(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-111805(P2021-111805A)
(43)【公開日】2021年8月2日
(54)【発明の名称】イヤピース、及び該イヤピースを備えたイヤホン
(51)【国際特許分類】
H04R 1/10 20060101AFI20210705BHJP
【FI】
H04R1/10 104Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2020-402(P2020-402)
(22)【出願日】2020年1月6日
(71)【出願人】
【識別番号】599144918
【氏名又は名称】株式会社アクセス
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 徳治
【テーマコード(参考)】
5D005
【Fターム(参考)】
5D005BA16
(57)【要約】
【課題】本発明の目的は、装着性の向上を図ったイヤピース、及び該イヤピースを備えたイヤホンを提供することにある。
【解決手段】イヤピース1は、音を伝達可能な筒状の軸部11と、該軸部の先端に連続する頂部12から、当該軸部を中心として軸部の基端側に向かうにしたがって拡径する傘状部14と、を備え、傘状部は、外耳道に挿入された際に、軸部に近づくように変位可能に構成され、傘状部の頂部12から離れた周縁部14Aは、軸部を中心とする円形状となるように形成され、周縁部の直径寸法φ2が、傘状部の高さ寸法T2の2.5倍以上である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外耳道に挿入されるイヤピースであって、
音を伝達可能な筒状の軸部と、
該軸部の先端に連続する頂部から、当該軸部を中心として前記軸部の基端側に向かうにしたがって拡径する傘状部と、を備え、
前記傘状部は、前記外耳道に挿入された際に、前記軸部に近づくように変位可能に構成され、
前記傘状部の前記頂部から離れた周縁部は、前記軸部を中心とする円形状となるように形成され、
前記周縁部の直径寸法が、前記傘状部の高さ寸法の2.5倍以上であることを特徴とするイヤピース。
【請求項2】
前記傘状部の肉厚は、前記軸部を構成する周壁の厚みより小さいことを特徴とする請求項1に記載のイヤピース。
【請求項3】
請求項1または2に記載のイヤピースと、該イヤピースを支持可能なイヤホン本体と、を備えたイヤホンであって、
前記イヤホン本体は、スピーカユニットと、該スピーカユニットを内蔵するハウジングと、を有し、
前記ハウジングは、円盤状の底壁を有する受け皿部と、該受け皿部に連続されるとともに、前記底壁から離れるにしたがって径寸法が小さくなるように延びて形成されたノズル部と、該ノズル部に連続される筒状の音導管と、を有し、
前記音導管には、前記軸部が接続されていることを特徴とするイヤホン。
【請求項4】
前記受け皿部と前記ノズル部との嵌合面が、鉛直方向及び前後方向を含む平面上にある際に、前記ノズル部は、前記嵌合面の鉛直方向の端部において、前方に張り出して設けられていることを特徴とする請求項3に記載のイヤホン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イヤピース、及び該イヤピースを備えたイヤホンに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば、ブルートゥース(登録商標)などの無線通信回線を介して、携帯型音楽再生機などの音源からの音声信号を受信するワイヤレスイヤホンが知られている。(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載のワイヤレスイヤホンは、スピーカユニット等を内蔵したハウジングと、該ハウジングから突設された音導管の先端部に支持されるイヤピースと、を有して構成されている。イヤピースは、耳栓型(カナル型)と呼ばれるものであり、外耳道に挿入可能な釣鐘状に形成されている。カナル型のイヤピースは、外耳道の内面に密着し、使用者の耳穴を密閉して、遮音性を発揮する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019−186870号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来のワイヤレスイヤホンは、スピーカユニットに加えてさらに無線通信基板及び電源が内蔵されているため、重量化及び大型化が避けられず、ワイヤレスイヤホンを安定した状態で装着することが困難だった。また、外耳道の形状は個人差があり、従来のイヤピースは、外耳道の内面に密着され難い場合があった。
【0006】
本発明の目的は、装着性の向上を図ったイヤピース、及び該イヤピースを備えたイヤホンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的は、以下の本発明によって解決される。
即ち、本発明は、外耳道に挿入されるイヤピースであって、音を伝達可能な筒状の軸部と、該軸部の先端に連続する頂部から、当該軸部を中心として軸部の基端側に向かうにしたがって拡径する傘状部と、を備え、前記傘状部は、前記外耳道に挿入された際に、前記軸部に近づくように変位可能に構成され、前記傘状部の前記頂部から離れた周縁部は、前記軸部を中心とする円形状となるように形成され、前記周縁部の直径寸法が、前記傘状部の高さ寸法の2.5倍以上であることを特徴とするものである。
【0008】
以上のような本発明によれば、イヤピースは、傘状部の周縁部の直径寸法が、傘状部の高さ寸法の2.5倍以上となるように形成されている。即ち、本発明のイヤピースは、従来のカナル型のイヤピースに比して軸寸法が小さくなるように形成されている。よって、イヤピースを使用者の外耳道に挿入する際の挿入抵抗を小さくしつつ、傘状部の頂部を、外耳道の奥側(鼓膜側)に位置させることができる。また、外耳道の形状に個人差があっても、傘状部は、従来のカナル型のイヤピースに比して軸寸法が小さくなるように形成されて、接触面積が小さいから、外耳道の内面に密着し易くすることができる。
【0009】
また、傘状部の肉厚は、軸部を構成する周壁の厚みより小さいことが好ましい。これによれば、傘状部を使用者の外耳道に挿入する際の挿入抵抗を、より一層、小さくすることができる。
【0010】
一方、請求項1または2に記載のイヤピースと、該イヤピースを支持可能なイヤホン本体と、を備えたイヤホンであって、前記イヤホン本体は、スピーカユニットと、該スピーカユニットを内蔵するハウジングと、を有し、前記ハウジングは、円盤状の底壁を有する受け皿部と、該受け皿部に連続されるとともに、前記底壁から離れるにしたがって径寸法が小さくなるように延びて形成されたノズル部と、該ノズル部に連続される筒状の音導管と、を有し、前記音導管には、前記軸部が接続されている。
【0011】
以上のような本発明によれば、ハウジングは、円盤状の底壁を有する受け皿部と、該受け皿部に連続されるとともに、底壁から離れるにしたがって径寸法が小さくなるように延びて形成されたノズル部と、該ノズル部に連続される筒状の音導管と、を有し、音導管には、軸部が接続されている。これによれば、使用者の外耳道にノズル部が挿入されて、傘状部の頂部が、外耳道の奥側(鼓膜側)に位置されるとともに、受け皿部とノズル部との嵌合面の近傍部が、耳甲介と耳珠との間に挟んで支持され、受け皿部が、外耳道の開口を塞ぐように設けられる。即ち、イヤホンを装着した状態で、嵌合面の位置が、外耳道の開口の近傍に位置し、イヤホンの重心が外耳道の開口近傍に位置するから、イヤホンを安定した状態で装着することができる。
【0012】
また、受け皿部とノズル部との嵌合面が、鉛直方向及び前後方向を含む平面上にある際に、ノズル部は、嵌合面の鉛直方向の端部において、前方に張り出して設けられていることが好ましい。ここで、人間の外耳道は、奥側(鼓膜側)に進むにしたがって前方に進むように、斜めになっている。このようなノズル部が設けられていることにより、イヤホンを装着した状態で、嵌合面の位置が、外耳道の開口の近傍に位置し、イヤホンの重心が外耳道の開口近傍に位置するから、より一層、イヤホンを安定した状態で装着することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、装着性(フィット性)の向上が図られる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態にかかるイヤピースを含んだイヤホンを示す斜視図である。
【
図3】前記イヤホンにおいて、一部断面を示す斜視図である。
【
図9】前記イヤピースを装着する様子を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態にかかるイヤピースを含んだイヤホンを、
図1〜9を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態にかかるイヤピース1を含んだイヤホン10を示す斜視図である。
【0016】
イヤホン10は、使用者の左右の耳それぞれに装着されて、携帯型音楽再生機などの音源からの音声信号に応じた音波を出力する。イヤホン10は、例えば、ブルートゥース(登録商標)などの無線通信回線を介して、音源からの音声信号を受信する。また、これら一対のイヤホン10、10は、不図示のケースに収容されて、イヤホン10に内蔵された後述するバッテリ6が充電される。また、イヤホン10が、ケースに近付けられた場合に、イヤホン10に内蔵された後述するマグネット4が、ケース側のマグネットに引き寄せられて、イヤホン10がケースから脱落することが抑制される。
【0017】
イヤホン10は、
図1〜3に示すように、使用者の各耳に装着されて、音源からの音声信号に応じた音波を出力するものであり、スピーカユニット3(
図3に示す)を含むイヤホン本体2と、該イヤホン本体2に支持されるイヤピース1と、を備えて構成されている。
【0018】
イヤホン本体2は、
図3に示すように、スピーカユニット3と、ケースに設けられたマグネットに引き寄せられるマグネット4と、回路基板5と、バッテリ6と、これらスピーカユニット3、マグネット4、回路基板5及びバッテリ6を内蔵するハウジング7と、を有している。
【0019】
スピーカユニット3は、振動板(不図示)、磁気回路(不図示)、及びボイスコイル(不図示)を備え、音源からの音声信号に応じた音波を出力する。
【0020】
回路基板5は、音源からの音声信号を、無線通信回線を介して受信する受信回路と、受信回路が受信した音声信号を処理し、処理した信号をスピーカユニット3に伝送する信号処理回路と、受信回路が受信した音声信号を、他方のイヤホン本体2の受信回路に伝送する送信回路と、バッテリ6に充電される電力を、ケースに収容された本充電器から受電する受電部と、を有している。
【0021】
バッテリ6は、ボタン型の二次電池であり、回路基板5の受電部で受電した電力を充電して、回路基板5に形成された回路やスピーカユニット3を駆動するための電力を供給する。
【0022】
このようなイヤホン本体2は、音源からのデジタル信号(音声信号)を、無線通信回線を介して、イヤホン10のうち一方の回路基板5の受信回路に伝送する。受信したデジタル信号は、信号処理回路と送信回路に伝送される。信号処理回路は、受信回路によって伝送されたデジタル信号を、アナログ信号に変換し、スピーカユニット3に伝送する。信号処理回路は、受信回路から伝送されたデジタル信号を、アナログ信号に変換し、スピーカユニット3に伝送する。スピーカユニット3は、信号処理回路から入力されたアナログ信号に基づいた音波を出力する。
【0023】
一方、送信回路は、受信回路から伝送されたデジタル信号を左右のうち他方の回路基板5の受信回路に伝送する。受信回路は、左右のうち一方の回路基板5の送信回路から伝送されたデジタル信号を信号処理回路に伝送する。信号処理回路は、受信回路に入力されたデジタル信号をアナログ信号に変換し、左右の一方のスピーカユニット3に伝送する。スピーカユニット3は、信号処理回路から入力されたアナログ信号に基づいた音波を出力する。
【0024】
ハウジング7は、
図2〜5に示すように、底壁としてのスイッチ70を有する受け皿部71と、受け皿部71の開口部に嵌合して、受け皿部71の(後述する)周壁72に連続されるノズル部73と、該ノズル部73に連続される筒状の音導管74と、を有して構成されている。なお、本実施形態では、ハウジング7は、受け皿部73とノズル部73との嵌合面71A(受け皿部71の開口部71Aと同一符号を付与する)が、上下方向(鉛直方向)及び前後方向を含む平面上に位置し、ノズル部73のノズル本体部76が、嵌合面71Aの上端部において前方に張り出して設けられている。
【0025】
受け皿部71は、円盤状のスイッチ70と、スイッチ70を支持する周壁72と、を有して構成されている。スイッチ70と周壁72との境界部は、角部を有さない曲面となっている。この受け皿部71の開口部71Aは、周壁72のスイッチ70から離れた周端縁から構成されている。受け皿部71の開口部71Aは、スイッチ70に対向して、上下方向及び前後方向を含む平面上に延在して設けられているとともに、上下寸法が前後寸法より大きい楕円形状に形成されている。
【0026】
スイッチ70は、
図3に示すように、周壁72の内周縁72Bに支持される。このスイッチ70により、音量調節や、楽曲の再生・停止等の各種の操作が行われる。また、受け皿部71には、長方形板状の回路基板5がスイッチ70と対向する格好で支持される。また、受け皿部71とノズル部73との境界を含む位置に、ボタン型のバッテリ6が回路基板5と対向する格好で支持される。
【0027】
ノズル部73は、受け皿部71の開口部71Aに嵌合するノズル嵌合部75と、該ノズル嵌合部75に連続されるとともに、スイッチ70から離れるにしたがって径寸法が小さくなるように延びて形成されるノズル本体部76と、を有して構成されている。受け皿部71の開口部71A及びノズル嵌合部75が、嵌合面71Aを構成する。
【0028】
ノズル本体部76は、
図4に示すように、嵌合面71Aの上端部において前方に張り出して設けられている。ここで、人間の外耳道は、奥側(鼓膜側)に進むにしたがって前方に進むように、斜めになっている。よって、ノズル本体部76(ノズル部)が、嵌合面71Aの上端部において、前方に張り出して設けられていることで、ノズル本体部76が外耳道の延在方向に沿って挿入された状態で、嵌合面71Aにより、外耳道の開口が塞がれるように受け皿部71が設けられる。
【0029】
また、
図3に示すように、ノズル本体部76の内面には、スピーカユニット3が固定されている。さらに、スピーカユニット3と隣接する位置にマグネット4が支持されている。
【0030】
音導管74は、ノズル本体部76のスイッチ70から離れる方向に延びて形成されている。
【0031】
イヤピース1は、
図5、6に示すように、音導管74に接続される筒状の軸部11と、該軸部11の先端に連続する頂部12から、当該軸部11を中心として軸部11の基端側(頂部12から離れた側)に向かうにしたがって拡径する傘状部14と、を備えて構成されている。
【0032】
傘状部14の頂部12は、
図7に示すように、軸部11に直交する平坦な面から構成されている。傘状部14の頂部12から離れた周縁部14Aは、
図7、8に示すように、平面視が円形状となるように形成されている。傘状部14は、頂部12から周縁部14Aまで、一定角度の傾斜面13から構成されている。傾斜面13は、頂部12から離れるに向かうにしたがって、拡径して設けられている。傘状部14の肉厚は一定となるように形成され、軸部11を構成する周壁72の最大の厚み寸法より小さくなるように形成されている。
【0033】
軸部11の基端部は、傘状部14の周縁部14Aより、頂部12側(奥側)に設けられている。これによれば、イヤピース1の軸部11が、音導管74に接続された際に、傘状部14の頂部12から嵌合面71Aまでの距離を短くすることができる。これにより、イヤホン本体2の嵌合部71Aが、外耳道の開口近傍に位置するようになっている。
【0034】
次に、イヤピース1の各寸法について、
図6を参照して説明する。イヤピース1は、
図6に示すように、軸部11の軸寸法T1が3mm、傘状部14の高さ寸法T2が4mm、頂部12の直径寸法が6mm、傘状部14の頂部12から離れた周縁部14Aの直径寸法φ2が13mm、となるように形成されている。なお、本実施形態において、上記各寸法等はあくまでも一例であり、本発明においては用途に応じて適宜設計すればよく、イヤピース1としては、傘状部14の高さ寸法T2が2.5mm以上5mm以下、傘状部14の頂部12から離れた周縁部14Aの直径寸法φ2が9mm以上15mm以下になるように形成されていることが好ましい。
【0035】
上述した構成のイヤホン10を組み立てる際には、イヤピース1の軸部11と音導管74の中心軸P1とが同軸となるように、音導管74に、イヤピース1の軸部11を圧入して組み立てる。
【0036】
次に、イヤホン10を装着する際には、
図9に示すように、受け皿部71とノズル部73との嵌合面71Aが、上下方向及び前後方向を含む平面上にあり、ノズル部73が、嵌合面71Aの鉛直方向の下方側に位置する格好で、イヤピース1及び音導管74を、外耳道に挿入しつつ、受け皿部71をわずかに回転させて、ノズル部73を外耳道の延在方向に沿って挿入する。この際、イヤピース1は、傘状部14が軸部11に近づくように変位して、傘状部14の頂部11が、外耳道の奥側(鼓膜側)に位置されるとともに、周縁部14Aが外耳道の内面に密着する。また、嵌合面71Aにより、外耳道の開口が塞がれるように受け皿部71が設けられ、受け皿部71とノズル部73との嵌合面の近傍部が耳甲介と耳珠との間に挟んで支持される。このようにして、イヤホン10を装着する。
【0037】
以上のような実施形態によれば、イヤピース1は、傘状部14の周縁部14Aの直径寸法φ2が、傘状部14の高さ寸法T2の2.5倍以上となるように形成されている。即ち、本発明のイヤピース1は、従来のカナル型のイヤピースに比して軸寸法が小さくなるように形成されている。よって、イヤピース1を使用者の外耳道に挿入する際の挿入抵抗を小さくしつつ、傘状部14の頂部12を、外耳道の奥側(鼓膜側)に位置させることができる。また、外耳道の形状に個人差があっても、傘状部14は、従来のカナル型のイヤピースに比して軸寸法が小さくなるように形成されて、接触面積が小さいから、外耳道の内面に密着し易くすることができる。
【0038】
また、傘状部14の肉厚は、軸部11を構成する周壁の厚みより小さくなるように形成されている。これによれば、傘状部14を使用者の外耳道に挿入する際の挿入抵抗を、より一層、小さくすることができる。
【0039】
また、ハウジング7は、円盤状のスイッチ70(底壁)を有する受け皿部71と、該受け皿部71に連続されるとともに、スイッチ70から離れるにしたがって径寸法が小さくなるように延びて形成されたノズル部73と、該ノズル部73に連続される筒状の音導管74と、を有し、音導管74には、イヤピース1の軸部11が接続されている。これによれば、使用者の外耳道にノズル部73が挿入されて、傘状部14の頂部12が、外耳道の奥側(鼓膜側)に位置されるとともに、受け皿部71とノズル部73との嵌合面71Aの近傍部が、耳甲介と耳珠との間に挟んで支持され、受け皿部71が、外耳道の開口を塞ぐように設けられる。即ち、イヤホン10を装着した状態で、嵌合面71Aの位置が、外耳道の開口の近傍に位置し、イヤホン10の重心が外耳道の開口近傍に位置するから、イヤホン10を安定した状態で装着することができる。
【0040】
また、受け皿部71とノズル部73との嵌合面71Aが、鉛直方向及び前後方向を含む平面上にある際に、ノズル部73は、嵌合面71Aの鉛直方向の端部において、前方に張り出して設けられている。ここで、人間の外耳道は、奥側(鼓膜側)に進むにしたがって前方に進むように、斜めになっている。このようなノズル部73が設けられていることにより、イヤホン10を装着した状態で、嵌合面71Aの位置が、外耳道の開口の近傍に位置し、イヤホン10の重心が外耳道の開口近傍に位置するから、より一層、イヤホン10を安定した状態で装着することができる。
【0041】
なお、上述した実施形態では、傘状部14の高さ寸法T2が4mm、傘状部14の頂部12から離れた周縁部14Aの直径寸法φ2が13mm、となるように形成されている。即ち、傘状部14の頂部12から離れた周縁部14Aの直径寸法φ2が、傘状部14の高さ寸法T2の3倍以上となるように形成されているが、本発明はこれに限定されるものではない。傘状部14の頂部12から離れた周縁部14Aの直径寸法φ2が、傘状部14の高さ寸法T2の2.5倍以上であり、かつ3.5倍以下となるように形成されていればよい。
【0042】
また、上述した実施形態では、傘状部14は、頂部12から周縁部14Aまで、一定角度の傾斜面13から構成されている。本発明はこれに限定されるものではない。傘状部は、異なる角度を有する複数の傾斜面から構成されていてもよいし、傘状部の一部のみが、傾斜面であり、それ以外の部分は、軸部11に対して距離が一定となるように形成されていてもよい。
【0043】
その他、本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、且つ、説明されているが、本発明の技術的思想及び、目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部、もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0044】
1 イヤピース
10 イヤホン
2 イヤホン本体
3 スピーカユニット
11 軸部
12 頂部
14 傘状部
14A 周縁部
7 ハウジング
70 底壁
71 受け皿部
71A 嵌合面
73 ノズル部
74 音導管
φ2 周縁部の直径寸法
T2 傘状部の高さ寸法