【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1)平成31(2019)年2月20日に学校法人関西大学 環境都市工学部 卒業論文発表会にて「Fe系層状複水酸化物を用いるFenton反応による有機汚染物質の分解無害化」と題して発表 (2)平成31(2019)年3月1日に公益社団法人日本化学会 第99春季年会の予稿集にて「有機汚染物質の効果的な分解無害化を可能にする鉄系層状複水酸化物の開発」と題して発表 (3)平成31(2019)年3月19日に公益社団法人日本化学会第99春季年会の講演会にて「有機汚染物質の効果的な分解無害化を可能にする鉄系層状複水酸化物の開発」と題して発表
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和元年度、独立行政法人環境再生保全機構 環境研究総合推進費受託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
【解決手段】2価鉄イオン、3価金属イオン、及びアニオンを含有する層状複水酸化物並びに/又は非晶質な複合水酸化物と、二酸化ケイ素、二酸化チタン、及び酸化アルミニウムからなる群より選択される少なくとも1種の無機酸化物とを含有する複合化物を含む、不均一系フェントン反応触媒。紫外線から赤外線までの領域にある光の照射条件下で過酸化水素と接触させて用いられる不均一系フェントン反応触媒。2価鉄イオンとアニオンとの塩;3価金属イオンとアニオンとの塩;二酸化ケイ素、二酸化チタン、及び酸化アルミニウムからなる群より選択される少なくとも1種の無機酸化物;並びに水を含有する混合物を調製すること;及び混合物の25℃におけるpHを3〜14に調整して、懸濁液を得ることにより、複合化物を得ること;を含む、複合化物を含む不均一系フェントン反応触媒の製造方法。
2価鉄イオン、3価金属イオン、及びアニオンを含有する層状複水酸化物並びに/又は非晶質な複合水酸化物と、二酸化ケイ素、二酸化チタン、及び酸化アルミニウムからなる群より選択される少なくとも1種の無機酸化物とを含有する複合化物を含む、不均一系フェントン反応触媒。
前記層状複水酸化物並びに/又は非晶質な複合水酸化物における2価鉄イオンに対する前記無機酸化物のモル比が、0.01〜2である、請求項1に記載の不均一系フェントン反応触媒。
過酸化水素とともに用いられ、かつ、前記過酸化水素との接触により生成するラジカルにより有機物を分解するために用いられる請求項1又は2に記載の不均一系フェントン反応触媒。
2価鉄イオンとアニオンとの塩;3価金属イオンとアニオンとの塩;二酸化ケイ素、二酸化チタン、及び酸化アルミニウムからなる群より選択される少なくとも1種の無機酸化物;並びに水を含有する混合物を調製すること;及び
前記混合物の25℃におけるpHを3〜14に調整して、懸濁液を得ることにより、前記2価鉄イオン、前記3価金属イオン、及び前記アニオンを含有する層状複水酸化物並びに/又は非晶質な複合水酸化物と、前記無機酸化物と、を含有する複合化物を得ること;を含む、前記複合化物を含む不均一系フェントン反応触媒の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。本明細書において、「含有」及び「含む」なる表現については、「含有」、「含む」、「実質的にからなる」及び「のみからなる」という概念を含む。また、本明細書において、「並びに/又は」は、「並びに」と「又は」の両方を包含する用語である。すなわち、A並びに/又はBは、A及びBのうち、Aのみ、Bのみ、AとBの両方の3つの意味を包含する。
【0014】
1.不均一系フェントン反応触媒
本発明の一実施形態の不均一系フェントン反応触媒(以下、単に「不均一系フェントン反応触媒」と記載することがある。)は、2価鉄イオン(Fe
2+)、3価金属イオン、及びアニオンを含有する層状複水酸化物並びに/又は非晶質な複合水酸化物と、特定の無機酸化物とを含有する複合化物を含む。特定の無機酸化物は、二酸化ケイ素、二酸化チタン、及び酸化アルミニウムからなる群より選択される少なくとも1種である。
【0015】
層状複水酸化物における2価鉄イオン、3価金属イオン、及びアニオンの配置態様は、特に制限されるものではなく、層状複水酸化物を構成する配置態様を採ることができる。層状複水酸化物は、水酸化物を含む基本層と、アニオン及び層間水を含む中間層が交互に積層した構造を有するものであるところ、一態様において、典型的には、2価鉄イオン及び3価金属イオンは基本層に配置され、アニオンは中間層に配置される。基本層の結晶構造は、特に制限されず、2価鉄イオン及び3価金属イオンの種類、合成方法等に応じた結晶構造を採ることができる。層状複水酸化物は、焼成処理や化学反応等で層状構造が崩壊された後も、2価鉄イオン、3価金属イオン、及びアニオンが近接して配置された非晶質な複合水酸化物が形成される。そのため、複合化物(及びそれを含む不均一系フェントン反応触媒)は、層状複水酸化物及び非晶質な複合水酸化物の少なくとも一方を含めばよい。非晶質な複合水酸化物も、元は層状複水酸化物であることから、以下の説明では、「層状複水酸化物並びに/又は非晶質な複合水酸化物」について、単に「層状複水酸化物」と記載することがある。
【0016】
複合化物における特定の無機酸化物の配置態様は、特定の無機酸化物が層状複水酸化物と複合化されている配置態様を採ることができる。このような配置態様から、上記層状複水酸化物は、特定の無機酸化物とともに複合化した層状複水酸化物(無機酸化物複合系の層状複水酸化物)と称され得る。複合化物における特定の無機酸化物は、層状複水酸化物と接する位置に、層状複水酸化物に被覆されるような態様で配置されていることが好ましい。複合化物における特定の無機酸化物と層状複水酸化物との配置態様としては、特定の無機酸化物の周りに層状複水酸化物が付着しているような状態がより好ましい。このような複合化物は、例えば、特定の無機酸化物の存在下で層状複水酸化物を製造することによって得ることができる。
【0017】
複合化物は、一態様において、下記一般式(A)で表される、2価鉄イオン、3価金属イオン、及びアニオンを含有する層状複水酸化物と、特定の無機酸化物とが一体化した構成をとることが好ましい。一般式(A)中、M
3+は3価金属イオンを表し、A
n−はn価のアニオンを表し、xは0<x<1の実数を表し、yは0より大きい実数を表す。
一般式(A):[(Fe
2+)
1−x(M
3+)
x(OH)
2][(A
n−)
x/n・yH
2O]
【0018】
3価金属イオン(M
3+)は、2価鉄イオンと共に層状複水酸化物を構成し得るものである限り、特に制限されない。3価金属イオンとしては、例えば、3価アルミニウムイオン、3価バナジウムイオン、3価セリウムイオン、3価ランタン等に代表される3価ランタノイドイオン、3価鉄イオン、3価クロムイオン、3価コバルトイオン、3価インジウムイオン、3価ガリウムイオン、3価スカンジウムイオン、3価イットリウムイオン、3価マンガン、3価ヒ素、3価モリブデン、3価ルテニウム、3価ロジウム、3価アンチモン、3価金、及び3価ビスマス等が挙げられる。これらの中でも、不均一系フェントン反応触媒としての活性の観点から、一態様においては、好ましくは鉄イオン以外の3価金属イオンが挙げられ、より好ましくは3価アルミニウムイオン、3価バナジウムイオン、3価ランタノイドイオン(好ましくは3価セリウムイオン)等が挙げられ、さらに好ましくは3価アルミニウムイオン、3価バナジウムイオン等が挙げられ、特に好ましくは3価アルミニウムイオンが挙げられる。3価金属イオンは、1種単独であっても、2種以上の組み合わせであってもよい。
【0019】
層状複水酸化物における2価鉄イオンと3価金属イオンとのモル比(2価鉄イオン:3価金属イオン)は、層状複水酸化物を形成可能なモル比である限り、特に制限されない。上記モル比(2価鉄イオン:3価金属イオン)は、好ましくは2:1〜4:1、より好ましくは2:1〜3:1である。2価鉄イオンに対する3価金属イオンのモル数が増えることにより、アニオンをより多く保持することができる。
【0020】
アニオンは、層状複水酸化物を構成し得るものである限り、特に制限されない。アニオンとしては、例えば、硫酸イオン、硝酸イオン、ハロゲンイオン(フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等)、塩素酸イオン、臭素酸イオン、ヨウ素酸イオン、過塩素酸イオン、及び過臭素酸イオン等の強酸のアニオン; 炭酸イオン、炭酸水素イオン、リン酸イオン、リン酸水素イオン、及びカルボン酸イオン(酢酸イオン等)等の弱酸のアニオン等が挙げられる。これらの中でも、不均一系フェントン反応触媒としての活性の観点から、好ましくは強酸のアニオンが挙げられ、中でも硫酸イオン、硝酸イオン、ハロゲンイオン等がより好ましく、硫酸イオン、硝酸イオン、塩化物イオン等がさらに好ましく、硫酸イオンがよりさらに好ましい。アニオンは、1種単独であっても、2種以上の組み合わせであってもよい。
【0021】
層状複水酸化物におけるアニオンのモル数は、2価鉄イオンに対する3価金属イオンのモル数と、アニオンの価数に応じて、適切な値を採り得る。典型的には、3価金属イオンのモル数をXと定義し、アニオンの価数をNと定義すると、アニオンのモル数はX/Nとなる。
【0022】
限定的な解釈を望むものではないが、不均一系フェントン反応触媒と過酸化水素を接触させた場合、アニオンと過酸化水素の反応によって生成する過酸化物種が、層状複水酸化物中の2価鉄イオン上でのフェントン反応に大きく寄与し、層状複水酸化物の構造(2価鉄イオンとアニオンとが近接して配置されていると考えられる)も相まって、フェントン反応の効率がより高まると考えられる。
【0023】
二酸化ケイ素(SiO
2)、二酸化チタン(TiO
2)、及び酸化アルミニウム(Al
2O
3)は、上述した2価鉄イオン、3価金属イオン、及びアニオンを含有する層状複水酸化物に対して、さらに触媒性能を向上させ得る成分である。不均一系フェントン反応触媒は、SiO
2、TiO
2、及びAl
2O
3をからなる群より選択される少なくとも1種の無機酸化物を含有することにより、それら特定の無機酸化物を含有しない場合に比べて、有機物分解性能がより良好なものである。触媒性能及び有機物分解性能の観点から、上記無機酸化物としては、SiO
2及びTiO
2がより好ましい。
【0024】
触媒性能のさらなる向上や有機物分解性能のさらなる向上の観点から、層状複水酸化物並びに/又は非晶質な複合水酸化物における2価鉄イオンに対する上記無機酸化物のモル比は、0.01〜2であることが好ましい。このモル比の範囲は、0.05以上であることがより好ましく、0.1以上であることがさらに好ましく、1.5以下であることがより好ましく、1以下であることがさらに好ましい。
【0025】
複合化物やそれを構成する層状複水酸化物及び特定の無機酸化物の粒子形状は、特に制限されない。それらの粒子形状としては、例えば板状、球状、ロッド状、及び多面体状等が挙げられる。
【0026】
複合化物の平均粒子径は、特に制限されない。フェントン反応効率の観点からは、粒子はより小さいことが望ましい。複合化物を構成する層状複水酸化物の平均粒子径は、例えば10nm〜5000nmであることが好ましい。それらの粒子は操作を容易にするため、例えば板状、球状、ロッド状、及び多面体状等に造粒してもよく、固体表面に塗布してもよい。造粒された粒子の平均粒子径は、例えば1mm〜50mmであることが好ましい。
【0027】
不均一系フェントン反応触媒は、複合化物(層状複水酸化物及び特定の無機酸化物)のみからなるものであっても、これ以外の他の物質を含むものであってもよい。他の物質としては、例えば、層状複水酸化物を製造する際に不可避的に混入する不純物や、他の無機物質、層状複水酸化物構造が崩壊後に得られる非晶質な複合水酸化物等が挙げられる。他の物質は、層状複水酸化物と一体化しても、層状複水酸化物と分離していてもよい。
【0028】
複合化物の含有量は、不均一系フェントン反応触媒の全質量(100質量%)に対して、例えば50質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上、95質量%以上とすることができる。この含有量の上限は、例えば99.9質量%、99質量%、97質量%とすることができる。
【0029】
不均一系フェントン反応触媒は、その一態様において、過酸化水素とともに用いられ、かつ、過酸化水素との接触により生成するラジカルにより有機物を分解するために用いられることが好ましい。不均一系フェントン反応触媒を過酸化水素と接触させることにより、ラジカルを生成し、さらにそのラジカルにより有機物を分解することができる。このため、複合化物、及びそれを含む不均一系フェントン反応触媒は、ラジカル生成触媒、ラジカル生成能付与剤、ラジカル生成能向上化剤、有機物分解触媒、有機物分解能付与剤、有機物分解能向上化剤等として利用することもできる。
【0030】
また、不均一系フェントン反応触媒は、その一態様において、紫外線から赤外線までの領域にある光の照射条件下で過酸化水素と接触させて用いられることがより好ましい。不均一系フェントン反応触媒は特定の無機酸化物を含有するため、この不均一系フェントン反応触媒を上記光の照射条件下で過酸化水素と接触させることにより、ラジカルがより生成しやすくなり、さらにそのラジカルにより有機物をより分解しやすくなる。この観点から、上記光としては、太陽光等のような、紫外線及び可視光線の少なくとも1種が好ましい。光の波長としては、200〜3000nmが好ましく、200〜900nmがより好ましく、300〜700nmがさらに好ましい。
【0031】
2.不均一系フェントン反応触媒の製造方法
次に、上述した不均一系フェントン反応触媒を製造するための好適な方法として、本発明の一実施形態の不均一系フェントン反応触媒の製造方法(以下、単に「不均一系フェントン反応触媒の製造方法」と記載することがある。)について説明する。
【0032】
この不均一系フェントン反応触媒の製造方法は、2価鉄イオンとアニオンとの塩;3価金属イオンとアニオンとの塩;二酸化ケイ素、二酸化チタン、及び酸化アルミニウムからなる群より選択される少なくとも1種の無機酸化物;並びに水を含有する混合物を調製すること;その混合物の25℃におけるpHを3〜14に調整して、懸濁液を得ることにより、2価鉄イオン、3価金属イオン、及びアニオンを含有する層状複水酸化物並びに/又は非晶質な複合水酸化物と、上記無機酸化物と、を含有する複合化物を得ること;を含む。これにより、上記複合化物を含む不均一系フェントン反応触媒を製造することができる。
【0033】
不均一系フェントン反応触媒の製造方法における「混合物を調製すること」によって、混合物に含有される成分の反応液を得ることができる。「混合物を調製すること」に用いられる、2価鉄イオン、3価金属イオン、アニオン、及び特定の無機酸化物は、上記「1.不均一系フェントン反応触媒」で説明したものと同様である。
【0034】
混合物の調製に用いる2価鉄イオンとアニオンとの塩(2価鉄塩)としては、層状複水酸化物において採用するアニオンの種類に応じて異なるが、例えば、FeCl
2、FeF
2、FeBr
2、FeI
2、FeSO
4、Fe(NO
3)
2を挙げることができる。これらの2価鉄塩の1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。混合物(反応液)中の2価鉄塩の濃度は、特に制限されないが、例えば0.2〜2000mmol/Lとすることができ、好ましくは2〜1000mmol/L、より好ましくは4〜400mmol/L、さらに好ましくは20〜200mmol/Lである。
【0035】
混合物の調製に用いる3価金属イオンとアニオンとの塩(3価金属塩)としては、層状複水酸化物において採用するアニオンの種類に応じて異なるが、例えば、AlCl
3、AlF
3、AlBr
3、AlI
3、Al
2(SO
4)
3、Al(NO
3)
3、VCl
3、VF
3、VBr
3、VI
3、V
2(SO
4)
3、V(NO
3)
3、CeCl
3、CeF
3、CeBr
3、CeI
3、Ce
2(SO
4)
3、Ce(NO
3)
3、FeCl
3、FeF
3、FeBr
3、FeI
3、Fe
2(SO
4)
3、Fe(NO
3)
3等を挙げることができる。これらの3価金属塩の1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。混合物(反応液)中の3価金属塩の濃度は、特に制限されないが、例えば0.1〜1000mmol/Lとすることができ、好ましくは1〜500mmol/L、より好ましくは2〜200mmol/L、さらに好ましくは10〜100mmol/Lである。
【0036】
2価鉄と3価金属のモル比(2価鉄:3価金属)は、層状複水酸化物を合成可能なモル比である限り、特に制限されない。2価鉄と3価金属のモル比(2価鉄:3価金属)は、2:1〜4:1であることが好ましく、2:1〜3:1であることがより好ましい。
【0037】
混合物(反応液)の液媒体は水を含む限りにおいて、特に制限されない。混合物(反応液)には、液媒体として、水以外の溶剤が含まれていてもよい。例えば、液媒体は、2価鉄イオンとアニオンとの塩(2価鉄塩)や、3価金属イオンとアニオンとの塩(3価金属塩)の溶媒であることが好ましく、上記特定の無機酸化物の分散媒であることが好ましい。水の含有量は、反応液の液媒体100質量%に対して、例えば、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上、95質量%以上、99質量%以上とすることができる。
【0038】
不均一系フェントン反応触媒の製造方法における「懸濁液を得ること」によって、その懸濁液から固形分として、2価鉄イオン、3価金属イオン、及びアニオンを含有する層状複水酸化物並びに/又は非晶質な複合水酸化物と、特定の無機酸化物とを含有する複合化物を得ることができる。懸濁液は、上述の混合物(反応液)のpHを3〜14に調整することによって得ることができる。なお、この懸濁液を得る際の上述の混合物のpHの値は25℃での値をとるが、懸濁液を得る際の混合物の温度は、特に制限されず、例えば常温(5〜35℃)の範囲とすることができ、好ましくは15〜30℃の範囲とすることができる。
【0039】
混合物(反応液)のpHを調整する際には、公知のpH調整剤を用いることができる。pH調整剤としては、例えば、水酸化ナトリウム及び水酸化カルシウム等のアルカリや、塩酸及び硫酸等の酸等を挙げることができ、アルカリや酸を水溶液の形態で用いることが好ましい。懸濁液を得るに当たり、混合物(反応液)中に沈殿物が生じやすくなって懸濁液を得やすくなる観点から、混合物(反応液)の25℃におけるpHを、5〜14に調整することがより好ましく、7〜14に調整することがさらに好ましい。
【0040】
この不均一系フェントン反応触媒の製造方法では、上記懸濁液を得た後、常温でも、懸濁液から、層状複水酸化物並びに/又は非晶質な複合水酸化物と特定の無機酸化物とを含有する複合化物を得ることができる。一方、得られる複合化物における層状複水酸化物の結晶性が高まる観点から、懸濁液を加熱処理することが好ましく、水熱処理することがより好ましい。これらにより、懸濁液にかける温度としては、層状複水酸化物を合成しやすい観点から、20〜200℃であることが好ましく、60〜140℃であることがより好ましく、100〜140℃であることがさらに好ましい。懸濁液を水熱処理等により加熱する際には、層状複水酸化物が得られやすい観点から、その加熱時間は、例えば、1〜100時間であることが好ましく、12〜72時間であることがより好ましく、12〜48時間であることがさらに好ましい。
【0041】
上述のようにして得られた懸濁液から、固体状の複合化物を得ることができる。この際、懸濁液をろ過したり、水で洗浄したりすることが好ましく、それらの後、減圧下で乾燥させることがより好ましい。得られた物質(層状複水酸化物と特定の無機酸化物とを含有する複合化物)は、そのまま、或いは他の物質と混合して、不均一系フェントン反応触媒として使用することができる。
【0042】
また、必要に応じて、公知の方法に従って又は準じて、不均一系フェントン反応触媒において層状複水酸化物が含まれることを確認することができる。例えば、粉末X線回折パターンを取得し、層状複水酸化物のピークが含まれているか否かを確認することができる。
【0043】
3.有機物の分解方法
以上詳述した本発明の一実施形態の不均一系フェントン反応触媒は、前述の通り、その一態様において、過酸化水素と接触させることを含むラジカル生成方法に利用することが可能であることから、以下の有機物の分解方法に利用することが可能である。すなわち、本発明の一実施形態の有機物の分解方法(以下、単に「有機物の分解方法」と記載することがある。)は、前述の不均一系フェントン反応触媒と過酸化水素とを接触させてラジカルを生成すること;及びそのラジカルと分解対象の有機物とを接触させること;を含む。
【0044】
不均一系フェントン反応触媒と過酸化水素との接触により生成するラジカルは、特に制限されないが、主にヒドロキシラジカルであると考えられる。不均一系フェントン反応触媒と過酸化水素との接触の態様は、それらの接触によりラジカルが生成すれば特に制限されない。不均一系フェントン反応触媒と過酸化水素との接触は、例えば、不均一系フェントン反応触媒と過酸化水素とを混合することにより、行うことができる。また、不均一系フェントン反応触媒と過酸化水素との接触は、通常、水の存在下で行うことができ、例えば、不均一系フェントン反応触媒及び過酸化水素を含有する水中で行うことができる。その水中の不均一系フェントン反応触媒の濃度は、特に制限されず、上記複合化物としての濃度で、例えば、0.001〜10質量%であることが好ましく、0.01〜2質量%であることがより好ましく、0.05〜0.5質量%であることがさらに好ましい。また、触媒を成型し反応装置内に充填する場合、水中の不均一系フェントン反応触媒の濃度は、上記複合化物としての濃度で、例えば、1〜50質量%であることが好ましく、2〜20質量%であることがより好ましい。水中の反応前の過酸化水素の濃度は、特に制限されず、例えば、0.1〜500mmol/Lであることが好ましく、1〜200mmol/Lであることがより好ましく、1〜100mmol/Lであることがさらに好ましく、2〜20mmol/Lであることがよりさらに好ましい。
【0045】
ラジカルと分解対象の有機物との接触の態様は、特に制限されない。ラジカルと有機物との接触は、例えば、不均一系フェントン反応触媒、過酸化水素、及び有機物を混合することにより、行うことができる。また、ラジカルと有機物との接触は、通常、水の存在下で行うことができ、例えば、不均一系フェントン反応触媒、過酸化水素、及び有機物を含有する水中で行うことができる。この場合、その水中において、不均一系フェントン反応触媒の作用により、過酸化水素からラジカル(ヒドロキシラジカル)が生成し、かつ、そのラジカルと有機物とを接触させることができる。水中の不均一系フェントン反応触媒の濃度、及び反応前の過酸化水素の濃度は、上記と同様である。水中の有機物の濃度は、特に制限されず、例えば、0.001〜1000mmol/Lであることが好ましく、0.01〜100mmol/Lであることがより好ましく、0.1〜10mmol/Lであることがさらに好ましい。
【0046】
不均一系フェントン反応触媒と過酸化水素との接触時の温度は、フェントン反応が進行する温度である限り、特に制限されない。それらの温度は、例えば、0〜100℃であることが好ましく、10〜50℃であることがより好ましく、15〜40℃であることがさらに好ましい。また、接触時の時間は、一定量のラジカルが生成する程度の時間である限り、特に制限されず、例えば、1分間〜3時間、好ましくは15分間〜2時間である。
【0047】
有機物の分解方法は、好適には、その一態様として、分解対象の有機物を含有する水(被処理水)を処理する方法(水処理方法)において採用され得る。この水処理方法は、有機物を含有する被処理水と、不均一系フェントン反応触媒と、過酸化水素とを接触させることを含むことが好ましい。これにより、被処理水中で、不均一系フェントン反応触媒と過酸化水素とを接触させて、不均一系フェントン反応触媒の作用により、過酸化水素からラジカルを生成することができ、そのラジカルと被処理水とを接触させることができる。また、それにより、被処理水中で、生成したラジカルと有機物とを接触させることができ、ラジカルにより有機物を酸化分解することができる。本明細書において、被処理水とは、処理対象の水、すなわち、処理を受ける水を意味し、有機物を含有する水であれば、特に制限されず、例えば、有機物を含有する廃水等が挙げられる。
【0048】
被処理水と不均一系フェントン反応触媒と過酸化水素との接触(被処理水とラジカルとの接触)の態様は、特に制限されない。例えば、被処理水と不均一系フェントン反応触媒と過酸化水素とを混合することにより、それらを接触させることができ、それらの接触を所定の槽(反応槽)内にて行うことができる。好適には、有機物を含有する被処理水に過酸化水素及び不均一系フェントン反応触媒を添加することにより、それらを接触させることができる。また、別のより好適な一態様としては、不均一系フェントン反応触媒を担体に担持させて固定した状態で反応槽内に留めさせておき、その反応槽にて、被処理水と不均一系フェントン反応触媒と過酸化水素とを接触させることができる。例えば、不均一系フェントン反応触媒を担持させた担体(触媒担体)を設置した反応槽に、被処理水が移送されてくるように構成することができ、また、その反応槽(反応槽内の被処理水)に過酸化水素を添加するように構成することができる。
【0049】
なお、上述の水処理方法では、反応槽の前段及び後段のいずれか一方又は両方に、pH調整槽を設置して、被処理水や処理過程にある水のpHを調整してもよい。また、反応槽(さらにその後段にpH調整槽を設ける場合にはそのpH調整槽)の後段には、固液分離装置を設置してもよい。例えば、有機物の酸化分解に使用された不均一系フェントン反応触媒における層状複水酸化物を含む懸濁物質が水中に生じた場合に、固液分離装置を用いた処理(固液分離処理)により、懸濁物質を除去することができる。一方、上述のように、不均一系フェントン反応触媒を担体に担持させて固定した状態で反応槽内に留めさせておけば、上記固液分離処理を不要とすることも可能である。
【0050】
有機物の分解方法において用いる特定の不均一系フェントン反応触媒は、溶液に溶かして用いられる均一系触媒とは異なり、固相のままで用いられる不均一系触媒である。そのため、本実施形態の有機物の分解方法は、有機物を分解するために、水中で鉄(II)イオンを生じる水溶性の鉄(II)塩を触媒として連続的に添加することが必要な均一系フェントン反応触媒を用いた一過性の技術とは異なり、触媒(特定の不均一系フェントン反応触媒)を繰り返し使用することが可能である。また、それにより、触媒に由来する化合物を含む汚泥(スラッジ)の発生を抑制できることや、触媒を汚泥として除去するための不溶化のための薬剤(例えば凝集剤等)の使用を抑制できることにもつながる。したがって、スラッジ処分費や触媒費用を抑えた有用な水処理方法の実現が期待できる。これらの効果が得られやすい観点から、不均一系フェントン反応触媒は、上述した担体に担持させて固定した状態で用いられることが好ましい。
【0051】
有機物の分解方法において分解対象となる有機物は、ラジカルにより分解される有機化合物である限り、特に制限されない。このような有機物としては、例えば有機脂肪族物質、有機芳香族物質、ダイオキシン類汚染物質等が挙げられる。
【0052】
有機脂肪族物質は、環式、非環式、飽和または不飽和炭化水素であり得る。それらの炭化水素は、環式または非環式のアルカンおよびアルケン、好ましくは塩素化された、ハロゲン化環式または非環式のアルカンおよびアルケン、飽和および/または不飽和脂肪族および/または脂環式エーテル、好ましくは塩素化された、飽和および/または不飽和ハロゲン化脂肪族および/または脂環式エーテル、アルコールおよび、好ましくは塩素化されたハロゲン化アルコール、ケトンおよび、好ましくは塩素化されたハロゲン化ケトン、アルデヒドおよび、好ましくは塩素化されたハロゲン化アルデヒド、および/またはカルボン酸および、好ましくは塩素化されたハロゲン化カルボン酸である。有機脂肪族物質はまた、アルコールのようにヒドロキシ基を有していてもよく、脂肪酸のようにカルボキシ基を有していてもよく、スルホン酸のようにオキシ酸を有していてもよく、ジオキサンのようにエーテル基をはじめとする含酸素化合物であってもよく、炭素、水素、及び酸素以外の元素(例えば窒素及び硫黄等)を含んでいてもよい。
【0053】
有機脂肪族物質は好ましくは、トリクロロプロパン、好ましくは1,2,3−トリクロロプロパン、クロロプロペノール、好ましくは2−クロロ−2−プロペン−1−オール、ジクロロプロペン、好ましくは1,3−ジクロロプロペン・シスおよび1,3-ジクロロプロペン・トランス、ジクロロプロパン、好ましくは1,3−ジクロロプロパン、ジクロロプロパノール、好ましくは、1,3−ジクロロ−2−プロパノールおよび2,3−ジクロロ−1−プロパノール、モノクロロプロパンジオール、より好ましくは2−クロロ−1,3−プロパンジオールおよび3−クロロ−1,2−プロパンジオール、2−クロロ−1−プロパノール、1−クロロ−2−プロパノール、クロロエタノール、クロロエーテル、より好ましくはおおよその式C
6H
10Cl
2O
2、C
6H
12Cl
2O、C
6H
9Cl
3O
2、C
6H
11Cl
3O
2のクロロエーテル、アクロレイン、メチルグリシジルエーテル、クロロアセトン、メタノール、グリセロール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタン−1,2−ジオール、ヒドロキシアセトン、グリセルアルデヒド、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アクロレイン、ギ酸、グリコール酸、酢酸、プロピオン酸、乳酸、コハク酸、シュウ酸、ジクロロ酢酸、グリシドール、エピクロロヒドリン、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドおよびそれらの混合物から選択される。
【0054】
有機芳香族物質は、芳香族性の少なくとも1個の環を含む。それらは好ましくは、芳香族性の少なくとも1個の環および1個のハロゲン原子を含むハロゲン化芳香族炭化水素である。ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素から選択されてもよく、好ましくは塩素である。芳香環は、一核または多核であってもよく、好ましくは一核である。有機芳香族物質は好ましくは、モノ−、ジ−、トリ−、テトラ−、ペンタ−およびヘキサクロロベンゼンおよび/またはナフタレン、ならびにそれらの混合物から選択される。有機芳香族物質は好ましくはモノクロロベンゼンである。有機芳香族物質はまた、フェノールのようにヒドロキシ基を有していてもよく、安息香酸のようにカルボキシ基を有していてもよく、ベンゼンスルホン酸のようにオキシ酸を有していてもよく、炭素、水素、及び酸素以外の元素(例えば窒素及び硫黄等)を含んでいてもよく、アルキルベンゼンスルホン酸のように鎖式構造を含んでいてもよい。
【0055】
ダイオキシン類汚染物質としては、例えば、ハロゲン化ジベンゾジオキシン類やハロゲン化ジベンゾフラン類、PCB類(特に、オルト位以外に塩素原子が置換したコプラナーPCB類)等が挙げられる。
【0056】
ハロゲン化ジベンゾジオキシン類の例としては、2,3,7,8−テトラクロロジベンゾ−P−ジオキシン、1,2,3,7,8−ペンタクロロジベンゾ−P−ジオキシン、1,2,3,4,7,8−ヘキサクロロジベンゾ−P−ジオキシン、1,2,3,4,6,7,8−ヘプタクロロジベンゾ−P−ジオキシン、1,2,3,4,6,7,8,9−オクタクロロジベンゾ−P−ジオキシン等が挙げられる。
【0057】
ハロゲン化ジベンゾフラン類の例としては、2,3,7,8−テトラクロロジベンゾフラン、1,2,3,7,8−ペンタクロロジベンゾフラン、1,2,3,4,7,8−ヘキサクロロジベンゾフラン、1,2,3,4,6,7,8−ヘプタクロロジベンゾフラン、1,2,3,4,6,7,8,9−オクタクロロジベンゾフラン等が挙げられる。
【0058】
PCB類(特に、オルト位以外に塩素原子が置換したコプラナーPCB類)の例としては、3,3’,4,4’,5−テトラクロロビフェニル、3,3’,4,4’,5−ペンタクロロビフェニル、3,3’,4,4’,5,5’−ヘキサクロロビフェニル等が挙げられる。
【0059】
以上に述べた通り、本発明の一実施形態は、次の構成を採ることが可能である。
[1]2価鉄イオン、3価金属イオン、及びアニオンを含有する層状複水酸化物並びに/又は非晶質な複合水酸化物と、二酸化ケイ素、二酸化チタン、及び酸化アルミニウムからなる群より選択される少なくとも1種の無機酸化物とを含有する複合化物を含む、不均一系フェントン反応触媒。
[2]前記層状複水酸化物並びに/又は非晶質な複合水酸化物における2価鉄イオンに対する前記無機酸化物のモル比が、0.01〜2である、上記[1]に記載の不均一系フェントン反応触媒。
[3]過酸化水素とともに用いられ、かつ、前記過酸化水素との接触により生成するラジカルにより有機物を分解するために用いられる上記[1]又は[2]に記載の不均一系フェントン反応触媒。
[4]紫外線から赤外線までの領域にある光の照射条件下で前記過酸化水素と接触させて用いられる上記[3]に記載の不均一系フェントン反応触媒。
[5]2価鉄イオンとアニオンとの塩;3価金属イオンとアニオンとの塩;二酸化ケイ素、二酸化チタン、及び酸化アルミニウムからなる群より選択される少なくとも1種の無機酸化物;並びに水を含有する混合物を調製すること;及び前記混合物の25℃におけるpHを3〜14に調整して、懸濁液を得ることにより、前記2価鉄イオン、前記3価金属イオン、及び前記アニオンを含有する層状複水酸化物並びに/又は非晶質な複合水酸化物と、前記無機酸化物と、を含有する複合化物を得ること;を含む、前記複合化物を含む不均一系フェントン反応触媒の製造方法。
[6]前記懸濁液を得た後、前記懸濁液を水熱処理することを含む上記[5]に記載の不均一系フェントン反応触媒の製造方法。
[7]上記[1]〜[4]のいずれかに記載の不均一系フェントン反応触媒と過酸化水素とを接触させてラジカルを生成すること;及び前記ラジカルと、分解対象の有機物とを接触させること;を含む、有機物の分解方法。
【実施例】
【0060】
以下、試験例を挙げて、本発明の一実施形態をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の試験例に限定されるものではない。
【0061】
<層状複水酸化物の製造>
(製造例1)
硫酸鉄(II)(FeSO
4)、硫酸アルミニウム(Al
2(SO
4)
3)、二酸化チタン(TiO
2)粉末(石原産業株式会社製、商品名「ST−01」)、及び純水を含有する混合物(モル比(Fe
2+:Al
3+:TiO
2)=2:1:2、FeSO
4濃度=200mmol/L、Al
2(SO
4)
3濃度=100mmol/L、TiO
2濃度=200mmol/L)を調製した。この液状の混合物を1500rpmで撹拌しながら、混合物に5mol/Lの水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液を添加して、混合物の25℃におけるpHを10に調整し、懸濁液を得た。次いで、混合物(懸濁液)を120℃で24時間水熱処理した後、ろ過及び純水で洗浄を行い、減圧下で乾燥させた。このようにして、2価鉄イオン、3価アルミニウムイオン、及び硫酸イオンを含有する層状複水酸化物(SO
42−型Fe(II)−Al(III)−層状複水酸化物)と、二酸化チタンとを含有する複合化物(TiO
2複合系の層状複水酸化物)を調製した。得られた複合化物(TiO
2複合系の層状複水酸化物)についてSEM観察を行い、10〜5000nmの粒子径を有することを確認した。また、粉末X線回折(XRD)を行い、XRDパターンにおいて層状複水酸化物のピークが存在することを確認した。
【0062】
(製造例2)
製造例1と比較して、TiO
2粉末を使用しなかったこと以外は、製造例1と同様にして、層状複水酸化物(SO
42−型Fe(II)−Al(III)−層状複水酸化物)を調製した。得られた層状複水酸化物についてSEM観察を行い、10〜5000nmの粒子径を有することを確認した。また、粉末X線回折(XRD)を行い、XRDパターンにおいて層状複水酸化物のピークが存在することを確認した。
【0063】
(製造例3)
塩化鉄(II)(FeCl
2)、塩化アルミニウム(AlCl
3)、二酸化ケイ素(SiO
2)粉末(富士シリシア化学株式会社製、商品名「Q−3」)、及び純水を含有する混合物(モル比(Fe
2+:Al
3+:SiO
2)=1:0.5:0.01、FeCl
2濃度=200mmol/L、AlCl
3濃度=100mmol/L、SiO
2濃度=2mmol/L)を調製した。この液状の混合物を1500rpmで撹拌しながら、混合物に5mol/Lの水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液を添加して、混合物の25℃におけるpHを10に調整し、懸濁液を得た。次いで、混合物(懸濁液)を120℃で24時間水熱処理した後、ろ過及び水で洗浄を行い、減圧下で乾燥させた。このようにして、2価鉄イオン、3価アルミニウムイオン、及び塩化物イオンを含有する層状複水酸化物(Cl
−型Fe(II)−Al(III)−層状複水酸化物)と、二酸化ケイ素とを含有する複合化物(SiO
2複合系の層状複水酸化物)を調製した。得られた複合化物(SiO
2複合系の層状複水酸化物)についてSEM観察を行い、10〜5000nmの粒子径を有することを確認した。また、粉末X線回折(XRD)を行い、XRDパターンにおいて層状複水酸化物のピークが存在することを確認した。
【0064】
(製造例4〜7)
製造例3と比較して、SiO
2粉末の使用量を変更した混合物を調製したこと以外は、製造例3と同様にして、層状複水酸化物(Cl
−型Fe(II)−Al(III)−層状複水酸化物)と二酸化ケイ素とを含有する複合化物(SiO
2複合系の層状複水酸化物)を調製した。具体的には、製造例4では、FeCl
2、AlCl
3、SiO
2粉末、及び純水を含有する混合物(モル比(Fe
2+:Al
3+:SiO
2)=1:0.5:0.1、FeCl
2濃度=200mmol/L、AlCl
3濃度=100mmol/L、SiO
2濃度=20mmol/L)を調製した。また、製造例5では、FeCl
2、AlCl
3、SiO
2粉末、及び純水を含有する混合物(モル比(Fe
2+:Al
3+:SiO
2)=1:0.5:0.5、FeCl
2濃度=200mmol/L、AlCl
3濃度=100mmol/L、SiO
2濃度=100mmol/L)を調製した。製造例6では、FeCl
2、AlCl
3、SiO
2粉末、及び純水を含有する混合物(モル比(Fe
2+:Al
3+:SiO
2)=1:0.5:0.87、FeCl
2濃度=200mmol/L、AlCl
3濃度=100mmol/L、SiO
2濃度=174mmol/L)を調製した。さらに、製造例7では、FeCl
2、AlCl
3、SiO
2粉末、及び純水を含有する混合物(モル比(Fe
2+:Al
3+:SiO
2)=1:0.5:1.00、FeCl
2濃度=200mmol/L、AlCl
3濃度=100mmol/L、SiO
2濃度=200mmol/L)を調製した。得られた各複合化物(SiO
2複合系の層状複水酸化物)についてSEM観察を行い、10〜5000nmの粒子径を有することを確認した。また、粉末X線回折(XRD)を行い、XRDパターンにおいて層状複水酸化物のピークが存在することを確認した。
【0065】
(製造例8)
FeCl
2、AlCl
3、TiO
2粉末(石原産業株式会社製、商品名「ST−01」)、及び純水を含有する混合物(モル比(Fe
2+:Al
3+:TiO
2)=1:0.5:1、FeCl
2濃度=200mmol/L、AlCl
3濃度=100mmol/L、TiO
2濃度=200mmol/L)を調製した。この液状の混合物を1500rpmで撹拌しながら、混合物に5mol/Lの水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液を添加して、混合物の25℃におけるpHを10に調整し、懸濁液を得た。次いで、混合物(懸濁液)を120℃で24時間水熱処理した後、ろ過及び水で洗浄を行い、減圧下で乾燥させた。このようにして、2価鉄イオン、3価アルミニウムイオン、及び塩化物イオンを含有する層状複水酸化物(Cl
−型Fe(II)−Al(III)−層状複水酸化物)と、二酸化チタンとを含有する複合化物(TiO
2複合系の層状複水酸化物)を調製した。得られた複合化物(TiO
2複合系の層状複水酸化物)についてSEM観察を行い、10〜5000nmの粒子径を有することを確認した。また、粉末X線回折(XRD)を行い、XRDパターンにおいて層状複水酸化物のピークが存在することを確認した。
【0066】
(製造例9)
FeCl
2、AlCl
3、酸化アルミニウム(Al
2O
3)粉末(MERCK社製、商品名「Aluminiumoxide」)、及び純水を含有する混合物(モル比(Fe
2+:Al
3+:Al
2O
3)=1:0.5:1、FeCl
2濃度=200mmol/L、AlCl
3濃度=100mmol/L、Al
2O
3濃度=200mmol/L)を調製した。この液状の混合物を1500rpmで撹拌しながら、混合物に5mol/Lの水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液を添加して、混合物の25℃におけるpHを10に調整し、懸濁液を得た。次いで、混合物(懸濁液)を120℃で24時間水熱処理した後、ろ過及び水で洗浄を行い、減圧下で乾燥させた。このようにして、2価鉄イオン、3価アルミニウムイオン、及び塩化物イオンを含有する層状複水酸化物(Cl
−型Fe(II)−Al(III)−層状複水酸化物)と、酸化アルミニウムとを含有する複合化物(Al
2O
3複合系の層状複水酸化物)を調製した。得られた複合化物(Al
2O
3複合系の層状複水酸化物)についてSEM観察を行い、10〜5000nmの粒子径を有することを確認した。また、粉末X線回折(XRD)を行い、XRDパターンにおいて層状複水酸化物のピークが存在することを確認した。
【0067】
(製造例10)
製造例3と比較して、SiO
2粉末を使用しなかったこと以外は、製造例3と同様にして、層状複水酸化物(Cl
−型Fe(II)−Al(III)−層状複水酸化物)を調製した。得られた層状複水酸化物についてSEM観察を行い、10〜5000nmの粒子径を有することを確認した。また、粉末X線回折(XRD)を行い、XRDパターンにおいて層状複水酸化物のピークが存在することを確認した。
【0068】
(製造例a)
製造例1において、懸濁液を得る際の混合物のpHを10に調整したことを、pH7(製造例a1)、及びpH11(製造例a2)に変更したこと以外は、製造例1と同様の操作を行った。これらの製造例によっても、2価鉄イオン、3価アルミニウムイオン、及び硫酸イオンを含有する層状複水酸化物(SO
42−型Fe(II)−Al(III)−層状複水酸化物)と、二酸化チタンとを含有する複合化物(TiO
2複合系の層状複水酸化物)が得られたことが確認された。
【0069】
(製造例b)
製造例7において、懸濁液を得る際の混合物のpHを10に調整したことを、pH7(製造例b1)、及びpH11(製造例b2)に変更したこと以外は、製造例7と同様の操作を行った。これらの製造例によっても、2価鉄イオン、3価アルミニウムイオン、及び塩化物イオンを含有する層状複水酸化物(Cl
−型Fe(II)−Al(III)−層状複水酸化物)と、二酸化ケイ素とを含有する複合化物(SiO
2複合系の層状複水酸化物)が得られたことが確認された。
【0070】
(製造例c)
製造例7における「塩化アルミニウム(AlCl
3)」を、それぞれ、塩化バナジウム(VCl
3;製造例c1)、及び塩化セリウム(CeCl
3;製造例c2)にそれぞれ変更したこと以外は、製造例7と同様の操作を行った。これらの製造例により、2価鉄イオン、3価金属イオン(V
3+、又はCe
3+)、及び塩化物イオンを含有する層状複水酸化物と、二酸化ケイ素とを含有する複合化物(SiO
2複合系の層状複水酸化物)が得られたことが確認された。
【0071】
(製造例d)
製造例8における「塩化アルミニウム(AlCl
3)」を、それぞれ、塩化バナジウム(VCl
3;製造例d1)、及び塩化セリウム(CeCl
3;製造例d2)にそれぞれ変更したこと以外は、製造例8と同様の操作を行った。これらの製造例により、2価鉄イオン、3価金属イオン(V
3+、又はCe
3+)、及び塩化物イオンを含有する層状複水酸化物と、二酸化チタンとを含有する複合化物(TiO
2複合系の層状複水酸化物)が得られたことが確認された。
【0072】
<試験例1:有機物分解試験1>
製造例1で作製した複合化物(TiO
2複合系の層状複水酸化物)、及び製造例2で作製した層状複水酸化物のそれぞれについて、それらを不均一系フェントン反応触媒試料として用い、有機物の分解性能(触媒性能)を確認する試験を行った。有機物としては、フェノール又はドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(以下、「C12LAS−Na」と略記することがある。)を用いた。以下、具体的に述べる。
【0073】
(試験例1−1)
ビーカー内に、不均一系フェントン反応触媒試料として、製造例1で作製した複合化物(TiO
2複合系の層状複水酸化物)60mgと水を入れ、それらを含む水懸濁液(不均一系)40mLを調製した。このビーカー内の水懸濁液に、フェノール0.04mmol(1mmol/L)、及び過酸化水素(H
2O
2)1.2mmol(30mmol/L)を加え、ビーカー内で25±1℃の範囲内で60分間撹拌して反応させた。反応後の水懸濁液を0.2μmメンブレンフィルターでろ過し、亜硫酸水素ナトリウムの添加によってH
2O
2を除去した後、JIS K0102:2016の規定に準じて、ろ液中の酸素要求量(二クロム酸カリウムによる酸素消費量;COD
Cr(mg/L))を測定した。
【0074】
(試験例1−2)
試験例1−1における「製造例1で作製した複合化物(TiO
2複合系の層状複水酸化物)」を、製造例2で作製した層状複水酸化物に変更したこと以外は、試験例1−1と同様にして、COD
Cr(mg/L)を測定した。
【0075】
(試験例1−3)
試験例1−1における「フェノール0.04mmol(1mmol/L)」を、「ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.01mmol(0.25mmol/L)に変更したこと以外は、試験例1−1と同様にして、COD
Cr(mg/L)を測定した。
【0076】
(試験例1−4)
試験例1−1における「製造例1で作製した複合化物(TiO
2複合系の層状複水酸化物)」を、製造例2で作製した層状複水酸化物に変更したこと、及び試験例1−1における「フェノール0.04mmol(1mmol/L)」を、「ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.01mmol(0.25mmol/L)に変更したこと以外は、試験例1−1と同様にして、COD
Cr(mg/L)を測定した。
【0077】
上記試験例1(試験例1−1〜1−4)で得られた各COD
Cr測定値(反応後COD
Cr)と、各試験例における分解反応前のCOD
Cr測定値(反応前COD
Cr)から、下記式に基づいて、COD
Cr除去率(%)を算出した。反応前COD
Crは、層状複水酸化物60mgと水を含む水懸濁液に、フェノール又はドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを加えた後、過酸化水素を加える前の水懸濁液を0.2μmメンブレンフィルターでろ過し、そのろ液中のCOD
Crを測定した値である。なお、反応前COD
Crは、試験例1−1及び1−2では、フェノールに起因して、234mg/Lであり、試験例1−3及び試験例1−4では、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムに起因して、178mg/Lであった。
式:COD
Cr除去率(%)=[(反応前COD
Cr(mg/L)−反応後COD
Cr(mg/L))/反応前のCOD
Cr(mg/L)]×100
【0078】
上記試験例1で得られた各COD
Cr除去率の結果を表1に示す。表1には、各試験例で使用した層状複水酸化物における、モル比(Fe
2+:Al
3+:TiO
2)、及び2価鉄イオンに対するTiO
2のモル比(TiO
2/Fe
2+)も示す。
【0079】
【0080】
試験例1の結果より、2価鉄イオン、3価金属イオン(Al
3+)、及びアニオンを含有する層状複水酸化物が、フェノール及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの分解反応を促進していることが確認された。さらに、上記層状複水酸化物とTiO
2とを含有する複合化物(TiO
2複合系の層状複水酸化物)により、フェノール及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの分解反応がさらに促進することが確認された。このことから、上記層状複水酸化物とTiO
2とを含有する複合化物(TiO
2複合系の層状複水酸化物)が、不均一系フェントン反応触媒としてラジカル生成をさらに促進していることが認められた。これにより、上記複合化物(TiO
2複合系の層状複水酸化物)は、不均一系フェントン反応触媒として、様々な有機物を分解するために用いられることがよりいっそう期待できるものといえる。
【0081】
なお、製造例1で得られた複合化物(TiO
2複合系の層状複水酸化物)による上述した効果は、その複合化物の代わりに、前述の製造例aで得られた各複合化物を用いた場合にも認められたが、製造例1で得られた複合化物を用いた場合の方がより良好であった。
【0082】
<試験例2:有機物分解試験2>
製造例3〜9で作製した各複合化物(無機酸化物複合系の層状複水酸化物)、及び製造例10で作製した層状複水酸化物のそれぞれについて、それらを不均一系フェントン反応触媒試料として用い、有機物の分解性能(触媒性能)を確認する試験を行った。分解対象の有機物としては、フェノールを用いた。以下、具体的に述べる。
【0083】
(試験例2−1)
不均一系フェントン反応触媒試料として、製造例3で作製した複合化物(SiO
2複合系の層状複水酸化物)30mgと水を入れ、それらを含む水懸濁液(不均一系)20mLを調製した。この水懸濁液に、フェノール20μmol(1mmol/L)、及び過酸化水素(H
2O
2)600μmol(30mmol/L)を加え、30℃で60分間撹拌して反応させた。その反応により、フェノールが完全に分解される場合、反応式例:C
6H
5OH+14H
2O
2→6CO
2+17H
2Oのように、二酸化炭素(CO
2)が生成することから、生成したCO
2量を、ガスクロマトグラフィー(GC)により、以下に示す条件で定量した。この定量は、上記反応の開始(フェノール及びH
2O
2の添加)から、0分、15分、30分、45分、及び60分後の経過時間毎に行った。
(GC測定条件)
・測定装置:商品名「GC−8A」(株式会社島津製作製)
・カラム:商品名「Porapak Q」(ジーエルサイエンス株式会社製)
・注入量:0.5mL
・注入口温度:100℃
・カラム温度:60℃
・キャリアガス:ヘリウム(流量20mL/min)
・検出器:TCD
・検出器温度:100℃
【0084】
また、上記のGCにより得られたCO
2量の定量値に基づいて、上述の各経過時間のフェノールからCO
2への変換率(CO
2変換率(%))を下記式に基づいて算出した。
式:CO
2変換率(%)=[反応後のCO
2定量値(μmol)/(6×反応前のフェノール量(20μmol))]×100
【0085】
(試験例2−2〜2−5)
試験例2−2〜2−5では、試験例2−1における「製造例3で作製した複合化物(SiO
2複合系の層状複水酸化物)」を、それぞれ製造例4〜7で作製した複合化物(SiO
2複合系の層状複水酸化物)に変更したこと以外は、試験例2−1と同様の試験を行い、CO
2変換率を算出した。
【0086】
(試験例2−6)
試験例2−1における「製造例3で作製した複合化物(SiO
2複合系の層状複水酸化物)」を、製造例8で作製した複合化物(TiO
2複合系の層状複水酸化物)に変更したこと、その複合化物に加える水の量を変更し、調製した水懸濁液(不均一系)の量を20mLから30mLに変更したこと、並びに水懸濁液にフェノール及びH
2O
2を加えてから60分間反応させている間中、反応系(水懸濁液)に反応容器の側面側から疑似太陽光を照射したこと以外は、試験例2−1と同様の試験を行い、CO
2変換率を算出した。疑似太陽光としては、ソーラシミュレータ(株式会社三永電機製作所製、型式「XES−40S2−CE」、光量:AM−1.5G(100mW/cm
2))を用いた。
【0087】
(試験例2−7)
試験例2−1における「製造例3で作製した複合化物(SiO
2複合系の層状複水酸化物)」を、製造例9で作製した複合化物(Al
2O
3複合系の層状複水酸化物)に変更したこと以外は、試験例2−1と同様の試験を行い、CO
2変換率を算出した。
【0088】
(試験例2−8)
試験例2−1における「製造例3で作製した複合化物(SiO
2複合系の層状複水酸化物)」を、製造例7で作製した複合化物(SiO
2複合系の層状複水酸化物)に変更したこと、その複合化物に加える水の量を変更し、調製した水懸濁液(不均一系)の量を20mLから30mLに変更したこと、並びに水懸濁液にフェノール及びH
2O
2を加えてから60分間反応させている間中、試験例2−6と同様に、反応系(水懸濁液)に反応容器の側面側から疑似太陽光を照射したこと以外は、試験例2−1と同様の試験を行い、CO
2変換率を算出した。
【0089】
(試験例2−9)
試験例2−1における「製造例3で作製した複合化物(SiO
2複合系の層状複水酸化物)」を、製造例10で作製した層状複水酸化物に変更したこと以外は、試験例2−1と同様の試験を行い、CO
2変換率を算出した。
【0090】
上記試験例2(試験例2−1〜2−9)で得られた各CO
2変換率の結果を表2に示す。表2には、各試験例で使用した層状複水酸化物における、複合した無機酸化物種(SiO
2、TiO
2、又はAl
2O
3)及びモル比(Fe
2+:Al
3+:SiO
2、TiO
2、又はAl
2O
3)も示す。
【0091】
【0092】
試験例2の結果より、2価鉄イオン、3価金属イオン(Al
3+)、及びアニオンを含有する層状複水酸化物が、フェノールの分解反応を促進し、CO
2まで分解可能であることが確認された。さらに、上記層状複水酸化物と特定の無機酸化物(SiO
2、TiO
2、Al
2O
3)とを含有する複合化物(無機酸化物複合系の層状複水酸化物)により、すなわち、2価鉄イオン、Al
3+、アニオン、及び特定の無機酸化物を含有する層状複水酸化物(特定の無機酸化物複合系の層状複水酸化物)により、フェノールの分解反応がさらに促進し、CO
2変換率がより高まることが確認された。このことから、上記層状複水酸化物と特定の無機酸化物とを含有する複合化物(無機酸化物複合系の層状複水酸化物)が、不均一系フェントン反応触媒としてラジカル生成をさらに促進していることが認められた。
【0093】
なお、製造例7で得られた複合化物(SiO
2複合系の層状複水酸化物)等による上述した効果は、その複合化物の代わりに、前述の製造例b及び製造例cで得られた各複合化物を用いた場合にも認められたが、製造例7で得られた複合化物を用いた場合の方がより良好であった。
【0094】
また、試験例2−6及び試験例2−8の結果から、複合化物(無機酸化物複合系の層状複水酸化物)を、紫外線から赤外線までの領域にある光の照射条件下でH
2O
2と接触させて用いることで、有機物分解性能がさらに向上することがわかった。この効果は、製造例d及び製造例cで得られた各複合化物を用いた場合にも認められたが、製造例8及び製造例7で得られた各複合化物を用いた場合の方がより良好であった。
【0095】
以上の試験例2の結果から、特定の無機酸化物複合系の層状複水酸化物は、不均一系フェントン反応触媒として、様々な有機物を分解するために用いられることがさらにいっそう期待できるものといえる。