【解決手段】入金処理時に、入金部20に投入された紙幣を識別部31の識別結果に基づいて複数の一時貯留領域部47に貯留させると共に、複数の一時貯留領域部47の少なくともいずれか一つが所定の貯留状態になったとき、当該所定の貯留状態の一時貯留領域部47に貯留できないオーバーフロー紙幣を収納カセット部51に貯留させる制御手段71を備える。
前記制御手段は、入金確定時には、前記複数の一時貯留領域部に貯留した紙幣を底部を開状態として前記複数の収納領域部に収納させると共に、前記収納カセット部のオーバーフロー紙幣を、前記識別部の識別結果に基づいて振り分けて、前記複数の一時貯留領域部を介して前記複数の収納領域部に収納させることを特徴とする請求項1記載の紙幣処理機。
前記収納カセット部は、機体から取り外し可能であって回収処理時に前記複数の収納領域部から繰り出された紙幣を収納すると共に、補充用の紙幣が機外で装填される収納カセット部であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項記載の紙幣処理機。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<第1実施形態>
本発明に係る第1実施形態の紙幣処理機を
図1〜
図11を参照して以下に説明する。実施形態の紙幣処理機11は、紙幣についての入出金処理等を行うものである。以下では、バラ紙幣を単に紙幣と称し、紙幣を所定の結束単位枚数(100枚)で結束した紙幣を束紙幣と称す。
【0019】
図1に示すように、第1実施形態の紙幣処理機11は、その機体10の前面側の上部に入金部20、出金返却部21(取出部)および出金リジェクト庫22が設けられている。出金返却部21は入金部20の上側に、出金リジェクト庫22は出金返却部21の上側に、それぞれ設けられている。
【0020】
入金部20は、開閉可能な図示略のシャッタを有しており、シャッタが開状態とされて機外から紙幣が投入され、その後、シャッタが閉じられて紙幣を機内に繰り出す。入金部20には、機体前面側から見て紙幣が左右方向に長手方向を沿わせた姿勢で下から上に集積されて載置されることになり、入金部20には、下部に、入金部20上に集積された紙幣を下端のものから一枚ずつ分離し所定の間隔をあけて機内へ繰り出す入金繰出部24が設けられている。紙幣は、紙幣処理機11内で、基本的にその短手方向を搬送方向に沿わせた姿勢で搬送される。
【0021】
入金部20から紙幣を繰り出す入金繰出部24は、入金部20に集積された紙幣のうちの最も下側の紙幣の短手方向の中間部に当接して、これを機内側に蹴り出す蹴出ローラ24aと、蹴出ローラ24aで蹴り出された紙幣を機内に繰り出す繰出ローラ24bと、繰出ローラ24bで機内に繰り出す紙幣を一枚ずつに分離する分離ローラ24cとを有している。入金繰出部24の直後位置には、入金繰出部24から繰り出された紙幣に、複数枚重なった状態の重送、搬送方向に対し斜めの姿勢となる斜行、あるいは隣り合う紙幣同士の搬送間隔が狭いニアフィード等の搬送異常があるか否かと、半券等の形状異常があるか否かとを光学的に検出する入口センサ25が設けられている。
【0022】
出金返却部21は、開閉可能な図示略のシャッタを有しており、シャッタが閉状態とされて機内から出金用の紙幣が繰り出され、その後、シャッタが開かれることで紙幣が機外に取り出される。言い換えれば、出金返却部21は、紙幣を機外に取り出し可能とする。出金返却部21には、入金処理時等にリジェクトされる紙幣も繰り出される。出金返却部21は、機内から繰り出された紙幣が、機体前面側から見て左右方向に長手方向を沿わせた姿勢で下から上に集積されて載置されることになる。
【0023】
出金リジェクト庫22は、紙幣処理機11の機体10から着脱可能となっている。出金リジェクト庫22は、機内から繰り出された紙幣が、機体前面側から見て左右方向に長手方向を沿わせた姿勢で下から上に集積されて載置される。出金リジェクト庫22は、内部に紙幣を収納した状態のまま、機体10から取り外される。
【0024】
紙幣処理機11の後部には、入金部20から繰り出された紙幣の真偽と、真紙幣の金種と、重送、斜行あるいはニアフィード等の搬送異常の有無等を識別する識別部31が設けられている。識別部31は、紙幣の表裏、上下(天地)および左右等も識別する。
【0025】
入金部20、出金返却部21および出金リジェクト庫22の後方には、紙幣を整列させて所定の結束単位枚数ずつ集積させる複数、具体的には2カ所の整列部35,36が設けられている。また、この整列部35,36の後方には、整列部35,36で集積された結束単位枚数の紙幣を上方に搬送する昇降搬送部37が設けられている。また、整列部35,36の上方には、整列部35,36で集積され昇降搬送部37で搬送されてきた結束単位枚数の紙幣に結束テープを巻き回して束紙幣とする結束部38が設けられている。この結束部38の前側には結束部38で作成された束紙幣を機外に取り出し可能に繰り出す束出金部39が設けられている。束出金部39も開閉可能な図示略のシャッタを有しており、シャッタが閉状態とされて機内から束紙幣が繰り出され、その後、シャッタが開かれることで束紙幣が機外に取り出される。
【0026】
紙幣処理機11の下部には、複数具体的には4個の同様の構造の一時貯留収納庫41(収納部)が、上下左右の位置を合わせて前後に配置されている。これら一時貯留収納庫41は、紙幣を収納可能であって収納している紙幣を繰り出し可能な収納カセット部であり、機体10から取り外し可能となっている。
【0027】
紙幣処理機11において、最も奥側に配置された一時貯留収納庫41(A)、奥から2番目に配置された一時貯留収納庫41(B)、奥から3番目に配置された一時貯留収納庫41(C)および奥から4番目に配置された一時貯留収納庫41(D)は、いずれも所定の単一金種の紙幣を下から上に集積させた状態で入金確定前に一時貯留すると共に、入金確定後に繰り出し可能となるように収納するものである。
【0028】
一時貯留収納庫41(A)は、所定の単一の第1金種の紙幣(例えば万円券)を、一時貯留収納庫41(B)は、所定の単一の第2金種の紙幣(例えば五千円券)を、一時貯留収納庫41(C)は、所定の単一の第3金種の紙幣(例えば千円券)を、一時貯留収納庫41(D)は、所定の単一の第4金種の紙幣(例えば二千円券)を、それぞれ繰り出し可能に収納する。すなわち、紙幣処理機11は、単一金種用の一時貯留収納庫41を複数個、金種別に有している。なお、一時貯留収納庫41は、複数個あれば良く、収納パターンは、それぞれが単一金種の紙幣を収納するパターンに限らない。複数の一時貯留収納庫41のそれぞれについて、収納パターンを、単一金種の紙幣を収納する一時貯留収納庫41と、所定の複数金種の紙幣を混合で収納する一時貯留収納庫41と、全金種の紙幣を混合で収納する一時貯留収納庫41との中から、適宜選択して設定することができる。
【0029】
一時貯留収納庫41(A)〜41(D)のそれぞれの上部には、それぞれの内部に紙幣を取り込んで下から上に集積させるとともに内部の紙幣を最上のものから一枚ずつ分離して所定の間隔をあけて繰り出す取込繰出部42が設けられている。一時貯留収納庫41(A)〜41(D)のそれぞれには、紙幣を収容する内部空間を上下に仕切る昇降可能かつ開閉可能なフラッパ43(底部)と、内部空間内を昇降するエレベータ44とが設けられている。
【0030】
取込繰出部42は、フラッパ43上あるいはエレベータ44上に集積された紙幣のうちの最上位置の紙幣の短手方向の中間部に当接して、これを一時貯留収納庫41外に向け蹴り出す蹴出ローラ42aと、蹴出ローラ42aで蹴り出された紙幣を一時貯留収納庫41外に繰り出す繰出ローラ42bと、繰出ローラ42bで一時貯留収納庫41外に繰り出す紙幣を一枚ずつに分離する分離ローラ42cとを有している。繰出ローラ42bは、この繰り出し時とは逆向きに回転することで、連れ回りする分離ローラ42cとで紙幣を挟持して一時貯留収納庫41内に取り込む。
【0031】
フラッパ43は、水平に配置された一対の昇降支軸43aと、一対の板状のフラッパ本体43bとを有している。一方のフラッパ本体43bは一方の昇降支軸43aに支持されており、この昇降支軸43aを中心に回転可能となっている。他方のフラッパ本体43bは他方の昇降支軸43aに支持されており、この昇降支軸43aを中心に回転可能となっている。フラッパ43は、閉状態にあるとき、一方のフラッパ本体43bが一方の昇降支軸43aから他方の昇降支軸43aに向けて水平に延出し、他方のフラッパ本体43bが他方の昇降支軸43aから一方の昇降支軸43aに向けて水平に延出する。
【0032】
フラッパ43は、開状態にあるとき、一方のフラッパ本体43bが閉状態に対して90度回転して一方の昇降支軸43aから鉛直下方に延出することになり、他方のフラッパ本体43bが閉状態に対して90度回転して他方の昇降支軸43aから鉛直下方に延出することになる。フラッパ43は、一対の昇降支軸43aが常に高さを合わせて昇降することになり、一対のフラッパ本体43bは同期して開作動し、同期して閉作動する。一時貯留収納庫41(A)〜41(D)のそれぞれのフラッパ43は、個別の駆動機構で駆動されることになり、単独で昇降および開閉が制御される。
【0033】
フラッパ43は、閉状態にあるとき、これが設けられた一時貯留収納庫41を、フラッパ43を含むフラッパ43から上側の一時貯留領域部47と、フラッパ43より下側の収納領域部48とに区画する。言い換えれば、一時貯留収納庫41は、フラッパ43によって、上部領域の一時貯留エリアと、下部領域の収納エリアとに上下に分割される。さらに言い換えれば、一時貯留収納庫41は、フラッパ43によって、一時貯留エリアである一時貯留領域部47と、その直下の収納エリアである収納領域部48とが、区分されている。
【0034】
フラッパ43は、閉状態にあるとき、一時貯留領域部47の底部を構成することになり、取込繰出部42から繰り出された紙幣を載置させ、下から上へと集積させる。その際に、フラッパ43は、取込繰出部42から繰り出された紙幣の量に応じて下降する。また、フラッパ43は、載置させた紙幣の最上位置の紙幣を、上昇して取込繰出部42の蹴出ローラ42aに当接させる。この状態で、取込繰出部42が紙幣を一枚ずつ分離して一時貯留領域部47から繰り出す。その際に、フラッパ43は、取込繰出部42から繰り出された紙幣の量に応じて上昇する。
【0035】
フラッパ43は、一時貯留領域部47に一時貯留した紙幣を、開状態となることで、この一時貯留領域部47と同じ一時貯留収納庫41に設けられた直下の収納領域部48のエレベータ44あるいはエレベータ44上に載置されている紙幣に、載置させる。すなわち、一時貯留収納庫41(A)のフラッパ43が開状態になると、一時貯留収納庫41(A)の一時貯留領域部47に一時貯留した紙幣を、一時貯留収納庫41(A)の収納領域部48に収納する。一時貯留収納庫41(B)のフラッパ43が開状態になると、一時貯留収納庫41(B)の一時貯留領域部47に一時貯留した紙幣を、一時貯留収納庫41(B)の収納領域部48に収納する。一時貯留収納庫41(C)のフラッパ43が開状態になると、一時貯留収納庫41(C)の一時貯留領域部47に一時貯留した紙幣を、一時貯留収納庫41(C)の収納領域部48に収納する。一時貯留収納庫41(D)のフラッパ43が開状態になると、一時貯留収納庫41(D)の一時貯留領域部47に一時貯留した紙幣を、一時貯留収納庫41(D)の収納領域部48に収納する。
【0036】
フラッパ43が開状態にあるとき、このフラッパ43が設けられた一時貯留収納庫41の一時貯留領域部47と収納領域部48とが連続する状態になる。この状態で、収納領域部48のエレベータ44が上昇すると、このエレベータ44は、載置させた紙幣のうちの最上位置の紙幣を取込繰出部42の蹴出ローラ42aに当接させる。この状態で、取込繰出部42が紙幣を一枚ずつ分離して収納領域部48から繰り出す。その際に、エレベータ44は、取込繰出部42から繰り出された紙幣の量に応じて上昇する。一時貯留収納庫41(A)〜41(D)のそれぞれのエレベータ44は、個別の駆動機構で駆動されることになり、単独で昇降および開閉が制御される。
【0037】
以上により、一時貯留収納庫41(A)〜41(D)は、複数の金種別の一時貯留領域部47を有している。金種別の一時貯留領域部47は、それぞれが単一金種の紙幣を取り込み可能かつ繰り出し可能に一時貯留することになり、それぞれの底部であるフラッパ43が開閉可能となっている。また、一時貯留収納庫41(A)〜41(D)は、同一金種用の一時貯留領域部47の直下に設けられ、フラッパ43が開状態とされた同一金種用の一時貯留領域部47から紙幣を受け入れて繰り出し可能に収納する収納領域部48を金種別に複数有している。
【0038】
紙幣処理機11の下部には、一時貯留収納庫41(D)の前側に、機体10から取り外し可能であって回収処理時に金種別の収納領域部48から繰り出された紙幣を取り込んで収納すると共に、補充処理時に補充用の紙幣が機外で装填され、装填された紙幣を繰り出す一括一時貯留部としての収納カセット部51が設けられている。収納カセット部51は、紙幣を収納可能であって収納している紙幣を繰り出し可能となっている。収納カセット部51は金種別の一時貯留収納庫41(A)〜41(D)と上下左右の位置を合わせて前後に並んでいる。
【0039】
収納カセット部51は、紙幣を取り込み可能かつ繰り出し可能に収納するものであり、その上部には、内部に紙幣を取り込むとともに内部の紙幣を最上位置のものから一枚ずつ分離して所定の間隔をあけて繰り出す取込繰出部52が設けられている。収納カセット部51には、内部空間内を昇降するエレベータ53が設けられている。ここで、収納カセット部51には、一時貯留収納庫41(A)〜41(D)のような内部空間を上下に仕切るフラッパは設けられていない。
【0040】
取込繰出部52は、エレベータ53上に集積された紙幣のうちの最上位置の紙幣の短手方向の中間部に当接して、これを収納カセット部51外に向けて蹴り出す蹴出ローラ52aと、蹴出ローラ52aで蹴り出された紙幣を収納カセット部51外に繰り出す繰出ローラ52bと、繰出ローラ52bで収納カセット部51外に繰り出す紙幣を一枚ずつに分離する分離ローラ52cとを有している。繰出ローラ52bは、この繰り出し時とは逆向きに回転することで、連れ回りする分離ローラ52cとで紙幣を挟持して収納カセット部51内に取り込む。
【0041】
収納カセット部51の紙幣を取込繰出部52が収納カセット部51外に繰り出す際に、エレベータ53は、載置させた紙幣のうちの最上位置の紙幣を取込繰出部52の蹴出ローラ52aに当接させる。この状態で、取込繰出部52が紙幣を一枚ずつ分離して繰り出す。その際に、エレベータ53は、取込繰出部52から繰り出された紙幣の量に応じて上昇する。また、取込繰出部52が収納カセット部51内に紙幣を繰り出す際に、繰出ローラ52bは、上記とは逆に回転することで、エレベータ53上に紙幣を繰り出す。その際に、エレベータ53は、取込繰出部52から繰り出された紙幣の量に応じて下降する。
【0042】
紙幣処理機11の内部には、入金部20から入金繰出部24で繰り出された紙幣を含んで紙幣を搬送する搬送部61が各部を適宜繋ぐように設けられている。搬送部61は、紙幣を、基本的にその短手方向を搬送方向に沿わせた姿勢で移動させる。
【0043】
搬送部61は、機体10の前部に設けられた入金部20の紙幣を機体10の後部に設けられた識別部31に向けて搬送し、さらに、機体10の前部に設けられた収納カセット部51に向けて搬送する搬送路61Aを有している。搬送路61Aは、入金部20の入金繰出部24から後方に、後述する搬送路61Jと搬送路61Mとの間まで延出した後、下方に延出し、その後、後方に延出して識別部31を通り、下側にて前向きに折り返して前方に延出して紙幣処理機11の前端から下方に延出して収納カセット部51の取込繰出部52に繋がる。
【0044】
また、搬送部61は、搬送路61Aにおける収納カセット部51への接続位置と識別部31との間から下方に分岐して一時貯留収納庫41(A)の取込繰出部42に繋がる搬送路61Cと、搬送路61Aにおける収納カセット部51への接続位置と搬送路61Cの分岐位置との間から下方に分岐して一時貯留収納庫41(B)の取込繰出部42に繋がる搬送路61Dと、搬送路61Aにおける収納カセット部51への接続位置と搬送路61Dの分岐位置との間から下方に分岐して一時貯留収納庫41(C)の取込繰出部42に繋がる搬送路61Eと、搬送路61Aにおける収納カセット部51への接続位置と搬送路61Eの分岐位置との間から下方に分岐して一時貯留収納庫41(D)の取込繰出部42に繋がる搬送路61Fとを有している。
【0045】
また、搬送部61は、搬送路61Aにおける最も収納カセット部51側から上方に分岐した後に後方に延出して搬送路61Aの入金部20から識別部31に向かいつつ下方に延出する部分の下部に繋がる搬送路61Gと、搬送路61Aの搬送路61Fの分岐位置と搬送路61Gの分岐位置との間位置から上方に分岐して搬送路61Gの途中位置に繋がる搬送路61Hと、搬送路61Gにおける搬送路61Hの接続位置と搬送路61Aへの接続位置との間位置から上方に分岐して搬送路61Aにおける搬送路61Gの接続位置と入口センサ25との間に繋がる搬送路61Jとを有している。
【0046】
また、搬送部61は、搬送路61Aにおける搬送路61Gの接続位置と搬送路61Jの接続位置との間から後方に分岐した後、上方に延出し、その後、前方に延出して出金返却部21に繋がる搬送路61Kと、搬送路61Kの上部の途中位置から分岐して出金リジェクト庫22に繋がる搬送路61Lとを有している。
【0047】
また、搬送部61は、搬送路61Aにおける搬送路61Gの接続位置と識別部31との間から上方に分岐して搬送路61Kにおける搬送路61Aからの分岐位置と搬送路61Lの分岐位置との間に接続される搬送路61Mと、搬送路61Aにおける搬送路61Mの分岐位置と識別部31との間から分岐して搬送路61Mの中間位置に繋がる搬送路61Nとを有している。搬送路61Nには、紙幣の表裏を反転させる表裏反転部63が設けられている。
【0048】
また、搬送部61は、搬送路61Kにおける搬送路61Lの分岐位置と搬送路61Mの合流位置との間から後方に分岐して整列部35に繋がる搬送路61Pと、搬送路61Kにおける搬送路61Pの分岐位置と搬送路61Mの合流位置との間から後方に分岐して整列部36に繋がる搬送路61Qとを有している。
【0049】
識別部31は、搬送部61によって搬送される紙幣を識別することになり、一時貯留収納庫41(A)〜41(D)および収納カセット部51は、識別部31によって識別した紙幣を繰り出し可能に収納する。
【0050】
紙幣処理機11は、操作者によって操作入力がなされるとともに操作者に対して表示を行う操作表示部70と、紙幣処理機11の全体を制御する制御部71(制御手段)とを有している。
【0051】
次に、第1実施形態の紙幣処理機11の各処理について説明する。
【0052】
待機状態にあるとき、一時貯留収納庫41(A)〜41(D)は、すべてが一時貯留領域部47を空の状態としており、収納領域部48に適宜の紙幣を収納している。また、待機状態にあるとき、フラッパ43は、閉状態で紙幣を受け入れ可能な上部の所定の待機位置に位置しており、エレベータ44は最下の待機位置に位置している。また、待機状態にあるとき、収納カセット部51は空の状態であり、収納カセット部51のエレベータ53は紙幣を受け入れ可能な上部の所定の待機位置に位置している。
【0053】
[入金処理]
図2の太線は、機外から入金部20に投入された紙幣を搬送しつつ識別および計数して一時貯留する入金処理の紙幣搬送ルートを示している。つまり、操作表示部70に入金処理の選択操作がなされると、制御部71は、入金処理を開始して入金繰出部24、搬送部61、一時貯留収納庫41(A)〜41(D)の各取込繰出部42および収納カセット部51の取込繰出部52を駆動する。すると、入金繰出部24は、入金部20に投入された紙幣を最下のものから順に、蹴出ローラ24aで蹴り出し繰出ローラ24bおよび分離ローラ24cで一枚ずつに分離しつつ所定の間隔をあけて繰り出すことになり、繰り出した紙幣を、搬送路61Aが搬送することになる。入金繰出部24から繰り出された紙幣は、繰り出し直後に入口センサ25で、搬送異常の有無と形状異常の有無とが検出される。
【0054】
制御部71は、入口センサ25で搬送異常あるいは形状異常があることが検出された異常紙幣については、
図2に太実線から太一点鎖線に示すように、搬送路61Aの入金部20側の端部と搬送路61M,61Kとで出金返却部21に搬送する。すなわち、入口センサ25で搬送異常あるいは形状異常があることが検出された異常紙幣については、入金部20から識別部31に向かう搬送路61Aから分岐し、分岐後はこの搬送路61Aに交わることがない搬送路61M,61Kで、識別部31に搬送することなく出金返却部21に搬送する。他方、入口センサ25で搬送異常および形状異常のいずれも検出されなかった紙幣については、
図2に太実線で示すように、搬送路61Aで識別部31に搬送する。そして、この搬送中に識別部31が紙幣を識別および計数することになり、制御部71は、識別部31で受け入れ可能と識別した紙幣、すなわち取り扱い可能な金種の真券で正常搬送の正常紙幣を、
図2に太実線で示すように、搬送路61C,61D,61E,61Fで金種別に振り分ける。
【0055】
これにより、金種別の一時貯留収納庫41(A)〜41(D)が、それぞれ取込繰出部42によって、一時貯留領域部47の閉状態で待機位置にあるフラッパ43上に紙幣を集積させることになる。すなわち、制御部71は、受け入れ可能と識別した紙幣のうち、第1金種の紙幣(例えば万円券)を一時貯留収納庫41(A)の一時貯留領域部47に、第2金種の紙幣(例えば五千円券)を一時貯留収納庫41(B)の一時貯留領域部47に、第3金種の紙幣(例えば千円券)を一時貯留収納庫41(C)の一時貯留領域部47に、第4金種の紙幣(例えば二千円券)を一時貯留収納庫41(D)の一時貯留領域部47に、それぞれ一時貯留させる。
【0056】
ここで、制御部71は、一時貯留収納庫41(A)〜41(D)のそれぞれの一時貯留領域部47の紙幣の貯留量を監視しており、フラッパ43を閉状態のまま紙幣の貯留量に応じた量下降させることになる。また、制御部71は、フラッパ43が開作動可能な開可能最下位置まで下降したか否かを監視しており、フラッパ43が開可能最下位置まで下降すると、一時貯留領域部47が、所定の貯留状態である満杯状態になったと判定し、その後のこの一時貯留領域部47に貯留すべき金種の紙幣を、
図2に太実線で示すように、搬送路61Aで収納カセット部51のエレベータ53上に一時貯留する。制御部71は、収納カセット部51の紙幣の貯留量を監視しており、エレベータ53を貯留量に応じた量下降させることになる。ここで、一時貯留収納庫41(A)〜41(D)のそれぞれのフラッパ43の開可能最下位置は、フラッパ43が、フラッパ43の直下の、エレベータ44を最下の待機位置に位置させている収納領域部48に収納されている紙幣に対し、接触しないで開作動可能な位置であり、よって、フラッパ43より下側の収納領域部48に収納されている紙幣の量に応じた高さ位置となる。
【0057】
制御部71は、例えば、一時貯留収納庫41(A)の一時貯留領域部47が満杯状態になったと判定すると、当該満杯状態の一時貯留領域部47に貯留できないオーバーフロー紙幣である、その後の第1金種の紙幣を収納カセット部51に一時貯留させる。また、制御部71は、例えば、一時貯留収納庫41(A)の一時貯留領域部47が満杯状態になった後、一時貯留収納庫41(B)の一時貯留領域部47が満杯状態になったと判定すると、当該満杯状態の一時貯留領域部47に貯留できないオーバーフロー紙幣である、その後の第2金種の紙幣を第1金種の紙幣に加えて収納カセット部51に一時貯留させる。また、制御部71は、例えば、一時貯留収納庫41(A)の一時貯留領域部47および一時貯留収納庫41(B)の一時貯留領域部47が満杯状態になった後、一時貯留収納庫41(C)の一時貯留領域部47が満杯状態になったと判定すると、当該満杯状態の一時貯留領域部47に貯留できないオーバーフロー紙幣である、その後の第3金種の紙幣を第1金種および第2金種の紙幣に加えて収納カセット部51に一時貯留させる。
【0058】
すなわち、制御部71は、入金処理時に、入金部20に投入された紙幣を識別部31の識別結果に基づいて金種別の一時貯留収納庫41(A)〜41(D)の一時貯留領域部47に貯留させると共に、金種別の一時貯留収納庫41(A)〜41(D)の一時貯留領域部47の少なくともいずれか一つが所定の貯留状態である満杯状態になったとき、当該満杯状態の一時貯留領域部47に貯留できないオーバーフロー紙幣を収納カセット部51に一時貯留させる。収納カセット部51は、複数金種のオーバーフロー紙幣がある場合には、これらのオーバーフロー紙幣を一括して金種混合で一時貯留する。収納カセット部51は、一時貯留収納庫41(A)〜41(D)のそれぞれの一時貯留領域部47よりも紙幣の収納容量が大きくなっている。実施形態では、所定の貯留状態を、紙幣の貯留量が予め定められた満杯量となる満杯状態とし、満杯量を超える量の紙幣をオーバーフロー紙幣としているが、これに限らない。すなわち、所定の貯留状態は、紙幣の貯留量が予め定められた所定の貯留量となった状態であれば良く、この所定の貯留量を超える量の紙幣がオーバーフロー紙幣となる。例えば、所定の貯留状態を、貯留量が満杯量よりも所定量少ないニアフル量となるニアフル状態とし、このニアフル量を超える量の紙幣をオーバーフロー紙幣としても良い。
【0059】
他方、制御部71は、入金部20から入金繰出部24で繰り出された紙幣のうち、識別部31で受け入れ不可と識別した紙幣、すなわち金種識別できない金種識別不良の紙幣と、重送、斜行あるいはニアフィード等の搬送異常の紙幣とをリジェクト紙幣として、
図2に太実線、太破線および太一点鎖線で示すように、搬送路61Aから搬送路61H、搬送路61G、搬送路61A、搬送路61Mおよび搬送路61Kで出金返却部21に搬送する。
【0060】
なお、このとき、入金部20から出て搬送路61A上を識別部31に向かう紙幣と、搬送路61H,61Gから搬送路61Aを通って搬送路61Mに向かう紙幣とが、搬送路61Aの一部を共通使用することになるため、この部分で交差する可能性がある。このため、識別部31で紙幣を受け入れ不可と判定すると、制御部71は、この紙幣との交差のタイミングを見計らって、入金繰出部24を停止させて、入金部20からの紙幣の繰り出しを中断する。すなわち、識別部31で受け入れ不可と判定されたリジェクト紙幣が、遅くとも搬送路61Gから搬送路61Aに入る時点では、搬送路61Aの搬送路61Mの分岐位置よりも入金部20側に紙幣が存在しないように、入金繰出部24を停止させる。識別部31で受け入れ不可と判定されたリジェクト紙幣が、その後、搬送路61Aから搬送路61Mに入ると、制御部71は、入金繰出部24の駆動を再開させる。
【0061】
以上の入金処理の作動を行うことによって、入金部20の紙幣がなくなり、入金部20から繰り出されたすべての紙幣が、一時貯留収納庫41(A)〜41(D)の一時貯留領域部47、収納カセット部51および出金返却部21のいずれかに搬送されると、制御部71は、出金返却部21のシャッタを開いて出金返却部21から紙幣を取り出し可能にするとともに、識別部31で受け入れ可能と判定して一時貯留収納庫41(A)〜41(D)の一時貯留領域部47および収納カセット部51に一時貯留した紙幣の金種別の枚数および総額等を操作表示部70に表示させる。そして、制御部71は、操作表示部70への入金確定操作および入金キャンセル操作の入力を待機する状態となって入金処理を終了する。
【0062】
[第1収納処理]
入金処理後、操作表示部70への入金確定操作が入力された入金確定時に、制御部71は、入金を確定するとともに、入金処理にて一時貯留収納庫41(A)〜41(D)の一時貯留領域部47に一時貯留した紙幣を、まず、一時貯留収納庫41(A)〜41(D)の収納領域部48に収納する第1収納処理を行う。
図3の太線は、この第1収納処理の紙幣搬送ルートを示している。
【0063】
第1収納処理において、制御部71は、一時貯留収納庫41(A)〜41(D)のうち紙幣を一時貯留させているものの一時貯留領域部47のみについて、フラッパ43を開可能最下位置に位置させてから、フラッパ43を開いて、フラッパ43上にあった紙幣を、収納領域部48のエレベータ44あるいはエレベータ44上の紙幣に受け渡す。すなわち、第1収納処理では、搬送部61を介さずに一時貯留収納庫41(A)〜41(D)内で一時貯留領域部47から対応する収納領域部48に紙幣を収納する。なお、フラッパ43を開く前に下降させて開可能最下位置に位置させてから開く以外にも、フラッパ43を停止状態とし、エレベータ53を、フラッパ43を開可能な範囲の最上位置まで上昇させてからフラッパ43を開いても良い。また、フラッパ43が開可能な範囲でフラッパ43およびエレベータ53を両方移動させて近づけてからフラッパ43を開いても良い。
【0064】
具体的に、制御部71は、一時貯留収納庫41(A)の一時貯留領域部47に第1金種の紙幣が一時貯留されている場合は、この一時貯留領域部47の第1金種の紙幣を同一金種用である一時貯留収納庫41(A)の収納領域部48に収納させる。また、一時貯留収納庫41(B)の一時貯留領域部47に第2金種の紙幣が一時貯留されている場合は、この一時貯留領域部47の第2金種の紙幣を同一金種用である一時貯留収納庫41(B)の収納領域部48に収納させる。また、一時貯留収納庫41(C)の一時貯留領域部47に第3金種の紙幣が一時貯留されている場合は、この一時貯留領域部47の第3金種の紙幣を同一金種用である一時貯留収納庫41(C)の収納領域部48に収納させる。また、一時貯留収納庫41(D)の一時貯留領域部47に第4金種の紙幣が一時貯留されている場合は、この一時貯留領域部47の第4金種の紙幣を同一金種用である一時貯留収納庫41(D)の収納領域部48に収納させる。
【0065】
なお、第1収納処理においても、フラッパ43の開可能最下位置は、フラッパ43より下側の収納領域部48に収納されている紙幣の量に応じて設定される。フラッパ43を開いて、フラッパ43上の紙幣を、収納領域部48のエレベータ44あるいはエレベータ44上の紙幣に受け渡すと、制御部71は、入金処理において収納カセット部51に収納させたオーパーフロー紙幣の有無を判定する。そして、収納カセット部51にオーパーフロー紙幣がない場合に、制御部71は、一時貯留領域部47から収納領域部48に紙幣を受け渡したフラッパ43を待機位置に戻し閉状態として収納処理を終了する。すなわち、入金処理において収納カセット部51に一時貯留したオーバーフロー紙幣がない場合には、収納処理として第1収納処理のみを行う。他方、入金処理において収納カセット部51に一時貯留した紙幣がある場合には、一時貯留領域部47から収納領域部48に紙幣を受け渡したフラッパ43は開状態のまま後述の第2収納処理を行う。
【0066】
以上により、制御部71は、入金確定時には、金種別の一時貯留収納庫41(A)〜41(D)のそれぞれの一時貯留領域部47のフラッパ43を開状態として、金種別の一時貯留領域部47に貯留させた紙幣を、金種別の一時貯留領域部47のそれぞれの直下の同一金種用の収納領域部48に収納させる。
【0067】
ここで、一時貯留収納庫41(A)〜41(D)のうち、複数のものの一時貯留領域部47に紙幣が一時貯留されている場合、制御部71は、フラッパ43が開可能最下位置に位置したものから順にフラッパ43を開作動させることになるが、これらのフラッパ43を同時に開作動させるようにしても良い。
【0068】
なお、第1収納処理において、一時貯留収納庫41(A)〜41(D)のすべての一時貯留領域部47について、紙幣を一時貯留しているか否かにかかわらず、フラッパ43を開可能最下位置に位置させてから開いて、フラッパ43上に紙幣がある場合に、紙幣を、収納領域部48のエレベータ44あるいはエレベータ44上の紙幣に受け渡すように動作させても良い。
【0069】
[第2収納処理]
図4の太線は、収納カセット部51に一時貯留したオーバーフロー紙幣を、一時貯留収納庫41(A)〜41(D)のそれぞれの収納領域部48に分配して収納する第2収納処理の紙幣搬送ルートを示している。第2収納処理では、制御部71は、収納カセット部51のエレベータ53を上昇させてエレベータ53上の最上位置の紙幣を取込繰出部52の蹴出ローラ52aに当接させる。また、制御部71は、一時貯留収納庫41(A)〜41(D)のうち、収納カセット部51に一時貯留した紙幣の収納先となるフラッパ43が開状態となっているものの、収納領域部48のエレベータ44を、収納領域部48内の紙幣の収納量に応じて、取込繰出部42から繰り出された紙幣を受け入れ可能な位置まで上昇させる。それと共に、制御部71は、取込繰出部52、搬送部61および一時貯留収納庫41(A)〜41(D)の取込繰出部42を駆動する。なお、一時貯留収納庫41(A)〜41(D)のすべてについて、オーバーフロー紙幣を収納するか否かにかかわらず、フラッパ43を開状態として、収納領域部48のエレベータ44を、取込繰出部42から繰り出された紙幣を受け入れ可能な位置まで上昇させるようにしても良い。
【0070】
すると、収納カセット部51の紙幣を最上位置のものから蹴出ローラ52aが蹴り出し繰出ローラ52bおよび分離ローラ52cで一枚ずつに分離しつつ所定の間隔をあけて繰り出すことになり、繰り出した紙幣を、
図4に太実線で示すように、搬送路61A,61G,61Aで識別部31に搬送し、識別部31が識別する。そして、制御部71は、識別部31で正常と識別された正常紙幣を、識別結果に基づいて、搬送路61A,61C〜61Fの対応するものによって、一時貯留収納庫41(A)〜41(D)の対応するものに搬送する。これにより、収納カセット部51に一時貯留した紙幣のうち、識別部31で正常と識別された正常紙幣を、一時貯留収納庫41(A)〜41(D)の対応するものの収納領域部48にフラッパ43が開状態の一時貯留領域部47を介して収納する。すなわち、第2収納処理では、収納カセット部51の紙幣を搬送部61を介して一時貯留収納庫41(A)〜41(D)の収納領域部48に収納する。
【0071】
具体的に、制御部71は、収納カセット部51から繰り出された紙幣が第1金種の正常紙幣である場合、この紙幣を一時貯留収納庫41(A)の収納領域部48に収納させることになり、収納カセット部51から繰り出された紙幣が第2金種の正常紙幣である場合、この紙幣を一時貯留収納庫41(B)の収納領域部48に収納させることになる。また、制御部71は、収納カセット部51から繰り出された紙幣が第3金種の正常紙幣である場合、この紙幣を一時貯留収納庫41(C)の収納領域部48に収納させることになり、収納カセット部51から繰り出された紙幣が第4金種の正常紙幣である場合、この紙幣を一時貯留収納庫41(D)の収納領域部48に収納させることになる。このときも、制御部71は、一時貯留収納庫41(A)〜41(D)のそれぞれの収納領域部48に搬送される紙幣の量に応じてエレベータ44を下降させる。
【0072】
このようにして、収納カセット部51に一時貯留していたすべての紙幣を、一時貯留収納庫41(A)〜41(D)のいずれかの収納領域部48あるいは後述するように出金リジェクト庫22に収納させると、制御部71は、一時貯留収納庫41(A)〜41(D)のすべての収納領域部48のエレベータ53を最下の待機位置まで下降させた後、一時貯留収納庫41(A)〜41(D)のすべてのフラッパ43を待機位置に戻し閉状態として収納処理を終了する。すなわち、入金処理において収納カセット部51に一時貯留したオーバーフロー紙幣がある場合には、収納処理として第1収納処理および第2収納処理の両方を行う。
【0073】
ここで、第2収納処理中に、収納カセット部51から繰り出された紙幣のうち、識別部31が、重送、斜行あるいはニアフィード等の搬送異常と識別したり、金種が識別できない金種識別不良と識別したリジェクト紙幣については、
図4に太実線および太破線で示すように、搬送路61A,61H,61G,61M,61K,61Lによって出金リジェクト庫22に搬送し、出金リジェクト庫22に収納する。
【0074】
このとき、収納カセット部51から繰り出されて搬送路61A,61G,61Aで識別部31に向かう紙幣と、搬送路61A,61H,61G,61A,61Mで出金リジェクト庫22に向かうリジェクト紙幣とが、搬送路61G,61Aの一部を共通使用することになるため、この部分で交差する可能性がある。よって、識別部31でリジェクト紙幣を検出すると、制御部71は、この紙幣との交差のタイミングを見計らって、収納カセット部51の取込繰出部52を停止させて、収納カセット部51からの紙幣の繰り出しを中断する。すなわち、識別部31で検出したリジェクト紙幣が、遅くとも搬送路61Hから搬送路61Gに入る時点では、搬送路61A,61G,61Aの搬送路61Mの分岐位置よりも収納カセット部51側に紙幣がなくなるように、取込繰出部52を停止させる。また、識別部31で検出したリジェクト紙幣が、搬送路61Aから搬送路61Mに入ると、取込繰出部52の駆動を再開させる。
【0075】
以上のように、入金確定時に収納処理として第1収納処理および第2収納処理の両方を行う場合に、制御部71は、金種別の一時貯留収納庫41(A)〜41(D)の一時貯留領域部47に貯留した紙幣をフラッパ43を開状態として金種別の一時貯留収納庫41(A)〜41(D)の収納領域部48に収納させると共に、収納カセット部51のオーバーフロー紙幣を、識別部31の識別結果に基づいて振り分けて、フラッパ43が開状態にある金種別の一時貯留収納庫41(A)〜41(D)の一時貯留領域部47を介して金種別の一時貯留収納庫41(A)〜41(D)の収納領域部48に収納させる。
【0076】
[返却処理]
入金処理後、操作表示部70への入金キャンセル操作が入力された入金キャンセル時に、制御部71は、入金を確定せず、入金処理にて一時貯留収納庫41(A)〜41(D)の一時貯留領域部47および収納カセット部51に一時貯留した紙幣をすべて、出金返却部21に繰り出す返却処理を行う。
図5の太線は、この返却処理の紙幣搬送ルートを示している。
【0077】
返却処理において、制御部71は、一時貯留収納庫41(A)〜41(D)のうち一時貯留領域部47に紙幣を一時貯留しているものについて、フラッパ43を上昇させて、このフラッパ43上の紙幣のうち最上位置の紙幣を取込繰出部42の蹴出ローラ42aに当接させる。また、制御部71は、収納カセット部51に一時貯留している紙幣がある場合、エレベータ53を上昇させて、エレベータ53上の最上位置の紙幣を取込繰出部52の蹴出ローラ52aに当接させる。それと共に、制御部71は、搬送部61を駆動し、一時貯留収納庫41(A)〜41(D)の取込繰出部42および収納カセット部51の取込繰出部52のうち、一時貯留している紙幣があるものを適宜の順に駆動する。
【0078】
例えば、一時貯留収納庫41(A)の一時貯留領域部47に一時貯留している紙幣がある場合、一時貯留収納庫41(A)の取込繰出部42が、この一時貯留領域部47の紙幣を最上位置のものから蹴出ローラ42aで蹴り出し繰出ローラ42bおよび分離ローラ42cで一枚ずつに分離しつつ所定の間隔をあけて繰り出すことになり、繰り出した紙幣を、
図5に太実線で示すように、搬送路61C,61A,61Kで出金返却部21に搬送する。また、一時貯留収納庫41(B)の一時貯留領域部47に一時貯留している紙幣がある場合、この一時貯留領域部47の紙幣を同様にして繰り出し、搬送路61D,61A,61Kで出金返却部21に搬送する。一時貯留収納庫41(C)の一時貯留領域部47に一時貯留している紙幣がある場合、この一時貯留領域部47の紙幣を同様にして繰り出し、搬送路61E,61A,61Kで出金返却部21に搬送する。一時貯留収納庫41(D)の一時貯留領域部47に一時貯留している紙幣がある場合、この一時貯留領域部47の紙幣を同様にして繰り出し、搬送路61F,61A,61Kで出金返却部21に搬送する。
【0079】
また、収納カセット部51に一時貯留しているオーバーフロー紙幣がある場合、収納カセット部51の取込繰出部52が、この収納カセット部51の紙幣を最上位置のものから蹴出ローラ52aで蹴り出し繰出ローラ52bおよび分離ローラ52cで一枚ずつに分離しつつ所定の間隔をあけて繰り出すことになり、繰り出した紙幣を、搬送路61A,61Kで出金返却部21に搬送する。すなわち、制御部71は、入金キャンセル時には、金種別の一時貯留収納庫41(A)〜41(D)の一時貯留領域部47および収納カセット部51に一時貯留した紙幣を出金返却部21に繰り出させる。返却処理の最後に、制御部71は、出金返却部21のシャッタを開いて出金返却部21から紙幣を取り出し可能にする。これにより、入金処理において入金部20に投入された紙幣のうち、入金処理において出金返却部21に繰り出された紙幣以外のすべての紙幣が、返却処理において、出金返却部21に繰り出される。
【0080】
[バラ紙幣出金処理]
図6の太線は、操作表示部70へ入力されたバラ紙幣出金操作に基づいて、一時貯留収納庫41(A)〜41(D)の指定された金種のものから紙幣を出金するバラ紙幣出金処理の紙幣搬送ルートを示している。つまり、バラ出金処理において、制御部71は、搬送部61を駆動すると共に、入力された金種別の出金枚数に基づき、一時貯留収納庫41(A)の収納領域部48に収納している第1金種の紙幣を繰り出す場合、一時貯留収納庫41(A)のフラッパ43を待機位置で開作動させた後、一時貯留収納庫41(A)のエレベータ44を上昇させて、このエレベータ44に載置された紙幣のうち、最上位置の紙幣を一時貯留収納庫41(A)の取込繰出部42の蹴出ローラ42aに当接させる。それと共に、この取込繰出部42を駆動して、一時貯留収納庫41(A)のエレベータ44に載置された紙幣を最上位置のものから蹴出ローラ42aで蹴り出し繰出ローラ42bおよび分離ローラ42cで一枚ずつに分離しつつ所定の間隔をあけて繰り出すことになり、繰り出した紙幣を、
図6に太実線で示すように、搬送路61C,61Aで識別部31に、入金処理とは逆向きに搬送し、識別部31の識別結果に基づいて、表裏反転が必要でない正常紙幣を、搬送路61A,61Kでそのまま出金返却部21に、表裏反転が必要な正常紙幣を、搬送路61Aから搬送路61Nを介して表裏反転部63で表裏反転させた後、搬送路61M,61Kで出金返却部21に、それぞれ搬送する。これにより、バラ紙幣出金操作に基づく第1金種の正常紙幣を出金返却部21に表裏を取り揃えながら繰り出す。なお、識別部31が搬送異常と識別したり、金種識別不良と識別した、正常紙幣以外のリジェクト紙幣については、
図6に太実線から太破線で示すように、搬送路61A,61K,61Lによって出金リジェクト庫22に搬送し、出金リジェクト庫22に収納する。
【0081】
また、バラ出金処理において、一時貯留収納庫41(B)の収納領域部48に収納している第2金種の紙幣を繰り出す場合、制御部71は、同様にして、一時貯留収納庫41(B)のフラッパ43を開作動させた後、一時貯留収納庫41(B)のエレベータ44を上昇させて、このエレベータ44に載置された紙幣を最上位置のものから順に取込繰出部42で繰り出させて搬送路61D,61Aで識別部31に搬送することになり、識別部31の識別結果に基づいて、表裏を取り揃えながら、出金返却部21に搬送する。
【0082】
また、バラ出金処理において、一時貯留収納庫41(C)の収納領域部48に収納している第3金種の紙幣を繰り出す場合、制御部71は、同様にして、一時貯留収納庫41(C)のフラッパ43を開作動させた後、一時貯留収納庫41(C)のエレベータ44を上昇させて、このエレベータ44に載置された紙幣を最上位置のものから順に取込繰出部42で繰り出させて搬送路61E,61Aで識別部31に搬送することになり、識別部31の識別結果に基づいて、表裏を取り揃えながら、出金返却部21に搬送する。
【0083】
また、バラ出金処理において、一時貯留収納庫41(D)の収納領域部48に収納している第4金種の紙幣を繰り出す場合、制御部71は、同様にして、一時貯留収納庫41(D)のフラッパ43を開作動させた後、一時貯留収納庫41(D)のエレベータ44を上昇させて、このエレベータ44に載置された紙幣を最上位置のものから順に取込繰出部42で繰り出させて搬送路61F,61Aで識別部31に搬送することになり、識別部31の識別結果に基づいて、表裏を取り揃えながら、出金返却部21に搬送する。
【0084】
以上のようにして、入力された金種別の出金枚数の紙幣を、金種別に、表裏を取り揃えながら出金返却部21に繰り出す。バラ紙幣出金処理の最後に、制御部71は、出金返却部21のシャッタを開いて出金返却部21から紙幣を取り出し可能にする。
【0085】
[束紙幣出金処理]
図7の太線は、操作表示部70へ入力された束紙幣出金操作に基づいて、一時貯留収納庫41(A)〜41(D)の指定された金種のものから紙幣を結束して出金する束紙幣出金処理の紙幣搬送ルートを示している。
【0086】
つまり、束紙幣出金処理において、制御部71は、搬送部61を駆動すると共に、入力された金種別の出金束数に基づき、一時貯留収納庫41(A)の収納領域部48に収納している第1金種の紙幣を結束して出金する場合、一時貯留収納庫41(A)の待機位置のフラッパ43を開作動させた後、一時貯留収納庫41(A)のエレベータ44を上昇させて、このエレベータ44に載置された紙幣のうち、最上位置の紙幣を一時貯留収納庫41(A)の取込繰出部42の蹴出ローラ42aに当接させる。それと共に、この取込繰出部42を駆動して、一時貯留収納庫41(A)のエレベータ44に載置された紙幣を最上位置のものから蹴出ローラ42aで蹴り出し繰出ローラ42bおよび分離ローラ42cで一枚ずつに分離しつつ所定の間隔をあけて繰り出すことになる。
【0087】
そして、繰り出した紙幣を、
図7に太実線で示すように、搬送路61C,61Aで識別部31に搬送し、識別部31の識別結果に基づいて、表裏反転が必要でない正常紙幣を、搬送路61A,61K,61Pで整列部35に、表裏反転が必要な正常紙幣を、搬送路61Aから搬送路61Nを介して表裏反転部63で表裏反転させた後、搬送路61M,61K,61Pで整列部35に、それぞれ搬送する。これにより、指定された単一金種の正常紙幣を結束単位枚数だけ整列部35に繰り出す。なお、識別部31で重送、斜行あるいはニアフィード等の搬送異常と識別したり金種識別不良と識別した、正常紙幣以外のリジェクト紙幣については、
図7に太実線から太破線で示すように、搬送路61A,61K,61Lによって出金リジェクト庫22に搬送し、出金リジェクト庫22に収納する。そして、指定された単一金種の結束単位枚数の紙幣を整列部35から、昇降搬送部37で搬送して、結束部38で結束を行い、束出金部39に繰り出す。
【0088】
ここで、指定された単一金種の紙幣を結束単位枚数だけ整列部35に繰り出すと、この金種の出金束数が複数である場合、引き続き、一時貯留収納庫41(A)の収納領域部48から紙幣を繰り出すことになり、反転が必要でない正常紙幣を、搬送路61A,61K,61Qで整列部36に、表裏反転が必要な正常紙幣を、搬送路61Aから搬送路61Nを介して表裏反転部63で表裏反転させた後、搬送路61M,61K,61Qで整列部36に、それぞれ搬送する。これにより、指定された単一金種の正常紙幣を結束単位枚数だけ整列部36に繰り出して、上記と同様に、結束部38で結束を行い、束出金部39に繰り出す。このように束紙幣出金処理では、単一金種を複数束出金する場合、整列部35,36に結束単位枚数ずつ交互に紙幣を集積させる。
【0089】
束紙幣出金処理では、以上のような処理を、指定された金種毎に指定された束数分行うことになり、指定された全金種のそれぞれについて、指定された全束数の束紙幣を束出金部39に繰り出すことになる。束紙幣出金処理の最後に、制御部71は、束出金部39のシャッタを開いて束出金部39から束紙幣を取り出し可能にする。
【0090】
[ローカル整理処理]
図8の太線は、機外から入金部20に投入された紙幣を搬送しつつ識別および計数して結束するローカル整理処理の紙幣搬送ルートを示している。つまり、操作表示部70にローカル整理処理の選択操作がなされると、制御部71は、ローカル整理処理を開始して入金繰出部24、搬送部61を駆動する。すると、入金繰出部24は、入金部20に投入された紙幣を最下のものから順に、蹴出ローラ24aで蹴り出し繰出ローラ24bおよび分離ローラ24cで一枚ずつに分離しつつ所定の間隔をあけて繰り出すことになり、繰り出した紙幣を、搬送路61A,61J,61G,61H,61Aで識別部31に搬送し、識別部31で識別させる。そして、識別部31の識別結果から、結束対象金種の正常紙幣を、表裏反転が必要でないものについては搬送路61A,61K,61Pで整列部35に、表裏反転が必要なものについては搬送路61Aから搬送路61Nを介して表裏反転部63で表裏反転させた後、搬送路61M,61K,61Pで整列部35に、それぞれ搬送する。これにより、指定された単一金種の正常紙幣を結束単位枚数だけ整列部35に繰り出す。なお、識別部31の識別結果から、搬送異常の紙幣と、金種識別不能を含む結束対象金種以外の紙幣とについては、リジェクト紙幣として、
図8に太実線から太破線で示すように、搬送路61A,61Kによって出金返却部21に繰り出す。指定された単一金種の結束単位枚数の正常紙幣を整列部35から、昇降搬送部37で搬送して、結束部38で結束を行い、束出金部39に繰り出す。なお、結束対象として指定される金種は、ローカル整理処理の選択操作時に手動入力される場合と、ローカル整理処理の実行で最初に識別部31が識別した金種に自動設定される場合とがある。
【0091】
指定された単一金種の正常紙幣を結束単位枚数だけ整列部35に繰り出すと、指定された出金束数が複数である場合、引き続き、入金部20から紙幣を繰り出すことになり、反転が必要でない正常紙幣を、搬送路61A,61K,61Qで整列部36に、表裏反転が必要な正常紙幣を、搬送路61Aから搬送路61Nを介して表裏反転部63で表裏反転させた後、搬送路61M,61K,61Qで整列部36に、それぞれ搬送する。これにより、指定された単一金種の正常紙幣を結束単位枚数だけ整列部36に繰り出して、上記と同様に、結束部38で結束を行い、束出金部39に繰り出す。このようにローカル整理処理でも、単一金種を複数束出金する場合、整列部35,36に結束単位枚数ずつ交互に紙幣を集積させる。ローカル整理処理の最後に、制御部71は、束出金部39および出金返却部21のシャッタを開いて束出金部39および出金返却部21から束紙幣および紙幣を取り出し可能にする。
【0092】
[回収処理]
図9の太線は、操作表示部70へ入力された回収操作に基づいて、一時貯留収納庫41(A)〜41(D)の指定された金種のものから紙幣を回収する回収処理の紙幣搬送ルートを示している。つまり、回収処理において、制御部71は、搬送部61を駆動すると共に、一時貯留収納庫41(A)の収納領域部48に収納している第1金種の紙幣を回収する場合、一時貯留収納庫41(A)の待機位置のフラッパ43を開作動させた後、一時貯留収納庫41(A)のエレベータ44を上昇させて、このエレベータ44に載置された紙幣のうち、最上位置の紙幣を一時貯留収納庫41(A)の取込繰出部42の蹴出ローラ42aに当接させる。それと共に、この取込繰出部42を駆動して、一時貯留収納庫41(A)のエレベータ44に載置された紙幣を最上位置のものから蹴出ローラ42aで蹴り出し繰出ローラ42bおよび分離ローラ42cで一枚ずつに分離しつつ所定の間隔をあけて繰り出すことになる。繰り出した紙幣を、
図9に太実線で示すように、搬送路61C,61Aで識別部31に搬送し、識別部31の識別結果に基づいて、正常紙幣は搬送路61A,61G,61Aで収納カセット部51に搬送する。なお、識別部31で搬送異常と識別したり金種識別不良と識別した、正常紙幣以外のリジェクト紙幣については、
図9に太実線から太破線で示すように、搬送路61A,61K,61Lによって出金リジェクト庫22に搬送し、出金リジェクト庫22に収納する。
【0093】
また、回収処理において、一時貯留収納庫41(B)の収納領域部48に収納している第2金種の紙幣を回収する場合、制御部71は、同様にして、一時貯留収納庫41(B)のフラッパ43を開作動させた後、一時貯留収納庫41(B)のエレベータ44を上昇させて、このエレベータ44に載置された紙幣を最上位置の紙幣から順に取込繰出部42で繰り出させることになり、そのうちの正常紙幣を搬送路61D,61A,61G,61Aで収納カセット部51に搬送する。
【0094】
また、回収処理において、一時貯留収納庫41(C)の収納領域部48に収納している第3金種の紙幣を回収する場合、制御部71は、同様にして、一時貯留収納庫41(C)のフラッパ43を開作動させた後、一時貯留収納庫41(C)のエレベータ44を上昇させて、このエレベータ44に載置された紙幣を最上位置の紙幣から順に取込繰出部42で繰り出させることになり、そのうちの正常紙幣を搬送路61E,61A,61G,61Aで収納カセット部51に搬送する。
【0095】
また、回収処理において、一時貯留収納庫41(D)の収納領域部48に収納している第4金種の紙幣を回収する場合、制御部71は、同様にして、一時貯留収納庫41(D)のフラッパ43を開作動させた後、一時貯留収納庫41(D)のエレベータ44を上昇させて、このエレベータ44に載置された紙幣を最上位置の紙幣から順に取込繰出部42で繰り出させることになり、そのうちの正常紙幣を搬送路61F,61A,61G,61Aで収納カセット部51に搬送する。
【0096】
回収処理では、以上のような処理を指定された一または複数金種について行うことになり、これにより、識別部31で識別および計数済みの紙幣のみを収納カセット部51に収納する。回収対象の紙幣を在り高を把握した状態で収納した収納カセット部51が、機体10から取り外されて運搬される。
【0097】
[補充処理]
補充用の紙幣が機外で装填された状態で機体10にセットされた収納カセット部51の紙幣を、一時貯留収納庫41(A)〜41(D)のそれぞれの収納領域部48に収納する補充処理では、制御部71は、上記した第2収納処理と同様にして、収納カセット部51の紙幣を一時貯留収納庫41(A)〜41(D)の対応するものの収納領域部48に、フラッパ43が開状態の一時貯留領域部47を介して収納する。
【0098】
以上に述べた第1実施形態によれば、制御部71は、入金処理時に、入金部20に投入された紙幣を識別部31の識別結果に基づいて複数の金種別の一時貯留収納庫41(A)〜41(D)の一時貯留領域部47に貯留させると共に、複数の金種別の一時貯留収納庫41(A)〜41(D)の一時貯留領域部47の少なくともいずれか一つが所定の貯留状態である満杯状態になったとき、当該所定の貯留状態である満杯状態の一時貯留領域部47に貯留できないオーバーフロー紙幣を収納カセット部51に一時貯留させる。そして、入金確定時には、複数の金種別の一時貯留収納庫41(A)〜41(D)の一時貯留領域部47に貯留した紙幣をフラッパ43を開状態として金種別の一時貯留収納庫41(A)〜41(D)の収納領域部48に収納させる。
【0099】
このように紙幣を入金確定前に複数、金種別に分けて一時貯留収納庫41(A)〜41(D)の一時貯留領域部47に一時貯留し、入金確定時には一時貯留領域部47のフラッパ43の開作動でそれぞれの同一金種の収納領域部48に一括して収納するため、金種混合で一時貯留したすべての紙幣を入金確定後に分配する場合と比べて、入金確定時の収納処理の処理時間を短縮可能となる。
【0100】
また、一時貯留領域部47の紙幣をフラッパ43の開作動で下方の収納領域部48に一括落下させて収納するため、搬送して分配するよりもジャムの発生を抑制することが可能となる。
【0101】
また、入金キャンセル時には、金種別の一時貯留収納庫41(A)〜41(D)の一時貯留領域部47および収納カセット部51に貯留した紙幣を出金返却部21に繰り出させるため、入金部20に投入された紙幣そのものを出金返却部21に戻すことができる。
【0102】
また、制御部71は、入金確定時に収納カセット部51にオーバーフロー紙幣がある場合には、このオーバーフロー紙幣を、識別部31の識別結果に基づいて振り分けて、フラッパ43が開状態にある複数の金種別の一時貯留収納庫41(A)〜41(D)の一時貯留領域部47を介して、複数の金種別の一時貯留収納庫41(A)〜41(D)の収納領域部48に収納させるため、入金処理時に、一時貯留領域部47に貯留できなかったオーバーフロー紙幣についても、複数の金種別の一時貯留収納庫41(A)〜41(D)の収納領域部48に収納して、出金用紙幣として有効利用することができる。
【0103】
すなわち、入金処理時に収納カセット部51に一時貯留される紙幣は、金種別の一時貯留収納庫41(A)〜41(D)の一時貯留領域部47に一時貯留できなかったオーバーフロー分のみであるため、通常、量は少ない。よって、収納カセット部51に一時貯留した紙幣を金種別の一時貯留収納庫41(A)〜41(D)の収納領域部48に分配して収納する時間はあまり掛からない。このため、金種別の一時貯留収納庫41(A)〜41(D)の一時貯留領域部47に一時貯留した紙幣を収納領域部48に収納する第1収納処理に引き続いて、収納カセット部51に一時貯留した紙幣を分配して収納領域部48に収納する第2収納処理を行うようにしても時間は掛からない。したがって、金種混合で一時貯留したすべての紙幣を入金確定後に分配する場合と比べて、入金確定時の収納処理の処理時間を短縮可能となる。
【0104】
また、機体10から取り外し可能であって回収処理時に複数の金種別の一時貯留収納庫41(A)〜41(D)の収納領域部48の紙幣を収納すると共に補充用の紙幣が機外で装填される収納カセット部51を、オーバーフロー紙幣用の収納カセット部として使用するため、オーバーフロー紙幣専用の収納カセット部を設ける必要がなく、紙幣処理機11の小型化および低コスト化が図れる。すなわち、補充・回収用の収納カセット部51を、補充・回収用途以外で、オーバーフロー紙幣の一時貯留用に活用することで、専用収納庫(オーバーフロー収納庫)を省くことが可能になり、省スペース・低コストになる。また、大容量の収納カセット部51をオーバーフロー紙幣の一時貯留用とするため、大量のオーバーフロー紙幣の一時貯留が可能となる。
【0105】
また、金種別の一時貯留収納庫41(A)〜41(D)のそれぞれを昇降可能なフラッパ43で一時貯留領域部47と収納領域部48とに分けているため、一時貯留領域部47および収納領域部48の容量を可変とすることができる。このため、一時貯留領域部47の収納容量を大きくすることで、オーバーフロー紙幣の発生を少なくすることができる。このようにオーバーフロー紙幣を少なくすることができることから、第2収納処理が必要になったとしても、第2収納処理の処理時間を短くできる。
【0106】
また、入金処理時に入金部20から繰り出された紙幣のうち、金種識別を行うための識別部31よりも入金部20側の入口センサ25で搬送異常紙幣あるいは形状異常紙幣であることが検出された紙幣については、識別部31に搬送することなく、ショートカットで出金返却部21に搬送して返却する。よって、ジャム発生を抑制することができる。しかも、入金部20から識別部31に向かう搬送路61Aから分岐し、分岐後はこの搬送路61Aとは交わらない搬送路61M,61Kで出金返却部21に紙幣を搬送することができるため、入金部20から機内への繰り出し動作を一時中断せずに、搬送異常紙幣あるいは形状異常紙幣であることが検出された紙幣を出金返却部21に搬送することができる。
【0107】
以上の第1実施形態において、市場流通量が少ない金種の紙幣(例えば二千円券)を還流使用しない非還流紙幣とする設定としても良い。この場合、一時貯留収納庫41(A)〜41(D)のうちの複数に同一金種の還流紙幣(例えば万円券)を収納することができる。この設定の場合、入金処理において、非還流紙幣をオーバーフロー紙幣と同様に収納カセット部51に一時貯留することになり、第2収納処理では、収納カセット部51に一時貯留された紙幣のうちのオーバーフローの正常な還流紙幣は一時貯留収納庫41(A)〜41(D)の対応金種のものの収納領域部48に収納する一方、収納カセット部51に一時貯留された紙幣のうちの非還流紙幣は、リジェクト紙幣と同様に出金リジェクト庫22に収納する。
【0108】
また、第1実施形態において、収納カセット部51を一時貯留収納庫41と同様にフラッパ43を有する構成にしても良い。このように構成すれば、収納カセット部51からオーバーフロー紙幣を一時貯留収納庫41(A)〜41(D)に分配する第2収納処理の最中に、次の入金取引が指示されたときは、第2収納処理を中断して、収納カセット部51に残ったオーバーフロー紙幣を収納カセット部51のフラッパ43よりも下方へ一旦収納する。これにより、フラッパ43よりも上側に次の入金取引のオーバーフロー紙幣を、その前のオーバーフロー紙幣と分けて一時貯留することができる。よって、次の入金取引のオーバーフロー紙幣についても、返却処理時には、そのものを出金返却部21に返却可能となる。したがって、前の入金取引の第2収納処理を待機することなく、次の入金取引が可能となる。この場合、次の入金取引のオーバーフロー紙幣を一時貯留収納庫41(A)〜41(D)に分配する第2収納処理を行った後、フラッパ43よりも下方に一旦収納したオーバーフロー紙幣についての中断していた前の第2収納処理を再開する。
【0109】
この場合、収納カセット部51は、フラッパ43から上側が紙幣を繰り出し可能に一時貯留する、底部であるフラッパ43が開閉可能な一括一時貯留領域部となり、フラッパ43よりも下側が、一括一時貯留領域部の下側に設けられ、フラッパ43が開状態とされた一括一時貯留領域部から紙幣を受け入れて繰り出し可能に収納する一括収納領域部となる。制御部71は、入金確定時に、複数の金種別の一時貯留収納庫41(A)〜41(D)の一時貯留領域部47に貯留した紙幣をそれぞれのフラッパ43を開状態として複数の金種別の一時貯留収納庫41(A)〜41(D)の収納領域部48に収納させると共に、収納カセット部51のオーバーフロー紙幣を、識別部31の識別結果に基づいて振り分けて、複数の金種別の一時貯留収納庫41(A)〜41(D)の一時貯留領域部47を介して収納領域部48に収納させる一連の動作の最中に、次の入金取引の指示がなされたときには、該一連の動作を中断し、収納カセット部51のフラッパ43より上方の一括一時貯留領域部に残ったオーバーフロー紙幣をフラッパ43よりも下方の一括収納領域部に一旦収納させる。よって、次の入金取引の開始を早めることができる。
【0110】
また、第1実施形態において、金種別の一時貯留収納庫41(A)〜41(D)のそれぞれをフラッパ43ではなく開閉可能で昇降不可なシャッタで一時貯留領域部47と収納領域部48とに分けても良い。この場合、一時貯留領域部47および収納領域部48の収納容量はそれぞれ固定となる。昇降不可なシャッタを用いれば、金種別の一時貯留収納庫41(A)〜41(D)のシャッタの高さ位置を揃えることで、開閉用の駆動源(例えばモータ)を共通にすることが容易に可能となり、コストを低減することができる。
【0111】
第1実施形態では、上記したように、入金処理において、識別部31で受け入れ不可と識別されたリジェクト紙幣を出金返却部21へ搬送する際の紙幣搬送ルートが、入金部20より取り込まれて識別部31へ向かう紙幣のルートと一部交差しているため、リジェクト紙幣を出金返却部21へ搬送する際には、入金部20からの繰り出し動作を一時中断する必要がある。よって、出金返却部21へ搬送されるリジェクト紙幣が多いほど、入金部20からの繰り出し動作の一時停止を多く繰り返すことになる。このような入金部20の間欠繰り出し動作を抑制するために、以下のように制御を変更しても良い。
【0112】
入金処理において、識別部31で受け入れ不可と識別されたリジェクト紙幣を、直ちに出金返却部21へ搬送するのではなく、オーバーフロー紙幣が生じない状況では、
図10に太実線から太破線で示すように、往路ルートにて、一旦、搬送路61Aで収納カセット部51に貯留しておき、入金部20にセットされる紙幣がすべて機内へ取り込まれた後に、収納カセット部51に貯留させていたリジェクト紙幣を、
図11に太破線で示すように、復路ルートにて搬送路61A,61G,61A,61M,61Kで出金返却部21へ搬送するようにする。
【0113】
この場合、入金処理中に、一時貯留収納庫41(A)〜41(D)のいずれかの一時貯留領域部47の紙幣収納量が満杯状態近くになった時点で、入金部20からの入金繰出部24による紙幣の繰り出しを一旦停止させ、搬送路61A上の紙幣の振り分け搬送を終えてから(または入金繰り出し紙幣と搬送が交差しない条件となってから)、収納カセット部51に貯留していたリジェクト紙幣を、
図11に太破線で示すように、搬送路61A,61G,61A,61M,61Kで出金返却部21へ搬送する。そして、その後は、オーバーフロー紙幣を収納カセット部51に貯留しつつリジェクト紙幣が発生した場合には入金繰出部24を停止させる、
図2に太線でルートを示す上述した入金処理の制御に切り替える。ここで、満杯状態近いと判定される紙幣収納量とは、この紙幣収納量となった一時貯留収納庫41の一時貯留領域部47に、満杯状態近いと判定した時点で搬送路61A上に残存している紙幣がすべて収納されたとしてもオーバーフロー紙幣を生じることがない枚数、すなわち、一時貯留領域部47の満杯状態と判定する満杯枚数から、入金繰出部24の停止時点で搬送路61A上に残存する紙幣の枚数を減算した値である。
【0114】
入金処理においては、金種別の一時貯留収納庫41(A)〜41(D)のいずれかの一時貯留領域部47が満杯状態近くになる時には、入金部20の紙幣残量が少なくなっていることが想定されるため、上記のような2段階の制御、すなわちリジェクト紙幣を収納カセット部51に貯留させる第1段階の制御の後、リジェクト紙幣が発生した場合に入金繰出部24を停止させる第2段階の制御に切り替えても、入金処理時間に及ぼす影響は少ない。
【0115】
なお、入金処理において、リジェクト紙幣を収納カセット部51に貯留させる第1段階の制御の後、リジェクト紙幣が発生した場合に入金繰出部24を停止させる第2段階の制御に切り替える制御パターンと、最初から、リジェクト紙幣が発生した場合に入金繰出部24を停止させる制御パターンとを、入金処理開始前に予め操作者に選択させて設定するようにしても良い。
【0116】
第1実施形態において、例えば、出金返却部21を2つ設け、返却処理時と、ローカル整理処理における紙幣のリジェクト時とにおいて、バラ紙幣出金処理等で行った表裏取り揃え制御を行っても良い。すなわち、返却処理時およびローカル整理処理における紙幣のリジェクト時には、紙幣の表裏を揃えて機外への出金返却部21に集積させることが望ましいが、識別部31にてリジェクト紙幣と識別された紙幣では表裏が不明である場合があり、この場合は紙幣の表裏を揃えて返却させることができない。このため、出金返却部21を2つ設け、表裏が揃った紙幣と、表裏が不揃い(不明)の紙幣とにそれぞれ分けて集積させる。この場合、表裏不揃いである紙幣を一方の出金返却部21へ搬送後、操作表示部70へ「出金返却口の紙幣はリジェクト紙幣ですので、抜き取り後に表裏を揃えて下さい。」等のガイダンスを表示し、操作者の手を介して紙幣の表裏を揃えるように誘導しても良い。これにより、紙幣の表裏情報が得られていない場合があっても、紙幣の表裏情報が得られていない紙幣と、表裏が揃った紙幣とを混ぜることなく容易に分離できる。したがって、使い勝手が良くなり、利便性が向上する。
【0117】
また、第2収納処理では、紙幣を一時貯留収納庫41(A)〜41(D)の収納領域部48に収納する際に、フラッパ43が開状態の一時貯留領域部47を介して収納するようにしたが、紙幣をフラッパ43が閉状態の一時貯留領域部47に一旦貯留した後、フラッパ43を開作動させて収納領域部48に収納するようにしても良い。この場合、例えば、収納カセット部51から一時貯留収納庫41(A)〜41(D)へ紙幣を分配する場合に、一つの一時貯留領域部47が満杯状態になる度に、収納カセット部51の繰り出しを止めて、一時貯留領域部47から収納領域部48へ収納させ、その後、収納カセット部51から一時貯留収納庫41(A)〜41(D)への分配を再開させるように制御する。
【0118】
<第2実施形態>
本発明に係る第2実施形態の紙幣処理機を、第1実施形態との相違部分を中心に説明する。
【0119】
第2実施形態では、
図12に示すように、入金部20に、上下に集積されて載置された紙幣の集積高さが所定高さ以下であるか否かを検出する光学式の集積高検出センサ81が設けられている。集積高検出センサ81は、入金部20の紙幣の集積高さが、所定の高さ、具体的には、ローカル整理処理時に1束の結束が可能となるが2束の結束は不可である100枚+α程度の集積高さ以下になったことを検出する。集積高検出センサ81は、紙幣で遮光されると集積高さが所定の高さを越えていることを検出することになり、紙幣で遮光されない状態では集積高さが所定の高さ以下であることを検出する。
【0120】
第2実施形態では、入金部20にセットされた紙幣を識別部31で識別および計数し、整列部35,36、昇降搬送部37および結束部38で結束して、束出金部39で機外排出する第1実施形態と同様のローカル整理処理を、集積高検出センサ81の検出結果を利用して行うようになっている。
【0121】
[ローカル整理処理]
ローカル整理処理は、複数のモードが選択可能となっている。これらモードには、単一の結束対象金種を手動入力により指定して紙幣の結束を行う単一金種手動指定結束モードと、単一の結束対象金種を識別部31で識別した一枚目の紙幣の金種に自動設定して紙幣の結束を行う単一金種自動設定結束モードと、複数金種の紙幣の結束を行う複数金種結束モードとがある。
【0122】
また、単一金種手動指定結束モードと単一金種自動設定結束モードとについては、それぞれが、入金部20にセットされた紙幣を一時貯留収納庫41(A)〜41(D)に一時貯留した後、整列部35,36に搬送して結束部38で結束するプール経由ルートと、入金部20にセットされた紙幣を一時貯留収納庫41(A)〜41(D)に一時貯留せずに、整列部35,36に搬送して結束部38で結束するダイレクトルートとが選択可能となっている。なお、複数金種結束モードでは、紙幣を金種別に分ける必要があるため、入金部20にセットされた紙幣を一時貯留収納庫41(A)〜41(D)に一時貯留した後、整列部35,36に搬送して結束部38で結束するプール経由ルートとなっている。
【0123】
操作表示部70への操作によりモード選択が行われることになり、単一金種手動指定結束モードと単一金種自動設定結束モードとが選択された場合については、さらに、操作表示部70への操作によりプール経由ルートおよびダイレクトルートからルート選択が行われることになる。
【0124】
{単一金種手動指定結束モードのダイレクトルート}
図12の太線は、単一金種手動指定結束モードのダイレクトルートを示している。操作表示部70に結束対象金種を含んで単一金種手動指定結束モードのダイレクトルートが設定されると、制御部71は、集積高検出センサ81が紙幣を検出していて入金部20に1束の結束単位枚数(100枚)より多い紙幣がある場合には、第1実施形態のローカル整理処理と同様にして、
図12に太実線で示すように、入金部20の紙幣を搬送路61A,61J,61G,61H,61Aで識別部31に搬送し、識別部31で正常な結束対象金種と識別された正常紙幣を、表裏反転不要なら搬送路61A,61K,61P,61Qで、表裏反転要なら搬送路61A,61N,61M,61K,61P,61Qで、整列部35,36に搬送し、昇降搬送部37および結束部38で結束して、束出金部39に繰り出す。一方、識別部31の識別結果から、搬送異常の紙幣と、金種識別不能を含む結束対象金種以外の紙幣とについては、リジェクト紙幣として、
図12に太実線から太破線で示すように、搬送路61A,61Kで出金返却部21に繰り出す。なお、集積高検出センサ81が紙幣を検出していなければ、少数枚数であることを操作表示部70で報知させて、同じモードの後述するプール経由ルートのみを選択可能にする。
【0125】
ここで、単一金種手動指定結束モードのダイレクトルートでのローカル整理処理中に、集積高検出センサ81が紙幣を検出しない状態になると、制御部71は、整列部35,36のうち、その時点で紙幣が集積されているものに100枚目として搬送される紙幣を識別部31が識別した時点で、整列部35,36への紙幣の搬送を止め、100枚目の紙幣以降の紙幣は、結束対象金種であるか否かに関わらず、すべて出金返却部21に搬送する。
【0126】
なお、ローカル整理処理中に、集積高検出センサ81が紙幣を検出しない状態になった場合の制御については、上記制御に限定しなくてもよい。例えば、入金部20からの紙幣の繰り出しを一旦停止後、操作表示部70にガイダンスを表示させて、操作者に、紙幣の追加セットの有無についての選択を促した後、操作表示部70に紙幣の追加セット有りが選択入力された場合は、集積高検出センサ81が紙幣を検出する状態になると、ローカル整理処理を再開する。一方、操作表示部70に紙幣の追加セットなしが選択入力された場合は、同じモードの後述するプール経由ルートに切り替える制御としても良い。これにより、端数枚を整列部35,36へ残さないようにできる。
【0127】
この制御において、紙幣の追加セットなしが選択入力された場合は、一律にプール経由ルートに切り替える必要はなく、例えば、操作表示部70にガイダンスを表示させて、操作者に、端数終了の可否についての選択入力させても良い。端数終了可が選択入力された場合には、ダイレクトルートで計数を再開し、端数終了不可が選択された場合には、プール経由ルートに切り替えて計数を再開する制御であってもよい。
【0128】
集積高検出センサ81は、紙幣で遮光される光学式センサを例にとり説明したが、これに限らず、例えば、入金部20に設けられた図示略のビルプレスの高さ位置から、紙幣の集積高さを検出しても良い。いずれの場合も、それまでに搬送した紙幣群の金種別の割合を把握し、残り紙幣の割合をそれに当て嵌めて、100枚の倍数あるか否かを判断して、100枚ありそうな枚数のときには整列部35,36へ搬送し、それ以外のときは、出金返却部21への搬送、または追加セットの有無の照会を行うようにしても良い。単一金種手動指定結束モードのダイレクトルートでの処理の最後に、制御部71は、束出金部39および出金返却部21のシャッタを開いて束出金部39および出金返却部21から束紙幣および紙幣を取り出し可能にする。
【0129】
{単一金種手動指定結束モードのプール経由ルート}
図13の太線は、単一金種手動指定結束モードのプール経由ルートの往路ルートを示している。操作表示部70に結束対象金種を含んで単一金種手動指定結束モードのプール経由ルートが設定されると、制御部71は、
図13に太実線で示すように、入金部20から紙幣を繰り出し搬送路61Aで識別部31に搬送する。そして、識別部31が紙幣を識別および計数することになり、識別部31で正常な結束対象金種と識別された正常紙幣を、一時貯留収納庫41(A)の一時貯留領域部47、一時貯留収納庫41(B)の一時貯留領域部47、一時貯留収納庫41(C)の一時貯留領域部47、一時貯留収納庫41(D)の一時貯留領域部47を順に満杯状態にするように、搬送路61C,61D,61E,61Fで搬送する。但し、一時貯留収納庫41(A)〜41(D)の紙幣貯留の上記順番は一例であり、順番はこの順番に限らない。識別部31の識別結果から、搬送異常の紙幣と、金種識別不能を含む結束対象金種以外の紙幣とについては、リジェクト紙幣として、
図13に太実線から太破線で示すように、搬送路61Aで収納カセット部51に搬送する。
【0130】
制御部71は、例えば、一時貯留収納庫41(A)の一時貯留領域部47の満杯枚数(例えば500枚)の結束対象金種の正常紙幣を識別部31が識別した場合には、この満杯枚数までの結束対象金種の正常紙幣を一時貯留収納庫41(A)の一時貯留領域部47に貯留させるとともに、この満杯枚数の次の結束対象金種の正常紙幣から、一時貯留収納庫41(B)の一時貯留領域部47に貯留させる。その後、一時貯留収納庫41(B)の一時貯留領域部47の満杯枚数(例えば500枚)の結束対象金種の正常紙幣を識別部31が識別した場合には、この満杯枚数までの結束対象金種の正常紙幣を一時貯留収納庫41(B)の一時貯留領域部47に貯留させるとともに、この満杯枚数の次の結束対象金種の正常紙幣から、一時貯留収納庫41(C)の一時貯留領域部47に貯留させる。同様にして、一時貯留収納庫41(C)の一時貯留領域部47が満杯状態になると、一時貯留収納庫41(D)の一時貯留領域部47に結束対象金種の正常紙幣を貯留させる。いずれの一時貯留領域部47も、フラッパ43を、待機位置から貯留する紙幣の量に応じて、開可能最下位置までの範囲で下降させることになり、フラッパ43が開可能最下位置に下降すると満杯状態となる。
【0131】
ここで、単一金種手動指定結束モードのプール経由ルートでのローカル整理処理中において、入金部20の紙幣がなくなると、制御部71は、入金繰出部24を停止させ、操作表示部70にガイダンスを表示させて、操作者に、紙幣の追加セットの有無についての選択を促した後、操作表示部70に紙幣の追加セット有りが選択入力された場合は、操作表示部70に処理再開の指示操作が入力されると、ローカル整理処理を入金繰出部24の駆動を含んで再開する。これにより、操作者が入金部20に紙幣を順次追加投入することが可能になり、順次追加投入することによる大量入金の場合に、一時貯留収納庫41(A)〜41(D)のすべての一時貯留領域部47の収納容量の合算値に応じた紙幣量の入金に対応可能となる。
【0132】
図14の太線は、単一金種手動指定結束モードのプール経由ルートの復路ルートを示している。往路ルートの搬送によって入金部20の紙幣がなくなった状態で、操作表示部70に紙幣の追加セットなしが選択入力された場合、および、往路ルートでの搬送によって入金部20の紙幣がある状態で、一時貯留収納庫41(A)〜41(D)のすべての一時貯留領域部47が満杯状態になって入金繰出部24を停止した場合、制御部71は、一時貯留収納庫41(A)〜41(D)の一時貯留領域部47から、貯留している紙幣を順に繰り出させる。
【0133】
そして、繰り出した紙幣を、
図14に太実線で示すように、搬送路61Aで搬送して識別部31で識別し、識別部31で識別された正常紙幣を、表裏反転不要なら搬送路61A,61K,61P,61Qで、表裏反転要なら搬送路61A,61N,61M,61K,61P,61Qで、整列部35,36に、交互に結束単位枚数となるように搬送し、結束単位枚数になると昇降搬送部37および結束部38で結束して、束出金部39に繰り出す。
【0134】
例えば、一時貯留収納庫41(A)の一時貯留領域部47から紙幣を繰り出させ、この一時貯留領域部47に紙幣がなくなると、一時貯留収納庫41(B)の一時貯留領域部47から紙幣を繰り出させ、この一時貯留領域部47に紙幣がなくなると、一時貯留収納庫41(C)の一時貯留領域部47から紙幣を繰り出させ、この一時貯留領域部47に紙幣がなくなると、一時貯留収納庫41(D)の一時貯留領域部47から紙幣を繰り出させる。一方、搬送異常や金種識別不良と識別されたリジェクト紙幣については、
図14に太実線から太破線で示すように、搬送路61A,61Kで出金返却部21に搬送する。このようにして、一時貯留収納庫41(A)〜41(D)の一時貯留領域部47に貯留していた紙幣を順次結束する。
【0135】
ここで、制御部71は、往路ルートでの識別部31の識別結果から、一時貯留収納庫41(A)〜41(D)の一時貯留領域部47に貯留している紙幣の全枚数を把握しており、この全枚数から、復路ルートでの搬送中に、出金返却部21に搬送した搬送異常や金種識別不良のリジェクト紙幣の枚数を発生の都度減算していて、結束枚数に対し不足すると想定される端数の紙幣については、出金返却部21に搬送することになる。
【0136】
すなわち、制御部71には、100枚の繰り出しで発生し得る搬送異常や金種識別不良のリジェクト紙幣の想定枚数が予め設定されて記憶されており、整列部35に空の状態から集積される100枚目の紙幣が識別部31で識別されると、残りの紙幣枚数から想定枚数を減算して100枚以上であれば、整列部36に集積を行い、整列部36に空の状態から集積される100枚目の紙幣が識別部31で識別されると、残りの紙幣枚数から想定枚数を減算して100枚以上であれば、空の状態になった整列部35に集積を行うという処理を順次行う。そして、整列部35,36のいずれかに集積される100枚目の紙幣が識別部31で識別された時点で、残りの紙幣枚数から想定枚数を減算して100枚未満になると、その後に識別部31で検出される紙幣については、出金返却部21に搬送する。
【0137】
なお、上記した往路ルートでの処理によって入金部20の紙幣がなくなって操作表示部70に紙幣の追加セットなしが選択入力された場合の復路ルートの処理では、最後に、
図14に太一点鎖線、太実線および太破線で示すように、収納カセット部51の紙幣を搬送路61A,61Kで出金返却部21に搬送することになる。他方、往路ルートでの処理によって一時貯留収納庫41(A)〜41(D)のすべての一時貯留領域部47が満杯状態になって入金繰出部24を停止すると、復路ルートを行い、往路ルートでの処理によって入金部20の紙幣がなくなって操作表示部70に紙幣の追加セットなしが選択入力されるまで、このような往路ルートおよび復路ルートを交互に繰り返す。その後、最後の復路ルートの後に、
図14に太一点鎖線、太実線および太破線で示すように、収納カセット部51の紙幣を搬送路61A,61Kで出金返却部21に搬送する。そして、単一金種手動指定結束モードのプール経由ルートでの処理の最後に、制御部71は、束出金部39および出金返却部21のシャッタを開いて束出金部39および出金返却部21から束紙幣および紙幣を取り出し可能にする。
【0138】
ここで、リジェクト紙幣を出金返却部21に搬送する場合に、識別部31による識別の都度出金返却部21に搬送すると、搬送ルートが交差している関係上、入金部20の繰り出し動作を一時停止させる処理を伴うことになるが、上記のように、往路ルートでリジェクト紙幣を収納カセット部51へ搬送し、入金部20の紙幣の繰り出しが終了した後に、復路ルートで当該リジェクト紙幣を出金返却部21に搬送することにより、処理時間を短縮することができる。また、リジェクト紙幣を収納カセット部51に収納しておいて出金返却部21に搬送するため、その取り出しに際して、ユニットを引き出す作業等を伴うことがなく、効率良く紙幣の返却ができる。
【0139】
単一金種手動指定結束モードのプール経由ルートでの処理の具体例を説明する。例えば、まず、往路ルートで、一時貯留収納庫41(A)の一時貯留領域部47に500枚、一時貯留収納庫41(B)の一時貯留領域部47に500枚、一時貯留収納庫41(C)の一時貯留領域部47に235枚と、指定された結束対象金種の紙幣が全部で1235枚貯留されたものとする。すると、復路ルートでは、まず一時貯留収納庫41(A)の一時貯留領域部47から紙幣を繰り出し、識別部31で正常と識別された正常紙幣を整列部35に結束単位枚数である100枚集積させると、この100枚の紙幣を昇降搬送部37で搬送し、結束部38で結束して、束出金部39に繰り出させる。また、上記のように紙幣を整列部35に100枚集積させると、その後の正常紙幣を整列部36に搬送する。そして、整列部36に正常紙幣を100枚集積させると、先行する整列部35からの集積紙幣が結束済みであることを条件として、整列部36の100枚の紙幣を昇降搬送部37で搬送し、結束部38で結束して、束出金部39に繰り出させる。このような作動を、正常紙幣の集積先を整列部35,36で交互に切り替えつつ繰り返す。識別部31で異常搬送と識別された紙幣については、出金返却部21に搬送する。
【0140】
以上のようにして、一時貯留収納庫41(A)の一時貯留領域部47の紙幣がなくなると、次に、一時貯留収納庫41(B)の一時貯留領域部47から紙幣を繰り出し、上記に引き続き、識別部31で正常と識別された正常紙幣を集積させて結束する。一時貯留収納庫41(B)の一時貯留領域部47の紙幣がなくなると、次に、一時貯留収納庫41(C)の一時貯留領域部47から紙幣を繰り出し、上記に引き続き、識別部31で正常と識別された正常紙幣を集積させて結束する。
【0141】
ここで、具体例として、11束の結束が可能な1100枚の紙幣の整列部35,36への搬送が識別部31で確定したところで、識別部31での搬送異常や金種識別不良のリジェクト紙幣が例えば5枚発生していたとすれば、1235枚−1100枚−5枚=130枚となる。130枚に対して7枚が想定されるリジェクト紙幣枚数として設定されているものとすると、130枚−7枚=123枚となり、123枚は100枚以上であるため、制御部71は12束目の結束を行う。その際に、100枚目の正常紙幣が識別部31で識別されると、その後の23枚の正常紙幣は出金返却部21へ搬送することになる。他方、11束の結束が可能な1100枚の紙幣の整列部35,36への搬送が識別部31で確定したところで、識別部31での搬送異常や金種識別不良のリジェクト紙幣が例えば35枚発生していたとすれば、1235枚−1100枚−35枚=100枚となり、100枚に対して5枚が想定されるリジェクト紙幣枚数として設定されているものとすると、制御部71は、100枚−5枚=95枚で、95枚は100枚未満であるため、12束目の結束を行わずに、残りの紙幣を出金返却部21へ搬送することになる。
【0142】
なお、11束分の紙幣を識別部31で検出した時点で、12束目の紙幣が不足する可能性がある場合に、一旦、一時貯留領域部47からの紙幣の繰り出しを停止し、12束目の結束を行うべきか否かの照会を操作表示部70を介して操作者へ行い、操作表示部70を介して選択させるようにしても良い。この結果に基づいて、12束目の結束を行うべきとの入力があると、残りの紙幣を整列部35,36の対応するものへ搬送して、例え紙幣枚数が不足しても結束を行う。紙幣枚数が不足の場合、結束用の帯に紙幣不足を示す識別を施す。他方、12束目の結束を行わないとの入力があると、残りの紙幣を出金返却部21に搬送する。
【0143】
また上記制御に限定しなくても良い。例えば、12束目の紙幣を整列部35,36の対応するものへ搬送するようにして、95枚の紙幣しか集積できなかった、つまり、40枚の紙幣がリジェクト紙幣として出金返却部21へ搬送されたとしても、出金返却部21へ返却された紙幣を再び入金部20にセットさせるようにガイダンスで操作者へ誘導し、不足分の紙幣を取り込ませても良い。この時、40枚分の結束対象金種の紙幣が入金部20へ再投入されるが、すべてを一度に取り込まずに、不足分の5枚を繰り出した時点で繰り出しを一旦停止し、これら紙幣の識別部31による識別結果に応じて追加で繰り出しを行うように制御して、余剰紙幣が発生しないようにしても良い。
【0144】
{単一金種自動設定結束モードのダイレクトルート}
操作表示部70に単一金種自動設定結束モードのダイレクトルートが設定されると、制御部71は、集積高検出センサ81が紙幣を検出していて入金部20に1束の結束単位枚数(100枚)より多い紙幣がある場合には、第1実施形態のローカル整理処理と同様にして、入金部20の紙幣の紙幣を搬送路61A,61J,61G,61H,61Aで識別部31に搬送する。そして、識別部31が最初に識別した紙幣の金種を結束対象金種に設定する。その後は、単一金種手動指定結束モードのダイレクトルートと同様の制御となる。なお、集積高検出センサ81が紙幣を検出していなければ、少数枚数であることを操作表示部70で報知させて、同じモードの後述するプール経由ルートのみを選択可能にする。
【0145】
{単一金種自動設定結束モードのプール経由ルート}
操作表示部70に単一金種自動設定結束モードのプール経由ルートが設定されると、制御部71は、
図13に示すように、入金部20から紙幣を繰り出し搬送路61Aで識別部31に搬送する。そして、識別部31が最初に識別した紙幣の金種を結束対象金種に設定する。その後は、単一金種手動指定結束モードのプール経由ルートと同様の制御となる。
【0146】
{複数金種結束モード}
図13の太線は、複数金種結束モードの往路ルートをも示している。操作表示部70に、第1結束対象金種(例えば万円券)、第2結束対象金種(例えば五千円券)、第3結束対象金種(例えば千円券)および第4結束対象金種(例えば二千円券)のうちの複数金種を含んで複数金種結束モードが設定されると、制御部71は、
図13に太実線で示すように、入金部20から紙幣を繰り出し搬送路61Aで識別部31に搬送する。
【0147】
そして、識別部31が紙幣を識別および計数することになり、制御部71は、第1結束対象金種が設定されている場合、識別部31で正常な第1結束対象金種と識別された正常紙幣を一時貯留収納庫41(A)の一時貯留領域部47に、第2結束対象金種が設定されている場合、識別部31で正常な第2結束対象金種と識別された正常紙幣を一時貯留収納庫41(B)の一時貯留領域部47に、第3結束対象金種が設定されている場合、識別部31で正常な第3結束対象金種と識別された正常紙幣を一時貯留収納庫41(C)の一時貯留領域部47に、第4結束対象金種が設定されている場合、識別部31で正常な第4結束対象金種と識別された正常紙幣を一時貯留収納庫41(D)の一時貯留領域部47に、搬送路61A,61C,61D,61E,61Fで搬送する。ここで、いずれの一時貯留領域部47も、一時貯留する紙幣の量に応じて、フラッパ43を待機位置から開可能最下位置までの範囲で下降させる。識別部31によって、搬送異常の紙幣と、金種識別不能を含む結束対象金種以外の紙幣とについては、リジェクト紙幣として、搬送路61Aで収納カセット部51に搬送する。例えば、第1〜第4の結束対象金種のうち第1,第2の結束対象金種が選択設定されると、第1の結束対象金種の正常紙幣を一時貯留収納庫41(A)の一時貯留領域部47に、第2の結束対象金種の正常紙幣を一時貯留収納庫41(B)の一時貯留領域部47に搬送し、他の金種の紙幣は収納カセット部51に搬送する。
【0148】
ここで、一時貯留収納庫41(A)〜41(D)のいずれにおいても一時貯留領域部47には、満杯枚数よりも少ない範囲で、結束単位枚数である100枚の整数倍+余裕枚数の最大枚数を貯留すると、それ以降の同一金種の正常紙幣は、搬送路61Aで収納カセット部51に搬送する。例えば、第1の結束対象金種を貯留する一時貯留領域部47の満杯枚数が520枚で、余裕枚数が10枚に設定されている場合、100×5+10の510枚の第1の結束対象金種の正常紙幣を識別部31で検出すると、それ以降の第1の結束対象金種は搬送路61Aで収納カセット部51に搬送する。
【0149】
ここで、複数金種結束モードでのローカル整理処理中においても、入金部20の紙幣がなくなると、制御部71は、入金繰出部24を停止させ、操作表示部70にガイダンスを表示させて、操作者に、紙幣の追加セットの有無についての選択を促した後、操作表示部70に紙幣の追加セット有りが選択入力された場合は、操作表示部70に処理再開の指示操作が入力されると、ローカル整理処理を入金繰出部24の駆動を含んで再開する。
【0150】
図14の太線は、複数金種結束モードの復路ルートをも示している。往路ルートでの搬送によって入金部20の紙幣がなくなった状態で、操作表示部70に紙幣の追加セットなしが選択入力された場合、および、一時貯留収納庫41(A)〜41(D)のうち結束対象金種として選択設定されたものの一時貯留領域部47が満杯状態になって入金繰出部24を停止した場合は、制御部71が、一時貯留収納庫41(A)〜41(D)の一時貯留領域部47から、所定の順番で、貯留している紙幣を取込繰出部42によって繰り出させる。
【0151】
そして、繰り出した紙幣を、
図14に太実線で示すように、搬送路61C〜61Fのうちの対応するものと搬送路61Aとで搬送して識別部31に搬送する。識別部31では識別および計数を行い、識別部31で正常と識別された正常紙幣を、上記と同様に、表裏反転不要なら搬送路61A,61K,61P,61Qで、表裏反転要なら搬送路61A,61N,61M,61K,61P,61Qで、整列部35,36に搬送し、昇降搬送部37および結束部38で結束して、束出金部39に繰り出す。一方、識別部31での搬送異常や金種識別不良のリジェクト紙幣については、
図14に太実線から太破線で示すように、搬送路61A,61Kで出金返却部21に搬送する。このようにして、一時貯留収納庫41(A)〜41(D)の一時貯留領域部47に貯留している紙幣を金種別に順次結束する。
【0152】
ここで、制御部71は、往路ルートでの識別部31の識別結果から、一時貯留収納庫41(A)〜41(D)のそれぞれの一時貯留領域部47に貯留していた紙幣の枚数を把握しており、各枚数から、復路ルートでの搬送中に、出金返却部21に搬送したリジェクト紙幣の枚数を発生の都度減算していて、結束枚数に対し不足すると想定される端数の紙幣については、出金返却部21に搬送することになる。
【0153】
すなわち、制御部71には、100枚の繰り出しで発生し得るリジェクト紙幣の想定枚数が予め設定されて記憶されており、一時貯留収納庫41(A)の一時貯留領域部47から繰り出され整列部35に空の状態から集積される100枚目の第1の結束対象金種の紙幣が識別部31で識別されると、残りの第1の結束対象金種の紙幣枚数から想定枚数を減算して100枚以上であれば、整列部36に集積を行い、整列部36に空の状態から集積される100枚目の第1の結束対象金種の紙幣が識別部31で識別されると、残りの第1の結束対象金種の紙幣枚数から想定枚数を減算して100枚以上であれば、空の状態になった整列部35に集積を行うという判断処理を順次行う。そして、整列部35,36のいずれかに集積される100枚目の紙幣が識別部31で識別された時点で、残りの紙幣枚数から想定枚数を減算して100枚未満になると、その後に識別部31で検出される紙幣については、出金返却部21に搬送する。
【0154】
一時貯留収納庫41(B)の一時貯留領域部47の紙幣についても同様にして結束を行う。一時貯留収納庫41(C)の一時貯留領域部47の紙幣についても同様にして結束を行う。一時貯留収納庫41(D)の一時貯留領域部47の紙幣についても同様にして結束を行う。
【0155】
なお、上記した往路ルートでの処理によって入金部20の紙幣がなくなって操作表示部70に紙幣の追加セットなしが選択入力された場合の復路ルートの処理では、最後に、
図14に太一点鎖線、太実線および太破線で示すように、収納カセット部51の紙幣を搬送路61A,61Kで出金返却部21に搬送することになる。他方、往路ルートでの処理によって一時貯留収納庫41(A)〜41(D)のいずれかの一時貯留領域部47が満杯状態になって入金繰出部24を停止すると、復路ルートを行い、往路ルートでの処理によって入金部20の紙幣がなくなって操作表示部70に紙幣の追加セットなしが選択入力されるまで、このような往路ルートおよび復路ルートを交互に繰り返す。その後、最後の復路ルートの後に、
図14に太一点鎖線、太実線および太破線で示すように、収納カセット部51の紙幣を搬送路61A,61Kで出金返却部21に搬送する。そして、複数金種結束モードでの処理の最後に、制御部71は、束出金部39および出金返却部21のシャッタを開いて束出金部39および出金返却部21から束紙幣および紙幣を取り出し可能にする。
【0156】
ここで、上記したように、往路ルートでの処理時に、例えば、第1の結束対象金種を貯留する一時貯留領域部47の満杯枚数が520枚で、余裕枚数が10枚の場合、100×5+10の510枚の正常紙幣を識別部31で検出すると、それ以降の第1の結束対象金種の紙幣は搬送路61Aで収納カセット部51に搬送する。この場合、復路ルートでの処理時に、この一時貯留領域部47から繰り出される紙幣にリジェクト紙幣が2枚発生すれば、残りの8枚の紙幣が収納カセット部51に搬送されることになる。よって、結束後に収納カセット部51に搬送される紙幣の紙幣量を抑制することができ、処理効率低下を抑制することができる。
【0157】
第2実施形態によれば、入金部20に集積高検出センサ81が設けられているため、ローカル整理処理を行う際に、処理開始前または処理途中で、束紙幣にならない端数枚の紙幣の発生が予測できる。そして、入金部20にセットした紙幣の高さを監視する集積高検出センサ81の検出結果に基づいて、搬送先を切り替えるなどの制御が可能となる結果、端数枚の紙幣を整列部35,36へ残留させずに、取り出し容易な出金返却部21へ搬送することが可能となる。したがって、整列部35,36の端数紙幣を回収するためのユニット引き出し等が不要となるため、手間を削減することができ、作業効率を向上させることができる。
【0158】
<第3実施形態>
本発明に係る第3実施形態の紙幣処理機を、第1実施形態との相違部分を中心に説明する。
【0159】
第3実施形態では、出金リジェクト庫22に収納される紙幣を少なくするために、第1実施形態とは一部異なるバラ紙幣出金処理を行う。すなわち、バラ紙幣出金処理において、往路ルートとして、
図15に太実線で示すように、一時貯留収納庫41(A)〜41(D)の収納領域部48から第1実施形態と同様に紙幣を繰り出して、識別部31で識別することになり、識別部31で正常と識別された正常紙幣は第1実施形態と同様に出金返却部21に搬送する。他方、識別部31が搬送異常と識別したり、金種識別不良と識別した、正常紙幣以外のリジェクト紙幣のうち、分配不可と識別した紙幣については、
図15に太実線から太破線で示すように、搬送路61A,61K,61Lによって出金リジェクト庫22に搬送し、識別部31で分配可能と識別したリジェクト紙幣については、
図15に太実線から太一点鎖線で示すように、搬送路61A,61G,61Aによって収納カセット部51に収納する。言い換えれば、バラ紙幣出金処理の出金動作で発生したリジェクト紙幣を、リジェクト要因に応じて、分配可能なリジェクト紙幣と分配不可なリジェクト紙幣とに分け、それぞれの往路ルートでの搬送先を変える。
【0160】
具体的に、重送、斜行あるいはニアフィード等の搬送異常の紙幣は、収納カセット部51へ搬送して集積させようとした場合に集積不良を起こす可能性があるため、分配不可なリジェクト紙幣として出金リジェクト庫22へ搬送する。搬送異常以外の紙幣、すなわち金種が識別できない金種識別不良の紙幣は、収納カセット部51で集積不良を起こす可能性が低いため、分配可能なリジェクト紙幣として収納カセット部51へ搬送する。なお、金種識別不良のリジェクト紙幣は、再び識別部31で識別すれば金種識別が可能となる可能性がある。
【0161】
そして、入力された金種別の出金枚数の正常紙幣を、出金返却部21に繰り出すと、制御部71は、復路ルートとして、収納カセット部51に収納した分配可能なリジェクト紙幣を、
図4に太線で示す第2収納処理の紙幣搬送ルートと同じルート、すなわち搬送路61A,61G,61Aで識別部31に搬送し、識別部31で識別をリトライさせる。このリトライ結果に基づいて、金種識別ができた正常紙幣については、搬送路61A,61C〜61Fの対応するものによって、一時貯留収納庫41(A)〜41(D)の対応するものに搬送する。このとき、一時貯留収納庫41(A)〜41(D)では、フラッパ43が開状態とされており、搬送されてきた紙幣をフラッパ43が開状態の一時貯留領域部47を介して収納領域部48に収納する。
【0162】
ここでも、第2収納処理と同様に、収納カセット部51から繰り出された紙幣のうち、識別部31での識別のリトライで搬送異常あるいは金種識別不良と識別したリジェクト紙幣については、収納カセット部51からの紙幣の繰り出しを適宜停止させた状態で、
図4に太実線および太破線で示すように、搬送路61A,61H,61G,61M,61K,61Lによって出金リジェクト庫22に搬送する。
【0163】
以上により、出金リジェクト庫22に収納される紙幣の量を減らすことができる。よって、出金リジェクト庫22に収納される結果、再度入金部20に投入されて識別および計数を行わせる必要が生じる紙幣が減り、作業時間の短縮となる。
【0164】
収納カセット部51からの分配動作で生じるリジェクト紙幣の低減策として、識別部31での識別のリトライで搬送異常と識別したリジェクト紙幣については、出金リジェクト庫22に収納するものの、金種識別不良と識別した紙幣については、収納カセット部51からの紙幣の繰り出しを適宜停止させながら、搬送路61A,61H,61G,61Aで再度識別部31に搬送し、識別のリトライを複数回繰り返すようにしても良い。
【0165】
その際には、収納カセット部51から繰り出され識別部31で識別された後、次の識別のリトライを行わずに出金リジェクト庫22に収納する搬送異常の紙幣に対し、その後続の紙幣については、識別部31での次の識別のリトライを行うことになるが、直ちに識別部31へ搬送せずに、一旦、収納カセット部51へ搬送後、再度繰り出して識別部31へ搬送する場合がある。例えば、搬送異常の紙幣がニアフィードの2枚の紙幣である場合に、その後続の3枚目以降の紙幣については、一旦、収納カセット部51へ搬送後、再度繰り出して識別部31へ搬送する。このように制御するのは、現金違算防止の理由からである。すなわち、紙幣搬送中の金種情報管理は、順列で行っており、例えば、ニアフィードが発生した場合、ニアフィードの紙幣2枚を1枚と誤検知することで金種情報の順列と実際の紙幣の順列とに差が生じ、現金違算を誘発する可能性が生じる。よって一旦搬送部61を、紙幣をなくしたクリアな状態としてから、識別部31での識別の次のリトライを行わせる。
【0166】
上記のように、一旦搬送部61を紙幣がないクリアな状態とするために、後続紙幣(3枚目以降の紙幣)を収納カセット部51へ収納する場合には、直ちに収納カセット部51へ収納するのが好ましいが、収納カセット部51は、エレベータ53が上昇した繰り出し可能な状態であり、紙幣を受け入れる準備ができていない。収納カセット部51が紙幣を受け入れ可能となるまでの間、紙幣を待機させておくため、当該紙幣を、
図16に太実線で示す搬送路61A,61H,61Gのループ状の紙幣搬送ルートで搬送させ続ける。具体的には、紙幣をこの搬送部61のループ状の紙幣搬送ルートで2周ほど搬送させると、収納カセット部51に紙幣の受け入れ準備を整わせるための時間を稼ぐことができる。このように制御することで、紙幣の退避場所としての収納庫を別途用意する必要がなくなって、コスト削減および省スペース化が図れる。また退避場所としての収納庫に収納したり収納庫から繰り出す必要がないため、これらの動作に伴うジャムの発生がなく、処理時間も短縮できて、作業効率を向上させることができる。
【0167】
なお、上記のように搬送部61のループ状の紙幣搬送ルート上で搬送しながら紙幣を待機させる制御に限らず、識別リトライと判断された紙幣の以前に正常に識別された正常紙幣を、所定の一時貯留領域部47に収納した後に、搬送部61のループ状の紙幣搬送ルートによる搬送自体を停止させて待機しても良い。そして、収納カセット部51の受入準備ができると、搬送部61のループ状の紙幣搬送ルートによる搬送を再開させて、待機中の紙幣を収納カセット部51に収納する。
【0168】
ここで、一時貯留収納庫41(A)〜41(D)および収納カセット部51において、繰り出し直後に搬送状態を検出するセンサを設け、繰り出し直後に斜行状態が検出された紙幣については、直ちに逆転搬送を行って、繰り出し元に戻して、繰り出しリトライ動作を行わせるようにしても良い。これによっても、出金リジェクト庫22に収納される紙幣の量を低減できる。
【0169】
以上の実施形態を、以下の変形例1〜6のように変更することが可能である。
【0170】
[変形例1]
4カ所の一時貯留収納庫41(A)〜41(D)と1カ所の収納カセット部51とについて、入金処理において、一時貯留収納庫41(A)〜41(D)のうちの一つの一時貯留領域部47を、特定一金種の紙幣の全部および残り全金種のオーバーフロー紙幣の混合金種一時貯留用の一括一時貯留部とする。例えば、市場流通量が少ない特定一金種(例えば二千円券)用の収納領域部48を有する一時貯留収納庫41(D)の一時貯留領域部47を、この金種の紙幣の全部と他の全金種のオーバーフロー紙幣の一時貯留用とする。また、収納カセット部51をリジェクト紙幣の一時貯留用とする。
【0171】
このように構成すれば、
図2に太実線で示すルートでの入金処理中に、識別部31で識別された前記特定一金種の紙幣の全部および残り全金種のオーバーフロー紙幣を搬送路61A,61Fで一時貯留収納庫41(D)の一時貯留領域部47に一時貯留し、また、識別部31で識別されたリジェクト紙幣を、搬送路61Aで収納カセット部51に一時貯留する。これにより、入金部20から識別部31に向けての紙幣の搬送中にリジェクト紙幣を出金返却部21に搬送する必要がなくなり、入金処理の最後に纏めて、収納カセット部51のリジェクト紙幣を出金返却部21に搬送できる。よって、識別部31で識別されたリジェクト紙幣を出金返却部21に搬送するために、入金部20の繰り出しを途中で中断する必要がなくなる。
【0172】
すなわち、入金部20より取り込まれて識別部31に向かう搬送路61Aの紙幣搬送ルートと、識別部31から出金返却部21へ向かう搬送路61A,61H,61G,61A,61M,61Kの紙幣搬送ルートとが一部交差している構成であっても、リジェクト紙幣が発生する都度タイミングをみて入金部20からの紙幣の取り込みを停止させるという制御を行うことがなくなり、リジェクト紙幣を一旦収納カセット部51へ搬送後、収納カセット部51から纏めて出金返却部21へ連続的に搬送させることが可能になる。その結果、入金取り込み時に入金繰出部24が間欠動作を行わないため、作業効率が上がる。しかも、補充・回収用の収納カセット部51を、補充・回収用途以外で、リジェクト紙幣の一時貯留用に活用することで、専用収納庫(リジェクト紙幣の一時貯留庫)を省くことが可能になり、省スペース・低コストになる。
【0173】
変形例1では、入金キャンセル時の返却処理においては、第1実施形態と同様の
図5に太線で示すルートで、一時貯留収納庫41(A)〜41(D)の一時貯留領域部47および収納カセット部51のすべての紙幣を出金返却部21に繰り出すことになる。
【0174】
また、入金確定時の第1収納処理においては、金種別の一時貯留収納庫41(A)〜41(C)の一時貯留領域部47から紙幣を、
図3に太線で示す第1収納処理と同様のルートで、それぞれの直下の収納領域部48に収納する際に、これと並行して、金種混合の一時貯留収納庫41(D)の一時貯留領域部47の紙幣を、
図9に太線で示す回収処理と同様のルートで、搬送路61F,61A,61G,61Aによって収納カセット部51に送り込む。そして、一時貯留収納庫41(D)の一時貯留領域部47が空になると、今度は、
図4に太線で示す第2収納処理と同様のルートで、搬送路61A,61G,61A,61C〜61Fによって収納カセット部51からの分配処理を行う。これにより、一時貯留収納庫41(D)の収納領域部48に収納すべき金種の紙幣と、一時貯留収納庫41(A)〜41(C)の一時貯留領域部47に貯留できなかったオーバーフロー紙幣とを、一時貯留収納庫41(A)〜41(D)の対応するものの収納領域部48に、フラッパ43が開状態の一時貯留領域部47を介して分配収納することができる。なお、変形例1においては、一時貯留収納庫41(A)〜41(D)のいずれの一時貯留領域部47を、オーバーフロー紙幣の一時貯留用の一括一時貯留部に設定することも可能である。
【0175】
[変形例2]
4カ所の一時貯留収納庫41(A)〜41(D)と1カ所の収納カセット部51とについて、入金処理において、一時貯留収納庫41(A)〜41(D)のうちの一つの一時貯留領域部47をリジェクト紙幣専用の一時貯留用とする。例えば、市場流通量が少ない特定一金種(二千円券)用の収納領域部48を有する一時貯留収納庫41(D)の一時貯留領域部47のみを、リジェクト紙幣専用の一時貯留用とする。また、この一時貯留収納庫41(D)の収納領域部48に収容する前記特定一金種の紙幣については、入金処理においては、オーバーフロー紙幣の収納用の一括一時貯留部としての収納カセット部51に一時貯留する。
【0176】
このように構成すれば、
図2に太実線で示すルートでの入金処理中に、識別部31で識別された前記特定一金種の紙幣の全部および残り全金種のオーバーフロー紙幣を搬送路61Aで収納カセット部51に一時貯留し、また、識別部31で識別されたリジェクト紙幣を搬送路61A,61Fで一時貯留収納庫41(D)の一時貯留領域部47に貯留する。これにより、入金部20から識別部31に向けての紙幣の搬送中にリジェクト紙幣を出金返却部21に搬送する必要がなくなり、入金処理の最後に纏めて、一時貯留収納庫41(D)の一時貯留領域部47のリジェクト紙幣を、
図5に太線で示す返却処理と同様のルートで、搬送路61F,61A,61Kによって出金返却部21に搬送できる。よって、変形例1と同様、識別部31で識別されたリジェクト紙幣を出金返却部21に搬送するために、入金部20の繰り出しを途中で中断する必要がなくなる。
【0177】
変形例2においても、入金キャンセル時の返却処理では、第1実施形態と同様の
図5に太線で示すルートで、一時貯留収納庫41(A)〜41(D)の一時貯留領域部47および収納カセット部51のすべての紙幣を出金返却部21に繰り出すことになる。
【0178】
また、入金確定時の第1収納処理においては、金種別の一時貯留収納庫41(A)〜41(C)の一時貯留領域部47から紙幣を、
図3に太線で示す第1収納処理と同様のルートで、それぞれの直下の収納領域部48に収納した後に、
図4に太線で示す第2収納処理と同様のルートで、搬送路61A,61G,61A,61C〜61Fによって収納カセット部51からの分配処理を行う。これにより、一時貯留収納庫41(D)の収納領域部48に収納すべき金種の紙幣と、一時貯留収納庫41(A)〜41(C)の一時貯留領域部47に貯留できなかったオーバーフロー紙幣とを、一時貯留収納庫41(A)〜41(D)の対応するものの収納領域部48に、フラッパ43が開状態の一時貯留領域部47を介して分配収納することができる。なお、変形例2においては、一時貯留収納庫41(A)〜41(D)のいずれの一時貯留領域部47を、リジェクト紙幣の一時貯留用の一時貯留部に設定することも可能である。変形例2によれば、収納カセット部51がオーバーフロー紙幣の一時貯留用なので、入金処理時に大量のオーバーフロー紙幣の一時貯留が可能となる。
【0179】
[変形例3]
4カ所の一時貯留収納庫41(A)〜41(D)と1カ所の収納カセット部51とについて、一時貯留収納庫41(A)〜41(D)のうちの一つを、特定一金種の紙幣の全部および残り全金種のオーバーフロー紙幣の一時貯留用の一括一時貯留部とし、さらにこれら紙幣の収納用とする。また、収納カセット部51をリジェクト紙幣の一時貯留用とする。
【0180】
このように構成すれば、
図2に太実線で示すルートでの入金処理中に、識別部31で識別された前記特定一金種の紙幣の全部および残り全金種のオーバーフロー紙幣を搬送路61A,61C〜61Fで、一時貯留収納庫41(A)〜41(D)のうちの対応するものの一時貯留領域部47に一時貯留し、また、識別部31で識別されたリジェクト紙幣を、搬送路61Aで収納カセット部51に一時貯留する。これにより、入金部20から識別部31に向けての紙幣の搬送中にリジェクト紙幣を出金返却部21に搬送する必要がなくなり、入金処理の最後に纏めて、収納カセット部51のリジェクト紙幣を出金返却部21に搬送できる。よって、変形例1と同様、識別部31で識別されたリジェクト紙幣を出金返却部21に搬送するために、入金部20の繰り出しを途中で中断する必要がなくなる。
【0181】
変形例3では、入金処理後の収納処理において、一時貯留収納庫41(A)〜41(D)の一時貯留領域部47から紙幣を、
図3に太線で示す第1収納処理と同様のルートで、それぞれの直下の収納領域部48に収納する。これにより、収納処理時間を短くすることができる。なお、一時貯留収納庫41(A)〜41(D)のいずれを、前記特定一金種の紙幣の全部および残り全金種のオーバーフロー紙幣の一時貯留および収納用に設定することも可能である。
【0182】
例えば、一時貯留収納庫41(D)を市場流通量が少ない第4金種の紙幣(例えば二千円券)の全部および残り全金種のオーバーフロー紙幣の一時貯留用および収納用とする。すなわち、一時貯留収納庫41(D)の一時貯留領域部47を第4金種の紙幣の全部および残り全金種のオーバーフロー紙幣の一時貯留用の一括一時貯留領域部とし、一時貯留収納庫41(D)の収納領域部48を第4金種の紙幣の全部および残り全金種のオーバーフロー紙幣の収納用の一括収納領域部とする。また、一時貯留収納庫41(A)を第1金種(例えば万円券)用の一時貯留および収納用とし、一時貯留収納庫41(B)を第2金種(例えば五千円券)用の一時貯留および収納用とし、一時貯留収納庫41(C)を第3金種(例えば千円券)用の一時貯留および収納用とし、収納カセット部51をリジェクト紙幣の一時貯留用として、
図2に太実線で示すルートで入金処理を行う。
【0183】
変形例3においても、入金キャンセル時の返却処理では、第1実施形態と同様の
図5に太線で示すルートで、一時貯留収納庫41(A)〜41(D)の一時貯留領域部47および収納カセット部51のすべての紙幣を出金返却部21に繰り出すことになる。
【0184】
また、入金確定時の収納処理においては、金種別の一時貯留収納庫41(A)〜41(D)の一時貯留領域部47に貯留した紙幣をフラッパ43を開状態として直下の収納領域部48に収納させる。これにより、一時貯留収納庫41(D)には、前記特定一金種の紙幣の全部および残り全金種のオーバーフロー紙幣が収納領域部48に収納される。このように、入金確定時に、一時貯留収納庫41(D)の一時貯留領域部47にオーバーフロー紙幣がある場合には、このオーバーフロー紙幣を、一時貯留領域部47からそのフラッパ43を開状態として直下の収納領域部48に収納させるため、入金確定時の収納処理の処理時間をさらに短縮可能となる。
【0185】
あるいは、一時貯留収納庫41(A)〜41(D)のうちの一つを、オーバーフロー紙幣専用の一時貯留および収納用としても良い。なお、一時貯留収納庫41(A)〜41(D)のいずれをオーバーフロー紙幣専用の一時貯留および収納用に設定することも可能である。例えば、一時貯留収納庫41(D)をオーバーフロー紙幣専用の一時貯留および収納用とし、一時貯留収納庫41(A)を第1金種(例えば万円券)用の一時貯留および収納用とし、一時貯留収納庫41(B)を第3金種(例えば千円券)用の一時貯留および収納用とし、一時貯留収納庫41(C)を第2,第4金種(例えば五千円券および二千円券)用の一時貯留および収納用とする。また、収納カセット部51をリジェクト紙幣の一時貯留用とする。
【0186】
この場合も、入金処理の最後に纏めて、収納カセット部51のリジェクト紙幣を出金返却部21に搬送することになり、返却処理時には、第1実施形態と同様にして、一時貯留収納庫41(A)〜41(D)の一時貯留領域部47および収納カセット部51のすべての紙幣を出金返却部21に繰り出すことになる。また、入金確定時には、収納処理として、一時貯留収納庫41(A)〜41(D)の一時貯留領域部47のそれぞれのフラッパ43を開状態として、一時貯留領域部47のそれぞれの紙幣をそれぞれの直下の収納領域部48に収納する。
【0187】
あるいは、一時貯留収納庫41(A)〜41(D)のうちの一つを、特定の複数金種の紙幣の全部および残り全金種のオーバーフロー紙幣の一時貯留および収納用としても良い。なお、一時貯留収納庫41(A)〜41(D)のいずれを、特定の複数金種の紙幣の全部および残り全金種のオーバーフロー紙幣用に設定することも可能である。例えば、一時貯留収納庫41(D)を、第2,第4金種の紙幣(例えば五千円券および二千円券)の全部および残り全金種のオーバーフロー紙幣の一時貯留および収納用とし、一時貯留収納庫41(A)を第1金種(例えば万円券)用の一時貯留および収納用とし、一時貯留収納庫41(B)を第1金種(例えば万円券)用の一時貯留および収納用とし、一時貯留収納庫41(C)を第3金種(例えば千円券)用の一時貯留および収納用とする。また、収納カセット部51をリジェクト紙幣の一時貯留用とする。
【0188】
この場合も、入金処理の最後に纏めて、収納カセット部51のリジェクト紙幣を出金返却部21に搬送することになり、返却処理時には、第1実施形態と同様にして、一時貯留収納庫41(A)〜41(D)の一時貯留領域部47および収納カセット部51のすべての紙幣を出金返却部21に繰り出すことになる。また、入金確定時には、収納処理として、一時貯留収納庫41(A)〜41(D)の一時貯留領域部47のそれぞれのフラッパ43を開状態として、一時貯留領域部47のそれぞれの紙幣をそれぞれの直下の収納領域部48に収納する。
【0189】
[変形例4]
4カ所の一時貯留収納庫41(A)〜41(D)と1カ所の収納カセット部51とについて、一時貯留収納庫41(A)〜41(D)のうちの一つの一時貯留領域部47をリジェクト紙幣の一時貯留用とし、この一時貯留領域部47の直下の収納領域部48を特定一金種の紙幣の全部および残り全金種のオーバーフロー紙幣の収納用とする。また、収納カセット部51を前記特定一金種の紙幣の全部および残り全金種のオーバーフロー紙幣の一時貯留用の一括一時貯留部とする。
【0190】
このように構成すれば、
図2に太実線で示すルートでの入金処理中に、識別部31で識別されたリジェクト紙幣を搬送路61A,61C〜61Fで、一時貯留収納庫41(A)〜41(D)のうちのリジェクト紙幣用の一つの一時貯留領域部47に一時貯留し、また、識別部31で識別された前記特定一金種の紙幣の全部および残り全金種のオーバーフロー紙幣を搬送路61Aで収納カセット部51に一時貯留する。これにより、入金部20から識別部31に向けての紙幣の搬送中にリジェクト紙幣を出金返却部21に搬送する必要がなくなり、入金処理の最後に纏めて、
図5に太線で示す返却処理と同様のルートで収納カセット部51のリジェクト紙幣を出金返却部21に搬送できる。よって、識別部31で識別されたリジェクト紙幣を出金返却部21に搬送するために、入金部20の繰り出しを途中で中断する必要がなくなる。
【0191】
例えば、市場流通量が少ない第4金種の紙幣(例えば二千円券)の全部および残り全金種のオーバーフロー紙幣の収納用の収納領域部48を有する一時貯留収納庫41(D)の一時貯留領域部47をリジェクト紙幣の一時貯留用とし、収納カセット部51を市場流通量が少ない第4金種の紙幣の全部および残り全金種のオーバーフロー紙幣の一時貯留用として
図2に太実線で示すルートで入金処理を行う。そして、入金処理の最後に、一時貯留収納庫41(D)の一時貯留領域部47のリジェクト紙幣を出金返却部21に搬送する。
【0192】
変形例4では、入金キャンセル時の返却処理においては、第1実施形態と同様の
図5に太線で示すルートで、一時貯留収納庫41(A)〜41(D)の一時貯留領域部47および収納カセット部51のすべての紙幣を出金返却部21に繰り出すことになる。
【0193】
また、入金処理後の第1収納処理において、金種別の一時貯留収納庫41(A)〜41(C)の一時貯留領域部47から紙幣を、
図3に太線で示すルートで、それぞれの直下の収納領域部48に収納する。そして、この第1収納処理と並行して、第2収納処理を行い、
図4に太線で示すルートで、搬送路61A,61G,61A,61Fによって収納カセット部51の前記特定一金種の紙幣の全部および残り全金種のオーバーフロー紙幣を、一時貯留収納庫41(D)の金種混合の収納領域部48にフラッパ43が開状態の一時貯留領域部47を介して収納する。このとき、既に入金確定しているので、リジェクト相当の紙幣があっても、強制的に一時貯留収納庫41(D)の収納領域部48に収納させて良い。なお、一時貯留収納庫41(A)〜41(D)のいずれを、リジェクト紙幣の一時貯留用であって、前記特定一金種の紙幣の全部および残り全金種のオーバーフロー紙幣の収納用に設定することも可能である。
【0194】
[変形例5]
搬送路61Aから分岐する搬送路61C〜61Fのそれぞれの分岐ゲートを、搬送路61A上で識別部31から収納カセット部51に向かう紙幣を搬送路61C〜61Fのそれぞれ対応するものに導入する第1実施形態と同様の振り分けに加えて、搬送路61A上で収納カセット部51から識別部31に向かう紙幣を搬送路61C〜61Fのそれぞれ対応するものに導入する振り分けが可能な3方向ゲートで構成する。これにより、
図17に太線で示すように、収納カセット部51から繰り出した紙幣を、搬送路61Aから搬送路61C〜61Fで、識別部31を介することなく、金種別の一時貯留収納庫41(A)〜41(D)に振り分けて収納することができる。
【0195】
このように構成すれば、第1実施形態で述べた搬送ルートに加えて、例えば収納カセット部51に一時貯留したオーバーフロー紙幣の金種が単一金種の場合の第2収納処理の動作の際に、収納カセット部51から識別部31で識別せずに直接、金種別の一時貯留収納庫41(A)〜41(D)の対応するものに搬送することができる。この場合、収納カセット部51に一時貯留されたオーバーフロー紙幣の量が、一時貯留収納庫41(A)〜41(D)のうちの搬送先のものの収納可能残容量未満であることが条件となる。
【0196】
また、オーバーフロー紙幣の金種が複数金種である場合の第2収納処理においては、第1実施形態と同様の
図4に太線で示すルートによって識別部31で識別して分配処理動作させるのが良いが、制御部71がメモリに記憶させておいた金種の序列情報に基づいて、識別部31を通らない
図17に太線で示すルートで直接、一時貯留収納庫41(A)〜41(D)のうちの対応するものへ分配搬送しても良い。この場合も、収納カセット部51に一時貯留されたオーバーフロー紙幣の各金種それぞれの量が、一時貯留収納庫41(A)〜41(D)のうちの搬送先のものの収納可能残容量未満であることが条件となる。
【0197】
変形例5によれば、オーバーフロー紙幣の第2収納処理の動作において、収納カセット部51から、一時貯留収納庫41(A)〜41(D)のうちの目的とするものへ最短ルートで紙幣を搬送できるため、処理時間の短縮となる。また搬送距離が短いためジャム発生を抑制することができる。
【0198】
[変形例6]
搬送路61Aから分岐する搬送路61C〜61Fの分岐ゲートを変形例5と同様の3方向ゲートで構成する。また、一時貯留収納庫41(A)〜41(D)のうち、3方向ゲートが設けられた一つ、例えば、一時貯留収納庫41(D)の一時貯留領域部47を混合金種用とする。これにより、入金処理で発生したリジェクト紙幣とオーバーフロー紙幣とを分離して一時貯留することができる。
【0199】
すなわち、入金処理で、金種別の一時貯留収納庫41(A)〜41(C)の一時貯留領域部47に入りきらずにオーバーフローとなった紙幣を、
図18に太実線で示すように、搬送路61A,61Fによって、市場流通枚数の少ない金種(二千円券)の一時貯留収納庫41(D)の一時貯留領域部47に、この金種の紙幣とともに搬送するとともに、識別部31にて受け入れ不可と識別されたリジェクト紙幣を、
図18に太実線から太破線で示すように、搬送路61Aによって、収納カセット部51へ搬送する。そして、入金部20から紙幣がすべて繰り出された後、
図11に太破線で示すように、搬送路61A,61G,61A,61M,61Kによって収納カセット部51のリジェクト紙幣を出金返却部21へと搬送する。出金返却部21へ搬送されたリジェクト紙幣は、再度、入金部20へセットされると、入金処理が行われる。
【0200】
入金確定後、オーバーフロー紙幣が複数金種であって一時貯留収納庫41(D)の収納領域部48に収納する金種がない場合は、
図19に太実線で示すように、一時貯留収納庫41(D)の一時貯留領域部47から繰り出した紙幣を、搬送路61F,61A,61H,61G,61Aで識別部31に搬送し、識別部31で識別して、金種別の一時貯留収納庫41(A)〜41(C)に分配搬送して収納する。また、オーバーフロー紙幣が、一時貯留収納庫41(D)の収納領域部48に収納する金種以外の単一金種である場合は、
図20に太線で示すように、一時貯留収納庫41(D)の一時貯留領域部47から繰り出した紙幣を、搬送路61F,61A,61C〜61Eによって、識別部31を介することなく、金種別の一時貯留収納庫41(A)〜41(D)の対応するものに収納することができる。
【0201】
ここで、一時貯留収納庫41(D)の一時貯留領域部47に、一時貯留収納庫41(D)の収納領域部48に収納する第4金種の紙幣と他の金種のオーバーフロー紙幣とがある場合は、一時貯留収納庫41(D)の一時貯留領域部47の紙幣をすべて、
図21に太線で示すように、搬送路61F,61Aで収納カセット部51に収納後、
図4に太線で示すルートでの第2収納処理によって、収納カセット部51からの分配処理を行う。なお、一時貯留収納庫41(A)〜41(D)のいずれを、オーバーフローとなった紙幣および特定一金種の収納用としても良い。
【0202】
あるいは、一番右の一時貯留収納庫41(A)の一時貯留領域部47にオーバーフロー紙幣および特定一金種の紙幣を一時貯留し、その直下の収納領域部48に前記特定一金種の紙幣を収納するように設定して、収納処理時に、オーバーフロー紙幣および前記特定一金種の紙幣を、一時貯留収納庫41(A)の一時貯留領域部47から
図16に太実線で示す搬送部61のループ状の紙幣搬送ルートを反時計廻りで搬送させることにより、他の金種別の一時貯留収納庫41(B)〜41(D)にそれぞれの金種の紙幣を収納するとともに、収納カセット部51に一時貯留収納庫41(A)への紙幣を収納し、その後、収納カセット部51内の一時貯留収納庫41(A)への紙幣を、一時貯留収納庫41(A)に収納する。あるいは、一番右の一時貯留収納庫41(A)の一時貯留領域部47のオーバーフロー紙幣および特定一金種の紙幣を、収納カセット部51に搬送した後、収納カセット部51からの分配動作を行っても良い。
【0203】
変形例6によれば、金種別の一時貯留収納庫41(A)〜41(D)のうちのいずれか1つの一時貯留領域部47を混合金種用の一括一時貯留部とすることで、一時貯留のリジェクト紙幣と一時貯留のオーバーフロー紙幣とを分離することができる。これにより、リジェクト紙幣を収納カセット部51に一時貯留してから纏めて出金返却部21に繰り出す制御ができ、入金取り込みでの間欠動作をなくすことができるため、処理時間を短縮でき、ジャム発生を抑制することができる。