(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-113042(P2021-113042A)
(43)【公開日】2021年8月5日
(54)【発明の名称】液化ガス燃料船
(51)【国際特許分類】
B63B 25/16 20060101AFI20210709BHJP
B63B 3/48 20060101ALI20210709BHJP
F17C 13/02 20060101ALI20210709BHJP
F17C 13/04 20060101ALI20210709BHJP
【FI】
B63B25/16 Z
B63B3/48
B63B25/16 101Z
B63B25/16 101A
F17C13/02 301A
F17C13/04 301D
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2020-191649(P2020-191649)
(22)【出願日】2020年11月18日
(31)【優先権主張番号】特願2020-6804(P2020-6804)
(32)【優先日】2020年1月20日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】391058082
【氏名又は名称】株式会社名村造船所
(74)【代理人】
【識別番号】100091443
【弁理士】
【氏名又は名称】西浦 ▲嗣▼晴
(74)【代理人】
【識別番号】100130720
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼見 良貴
(74)【代理人】
【識別番号】100130432
【弁理士】
【氏名又は名称】出山 匡
(72)【発明者】
【氏名】国広 晴生
(72)【発明者】
【氏名】太田 貴大
【テーマコード(参考)】
3E172
【Fターム(参考)】
3E172AA03
3E172AA06
3E172AB04
3E172BA06
3E172BB05
3E172BB12
3E172BB17
3E172BD02
3E172CA02
3E172DA90
3E172JA05
3E172KA24
(57)【要約】
【課題】液化ガス燃料タンクの形状を変形させることなく、タンクドーム及び艤装品が荷役装置と干渉しない液化ガス燃料船を提供する。
【解決手段】船体の上甲板6下に収納され、且つ外部機器との接続部を備えたタンクドーム10,10´が頂部に設けられて、ガスを液化状態で貯蔵する液化ガス燃料タンク9,9´と、タンクドーム10,10´上に取り付けられた艤装品12とを備えた液化ガス燃料船を対象としている。上甲板6には、上方に向かって開口し且つ船底方向に向かって凸となるようにウェル29が形成されており、タンクドーム10,10´上に取り付けられた艤装品12が上甲板6上を移動する荷役装置CSと干渉しないように、ウェル29内にタンクドーム10,10´を突出させた状態で液化ガス燃料タンク9,9´が配置されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
船体の上甲板下に収納され、且つ外部機器との接続部を備えたタンクドームが頂部に設けられて、ガスを液化状態で貯蔵する1基以上の液化ガス燃料タンクと、
前記タンクドーム上に取り付けられた1以上の艤装品とを備えた液化ガス燃料船であって、
前記上甲板には、上方に向かって開口し且つ船底方向に向かって凸となるように1以上のウェルが形成されており、
前記タンクドーム上に取り付けられた前記1以上の艤装品が上甲板上を移動する荷役装置と干渉しないように、前記ウェル内に前記タンクドームを突出させた状態で前記液化ガス燃料タンクが配置されていることを特徴とする液化ガス燃料船。
【請求項2】
前記1基以上の液化ガス燃料タンクは、前記船体の幅方向に並んで配置された2基の液化ガス燃料タンクであり、
前記1以上のウェルは、前記船体の前後方向及び幅方向に延びる1つのウェルであり、
前記2基の液化ガス燃料タンクのそれぞれの前記タンクドームは、前記1つのウェル内に突出している請求項1に記載の液化ガス燃料船。
【請求項3】
前記1基以上の液化ガス燃料タンクは、前記船体の幅方向に並んで配置された2基の液化ガス燃料タンクであり、
前記1以上のウェルは、前記船体の幅方向に並んで配置された2つのウェルであり、
前記2基の液化ガス燃料タンクの前記タンクドームは、それぞれ1つの前記ウェル内に突出している請求項1に記載の液化ガス燃料船。
【請求項4】
前記2つのウェルの間に延びる前記上甲板の一部は、前記上甲板の他の部分と同じ高さに形成されている請求項3に記載の液化ガス燃料船。
【請求項5】
前記2つのウェルの間に延びる前記上甲板の一部は、前記上甲板の他の部分よりも低いが、前記ウェルの底部よりは高い高さに形成されている請求項3に記載の液化ガス燃料船。
【請求項6】
前記上甲板上には、貨物を収容する船倉の開口部の周囲を取り囲む縁材が備えられており、
前記1以上の艤装品は、前記縁材よりも前記船倉側に位置する請求項1に記載の液化ガス燃料船。
【請求項7】
前記1以上の艤装品は、前記液化ガス燃料タンク内の前記液化ガスの液面の高さを測定する液面計を含む請求項1に記載の液化ガス燃料船。
【請求項8】
前記1以上の艤装品は、前記液化ガス燃料タンク内の圧力調整を行う安全弁を含む請求項1に記載の液化ガス燃料船。
【請求項9】
前記1基以上の液化ガス燃料タンクは、前記船体が延びる長さ方向の中央部付近に配置されている請求項1に記載の液化ガス燃料船。
【請求項10】
前記1基以上の液化ガス燃料タンクが配置された前記中央部付近には、前記1基以上の液化ガス燃料タンクに前記液化ガスを供給するための液化ガスバンカーステーションが設けられている請求項9に記載の液化ガス燃料船。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液化天然ガス(LNG)、液化石油ガス(LPG)、アンモニア等の液化ガスを推進機関の燃料とする液化ガス燃料船に関するものである。
【背景技術】
【0002】
船舶のCO
2排出量の削減を目的として、液化天然ガス(LNG)、液化石油ガス(LPG)、アンモニア等の液化ガスを推進機関の燃料とする液化ガス燃料船の開発が進められている。
【0003】
液化ガス燃料船には、船体内に収納され、且つ、外部機器との接続部を備えたタンクドームが頂部に設けられて、ガスを液化状態で貯蔵する1基以上の液化ガス燃料タンクと、タンクドーム上に取り付けられた1以上の艤装品とを備えているものがある。
【0004】
タンクドームは、液化ガス燃料タンクの頂部に設けられているため、液化ガス燃料タンクの垂直方向に必要なスペースが大きくなる。そのため、タンクドームも含めた液化ガス燃料タンク全体を船体内に収納しようとすると、船体の高さ(垂直方向の寸法)を、その分、高くせざるを得なくなる。船体の高さを抑えるには、タンクドームを甲板上に突出させる必要があるが、この場合には、突出したタンクドームやその上の艤装品が本船や陸上の荷役装置等と干渉してしまう可能性がある。
【0005】
そこで、特表2018−528119号公報(特許文献1)に記載のLNGを燃料とするLNG燃料船は、LNG燃料タンクのシェル(外殻)の上部に凹部を設け、凹部内に、艤装品の1つであるディープウェルポンプを設置することで、LNG燃料タンクの垂直方向に必要なスペースを小さくする工夫をしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2018−528119号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載のLNG燃料船の構造の場合には、LNG燃料タンク自体に凹部を設けた特殊な形状のLNG燃料タンクが必要となる。この特殊な形状のLNG燃料タンクは、製造の難易度が高く、また、LNG燃料タンクの製造コストが通常よりも高い。
【0008】
また、特許文献1に記載のLNG燃料船は、艤装品である二次防壁(100)、駆動モータ(84)やバルブ(98)等が、上甲板から下の閉じた空間内に存在している。そのため、駆動モータ(84)やバルブ(98)等のメンテナンスの際に、容易に作業者が空間内に入ることができない、という課題が存在する。
【0009】
本発明の目的は、液化ガス燃料タンクの形状を変形させることなく、タンクドーム及び艤装品が荷役装置と干渉しない液化ガス燃料船を得ることである。
【0010】
本発明の他の目的は、液化ガスの漏洩事故が生じたとしても、漏れ出た液化ガスが周囲に拡散しない液化ガス燃料船を得ることである。
【0011】
本発明のさらに他の目的は、タンクドーム上において火災が発生した場合でも、周囲への延焼を防ぐ液化ガス燃料船を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、船体の上甲板下に収納され、且つ外部機器との接続部を備えたタンクドームが頂部に設けられて、ガスを液化状態で貯蔵する1基以上の液化ガス燃料タンクと、タンクドーム上に取り付けられた1以上の艤装品とを備えた液化ガス燃料船を改良の対象とする。
【0013】
本発明では、上甲板に、上方に向かって開口し且つ船底方向に向かって凸となるように1以上のウェル(well)を形成し、タンクドーム上に取り付けられた1以上の艤装品が上甲板上を移動する荷役装置と干渉しないように、ウェル内にタンクドームを突出させた状態で液化ガス燃料タンクを配置する。このようにタンクドームがウェル内に収まっていることで、タンクドーム及び艤装品の高さを抑えることができる。そのため、荷役装置と干渉しない。また、液化ガスの漏洩事故が生じたとしても、漏洩した液化ガスがウェル内に止まり、周囲に拡散することがない。さらに、タンクドーム上において火災が発生した場合でも、火炎の輻射熱がウェルの壁でさえぎられ、周囲への延焼を防ぐことができる。
【0014】
液化ガス燃料タンクの数や配置、ウェルの数や形状は任意である。例えば、1基以上の液化ガス燃料タンクは、船体の幅方向に並んで配置された2基の液化ガス燃料タンクであってもよい。この場合に、1以上のウェルは、船体の前後方向及び幅方向に延びる1つのウェルであってもよく、2基の液化ガス燃料タンクのそれぞれのタンクドームは、1つのウェル内に突出していてもよい。このようにすれば、ウェル内に降りた作業者が上り下りすることなく、2基の液化ガス燃料タンクを行き来することができる。
【0015】
また、1以上のウェルは、船体の幅方向に並んで配置された2つのウェルであってもよく、2基の液化ガス燃料タンクのタンクドームは、それぞれ1つのウェル内に突出していてもよい。このようにすると、2基の液化ガス燃料タンクを行き来するにはウェルを上り下りする必要があるが、一方のウェル内で液化ガスの漏洩事故が生じたとしても、他方のウェルには液化ガスが拡散することがない。
【0016】
ウェルを2つにする場合、2つのウェルの間に延びる上甲板の一部は、上甲板の他の部分と同じ高さに形成されていてもよい。または、上甲板の他の部分よりも低いが、ウェルの底部よりは高い高さに形成されていてもよい。このような高さに設定すれば、2基の液化ガス燃料タンク同士を接続するパイプ等の機材を上甲板よりも低い部分に配置することができる。
【0017】
液化ガス燃料タンクは、1以上の艤装品が荷役装置と干渉しないように配置されていればよい。例えば、上甲板上に貨物を収容する船倉の開口部の周囲を取り囲む縁材(いわゆる「ハッチコーミング」)が備えられている場合には、1以上の艤装品は、縁材よりも船倉側に位置する(1以上の艤装品が縁材より上方に突出しない)ことが好ましい。
【0018】
タンクドーム上に取り付けられる1以上の艤装品は、種々のものが含まれる。例えば、液化ガス燃料タンクは、液化ガス燃料タンク内の液化ガスの液面の高さを測定する液面計や、液化ガス燃料タンク内の圧力調整を行う安全弁が必要であり、これらがタンクドーム上に取り付けられていてもよい。
【0019】
船体が延びる長さ方向において、1基以上の液化ガス燃料タンクは任意の位置に配置されていてもよい。例えば、推進機関が配置される長さ方向の後方部に配置されていてもよい。また、船体が延びる長さ方向の中央部付近に配置されていてもよい。液化ガスは鉄鉱石や石炭等の固体ばら積み貨物より軽いため、船体の中央部付近に液化ガス燃料タンクを配置することで、船体の中央部の浮力が増加し、船体中央が沈む「サギング(sagging)」の防止・軽減に役立つ。
【0020】
船体が延びる長さ方向の中央部付近に液化ガス燃料タンクを配置する場合、1基以上の液化ガス燃料タンクに液化ガスを供給するための液化ガスバンカーステーションも中央部付近に配置することが好ましい。このようにすることで、液化ガス燃料タンクに燃料となる液化ガスを供給する燃料供給船が液化ガス燃料船の中央部に並んで横付けしやすくなり、燃料供給中に燃料供給船と液化ガス燃料船を安定して接舷、係留することができる。また、陸上の液化ガス燃料供給設備を利用する場合でも、液化ガスバンカーステーションと陸上の移送アームやホースを適切に接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本実施の形態の一例のLNG燃料船の構造図であり、(A)は左側面図、(B)は平面図である。
【
図2】(A)は
図1に示したII−II線切断部端面図であり、(B)はウェル部分の平面図である。
【
図3】タンクドームに艤装品を取り付けた状態を示す部分拡大図である。
【
図4】第2の実施の形態のLNG燃料船の図であり、(A)は
図2(A)と対応する位置の切断部端面図であり、(B)はウェル部分の平面図である。
【
図5】第3の実施の形態のLNG燃料船の図であり、(A)は
図2(A)と対応する位置の切断部端面図であり、(B)はウェル部分の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して、本発明の液化ガス燃料船の実施の形態を詳細に説明する。本実施の形態では、LNGを推進機関の燃料とするLNG燃料船を例とする。
【0023】
<第1の実施の形態>
図1は、本実施の形態の液化ガス燃料船の一例のLNG燃料船の構造図であり、(A)は左側面図、(B)は平面図である(なお、(A)では、説明の便宜上、後述のバラストタンクの図示を省略している)。
【0024】
本実施の形態のLNG燃料船1は、鉱石をばら積みする、ばら積み貨物船(バルク・キャリア(bulk carrier)ともいう)である。LNG燃料船1は、船体2の一方の端部に船首3を有し、他方の端部に船尾5を有し、船体2上に上甲板6を有している。LNG燃料船1は、船体2内が複数の区画に区切られており、上甲板6の下に、貨物を積載する船倉7(第1船倉7A〜第6船倉7F)が形成されている。本実施の形態では、第3船倉7Cと第4船倉7Dの間、すなわち、船体2が延びる長さ方向の中央部付近の区画(燃料タンク区画)8内に、推進機関の燃料となるLNG(液化ガス)を貯蔵する同型の2基のLNG燃料タンク(液化ガス燃料タンク)9,9´を備えている。
【0025】
2基のLNG燃料タンク9,9´は、船体2の幅方向に並んで配置され、船体2が延びる長さ方向に延びた円柱状タンクである。LNG燃料タンク9,9´からのLNGは、図示しないパイプラインを介して、船尾5に備えられた推進機関に供給される。2基のLNG燃料タンク9,9´のそれぞれは、頂部に外部機器との接続部を備えたタンクドーム10,10´を備えている。タンクドーム10,10´上には、艤装品12が取り付けられている。例えば、本実施の形態では、タンクドーム10,10´上には、LNG燃料タンク9,9´内のLNGの液面の高さを測定する液面計LGや、LNG燃料タンク内の圧力調整を行う安全弁SVが取り付けられている(
図3参照)。2基のLNG燃料タンク9,9´のそれぞれには、LNGを供給するためのLNGバンカーステーション(液化ガスバンカーステーション)11,11´が設けられている。LNGバンカーステーション11,11´は、区画8に対応する位置にあるバラストタンク19,19´の上の上甲板上に配置されている。LNGバンカーステーション11,11´は、LNG燃料船1にLNGを供給する燃料供給船が燃料供給パイプを接続する部分である。LNGバンカーステーション11,11´は、上甲板下に配置してもよい。
【0026】
第1船倉7A〜第6船倉7Fのそれぞれは、上甲板6に開口した開口部13A〜13Fと、開口部13A〜13Fの周囲を取り囲む縁材(ハッチコーミング)14A〜14Fと、船体の幅方向にスライドし、開口部13A〜13Fを閉じるハッチカバー15A〜15Fを備えている。また、第1船倉7A〜第6船倉7Fのそれぞれの周囲には、水バラストを入れるためのバラストタンク17A〜17F,17A´〜17F´が備えられている。同様に、LNG燃料タンク9,9´が配置される区画8の周囲にも、バラストタンク19,19´が備えられている。船尾5には、船橋21が設けられている。
【0027】
図2(A)は
図1に示したII−II線切断部端面図であり、(B)はウェル部分の平面図である。また、
図3は、タンクドームに艤装品を取り付けた状態を示す部分拡大図である。
図3では、タンクドーム10及びその近くの船倉である第4船倉7Dを例にして図示している。
図3では、荷役装置CSは、単純化して図示してあるが、LNG燃料船1の上甲板6上に設置されたクレーンや、陸上の荷役装置も含むものである。
【0028】
図2(A)に示すように、燃料タンク区画8内には、二重底23と、LNG燃料タンク支持部25が設けられており、その周囲にバラストタンク19,19´が備えられている。LNG燃料タンク支持部25の上部には、凹部27,27´が形成されており、LNG燃料タンク9,9´が凹部27,27´内に収納された状態で固定されるようになっている。また、燃料タンク区画8の上甲板6には、上方に向かって開口し且つ船底方向に向かって凸となったウェル29が形成されている。ウェル29は、船体の前後方向及び幅方向に延びる形状をしている。LNG燃料タンク9,9´は、底部が凹部27,27´内に収納された状態で、且つ、ウェル29内にタンクドーム10,10´を突出させた状態で配置されている。
【0029】
本実施の形態では、一例として、タンクドーム10,10´の直径寸法DRを2,500mm、突出高さ寸法PHを最大1,420mm、ウェル29の長さ寸法Lを5,000mm、幅寸法Wを21,400mm、深さ寸法Dを2,000mmに設定している。
【0030】
本実施の形態では、上記寸法からも明らかなように、タンクドーム10,10´はウェル29から上方に突出しない。その上で、本実施の形態では、
図3に示すように、艤装品12(液面計LG、安全弁SV)は、ウェル29から部分的に突出するが、上甲板6上を移動する荷役装置CSと干渉しないように配置されている。より具体的には、艤装品12(液面計LG、安全弁SV)は、ハッチコーミング14より上方に突出しないように(ハッチコーミング14よりも船倉側に位置するように)配置してある。
【0031】
第4船倉7Dに貨物を積み入れる際、または、貨物を積み降ろす際には、荷役装置CSは、ハッチカバー15Dが開いた状態で(すなわち、荷役装置CSとハッチカバー15Dが干渉しない状態で)、ハッチコーミング14を越える高さで上甲板6上を移動し、開口部13Dから第4船倉7Dにアクセスする。これにより、荷役装置CSは艤装品12(液面計LG、安全弁SV)及びタンクドーム10と干渉することがない。
【0032】
<第2の実施の形態>
図4(A)及び(B)は、第2の実施の形態のLNG燃料船の図であり、(A)は
図2(A)と対応する位置の切断部端面図であり、(B)はウェル部分の平面図である。第1の実施の形態と共通する部分については、
図2(A)及び(B)に付した符号に100を加えた数の符号を付して、その説明を省略する。
【0033】
第2の実施の形態では、第1の実施の形態とウェルの形状が異なっている。第2の実施の形態では、ウェルは、船体の幅方向に並んで配置された2つのウェル129,129´から構成されている。本実施の形態では、一例として、2つのウェル129,129´の幅寸法W,W´を5,000mm、長さ寸法L,L´を5,000mmに設定している。他の寸法は第1の実施の形態と同様である。2基のLNG燃料タンク109,109´のタンクドーム110,110´は、それぞれ、ウェル129,129´内に突出している。本実施の形態では、2つのウェル129,129´の間に延びる上甲板106の一部106Aは、上甲板106の他の部分と同じ高さに形成されている。
【0034】
<第3の実施の形態>
図5(A)及び(B)は、第3の実施の形態のLNG燃料船の図であり、(A)は
図2(A)と対応する位置の切断部端面図であり、(B)はウェル部分の平面図である。第1の実施の形態と共通する部分については、
図2(A)及び(B)に付した符号に200を加えた数の符号を付して、その説明を省略する。
【0035】
第3の実施の形態では、第1の実施の形態及び第2の実施の形態とウェルの形状が異なっている。第3の実施の形態では、ウェルは、船体の幅方向に並んで配置された2つのウェル229,229´から構成されている。本実施の形態では、一例として、第2の実施の形態と同じ寸法に設定している。2基のLNG燃料タンク209,209´のタンクドーム210,210´は、それぞれ、ウェル229,229´内に突出している。本実施の形態では、2つのウェル229,229´の間に延びる上甲板206の一部206Aは、上甲板206の他の部分よりも低いが、ウェル229,229´の底部よりは高い高さに形成されている。本実施の形態では、一例として、上甲板上206の一部206Aは、ウェル229,229´の底部からの高さdを1,000mmに設定している。上甲板206の一部206Aには、2基のLNG燃料タンク209,209´をつなぐパイプ等を設置するのに適している。
【0036】
上記実施の形態は、一例として記載したものであり、その要旨を逸脱しない限り、本発明は本実施例に限定されるものではない。例えば、上記実施の形態では、LNG燃料船を例としたが、LPGやアンモニア等の他の液化ガスを燃料とする液化ガス燃料船に適用できるのはもちろんである。なお、LNG、LPG、アンモニアは液化ガスの例示に過ぎず、これらに限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明によれば、液化ガス燃料タンクの形状を変形させることなく、タンクドーム及び艤装品が荷役装置と干渉しない液化ガス燃料船を提供することができる。また、液化ガスの漏洩事故が生じたとしても、漏れ出た液化ガスが周囲に拡散しない液化ガス燃料船を提供することができる。さらに、タンクドーム上において火災が発生した場合でも、周囲への延焼を防ぐ液化ガス燃料船を提供することができる。
【符号の説明】
【0038】
1 LNG燃料船
2 船体
3 船首
5 船尾
6 上甲板
7 船倉
8 燃料タンク区画
9,9´ LNG燃料タンク
11,11´ LNGバンカーステーション
12 艤装品
13A〜13F 開口部
14A〜14F 縁材(ハッチコーミング)
15A〜15F ハッチカバー
17A〜17A バラストタンク
17A´〜17F´ バラストタンク
19,19´ バラストタンク
21 船橋
23 二重底
25 支持部
27,27´ 凹部
29 ウェル