【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の標識保持具(以下「本保持具」という。)は、設置面に対し標識を保持する標識保持具であって、設置面に載置される基礎部と、標識と基礎部とを直接的又は間接的に連結し、基礎部に対する標識の相対的位置が所定位置から変位すると、標識が該所定位置に変位する方向の力である復元力を標識に加える復元手段と、を備えてなる、標識保持具である。
本保持具は、道路や駐車場等における設置面に対し標識を保持する標識保持具であり、設置面に対し標識を保持することで、標識により区画や位置を表示することができるものである。
本保持具は、基礎部と復元手段とを備えてなる。
基礎部は、設置面(例えば、路面、駐車場の土地表面等)に置くことで設置される。
復元手段は、標識と基礎部とを直接的又は間接的に連結する。標識と基礎部とを直接的に連結するとは、標識と基礎部とを別の部材を介することなく連結することをいい、標識と基礎部とを間接的に連結するとは、標識と基礎部とを別の部材を介して連結することをいう。復元手段は、基礎部に対する標識の相対的位置が所定位置から変位すると、標識が該所定位置に変位する方向の力である復元力を標識に加える。
これにより、本保持具により保持された標識に力が加わり基礎部に対する標識の相対的位置が所定位置から変位することで、標識に加わる衝撃や力を緩和し標識が破損することを防止又は減少させる(同時に、該力を標識に加えた自動車や歩行者等への衝撃や力も緩和し、自動車や歩行者等の損傷等を防止又は減少させる。)と共に、標識に加わる力が減少したり除かれると、復元手段が標識に復元力(標識が該所定位置に変位する方向の力)を加えることで、標識が該所定位置方向に戻る。従って、標識に力が加わって標識が移動しても、標識を元の位置に戻す作業を減少又は不要とすることができる。
【0006】
本保持具においては、復元手段は、前記相対的位置が前記所定位置から変位すると、弾性変形によって復元力を生じる弾性部材を含むもの(以下「弾性部材本保持具」という。)であってもよい。
復元手段が弾性部材を含み、基礎部に対する標識の相対的位置が所定位置から変位すると、該弾性部材が弾性変形することで復元力を生じるので、弾性部材を用いるという簡単な構成により復元手段を構成できる。弾性部材としては、弾性変形することで必要な復元力を生じるものであれば特に限定されないが、例えば、バネ(引っ張りバネ、圧縮バネ、板バネ等を含む。)やゴム等を挙げることができる。
【0007】
弾性部材本保持具においては、前記弾性部材は、長手方向に引き伸ばされて収縮力を生じる伸縮部材であってもよい。
基礎部に対する標識の相対的位置が所定位置から変位すると、弾性変形することで復元力を生じる前記弾性部材は、長手方向に引き伸ばされて収縮力を生じる伸縮部材としてもよい。かかる伸縮部材としては、つるまきバネやゴム(例えば、ゴム製の帯や紐)を例示でき、このような伸縮部材を前記弾性部材とすることで、簡単に弾性部材を構成すると共に、前記相対的位置が前記所定位置から変位することに応じて伸縮部材がその長手方向に引き伸ばされるようにすれば、それにより生じる収縮力により復元力を確実に生じることができる。
【0008】
弾性部材本保持具においては、標識が基礎部の上面に載置されるものであってもよい。
このように標識が、設置面に載置される基礎部の上面に載置されることで、設置面に対し標識を確実に保持することができ、標識と基礎部とが近く位置することから復元手段が標識と基礎部とをうまく連結して復元力を標識に加えることができる。
【0009】
弾性部材本保持具においては、復元手段は、標識に係止される係止部と、係止部と基礎部とを連結する前記弾性部材と、を含むもの(以下「係止部本保持具」という。)であってもよい。
復元手段が、標識に係止される係止部と、係止部と基礎部とを連結する前記弾性部材と、を含んで標識と基礎部とを連結することで、標識に適した係止部を用いることで、様々な標識に本保持具を適用できる。
【0010】
係止部本保持具においては、係止部は、標識に外嵌されることで、標識が少なくとも基礎部から遠ざかる方向に移動することを制限するもの(以下「外嵌係止部本保持具」という。)であってもよい。
標識に係止され、前記弾性部材により基礎部に連結される係止部は、弾性部材が弾性変形によって生じる復元力を標識に加えることができるものを広く含むものであるが、標識に外嵌されることで、標識が少なくとも基礎部から遠ざかる方向に移動することを制限するものとすれば、外嵌するだけで係止部を標識に係止させて標識が少なくとも基礎部から遠ざかる方向に移動することを制限することができる。このため、通常、基礎部に対する標識の相対的位置が所定位置から変位する際は標識が基礎部から遠ざかる方向に移動することが多いことから、係止部を標識に外嵌し簡単に係止させることで、該相対的位置が該所定位置から変位することをうまく制限できる。
【0011】
外嵌係止部本保持具においては、標識は、頂点よりも底面が基礎部に近い錐体の側面に沿った部分を有し、係止部は、錐体の側面に沿った該部分に外嵌されるもの(以下「錐体本保持具」という。)であってもよい。
錐体は、平面P上の閉曲線Cが存し、平面P上にない点Oと曲線C上の各点とを結ぶ直線の軌跡である錐体面を考え、該錐体面と平面Pとによって規定される立体をいい、この錐体の側面(該錐体面)に沿った部分を標識が有し、この錐体の頂点(点O)よりも底面(平面Pに存する閉曲線Cによって囲まれる部分)が基礎部に近く配置される。なお、頂点よりも底面が基礎部に近いことは、頂点と基礎部との間の距離d1と、底面に属する点のうち基礎部から最も遠い点と基礎部との間の距離d2と、を比較し、d2<d1であることをいう。
こうすることで、錐体の側面に沿った標識の該部分に係止部が外嵌されることで、錐体の側面に沿った標識の該部分は基礎部方向に向かって広がる形状になるので(錐体の底面から頂点に向かって先細り形状となっている。)、係止部は、標識が少なくとも基礎部から遠ざかる方向に移動すること(換言すれば、係止部が基礎部に近づく方向に移動すること)をうまく制限することができる。
【0012】
錐体本保持具においては、係止部は、錐体の側面に沿った前記部分を取り囲むもの(以下「錐体取り囲み本保持具」という。)であってもよい。
こうすることで、錐体の側面に沿った標識の該部分を係止部が取り囲むように外嵌されることで、錐体の側面に沿った標識の該部分は基礎部方向に向かって広がる形状であるので、係止部は、標識が少なくとも基礎部から遠ざかる方向に移動すること(係止部が基礎部に近づく方向に移動すること)を確実に制限することができる。
【0013】
錐体取り囲み本保持具においては、前記弾性部材は、長手方向に引き伸ばされて収縮力を生じる伸縮部材であり、該伸縮部材は、錐体の側面に沿った前記部分を係止部が取り囲む異なる複数の位置それぞれに配設されるものであってもよい。
こうすることで、長手方向に引き伸ばされて収縮力を生じる前記弾性部材たる伸縮部材が、錐体の側面に沿った標識の前記部分を係止部が取り囲む異なる複数の位置それぞれに配設されることから、錐体の側面に沿った標識の前記部分を取り囲む係止部の異なる複数の位置に収縮力が加わるので、標識に外嵌される係止部が標識に安定的に保持される。
【0014】
弾性部材本保持具においては、復元力が所定大きさを超えると、標識と基礎部との前記直接的又は間接的な連結を解くもの(以下「連結解放本保持具」という。)であってもよい。
復元手段が含む弾性部材は、基礎部に対する標識の相対的位置が所定位置から変位すると、該弾性部材が弾性変形することで復元力を生じるものであるので、該変位が大きくなると復元力が大きくなることが多い。このため標識と基礎部とを弾性部材が直接的又は間接的に連結し復元力を標識に加えることから、復元力があまり大きくなった際には標識と基礎部との前記直接的又は間接的な連結を解くことで、弾性部材、標識及び基礎部の破損等を防止又は減少させることができる。
【0015】
連結解放本保持具においては、復元手段は、標識に係止される係止部と、前記相対的位置が前記所定位置から変位すると、長手方向に引き伸ばされて収縮力を生じる伸縮部材と、伸縮部材の端部を係止部又は基礎部に固定する端部固定部と、を含み、復元力が所定大きさを超えると、端部固定部の破壊により標識と基礎部との連結を解くものであってもよい。
復元手段が、係止部と伸縮部材と端部固定部とを含むことで、前記相対的位置が前記所定位置から変位すると、伸縮部材が長手方向に引き伸ばされて収縮力を生じ、該生じる収縮力が係止部及び端部固定部を通じて標識と基礎部との間に加わる。このとき端部固定部が、伸縮部材の端部を係止部又は基礎部に固定し(係止部及び基礎部の両方に端部固定部が固定するようにしてもよい。)、復元力が所定大きさを超えると、端部固定部の破壊により標識と基礎部との連結を解くようにすれば、復元力が所定大きさを超えた際に端部固定部が破壊するように端部固定部を形成するという簡単な方法により、弾性部材、標識及び基礎部の破損等を防止又は減少させることができる。なお、伸縮部材が複数配設されるような場合には、該複数配設された伸縮部材のうち復元力が所定大きさを超えたもののみに関し、端部固定部の破壊により標識と基礎部との連結が解かれるようにしてもよい。
【0016】
弾性部材本保持具においては、基礎部が、組み付け及び分離が可能な一部と残部とを含んでなり、復元手段が、少なくとも該一部と標識とを直接的又は間接的に連結し、復元力が所定大きさよりも大きくなると、該一部が該残部から分離するように形成されているもの(以下「分離基礎部本保持具」という。)であってもよい。
復元手段が含む弾性部材は、基礎部に対する標識の相対的位置が所定位置から変位すると、該弾性部材が弾性変形することで復元力を生じるものであるので、該変位が大きくなると復元力が大きくなることが多い。このため標識と基礎部とを弾性部材が直接的又は間接的に連結し復元力を加えることから、組み付け及び分離が可能な一部と残部とを含んで基礎部を構成し、この少なくとも該一部を復元手段が標識と直接的又は間接的に連結して、復元力が所定大きさよりも大きくなると、該一部が該残部から分離するように形成することで、弾性部材、標識及び基礎部(とりわけ基礎部)の破損等を防止又は減少させることができる。
なお、該一部と該残部とを組み付け及び分離を可能にするには種々の方法を用いることができ、特に制限されるものではないが、互いに嵌脱自在な凹部及び凸部を前記一部と前記残部との一方に該凸部を形成し他方に該凹部を形成すること(後述する)、前記一部と前記残部との一方に面ファスナーの一方部分と他方に他方部分を形成すること(例えば、該一方部分が雄型面ファスナー要素であり、該他方部分が雌型面ファスナー要素であり、これら両要素が着脱自在であるような場合)、前記一部と前記残部との一方に互いに磁力により吸引する一方部分と他方に他方部分を形成すること等を例示できる。
【0017】
分離基礎部本保持具においては、前記一部と前記残部との一方が凸部を有し、他方は該凸部が嵌合可能な凹部を有し、凹部と凸部とが嵌合することで前記一部と前記残部とが組み付けられるものであってもよい。
こうすることで、基礎部が含む前記一部と前記残部との一方に凸部を形成し、他方は、該凸部が嵌合可能な凹部を形成するという簡単な構成により、該凹部と該凸部とが嵌合することで前記一部と前記残部とを組み付けると共に、組み付けられた該凹部と該凸部との嵌合を解くことで前記一部と前記残部とを分離することができる。
【0018】
本保持具においては、標識がコーン型標識具であってもよい。
コーン型標識具は、外形が円錐台又は円錐の形状を略なす本体部を有しており、その取り扱いの容易性や視認性が高いことから多用されている。しかし、かかるコーン型標識具は、取り扱いを容易にするため軽量に構成されることが多く、車両や歩行者等の干渉や強風により容易に不意に移動することがある。しかし本保持具によりコーン型標識具を保持すれば、コーン型標識具に加わる力が減少したり除かれるとコーン型標識具が本来の位置方向に戻ることから、コーン型標識具の使用を便ならしめることができる。
【0019】
本発明は、本保持具とそれにより保持された標識とを含んでなる標識装置を提供する。即ち、該標識装置は、本保持具と前記標識とを含んでなる標識装置である。