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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-111602(P2021-111602A)
(43)【公開日】2021年8月2日
(54)【発明の名称】バッテリー安全装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/572 20210101AFI20210705BHJP
【FI】
   H01M2/34 A
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2020-46560(P2020-46560)
(22)【出願日】2020年3月17日
(31)【優先権主張番号】109100350
(32)【優先日】2020年1月6日
(33)【優先権主張国】TW
(71)【出願人】
【識別番号】390023582
【氏名又は名称】財團法人工業技術研究院
【氏名又は名称原語表記】INDUSTRIAL TECHNOLOGY RESEARCH INSTITUTE
(74)【代理人】
【識別番号】100185694
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 隆志
(72)【発明者】
【氏名】葉勝發
【テーマコード(参考)】
5H043
【Fターム(参考)】
5H043AA04
5H043BA19
5H043CA04
5H043CA12
5H043EA22
5H043EA29
5H043GA06
5H043JA02E
5H043JA07E
5H043JA13E
5H043KA01E
5H043KA09E
5H043KA16E
5H043KA19E
5H043KA22E
5H043KA24E
5H043KA31E
5H043KA33E
5H043LA21E
(57)【要約】      (修正有)
【課題】リチウムバッテリーの安全性を向上するためのバッテリー安全装置の提供。
【解決手段】バッテリー安全装置1であって、バッテリー内に設置可能であるとともに、タブリード11及び温度制御膨張部材12を含む。タブリード11は、接続部、左延伸部、右延伸部、上延伸部及び作動プレートを含む。左延伸部及び右延伸部は、接続部に接続可能であるとともに、バッテリーの極巻きWにおける第1導電部C1に接触可能である。上延伸部は、接続部に接続可能であるとともに、バッテリーの第1電極端子P1に接触可能である。作動プレートは、接続部に接続可能である。且つ、作動プレートと極巻きWの間には収容空間が備わっている。温度制御膨張部材12は、収容空間に設置可能であるとともに、作動プレート及び第1導電部C1に接触可能である。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリー内に設置されるバッテリー安全装置であって、
接続部、左延伸部、右延伸部、上延伸部及び作動プレートを含み、当該左延伸部及び当該右延伸部は、当該接続部に接続されるとともに、当該バッテリーの極巻きにおける第1導電部に接触し、当該上延伸部は、当該接続部に接続されるとともに、当該バッテリーの第1電極端子に接触し、当該作動プレートは当該接続部に接続され、且つ、当該作動プレートと当該極巻きの間には収容空間が備わっているタブリードと、
当該収容空間に設置されるとともに、当該作動プレート及び当該第1導電部に接触する温度制御膨張部材、を含むバッテリー安全装置。
【請求項2】
当該バッテリーのバッテリーケースは、当該バッテリーの第2電極端子及び当該極巻きの第2導電部に接続され、当該温度制御膨張部材は、熱で膨張すると当該作動プレートを押圧し、当該作動プレートを変形させて当該バッテリーケースに接触させることで、当該バッテリーケース、当該作動プレート及び当該極巻きにより放電回路を形成させる請求項1に記載のバッテリー安全装置。
【請求項3】
当該温度制御膨張部材は実質的にU字型をなしており、当該温度制御膨張部材の一端は屈曲部であり、当該温度制御膨張部材の他端は開口部である請求項1に記載のバッテリー安全装置。
【請求項4】
当該開口部の一方の側は当該第1導電部に接触し、当該開口部の他方の側は当該作動プレートに当接する請求項3に記載のバッテリー安全装置。
【請求項5】
当該温度制御膨張部材は、パッケージ及びパッケージ内に配置される混合物を含み、当該混合物は親水性物質を含む請求項1に記載のバッテリー安全装置。
【請求項6】
当該親水性物質は、ケイ酸ナトリウム又はポリアクリル酸ナトリウムである請求項5に記載のバッテリー安全装置。
【請求項7】
当該パッケージの材料は、アルミ箔、ワックス、ポリプロピレン、ポリカーボネート又はポリエチレンである請求項5に記載のバッテリー安全装置。
【請求項8】
更に、収容溝を含み、当該収容溝は、当該第1導電部に設置されるとともに当該収容空間内に位置し、当該温度制御膨張部材は当該収容溝内に設置される請求項1に記載のバッテリー安全装置。
【請求項9】
更に、固定ベースを含み、当該固定ベースは当該第1導電部に設置されて当該タブリードを固定する請求項1に記載のバッテリー安全装置。
【請求項10】
当該固定ベースは位置決め溝を含み、当該左延伸部及び当該右延伸部が当該位置決め溝内に設置される請求項9に記載のバッテリー安全装置。
【請求項11】
当該作動プレートは金属片又は弾性部材である請求項1に記載のバッテリー安全装置。
【請求項12】
バッテリー内に設置されるバッテリー安全装置であって、
当該バッテリーの第1電極端子及び当該バッテリーの極巻きにおける第1導電部に接続されるとともに、底板と、当該底板に設置される支持プレートを含む第1ベースと、
当該バッテリーの第2電極端子、当該バッテリーの当該極巻きにおける第2導電部及び当該バッテリーのバッテリーケースに接続される第2ベースと、
当該底板に設置されるとともに、当該支持プレートに接触する温度制御膨張部材と、
当該ベースに設置されるとともに、当該温度制御膨張部材に接続される作動プレート、を含むバッテリー安全装置。
【請求項13】
当該温度制御膨張部材は、熱で膨張すると当該作動プレートを押圧し、当該作動プレートを変形させて当該第2ベースに接触させることで、当該バッテリーケース、当該第1ベース、当該第2ベース、当該作動プレート及び当該極巻きにより放電回路を形成させる請求項12に記載のバッテリー安全装置。
【請求項14】
更に、当該温度制御膨張部材に設置される位置規制部材を含み、当該位置規制部材と当該底板との間に収容空間が備わっており、当該作動プレートが当該収容空間内に設置される請求項12に記載のバッテリー安全装置。
【請求項15】
当該温度制御膨張部材は実質的にU字型をなしており、当該温度制御膨張部材の一端は屈曲部であり、当該温度制御膨張部材の他端は開口部であり、当該屈曲部が当該底板に接触する請求項12に記載のバッテリー安全装置。
【請求項16】
当該温度制御膨張部材は、パッケージ及びパッケージ内に配置される混合物を含み、当該混合物は親水性物質を含む請求項12に記載のバッテリー安全装置。
【請求項17】
当該親水性物質は、ケイ酸ナトリウム又はポリアクリル酸ナトリウムである請求項16に記載のバッテリー安全装置。
【請求項18】
当該パッケージの材料は、アルミ箔、ワックス、ポリプロピレン、ポリカーボネート又はポリエチレンである請求項16に記載のバッテリー安全装置。
【請求項19】
当該作動プレートは金属片又は弾性部材である請求項12に記載のバッテリー安全装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はバッテリー安全装置に関し、特に、安全性を効果的に向上可能なバッテリー安全装置に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウム電池は、例えば、エネルギー密度が高い、軽量である、環境に優しい、使用寿命が長いといった多くの利点を有することから、現在のところ様々な装置に幅広く応用されている。しかし、リチウムバッテリーは、満充電状態時に内部の活性物質が励起状態となるため、外部の電流経路が接続されると自発的に放電する。そのため、リチウムバッテリーが絶縁不良による短絡状態の場合には、急速な化学反応が発生する恐れがある。この場合、大量の熱エネルギーや高温ガスが発生し、熱暴走状態へと突入する。
【0003】
また、リチウムバッテリーを不適切使用(例えば、過充電)した場合、内部の材料が過剰な電圧により分解されてガスが発生することがある。この場合、リチウムバッテリーにおける極巻き(polar winding)のセパレーターが高温により破裂する結果、リチウムバッテリーが熱暴走(Thermal runaway)状態に突入する恐れがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の課題を解決するために、リチウムバッテリーの安全性を向上すべく、すでに様々なバッテリー安全装置が開発されている。しかし、従来のバッテリー安全装置は大部分がガス圧式の安全構造を採用しており、リチウムバッテリーの熱暴走状態への突入を効果的に防止できていない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一の目的に基づき、バッテリー内に設置可能であるとともに、タブリード及び温度制御膨張部材を含むバッテリー安全装置を提供する。タブリードは、接続部、左延伸部、右延伸部、上延伸部及び作動プレートを含む。左延伸部及び右延伸部は、接続部に接続可能であるとともに、バッテリーの極巻きにおける第1導電部に接触可能である。上延伸部は、接続部に接続可能であるとともに、バッテリーの第1電極端子に接触可能である。作動プレートと極巻きの間には収容空間が備わっている。温度制御膨張部材は、収容空間に設置可能であるとともに、作動プレート及び第1導電部に接触可能である。
【0006】
本発明の一の目的に基づき、更に、バッテリー内に設置可能であるとともに、第1ベース、第2ベース、温度制御膨張部材及び作動プレートを含むバッテリー安全装置を提供する。第1ベースは、バッテリーの第1電極端子及びバッテリーの極巻きにおける第1導電部に接続可能であるとともに、底板と、底板に設置される支持プレートを含む。第2ベースは、バッテリーの第2電極端子、バッテリーの極巻きにおける第2導電部及びバッテリーのバッテリーケースに接続可能である。温度制御膨張部材は、底板に設置可能であるとともに、支持プレートに接触可能である。作動プレートは、ベースに設置可能であるとともに、温度制御膨張部材に接続可能である。
【0007】
上記の本発明の概要説明及び以下の実施形態の説明は、本発明の精神や原理を例示及び説明し、且つ、本発明の特許請求の範囲を更に説明するためのものである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1実施例におけるバッテリー安全装置の分解図である。
図2】本発明の第1実施例におけるバッテリー安全装置の組立図である。
図3】本発明の第1実施例におけるバッテリー安全装置を備えるバッテリーの分解図である。
図4】本発明の第1実施例におけるバッテリー安全装置を備えるバッテリーの組立図である。
図5】本発明の第1実施例における強制短絡メカニズムを示す図である。
図6】本発明の第1実施例におけるバッテリー安全装置を備えるバッテリーの実験結果を示す図である。
図7】本発明の第2実施例におけるバッテリー安全装置を備えるバッテリーを示す図である。
図8】本発明の第2実施例におけるバッテリー安全装置の構造図である。
図9】本発明の第2実施例におけるバッテリー安全装置の強制短絡メカニズムを示す図である。
図10】本発明の第2実施例におけるバッテリー安全装置の強制短絡メカニズムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、関連の図面を参照して、本発明に基づくバッテリー安全装置の実施例につき説明する。なお、図示の明瞭化及び簡略化のために、図中の各部材はサイズや比率を拡大又は縮小して示していることがある。また、以下の記載及び/又は特許請求の範囲において、部材を他の部材に「接続する」又は「結合する」と言及している場合には、当該他の部材に直接接続又は結合してもよいし、仲介部材を介在させてもよい。一方、部材を他の部材に「直接接続する」又は「直接結合する」と言及している場合には、仲介部材を介在させない。なお、部材又は層同士の関係を記載するその他の語句は、いずれも同様に解釈するものとする。また、理解の便宜上、以下の実施例では、同じ部材には同じ記号を付して説明する。
【0010】
本発明の第1実施例におけるバッテリー安全装置の分解図及び組立図である図1及び図2を参照する。図1に示すように、バッテリー安全装置1は、タブリード11及び温度制御膨張部材12を含む。
【0011】
タブリード11は、接続部111、左延伸部112、右延伸部113、上延伸部114及び作動プレート115を含む。左延伸部112及び右延伸部113は、接続部111に接続可能であり、且つ下方に向かって延伸している。上延伸部114は、接続部111に接続されており、且つ上方に向かって延伸している。作動プレート115は接続部111に接続されており、且つ下方に向かって延伸している。一実施例において、作動プレート115は、例えば銅板やアルミ板等の金属片とすればよい。また、他の実施例において、作動プレート115は、バネ、板バネ又はその他類似の弾性部材としてもよい。
【0012】
温度制御膨張部材12は実質的にU字型をなしており、且つ、パッケージ及びパッケージ内に配置される混合物を含む。温度制御膨張部材12は一端が屈曲部となっており、他端が開口部となっている。上記の構造により、温度制御膨張部材12は、熱で膨張する際にいっそう効果的に押圧力を発生させられる。一実施例において、温度制御膨張部材12の混合物は、水及び親水性物質を含む。親水性物質は、ケイ酸ナトリウム(水ガラス)、ポリアクリル酸ナトリウム、又はその他類似の材料等とすればよい。一実施例において、パッケージの材料は、アルミ箔、ワックス、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレン、又はその他の軟性の高分子材料とする。他の一実施例において、温度制御膨張部材12は、矩形、楕円形又はその他異なる形状としてもよい。
【0013】
図2に示すように、温度制御膨張部材12は、タブリード11の左延伸部112、右延伸部113及び作動プレート115の間の空間内に設置可能である。且つ、温度制御膨張部材12の開口部は作動プレート115に当接する。
【0014】
言うまでもなく、上記は例示にすぎず、タブリード11及び温度制御膨張部材12の構造は実際のニーズに基づいて変化させればよい。よって、本発明は上記に限らない。
【0015】
本発明の第1実施例におけるバッテリー安全装置を備えるバッテリーの分解図、組立図及び強制短絡メカニズムを示す図である図3図4及び図5を参照する。図3及び図4に示すように、バッテリーBは、バッテリーケースと、バッテリーケースの内部に設置される第1電極端子P1(正極端子)、第2電極端子P2(負極端子)及び極巻き(polar winding)Wを含む。バッテリーケースは、エンドカバーH1とハウジングH2を含む。更に、エンドカバーH1は安全弁Sを含んでもよい。当業者は安全弁Sについて熟知しているため、ここではこれ以上詳述しない。本実施例において、バッテリーBはリチウムバッテリーである。また、他の実施例において、バッテリーBはその他各種の既存のバッテリーとしてもよい。このほか、バッテリーBは、バッテリーBの極巻きWの両側にそれぞれ設置可能な2つのバッテリー安全装置1を含んでもよい。
【0016】
図中の左側のバッテリー安全装置1から明らかなように、バッテリー安全装置1のタブリード11における左延伸部112及び右延伸部113は、極巻きWの第1導電部C1(正極導電部)に接触する。また、タブリード11の上延伸部114は第1電極端子P1(正極端子)に接触する。また、作動プレート115と極巻きWの間には収容空間が備わっている。このほか、バッテリー安全装置1は、更に、極巻きWの第1導電部C1に設置されるとともに前記収容空間に位置する収容溝13を含む。温度制御膨張部材12は収容溝13内に設置される。これにより、温度制御膨張部材12の開口部の一方の側は第1導電部C1に接触し、温度制御膨張部材12の開口部の他方の側は作動プレート115に当接する。左側のバッテリー安全装置1は、更に固定ベース14を含む。固定ベース14は、極巻きWの第1導電部C1に設置されてタブリード11を固定する。固定ベース14は、位置決め溝141をさらに備え、左延伸部112及び右延伸部113が位置決め溝141内に設置される。
【0017】
同様に、図中の右側のバッテリー安全装置1から明らかなように、バッテリー安全装置1のタブリード11における左延伸部112及び右延伸部113は、極巻きWの第2導電部C2(負極導電部)に接触する。また、タブリード11の上延伸部114は第2電極端子P2(負極端子)に接触する。また、作動プレート115と極巻きWの間には収容空間が備わっている。このほか、バッテリー安全装置1は、更に、極巻きWの第2導電部C2に設置されるとともに前記収容空間に位置する収容溝13を含む。温度制御膨張部材12は収容溝13内に設置される。これにより、温度制御膨張部材12の開口部の一方の側は第2導電部C2に接触し、温度制御膨張部材12の開口部の他方の側は作動プレート115に当接する。バッテリー安全装置1は、更に固定ベース14を含む。固定ベース14は、極巻きWの第2導電部C2に設置されてタブリード11を固定する。固定ベース14は、位置決め溝141をさらに備え、左延伸部112及び右延伸部113が位置決め溝141内に設置される。
【0018】
図5に示すように、バッテリーBが不適切使用された場合や、その他の要因で温度が上昇した場合には、温度制御膨張部材12内の混合物が高温により気化し、混合物の体積が増加する。これにより、温度制御膨張部材12が膨張して作動プレート115を押圧するため、作動プレート115が変形してバッテリーケースのハウジングH2に接触する。その結果、バッテリーケース、作動プレート115及び極巻きWが放電回路を形成する。放電電流の方向は図中の矢印Acのようになる。上記の強制短絡メカニズムによってエネルギーを効果的に放出でき、バッテリーBの極巻きWにおける内部材料の活性が低下するため、バッテリーBの熱暴走(Thermal runaway)状態への突入を効果的に防止可能である。
【0019】
また、バッテリーBが熱暴走状態に突入してしまった場合には、温度制御膨張部材12が高温により破裂して、極めて良質な難燃性ガスを放出する。これにより、バッテリーBから放出される可燃性ガスの可燃性を効果的に低減させられるため、バッテリーBの熱暴走に起因する被害が低下する。
【0020】
他の実施例において、バッテリーBはバッテリー安全装置1を1つだけ備えてもよい。この場合、バッテリー安全装置1は、バッテリーBの一方の側に設置可能であるとともに、極巻きWの第1導電部C1及び第1電極端子P1にそれぞれ接続される。また、バッテリーケースは、第2電極端子P2及び極巻きWの第2導電部C2に接続される。上記の構造では、1つのバッテリー安全装置1により強制短絡メカニズムを起動可能である。更に別の実施例においても、バッテリーBはバッテリー安全装置1を1つだけ備えてもよい。この場合、バッテリー安全装置1は、バッテリーBの一方の側に設置可能であるとともに、極巻きWの第2導電部C2及び第2電極端子P2にそれぞれ接続される。また、バッテリーケースは、第1電極端子P1及び極巻きWの第1導電部C1に接続される。上記の構造でも、1つのバッテリー安全装置1により強制短絡メカニズムを起動可能である。
【0021】
上記から明らかなように、本実施例のバッテリー安全装置1は、温度制御膨張部材12により強制短絡メカニズムを起動可能である。当該メカニズムでは、バッテリーBに強制的に放電させることで、バッテリーBの内部材料の活性を低下させられる。これにより、バッテリーの熱暴走状態への突入を予防するとともに、極めて優れた信頼性を達成可能なため、バッテリーの安全性が大幅に向上する。
【0022】
このほか、本実施例のバッテリー安全装置1は、バッテリーのバッテリーケースを放電回路の一部とすることで、より良好な放電効果を達成可能としている。これにより、バッテリーの熱暴走状態への突入を効果的に予防可能なため、バッテリーの安全性が更に向上する。
【0023】
本発明の第1実施例におけるバッテリー安全装置を備えるバッテリーの実験結果を示す図6を参照する。本実施例では、バッテリーBを4.2Vまで満充電し、且つ、第1電極端子P1と第2電極端子P2を外部回路に接続した。この外部回路のインピーダンス値は5mΩ未満であった。曲線VtはバッテリーBの電圧、曲線AmはバッテリーBの電流、曲線T1は第1電極端子P1の温度、曲線T2はバッテリーBの中央の温度、曲線T3は第2電極端子P2の温度を示す。図6に示すように、バッテリーBの第1電極端子P1の温度、バッテリーBの中央の温度及びバッテリーBの第2電極端子P2の温度はいずれも明らかに低下した。また、バッテリーBの電流及び電圧も明らかに低下した。このことから、本実施例のバッテリー安全装置1は極めて優れた効果を確実に達成可能であった。
【0024】
言うまでもなく、上記は例示にすぎず、バッテリー安全装置1の構造及び各部材の連携関係は実際のニーズに応じて変更すればよい。よって、本発明は上記に限らない。
【0025】
注目すべき点として、従来のバッテリー安全装置は大部分がガス圧式の安全構造を採用しており、リチウムバッテリーの熱暴走状態への突入を効果的に防止できていなかった。これに対し、本発明の実施例によれば、バッテリー安全装置は特殊な強制短絡安全機構を有している。当該機構は強制短絡メカニズムを起動して放電回路を形成し、バッテリーに強制的に放電させることで、バッテリーの内部材料の活性を低下させられる。そのため、バッテリーの熱暴走状態への突入を効果的に予防可能であり、バッテリーの安全性が向上する。
【0026】
また、本発明の実施例によれば、バッテリー安全装置は強制短絡メカニズムを起動可能であるとともに、バッテリーのバッテリーケースを放電回路の一部とすることで、より良好な放電効果を達成可能としている。これにより、バッテリーの熱暴走状態への突入を効果的に予防可能なため、バッテリーの安全性が更に向上する。
【0027】
また、本発明の実施例によれば、バッテリー安全装置は温度制御膨張部材によって強制短絡メカニズムを起動させる。且つ、温度制御膨張部材が破裂後に放出するガスは極めて良好な難燃性を有するため、バッテリーから放出される可燃性ガスの可燃性を効果的に低減させられる。これにより、バッテリーの熱暴走に起因する被害が低下する。
【0028】
このほか、本発明の実施例によれば、バッテリー安全装置は温度制御膨張部材によって強制短絡メカニズムを起動させるため、温度が過度に高くなった場合には直ちに強制短絡メカニズムを起動可能である。よって、バッテリー安全装置の信頼性を効果的に向上させられる。
【0029】
また、本発明の実施例では、バッテリー安全装置の構造がシンプルである。よって、コストを大幅に増加させることなく所望の効果を達成可能であり、極めて優れた商業的価値を有する。上記から明らかなように、本発明の実施例におけるバッテリー安全装置は極めて優れた技術的効果を確実に達成可能である。
【0030】
本発明の第2実施例におけるバッテリー安全装置を備えるバッテリーを示す図7と、バッテリー安全装置の構造図である図8を参照する。図7に示すように、バッテリー安全装置2はバッテリーBの内部に設けられる。バッテリーBは、バッテリーケースと、バッテリーケースの内部に設置される第1電極端子P1、第2電極端子P2及び極巻きWを含む。バッテリーケースは、エンドカバーH1とハウジングH2を含む。エンドカバーH1は更に安全弁Sを含んでもよい。バッテリー安全装置2は、第1電極端子P1、極巻きWの第1導電部C1、第2電極端子P2及び極巻きWの第2導電部C2にそれぞれ接続される。
【0031】
図8に示すように、バッテリー安全装置2は、第1ベース21、第2ベース23、温度制御膨張部材22、作動プレート24及び位置規制部材25を含む。第1ベース21は、第1電極端子P1及び極巻きWの第1導電部C1に接続される。また、第1ベース21は、底板211と、底板211に設置される支持プレート212を含んでもよい。
【0032】
第2ベース23は、バッテリーBの第2電極端子P2、バッテリーBの極巻きWの第2導電部C2及びバッテリーケースのハウジングH2に接続可能である。
【0033】
温度制御膨張部材22は、底板211に設置可能であるとともに、支持プレート212と接触可能である。温度制御膨張部材22は実質的にU字型をなしており、且つ、パッケージ及びパッケージ内に配置される混合物を含む。温度制御膨張部材22の一端は屈曲部、他端は開口部となっている。また、屈曲部が底板211に接触する。温度制御膨張部材22の構造及び材料は上記実施例と同様のため、ここではこれ以上詳述しない。
【0034】
位置規制部材25は、温度制御膨張部材22に設置される。位置規制部材25と底板211の間には収容空間が備わっており、作動プレート24がこの収容空間内に設置される。一実施例において、作動プレート24は、例えば銅板やアルミ板等の金属片とすればよい。また、他の実施例において、作動プレート24は、バネ、板バネ又はその他類似の弾性部材としてもよい。
【0035】
本発明の第2実施例における強制短絡メカニズムを示す図9及び図10を参照する。図9に示すように、バッテリーBが不適切使用された場合や、その他の要因で温度が上昇した場合には、温度制御膨張部材22内の混合物が高温により気化し、混合物の体積が増加する。これにより、温度制御膨張部材22が膨張して、位置規制部材25が作動プレート24を押圧する結果、作動プレート24が変形してバッテリーケースのハウジングH2に接触する。図10に示すように、バッテリーケース、作動プレート24及び極巻きWにより放電回路が形成される。また、放電電流の方向は図中の矢印Acのようになる。上記の強制短絡メカニズムでもエネルギーを効果的に放出でき、バッテリーBの極巻きWにおける内部材料の活性が低下するため、バッテリーBの熱暴走状態への突入を効果的に防止可能である。
【0036】
上記から明らかなように、本実施例のバッテリー安全装置2は、別の強制短絡安全機構によって強制短絡メカニズムを起動可能である。当該メカニズムでは、バッテリーBに強制的に放電させることで、バッテリーBの内部材料の活性を低下させられる。これにより、バッテリーの熱暴走状態への突入が予防されるため、バッテリーの安全性を大幅に向上させることが可能である。
【0037】
言うまでもなく、上記は例示にすぎず、バッテリー安全装置2の構造及び各部材の連携関係は実際のニーズに応じて変更すればよい。よって、本発明は上記に限らない。
【0038】
上述したように、本発明の実施例によれば、バッテリー安全装置は特殊な強制短絡安全機構を有している。当該機構は、強制短絡メカニズムを起動して放電回路を形成し、バッテリーに強制的に放電させることで、バッテリーの内部材料の活性を低下させられる。そのため、バッテリーの熱暴走状態への突入を効果的に予防可能であり、バッテリーの安全性が向上する。
【0039】
また、本発明の実施例によれば、バッテリー安全装置は強制短絡メカニズムを起動可能であるとともに、バッテリーのバッテリーケースを放電回路の一部とすることで、より良好な放電効果を達成可能としている。これにより、バッテリーの熱暴走状態への突入を効果的に予防可能なため、バッテリーの安全性が更に向上する。
【0040】
また、本発明の実施例によれば、バッテリー安全装置は温度制御膨張部材によって強制短絡メカニズムを起動させる。且つ、温度制御膨張部材が破裂後に放出するガスは極めて良好な難燃性を有するため、バッテリーから放出される可燃性ガスの可燃性を効果的に低減させられる。これにより、バッテリーの熱暴走に起因する被害が低下する。
【0041】
このほか、本発明の実施例によれば、バッテリー安全装置は温度制御膨張部材によって強制短絡メカニズムを起動させるため、温度が過度に高くなった場合には直ちに強制短絡メカニズムを起動可能である。よって、バッテリー安全装置の信頼性を効果的に向上させられる。
【0042】
また、本発明の実施例では、バッテリー安全装置の構造がシンプルである。よって、コストを大幅に増加させることなく所望の効果を達成可能であり、極めて優れた商業的価値を有する。
【0043】
上記から明らかなように、本発明によれば、従来技術を発展させることで所望の改良効果が確実に達成されるとともに、当業者は本発明を容易に想起し得ない。また、本発明が有する進歩性、実用性は明らかに特許出願要件を満たしている。よって、法に基づき出願する。本件発明特許出願を許可いただき、創造をご支持くださるよう切にお願い申し上げる。
【0044】
上記は例示にすぎず、限定を意図しない。また、本発明の精神及び範囲を逸脱することなく行われるその他の等価の修正又は変形は、いずれも添付の特許請求の範囲に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0045】
1 バッテリー安全装置
11 タブリード
111 接続部
112 左延伸部
113 右延伸部
114 上延伸部
115 作動プレート
12 温度制御膨張部材
13 収容溝
14 固定ベース
141 位置決め溝
2 バッテリー安全装置
21 第1ベース
211 底板
212 支持プレート
22 温度制御膨張部材
23 第2ベース
24 作動プレート
25 位置規制部材
B バッテリー
P1 第1電極端子
P2 第2電極端子
W 極巻き
C1 第1導電部
C2 第2導電部
H1 エンドカバー
H2 ハウジング
S 安全弁
Ac 矢印
Am,Vt,T1,T2,T3 曲線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10