特開2021-110533(P2021-110533A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2021-110533パイプなし密閉型アルミ均熱板およびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-110533(P2021-110533A)
(43)【公開日】2021年8月2日
(54)【発明の名称】パイプなし密閉型アルミ均熱板およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   F28D 15/02 20060101AFI20210705BHJP
   F28D 15/04 20060101ALI20210705BHJP
【FI】
   F28D15/02 101H
   F28D15/04 A
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2020-212991(P2020-212991)
(22)【出願日】2020年12月22日
(31)【優先権主張番号】201911408682.9
(32)【優先日】2019年12月31日
(33)【優先権主張国】CN
(71)【出願人】
【識別番号】520506545
【氏名又は名称】東莞市万維熱傳導技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】Dongguan Wanwei Thermal Conduction Technology Co., Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100205936
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 海龍
(74)【代理人】
【識別番号】100132805
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 貴之
(72)【発明者】
【氏名】張 明
(72)【発明者】
【氏名】石 俊
(72)【発明者】
【氏名】江 菊生
(72)【発明者】
【氏名】胡 明敏
(57)【要約】
【課題】本発明はパイプなし密閉型アルミ均熱板およびその製造方法を提供する。
【解決手段】前記パイプなし密閉型アルミ均熱板は収納部本体とカバーを含み、前記カバーと収納部本体が結合されることにより密閉される注入用中空部が形成され、前記注入用中空部には作動物質が注入され、前記収納本体には注入用中空部と外部を連通させる通路が形成され、前記通路により注入用中空部を真空にするか或いは作動物質を注入用中空部内に注入し、注入用中空部を真空にするか或いは作動物質を注入用中空部内に注入した後、摩擦攪拌溶接により通路を密閉させる。本発明は収納本体の側部に通路を形成し、その通路により注入用中空部を真空にするか或いは作動物質を注入用中空部内に注入した後、摩擦攪拌溶接により通路を密閉させる。本発明は注入パイプを保護する凹部を設ける必要がないので、均熱板の密閉性を確保し、かつ均熱板の放熱面積を増加させることができる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納部本体とカバーを含み、前記カバーと収納部本体が結合されることにより密閉される注入用中空部が形成され、前記注入用中空部には作動物質が注入され、前記収納本体には注入用中空部と外部を連通させる通路が形成され、前記通路により注入用中空部を真空にするか或いは作動物質を注入用中空部内に注入し、注入用中空部を真空にするか或いは作動物質を注入用中空部内に注入した後、摩擦攪拌溶接により通路を密閉させることを特徴とするパイプなし密閉型アルミ均熱板。
【請求項2】
前記収納部本体とカバーのいずれか1つの表面には金属毛細構造が形成され、前記収納部本体とカバーの金属毛細構造が形成されている表面が結合されることにより注入用中空部が形成されることを特徴とする請求項1に記載のパイプなし密閉型アルミ均熱板。
【請求項3】
前記金属毛細構造の間には複数の気体通路が均等に形成されていることを特徴とする請求項2に記載のパイプなし密閉型アルミ均熱板。
【請求項4】
前記収納部本体は底部と側部を含み、前記側部は前記底部の周囲に形成され、側部の上部には階段部が形成され、前記カバーは前記階段部上に取り付けられかつ摩擦攪拌溶接により前記側部に固定連結されることを特徴とする請求項3に記載のパイプなし密閉型アルミ均熱板。
【請求項5】
前記通路は側部に形成されかつ前記階段部の下方に位置することを特徴とする請求項4に記載のパイプなし密閉型アルミ均熱板。
【請求項6】
前記収納部本体は方形であることを特徴とする請求項4に記載のパイプなし密閉型アルミ均熱板。
【請求項7】
前記収納部本体とカバーはいずれもアルミ合金で製造されることを特徴とする請求項5に記載のパイプなし密閉型アルミ均熱板。
【請求項8】
(1)カバーを製造し、前記カバーのいずれか1つの表面に金属毛細構造を形成するステップと、
(2)底部と側部を具備する収納部本体を製造し、収納部本体の側部に真空にするか或いは作動物質を注入するための通路を形成し、側部の通路が形成されている部位に余計な原料を残し、収納部本体の側部の表面に金属毛細構造を形成するステップと、
(3)カバーの金属毛細構造が形成されている表面と収納部本体の金属毛細構造が形成されている表面とを結合させることにより注入用中空部を形成し、焼結によりそれらを連結させるステップと、
(4)溶接方法によりカバーの辺縁部と収納部本体の側部を密閉状態に溶接させるステップと、
(5)収納部本体の辺縁部に通路を形成し、その通路により注入用中空部を真空にするか或いは作動物質を注入するステップと、
(6)摩擦攪拌溶接により通路を密閉させ、かつ収納部本体の側部の余計な原料を除去するステップとを含むことを特徴とする請求項1〜6のうちいずれか1つのパイプなし密閉型アルミ均熱板を製造する製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、均熱板の技術分野に属し、特に、パイプなし密閉型アルミ均熱板およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の均熱板の製造方法は真空にするステップと作動物質を注入するステップを含む。そのステップを実施するため、均熱板の辺縁部に真空にしかつ作動物質を注入するための注入パイプを設ける必要がある。前記注入パイプは均熱板の内部と連通し、真空にするステップと作動物質を注入するステップを実施した後、注入パイプを密閉させる。
【0003】
従来の均熱板に注入パイプを設ける方法は下記2つがある。図1の左側に示される一つ目の均熱板において、注入パイプは均熱板の隅部に形成され、注入パイプは均熱板の外部へ露出している。その構造は製造が簡単であるという利点を有しているが、注入パイプが外部へ露出しているので、注入パイプを有効に保護することができない。衝突等により注入パイプと均熱板の本体との間に隙間が形成され、外部の空気が均熱板の内部に流入するおそれがある。それにより均熱板の内部の気液平衡と真空度が破壊され、均熱板の放熱性能に大きい影響を与えるおそれがある。図1の右側に示される二つ目の均熱板において、均熱板の辺縁部には凹部が形成され、注入パイプはその凹部内に設けられているので、注入パイプを有効に保護し、均熱板の安定性を増加させることができる。しかしながら、凹部が均熱板の面積を多く占めるので、均熱板の放熱面積は全面積の65%〜80%にしか達することができず、均熱板の放熱効果が大幅に低下するおそれがある。
【0004】
したがって、従来の均熱板を改良することにより注入パイプを有効に保護し、かつ均熱板の放熱面積の減少を防止する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的はパイプなし密閉型アルミ均熱板を提供することにより従来の技術の問題を解決することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は下記技術的事項により前記目的を実現する。
パイプなし密閉型アルミ均熱板は収納部本体とカバーを含み、前記カバーと収納部本体が結合されることにより密閉される注入用中空部が形成される。前記注入用中空部には作動物質が注入され、前記収納本体には注入用中空部と外部を連通させる通路が形成され、前記通路により注入用中空部を真空にするか或いは作動物質を注入用中空部内に注入することができる。注入用中空部を真空にするか或いは作動物質を注入用中空部内に注入した後、摩擦攪拌溶接により通路を密閉させる。
【0007】
本発明の技術的事項において、前記収納部本体とカバーのいずれか1つの表面には金属毛細構造が形成され、前記収納部本体とカバーの金属毛細構造が形成されている表面が結合されることにより注入用中空部が形成される。
【0008】
本発明の技術的事項において、前記金属毛細構造の間には複数の気体通路が均等に形成されている。
【0009】
本発明の技術的事項において、前記収納部本体は底部と側部を含み、前記側部は前記底部の周囲に形成され、側部の上部には階段部が形成されている。前記カバーは前記階段部上に取り付けられかつ摩擦攪拌溶接により前記側部に固定連結される。
【0010】
本発明の技術的事項において、前記通路は側部に形成されかつ前記階段部の下方に位置している。
【0011】
本発明の技術的事項において、前記収納部本体は方形である。
【0012】
本発明の技術的事項において、前記収納部本体とカバーはいずれもアルミ合金で製造される。
【0013】
本発明の他の目的はパイプなし密閉型アルミ均熱板の製造方法を提供することにある。その方法は下記ステップを含む。
カバーを製造し、前記カバーのいずれか1つの表面に金属毛細構造を形成する。
底部と側部を具備する収納部本体を製造し、収納部本体の側部に真空にするか或いは作動物質を注入するための通路を形成し、側部の通路が形成されている部位に余計な原料を残し、収納部本体の側部の表面に金属毛細構造を形成する。
カバーの金属毛細構造が形成されている表面と収納部本体の金属毛細構造が形成されている表面とを結合させることにより注入用中空部を形成し、焼結によりそれらを連結させる。
溶接方法によりカバーの辺縁部と収納部本体の側部を密閉状態に溶接させる。
収納部本体の辺縁部に通路を形成し、その通路により注入用中空部を真空にするか或いは作動物質を注入する。
摩擦攪拌溶接により通路を密閉させ、かつ収納部本体の側部の余計な原料を除去する。
【発明の効果】
【0014】
本発明のパイプなし密閉型アルミ均熱板およびその製造方法において、収納本体の側部に通路を形成し、その通路により注入用中空部を真空にするか或いは作動物質を注入用中空部内に注入し、注入用中空部を真空にするか或いは作動物質を注入用中空部内に注入した後、摩擦攪拌溶接により通路を密閉させる。本発明は注入パイプを保護する凹部を設ける必要がないので、均熱板の密閉性を確保し、かつ均熱板の放熱面積を増加させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】従来の技術の均熱板の構造を示す図である。
図2】摩擦攪拌溶接が実施される過程中の本発明の断面構造を示す図である。
図3】本発明の全体構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面により本発明をより詳細に説明する。
図1〜3に示すとおり、パイプなし密閉型アルミ均熱板は収納部本体1とカバー2を含み、前記カバー2と収納部本体1が結合されることにより密閉される注入用中空部が形成される。前記注入用中空部には作動物質(working substance)が注入され、前記収納本体1には注入用中空部と外部を連通させる通路13が形成され、前記通路13により注入用中空部を真空にするか或いは作動物質を注入用中空部内に注入することができる。注入用中空部を真空にするか或いは作動物質を注入用中空部内に注入した後、摩擦攪拌溶接(Friction Stir Welding)により通路13を密閉させる。
【0017】
本実施例において、前記収納部本体1とカバー2のいずれか1つの表面上には金属毛細構造3が形成され、前記収納部本体1とカバー2の金属毛細構造3が形成されている表面が結合されることにより注入用中空部が形成される。前記金属毛細構造3の間には複数の気体通路4が均等に形成されている。内部に形成される気体通路4により気化する作動物質は均熱板の各部位まで流動することができるので、放熱の効果をより有効により均等にすることができる。
【0018】
本実施例において、前記収納部本体1は方形であり、前記収納部本体1とカバー2はいずれもアルミ合金で製造される。前記収納部本体1は底部11と側部12を含み、前記側部12は前記底部11の周囲に形成され、側部12の上部には階段部12aが形成されている。前記カバー2は前記階段部12a上に取り付けられかつ摩擦攪拌溶接により前記側部12に固定連結される。階段部12aが形成されることにより、カバー2を収納部本体1の側部12に容易に取り付け、溶接をするときカバー2を容易に固定させ、溶接の難易度を低減することができる。
【0019】
本実施例において、前記通路13は側部12に形成されかつ前記階段部12aの下方に位置する。前記通路13は隙間であることができる。
【0020】
本発明の他の目的はパイプなし密閉型アルミ均熱板の製造方法を提供することにある。その方法は下記ステップを含む。
カバー2を製造し、前記カバー2のいずれか1つの表面に金属毛細構造3を形成する。前記金属毛細構造3は金属網部または多孔型金属粉末焼結部である。金属毛細構造3の製造方法は従来の技術でありかつ均熱板の技術分野において常用する技術である。
【0021】
底部と側部12を具備する収納部本体1を製造する。収納部本体1の側部12には真空にするか或いは作動物質を注入するための通路13が形成されている。スタンピングにより通路13を形成するか或いは後の機械加工方法により通路13を形成することができる。側部12の通路13が形成されている部位には余計な原料が残され、収納部本体1の側部12の表面には金属毛細構造3が形成されている。収納部本体1の金属毛細構造3とカバー2の製造方法は同様である。
【0022】
カバー2の金属毛細構造3が形成されている表面と収納部本体1の金属毛細構造3が形成されている表面とを結合させることにより注入用中空部を形成し、焼結によりそれらを連結させる。
【0023】
溶接方法によりカバー2の辺縁部と収納部本体1の側部12を密閉状態に溶接させる。溶接方法として摩擦攪拌溶接方法を採用することができる。摩擦攪拌溶接方法を採用することにより密閉性を向上させることができる。すなわち溶接のジョイントが殆ど形成されないので、安全性を大幅に向上させることができる。
【0024】
収納部本体1の辺縁部に通路13を形成し、その通路13により注入用中空部を真空にするか或いは作動物質を注入することができる。作動物質を注入した後、図2に示すとおり、摩擦攪拌溶接装置5で通路13を密閉させる。通路13を密閉させた後、機械加工方法により収納部本体1の側部12を精密に加工することにより余計な原料を除去する。最終の製品は図3に示すとおりであり、最終の製品の放熱面積は95%またはその以上になることができる。
【0025】
以上、本発明の原理、技術的特徴および発明の効果を説明してきたが、前記事項は本発明の例示にしか過ぎないものであるため、本発明は前記事項にのみ限定されるものでない。すなわち、前記実施例は本発明を説明するものであるが、本発明を限定するものでない。本発明の要旨を逸脱しない範囲において、設計の変更、改良等をすることができ、それらがあっても本発明に含まれることは勿論である。本発明の範囲は特許請求の範囲が定めたことを基準とする。
【符号の説明】
【0026】
1 収納部本体、
2 カバー、
11 底部、
12 側部、
12a 階段部、
13 通路、
3 金属毛細構造、
4 気体通路、
5 摩擦攪拌溶接装置。
図1
図2
図3