(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-114989(P2021-114989A)
(43)【公開日】2021年8月10日
(54)【発明の名称】植物栽培促進装置
(51)【国際特許分類】
A01G 7/00 20060101AFI20210712BHJP
A01G 25/06 20060101ALI20210712BHJP
【FI】
A01G7/00 602Z
A01G25/06 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】書面
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2020-21920(P2020-21920)
(22)【出願日】2020年1月24日
(71)【出願人】
【識別番号】515107188
【氏名又は名称】中野 譲二
(72)【発明者】
【氏名】中野 譲二
(57)【要約】 (修正有)
【課題】露地栽培の植物の根に空気を供給する方法として気液混合水を散水するだけでなく、停止後も空気を供給することで植物栽培の促進を図る植物栽培育成装置を提供する。
【解決手段】気密性容器10と、気密性容器内に水を供給するために接続された導水管と、土壌栽培された植物の根に水を給水できるように気密性容器10に接続され複数の孔を備えた排水管30と、気密性容器10に接続され気密性容器10内部に空気を導入するための空気供給配管と空気排気管50を備えた植物栽培育成装置。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
側面に複数の孔を備えた配管を地中に埋没させて使用する散水管と、前記散水管内部に水を供給するための導水管と、前記散水管内部に空気を導入するための空気供給設備が接続された植物栽培育成装置。
【請求項2】
導水管に気密性容器が接続され、請求項1記載の散水管内に空気を導入するための空気供給設備が接続されたことを特徴とする請求項1記載の植物栽培育成装置。
【請求項3】
散水管の他端部に開閉バルブ又は着脱可能な封止蓋が取り付けられたことを特徴とする請求項1記載の植物栽培育成装置。
【請求項4】
散水管の孔が備わる領域には不織布またはフエルトが巻き付けられていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の植物栽培育成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土壌栽培用の植物の根に水分又は培養液と空気を送る植物栽培促進装置に関する。
【背景技術】
【0002】
露地栽培の植物の根は地中にあって、その表面でガス交換が行われているが地中の酸素濃度は低いため十分な酸素が得られない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−179266号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は、微細気泡の発生場となる液体と微細気泡を形成する気体とを混合する気液混合槽と、前記気液混合槽に前記液体を導入するための液体導入路と、前記気液混合槽に前記気体を供給するための給気路と、前記気液混合槽内にて調製された気体含有液体を吐出する気体含有液体吐出路と、前記気体含有液体吐出路に取り付けられた微細気泡発生手段と、前記液体導入路と分岐弁を介して連結された複数の液体貯蔵タンクとを備えており、前記液体貯蔵タンクは、少なくとも水貯蔵タンク、液体肥料貯蔵タンク、好気性菌含有液体貯蔵タンクからなる微細気泡含有液体製造装置である。
【0005】
前記文献には地中に微細気泡を供給する方法が提案されているが、気液混合液体であるため露地栽培の植物の根に前記液体を散水する時にのみ気泡を供給するため散水が終わると気泡を供給できない構造となっている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題に鑑み、発明者は誠意工夫の結果、側面に複数の孔を備えた配管を地中に埋没させて使用する散水管と、前記散水管内部に水を供給するための導水管と、前記散水管内部に空気を導入するための空気供給設備が接続された植物栽培育成装置を提案する。
【0007】
通水性の悪い土壌に於いては本発明の植物栽培育成装置を用いることで植物の根に効率よく散水できる。また、通気性の悪い土壌では植物育成に十分な酸素濃度を根に吸収させることが出来ないため本発明の装置であれば散水を行いながら空気供給設備を稼働させることで空気を地中に供給できるだけでなく散水を停止した後でも空気供給設備を稼働すれば常時地中に空気を供給できるため植物育成が促進される。
【0008】
本発明の植物栽培育成装置の散水管の孔が備わる領域には不織布またはフエルトが巻き付けられているため孔を介して散水管内に微小土・砂などの直接侵入を抑制できる。また、不織布またはフエルトに入り込んだ更に微小な土・砂などは孔を介して侵入するため長期使用していると散水管内部のヌメリやバクテリアや菌が繁殖するため植物に悪影響を及ぼす可能性があるため散水管の他端部に開閉バルブ又は着脱可能な封止蓋を取り外し導水管から導入される水を直接排水することで散水管内部を清潔にできる。
【0009】
また、導水管に気密性容器を接続させ、且つ空気供給設備を接続することで当該気密性容器に導水された水をバブリングすることで溶存酸素濃度を高めることやマイクロバブル発生装置などを取り付けることも可能となり、更には当該気密性容器内の水を循環させることで溶存酸素濃度やマイクロバブル密度を高めることも可能となるため植物育成が促進される。また、空気供給設備としてエアーポンプを常時稼働することで散水を行わない場合でも気密性容器に充満した空気は散水管を介して当該散水管に具備された複数の孔から地中に供給することも可能となる。
【発明の効果】
【0011】
上述の様に、本発明の植物栽培育成装置は露地栽培の植物の根に空気を供給する方法として気液混合水だけでなく、散水停止後でも常時地中に空気のみを供給することで植物栽培の促進を図る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の植物栽培促進装置の基本構成を示す概略図
【
図2】本発明の植物栽培促進装置に於いて、微小気泡発生装置にマイクロバブル発生装置を用いた場合の概略側面図概略側面図
【
図3】
図1記載の微小気泡発生装置にエアーストーンを用いた場合の概略側面図
【
図4】
図1記載の植物栽培促進装置を基本構成として気密性容器内に循環用配管の据え付けと、排水孔に着脱可能な蓋および排水管に不織布を巻き付けた場合の概略側面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る実施の形態を図面により説明するが、本発明の範囲は本実施形態に制限されるものではない。
【実施例】
【0014】
図1は本発明の植物栽培促進装置の基本構造をに於いて、微小気泡発生装置にマイクロバブル発生装置を用いた場合の概略側面図概略側面図、
図2は
図1記載の微小気泡発生装置にエアーストーンを用いた場合の概略側面図、および
図3には
図1記載の気密性容器内に循環用配管を備え、排水管に着脱可能な蓋および排水管に不織布を巻き付けた場合の概略側面図を示す。
【0015】
図1から
図3は、気密性容器10に備わる基本構成として当該気密性容器内に水を供給するために設けられた導水管20と、土壌栽培された植物の根に散水するために複数の孔を具備した排水管30と、該気密性容器の内部に空気を導入するための空気供給配管40と空気を排出するための空気排気管50が備わっている。
【0016】
図1の植物栽培促進装置の導水管20には微小気泡発生装置としてマイクロ(ナノ)バブル発生装置22が取り付けられており、気密性容器内への給水は導水用バルブ24の開閉にて行う。排水管30には植物の根に水を供給するために複数の孔が具備され、当該排水管には加圧ポンプ32と加圧ポンプ用バルブ34が接続されており前記加圧ポンプ32を駆動し、前記加圧ポンプ用バルブ34を開状態にすることで前記複数の孔から散水される。前記排水管30の末端部は排水用バルブ36が取り付けられており、通常使用時には当該バルブは閉状態であるが排水管30の孔を介して混入した微小土・砂などを除去するために当該バルブ36を開状態にし、排水を行うことで容易に清掃が可能となる。
根の下側に設置しているが根の近辺に設置すればよい。
【0017】
空気供給用のエアーポンプ42と空気供給用バルブ44が取り付けられた空気供給管40は排水管30に接続されており、前記エアーポンプ42を駆動させバルブ44を開状態とし、空気排気管50に取り付けられている空気排気用バルブ52を開状態にすることで排水管に具備する複数の孔を介して地中に空気を供給することができる。
【0018】
図2の植物栽培促進装置には微小気泡発生装置として導水管20にマイクロ(ナノ)バブル発生装置22を取り付けずに、代わりに空気供給管40の先端部にエアーストーン46を取り付けている。また、排水管30の末端部には開閉可能な排水用バルブ36の代わりに着脱可能な排水用蓋38を取り付けている。上述した排水用バルブ36と同様に通常使用時には排水用蓋38は固定されているが清掃時には当該蓋を取り外すことで容易に清掃が可能となる。
【0019】
図3は、
図1の植物栽培促進装置を基本構成として気密性容器内に循環用配管60が備わり、前記循環用配管60に取り付けられた汲み上げポンプ62により当該容器内の給水された水をマイクロ(ナノ)バブル発生装置22の上流側に位置する導水管20に接続させている。これにより、前記マイクロ(ナノ)バブル含有水を循環させることにより高濃度のマイクロ(ナノ)バブルを形成させることが可能となる。
【0020】
排水管30に具備する複数の孔から散水される水は周辺の地中を侵食する恐れがあり、また植物の根が水を求めて孔内に侵入してくるため不織布39を排水管外周に巻き付けることで上記課題を解決するだけでなく前記孔内に混入する微小土や砂などの防止にもなる。
【0021】
排水管30は塩ビ製やポリエチレン製を使用し、散水用の孔を形成させるが市販の灌水チューブを使用することも可能である。前記孔の径は加圧ポンプの圧力に依存するが0.5mmから1.5mmの範囲が好ましい。
気密性容器10には培養液導入口70を備えており、必要に応じて培養液などを投入することも可能な構造としている。また、排水管30に巻き付ける不織布の代わりにフエルトを巻き付けても良い。
【0022】
本発明に係る実施の形態について、手動方式による植物栽培促進装置について説明したが、容器内に供給する水の供給量設定、ポンプ駆動タイミング、バルブ開閉などセンサーを使用した駆動システムを用いることで自動化を行うことも可能となる。
【符号の説明】
【0023】
10 密閉容器
20 導水管
22 マイクロ(ナノ)バルブ発生装置
24 導水用バルブ
30 複数の孔を具備した排水管
32 加圧ポンプ
34 加圧ポンプ用バルブ
36 排水用バルブ
38 排水用封止蓋
39 不織布
40 空気供給管
42 エアーポンプ
44 空気供給用バルブ
46 エアーストーン
50 空気排気管
54 空気排気用バルブ
60 循環用配管
62 汲み上げポンプ
70 培養液導入口
100 野菜