特開2021-110372(P2021-110372A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-110372(P2021-110372A)
(43)【公開日】2021年8月2日
(54)【発明の名称】更生管及び管更生工法
(51)【国際特許分類】
   F16L 1/00 20060101AFI20210705BHJP
   E03F 7/00 20060101ALI20210705BHJP
   E03F 3/04 20060101ALI20210705BHJP
   E03B 7/00 20060101ALI20210705BHJP
   E02B 13/00 20060101ALI20210705BHJP
   F16L 1/028 20060101ALI20210705BHJP
   B29C 63/34 20060101ALI20210705BHJP
   E21D 11/00 20060101ALN20210705BHJP
【FI】
   F16L1/00 L
   E03F7/00
   E03F3/04 Z
   E03B7/00 A
   E02B13/00 301
   F16L1/028 A
   B29C63/34
   E21D11/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2020-2053(P2020-2053)
(22)【出願日】2020年1月9日
(71)【出願人】
【識別番号】592057385
【氏名又は名称】株式会社湘南合成樹脂製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100108833
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100075292
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 卓
(74)【代理人】
【識別番号】100162156
【弁理士】
【氏名又は名称】村雨 圭介
(72)【発明者】
【氏名】神山 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】石田 誠
【テーマコード(参考)】
2D063
2D155
4F211
【Fターム(参考)】
2D063BA02
2D063BA03
2D063BA19
2D063BA37
2D063EA06
2D155AA04
2D155BB01
2D155CA04
2D155GC06
2D155KB11
2D155LA16
4F211AG08
4F211AH43
4F211SA17
4F211SC03
4F211SD04
4F211SJ21
4F211SP50
(57)【要約】
【課題】周方向に内部骨格構造を多く設け、外力に対して変形が少ない更生管、並びにその更生管を敷設する管更生工法を提供する。
【解決手段】管ユニットを構成するセグメント1は、内面板101の周方向に延びる両側に立設された側板102、103と、両側板間に立設された複数の内部板106〜109を有する。管長方向に見て中央部に位置する内部板107、108間に周方向に延びる突条110が形成される。突条が形成された内部板間と異なる内部板106、107間並びに内部板108、109間のそれぞれに、管ユニットの外周を一周して管ユニットを周方向に締め付ける金属製のバンド30が取り付けられる。突条並びにバンドにより管ユニットの外力に対する変形が抑制できる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチックからなるセグメントを周方向に連結して管ユニットを構成し、該管ユニットを管長方向に連結してなる更生管であって、
前記セグメントは、内周面を構成する内面板と、該内面板の周方向に延びる両側に立設された側板と、両側板間に立設された複数の内部板と、を有し、
以下、側板と内部板をそれぞれプレートとして管長方向に見て中央部に位置するプレート間に周方向に延びる突条が形成され、
突条が形成されたプレート間と異なる第1のプレート間と第2のプレート間のそれぞれに、管ユニットの外周を一周して管ユニットを周方向に締め付ける締付部材が取り付けられることを特徴とする更生管。
【請求項2】
前記締付部材が、第1と第2のプレート間において管長方向に見て突条に対して対称な位置に取り付けられることを特徴とする請求項1に記載の更生管。
【請求項3】
前記締付部材が第1と第2のプレート間のそれぞれ中央に取り付けられることを特徴とする請求項2に記載の更生管。
【請求項4】
前記締付部材が第1と第2のプレート間において突条と遠ざかる側のプレートに寄せて取り付けられることを特徴とする請求項2に記載の更生管。
【請求項5】
前記締付部材が金属製、あるいはアラミド繊維のバンド、又はワイヤーであることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の更生管。
【請求項6】
プラスチックからなるセグメントを周方向に連結して管ユニットを構成し、該管ユニットを管長方向に連結してなる更生管を用いて既設管を更生する管更生工法であって、
以下、側板と内部板をそれぞれプレートとして管長方向に見て中央部に位置するプレート間に周方向に延びる突条が形成されたセグメントを周方向に連結して管ユニットを組み立てる工程と、
突条が形成されたプレート間と異なる第1のプレート間と第2のプレート間のそれぞれに、管ユニットの外周を一周して管ユニットを周方向に締め付ける締付部材を取り付ける工程と、
締付部材が取り付けられた管ユニットを管長方向に連結して既設管内に更生管を組み立てる工程と、
既設管と更生管の間に充填材を注入して固化させる工程と、
を備えることを特徴とする管更生工法。
【請求項7】
前記締付部材が、第1と第2のプレート間において管長方向に見て突条に対して対称な位置に取り付けられることを特徴とする請求項6に記載の管更生工法。
【請求項8】
前記締付部材が第1と第2のプレート間のそれぞれ中央に取り付けられることを特徴とする請求項7に記載の管更生工法。
【請求項9】
前記締付部材が第1と第2のプレート間において突条と遠ざかる側のプレートに寄せて取り付けられることを特徴とする請求項7に記載の管更生工法。
【請求項10】
前記締付部材が金属製、あるいはアラミド繊維のバンド、又はワイヤーであることを特徴とする請求項6から9のいずれか1項に記載の管更生工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチックからなるセグメントを周方向に連結して管ユニットを構成し、該管ユニットを管長方向に連結してなる更生管、並びにその更生管を敷設する管更生工法に関する。
【背景技術】
【0002】
地中に埋設された下水管等の大口径既設管が老朽化した場合、既設管を地中から掘出することなく、その内周面にライニングを施して管路を補修する補修工法が実用化されている。このような工法では、上述したようなセグメントを周方向に連結して管ユニットを組み立て、該管ユニットを連結部材を介して管長方向に連結し管路内に更生管を組み立てている。既設管内に更生管を組み立てた後、既設管と更生管間にグラウトなどの充填材を充填して硬化させ複合管が構築される。
【0003】
セグメントを用いた更生管による管更生では、周方向には、内部骨格構造が少なく、外力に対して変形を起こし易いので、これらの欠点を解決するために、セグメントを周方向に連結して管ユニットを構成し、該管ユニットにその外周を包囲して管ユニットを拘束する拘束部材を取り付け、外力に対して変形を起こすのを防止した更生管を構築することが提案されている(特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】WO2006/027939号公報
【特許文献2】特開2013−19436号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の更生管では、金属又はカーボン繊維の材質でできたワイヤーあるいはバンドで管ユニットの全周を拘束し、特許文献2に記載の更生管では、アラミド繊維からなるワイヤーで管ユニット全周を拘束している。しかしながら、いずれの更生管でも、管長方向に見て1箇所だけで管ユニット全周を拘束しているだけなので、外力に対しての変形を防止するのが不十分である、という問題があった。また、1箇所だけの拘束では、拘束された箇所では強度が向上するが、他の箇所では弱く、セグメントの管長方向強度が不均一になる、という問題があった。
【0006】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、周方向に内部骨格構造を多く設け、外力に対して変形が少ない更生管、並びにその更生管を敷設する管更生工法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明(請求項1)は、
プラスチックからなるセグメントを周方向に連結して管ユニットを構成し、該管ユニットを管長方向に連結してなる更生管であって、
前記セグメントは、内周面を構成する内面板と、該内面板の周方向に延びる両側に立設された側板と、両側板間に立設された複数の内部板と、を有し、
以下、側板と内部板をそれぞれプレートとして管長方向に見て中央部に位置するプレート間に周方向に延びる突条が形成され、
突条が形成されたプレート間と異なる第1のプレート間と第2のプレート間のそれぞれに、管ユニットの外周を一周して管ユニットを周方向に締め付ける締付部材が取り付けられることを特徴とする。
【0008】
本発明(請求項6)は、
プラスチックからなるセグメントを周方向に連結して管ユニットを構成し、該管ユニットを管長方向に連結してなる更生管を用いて既設管を更生する管更生工法であって、
以下、側板と内部板をそれぞれプレートとして管長方向に見て中央部に位置するプレート間に周方向に延びる突条が形成されたセグメントを周方向に連結して管ユニットを組み立てる工程と、
突条が形成されたプレート間と異なる第1のプレート間と第2のプレート間のそれぞれに、管ユニットの外周を一周して管ユニットを周方向に締め付ける締付部材を取り付ける工程と、
締付部材が取り付けられた管ユニットを管長方向に連結して既設管内に更生管を組み立てる工程と、
既設管と更生管の間に充填材を注入して固化させる工程と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、セグメント中央部の2つのプレート間に周方向に延びる突条が設けられるので、セグメントの強度を高めることができる。また、突条が形成されたプレート間と異なる2つのプレート間のそれぞれに、管ユニットの外周を一周して管ユニットを周方向に締め付ける締付部材が取り付けられるので、管ユニットの外力による変形を顕著に抑えることができるとともに、管ユニットの管長方向の強度を均一にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】更生管の組み立てに使用されるセグメントの構造を示した斜視図である。
図2】セグメントを周方向に連結して管ユニットを組み立てた状態を示す斜視図である。
図3】セグメントに金属製のバンドを取り付けた状態を示す斜視図である。
図4】金属製のバンドを管ユニットに一周させ、その両端部を結合して管ユニットを締め付ける状態を示した説明図である。
図5】金属製のバンドで周方向に締め付けられた管ユニットを連結部材を用いて管長方向に連結する状態を示した説明図である。
図6】管長方向に連結されたセグメントの縦断面図である。
図7】既設管内に更生管を敷設する状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本発明を、添付図面に示す実施例に基づいて説明する。本発明は、下水管、上水管、トンネル、あるいは農業用水路等の大口径の既設管を更生あるいは修復するのに適している。本実施例では、更生管は、管長方向に直交する断面形状が円形として説明されるが、円形以外の形状の更生管にも本発明を適用できることは勿論である。
【実施例】
【0012】
図1には、更生管用セグメント1(以下、単にセグメントという)の構造が図示されている。セグメント1は、更生管の内周面を構成する内面板101と、該内面板101の周方向に延びる両側に垂直に立設された同形状の側板102、103と、内面板101の管長方向に延びる両端に垂直に立設された同形状の端板104、105、並びに内面板101上に等間隔に複数立設された、側板102、103と同じ高さで同じ板厚の内部板106、107、108、109とからなるプラスチックでできた一体成形のブロック状の部材である。
【0013】
セグメント1は、本実施例では、円周を複数等分する所定角度、例えば6等分する60度の円弧状に湾曲した形状となっている。ただし、セグメントは円弧形ないし扇形に限定されず、既設管の断面形状、あるいはその大きさ、あるいは既設管の補修箇所に応じて、直方体あるいは直角に丸みを付けて折り曲げた形状にすることもできる。
【0014】
側板102、103、並びに内部板106、109には、セグメント1を管長方向に連結するためにボルトとして構成された連結部材11及びナット12(図5)を通すための円形の挿通穴102a、103a、106a、109aが周方向に等間隔に複数形成される。内部板107、108にも、連結部材11が挿入できる切り欠き107a、108aが等間隔に複数形成される。
【0015】
端板104、105には、セグメント1を周方向に連結するボルト等の連結部材を通すための円形の挿通穴104a、105aが形成される。セグメントはその端板105と他のセグメントの端板104を当接させ、挿通穴に挿入されたボルト6とナット7を螺合させることにより周方向に連結させることができる(図5)。
【0016】
なお、本実施例のセグメント1では、端板104、105は、側板102と内部板106間、並びに側板103と内部板109との間だけに設けられ、内部板106と内部板107間、内部板107と内部板108間、それと内部108と内部板109間には、設けられていない。
【0017】
また、管長方向に見て、セグメント中央部の2つの内部板107と内部板108間の中央には、周方向に延びる突条110が、セグメントの全周に渡って内部板107、内部板108に平行に内面板101上に形成されている。この突条110はリブとして機能し、セグメント1の強度を高めている。突条110は、その高さが側板102、103、内部板106〜109より低く、また後述するセグメント1を管長方向に連結する連結部材11の高さより低くなっている。
【0018】
セグメントを順次周方向に一周分連結させると、図2に示すようなリング状の管ユニット10を組み立てることができる。管ユニット10は、円管を管長方向Xに垂直に所定幅Dで輪切りに切断したときに得られる形状となっており、その外径が更生すべき既設管の内径より少し小さな値となっている。セグメントは、この管ユニット10を、径方向に沿った切断面で周方向Cに複数個に分割(好ましくは等分)したときに得られる部材に相当する。
【0019】
なお、図2では、セグメント1の主要な構造部材である内面板101、側板102、103、端板104、105が図示されていて、内部板106〜109、突条110等の補強構造は、煩雑さを避けるために、図示が省略されている。
【0020】
管ユニット10には、その強度を高めるために、締付部材が取り付けられる。締付部材は、例えば、金属製のバンド30であり、図3に示したように、内部板106と内部板107間と、内部板108と内部板109間のそれぞれ中央に、管ユニット10の全周を一周して取り付けられる。
【0021】
バンド30は、図4に示したように、両端部に取り付けられるボルト30aとナット30bの羅合により締付力を変えて取り付けられる。それにより、管ユニット10の外力による変形(たわみ)を所望な値に抑えることができる。また、バンド30は、それぞれ内部板間の中央に取り付けられるので、管長方向に見て突条110に対して対称な位置に配置され、管ユニット10の管長方向の強度を均一にすることができる。なお、バンド30に形成された矩形あるいは円形の穴は、バンド30の剛性を軽減するために設けられており、またボルト30aを通すための穴としても機能している。
【0022】
このような突条110が形成され、バンド30で締め付けられた管ユニット10の各セグメントには、図5に示したように、ボルト13を用いてナット12が複数固定される。例えば、セグメント1bにセグメント1aを管長方向に連結する場合、一端にナット12と螺合するネジ部11aが形成され、他端につば14aを有する頭部14が固定された連結部材11が用いられる。両セグメント1a,1bの側板103、102を突き合わせ、連結部材11を、セグメント1aの側板102、内部板106〜109の挿通穴ないし切り欠きに通し、ネジ部11aをセグメント1bに固定されているナット12にねじ込むと、連結部材11とナット12が連結される。頭部14のつば14aがセグメント1aの最左端の内部板106に圧接するまで連結部材11をナット12にねじ込むと、両セグメント1a、1bがボルト締めされ管長方向に連結される。
【0023】
2つの管ユニットを管長方向に連結したときの縦断面図が図6に図示されており、突条110並びにバンド30の位置関係が明瞭に理解できる。なお、バンド30は、図6で仮想線で示したように、突条110と遠ざかる側の内部板106、109に寄せて取り付けることもできる。また、バンド30は、仮想線で示したように、側板102と内部板106間と側板103と内部板109間の中央にそれぞれ取り付けるようにすることもできる。この場合も、バンド30は、中央でなく、内部板106、109側に寄せて、あるいは側板102、103側に寄せて取り付けることもできる。なお、側板と内部板は、バンド30の取り付け位置を示す場合には、例えばそれぞれプレートと名付けることができ、プレート間とは、内部板間、あるいは側板と内部板間の意味になる。
【0024】
セグメント1を用いて既設管を更生する場合、まず、図7に示すように、マンホール20を介して既設管21内にセグメント1を搬入し、マンホール20内でセグメントを周方向に順次連結し、管ユニット10を組み立てる。続いて、2つのバンド30で管ユニット10を全周に渡って締め付ける。続いて、管ユニット10を、図5に示す方法で、連結部材11とナット12を用いて順次管長方向に連結し、既設管21内に更生管40を敷設する。既設管21と更生管40の間には、グラウトなどの充填材(不図示)が注入され、充填材が固化されて、既設管21、更生管40並びに充填材からなる複合管が構築される。
【0025】
なお、上述した実施例において、締付部材は金属性のバンドであったが、金属製のワイヤー、あるいはアラミド繊維からなるバンド、あるいはアラミド繊維からなるワイヤーとすることもできる。また、内部板の数は、強度を増すためには、多いほど良いが、通常4個あるいは5個に設定される。
【符号の説明】
【0026】
1 セグメント
10 管ユニット
21 既設管
30 バンド
40 更生管
102、103 側板
106〜109 内部板
110 突条
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7