【解決手段】建築限界測定装置は、2本の軌条を走行する計測車両の走行方向において、計測車両に設けられたレーザスキャナからスキャンニングした軌道周辺の物体の形状を3次元点群で表す3次元点群データおよび軌条の軌道中心線データを取得するデータ取得部と、3次元点群データ上に配置する場合の判定対象車両の2次元の建築限界領域を示す領域データを記憶する領域記憶部と、領域記憶部の領域データに基づいて建築限界領域を軌道中心線データに従って順次複数配置する領域配置部と、軌道中心線データに関連付けられている軌条の付加情報に基づいて配置された建築限界領域を変更する領域変更部と、領域変更部により変更された複数の建築限界領域を連結した連結領域を生成する連結領域生成部と、判定対象車両の走行に対する障害物を検出するために連結領域内にデータ取得部で取得した3次元点群データが含まれる否かを判断する検出部とを備える。
2本の軌条を走行する計測車両の走行方向において、前記計測車両に設けられたレーザスキャナからスキャンニングした軌道周辺の物体の形状を3次元点群で表す3次元点群データおよび前記軌条の軌道中心線データを取得するデータ取得部と、
3次元点群データ上に配置する場合の判定対象車両の2次元の建築限界領域を示す領域データを記憶する領域記憶部と、
前記領域記憶部の前記領域データに基づいて前記建築限界領域を前記軌道中心線データに従って順次複数配置する領域配置部と、
前記軌道中心線データに関連付けられている前記軌条の付加情報に基づいて配置された前記建築限界領域を変更する領域変更部と、
前記領域変更部により変更された複数の建築限界領域を連結した連結領域を生成する連結領域生成部と、
前記判定対象車両の走行に対する障害物を検出するために前記連結領域内に前記データ取得部で取得した3次元点群データが含まれる否かを判断する検出部とを備える、建築限界測定装置。
前記領域変更部は、前記軌条の付加情報の曲線半径および曲線の向きに基づいて偏倚量を算出し、算出した偏倚量に基づいて対応する建築限界領域を拡大する、請求項1記載の建築限界測定装置。
2本の軌条を走行する計測車両の走行方向において、前記計測車両に設けられたレーザスキャナからスキャンニングした軌道周辺の物体の形状を3次元点群で表す3次元点群データおよび前記軌条の軌道中心線データを取得するステップと、
3次元点群データ上に配置する場合の判定対象車両の2次元の建築限界領域を前記軌道中心線データに従って順次配置するステップと、
前記軌道中心線データに関連付けられている前記軌条の付加情報に基づいて配置された前記建築限界領域を変更するステップと、
変更された複数の建築限界領域を連結した連結領域を生成するステップと、
前記判定対象車両の走行に対する障害物を検出するために前記連結領域内に前記取得した3次元点群データが含まれるか否かを判断するステップとを備える、建築限界測定方法。
【発明を実施するための形態】
【0014】
実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0015】
図1は、実施形態に基づく建築限界測定システムの構成を説明する図である。
図1に示されるように、建築限界測定システムは、建築限界測定装置の一例である計測装置1と、計測車両2とを含む。
【0016】
本例においては、計測車両2を側面から見た場合が示されている。
計測車両2は、GPS受信機200と、慣性センサ(IMU)210と、レーザスキャナ230と、データ記憶装置250とが含まれている。
【0017】
GPS受信機200は、測位衛星であるGPS衛星からの測位信号を受信する。GPS受信機200は、測位信号に設定されている航法メッセージおよび測位信号の搬送波位相の情報を測位情報の一例であるGPSデータとして受信時刻または計測時刻毎にデータ記憶装置250に記憶する。なお、GPS受信機200は他のGNSS(Global Navigation Satellite Systems)の衛星から測位信号を受信する受信機でもよい。GPSデータにより、計測車両2の走行軌跡位置データを取得することが可能である。
【0018】
レーザスキャナ230は、計測対象物である軌条(レール)の三次元位置を計測するためのセンサであり、進行方向に直交する面内をスキャンすることができる。レーザスキャナ230は、計測車両2の走行中にレーザ光を照射し、計測対象である軌条(レール)から反射したレーザ光を受光する。レーザスキャナ230は、レーザ光の照射から受光までの時間とレーザ光の照射方向とに基づいて、レーザ光が照射された照射点毎にレーザスキャナ230からの距離および方位を距離方位点として計測する。すなわち、距離方位点は、計測対象物に対する計測車両2からの距離および方位を表している。レーザスキャナ230は、計測した複数の距離方位点からなる距離方位点群を計測時刻または取得時刻毎にデータ記憶装置250に記憶する。これにより、軌道周辺の物体の形状を3次元点群で表す3次元点群データが取得される。
【0019】
慣性センサ210は、計測車両2の停止中または走行中において、計測車両2の三次元姿勢角の角速度の微小変異を計測し、姿勢データを計測時刻毎にデータ記憶装置250に記憶する。
【0020】
計測装置1は、計測車両2からの計測データ(3次元点群データ、姿勢データ、走行軌跡位置データ)を取得する。
【0021】
計測装置1は、計測された3次元点群データ上に対して建築限界領域を設定して、3次元の建築限界領域に当該3次元点群データが含まれるか否かを計測する。
【0022】
計測装置1における各部の機能について説明する。なお、軌条位置とは、軌条(レール)の三次元空間における位置を把握可能な三次元座標系上の位置を意味するものとする。ただし、軌条の三次元座標系上の位置を把握するための情報には、軌条の断面形状を把握するための2次元座標系上の位置情報も含まれるものとする。
【0023】
図2は、実施形態に基づく計測装置1の機能を説明するブロック図である。
図2を参照して、計測装置1は、データ取得部10と、領域記憶部11と、領域配置部12と、領域変更部13と、連結領域生成部14と、検出部15とを含む。
【0024】
データ取得部10は、計測車両2のデータ記憶装置250に記憶された計測データを取得する。本例においては、データ取得部10は、計測データの一例として3次元点群データを取得する。また、データ取得部10は、2本の軌条の軌道中心線データを取得する。2本の軌条の軌道中心線データは、例えば記憶部に格納されている予め取得された2本の軌条のデータに基づいて算出されたものを用いることが可能である。あるいは、2本の軌条の設計データに基づいて算出されたものを用いても良い。あるいは、走行軌跡位置データに基づいて算出されたものを用いても良い。なお、軌道中心線データは、2本の軌条の中心位置に関する位置データに限られず2本の軌条の属性に関する付加情報も関連付けられている。付加情報は、軌条の中心位置に対応する2本の軌条のカント量、勾配量、スラック量、曲線半径および曲線の向き等を含む。当該データは内部で保持されたものに限られず、外部から取得したものでもよい。
【0025】
領域記憶部11は、3次元点群データ上に配置する場合の判定対象車両の2次元の建築限界領域を示す領域データを記憶する。当該領域データは、1つに限られず判定対象車両の種別により建築限界領域は異なる。また、架線が存在する電化区間か架線が存在しない非電化区間かによっても建築限界領域は異なる。また、トンネル内や駅等の特定の構造物等との関係でも建築限界領域は異なる。領域記憶部11は、当該各種の領域データを記憶する。
【0026】
領域配置部12は、領域記憶部11に記憶されている領域データに基づいて2次元の建築限界領域を軌道中心線データに従って順次複数配置する。
【0027】
領域変更部13は、軌道中心線データに関連付けられている軌条の付加情報に基づいて配置された建築限界領域を変更する。
【0028】
連結領域生成部14は、領域変更部13により変更された複数の建築限界領域を連結した連結領域を生成する。本例においては、一例として3次元ポリゴン領域を生成する。
【0029】
検出部15は、判定対象車両の走行に対する障害物を検出するために生成した連結領域内にデータ取得部10で取得した3次元点群データが含まれる否かを判断する。そして、検出部15は、判断結果を出力する。
【0030】
図3は、実施形態に基づく軌道中心線データを説明する図である。
図3には、2本の軌条の中心位置に沿う軌道中心線のデータが示されている。当該軌道中心線データに従って2次元の建築限界領域が配置される。
【0031】
図4は、実施形態に従う建築限界領域を説明する図である。
図4(A)には、一例として領域記憶部11に記憶されている建築限界領域のモデル(建築限界モデルMD)が示されている。当該建築限界モデルMDは、判定対象車両の種別や走行区間等により異なる。
【0032】
図4(B)は、建築限界モデルMDを構成するモデル構成点を説明する図である。
図4(B)に示されるように、建築限界モデルMDは、一例として20点のモデル構成点で構成されている。具体的には、一例として位置座標が設定されたモデル構成点MP1〜MP20が設けられている。当該モデル構成点MP1〜MP20(総称してモデル構成点MPとも称する)に従って2次元の建築限界領域が設定される。なお、当該モデル構成点の数は例示であり、任意の数に設定することが可能である。
【0033】
図5は、実施形態に従う領域配置部12により建築限界モデルMDを配置した場合を説明する図である。
【0034】
図5に示されるように、領域配置部12は、軌道中心線データに従って建築限界モデルMDを順次複数配置する。当該図に示されているように軌道中心線データ(座標(X,Y,Z))に付加情報(カント量、勾配量、曲線半径、曲線の向きおよびスラック量)が関連付けられている。
【0035】
図6は、実施形態に従う領域変更部13による建築限界領域の変更を説明する図である。
【0036】
一般的に、2本の軌条の曲線部を走行する際に判定対象車両は偏倚する。
したがって、当該2本の軌条部の曲線部においては、建築限界領域を変更する必要がある。
【0037】
図6(A)を参照して、領域変更部13は、曲線部に応じて偏倚量W1,W2を算出して、算出結果に基づいて建築限界領域を拡大する。
【0038】
具体的には、領域変更部13は、軌道中心線データに関連付けられている付加情報の曲線半径および曲線の向きに基づいて偏倚量W1,W2を算出する。
【0039】
具体的には、曲線半径Cおよび曲線の向きに基づいて下記式に従って偏倚量W1,W2が算出される。
【0041】
なお、当該式は、一例であり他の方式に基づいて偏倚量W1,W2を算出するようにしても良い。
【0042】
図6(B)を参照して、2本の軌条の曲線部分(カーブ)においては、車両が走行し易いように軌条の幅を広げた所定のスラック量が設けられている。したがって、領域変更部13は、2本の軌条の軌間の長さが異なるため建築限界領域を変更する。具体的には、領域変更部13は、軌道中心線データに関連付けられている付加情報のスラック量に基づいて
図4(B)で説明したモデル構成点MPのうち軌条に関連するモデル構成点MPの座標を移動させることにより建築限界領域を変更する。
【0043】
図7は、実施形態に従う領域変更部13による別の建築限界領域の変更を説明する図である。
【0044】
図7に示されるように領域変更部13は、軌道中心線データに関連付けられている付加情報の軌道中心位置におけるカント量および勾配量に基づいて2次元状の建築限界領域を回転させて3次元空間上に配置する。具体的には、領域変更部13は、軌道中心線データに関連付けられている付加情報のカント量および勾配量に基づいて
図4(B)で説明したモデル構成点MPの座標を移動させることにより建築限界領域を変更する。
【0045】
図8は、実施形態に従う連結領域生成部14の連結領域の生成について説明する図である。
【0046】
図8に示されるように、連結領域生成部14は、領域変更部13によって変更された建築限界モデルMDを順次連結する。具体的には、対応するモデル構成点同士を連結することにより連結領域が生成される。一例として連結領域生成部14が3次元ポリゴン領域を生成する場合が示されている。
【0047】
図9は、実施形態に従う連結領域生成部14により生成された連結領域を説明する図である。
【0048】
図9に示されるように連結領域生成部14で生成された連結領域が3次元点群データの判定領域となる。
【0049】
図10は、実施形態に従う検出部15の判断処理を説明する図である。
図10に示されるように、検出部15は、判定対象車両の走行に対する障害物を検出するために生成した連結領域内にデータ取得部10で取得した3次元点群データが含まれるか否かを判断する。
【0050】
図11は、実施形態に従う検出部15の判断結果を説明する図である。
図11に示されるように、3次元点群データのうちの黒丸は連結領域外であることを示す。3次元点群データのうちの白丸は連結領域内であることを示す。
【0051】
したがって、測定装置は、3次元点群データを3次元で構成される連結領域を用いて判定することが可能であるため精度の高い建築限界の測定が可能である。
【0052】
図12は、実施形態に従う計測装置1の測定処理を説明するフロー図である。
図12を参照して、計測装置1は、データを取得する(ステップST2)。
【0053】
データ取得部10は、計測車両2のデータ記憶装置250に記憶された計測データを取得する。本例においては、データ取得部10は、計測データの一例として3次元点群データを取得する。また、データ取得部10は、
図3で説明したように2本の軌条の軌道中心線データを取得する。2本の軌条の軌道中心線データには、2本の軌条の属性に関する付加情報も関連付けられている。付加情報は、軌条の中心位置に対応する2本の軌条のカント量、スラック量、曲線半径および曲線の向き等を含む。
【0054】
次に、計測装置1は、領域データを読み出す(ステップST4)。具体的には、
図4で説明したように領域配置部12は、領域記憶部11に記憶されている建築限界モデルMDを読み出す。
【0055】
次に、計測装置1は、読み出した建築限界領域を配置する(ステップST6)。具体的には、
図5で説明したように領域配置部12は、軌道中心線データに従って建築限界モデルMDを順次複数配置する。
【0056】
次に、計測装置1は、配置した建築限界領域を変更する(ステップST8)。
具体的には、
図6で説明したように領域変更部13は、2本の軌条部の曲線部においては、建築限界領域を変更する。領域変更部13は、曲線部に応じて偏倚量W1,W2を算出して、算出結果に基づいて建築限界領域を拡大する。また、領域変更部13は、軌道中心線データに関連付けられている付加情報のスラック量に基づいて
図4(B)で説明したモデル構成点MPのうち軌条に関連するモデル構成点MPの座標を移動させることにより建築限界領域を変更する。さらに、領域変更部13は、軌道中心線データに関連付けられている付加情報の軌道中心位置におけるカント量および勾配量に基づいて2次元状の建築限界領域を回転させて3次元空間上に配置する。
【0057】
次に、計測装置1は、連結領域を生成する(ステップST10)。
具体的には、
図7で説明したように連結領域生成部14は、軌道中心線データに従って配置された領域変更部13によって変更された建築限界モデルMDを順次連結する。一例として連結領域生成部14は、3次元ポリゴン領域を生成する。
【0058】
次に、計測装置1は、3次元点群データが連結領域に含まれているか否かを判断する(ステップST12)。具体的には、検出部15は、判定対象車両の走行に対する障害物を検出するために生成した連結領域内にデータ取得部10で取得した3次元点群データが含まれる否かを判断する。
【0059】
次に、計測装置1は、判断結果を出力する(ステップST14)。
検出部15は、
図11に示されるように、一例として3次元点群データのうち黒丸は、連結領域外で有ることを示し、白丸は連結領域内で有ることを示す。
【0060】
したがって、計測装置1は、3次元点群データを3次元で構成される連結領域を用いて判定することが可能であるため精度の高い建築限界の測定が可能である。
【0061】
(その他の実施形態)
上記の実施形態においては、予め算出された軌道中心線データを利用して建築限界の測定を行う方式について説明した。一方で、計測車両2からの計測データを用いて軌道中心データを算出し、当該算出された軌道中心データを建築限界の測定に利用することも可能である。当該方式について説明する。
【0062】
図13は、他の実施形態に基づく計測装置1#の機能を説明するブロック図である。
図13を参照して、計測装置1#は、計測装置1と比較して、さらに、第1フィルタ設定部102と、第2フィルタ設定部103と、軌道中心算出部105と、軌道中心線生成部106と、付加情報算出部110とを含む。
【0063】
付加情報算出部110は、カント量・勾配量算出部107と、スラック量算出部108と、曲線情報算出部109とを含む。
【0064】
第1フィルタ設定部102は、走行軌跡位置データを基準とした所定領域に含まれる領域点群データを抽出するための抽出フィルタを設定する。
【0065】
第2フィルタ設定部103は、3次元点群データのうちの第1フィルタ設定部102により設定された抽出フィルタに基づいて抽出された領域点群データのうち反射強度の大きさに基づいて軌条頭部を抽出する反射強度フィルタを設定する。
【0066】
軌道中心算出部105は、反射強度フィルタにより抽出された2本の軌条の軌条頭部に基づいて軌条間の中心位置を算出する。
【0067】
軌道中心線生成部106は、走行方向における連続した軌道中心位置に従って軌道中心線を生成する。
【0068】
付加情報算出部110は、軌道中心位置に対応する軌条に関連する付加情報を生成する。付加情報は、主に軌条の曲線部分に関する情報であり、カント量、勾配量、スラック量および曲線情報を含む。
【0069】
カント量・勾配量算出部107は、軌道中心線の軌道中心位置に対応する2本の軌条のカント量および勾配量を算出する。
【0070】
スラック量算出部108は、走行方向における2本の軌条の曲線部分におけるスラック量を算出する。
【0071】
曲線情報算出部109は、走行方向における2本の軌条の曲線部分の曲線情報を算出する。具体的には、曲線情報として、曲線半径および曲線の向きを算出する。
【0072】
図14は、他の実施形態に基づく軌条付近の3次元空間における3次元点群データの一例を説明する図である。
【0073】
図14に示されるように、点群データを取得することにより軌条の断面形状を把握することが可能である。本例においては、データ取得部10で取得した3次元点群データに基づいて軌条間の軌道中心位置を算出する。
【0074】
図15は、他の実施形態に基づく計測車両2の走行軌跡位置データを説明する図である。
【0075】
図15に示されるように、GPSデータにより、計測車両2の走行方向の走行軌跡位置データを取得することが可能である。走行軌跡位置データは、後述する抽出フィルタを設定するための基準点になる。
【0076】
図16は、他の実施形態に基づく第1フィルタ設定部102の抽出フィルタの設定について説明する図である。
【0077】
図16(A)には、抽出フィルタの設定例(その1)が示されている。
走行軌跡位置データに基づくレーザスキャナ230の位置G0が示されている。
【0078】
第1フィルタ設定部102は、レーザスキャナ230の位置G0を基準にした抽出フィルタを設定する。ここでは、計測車両2の姿勢データに含まれるロール値データは0であるとする。すなわち、計測車両2が水平面と平行の状態であり、計測車両2が進行方向に対して左右に傾いていない状態を意味する。
【0079】
具体的には、4つのパラメータが設けられている。本例においては、照射角度の抽出範囲を設定するための照射範囲設定角range1,range2と、高さ方向の抽出範囲を設定するための高さHmax,Hminとが設けられている。
【0080】
照射範囲設定角range1は、位置G0から計測車両2が位置する水平面に対する垂線方向から左右に広がるレーザ照射角度を表す。
【0081】
照射範囲設定角range1と照射範囲設定角range2との間の範囲角によって表される領域が照射角度の抽出範囲として設定される。
【0082】
高さHmax,Hminは、位置G0から水平面に対する垂線方向の距離の範囲を示す。高さHmaxと高さHminとの間の範囲が高さ方向の抽出範囲として設定される。
【0083】
高さHmaxと高さHminとの間の高さの範囲と照射範囲設定角range1と照射範囲設定角range2との間の範囲角によって表される領域とによって表される領域が抽出範囲として設定される。
【0084】
当該抽出フィルタを適用することにより軌条の軌条頭部周辺の3次元点群データを抽出することが可能である。本例においては、抽出フィルタにより抽出された軌条の軌条頭部周辺の3次元点群データを領域点群データとも称する。
【0085】
図16(B)には、抽出フィルタの設定例(その2)が示されている。
レーザスキャナ230の位置G0が示されている。
【0086】
レーザスキャナ230の位置G0を基準にした抽出フィルタを設定する。ここでは、計測車両2の姿勢データに含まれるロール値データはαであるとする。すなわち、計測車両2が進行方向に対して右に水平面からα°傾いていることを意味する。
【0087】
これにより、ロール値データをさらに考慮して、上記と同様の方式により抽出フィルタを設定することが可能である。
【0088】
具体的には、ロール値データを考慮した照射範囲設定角range1と照射範囲設定角range2との間の範囲角によって表される領域と高さHmaxと高さHminとの間の高さの範囲とによって表される領域が抽出範囲として設定される。
【0089】
図16(C)には、抽出フィルタの設定例(その3)が示されている。
レーザスキャナ230の位置G0を基準にした抽出フィルタを設定する。ここでは、計測車両2の姿勢データに含まれるロール値データは0であるとする。すなわち、計測車両2が水平面と平行の状態であり、計測車両2が進行方向に対して左右に傾いていない状態を意味する。
【0090】
具体的には、4つのパラメータが設けられている。本例においては、高さ方向の抽出範囲を設定するための高さHmax,Hminと、幅方向の抽出範囲を設定するための幅Vmax,幅Vminとが設けられている。
【0091】
高さHmax,Hminは、位置G0から水平面に対する垂線方向の距離の範囲を示す。
【0092】
高さHmaxと高さHminとの間の範囲が高さ方向の抽出範囲として設定される。
幅Vmax,Vminは、位置G0から水平面に対する垂線方向から左右の幅方向に対する距離の範囲を示す。
【0093】
幅Vmaxと幅Vminとの間の範囲が幅方向の抽出範囲として設定される。
高さHmaxと高さHminとの間の高さの範囲と幅Vmaxと幅Vminとの間の幅の範囲とによって表される領域が抽出範囲として設定される。
【0094】
図16(D)には、抽出フィルタの設定例(その4)が示されている。
レーザスキャナ230の位置G0が示されている。
【0095】
レーザスキャナ230の位置G0を基準にした抽出フィルタを設定する。ここでは、計測車両2の姿勢データに含まれるロール値データはαであるとする。すなわち、計測車両2が進行方向に対して右に水平面からα°傾いていることを意味する。
【0096】
これにより、ロール値データをさらに考慮して、上記と同様の方式により抽出フィルタを設定することが可能である。
【0097】
具体的には、ロール値データを考慮した高さHmaxと高さHminとの間の高さの範囲と幅Vmaxと幅Vminとの間の幅の範囲とによって表される領域が抽出範囲として設定される。
【0098】
図17は、他の実施形態に基づく第2フィルタ設定部103の反射強度フィルタについて説明する図である。
【0099】
図17(A)には、踏切等が有る場合の軌条を説明する図である。
図17(A)に示されるように、踏切等が有る場合には、軌条周辺には踏切を構成する部材等が配置される。
【0100】
したがって、レーザスキャナ230でスキャンした際には、軌条以外の踏切部分も3次元点群データとして取得することになる。
【0101】
第1フィルタ設定部102の抽出フィルタを用いて軌条頭部周辺の3次元点群データを取得することが可能である。
【0102】
しかしながら、当該取得した3次元点群データには、ノイズとなる軌条以外の踏切部分のデータ等も含まれているため軌条頭部の3次元位置を精度よく計測することが難しい。
【0103】
したがって、本例においては、抽出フィルタで抽出された軌条頭部周辺の領域点群データのうちノイズを除いた軌条頭部を抽出するフィルタを設定する。
【0104】
この点で、軌条は、金属部分であるため反射強度が高い。一方、軌条以外の踏切を構成する部材は非金属部分であるため反射強度は低い。
【0105】
したがって、実施形態においては、軌条頭部を抽出するために反射強度フィルタを用いて当該ノイズを除去する。
【0106】
図17(B)は、反射強度による点群の分類を説明する図である。
図17(B)に示されるように、軌条は金属部分であるため反射強度は高く、軌条以外の踏切を構成する部材は非金属部分であるため反射強度が低い。
【0107】
それゆえ、反射強度を所定の閾値で分類することにより軌条頭部と、軌条頭部以外とに分けることが可能である。
【0108】
本例においては、反射強度フィルタを用いて反射強度が所定の閾値よりも高い3次元点群データを抽出する。本例においては、反射強度フィルタで抽出された3次元点群データを軌条頭部点群データとも称する。
【0109】
当該処理により、軌条以外の踏切部分のデータをノイズとして除去することが可能である。すなわち、軌条頭部を正確に抽出することが可能となり、精度の高い軌道中心位置の算出が可能である。
【0110】
図18は、他の実施形態に従う軌道中心算出部105の内側端点を算出する方式を説明する図である。
【0111】
図18(A)を参照して、軌条頭部を構成する軌条頭部点群データが示されている。
本例においては、軌条頭部点群データのうち軌条頭部上面を構成する近似した2次曲線を算出する。
【0112】
次に、算出した2次曲線について軌道面に垂直方向の高さにおける最高点を求めて、その接線LAを算出する。
【0113】
次に、軌条頭部点群データのうち軌条頭部側面側の内側点群データを抽出する。
次に、接線LAと、内側点群データとに基づいて内側端点Pを算出する。
【0114】
具体的には、軌条頭部側面側の最も内側位置にある点Bを抽出する。
そして、抽出した点Bから接線LAに垂線を引いて交わった交点を内側端点Pとして算出する。
【0115】
本例においては、2本の軌条のうちの左軌条の内側端点Pについて説明したが、右軌条の内側端点Qについても同様である。
【0116】
図18(B)は、別の軌道中心算出部105の内側端点を算出する式を説明する図である。
【0117】
図18(B)には、軌条頭部点群データのうち軌条頭部側面側の内側点群データを用いて近似した直線LCを算出する。
【0118】
算出した直線LCと、接線LAとに基づいて内側端点Pを算出する。
具体的には、直線LCと、接線LAとの交点を内側端点Pとして算出する。
【0119】
本例においては、2本の軌条のうちの左軌条の内側端点Pについて説明したが、右軌条の内側端点Qについても同様である。
【0120】
当該方式により2本の軌条の左軌条および右軌条の軌条頭部の内側端点P,Qが算出される。
【0121】
図19は、他の実施形態に従う軌道中心算出部105の内側軌条線の算出について説明する図である。
【0122】
図19(A)に示されるように、
図18で算出した内側端点P,Qは、進行方向において位置ずれが生じている。
【0123】
計測車両2は、軌条上を進行方向に進みながらレーザスキャナ230で軌道周辺の物体をスキャンする。
【0124】
レーザスキャナ230は、例えば左側の軌条をスキャンした後に、右側の軌条をスキャンする。したがって、スキャンニング中の計測車両2の進行速度に従って位置がずれることになる。
【0125】
実施形態においては、当該位置ずれを補正した上で精度の高い軌条間の中心位置を算出する。
【0126】
まず、軌道中心算出部105は、走行方向における2本の軌条のそれぞれの内側端点間を結ぶ第1内側軌条線および第2内側軌条線を算出する。
【0127】
本例においては、内側端点P0〜P4をそれぞれ結ぶことにより第1内側軌条線が取得される。また、内側端点Q0〜Q4をそれぞれ結ぶことにより第2内側軌条線が取得される。
【0128】
軌道中心算出部105は、内側端点Pと、内側端点Qとの軌条間の中点Rを算出する。一例として、内側端点P0〜P4と、内側端点Q0〜Q4との中点R0〜R4が示されている。
【0129】
軌道中心算出部105は、内側端点P,Qにおける第1および第2の内側軌条線の方向ベクトルを算出する。本例においては、内側端点P0,Q0の方向ベクトルが示されている。
【0130】
軌道中心算出部105は、中点Rの方向ベクトルを算出する。具体的には、対応する内側端点P,Qの方向ベクトルの平均ベクトルを算出する。
【0131】
軌道中心算出部105は、それぞれの中点R0〜R4に対する方向ベクトルを算出する。
【0132】
図19(B)を参照して、軌道中心算出部105は、算出した中点R0〜R4の方向ベクトルに対して垂直な軌条横断線MA0〜MA4をそれぞれ算出する。
【0133】
軌道中心算出部105は、軌条横断線と第1および第2の内側軌条線の交点を算出する。
【0134】
本例においては、軌条横断線MAと第1の内側軌条線との交点を第1の内側軌条交点データとする。軌条横断線MAと、第2の内側軌条線との交点を第2の内側軌条交点データとする。本例においては、第1の内側軌条線と軌条横断線MA0〜MA4とに基づく第1の内側軌条交点データP0#〜P4#が示されている。また、第2の内側軌条線と軌条横断線MA0〜MA4とに基づく第2の内側軌条交点データQ0#〜Q4#が示されている。
【0135】
図19(C)を参照して、軌道中心算出部105は、第1の内側軌条交点データと、第2の内側軌条交点データとに基づいて軌条間の軌道中心位置を算出する。
【0136】
軌道中心算出部105は、第1の内側軌条交点データP0#〜P4#と、第2の内側軌条交点データQ0#〜Q4#とに基づいて軌条間の軌道中心位置R0#〜R4#を算出する。
【0137】
図19(C)に示されるように、軌道中心線生成部106は、走行方向における連続した軌道中心位置R0#〜R4#に従って軌道中心線を生成する。後述するが軌道中心の方向ベクトルの変化量に基づいて軌道中心線の生成方式が異なる。具体的には、軌道中心の方向ベクトルの変化量が所定値以上であるか否かを判断し、所定値以上である場合には曲線部分であると判断する。軌道中心線生成部106は、曲線部分であると判断した場合には、曲線部分において直線部分とは異なる方式で軌道中心線を生成する。軌道中心線生成部106は、第1の内側軌道軌条交点データおよび第2の内側軌道軌条交点データを用いた軌道中心位置に基づいて軌道中心線を生成するのではなく、曲線部分のうちの外側にある内側軌道軌条交点データを基準に軌道中心位置を設定し、それに基づいて軌道中心線を生成する。曲線部分における軌道中心位置は、外側にある内側基準交点データを基準に一定の距離に設定される。
【0138】
図19(D)に示されるように、軌条間の中点と、軌条間の軌道中心位置との間にはずれが生じているが、精度よく補正されることが分かる。すなわち、本方式により、精度の高い軌道中心位置を算出することが可能である。
【0139】
図20は、他の実施形態に従うカント量・勾配量算出部107およびスラック量算出部108の算出方式を説明する図である。
【0140】
図20(A)に示されるように、2本の軌条を走行する鉄道車両や保線計測機器の走行モデルを説明する図である。
【0141】
計測車両2は、進行方向に対して前後方向に少なくとも4輪設けられている。
本例においては、当該4輪が位置する第1および第2の内側軌条交点データに基づいて形成される仮想軌条平面を算出する。
【0142】
当該算出された仮想軌条平面に基づいて軌道中心位置のカント量および勾配量を算出する。
【0143】
図20(B)は、仮想軌条平面の算出について説明する図である。
図20(B)を参照して、一例として、軌道中心位置R2#のカント量および勾配量の算出について説明する。
【0144】
一例として軌道中心位置R2#を基準として進行方向に対して前後2つの軌道中心位置に対応する内側軌条交点データを用いる。
【0145】
本例においては、第1の内側軌条交点データP0#,P4#と、第2の内側軌条交点データQ0#,Q4#とに基づいて仮想軌条平面を算出する。
【0146】
次に、仮想軌条平面に対する法線ベクトルを算出する。
そして、当該法線ベクトルの水平方向ベクトル成分と、進行方向ベクトル成分とを算出する。
【0147】
カント量・勾配量算出部107は、法線ベクトルの算出した水平方向ベクトル成分に基づいて当該軌道中心位置R2#に対するカント量を算出する。
【0148】
カント量・勾配量算出部107は、法線ベクトルの算出した進行方向ベクトル成分に基づいて当該軌道中心位置R2#に対する勾配量を算出する。
【0149】
なお、本方式は、一例であり、特に前後2つの軌道中心位置に対する内側軌条交点データではなく、その範囲は鉄道車両や保線計測機器の大きさに合わせて任意に設定することが可能である。
【0150】
なお、本例においては、仮想軌条平面の中心である軌道中心位置R2#を基準とした場合の算出方式について説明したが、特にこれに限られず、軌道中心位置R0#の算出方式としてもよい。
【0151】
図21は、他の実施形態に従う2本の軌条の曲線部分のスラック量について説明する図である。
【0152】
図21に示されるように、2本の軌条の曲線部分(カーブ)において、実際の軌条位置は、車両が走行し易いように本来の軌条位置よりも所定のスラック量分、軌条の幅を広げて設けられている。
【0153】
したがって、軌道中心線生成部106は、曲線部分において直線部分とは異なる方式で軌道中心線を生成する。軌道中心線生成部106は、曲線部分のうちの外側にある内側軌条交点データを基準に軌道中心位置を設定し、それに基づいて軌道中心線を生成する。曲線部分における軌道中心位置は、外側にある内側基準交点データを基準に一定の距離に設定される。
【0154】
曲線部分においては、車両が遠心力により外方に転倒することを防止するために、外側の軌道を内側の軌道よりも高く設定している。したがって、カント量・勾配量算出部107は、法線ベクトルの算出した水平方向ベクトル成分に基づいて当該軌道中心位置に対するカント量を算出する。
【0155】
曲線情報算出部109は、走行方向における2本の軌条の曲線情報として、中心点Oからの曲線半径および曲線の向きを算出する。曲線情報算出部109は、軌道中心線をN次関数または円曲線に近似することにより曲線半径を算出する。また、曲線情報算出部109は、軌道中心線の方向ベクトルに基づいて曲線の向きを算出する。
【0156】
図22は、他の実施形態に従うスラック量算出部108の算出方式を説明する図である。
【0157】
図22に示されるように、ここでは、スラック量の算出方式が示されている。
スラック量算出部108は、2本の軌条の内側端点間の距離と、軌間の寸法とに基づいてスラック量を算出する。具体的には、スラック量は、内側端点間距離から軌間の寸法を減算することにより取得される。
【0158】
図23は、他の実施形態に従う計測装置1の計測処理を説明するフロー図である。
図23を参照して、計測装置1は、データを取得する(ステップS2)。
【0159】
データ取得部10は、計測車両2のデータ記憶装置250に記憶された計測データを取得する。本例においては、データ取得部10は、計測データの一例として3次元点群データと、走行軌跡位置データと、姿勢データとを取得する。
【0160】
次に、計測装置1は、抽出フィルタを設定する(ステップS4)。第1フィルタ設定部102は、
図16で説明したように走行軌跡位置データを基準とした所定領域に含まれる領域点群データを抽出するための抽出フィルタを設定する。
【0161】
次に、計測装置1は、反射強度フィルタを設定する(ステップS6)。第2フィルタ設定部103は、
図17で説明したように3次元点群データのうちの第1フィルタ設定部102により設定された抽出フィルタに基づいて抽出された領域点群データのうち反射強度の大きさに基づいて軌条頭部を抽出する反射強度フィルタを設定する。
【0162】
次に、計測装置1は、軌条間の中心位置を算出する(ステップS8)。軌道中心算出部105は、反射強度フィルタにより抽出された2本の軌条の軌条頭部に基づいて軌条間の中心位置を算出する。軌条間の中心位置の算出処理については後述する。
【0163】
次に、計測装置1は、軌道中心線を算出する(ステップS9)。軌道中心線生成部106は、軌条間の中心位置に基づいて軌道中心線を算出する。また、軌道中心線生成部106は、軌条間の中心位置の方向ベクトルに基づいて曲線か否かを判断する。具体的には、軌道中心線生成部106は、方向ベクトルの変化量が所定量以上である場合には曲線であると判断して、曲線部分のうちの外側にある内側軌道軌条交点データを基準に軌道中心位置を設定し、それに基づいて軌道中心線を生成する。曲線部分における軌道中心位置は、外側にある内側基準交点データを基準に一定の距離に設定される。
【0164】
次に、計測装置1は、付加情報を算出する(ステップS10)。付加情報算出部110は、軌道中心位置に対応する軌条に関連する付加情報として、カント量、勾配量、スラック量および曲線情報を算出する。付加情報の算出については後述する。
【0165】
付加情報算出部110は、付加情報算出部110で算出した付加情報を軌道中心位置に対してそれぞれ関連付けて保存する。
【0166】
そして、処理を終了する(エンド)。
図24は、他の実施形態に従う軌条間の中心位置算出処理について説明するフロー図である。
【0167】
図24を参照して、軌道中心算出部105は、軌条頭部点群データを取得する(ステップS12)。具体的には、
図18で説明したように軌道中心算出部105は、3次元点群データのうち抽出された反射強度が所定の閾値よりも高い軌条頭部点群データを取得する。
【0168】
次に、軌道中心算出部105は、近似2次曲線を算出する(ステップS14)。
具体的には、軌道中心算出部105は、
図18で説明したように軌条頭部点群データのうち軌条頭部上面を構成する近似した2次曲線を算出する。
【0169】
次に、軌道中心算出部105は、接線を算出する(ステップS16)。
具体的には、軌道中心算出部105は、算出した2次曲線について軌道面に垂直方向の高さにおける最高点を求めて、その接線LAを算出する。
【0170】
次に、軌道中心算出部105は、内側点群データを抽出する(ステップS18)。
具体的には、
図18で説明したように軌道中心算出部105は、軌条頭部点群データのうち軌条頭部側面側の内側点群データを抽出する。
【0171】
次に、軌道中心算出部105は、内側端点を算出する(ステップS20)。
具体的には、軌道中心算出部105は、
図18で説明したように接線LAと、内側点群データとに基づいて内側端点Pを算出する。この点で、軌条頭部側面側の最も内側位置にある点Bを抽出する。そして、抽出した点Bから接線LAに垂線を引いて交わった交点を内側端点Pとして算出する。
【0172】
次に、軌道中心算出部105は、軌道中心を算出する(ステップS22)。
軌道中心の算出処理について後述する。
【0173】
そして、処理を終了する(リターン)。
図25は、他の実施形態に従う別の軌条間の中心位置算出処理について説明するフロー図である。
【0174】
図25を参照して、
図24のフロー図と比較して、ステップS19がさらに設けられている点が異なる。ステップS19において、軌道中心算出部105は、近似直線を算出する。
【0175】
具体的には、
図18で説明したように軌道中心算出部105は、軌条頭部点群データのうち軌条頭部側面側の内側点群データを用いて近似した直線LCを算出する。そして、軌道中心算出部105は、内側端点を算出する(ステップS20)。具体的には、軌道中心算出部105は、算出した直線LCと、接線LAとに基づいて内側端点Pを算出する。具体的には、直線LCと、接線LAとの交点を内側端点Pとして算出する。
【0176】
他のフローについては同様であるのでその詳細な説明については繰り返さない。
図26は、他の実施形態に従う軌条間の中心算出処理について説明するフロー図である。
【0177】
図26を参照して、軌道中心算出部105は、内側軌条線を算出する(ステップS30)。具体的には、
図19(A)で説明したように、軌道中心算出部105は、走行方向における2本の軌条のそれぞれの内側端点間を結ぶ第1内側軌条線および第2内側軌条線を算出する。内側端点P0〜P4をそれぞれ結ぶことにより第1内側軌条線が取得される。また、内側端点Q0〜Q4をそれぞれ結ぶことにより第2内側軌条線が取得される。
【0178】
次に、軌道中心算出部105は、方向ベクトルを算出する(ステップS32)。
図19(A)で説明したように、軌道中心算出部105は、内側端点P,Qにおける第1および第2の内側軌条線の方向ベクトルを算出する。
【0179】
次に、軌道中心算出部105は、平均ベクトルを算出する(ステップS34)。
図19(A)で説明したように、軌道中心算出部105は、中点Rの方向ベクトルを算出する。具体的には、対応する内側端点P,Qの方向ベクトルの平均ベクトルを算出する。
【0180】
次に、軌道中心算出部105は、軌条横断線を算出する(ステップS36)。
図19(B)で説明したように、軌道中心算出部105は、算出した中点R0〜R4の方向ベクトルに対して垂直な軌条横断線MA0〜MA4をそれぞれ算出する。
【0181】
次に、軌道中心算出部105は、軌条交点データを算出する(ステップS38)。
図19(B)で説明したように、軌道中心算出部105は、軌条横断線と第1および第2の内側軌条線との交点を算出する。本例においては、軌条横断線MAと、第1の内側軌条線との交点を第1の内側軌条交点データとする。軌条横断線と、第2の内側軌条線との交点を第2の内側軌条交点データとする。
【0182】
次に、軌道中心算出部105は、軌道中心位置を算出する(ステップS40)。
図19(C)で説明したように、軌道中心算出部105は、第1の内側軌条交点データと、第2の内側軌条交点データとに基づいて軌条間の軌道中心位置を算出する。軌道中心算出部105は、第1の内側軌条交点データP0#〜P4#と、第2の内側軌条交点データQ0#〜Q4#とに基づいて軌条間の軌道中心位置R0#〜R4#を算出する。
【0183】
そして、処理を終了する(リターン)。
図27は、他の実施形態に従う付加情報算出部110の付加情報の算出について説明するフロー図である。
【0184】
図27を参照して、付加情報算出部110は、軌道中心の方向ベクトルの変化量を算出する(ステップS50)。
【0185】
次に付加情報算出部110は、軌道中心の方向ベクトルの変化量が所定量以上の変化量であるか否かを判断する(ステップS52)。
【0186】
ステップS52において、付加情報算出部110は、軌道中心の方向ベクトルの変化量が所定量以上の変化量であると判断した場合(ステップS52においてYESと判断した場合)には、カント量・勾配量を算出する(ステップS54)。具体的には、カント量・勾配量算出部107は、軌道中心線の軌道中心位置に対応する2本の軌条のカント量および勾配量を算出する。カント量・勾配量を算出する方式については後述する。
【0187】
次に、付加情報算出部110は、軌条交点データ間距離を算出する(ステップS56)。スラック量算出部108は、
図22で説明したように第1の内側軌条交点データと、第2の内側軌条交点データとの間の距離を算出する。
【0188】
次に、付加情報算出部110は、スラック量を算出する(ステップS58)。スラック量算出部108は、
図22で説明したように第1の内側軌条交点データと、第2の内側軌条交点データとの間の距離と、軌間の寸法とに基づいてスラック量を算出する。スラック量算出部108は、
図22で説明したように内側軌条交点データ間の距離から軌間の寸法を減算することによりスラック量を取得する。
【0189】
次に、付加情報算出部110は、曲線半径を算出する(ステップS60)。曲線情報算出部109は、軌道中心線をN次関数または円曲線に近似することにより曲線半径を算出する。
【0190】
次に、付加情報算出部110は、曲線の向きを算出する(ステップS62)。曲線情報算出部109は、軌道中心線の方向ベクトルに基づいて曲線の向きを算出する。
【0191】
そして、処理を終了する(エンド)。
一方、ステップS52において、付加情報算出部110は、軌道中心の方向ベクトルの変化量が所定量以上の変化量でないと判断した場合(ステップS52においてNOと判断した場合)には、ステップS54〜S62をスキップして処理を終了する(エンド)。
【0192】
図28は、他の実施形態に従うカント量・勾配量算出部107ののカント量および勾配量の算出について説明するフロー図である。
【0193】
図28を参照して、仮想軌条平面を算出する(ステップS70)。具体的には、カント量・勾配量算出部107は、
図20(B)に示されるように、第1の内側軌条交点データP0#〜P4#と、第2の内側軌条交点データQ0#〜Q4#とに基づいて仮想軌条平面を算出する。
【0194】
次に、カント量・勾配量算出部107は、仮想軌条平面に対する法線ベクトルを算出する(ステップS72)。
【0195】
次に、カント量・勾配量算出部107は、算出した法線ベクトルの水平方向ベクトル成分に基づいて当該軌道中心位置R2#に対するカント量データを算出する(ステップS74)。
【0196】
カント量・勾配量算出部107は、算出した進行方向ベクトル成分に基づいて当該軌道中心位置R2#に対する勾配量データを算出する(ステップS76)。
【0197】
そして、処理を終了する(エンド)。
なお、本例においては、カント量および勾配量を分けて算出する場合について説明したが、これに限られず、法線ベクトルに基づいてカント量データおよび勾配量データを同時に算出することも可能である。
【0198】
(その他変形例)
図29は、他の実施形態の変形例に基づく計測装置1#Aの機能を説明するブロック図である。
【0199】
図29を参照して、計測装置1#Aは、計測装置1#と比較して第3フィルタ設定部104を追加した点が異なる。その他の構成については同様であるのでその詳細な説明については繰り返さない。
【0200】
第3フィルタ設定部104は、反射強度フィルタにより抽出された軌条頭部点群データのうち前後の連続的な関係性を満たす点群データを抽出する前後関係フィルタを設定する。前後関係フィルタは、反射強度フィルタで除いたノイズに対してさらに点群データを除去するフィルタである。
【0201】
図30は、他の実施形態の変形例に基づく分岐区間および脱線防止ガードを説明する図である。
【0202】
図30(A)を参照して、一例として2本の軌条の間に脱線防止ガードが設けられている。
【0203】
図30(B)を参照して、一例として軌条を分岐させる分岐部が設けられている。
当該脱線防止ガードや、分岐部は、金属部分で構成されている。
【0204】
したがって、反射強度フィルタでは当該脱線防止ガードや分岐部を判別することはできない。
【0205】
他の実施形態の変形例においては、当該脱線防止ガードや分岐部を除く方式について説明する。
【0206】
具体的には、第3フィルタ設定部104は、前後関係フィルタを設定する。
脱線防止ガードや、分岐部は、2本の軌条に沿って配置される。脱線防止ガードや分岐部は、2本の軌条に沿って一部の区間のみ配置され、常に配置される訳ではない。
【0207】
本例においては、第3フィルタ設定部104により設定された前後関係フィルタを用いて点群データを抽出する領域をさらに絞る。
【0208】
図31は、他の実施形態の変形例に基づく第3フィルタ設定部104に従う前後関係フィルタの設定例を説明する図である。
【0209】
図31(A)を参照して、前後関係フィルタの設定例(その1)が示されている。
前後の連続的な関係性を満たす条件として、1つ前に算出した内側端点Pを用いる。
【0210】
具体的には、1つ前の内側端点Pを基準にパラメータPD1〜PD4によって抽出範囲を設定する。
【0211】
パラメータPD1,PD2は、1つ前の内側端点Pを基準にした上下方向の高さ範囲である。
【0212】
パラメータPD3,PD4は、1つ前の内側端点Pを基準にした左右方向の幅範囲である。
【0213】
そして、設定した抽出範囲の点群データのみを抽出する。
これにより、反射強度フィルタにより抽出された軌条頭部点群データのうち脱線防止ガードに関連する点群データを除去することが可能である。
【0214】
他方の軌条についても同様に、1つ前の内側端点Qを基準にして同様の方式に従って抽出範囲を設定する。
【0215】
図31(B)を参照して、前後関係フィルタの設定例(その2)が示されている。
点群間の距離を基準に点群のグループを作成する。
【0216】
本例においては、グループGAと、グループGBとに分類されている場合が示されている。
【0217】
次に各グループの中心あるいは重心を算出する。
そして、算出された各グループの中心あるいは重心が1つ前の内側端点Pに近い点群のグループのみを抽出する。
【0218】
グループGAは、2本の軌条の連続した軌条頭部に関連する点群データであり、グループGBは、脱線防止ガードに関連する点群データである。
【0219】
したがって、この場合、内側端点Pに近いグループGAの点群データのみを抽出する。
他方の軌条についても同様に、1つ前の内側端点Qを基準にして同様の方式に従って抽出範囲を設定する。
【0220】
脱線防止ガードに限られず分岐部についても同様に適用可能である。
反射強度フィルタで抽出された3次元点群データに対してさらに前後関係フィルタを適用することにより2本の軌条の連続した軌条頭部に関連する3次元点群データのみを抽出することが可能である。すなわち、脱線防止ガードや分岐部の金属部分に対応する3次元点群データを除去することが可能である。
【0221】
したがって、2本の軌条の連続した軌条頭部を正確に抽出することが可能となり、精度の高い軌道中心位置の算出が可能である。
【0222】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
2本の軌条を走行する計測車両の走行方向において、前記計測車両に設けられたレーザスキャナからスキャンニングした軌道周辺の物体の形状を3次元点群で表す3次元点群データおよび前記軌条の軌道中心線データを取得するデータ取得部と、
3次元点群データ上に配置する場合の判定対象車両の2次元の建築限界領域を示す領域データを記憶する領域記憶部と、
前記領域記憶部の前記領域データに基づいて前記建築限界領域を前記軌道中心線データに従って順次複数配置する領域配置部と、
前記軌道中心線データに関連付けられている前記軌条の付加情報に基づいて配置された前記建築限界領域を変更する領域変更部と、
前記領域変更部により変更された複数の建築限界領域を連結するために3次元ポリゴン領域として連結領域を生成する連結領域生成部と、
前記判定対象車両の走行に対する障害物を検出するために前記3次元ポリゴン領域として生成された連結領域内に前記データ取得部で取得した3次元点群データが含まれる否かを判断する検出部とを備える、建築限界測定装置。
前記領域変更部は、前記軌条の付加情報の曲線半径および曲線の向きに基づいて偏倚量を算出し、算出した偏倚量に基づいて対応する建築限界領域を拡大する、請求項1記載の建築限界測定装置。
2本の軌条を走行する計測車両の走行方向において、前記計測車両に設けられたレーザスキャナからスキャンニングした軌道周辺の物体の形状を3次元点群で表す3次元点群データおよび前記軌条の軌道中心線データを取得するデータ取得部と、
3次元点群データ上に配置する場合の判定対象車両の2次元の建築限界領域を示す領域データを記憶する領域記憶部と、
前記領域記憶部の前記領域データに基づいて前記建築限界領域を前記軌道中心線データに従って順次複数配置する領域配置部と、
前記軌道中心線データに関連付けられている前記軌条の付加情報に基づいて配置された前記建築限界領域を変更する領域変更部と、
前記領域変更部により変更された複数の建築限界領域を連結するために3次元ポリゴン領域として連結領域を生成する連結領域生成部と、
前記判定対象車両の走行に対する障害物を検出するために前記3次元ポリゴン領域として生成された連結領域内に前記データ取得部で取得した3次元点群データが含まれる否かを判断する検出部とを備え、
前記領域変更部は、前記軌条の付加情報のカント量および勾配量に基づいて前記建築限界領域を回転する、建築限界測定装置。
前記領域変更部は、前記軌条の付加情報の曲線半径および曲線の向きに基づいて偏倚量を算出し、算出した偏倚量に基づいて対応する建築限界領域を拡大する、請求項1記載の建築限界測定装置。
2本の軌条を走行する計測車両の走行方向において、前記計測車両に設けられたレーザスキャナからスキャンニングした軌道周辺の物体の形状を3次元点群で表す3次元点群データおよび前記軌条の軌道中心線データを取得するステップと、
3次元点群データ上に配置する場合の判定対象車両の2次元の建築限界領域を前記軌道中心線データに従って順次配置するステップと、
前記軌道中心線データに関連付けられている前記軌条の付加情報に基づいて配置された前記建築限界領域を変更するステップと、
変更された複数の建築限界領域を連結するために3次元ポリゴン領域として生成された連結領域を生成するステップと、
前記判定対象車両の走行に対する障害物を検出するために前記3次元ポリゴン領域として生成された連結領域内に前記取得した3次元点群データが含まれるか否かを判断するステップとを備え、
前記建築限界領域を変更するステップは、前記軌条の付加情報のカント量および勾配量に基づいて前記建築限界領域を回転するステップを含む、建築限界測定方法。