【実施例1】
【0013】
図1には、金属製のフランジを介して連結される金属製の管10(第1の管)と管20(第2の管)が図示されている。管10、20は、例えば、給水管、排水管、ガス管など液体又は気体などの流体が流れて内圧が発生する中空の円筒部を有する管で、その端部には、外周が円形のフランジ11、21が一体に形成されるか、又は溶接などにより取り付けられる。
【0014】
管10、20は、
図2に示したように、その内径がd1、d2で、それぞれ端部に段差部10a、20aが形成され、印籠構造となっている。本実施例では、管10の内径d1と管20の内径d2は等しくなっているが、矢印を管内を流れる流体の方向を示すものとして下流にある管10の内径d1は、管20の内径d2より小さい値であってもよい。フランジ11、21は、それぞれ厚さがt1、t2、管10、20の外表面からの高さがh1、h2であり、本実施例では、t1=t2、h1=h2となっているが、それぞれ許容範囲内で異なるようにすることもできる。
【0015】
管10の段差部10aには、幅w1、厚さh3、内径d3の金属製のリング管12が嵌め込まれ、溶接により段差部10aに固定される。リング管12の外周にはリング溝12aが形成され、このリング溝12a内には、シール材、例えばOリング13が嵌め込まれる。管20の段差部20aの内径d4は、リング管12の外径(d3+2*h3)とほぼ等しく、管10、20をフランジ11、21を突き合わせて結合するとき、リング管12は管20の段差部20a内に緊密に嵌着し、管10を管20内に嵌着させるときの嵌着部を構成する。また、リング管12に嵌め込まれたOリング13が管20段差部20aの内面に密着し、これによりシール機能が得られる(
図12上段)。
【0016】
なお、リング管12のフランジ11からの突出量w2は、フランジ11、21が当接するまでリング管12が管20の段差部20aに嵌め込まれたとき、リング管12の端面と段差部20aの端面間に隙間w3ができるような値に設定される(
図12上段)。また、本実施例では、リング管12の内径d3は、管10、20の内径d1、d2と同じ値に設定されるので、リング管12と管10、20の内周面には、段差が形成されることはない。
【0017】
図3から
図6には、管10、20のフランジ11、21を留める金属製のクランプ30の構成が図示されている。管10、20の連結は、各フランジ11、21を、複数のクランプ30で留めることにより行われる。クランプ30は、
図3、
図4に示したように、幅の短いリング管を周方向にα=120度に等分割した円弧形状を有し、クランプの管長方向中央に管10、20のフランジ11、21が突き合わされて挿入される凹溝30aが円弧全周に渡って形成される。クランプ30の外側円弧30bと内側円弧30c間の幅h4は、フランジ11、21の高さh1、h2より小さな値になっている(
図12上段)。また、凹溝30aは、
図5、
図12に示したように、フランジ11、21を周方向に等分割(3等分)した円弧形状の側面30d、30e並びに側面30d、30eに垂直な円弧形状の底面30fを有し、両管のフランジ11、21を隙間をもたせて挿入できる管長方向幅Wを有する。
【0018】
クランプ30の両端には、各クランプを連結するための金属製の連結板31が溶接されている。本実施例では、管10は、後述するように、内圧を受けて両管10、20が微少量Δ(例えば、約1mm)離れるように、管20内に嵌着されるので、
図5、
図12に示した凹溝30aの管長方向幅Wは、この微少量Δを考慮して、W=t1+t2+Δに設定される。
【0019】
このようなクランプ30を3個用いてそれぞれの連結板31を合わせ、連結板31に形成された穴31aにワイヤー32を通して連結板31に巻き付けることにより、
図6に示したように、リング管状になったクランプを構成することができる。連結板31の結合は、ワイヤー32に代えて、例えばシャコ万のようなクランプあるいはクリップなどを用いることもできる。また、連結板31の穴31aをボルト挿通穴として用い、ボルトとナットで連結板31を結合するようにしてもよい。
【0020】
このように構成されたクランプ30を用いて管10、20を連結する場合、まず管10のリング管12を管20内に嵌着させる。このとき、
図12の上段に示したように、管10は、リング管12と管20の段差部20a部間にw3の隙間ができるように、管20内に嵌着されるので、管10、20はこの隙間部分で内圧を受けて離間することができる。続いて、
図7に示したように、管10、20のフランジ11、21を合わせてクランプ30の凹溝30aに挿入し、両フランジ11、21の周縁部を留める。両管のフランジ11、21は、隙間(Δに相当)をもたせて凹溝30aに挿入できるので、フランジ11、21を留める操作が容易になる。
【0021】
続いて、
図8、
図9に図示したように、まだ留められていない両管10、20のフランジ11、21を、2個のクランプ30を用いて両フランジ11、21の全周を留め、管10、20を連結する。各クランプ30は、隣接する連結板31をワイヤーにより相互に連結することにより固定することができる。このワイヤーによる、又はボルトとナットによるクランプの連結は、
図8、
図9などでは、仮想線で簡略的に図示されている。なお、管10、20の連結の解除は、連結の順序と逆の順序で行うことができる。
【0022】
クランプ30は、リング管を周方向に120度に等分割した形状となっているが、180度に分割した形状、又は4個あるいはそれ以上の数で等分割した形状にすることができる。その場合、クランプに形成される凹溝30aの両側面30d、30eも、フランジを他の数で等分割したときの形状になる。本実施例のように、120度に等分割した形状の場合には、2つのクランプでフランジを留めると、240度形状のクランプとなるので、各クランプ30はフランジから外れず、一人の作業者で管10、20の連結を行うことができる。
【0023】
図10から
図12には、連結された管10、20の断面が図示されている。管10、20は、例えば、管径が約200mmの泥水などを排水する排水管などで、1本の管長が5mとすると、10本の管をクランプ30を用いて連結すると、全長が50mとなる。管20の入り口側(
図10で右側)には、送水ポンプ(不図示)が取り付けられており、
図10で矢印の方向に、泥水を圧送(最大1.0Mpa)すると、仮定する。
【0024】
出口側(
図10で左側)には、開閉バルブ(不図示)が取り付けられており、開閉バルブが全開の時は、内圧は0.002Mpa程度なので、管長方向には、約6kgf程度の僅かの力しか掛からず、
図12の上段に示したように、管10、20のフランジ11、21は、移動せず、Oリング13のシール機能により、泥水がフランジ継手部分から漏水することはない。
【0025】
一方、開閉バルブが全閉すると、内圧が上昇し、管20の段差部20aに管長方向に、約3000kgfの力がかかり、両管10、20並びに両フランジ11、21がΔ離間し、フランジ11、21が凹溝30aの対応する側面30d、30eに強力に密着する。これにより、クランプ30のフランジ11、21への締付力(クランプ力)が増大し、管10、20の連結が強固になる。また、フランジ11、21間にΔの隙間が発生しても、Oリング13によるシール機能があるので、Δの隙間から漏水はなく、内圧が低下することはない。また、管内に発生する内圧により両管のフランジ11、21が離れる方向へ働く力は、凹溝30aを押し広げようとする。この時クランプ30の周方向の両端部に取り付けられた連結板31が、リブ(補強部材)として働き、凹溝30aが押し広がるのを防止する。更に、フランジ11、21が離れる方向へ働く力は、120度で分割された3個のクランプ30の凹溝30aの底面30fの管長方向への引張り力へ変換される。これによりクランプ30を薄い板にすることができ、軽量にできる、という利点が得られる。更に、クランプ30の凹溝30aの幅Wとフランジ11、21の幅の合計にはΔの差があるので、フランジ11、21を凹溝30aに嵌めやすい、という利点も得られる。
【実施例2】
【0026】
上述した実施例は、同径の管を連結する例であったが、異なる径の管を連結する場合も、クランプ30を利用することができる。この実施例が
図13から
図17に図示されている。
【0027】
地中に埋設された下水道管などの既設管が老朽化した場合に、硬化性樹脂を含浸したライニング材を反転容器から反転して既設管に挿入し、既設管を更生することが行われている。
【0028】
図13、
図14に図示したように、ライニング材61を反転させる反転ノズル40は、取付管50を介して反転容器60に取り付けられ、ライニング材61は、反転容器60から反転ノズル40の一端に折り返されて取り付けられ、反転容器60内に供給される圧縮エアーにより反転される。
【0029】
反転ノズル40は円筒形状で、実施例1の一方の管10に対応し、取付管50は、実施例1の他方の管20に対応する。反転ノズル40には、フランジ41とレジューサー42が取り付けられ、フランジ41の反転ノズル40と反転側の面には、Oリング44を収納するリング溝が形成されたリング管43が取り付けられる。この実施例では、反転ノズル40、フランジ41、レジューサー42、リング管43は、一体に形成されている。
【0030】
一方、取付管50の反転ノズル40側端面には、フランジ51が一体成形され、段差部50aが形成されている。反転ノズル40の内径が、取付管50の内径より小さいことから、フランジ41の面が大きくなっていることと、リング管43がフランジ41の面に取り付けられることを除き、各要素のサイズ、寸法は、
図2に関連して説明した実施例1と同様である。
【0031】
反転ノズル40の取付管50への取り付けは、3個のクランプ30を用いて実施例1と同様に行われる。まず、反転ノズル40のリング管43を取付管50の段差部50aに嵌着し、フランジ41、51を合わせてクランプ30の凹溝30aに挿入し、両フランジ41、51の周縁部を留める。続いて、残りの2個のクランプ30を用いて両フランジ41、51の全周を留めると、
図15に図したように、反転ノズル40が3個のクランプ30を介して取付管50に連結される。
【0032】
反転容器60内に圧縮エアーが供給されると、反転容器60の内圧が上昇し、ライニング材61が反転されるとともに、
図14で矢印で示したように、反転ノズル40のフランジ41に力がかかり、反転ノズル40と取付管50並びにフランジ41、51がΔだけ離間し、フランジ41、51がそれぞれクランプ30の凹溝30aの側面30d、30eに強力に密着する。これにより、クランプ30のフランジ41、51への締付力が増大し、反転ノズル40と取付管50の連結が強固になる。また、フランジ41、51間にΔの隙間が発生しても、Oリング44によるシール機能があるので、Δの隙間からのエアー漏れはなく、ライニング材61を反転させる内圧が低下することはない。その他、2つのクランプ30でフランジ41、51を留めると、240度形状のクランプとなるので、各クランプ30はフランジ41、51から外れず、一人の作業者で重量のある反転ノズル40を取付管50に連結することができる。
【0033】
本実施例では、反転容器60において、クランプ30は、取付管50と反転ノズル40の連結だけでなく、他の管部材の連結にも利用される。
図16、
図17に示したように、カバー管70が取付管62を介して反転容器60の上部に取り付けられる。カバー管70には、内部監察用に透明な強化ガラス74が嵌め込まれており、カバー管70は、実施例1の一方の管10に対応し、取付管62は、実施例1の他方の管20に対応する。
【0034】
カバー管70には、フランジ71が取り付けられ、フランジ71の反対側面には、Oリング73を収納する凹溝が形成されたリング管72が一体的に取り付けられる。一方、取付管62のカバー管70側端面には、フランジ63が一体的に取り付けられ、段差部62aが形成されている。カバー管70の内径が、取付管62の内径より小さいことから、フランジ71の面が大きくなっていることと、リング管72がフランジ71の面に一体的に取り付けられることを除き、各要素のサイズ、寸法は、
図2に関連して説明した実施例1と同様である。
【0035】
カバー管70の取付管62への取り付けは、3個のクランプ30を用いて実施例1、2と同様に行われる。まず、カバー管70のリング管72を取付管62の段差部62aに嵌着し、フランジ71、63を合わせてクランプ30の凹溝30aに挿入し、両フランジ71、63の周縁部を留める。続いて、残りの2個のクランプ30を用いて両フランジ71、63の全周を留めると、
図16に図示したように、カバー管70が3個のクランプ30を介して取付管62に連結される。
【0036】
反転容器60内に圧縮エアーが供給されると、反転容器60の内圧が上昇し、ライニング材61が反転されるとともに、
図17で矢印で示したように、カバー管70のフランジ71に力がかかり、カバー管70と取付管62並びにフランジ71、63がΔだけ離間し、フランジ71、63がそれぞれクランプ30の凹溝30aの側面30d、30eに強力に密着する。これにより、クランプ30のフランジ71、63への締付力が増大し、カバー管70と取付管62の連結が強固になる。また、フランジ71、63間にΔの隙間が発生しても、Oリング73によるシール機能があるので、Δの隙間からのエアー漏れはなく、ライニング材61を反転させる内圧が低下することはない。その他、上述した実施例と同様な効果が得られる。