接合あるいは系合されている。
【0015】
当該シートあるいは枠材3が付設面と接合する面には、所定の塗布量の接着剤を塗布して使用できる。
【0016】
当該シートにはリブ2a、2bを避けた位置にセパレーターなどの金属棒の貫通孔を設けることができる。
【0017】
実施形態に係る可撓性リブを有する複合体の付設例1を図3の(F)と(G)に示す。この例は、矩形柱7へ当該シートを仮留めしたものが図3、F、当該シートに充填材を注入したものが図3、Gとなる。矩形柱7の付設面に接着材6を塗布し、矩形柱7に固定あるいは係合したセパレーター10にシート1a,1bと型枠9を通してボルト等で係合される。注入口4から充填材を注入すると、当該シートは型枠9を反力として膨張して、折り畳まれた枠材3は充填圧で展張して、同時に可撓性のリブ2a、2bが展開するので当該リブの表面に充填材5がいきわたる。シート1b面は付設面に追従して押圧されて接着される。付設後の可撓性リブを有する複合体は充填材5の硬化後に矩形柱7と一体となった構造体を編成する。
【0018】
実施形態に係る可撓性リブを有する複合体の付設例2を図3の(H)と(I)に示す。この例は、曲面壁8へ当該シートを仮留めしたものが図3、Hとなる。当該シートに充填材を注入したものが図3、Iとなる。局面壁8の付設面にスリットを設け、当該スリットの付設面に接着材6を塗布し、当該シートを型枠9に仮留めして、局面壁8を閉塞する。注入口4から充填材を注入すると、当該シートは型枠9を反力として膨張して、折り畳まれた枠材3は充填圧で展張して、同時に可撓性のリブ2a、2bが展開するので当該リブの表面に充填材5がいきわたる。シート1b面および枠材3は付設面に追従して押圧されて接着される。付設後の可撓性リブを有する複合体は充填材5の硬化後に曲面壁8と一体となった構造体を編成する。
【符号の説明】
【0019】
1a,1b シート
2a,2b リブ
3 枠材
4 注入口
5 充填材
6 接着材
7 矩形柱
8 曲面壁
9 型枠
10 セパレーター
図1
図2
図3