【課題】本発明はこのような課題に鑑みてなされたもので、リヤサスペンションの支持剛性および後突荷重の車両前方への伝達効率を高めることができる車両の後部車体構造の提供を目的とする。
【解決手段】サイドシル3は、車両前後方向に延びる閉断面空間を内部に有する上側閉断面部31が構成され、上側閉断面部31の後端とリヤサイドハウジング10との間には、これらを連結する直線状の連結フレーム42が配設され、連結フレーム42は、車両前方程車両下方へ位置するように傾斜して形成され、上側閉断面部31は、連結フレーム42の傾斜角度に対応して車両後方程上方へ位置するように傾斜して形成された。
前部が車両側面視で上記リヤサイドハウジングに重複するとともに、後部が上記リヤサイドハウジングよりも車両後方に位置するように車両前後方向に延びるリヤサイドフレームが設けられており、
上記連結フレームの後端と上記リヤサイドフレームの前端とが接合された
請求項1又は2に記載の車両の後部車体構造。
上記リヤサイドハウジングには、上記リヤサスペンションのロアアームを支持するロアアーム支持部および上記リヤサスペンションのアッパアームを支持するアッパアーム支持部が設けられており、
上記上側フレームを上記アッパアーム支持部に相当する位置に、上記下側フレームを上記ロアアーム支持部に相当する位置に、夫々接合した
請求項4又は5に記載の車両の後部車体構造。
上記リヤサイドハウジングは、少なくとも上記ロアアーム支持部と上記アッパアーム支持部と、上記上側フレームの後端が接合される上側接合部と、上記下側フレームの後端が接合される下側接合部とが含まれる単一の部材により一体に形成された
請求項6に記載の車両の後部車体構造。
前部が車両側面視で上記リヤサイドハウジングに重複するとともに、後部が上記リヤサイドハウジングよりも車両後方に位置するように車両前後方向に延びるリヤサイドフレームが設けられており、
上記第2上側フレームの後端と上記リヤサイドフレームの前端とが接合され、
上記第2上側フレームは、上記第1上側フレームよりも板厚が厚く形成された
請求項8に記載の車両の後部車体構造。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたもので、リヤサスペンションの支持剛性を確保できるとともに後突荷重をサイドシルに効果的に伝達することができる車両の後部車体構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明は、リヤサスペンションを支持するとともに後突荷重が入力されるリヤサイドハウジングと、該リヤサイドハウジングよりも車両前方において車両前後方向に延びるサイドシルと、を備えた車両の後部車体構造であって、上記サイドシルは、車両前後方向に延びる閉断面空間を内部に有するサイドシル閉断面部が構成され、上記サイドシル閉断面部の後端と上記リヤサイドハウジングとの間には、これらを連結する直線状の連結フレームが配設され、上記連結フレームは、車両前方程車両下方へ位置するように傾斜して形成され、上記サイドシル閉断面部は、上記連結フレームの車両側面視における傾斜角度に対応して車両後方程上方へ位置するように傾斜して形成されたものである。
【0012】
上記構成によれば、リヤサイドハウジングからサイドシルへの伝達荷重が連結フレームの前端とサイドシル閉断面部の後端との接合部において集中することなく、該伝達荷重を、連結フレームを介してサイドシルの側へ効率よく伝達することができる。
【0013】
従って、上記構成によれば、リヤサスペンションの支持剛性および後突荷重の車両前方への伝達効率を高めることができる。
【0014】
この発明の態様として、ドア開口部の下縁部は、上記サイドシル閉断面部の車両側面視における傾斜角度に対応して車両後方程車両上方へ位置するように傾斜して形成されたものである。
【0015】
上記構成によれば、ドア開口部の下縁部は、サイドシル閉断面部に沿って車両後方程上方へ位置するように傾斜して形成することで、車両前側が車両後側と比して下方へ位置させることができる。これにより、ドア開口部が不用意に大きくなることを抑制しつつ、乗員がドア開口部を介して車室に対して乗降する際に乗員の足等がドア開口部の下縁部に当たり難くなり、スムーズに乗降することができる。
【0016】
この発明の態様として、前部が車両側面視で上記リヤサイドハウジングに重複するとともに、後部が上記リヤサイドハウジングよりも車両後方に位置するように車両前後方向に延びるリヤサイドフレームが設けられており、上記連結フレームの後端と上記リヤサイドフレームの前端とが接合されたものである。
【0017】
上記構成によれば、後突荷重をリヤサイドフレームから連結フレームへ効率よく伝達することができる。
【0018】
この発明の態様として、車両上下方向に延びるとともに下部が上記サイドシルに接合されるピラーを備え、上記サイドシルおよび上記ピラーから成る結合体の後端と上記リヤサイドハウジングとを連結する、少なくとも上側フレームおよび下側フレームが車両上下方向に互いに離間して配設され、上記サイドシルには、上記サイドシル閉断面部よりも下方において、車両前後方向に沿って延びる閉断面空間を内部に有する下側サイドシル閉断面部が構成され、上記上側フレームは上記連結フレームによって構成されるとともに上記結合体における上記サイドシル閉断面部に対応する部位に接合され、上記下側フレームは、前端が上記結合体における上記下側サイドシル閉断面部の後端に対応する部位に接合されたものである。
【0019】
上記構成によれば、リヤサイドハウジングからの伝達荷重を、上側フレームを介してサイドシル閉断面部の側と、下側フレームを介して下側サイドシル閉断面部の側との2つの伝達経路によって効率よく車両前方へ伝達することができる。
【0020】
これにより、リヤサスペンションの支持剛性および後突荷重の車両前方への伝達効率をさらに高めることができる。
【0021】
この発明の態様として、上記上側フレームおよび上記下側フレームの各後端は共に、上記リヤサイドハウジングに対して車体部品として一体に接合されたものである。
【0022】
上記構成によれば、上記上側フレームおよび上記下側フレームの各後端は共に、上記リヤサイドハウジングに対して車体組み付け完了後に車両部品として締結等で後付けする場合と比して、後述する上側接合部および下側接合部における、後突荷重の集中を抑制し、後突荷重の伝達効率をさらに高めることができる。
【0023】
この発明の態様として、上記リヤサイドハウジングには、上記リヤサスペンションのロアアームを支持するロアアーム支持部および上記リヤサスペンションのアッパアームを支持するアッパアーム支持部が設けられており、上記上側フレームを上記アッパアーム支持部に相当する位置に、上記下側フレームを上記ロアアーム支持部に相当する位置に、夫々接合したものである。
【0024】
上記構成によれば、上側フレームをアッパアーム支持部に相当する位置に接合することで、車両走行時にリヤサスペンションのアッパアームからアッパアーム支持部を介して入力される荷重を、上側フレームによって車両前方へより効率的に伝達することができる。一方、下側フレームをロアアーム支持部に相当する位置に接合することで、ロアアームからロアアーム支持部を介して入力される荷重を、下側フレームによって車両前方へより効率的に伝達することができる。
【0025】
この発明の態様として、上記リヤサイドハウジングは、少なくとも上記ロアアーム支持部と上記アッパアーム支持部と、上記上側フレームの後端が接合される上側接合部と、上記下側フレームの後端が接合される下側接合部とが含まれる単一の部材により一体に形成されたものである。
【0026】
上記構成によれば、リヤサイドハウジングを、複数部材を組み合わせて構成した場合と比して剛性を高めることができるため、リヤサスペンションの支持剛性および後突荷重の車両前方への伝達効率をさらに高めることができる。
【0027】
この発明の態様として、上記上側フレームは、第1上側フレームと、該第1上側フレームよりも下側に位置する第2上側フレームとを備えたものである。
【0028】
上記構成によれば、上側フレームを第1上側フレームと第2上側フレームとで別々に形成することで、第1上側フレームと第2上側フレームとを一体に形成する場合と比して、上側フレームの板厚や、配索方向、配索長さ等を夫々の接合部位に応じて個別に設定し易くなる。
【0029】
従って、上記構成によれば、車体重量の増加を抑制しつつ、リヤサスペンションの支持剛性を確保できるとともに後突荷重をサイドシルとピラーとの結合体に効果的に伝達することができる。
【0030】
ここでは上記上側フレームを、第1上側フレームと、該第1上側フレームよりも下側に位置する第2上側フレームとに分離して構成したが、このように2本のフレームで構成するに限らず、3本以上に分離した構成を採用してもよい。また言うまでもなく、上側フレームは車両上下各側に分離せずに1本のフレームにより形成することも排除しない。
【0031】
この発明の態様として、前部が車両側面視で上記リヤサイドハウジングに重複するとともに、後部が上記リヤサイドハウジングよりも車両後方に位置するように車両前後方向に延びるリヤサイドフレームが設けられており、上記第2上側フレームの後端と上記リヤサイドフレームの前端とが接合され、上記第2上側フレームは、上記第1上側フレームよりも板厚が厚く形成されたものである。
【0032】
上記構成によれば、後突荷重を、リヤサイドフレームから板厚の厚い第2上側フレームを介して車両前方、すなわちサイドシルの側へ効率よく伝達することができる。
【発明の効果】
【0033】
上記構成によれば、リヤサスペンションの支持剛性を確保できるとともに後突荷重をサイドシルに効果的に伝達することができる。
【発明を実施するための形態】
【0035】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
本実施形態の車両は、押出成形されたアルミ合金製の複数のフレームを連結して車体骨格をなす、所謂、スペースフレーム構造を採用するとともに、側方ドアが2ドアタイプのセンターピラーレス構造を採用したスポーツカーである。このような車両の後部車体構造について、
図1から
図7を用いて説明する。但し、本実施形態の車両の後部車体構造は、左右対称形状であるため、車両右側の構造を中心に説明する。
【0036】
また、図示を明確にするため、図中において、リヤサスペンションや後輪等の図示を省略するとともに、
図1、
図2および
図6中において、ロアアーム支持部21a,21b(ロアアーム前側支持部21aおよびロアアーム後側支持部21b)、アッパアーム支持部22、並びにダンパ支持部23の詳細な図示を省略している。
【0037】
また、図中において、矢印Fは車両前方向を、矢印Rは車両右方向を、矢印Lは車両左方向を、矢印Uは車両上方向を、夫々示している。
【0038】
本実施形態の車両の後部車体構造は図示省略するが、左右両側に、左右夫々の後輪に対応して、ダブルウィッシュボーン式リヤサスペンションを備え、リヤサスペンションには、リヤサスダンパ、アッパアームおよびロアアームを備えている。
【0039】
さらに本実施形態の車両の後部車体構造は、
図1に示すように、リヤサイドフレーム1(
図2〜
図7参照)、リヤサイドハウジング10、サイドシル3および連結フレーム4を備えている。
【0040】
図2〜
図7に示すように、リヤサイドフレーム1は、押出成形されたアルミ合金製の押出し部材であって、車両前後方向に直線状に延びるとともに、長手方向の直交断面が略矩形の筒状体に形成されている。
【0041】
そしてリヤサイドフレーム1は、車体後部の両サイドにおいて、リヤサイドハウジング10の前側から該リヤサイドハウジング10の後端よりも車両後方に突出するように車両前後方向と略平行に延びている。
【0042】
図1に示すように、リヤサイドフレーム1の後端には、セットプレート6および取付けプレート7を介して、衝突時の衝撃を吸収する筒状体等からなる左右一対のメインクラッシュカン8の前端が接続されている。なお、左右一対のメインクラッシュカン8の後端は、バンパレイン9によって連結されている。
【0043】
図3〜
図7に示すように、リヤサイドハウジング10は、リヤサスペンションを車幅方向内側から支持可能に車両側面視でリヤサスペンションと略重複する位置に設けられ、例えばアルミニウム合金をダイキャスト成形することにより製造される。
【0044】
リヤサイドハウジング10の下部には、該下部の略全体が上部に対して車幅方向内側へ膨出する下側膨出部11が形成されている。具体的には、リヤサイドハウジング10は、上側縦壁部12と、上側縦壁部12よりも車幅方向内側に離間した位置に有する下側縦壁部13と、上側縦壁部12の下端と下側縦壁部13の上端とを車幅方向に繋ぐように車幅方向に略水平に延びる段部14(
図4参照)とを備えている。
【0045】
図1〜
図5、
図7に示すように、下側縦壁部13の前端には前壁部15(
図1〜
図4、
図6参照)が、後端に後壁部16(
図1、
図2、
図4、
図6参照)が、夫々車幅方向外側に突出するように車両上下方向に沿って形成されている。さらに
図1、
図2に示すように、下側縦壁部13の下端には下壁部17(
図1、
図2、
図6参照)が、車幅方向外側にフランジ状に突出するように車両前後方向に沿って形成されている。上述した下側膨出部11は、下側縦壁部13、段部14、前壁部15、後壁部16および下壁部17によって形成されている。
【0046】
図1、
図2、
図4〜
図6に示すように、リヤサイドハウジング10の上部に相当する上側縦壁部12の車両側面視で中央部には、車幅方向内側へ膨出する上側膨出部18が形成されている。上側膨出部18は下側膨出部11と同様に内部が車幅方向外側へ開口するように中空状に形成されている。
【0047】
図2、
図6に示すように、リヤサイドハウジング10の車幅方向外面の下部には、平面視A型のロアアーム(図示省略)を枢支するロアアーム前側支持部21aとロアアーム後側支持部21bとが設けられている。
【0048】
ロアアーム前側支持部21aは、ロアアームの車両前側の車幅方向内端を枢支するとともに、ロアアーム後側支持部21bは、ロアアームの車両後側の車幅方向内端を枢支するものであり、リヤサイドハウジング10の下側縦壁部13の下部において車両前後方向に互いに離間して設けられている。
【0049】
リヤサイドハウジング10の車幅方向外面における車両上下方向の中間かつ車両前側の位置、すなわち、リヤサイドハウジング10の上側縦壁部12の下部の前側の位置には、平面視I型のアッパアーム(図示省略)の車幅方向内端を枢支するアッパアーム支持部22が設けられている。
【0050】
リヤサイドハウジング10の上部、すなわち、リヤサイドハウジング10の上側縦壁部12の上部の車幅方向外面における、車両前後方向の中間位置には、車両上方程車幅方向内側に位置するように傾斜した姿勢で車両上下方向に沿って延びるリヤサスダンパ(図示省略)の上端部を枢支するダンパ支持部23が設けられている。
【0051】
また特に
図4、
図5に示すように、リヤサイドハウジング10の上側縦壁部12と段部14とのコーナー部24には、上述したリヤサイドフレーム1が配設されている。
【0052】
具体的には、リヤサイドハウジング10の上側縦壁部12は、リヤサイドフレーム1よりも車両上下方向に長く形成されるとともに、リヤサイドハウジング10の段部14は、リヤサイドフレーム1よりも車幅方向の長さが長くなるように形成されている(
図3参照)。
【0053】
これにより、リヤサイドハウジング10における、上側縦壁部12と段部14とのコーナー部24において、リヤサイドフレーム1は、上側縦壁部12に対して車幅方向内側から当接するとともに段部14によって支持可能に該段部14に載置されている。上側縦壁部12と段部14とのコーナー部24において、リヤサイドハウジング10とリヤサイドフレーム1とは、溶接等により一体に接合されている。
【0054】
また
図3〜
図5、
図7に示すように、リヤサイドハウジング10の上側縦壁部12と段部14とのコーナー部24の前部には、該コーナー部24を車両前後方向に仕切る第1リブ25が一体形成されている。第1リブ25は、上側縦壁部12から車幅方向内側へ突出形成されるとともに段部14から車両上方へ突出形成されている。
【0055】
リヤサイドハウジング10の上側縦壁部12と段部14とのコーナー部24において、車両前後方向に延びるリヤサイドフレーム1は、前端面が第1リブ25の後面に突き当たるように配設される。第1リブ25の後面とリヤサイドフレーム1の前端面との突き当たり部分は、溶接等により一体に接合されている。
【0056】
さらに、リヤサイドハウジング10の上側縦壁部12の第1リブ25よりも車両前方側には、第2リブ26a,26bが一体形成されている(
図3、
図4参照)。第2リブ26a,26bは、車両上下方向に互いに離間して複数(当例では2枚)が配設されるとともに、上側縦壁部12と第1リブ25とを繋ぐように上側縦壁部12から車幅方向内側へ突出形成されている。
【0057】
リヤサイドハウジング10の上側縦壁部12の車幅方向内面における、車両側面視で第1リブ25および複数の第2リブ26a,26bが形成された部位および周辺部位を、リブ形成領域20に設定する。
【0058】
また
図2、
図5、
図6に示すように、リヤサイドハウジング10の前部には、後述する3本の連結フレーム4の各後端が車幅方向外面側から接合されている。
【0059】
具体的には
図2、
図6に示すように、リヤサイドハウジング10の前部かつ車両上下方向の中間部には、3本の連結フレーム4のうち、最も上方に位置する後述する第1上側フレーム41の後端を接合する第1上側フレーム後端接合部27が設けられている。第1上側フレーム後端接合部27は、リヤサイドハウジング10における上側縦壁部12の車幅方向外側における下部前側、換言するとアッパアーム支持部22の前側かつ上側の周辺部分に設けられている。
【0060】
リヤサイドハウジング10の前部かつ車両上下方向の中間部には、3本の連結フレーム4のうち、車両上下方向において他の2本連結フレーム41,43の間に位置する後述する第2上側フレーム42の後端を接合する第2上側フレーム後端接合部28が設けられている。第2上側フレーム後端接合部28は、リヤサイドハウジング10における上側縦壁部12の車幅方向外側における下部前側、換言するとアッパアーム支持部22の前側かつ下側の周辺部分に設けられている。
【0061】
リヤサイドハウジング10の前部かつ下部には、3本の連結フレーム4のうち、最も下方に位置する後述する下側フレーム43の後端を接合する下側フレーム後端接合部29が設けられている。下側フレーム後端接合部29は、リヤサイドハウジング10における下側縦壁部13の車幅方向外側における下部前側、換言するとロアアーム前側支持部21aの下側周辺部分に設けられている。
【0062】
ここで第1上側フレーム後端接合部27と第2上側フレーム後端接合部28とは上述したように、共にリヤサイドハウジング10におけるアッパアーム支持部22の前側周辺部分において上下各側で互いに隣接するように設けられている(
図2、
図6参照)。
【0063】
これにより
図3〜
図5、
図7に示すように、リヤサイドフレーム1の前端と、第1上側フレーム41および第2上側フレーム42の各後端とは、リヤサイドハウジング10を介して互いに接合されている。
具体的には、第1上側フレーム後端接合部27と第2上側フレーム後端接合部28とは共に、リヤサイドフレーム1と車両上下方向における少なくとも一部が重複する高さに形成されている。さらに、リヤサイドフレーム1は、リヤサイドハウジング10の上側縦壁部12に対して車幅方向内側に位置する一方で、第1上側フレーム後端接合部27と第2上側フレーム後端接合部28は共に上側縦壁部12の車幅方向外側に位置する(
図7参照)。
【0064】
このため、リヤサイドフレーム1の前端と第1上側フレーム41の後端(27)との間(すなわち結合部分)には、リヤサイドハウジング10が車幅方向および車両前後方向において介在する。
【0065】
同様に、リヤサイドフレーム1の前端と第2上側フレーム42の後端(28)との間(すなわち結合部分)には、リヤサイドハウジング10が車幅方向および車両前後方向において介在する。
【0066】
そして
図3、
図4、
図7に示すように、リヤサイドハウジング10におけるリブ形成領域20は、リヤサイドハウジング10における、リヤサイドフレーム1の前端と第1上側フレーム41の後端との結合部分、およびリヤサイドフレーム1の前端と第2上側フレーム42の後端との結合部分に亘って形成されている。
【0067】
このように、リヤサイドハウジング10における、リヤサイドフレーム1の前端と、第1上側フレーム41の後端および第2上側フレーム42の後端との各結合部分に、リブ形成領域20を形成することで、リヤサイドフレーム1の前端から第1リブ25および第2リブ26a,26bを介した上側縦壁部12への後突荷重の伝達効率を高めることができる。
【0068】
惹いては、リヤサイドフレーム1から第1上側フレーム41および第2上側フレーム42へのリヤサイドハウジング10を介した後突荷重の伝達効率を高めている。
【0069】
さらに、アッパアーム支持部22は、リヤサイドハウジング10の車幅方向外面側に形成されるとともに、リブ形成領域20は、リヤサイドハウジング10の車幅方向内面側であって、アッパアーム支持部22と車両側面視で重複(一致)する箇所に設けられている(
図6参照)。
【0070】
これにより、リブ形成領域20は、車両走行時にアッパアームからアッパアーム支持部22を介してリヤサイドハウジング10に入力される荷重に対してのアッパアームの支持剛性の向上にも寄与している。
【0071】
さらにアッパアーム支持部22は、車両側面視でリヤサイドハウジング10における、リヤサイドフレーム1の前端と、第1上側フレーム41の後端および第2上側フレーム42の後端との各結合部分(20)に位置する。
【0072】
このような結合部分(20)においては、複数のフレーム1,41,42が周辺部と比して密に配設されるため、リヤサイドハウジング10の中でも剛性の高い部位に相当する。そして本実施形態においては、このようなリヤサイドハウジング10における、上記結合部分(20)と車両側面視で重複する部位にアッパアーム支持部22を設けたものである。
これにより、車両走行時にアッパアームからアッパアーム支持部22を介してリヤサイドハウジング10に入力される荷重に対してアッパアームの支持剛性を効果的に高めることができる。
【0073】
また
図1〜
図7に示すように、上述したサイドシル3は、押出成形されたアルミ合金製の押出し部材であって、左右夫々に対応するリヤサイドハウジング10に対して車両前方かつ車幅方向外側へ離間して配設されている。サイドシル3は、リヤサイドハウジング10の前方に車両底面を構成するフロアパネル(図示省略)の両サイドにおいて車両前後方向に沿って配設されている。
【0074】
サイドシル3は、車両上下各側に互いに離間して配設された閉断面部31,32と、これら上下各側の閉断面部31,32を連結する連結壁33とで形成されている。
【0075】
上下各側の閉断面部31,32(上側閉断面部31と下側閉断面部32の夫々)は共に、サイドシル3の車両前後方向の全長に沿って延びる閉断面空間を内部に有している。
【0076】
連結壁33は、サイドシル3の車幅方向内側において、上側閉断面部31の車幅方向内壁の下端と下側閉断面部32の車幅方向内壁の上端とを連結するように車両上下方向に直線状に延びるとともに、サイドシル3の車両前後各側を除く車両前後方向の略全長に亘って直線状に延びている。
【0077】
上下各側の閉断面部31,32は、車幅方向外端が共に、後述するヒンジピラー34およびリヤピラー35の各車幅方向外端よりも車幅方向外側に突出するように車両上下方向よりも車幅方向に長く形成されている(
図5参照)。さらに、上下各側の閉断面部31,32は、車幅方向外側程徐々に車両上下方向の間隔が狭くなる先細り形状に形成されている。
【0078】
特に
図6に示すように、下側閉断面部32は、車両前後方向と略平行に延びているのに対して、上側閉断面部31は、車両後方程上方に位置するように傾斜して直線状に延びている。上側閉断面部31は、後端部も含めて全体が、車両後方に配設されたリヤサイドフレーム1よりも低い位置に配設されている。本実施形態において上側閉断面部31は、後端部から車両後方へ延ばした仮想直線が、リヤサイドフレーム1の前部に向けて延びるような傾斜角度で形成されている。
【0079】
サイドシル3の前端には、車両上下方向に沿って延びるヒンジピラー34が立設されている。ヒンジピラー34は、内部に車両上下方向に沿って直線状に延びる閉断面空間を有するように押出成形されたアルミ合金製の押出し部材であって、車両上方程車両前方に位置するように傾斜した姿勢で上側閉断面部31から車両上方へ突き出すように下側閉断面部32に立設されている。
【0080】
そしてヒンジピラー34は、上側閉断面部31と連結壁33と下側閉断面部32との各対向部位においてアーク溶接等により一体に接合されている。
【0081】
図3〜
図7に示すように、サイドシル3の後端には、車両上下方向に沿って延びるリヤピラー35(Cピラー)が立設されている。リヤピラー35は、内部に車両上下方向に沿って直線状に延びる閉断面空間を有するように押出成形されたアルミ合金製の押出し部材であって、車両上方程車両後方に位置するように傾斜した姿勢で上側閉断面部31から車両上方へ突き出すように下側閉断面部32に立設されている。
そしてリヤピラー35は、上側閉断面部31と下側閉断面部32と連結壁33との各対向部位においてアーク溶接等により一体に接合されている。
【0082】
ここで、以下の説明では一体に接合されたサイドシル3とリヤピラー35とを総称して結合体30とも称する。なお、
図2〜
図7中の符号36a,36bは、リヤピラー35自体や、リヤピラー35とサイドシル3との接合部分を補強するリヤピラーレインフォースメントである。
【0083】
図1に示すように、サイドシル3は、車両側方に開口形成された、乗員の乗降用のドア開口部100の下縁100dに沿って形成され、同様に、ヒンジピラー34はドア開口部100の前縁100fに沿って、リヤピラー35はドア開口部100の後縁100rに沿って、夫々形成されている。
【0084】
ここでサイドシル3の上縁、すなわち上側閉断面部31は、上述したように車両後方程車両上方に位置するように傾斜して形成されているため(
図6参照)、これに伴って
図1に示すように、ドア開口部100の下縁100dについても、車両後方程車両上方に位置するように傾斜して形成されている。また本実施形態の車両はセンターピラーを備えていないため、ドア開口部100は該センターピラーによって車両前後方向に区分けされることがなく開口形成されている(
図1参照)。
【0085】
続いて連結フレーム4について説明する。
連結フレーム4は、サイドシル3およびリヤピラー35から成る結合体30と、リヤサイドハウジング10との間において、これらを連結するように車両前後方向に沿って直線状に延びている。連結フレーム4(41,42,43)は、複数本を備え、夫々車両上下方向に互いに離間するように配設されている。
【0086】
具体的に連結フレーム4は、
図2〜
図7に示すように、車体後部の左右各側において、第1上側フレーム41、第2上側フレーム42および下側フレーム43の3本ずつを備えており、この順に車両上方から下方へ配設されている。
【0087】
第1上側フレーム41は、リヤピラー35のサイドシル3の上端よりも車両上方位置において、略水平に配設されている。そして、第1上側フレーム41の前端は、サイドシル3の上端よりも車両上方位置において、リヤピラー35の後面から接合されている。第1上側フレーム41の後端は、リヤサイドハウジング10における、アッパアーム支持部22よりも若干高い位置に有する上述した第1上側フレーム後端接合部27に車幅方向外面側から接合されている。
【0088】
第2上側フレーム42は、
図6、
図7に示すように、車両後方程車両上方に位置するように車両側面視で傾斜して延びている。そして、第2上側フレーム42の前端は、サイドシル3の車両上下方向における、上側閉断面部31の後端に相当する位置において、リヤピラー35の後面から接合されている。第2上側フレーム42の後端は、リヤサイドハウジング10における、アッパアーム支持部22よりも若干低い位置に有する上述した第2上側フレーム後端接合部28に車幅方向外面側から接合されている。
【0089】
下側フレーム43は、リヤピラー35のサイドシル3の下側閉断面部32の位置であって、ロアアーム前側支持部21aよりも下側の位置において、側面視で水平に配設されている。下側フレーム43の前端は、サイドシル3の下側閉断面部32の後端に相当する位置においてリヤピラー35の後面から接合されている。下側フレーム43の後端は、リヤサイドハウジング10における、ロアアーム前側支持部21の直上に位置する上述した下側フレーム後端接合部29に車幅方向外面側から接合されている。
【0090】
上述した3本の連結フレーム4は、結合体30およびリヤサイドハウジング10の夫々に対して、例えばミグ溶接により一体に接合されている。これにより、3本の連結フレーム4は、ブラケット等を用いてボルト等で後付される車両部品と異なり、車体組み立て時に一体に組み立てられる車体部品として形成されている。
【0091】
ここで特に
図7に示すように、第1上側フレーム41と第2上側フレーム42の各後端は共に、上述したようにリヤサイドフレーム1の前端と車両上下方向において少なくとも一部が重複している。但し、本実施形態においては第2上側フレーム42の方が第1上側フレーム41と比してリヤサイドフレーム1と車両上下方向に重複するように配設されている。
【0092】
このため、第2上側フレーム42は、第1上側フレーム41と比して、より大きな後突荷重がリヤサイドフレーム1からリヤサイドハウジング10を介して車両前方へ伝達可能に形成されたものである。
【0093】
このような第2上側フレーム42は上述したように、車両前方程車両下方へ位置するように傾斜して形成されている(
図6、
図7参照)。さらに、これに対応して(第2上側フレーム42の車両側面視における傾斜角度に対応して)、サイドシル3の上側閉断面部31は上述したように、第2上側フレーム42の車両側面視における傾斜角度に極力近付くように車両後方程上方へ位置するように傾斜して形成されている。加えて、第2上側フレーム42の前端とサイドシル3の上側閉断面部31の後端とは、夫々リヤピラー35に対して略同じ高さにおいて接合されている。
これらにより、本実施形態においては、第2上側フレーム42の後端(28)からサイドシル3の上側閉断面部31の前端にかけて車両側面視で車両前方程下方に位置するように傾斜して極力直線状に延びる荷重伝達経路(閉断面構造)を構成することができる。
【0094】
さらにまた、第2上側フレーム42は、上述したように、リヤサイドハウジング10を介してリヤサイドフレーム1から第1上側フレーム41よりも大きな後突荷重が伝達されるため、第1上側フレーム41および下側フレーム43と比して最も板厚を厚く形成している。
【0095】
具体的には、第1上側フレーム41と第2上側フレーム42は共に、長手方向の直交断面が略矩形となる筒状に形成されているが、第1上側フレーム41は、第2上側フレーム42に対して、夫々に対応する壁面が例えば、1.5倍程の板厚となるように形成されている。
【0096】
また
図3〜
図5の特に
図5に示すように、上述した下側フレーム43と第1上側フレーム41と第2上側フレーム42とは共に、車両後方程車幅方向内側に位置するように傾斜して直線状に延びている。但し下側フレーム43は、車両平面視で第1上側フレーム41および第2上側フレーム42と比して車両後方程より車幅方向内側へ位置するように大きく傾斜して形成されている。なお、本実施形態においては、第1上側フレーム41と第2上側フレーム42とは車両平面視で略同じ傾斜角度で形成されている。
【0097】
上述したように、下側フレーム43は、車両平面視で第1上側フレーム41および第2上側フレーム42と比して車両後方程より車幅方向内側へ位置するように大きく傾斜して形成されている。これに伴って、リヤサイドハウジング10における、下側フレーム43の後端が接合される下側フレーム後端接合部29は、第1上側フレーム41の後端が接合される第1上側フレーム後端接合部27と、第2上側フレーム42の後端が接合される第2上側フレーム後端接合部28と比して車幅方向内側に位置することになる(
図5参照)。
【0098】
具体的には、リヤサイドハウジング10は上述したように、下側縦壁部13と上側縦壁部12とが車幅方向の内外各側に互いに離間して配設されており、下側フレーム後端接合部29が、車幅方向内側に位置する下側縦壁部13に、第1上側フレーム後端接合部27および第2上側フレーム後端接合部28が、車幅方向外側に位置する上側縦壁部12に、夫々位置する。
【0099】
そして、リヤサイドハウジング10は上述したように、アルミニウム合金をダイキャスト成形することにより、上側縦壁部12と下側縦壁部13と段部14とが、単一の部材により一体に形成されている。
【0100】
換言すると、リヤサイドハウジング10は上述したように、ロアアーム支持部21a,21b、アッパアーム支持部22、ダンパ支持部23、第1上側フレーム後端接合部27、第2上側フレーム後端接合部28、および下側フレーム後端接合部29、および第2上側フレーム後端接合部28を含めた略全体が単一の部材により一体に形成されている。
【0101】
また
図2、
図3、
図7に示すように、左右一対のリヤサイドハウジング10間の上下各側には、クロスメンバ51,52(上側クロスメンバ51、下側クロスメンバ52(
図3、
図7参照))を備えている。
【0102】
上側クロスメンバ51は、車幅方向に直線状に延びる閉断面空間を有するように押出成形されたアルミ合金製の押出し部材であって、車幅方向の外端が左右夫々に対応するリヤサイドハウジング10へ連結パネル53(
図3、
図7参照)を介して接続されている。
【0103】
上側クロスメンバ51は、車幅方向の直交断面がハット形状に形成されている。
なお、
図2、
図3中の符号54は、デフ等の補器を収容する補機収容空間55と、荷室空間56とを仕切る隔壁パネルである。
【0104】
上述した本実施形態の車両の後部車体構造は、リヤサスペンション(図示省略)を支持するとともに後突荷重が入力されるリヤサイドハウジング10と、該リヤサイドハウジング10よりも車両前方において車両前後方向に延びるサイドシル3と、を備えた車両の後部車体構造であって、サイドシル3は、車両前後方向に延びる閉断面空間を内部に有する上側閉断面部31(サイドシル閉断面部)が構成され、上側閉断面部31の後端とリヤサイドハウジング10との間には、これらを連結する直線状の第2上側フレーム42(連結フレーム)が配設され、第2上側フレーム42は、車両前方程車両下方へ位置するように傾斜して形成され、上側閉断面部31は、第2上側フレーム42の車両側面視における傾斜角度に対応して車両後方程上方へ位置するように傾斜して形成されたものである(
図6、
図7参照)。
【0105】
上記構成によれば、リヤサイドハウジング10から第2上側フレーム42を介してサイドシル3へと伝達される伝達荷重が第2上側フレーム42の前端とサイドシル3の上側閉断面部31の後端との接合部において集中することなく、該伝達荷重を車両前方へ効率よく伝達することができる。
【0106】
従って、上記構成によれば、アッパアーム支持部22におけるアッパアームの支持剛性および後突荷重の車両前方への伝達効率を高めることができる。
【0107】
この発明の態様として、ドア開口部100の下縁100dは、上側閉断面部31の傾斜角度に対応して車両後方程上方へ位置するように傾斜して形成されたものである(
図1参照)。
【0108】
上記構成によれば、ドア開口部100の下縁100dは、上側閉断面部31に沿って車両後方程上方へ位置するように傾斜して形成することで、車両前側が車両後側と比して下方へ位置させることができる。これにより、ドア開口部100が不用意に大きくなることを抑制しつつ、乗員が車室に対して乗降する際にドア開口部100の下縁100dをスムーズに跨いで容易に乗降することができる。
【0109】
この発明の態様として、前部が車両側面視でリヤサイドハウジング10に重複するとともに、後部がリヤサイドハウジング10よりも車両後方に位置するように車両前後方向に延びるリヤサイドフレーム1が設けられており、第1上側フレーム41および第2上側フレーム42(連結フレーム)のうち、主に第2上側フレーム42の後端とリヤサイドフレーム1の前端とが接合されたものである(
図2〜
図5、
図7参照)。
【0110】
上記構成によれば、後突荷重をリヤサイドフレーム1から第2上側フレーム42へ効率よく伝達することができる。
【0111】
この発明の態様として、車両上下方向に延びるとともに下部がサイドシル3に接合されるリヤピラー35(ピラー)を備え、サイドシル3およびリヤピラー35から成る結合体30の後端とリヤサイドハウジング10とを連結する、少なくとも第2上側フレーム42(上側フレーム)および下側フレーム43が車両上下方向に互いに離間して配設され、サイドシル3には、上側閉断面部31(サイドシル閉断面部)よりも下方において、車両前後方向に沿って延びる閉断面空間を内部に有する下側閉断面部32(下側サイドシル閉断面部)が構成され、下側フレーム43は、前端が下側閉断面部32の後端に接合されたものである(
図2、
図3、
図6、
図7参照)。
【0112】
リヤサイドハウジング10からの伝達荷重を、第2上側フレーム42を介して上側閉断面部31の側と、下側フレーム43を介して下側閉断面部32の側との2つの伝達経路によって効率よく車両前方へ伝達することができる。
【0113】
これにより、リヤサスペンションの支持剛性および後突荷重の車両前方への伝達効率をさらに高めることができる。
【0114】
この発明の態様として、第1上側フレーム41、第2上側フレーム42および下側フレーム43の各後端は共に、リヤサイドハウジング10に対して車体部品として一体に接合されたものである(
図2〜
図4、
図6、
図7参照)。
【0115】
上記構成によれば、第1上側フレーム41、第2上側フレーム42および下側フレーム43の各後端は共に、リヤサイドハウジング10に対して、車体組み立て完了後に締結具を用いた締結等で後付けするのではなく、車体組み立て時に車体部品として一体に溶接等により接合するものである。
【0116】
よって、第1上側フレーム41、第2上側フレーム42および下側フレーム43の各後端と、リヤサイドハウジング10との一体性を高めることができる、結果として、リヤサイドハウジング10から第1上側フレーム41、第2上側フレーム42および下側フレーム43の夫々を介して車両前方への荷重伝達効率を高めることができる。
【0117】
この発明の態様として、リヤサイドハウジング10には、リヤサスペンションのロアアームを支持するロアアーム支持部21a,21bおよびリヤサスペンションのアッパアームを支持するアッパアーム支持部22が設けられており、第2上側フレーム42をアッパアーム支持部22に相当する位置に、下側フレーム43をロアアーム支持部21a,21bのうち、ロアアーム前側支持部21aに相当する位置に、夫々接合したものである(
図2、
図6参照)。
【0118】
上記構成によれば、第2上側フレーム42をアッパアーム支持部22に相当する位置に接合することで、車両走行時にリヤサスペンションのアッパアームからアッパアーム支持部22を介して入力される荷重を、これら上側フレーム41,42によって、より効率的に車両前方へ伝達することができる。一方、下側フレーム43をロアアーム前側支持部21aに相当する位置に接合することで、ロアアームからロアアーム前側支持部21aを介して入力される荷重を、下側フレーム43によって、より効率的に車両前方へ伝達することができる。
【0119】
この発明の態様として、リヤサイドハウジング10は、少なくともロアアーム支持部21a,21bとアッパアーム支持部22と下側フレーム後端接合部29(下側接合部)と第1上側フレーム後端接合部27および第2上側フレーム後端接合部28(上側接合部)とが含まれる単一の部材により一体に形成されたものである(
図2、
図6、
図7参照)。
【0120】
上記構成によれば、リヤサイドハウジング10を、複数部材を組み合わせて構成した場合と比して剛性を高めることができるため、リヤサスペンションの支持剛性および後突荷重の車両前方への伝達効率をさらに高めることができる。
【0121】
さらに、複数部材を組み合わせて構成した場合のように、各部材に有する寸法誤差の影響が蓄積することがないため、リヤサイドハウジング10における、例えば、ロアアーム支持部21a,21bとアッパアーム支持部22の位置の精度を高めることができる。
【0122】
この発明の態様として、上側フレームは、第1上側フレーム41と、該第1上側フレーム41よりも下側に位置する第2上側フレーム42とを備えたものである(
図2〜
図4、
図6、
図7)。
【0123】
上記構成によれば、上側フレームを第1上側フレーム41と第2上側フレーム42とで別々に形成することで、第1上側フレーム41と第2上側フレーム42とを一体に形成する場合と比して、上側フレームの板厚や、配索方向、配索長さ等を夫々の接合部位に応じて個別に設定し易くなる。
【0124】
従って、上記構成によれば、車体重量の増加を抑制しつつ、リヤサスペンションの支持剛性を確保できるとともに後突荷重を、サイドシル3とリヤピラー35との結合体30に効果的に伝達することができる。
【0125】
この発明の態様として、第2上側フレーム42の後端は、第1上側フレーム41の後端よりもリヤサイドフレーム1の前端に対して車両上下方向に重複するようにリヤサイドハウジング10を介して接合され(
図3、
図4、
図7参照)、第2上側フレーム42は、第1上側フレーム41よりも板厚が厚く形成されたものである。
【0126】
上記構成によれば、後突荷重を、リヤサイドフレーム1から板厚の厚い第2上側フレーム42を介して車両前方、すなわちサイドシル3の側へ効率よく伝達することができる。
【0127】
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではなく様々な実施形態で形成することができる。
例えば、上述した実施形態においては上側フレームを、第1上側フレーム41と、該第1上側フレーム41よりも下側に位置する第2上側フレーム42とに分離して構成したが、本発明の上側フレームは、このように2本のフレームで構成するに限らず、3本以上に分離した構成を採用してもよい。
【0128】
また本発明の上側フレームは、例えば
図8に示すように、第1上側フレーム41と第2上側フレーム42とを1本のフレーム部材41Aとして一体に形成してもよい。