(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-110993(P2021-110993A)
(43)【公開日】2021年8月2日
(54)【発明の名称】計画発電蓄電制御技術を用いたレンジエクステンダー車両と充電器使用に関する予約システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/30 20120101AFI20210705BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20210705BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20210705BHJP
H02J 3/00 20060101ALI20210705BHJP
B60L 15/20 20060101ALI20210705BHJP
B60L 50/62 20190101ALI20210705BHJP
B60L 53/14 20190101ALI20210705BHJP
B60L 53/64 20190101ALI20210705BHJP
B60L 53/66 20190101ALI20210705BHJP
B60L 53/67 20190101ALI20210705BHJP
B60L 58/12 20190101ALI20210705BHJP
【FI】
G06Q50/30
H02J7/00 P
H02J13/00 301A
H02J3/00 170
H02J3/00 130
B60L15/20 J
B60L50/62
B60L53/14
B60L53/64
B60L53/66
B60L53/67
B60L58/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2020-603(P2020-603)
(22)【出願日】2020年1月7日
(71)【出願人】
【識別番号】301068767
【氏名又は名称】エーシーテクノロジーズ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391017540
【氏名又は名称】東芝ITコントロールシステム株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】516268840
【氏名又は名称】株式会社サニックス
(72)【発明者】
【氏名】清水庄一
(72)【発明者】
【氏名】稲葉均
(72)【発明者】
【氏名】吉用茂
【テーマコード(参考)】
5G064
5G066
5G503
5H125
5L049
【Fターム(参考)】
5G064AC08
5G064CB06
5G064CB10
5G064DA11
5G066AA02
5G066AA03
5G066AE03
5G066AE09
5G503AA01
5G503BA02
5G503BB01
5G503DA07
5G503FA06
5G503GD04
5H125AA01
5H125AC08
5H125AC12
5H125AC24
5H125BC21
5H125BD17
5H125BE01
5H125CC04
5H125CC06
5H125CD10
5H125DD02
5H125EE25
5H125EE27
5H125EE31
5H125EE51
5H125EE52
5H125EE57
5H125EE64
5L049CC42
(57)【要約】 (修正有)
【課題】計画発電蓄電制御技術を用いたレンジエクステンダー車両と充電器使用に関する予約システムを提供する。
【解決手段】コントロールセンターは、その日に走行する全車両の走行スケジュールを集約する事で各車両の走行途中での充電器からの充電時間が重複しないように調整する手段を備え、調整後の走行スケジュールを各車両にフィードバックする。また走行中であっても常に各車両との通信を行い、走行スケジュールの見直しをその都度行う事で充電器の使用時間が最大となるように制御を行う。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
必要に応じて発電機で電池を充電し、充電電力でモーターを駆動する事によって走行するレンジエクステンダー車両において、各車両が走行前に走行計画を立案して、その計画をコントロールセンターに通知し、コントロールセンターは各車両から収集した走行計画を基に、それらの車両が走行する近くにある外部充電器の使用が重複することなく充電が出来るように走行計画を組み直して各車両に通知を返し、各車両はその走行計画に従って走行する事を特徴とする計画発電蓄電制御技術を用いたレンジエクステンダー車両と充電器使用に関する予約システム。
【請求項2】
請求項1に関わり、コントロールセンターは1つの充電器に複数の車両が同じ時間帯に充電可能な状態で到達する計画を受理した場合は、充電器に到達した時に充電可能な電力量の大きい車両から充電器使用を優先する調整を行い、各車両に調整後の走行計画を通知する事を特徴とした計画発電蓄電制御技術を用いたレンジエクステンダー車両と充電器使用に関する予約システム。
【請求項3】
コントロールセンターが調整後の走行計画を各車両に通知し、各車両はその計画に沿って走行したにも関わらず、複数台の車両が同じ充電器で充電する時間帯が重畳した場合は、各車両の充電可能な電力量を比較し、充電電力量が多い順に充電器使用の優先権をコントロールセンターは各車両に与える事を特徴とした計画発電蓄電制御技術を用いた計画発電蓄電制御技術を用いたレンジエクステンダー車両と充電器使用に関する予約システム。
【請求項4】
請求項3に関わり、充電器が優先度の高い車両で使われている時に、優先度の低い車両は充電を行わず、発電機を駆動させて走行を続行する事を選択出来ると共に、コントロールセンターに充電器の使用をキャンセルした事を通知し、コントロールセンターは改めて各車両に再調整した走行計画を通知する事を特徴とした計画発電蓄電制御技術を用いたレンジエクステンダー車両と充電器使用に関する予約システム。
【請求項5】
請求項3に関わり、1つの充電器にすでに1台が充電を開始している時に、2台目の車両が到着した時に、両車両は自律的に充電器の優先使用を調整する場合に、計画発電蓄電制御技術を用いて、次の充電器まで走行するのに必要な充電量を割り出し、充電出来る電力量が多い車両に充電器使用の優先権を与える事を特徴とした計画発電蓄電制御技術を用いたレンジエクステンダー車両と充電器使用に関する予約システム。
【請求項6】
車両が充電器に接続され充電を行っている時に、電池のSOC、電池温度、エンジン温度、走行時の車速、搭載貨物の重量、周囲温度という車両の走行状態を示す各種データを車両から充電器に伝送し、充電器はそのデータをコントロールセンターに伝送する事を特徴とした計画発電蓄電制御技術を用いたレンジエクステンダー車両と充電器使用に関する予約システム。
【請求項7】
各事業者の各車両が他の事業者に設置された外部充電器を使用する場合に、1事業者の走行車両が他の事業者の外部充電器を使用した時の電気料金と、その1事業者の充電器を他の事業者の車両が使用した合計の電気料金と比較して、他の事業者の充電器を使った時の合計電気料金が、その事業者の充電器が他の事業者の車両に使われた時の電気料金よりも多ければ、その差額の電気料金と充電器使用料を支払い、また、少なければ差額の電気料金と充電器使用料を受け取る仕組みを組み込んだ事を特徴とする計画発電蓄電制御技術を用いたレンジエクステンダー車両と充電器使用に関する予約システム。
【請求項8】
請求項7に関わり、各車両が各充電器を使用した電気料金及び利用料と、各充電器が各車両によって使用された電気料金及び利用料の総計を清算する機能をコントロールセンターに設けたことを特徴とする計画発電蓄電制御技術を用いたレンジエクステンダー車両と充電器使用に関する予約システム。
【請求項9】
請求項1に関わり、コントロールセンターの運営に関しては、他社の充電器を利用する全ての事業者が共同で運営する形態、または、全ての事業者が参加して構成したコンソーシアムが運営する形態、または、その運営事業を本業とする機関が運営する形態、またはどれかの組合せの形態で運営する事を特徴とした計画発電蓄電制御技術を用いたレンジエクステンダー車両と充電器使用に関する予約システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計画発電蓄電制御方式を搭載した、エンジン発電機で二次電池を充電し、その二次電池によってモーターを駆動して走行するレンジエクステンダーEV(Range Extended-Electrical Vehicle)車両と外部充電器の予約システムに関する。
【背景技術】
【0002】
二次電池駆動によるEV車両は二酸化炭素(CO2)の排出がないクリーン交通機関として注目されている。第一の理由は内燃機関で走行する車両と異なり、二次電池に蓄積された電力でモーターを駆動して走行するので、CO2排出がなく静かであり乗り心地も優れていることによる。第二の理由として燃料代を含む維持費はディーゼルエンジン等の車両に比べて安いことから導入する利点は大きいと考えられている。
【0003】
しかし、現状のEV車両の一種であるEVバスの価格は高価な二次電池を大量に搭載する必要があるために、同席数のディーゼルエンジンのバスと比較して初期投資が数倍と高価となり、なかなかその導入が進んでいない。また、EVトラックにおいては、大量の二次電池のスペースがトラックの搭載積載量を減少させてしまう等、使い勝手が悪い等の理由により普及が遅れている。
【0004】
この解決策としてシリーズハイブリッド方式が乗用車には適用されている。一般的にはこの技術は既存のエンジンを発電機として使用し、小容量の二次電池を搭載し、ほとんど常にエンジンを駆動して二次電池に充電し、その二次電池の電力でモーターを駆動させて車両を動かすものである。
【0005】
しかし、バスやトラック等の商用車に適用しようとすると、急な上り坂等で要する過大な瞬時電力を供給する必要があるため、大型発電機と大量の二次電池が必要となる。その結果スペースが取られ、バスでは座席数の削減、トラックでは貨物積載量が制限されるため、商用車のシリーズハイブリッド化はなかなか進まない。
【0006】
それに対して、本技術のレンジエクステンダーEV(RE_EV)車両は地理情報システム(GIS)とGNSS(Global Navigation Satellite System/全地球測位衛星システム)を活用する事で走行ルート上の位置情報や高度差等の路面情報を収集し、さらにこれまでの走行時に蓄積した走行データを用いる事で、走行前に発電計画(走行計画)の策定を行っている。このように走行前にその日の走行計画に立てる事で、必要な発電量を事前に計算出来るので、適切な発電及び充電が行える事から発電機と二次電池の小型化が可能となる。そして、走行開始後は、走行途中で逐次得られる走行データに基づいて走行計画を修正しながら走行する事で計画に沿った走行を行える。
【0007】
このように本レンジエクステンダー車両は、二次電池の充電量が少なくなった場合にのみエンジンを駆動させて二次電池に充電する。通常はエンジンを駆動せずに二次電池のみでモーター駆動を行うので、EV車両の様に走行中での電欠の心配がなく、EV車両の課題であった走行距離の制限を撤廃する事が可能となり、非常に使い勝手の良い車両となり得る。さらに本レンジエクステンダーEV車両は走行時間の多くの割合は二次電池によるモーターで走るので、通常のエンジン駆動車両に比較して二酸化炭素の排出が大幅に少ないクリーンな交通機関であり、さらに内燃機関からのエンジン音は限定的であり、その結果、かなりの走行時間において静かで乗り心地も優れている。そして燃料代を含む維持費はディーゼルエンジンの車両に比べて安いことから導入する利点は大きいと考えられて来た。
【0008】
提案者は以前にこのようなレンジエクステンダー技術を公共交通システムの主要車両の1つであるバスに応用した特許提案を行っている(特願2017−204209)。 さらに、計画発電蓄電制御技術を搭載した大型トラック等の商用車を想定したレンジエクステンダー車両の構成方法についても(特願2018−194138)として特許提案済である。
【0009】
本提案は、エンジン発電機で二次電池を充電しその二次電池によってモーターを駆動して走行する、計画発電蓄電制御方式を搭載したレンジエクステンダーEV車両を走行途中でも系統電力網等の外部充電を使用する事により、さらに消費燃料の削減が図れると共に、自社充電器を他事業所の車両が使用する事による電気使用料金からの利益も見込める外部充電器の予約システムに関する。
【0010】
一般にバスやトラック等の商用車両を系統電力網から充電する所謂外部充電を行うには、現在普及しつつあるコンビニエンスストア等に設置されている乗用車等の小型車両を対象とした充電設備の使用は困難である。なぜならそれらの充電設備は大型車両が充電する事を前提としていないので駐車場所が十分でなく、また重量の重い商用車を想定していない設備となっている事等による。このため、大型商用車両はその車両を所持している事業所に設置された専用の充電器を使用するのが一般的である。
【0011】
しかし、今後は大型車両に適応した充電設備の設置及び充実する事も考えられ、それらの充電設備を使用する事も可能である。なお先行技術文献として“充電機器の管理運用装置(特開2013-198230)”が提案されているが、この提案は充電設備を使用した車両からその使用状況を中央サーバに集約し情報のアップデートを行うのみなので、本提案のようにコントロールセンターが集約した情報を元に走行している車両全体の発電機の稼働時間を最小にするように調整を行う事はしていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2013-198230
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明によって解決しようとする課題は、特に大型のRE_EV商用車両では、走行前に事業所の充電器で満充電にして、走行中は二次電池と発電機を使い分ける事で配送業務等を行っているが、走行途中で外部充電が可能であればさらに消費燃料の削減が行えるところだが、乗用車用の充電器は大型車両用に考えられていないため、現段階では専用の充電器を使用せざるを得ない。
また事業所以外の場所に専用の充電器を設置するには設備費用的にもさらにセキュリティの観点からも問題があるため、走行途中で充電器から充電出来れば発電機の駆動時間をより削減出来て燃料消費が抑制出来る機会を逃している事になる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本提案は、自社の事業所に設置された充電器に加えて、走行途中に存在する他事業者の充電器を互いに使用する事によって、車両に搭載した発電機を出来るだけ使わずに走行する事により燃料消費の削減が可能となり、ひいてはCO2削減が行える環境に配慮した事業展開が行えるものである。
ただし、将来的に事業所以外に大型車両用の充電設備が設置された場合は、これらの充電設備で充電する事も十分可能である。
【0015】
ここで、他事業所とはその会社の別の場所にある事業所以外に、同業他社の充電設備を所有する事業所を想定している。一般的に、朝は自社の車両の充電に充電設備は使用され、他社の車両に充電設備を使わす余裕はないが、昼間の時間は自社の車両は走行中なので、充電設備は使用頻度が少ない状態であり、これはどの事業所の充電設備も同様な状態となっている。
そこで、走行中のどの事業所(会社)の車両でも他事業所の近くに来た時に充電器の使用が行えれば発電機の使用を抑制する事が可能となり燃料消費の削減が可能となる。その上に、他社車両の充電器使用による電気使用量に対する電気料金に一定のマージンを課した充電器使用料金を徴収する事により、充電器の稼働率の向上に伴う利益が期待出来る。
【0016】
この他事業所(他社)の充電設備の相互利用はアライアンスを設立等でスムースに行われ、互いに使用した電気料金に対しては、その差額だけを相互に支払いする事で簡便化が可能となる。さらに、現金でやり取りする必要はなく、互いの銀行口座などに差額だけ自動的に払い込むシステムとすれば大幅に手間を省く事が可能となる。
【0017】
また、本技術のレンジエクステンダー車両は、先に述べたように走行前にその日の走行計画を立てる事で、どこの走行地域で発電機をどの程度発電させるかを事前に設定する事が出来るために、その時間にその場所に到着した時に充電器が使用されていなければ外部充電が可能となる。しかし、充電器が空いているかはその場所に行かなければ分からず、もし先に別の車両が充電器を使用していれば、使用が終わるのを待つなど無駄な事態が発生してしまう。
【0018】
そこで本提案ではその日の走行予定の全てのRE_EV車両の走行計画を一カ所 (例えばコントロールセンター) に収集し、登録された充電器が各車両によって無駄なく最大限に利用出来るように考慮した予約充電システムについて記す。以下に図を用いて説明する。
【0019】
図1は3つの事業者の3台の車両とも利用出来る充電器がある場合を示している。ここでは単純化のために3つの事業者と3台の車両の場合を示すが、特にこの条件に特定した事ではなく、何台の車両であっても、また、いくつの事業者の充電器利用の場合であっても本システムは成り立つ。
この図の場合は、A、B、C各事業者の各RE_EV車両(a車両、b車両、c車両)が各目的地(得意先などで、Us_a、 Us_b、 Us_c)に配送業務を行った後に帰社する場合であり、走行前に立てた計画発電蓄電制御システムに基づいた走行を行っているが、本例では全車両が途中で外部充電することがない場合である。
【0020】
図2は各事業所の各車両が走行途中で充電器の使用が可能な事を走行前にコントロールセンターから情報を得て、各車両とも充電を行う場合を示している。例えば、A事業者のa車両はまず目的地のUs_aに行った後に、帰路の途中でC事業者に設置されている充電器で充電を行った後に帰社をしている(実線で明示)。同様にB事業者のb車両は目的地のUs_bに行く途中にA事業者の充電器で充電を行っている(波線で明示)。またC事業者は走行途中でB事業者のところで充電を行っている(一点鎖線で明示)。
【0021】
この様子を
図3のグラフに示す。図の横軸は走行距離である。(1)A社のa1車両は目的地(Us_a)に到達した後に、帰社途中でC社のC充電器に立ち寄ってフル充電を行っている。その後は二次電池のみで走行するが、到着直前に短時間(Ta2)の発電を行っている。Ta1はもしC充電器で外部充電をしない場合の発電機の発電時間に比例した量なので、Ta1-Ta2は途中充電を行った事による発電機の駆動時間の削減時間に比例した量を表し、それは燃費削減量に比例する。
同様に、(2)B社のb車両は初期充電がフル充電とならず、目的地(Us_b)への途中にあるA社のA充電器で充電を行い、帰社まで発電機を駆動させることなく走行している。このため、発電機の駆動削減時間に比例した量はTb1となる。同様に(3)C社のc車両はフル充電で走行を開始して、目的地途中にあるB社のB充電器で再度フル充電を行い、帰社直前に短時間(Tc2)だけ発電機を駆動させている。この場合の発電機の削減駆動時間に比例した量は(1)の場合と同様にTc1-Tc2となる。
【0022】
(1)、(2)、(3)の各社の各車両が他社の充電器を使用した時間はそれぞれ、Ta1、Tb1、Tc1に比例する。ここで、一旦センターはTa1+Tb1+Tc1を記録する。そして、例えばA社の場合の充電時間の累計のTa1-Tb1が正の場合は、A社はセンターに対して(Ta1-Tb1)に相当する電気料金と利用料金を支払う。同様に、B社の場合はTb1-Tc1が正の場合は(Tb1-Tc1)に相当する金額をセンターに支払う。3社間での充電時間の足し引きはゼロとなるので、C社の場合はTc1-Ta1は負となり、その充電時間に相当する金額がセンターから支払われる。なお、ここでは充電器使用料は充電時間に一律比例する場合であるが、出力電流の違い等による充電電力が充電時間に比例しない場合も簡単な換算を行う事で対応可能である。
【0023】
図4はA社がさらにもう一台の車両(a2)を走行させた場合を示している(太実線)。当初の走行計画では目的地Us_a2に向かう途中(a2_1)でB社のB充電器で充電を行う予定を立てていた。しかし、C社のc車両も同じ時間帯にB充電器に立ち寄る予定(c_1)をしていた。理想的にはコントロールセンターはこのような充電器での複数車両の重複がないように調整を行っているが、突発的な事例(事故、渋滞、車両故障等)でうまく調整出来ない場合もあり得る。
【0024】
ここで1つの充電器に2台の車両がほぼ同時期に充電を行いに来た状態を
図5に示す。この図の(4)と(5)からc車両が予定していた充電時間のTc1とa2車両の充電時間のTa3が重複している事が分かる。この場合、充電器に到達するのはc車両の方が早いが、充電する電力量を比較するとa2車両の方がc車両よりも多いので(SOC(State Of Charge)が少ないので)、コントロールセンターは充電する優先権をa2車両に与える。そこで、(6)に示すようにc車両は充電せずに発電機を駆動させて走行し、帰路途中にB充電器に立ち寄って充電を行う。C車両は(5)のa2車両のように発電時間の削減は行っていないが、帰社時に電池残量はかなり残っているために翌日の充電量は少ないので充電時間も短く済むことから他の車両の充電時間の確保が可能となっている。
【0025】
もちろん、c車両は帰路途中にB充電器で充電せずに、
図7の太字の一点鎖線、もしくは
図5(4)の波線の様に、外部充電器を使用せずに発電機を駆動させて走行する事も選択可能である。
【0026】
なお、
図5では、充電を行いたい車両2台が1つの充電器から充電を行う場合の調整をコントロールセンターが行うとしたが、2台の車両が自律的に調整を行う事も可能である。その仕組みのフローチャートを
図8に示す。
【0027】
A社のa2車両が充電設備の近くに来た時に、(1)計画発電蓄電制御技術を用いて目的地に到達できる時間を計算し、余め予定された到着時間から充電が可能な余裕時間があるかを計算する(見積もる)。もし、(2)充電できる時間があるなら充電可能な時間(Tc)を計算する。(3)さらに計画発電蓄電制御技術により、次の目的地まで充電せずに走行が可能かを見積もる。(4)もし充電電力が十分あり目的地まで発電する必要がなければ目的地に向かって走行を続ける。しかし目的地まで走行するのに途中で発電をする必要があるのであれば、ここで充電する事で燃費を向上出来るので充電器に向かう。(5)もし、充電器にすでにC社のc車両が充電を行っている場合は、a2車両とc車両は共に計画発電蓄電制御技術を用いて、各車両が(A)次の目的地(充電器等)までに必要な発電電力量(PN)と、(B)充電出来る時間(a2車両の場合はTc)で充電で出来る電力量Pc (Pc=Tc x Pu)を計算する。その結果、a2車両のPcの方がc車両のそれよりも大きい場合はc車両はa2車両に充電器の使用を譲る。しかし、(6)c車両のPcの方が大きい場合は、a2車両は充電せずに次の目的地に向かって走行する。(7)a2車両は充電を行う場合、単位時間(Tu)の充電を行ったところで、フローチャートのトップの戻り再度計画発電蓄電制御技術を使って充電時間の確認を行う。もし、充電時間の余裕が無くなった場合は充電途中であっても目的地に向かうが、充電時間があるならば目的地に向かう途中で発電を行う必要がないように充電を完了させる。また、(5)において充電器がどの車両にも使用されていない場合は(7)にジャンプする。
【0028】
ところで本例では、3事業所の3または4車両についての簡単な収支のやり取りの場合を示したが、この充電器予約システムを相互に利用する事業者の数が大幅に増加し、かつ、走行車両の数も増えた場合でも、個々の事業者の車両がアライアンスに属する他事業者の充電器のみを利用する条件であれば本システムは問題なく成立する。そのため事業者が個々に清算し合う場合に比べて大幅に作業効率の改善が見込める。清算作業はコントロールセンターの集計機(コンピュータ)が例えば月末の日を決めて一括で行うようにすれば良い。
【0029】
図9は本自動清算システムを表した模擬図である。各事業所とそこに設置された充電器はアルファベットA,B,C,D ・・・Nで示している。また矢印が実線の場合はその事業者の車両が他の事業者の充電器を使用した時間(電力量)を、矢印の波線の場合はその事業所の充電器が他の事業者の車両によって使われた時の時間(電力量)を示している。
【0030】
例えば、A事業所では自社の3台の車両が他の事業所でそれぞれ、Ta_s1、Ta_s2、Ta_s3の時間(電力量)だけ充電し、A事業所の充電器は他事業所の車両がTa_r1、Ta_r2の時間(電力量)だけ充電した場合である。この場合、A事業所としての合計の電力使用料は、Ta_s1 + Ta_s2 + Ta_s3 - (Ta_r1 + Ta_r2)となり、それをTa_Tとして表す。Ta_Tはプラスになるかマイナスになるかは合算結果によるが、プラスの場合はその事業所の充電器が他事業所の車両によって使われた時間(電力量:Ta_r1 + Ta_r2)よりも、その事業所の車両が他事業所の充電器を使った時間(電力量:Ta_s1 + Ta_s2 + Ta_s3)が多い事を示していて、その時間(電力量)に換算した使用料金(電気料金と利用料)をコントロールセンターから徴収される。しかし、Ta_Tがマイナスの場合は逆にその分の使用料金がコントロールセンターから払い込まれる事になる。これは他のどの事業所でも同じであり、各事業所は清算作業を意識する事無しに、コントロールセンターが決まった期日毎に自動的に実施するため手間がかからずに行える。
【0031】
ところで
図5では、充電量の多い車両に充電の優先権を与えたが、充電器を使用する仕組みは他にも色々と考えられる。
例えば、最も早く充電器に到達した車両に充電器使用の優先権を与え、待機の車両がある場合は、充電時間に制限を与える方法(例えば10分間ルール)。充電器使用の契約を締結する際に、他社よりも多めの契約料を支払って充電器使用の優先権を獲得する等が考えられる。
また、当初は充電器を使用する予定としていたが、先を急ぐなどの理由で充電しない場合は、その由をコントロールセンターに連絡する事によって、センターは各社の充電計画を見直して、より外部充電使用効率の高い調整を行う事が可能となる。
【0032】
図10は充電器予約システム(コントロールセンター機能)と各充電器と各車両及び事業所の関係を示している。図内では充電器予約システム(100)、充電器L台(200)、その日の走行予定の車両M台(300)及び事業所N箇所(400)を示している。実際には各充電器は各事業所内に設置されているが、複数の充電器を所有する事業所もあり得るのでL>Nと考える。
【0033】
充電器予約システムは登録車情報格納メモリ(101)に充電器が使用可能な車両の各種情報(ID、ナンバー、車種、所属先等)と、登録充電器情報格納メモリ(102)に登録されている各事業所の充電器の情報(ID、設置場所、出力電流等)が格納されている。まず、全事業所(400)からその日の各車両の走行計画を充電予約システムの充電必要車両の抽出ブロック(103)に送信する。また、充電器(200)から充電可能である充電器情報を充電器使用状況の把握ブロック(104)に送付する。優先順位パラメータによる充電器使用車両の決定ブロック(105)は、先の103と104からの情報に従い、優先順位パラメータを加味して更新した新予約スケジュールを全車両(300)と全充電器(200)に対して伝える。また同時に各事業所に同情報を伝える。
【0034】
車両は充電器の設置場所へ指定時間帯に到着すると、充電器との間で充電条件の確認を行い、充電器から充電可能との許可を受ける。この通信はインターネットを介しても良いし、充電器と車両間の近接通信であっても良い。充電器は車両が充電器を使用した状況を100の充電器使用状況の把握ブロック(104)に返す。また、車両は先を急ぐ必要が出来たなどの事情から予定していた充電を行わない場合は、その情報を103に返し、103は改めて充電必要車両を見直し105に通知する。105は再度充電器と充電必要な車両の組合せを見直して、全充電器(200)と全走行車両(300)に伝達する。同時に各事業所(400)にもその情報を送信する。
【0035】
このようにして、充電予約システム(コントロールセンター機能)が、各車両が走行途中で走行計画に無理のない範囲で、充電器から各車両の電池に充電する時に全車両の合計充電電力量が最大となるように調整する事によって、各車両の発電機の合計発電時間を最小に出来るので燃料消費の削減に寄与しかつ環境対策としての貢献が可能となる。
【0036】
また、各車両が各充電器から充電した電力量に換算される電気使用料の清算は、充電量計算と各事業所の料金清算ブロック106で実行される。この時の清算方法は
図9の自動清算システムに記してある。この作業はコントロールセンター自体が行っても良いし、ブロックチェーン技術(分散型台帳技術)を用いても可能である。なお、充電器予約システム(100)、充電器(200)、車両(300)及び各事業所(400)間の通信は無線通信網(インターネット等)を介して行われる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、発電機で電池に充電し、その充電された電力でよりモーターを駆動する事によって走行するレンジエクステンダー車両に、計画発電蓄電制御技術を実装した装置を搭載し、小型の電池と小型のモーターで走行可能な車両が、走行前に走行計画(発電計画)を立てる事を利用して、全ての車両の走行計画をコントロールセンターが収集し、走行途中に設置された充電器の活用が最大となるように走行計画を組み直し、各車両はその組み直された走行計画に沿って走行する事により、全車両の合計の発電機の発電時間を最小にする事で消費燃料(CO2発生)を最小にする事を可能とする技術である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図3】コントロールセンターが充電器の空き具合から各車両の走行計画を修正
【
図4】A社がさらにa2車両を走行させた場合(独立に充電計画作成の場合)
【
図5】センターが充電器の空き具合から各車両の走行計画を修正(充電の優先権付与の例)
【
図6】センターが充電計画を調整して各車両に通知(1)
【
図7】センターが充電計画を調整して各車両に通知(2)
【
図8】車両が自律的に充電設備から充電を行う時のフローチャート
【
図10】充電器予約システムと充電器と車両及び事業所の関係図