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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-113122(P2021-113122A)
(43)【公開日】2021年8月5日
(54)【発明の名称】ロールチェンジャー
(51)【国際特許分類】
   B65H 23/038 20060101AFI20210709BHJP
   B65B 41/12 20060101ALI20210709BHJP
   B65H 19/12 20060101ALI20210709BHJP
【FI】
   B65H23/038 Z
   B65B41/12 502K
   B65B41/12 502J
   B65H19/12 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2020-7555(P2020-7555)
(22)【出願日】2020年1月21日
(71)【出願人】
【識別番号】000206093
【氏名又は名称】大森機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】名田 太一郎
【テーマコード(参考)】
3F064
3F104
【Fターム(参考)】
3F064AA03
3F064BA02
3F064BB03
3F064BB15
3F064BB17
3F064DA01
3F104AA03
3F104CA25
3F104CA29
3F104CA30
(57)【要約】
【課題】支持シャフトに支持された原反ロールの軸方向の位置を小さな力でも調整出来るようにする。
【解決手段】ロールチェンジャー20が、回転盤22と、回転盤22の軸に対して平行となって回転盤22に自転可能且つ前記軸方向に移動可能に取り付けられ、前記軸に関する周方向に配列され、フィルム4が巻回された原反ロール2をそれぞれ支持する複数の支持シャフト24と、回転盤22に自転可能に取り付けられ、前記軸に関して前記複数の支持シャフト24の反対側にそれぞれ配される複数のハンドル51と、複数の支持シャフト24と複数のハンドル51とのうち,前記軸に関して互いに反対側に配される支持シャフト24とハンドル51の間に設けられ、ハンドル51の自転運動を支持シャフト24の前記軸方向の運動に変換する伝動機構70と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸回りに回転可能な回転盤と、
前記軸に対して平行となって前記回転盤に自転可能且つ前記軸方向に移動可能に取り付けられ、前記軸に関する周方向に配列され、フィルムが巻回された原反ロールをそれぞれ支持する複数の支持シャフトと、
前記回転盤に自転可能に取り付けられ、前記軸に関して前記複数の支持シャフトの反対側にそれぞれ配される複数のハンドルと、
前記複数の支持シャフトと前記複数のハンドルとのうち,前記軸に関して互いに反対側に配される前記支持シャフトと前記ハンドルの間に設けられ、前記ハンドルの自転運動を前記支持シャフトの前記軸方向の運動に変換する複数の伝動機構と、を備えるロールチェンジャー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロールチェンジャーに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されたロールチェンジャーは、回転盤と、回転盤の軸に関する周方向に等間隔で配列された状態で回転盤に取り付けられた3本のシャフトとを備える。これらシャフトにはロールが装着されており、何れかのロールからフィルムが包装機に供給される。そのロールのフィルムが無くなったら、回転盤が回転することによってロールが入れ替わり、新たなロールからフィルムが供給される。また、供給中のフィルムが蛇行したら、回転盤が3本のロール及び3本のシャフトともに軸方向に移動するので、フィルムの蛇行が修正される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公平7−94247号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、回転盤が軸方向に移動するため、供給中のロールのみならず、他のロールも軸方向に移動してしまう。そのため、回転盤及びロールを軸方向に移動させるためには大きな力を必要とする。また、回転盤の軸を軸方向に移動可能に支持する構造物にも大きな負荷が掛かってしまう。
【0005】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものである。本発明が解決しようとする課題は、支持シャフトに支持された原反ロールの軸方向の位置を小さな力でも調整出来るようにするとともに、回転盤を回転可能に支持する構造物に対する負荷の軽減を出来るようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するために、ロールチェンジャーが、軸回りに回転可能な回転盤と、前記軸に対して平行となって前記回転盤に自転可能且つ前記軸方向に移動可能に取り付けられ、前記軸に関する周方向に配列され、フィルムが巻回された原反ロールをそれぞれ支持する複数の支持シャフトと、前記回転盤に自転可能に取り付けられ、前記軸に関して前記複数の支持シャフトの反対側にそれぞれ配される複数のハンドルと、前記複数の支持シャフトと前記複数のハンドルとのうち,前記軸に関して互いに反対側に配される前記支持シャフトと前記ハンドルの間に設けられ、前記ハンドルの自転運動を前記支持シャフトの前記軸方向の運動に変換する複数の伝動機構と、を備える。
【0007】
以上によれば、何れかのハンドルを回転させれば、回転盤の軸に関してそのハンドルの反対側に配される支持シャフト及び原反ロールを軸方向に移動させることができるが、他の支持シャフト及び原反ロールは移動しない。そのため、支持シャフト及び原反ロールの軸方向の位置を調整するためのハンドルを回す力が小さくても済む。
また、ハンドルが回転盤の軸に関して支持シャフトの反対側に配されるため、作業者が手でハンドルを操作する際に、作業者の手が支持シャフト及び原反ロールに当たらない。そのため、ハンドルの操作及び支持シャフトの位置調整を安全に行える。
また、回転盤を回転可能に支持する構造物に対する負荷を軽減できる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ハンドルを回す力が小さくても、支持シャフト及び原反ロールの軸方向の位置を調整することができる。また、ハンドルの操作及び支持シャフトの位置調整を安全に行える。また、回転盤を回転可能に支持する構造物に対する負荷を軽減出来る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】スプライサーの正面図である。
図2】スプライサーの要部の拡大正面図である。
図3】回転盤の裏側を示した背面図である。
図4】回転盤及び支持シャフトの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、実施形態について説明する。但し、以下に述べる実施形態には技術的に好ましい種々の限定が付されているところ、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0011】
1. スプライサー及びそのロールチェンジャー
図1は、スプライサー1の概略正面図である。図2は、スプライサー1の引出ローラ10及び第2シーラー31及びその周辺部の拡大図である。ここで、左右の向きは、図1に矢印で示したように、スプライサー1を前から見て定める。また、上下方向とは、鉛直方向のことをいうが、鉛直方向に対して傾斜してもよい。
【0012】
このスプライサー1は包装装置に設けられている。スプライサー1はフィルム4を包装装置に連続的に供給する。包装装置は例えばピロー包装機である。被包装物がフィーダーによって包装装置に順次供給され、包装装置がスプライサー1から供給されるフィルム4により被包装物を順次包装することによって、包装物を順次作製する。
【0013】
スプライサー1は、引出ローラ10、モータ11、ピンチローラ12、ガイドローラ13、経路長調整部14、ガイドローラ15、ドライブローラ16、モータ17、ピンチローラ18、ロールチェンジャー20及び機枠80を備える。
【0014】
機枠80が内部空間を包囲するように箱状に設けられている。機枠80はターレット式のロールチェンジャー20の機枠も兼ねており、ロールチェンジャー20は機枠80の右部に設けられている。引出ローラ10及びピンチローラ12がロールチェンジャー20の左側に設けられ、ガイドローラ13が引出ローラ10の上側に設けられ、経路長調整部14が引出ローラ10及びガイドローラ13の左側に設けられ、ガイドローラ15が経路長調整部14の下側に設けられ、ドライブローラ16及びピンチローラ18の左側に設けられている。
【0015】
ロールチェンジャー20は3体の原反ロール2を自転可能及び公転可能に支持する。これら原反ロール2は、帯状のフィルム4が巻回されたものである。巻かれたフィルム4の内側の面には、シーラント層が形成されている。ロールチェンジャー20については後に詳細に説明するが、このロールチェンジャー20はフィルム4の切断及び接合をする機能を有するとともに、原反ロール2を公転させることによってこれら原反ロール2の位置を変える機能を有する。
【0016】
以下、3体の原反ロール2のうち右上の位置(以下、供給元位置Aという。)に配置された原反ロール2を供給元ロール2Aといい、右下の位置(以下、交換位置Cという。)に配置された原反ロール2を交換済みロール2Cといい、左の位置(以下、待機位置Bという。)に配置された原反ロール2を待機ロール2Bという。また、以下、供給元ロール2Aから引き出されるフィルム4を搬送フィルム4Aといい、待機ロール2Bから引き出されるフィルム4を待機フィルム4Bといい、交換済みロール2Cから引き出されるフィルム4を交換済みフィルム4Cという。
【0017】
搬送フィルム4Aは順に引出ローラ10、ガイドローラ13、経路長調整部14及びドライブローラ16に案内されているとともに、引出ローラ10、ガイドローラ13、経路長調整部14及びドライブローラ16に巻き掛けられている。搬送フィルム4Aはドライブローラ16から包装装置へ案内されている。搬送フィルム4Aは、引出ローラ10とピンチローラ12との間に挟まれているとともに、ドライブローラ16とピンチローラ18との間に挟まれている。
【0018】
経路長調整部14は複数の第1ローラ14a及び複数の第2ローラ14bを有する。第1ローラ14aが第2ローラ14bの右側に配置されており、搬送フィルム4Aは第1ローラ14aと第2ローラ14bに交互に巻き掛けられている。第2ローラ14bが直動機構(例えば、ピニオンラック機構、ボールねじ伝動機構等)によって右方へ第1ローラ14aに近づいたり、第1ローラ14aから左方へ離れたりする。これにより、引出ローラ10からドライブローラ16までの搬送フィルム4Aの経路長が調整される。
【0019】
ロールチェンジャー20は、回転盤22、回転駆動機23、3本の支持シャフト24、3体のブレーキ25、3本のガイドローラ26、3本の折り返しローラ27、3体の留め具28、3体の第1シーラー30、第2シーラー31、アクチュエータ33、切断刃34、アクチュエータ35及び透明ケース90を備える。
【0020】
透明ケース90は、機枠80の前側の空間を包囲するように機枠80の前面に取り付けられている。透明ケース90の内側に、引出ローラ10、ピンチローラ12、ガイドローラ13、経路長調整部14、ドライブローラ16及びピンチローラ18が収容されている。
【0021】
円形の回転盤22は、透明ケース90の内側において、鉛直な面内で回転するように機枠80の前面に取り付けられている。具体的には、円形状の開口81が機枠80の前面に形成され、複数のガイドローラ又はカムフォロワが機枠80の開口81に沿って配列されるとともに機枠80に取り付けられており、回転盤22は開口81に嵌め込まれ、回転盤22の外周がガイドローラ又はカムフォロワに摺接する。これにより、回転盤22は、回転盤22の幾何重心を通る中心軸の回りに回転可能となって機枠80に支持されている。
【0022】
3本の支持シャフト24がそれらの中心軸が回転盤22の中心軸に対して平行となって回転盤22に自転可能に取り付けられている。これら支持シャフト24は個別に軸方向に位置調整可能に設けられている。これら支持シャフト24は、回転盤22の中心軸に関する周方向に等間隔で配列されている。回転盤22の回転によって支持シャフト24が回転盤22の中心軸回りに公転する。これら支持シャフト24のうち回転盤22から前に突き出た部分は透明ケース90内にある。
【0023】
機枠80内において支持シャフト24がブレーキ25にそれぞれ連結され、自転中の支持シャフト24がブレーキ25から抵抗力を付与される。支持シャフト24には原反ロール2がそれぞれ装着される。
【0024】
ここで、以下、3本の支持シャフト24のうち図1中の右上の供給元位置Aに配置された支持シャフト24を供給元シャフト24Aといい、右下の交換位置Cに配置された支持シャフト24をセット用シャフト24Cといい、左の待機位置Bに配置された支持シャフト24を待機シャフト24Bという。供給元ロール2Aは供給元シャフト24Aに装着され、交換済みロール2Cはセット用シャフト24Cに装着され、待機ロール2Bは待機シャフト24Bに装着されている。
【0025】
3本の支持シャフト24の中で、待機シャフト24Bが引出ローラ10に最も近くに位置する。引出ローラ10は回転盤22の径方向外側に設けられている。引出ローラ10の右上において、第2シーラー31が回転盤22の径方向に往復移動可能となって機枠80の前面に取り付けられている。具体的には、固定ブロック32が機枠80の前面に取り付けられ、第2シーラー31が固定ブロック32に対して相対的に回転盤22の径方向に移動可能となって固定ブロック32に取り付けられている。固定ブロック32には、第2シーラー31を回転盤22の径方向に駆動するアクチュエータ33が取り付けられている。アクチュエータ33は、例えばエアシリンダ又は電磁ソレノイドである。第2シーラー31には、第2シーラー31を加熱するヒーターが設けられている。
【0026】
切断刃34は、第2シーラー31に対して相対的に径方向に移動可能となって第2シーラー31内に収容されている。この切断刃34は、切断刃34を径方向に駆動するアクチュエータ35に連結されている。
【0027】
3本のガイドローラ26、3本の折り返しローラ27、3体の留め具28及び3体の第1シーラー30が透明ケース90の内側において回転盤22に設けられているため、これらガイドローラ26、折り返しローラ27、留め具28及び第1シーラー30が回転盤22の中心軸回りに公転する。
3本のガイドローラ26は回転盤22の周方向に等間隔で配列されている。これらガイドローラ26は、回転盤22の周方向において3本の支持シャフト24の間にそれぞれ配置されている。
3本のガイドローラ26と同様に、3本の折り返しローラ27も回転盤22の周方向に等間隔で配列されている。3体の留め具28及び3体の第1シーラー30についても同様である。
折り返しローラ27は支持シャフト24の径方向外側にそれぞれ配置されている。ガイドローラ26、留め具28及び第1シーラー30及びについても同様である。
【0028】
互いに近くに設けられた1本のガイドローラ26、1本の折り返しローラ27、1体の留め具28及び1体の第1シーラー30が1つのセットを構成し、合計3セットある。これらセットはそれぞれ原反ロール2の近くに設けられている。各セット内では、折り返しローラ27、第1シーラー30、留め具28及びガイドローラ26がこれらの順に1直線状に配列されており、折り返しローラ27がガイドローラ26から回転盤22の中心軸に関する反時計回りの方向に離れている。折り返しローラ27、第1シーラー30、留め具28及びガイドローラ26の1直線状の配列は、回転盤22の中心よりも外側において回転盤22の半径に対して直交する。また、待機位置Bに位置する待機ロール2Bの近くのセット内では、引出ローラ10とガイドローラ26の間において順に折り返しローラ27、第1シーラー30及び留め具28が配列され、引出ローラ10までの距離は、折り返しローラ27、第1シーラー30、留め具28、ガイドローラ26の順に短い。
【0029】
待機位置Bに位置する待機ロール2Bに最も近いセットの第1シーラー30が透明ケース90の内側において第2シーラー31から回転盤22の中心軸に関する径方向内側に離れて、第2シーラー31に対向配置されている。従って、第2シーラー31はこの第1シーラー30に対して接離する。以下では、この第1シーラー30のことを特定第1シーラー30という。
【0030】
供給元位置Aに位置する供給元ロール2Aから引き出される搬送フィルム4Aは、供給元位置Aと待機位置Bの間に位置するガイドローラ26から、特定第1シーラー30と第2シーラー31との間を通って引出ローラ10に掛け渡されている。
【0031】
待機位置Bに位置する待機ロール2Bから引き出された待機フィルム4Bは、待機ロール2Bに最も近いセットの折り返しローラ27に巻き掛けられて、折り返されている。その待機フィルム4Bは待機ロール2Bに最も近いセットの折り返しローラ27と留め具28の間に架け渡されて、その待機フィルム4Bの先端部はその留め具28に留められている。従って、待機ロール2Bに最も近いセットの折り返しローラ27と留め具28との間において、待機フィルム4Bと搬送フィルム4Aがこれらの間に僅かな隙間を置いて重なっている。よって、第2シーラー31がアクチュエータ33によって回転盤22の中心軸に関する径方向内側に駆動されると、待機フィルム4B及び搬送フィルム4Aが特定第1シーラー30と第2シーラー31との間に挟まれて、これらのフィルム4が接合される。
【0032】
交換位置Cに位置する交換済みロール2Cから引き出された交換済みフィルム4Cは、交換済みロール2Cに最も近いセットの折り返しローラ27に巻き掛けられ、折り返されている。その交換済みフィルム4Cは交換済みロール2Cに最も近いセットの折り返しローラ27と留め具28の間に架け渡されて、その交換済みフィルム4Cの先端部がその留め具28に留められている。
【0033】
透明ケース90の前面には、開口91が形成されている。正面から見て、開口91の内側にはセット用シャフト24C、交換済みロール2C、第2ハンドル51B及び第3ハンドル51Cが収まっている。更に、セット用シャフト24Cに最も近いセットのガイドローラ26、折り返しローラ27、留め具28及び第1シーラー30も、正面から見て開口91の内側に収まっている。開口91には、透明な開閉カバー92が開閉可能に取り付けられている。開閉カバー92が開放されると、交換済みロール2Cの交換を行える。
【0034】
透明ケース90の前面のうち、待機シャフト24B、待機ロール2B、供給元シャフト24A及び供給元ロール2Aの前側の領域にも、透明な開閉カバーが開閉可能に設けられていてもよし、開閉不能な透明カバーが固定されていてもよい。
【0035】
2. スプライサーの動作
スプライサー1の動作について説明する。
供給元ロール2Aに巻かれた搬送フィルム4Aが十分に残っている場合、経路長調整部14が搬送フィルム4Aの経路長を一定に保った状態で、引出ローラ10及びドライブローラ16が互いに等しい回転速度でモータ11,17によってそれぞれ駆動される。そのため、供給元ロール2Aから搬送フィルム4Aが引き出されて、包装装置に供給される。
【0036】
一方、供給元ロール2Aに巻かれた搬送フィルム4Aが残り僅かになった場合に、引出ローラ10が停止されるが、ドライブローラ16の駆動が継続される。この際、第2ローラ14bが直動機構(例えば、ピニオンラック機構、ボールねじ伝動機構等)によって右方へ第1ローラ14aに近づくと、引出ローラ10からドライブローラ16までの搬送フィルム4Aの経路長が短くなり、フィルム4が経路長調整部14からドライブローラ16へ送り出される。そのため、引出ローラ10よりも上流では、搬送フィルム4Aの流れが止まるが、ドライブローラ16よりも下流では、搬送フィルム4Aの流れが止まらない。なお、第1ローラ14aと第2ローラ14bの両方が互いに接離するものとしてもよい。
【0037】
引出ローラ10の停止中に、アクチュエータ33が作動する。そうすると、第2シーラー31が特定第1シーラー30に近づいて、搬送フィルム4Aと待機フィルム4Bがこれらシーラー30,31の間に挟み込まれる。シーラー30,31の熱により、搬送フィルム4Aと待機フィルム4Bの内面同士が溶着される。
【0038】
次に、アクチュエータ35が進出方向に作動する。そうすると、切断刃34が第2シーラー31から特定第1シーラー30の凹所に突き出されて、搬送フィルム4A及び待機フィルム4Bが切断刃34によって切断される。その後、切断刃34がアクチュエータ35によって第2シーラー31内に引き込まれる。
【0039】
次に、アクチュエータ33が後退方向に作動する。そうすると、第2シーラー31が第1シーラー30から離れて、搬送フィルム4Aと待機フィルム4Bが解放される。アクチュエータ33の作動開始と同時にモータ11も作動開始して、引出ローラ10がドライブローラ16よりも高速に駆動される。従って、搬送フィルム4A及び待機フィルム4Bが引出ローラ10によって引張られる。また、第2ローラ14bが第1ローラ14aから離れるため、待機ロール2Bから引き出される待機フィルム4B及びそれに接合された搬送フィルム4Aが張った状態で、搬送フィルム4A及び待機フィルム4Bの経路が長くなる。その後、第2ローラ14bがその可動範囲のうち第1ローラ14aから最も離れた位置で停止するとともに、引出ローラ10のモータ11が減速して、引出ローラ10及びドライブローラ16の回転速度が互いに等しくなる。
【0040】
待機フィルム4Bが待機ロール2Bから引き出されている際に、回転駆動機23が作動して、回転盤22が時計回りに 360/N [°]回転する(ここで、Nは支持シャフト24の本数である)。そうすると、待機シャフト24B及び待機ロール2Bが待機位置Bから供給元位置Aに、供給元シャフト24A及び供給元ロール2Aが供給元位置Aから交換位置Cに、セット用シャフト24C及び交換済みロール2Cが交換位置Cから待機位置Bに公転する。そうすると、オペレータは開閉カバー92を開けて、交換位置Cに移動した原反ロール2を新たな原反ロール2に交換することができる。ここで、交換位置Cに位置する支持シャフト24は他の支持シャフト24よりも下に位置するため、身長の低いオペレータであっても原反ロール2の交換作業を容易に行える。
【0041】
3. 軸方向における支持シャフトの位置の調整
続いて、図3及び図4を参照して、軸方向における支持シャフト24の位置の個別調整について説明する。図3は、回転盤22の裏面を示した背面図である。図4は回転盤22及び何れか1本の支持シャフト24を示した側面図であるものの、何れの支持シャフト24も図4のようにして回転盤22に取り付けられている。
【0042】
3体の軸受24aが回転盤22の周方向に一定間隔を置いて回転盤22に取り付けられており、支持シャフト24が軸受24aにそれぞれ支持されている。軸受24aはそれぞれ支持シャフト24のラジアル荷重を受けるとともに、それぞれ支持シャフト24を軸方向に移動可能に支持する。
【0043】
ロールチェンジャー20は、3体のハンドル51及び3体の伝動機構70を備える。ハンドル51は、回転盤22に自転可能に取り付けられている。伝動機構70は、互いに対応するハンドル51と支持シャフト24の間に設けられているとともに、ハンドル51の自転運動を支持シャフト24の軸方向の運動に変換する。各伝動機構70は傘歯車52、傘歯車53、フレキシブルシャフト54、傘歯車55、傘歯車56、ネジ軸57、可動体58、リニアガイド59及びリニアシャフト60を有する。
【0044】
可動体58は、回転盤22の裏側、つまり機枠80の内側において、支持シャフト24にそれぞれ取り付けられている。この可動体58はそれぞれリニアガイド59及びリニアシャフト60によって軸方向に移動可能に支持されている。リニアガイド59の一端部はそれぞれの支持シャフト24の近傍において回転盤22に固定され、リニアガイド59の他端部が固定ブロック61にそれぞれ固定されている。リニアシャフト60の一端部がそれぞれ支持シャフト24の近傍において回転盤22に固定され、リニアシャフト60の他端部が固定ブロック61にそれぞれ固定されている。軸受62が固定ブロック61にそれぞれ取り付けられており、支持シャフト24が軸受62にそれぞれ支持されている。軸受62はそれぞれ支持シャフト24のラジアル荷重を受けるとともに、それぞれ支持シャフト24を軸方向に移動可能に支持する。
【0045】
各可動体58には雌ねじが形成されており、ネジ軸57が可動体58の雌ねじにそれぞれ噛み合っている。そのため、可動体58及び支持シャフト24はそれぞれのネジ軸57の回転により軸方向に移動する。ネジ軸57の一端が回転可能に回転盤22の裏面に取り付けられ、ネジ軸57の他端が回転可能に固定ブロック61にそれぞれ取り付けられている。
【0046】
一方、回転盤22の表側において、3体のハンドル51が回転盤22の周方向に等間隔で配列されて回転盤22に取り付けられており、回転盤22の回転によってハンドル51が回転盤22の中心軸回りに公転する。ハンドル51がそれぞれの軸回りに自転可能に設けられている。
【0047】
ハンドル51は回転盤22の中心軸に関して支持シャフト24の反対側にそれぞれ設けられている。ここで、以下では、回転盤22の中心軸に関して供給元シャフト24Aの反対側に位置するハンドル51を第1ハンドル51Aといい、回転盤22の中心軸に関して待機シャフト24Bの反対側に位置するハンドル51を第2ハンドル51Bといい、回転盤22の中心軸に関してセット用シャフト24Cの反対側に位置するハンドル51を第3ハンドル51Cという。また、供給元シャフト24Aと第1ハンドル51Aが互いに対応し、待機シャフト24Bと第2ハンドル51Bが互いに対応し、セット用シャフト24Cと第3ハンドル51Cが互いに対応する。
【0048】
回転盤22の裏側において、ハンドル51の軸には傘歯車52がそれぞれ設けられている。傘歯車52は傘歯車53にそれぞれ噛み合っている。傘歯車53はフレキシブルシャフト54の一端部にそれぞれ取り付けられている。フレキシブルシャフト54の他端部には傘歯車55がそれぞれ取り付けられている。傘歯車55は傘歯車56にそれぞれ噛み合っている。傘歯車56はネジ軸57と同軸になるようにネジ軸57にそれぞれ取り付けられている。
【0049】
オペレータが開閉カバー92を開けて、第1ハンドル51Aを回転させると、その回転力がフレキシブルシャフト54によってネジ軸57に伝達するので、可動体58及び供給元シャフト24Aが軸方向に移動する。これにより、軸方向における供給元シャフト24A及び供給元ロール2Aの位置を調整することができ、搬送フィルム4Aの幅方向の位置も調整することができる。このような調整は、搬送フィルム4Aの搬送中にも行える。
【0050】
ここで、第1ハンドル51Aは他のハンドル51B,51Cよりも下に位置するため、身長の低いオペレータであっても第1ハンドル51Aの回転を容易に行える。また、供給元シャフト24Aは他のシャフト24B,24Cよりも上に位置するものの、第1ハンドル51Aが回転盤22の中心に関して供給元シャフト24Aの反対側に設けられているため、高い位置にある供給元ロール2Aの軸方向の位置を容易に調整することができる。また、第1ハンドル51Aが回転盤22の中心に関して供給元シャフト24Aの反対側に設けられているため、オペレータが第1ハンドル51Aを操作する際に回転中の供給元ロール2Aに誤って触れてしまうことがなく、供給元ロール2Aの軸方向の位置を安全に調整することができる。
【0051】
第2ハンドル51Bの回転により、軸方向における待機シャフト24B及び待機ロール2Bの位置を調整してもよい。また、第3ハンドル51Cの回転により、軸方向におけるセット用シャフト24C及び交換済みロール2Cの位置を調整してもよい。
【0052】
支持シャフト24が軸方向に移動可能に設けられているため、回転盤22を軸方向に移動可能に設けなくても済む。そのため、回転盤22の中心軸及び回転駆動機23の耐荷重性を高めずとも済み、ロールチェンジャー20の低コスト化が図れる。
【0053】
また、第1ハンドル51Aの自転運動が供給元シャフト24Aの直動運動に変換されるが、第1ハンドル51Aの自転運動の動力は他のシャフト24B,24Cに伝達されない。そのため、供給元シャフト24Aの位置を調整するための第1ハンドル51を回す力が小さくても済む上、第1ハンドル51が大径化せずとも済む。
【0054】
上記実施形態では、ハンドル51の回転力が傘歯車52,53、フレキシブルシャフト54及び傘歯車55,56によってネジ軸57に伝達したが、これらに代えて巻き掛け伝動機構等の伝動機構を利用してもよい。また、ネジ軸57及び可動体57からなるボールネジ伝動機構に代えてピニオンラック機構を利用して、フレキシブルシャフト54又は巻き掛け伝動機構の回転運動が支持シャフト24の直動運動に変換されてもよい。
【符号の説明】
【0055】
20…ロールチェンジャー
24…支持シャフト
51…ハンドル
70…伝動機構
図1
図2
図3
図4