【課題】 熱量のムラを解決し、持ち運びが容易で屋外でも利用可能で、回転を止めずに串を取り出せて、食材を焦がすことなく串焼きを調理することが可能な串焼き器を提供する。
【解決手段】 串焼き器の中央位置に配置され、食材を加熱する熱源となる熱源部2と、熱源部2を垂直軸で回転させる熱源回転手段と、熱源部2の周囲において串を垂直軸で回転可能に保持する串保持手段3と、串保持手段3に保持されている串を回転させる回転動力を伝達する回転動力伝達手段13と、を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
家庭やキャンプ等において使用される串焼き器の場合、手軽に持ち運びできることが望まれるので、小型で簡易な構成のものが好まれる。また、屋外での使用を考慮すれば、電池または手動で作動させることができるものが好まれる。また、熱源が周囲に及ぼす熱量のムラが解決されていること、数種の熱源が利用可能であること、食材に火移りせず素人でも焦がさずに調理ができることも望まれる。さらに、使用後の清掃といったメンテナンスが容易であることも望まれる。このような機能を有するものが理想である。
【0007】
しかしながら、持ち運び可能な小型の串焼き器の場合、熱源の上で加熱調理するものであり、熱源の横で加熱するものがない。そのため、食材を焦がす、食材に煤が付くといった問題が解消できていない。
【0008】
特許文献1のグリル調理器のように熱源としてガスを用いる場合や、特許文献2の電気串焼き器のように熱源として電熱器を用いる場合は焼きムラを生じさせにくいが、屋外での使用やサイズに問題がある。一方、熱源として炭や薪を用いた場合、周囲に及ぼす熱量のムラを解決することができないという問題がある。
【0009】
また、特許文献2の電気串焼き器には、家庭用電源を必要とし、屋外での使用が難しいうえ機構上複雑になり、重量が増して持ち運びが困難という問題がある。また串の回転を止めなければ串を取り出すことができないため、一つの串を取り出すために、他の未だ加熱が十分でない串への加熱を中断しなければならないという問題もある。
【0010】
そこで、本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、熱量のムラを解決し、持ち運びが容易で小規模な串焼き店や家庭内、キャンプ等の屋外でも利用することができ、回転を止めずに串を取り出せて、素人でも食材を焦がすことなく串焼きを調理することが可能な串焼き器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記問題を解決するために、本発明に係る串焼き器は、串に保持された食材を加熱調理する串焼き器であって、串焼き器の中央位置に配置され、食材を加熱する熱源となる熱源部と、前記熱源部を垂直軸で回転させる熱源回転手段と、前記熱源部の周囲において串を垂直軸で回転可能に保持する串保持手段と、前記串保持手段に保持されている串を回転させる回転動力を伝達する回転動力伝達手段と、を有することを特徴とする。
【0012】
ここで、前記回転動力伝達手段は、前記熱源回転手段の動力を前記串保持手段を回転させる回転動力として伝達することを特徴とする。
【0013】
また、前記熱源回転手段は串焼き器の中央位置に配置されており、前記回転動力伝達手段は前記熱源回転手段と同軸上で回転するとともに、水平方向に放射状に突出された伝達アームを備えた回転動力伝達部を有しており、前記串保持手段は、前記串保持手段の上部または底部に前記伝達アームからの回転動力を受ける回転動力受け部を備え、前記伝達アームが前記回転動力受け部に接触して回転動力が伝達されることを特徴とする。
【0014】
さらに、前記伝達アームが前記串または前記食材に直接的に接触して回転動力を伝達することを特徴とする
【0015】
そして、さらに、前記熱源部の発する熱を逃がさずに内側方向へ反射させる外壁部を有することを特徴とする。
【0016】
また、さらに、前記串保持手段は、前記外壁部の熱源部側に取り外し可能に装着されている、または前記外壁部の熱源部側に固着されていることを特徴とする。
【0017】
さらに、さらに、前記熱源部を載置するベース部および五徳を備え、前記外壁部は、複数枚に分割可能に構成されているとともに、串焼き器の中心方向へ向けて延びる板状差込部材を有しており、当該板状差込部材を前記ベース部または前記五徳の足に差し込むことで取り付けられるとともに、当該差し込みの程度によって前記伝達アームから前記串保持手段へ伝達する回転動力の伝達程度が調整されることを特徴とする。
【0018】
これによれば、熱源部の回転の動きを串保持部へ伝達し、串保持部で回転可能に保持されている串を回転させるとともに、串保持部そのものを外壁部から取り外し可能に装着することもできるので、熱量のムラを解決し、小型で持ち運びが容易で、回転を止めずに串を取り出すことができ、素人でも食材を焦がすことなく串焼きを調理可能な串焼き器が実現される。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明に係る串焼き器によれば、熱量のムラを解決し、簡易かつ小型の構成で容易に持ち運ぶことができ、回転を止めることなく串を取り出すことができ、素人でも食材を焦がすことなく串焼きを調理することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る串焼き器について、実施の形態に基づいて詳しく説明する。
【0022】
図1は、本発明の第1実施形態に係る串焼き器の主な構成を示す図である。
図2は、本第1実施形態に係る串焼き器の構成部品を示す部品展開図である。
図3は、本発明の第1実施形態に係る串焼き器の内部構成を示す図である。
【0023】
本第1実施形態の串焼き器は、串に保持された肉や魚などの食材を焼いて調理するための調理器具であり、四隅にそれぞれ脚を持つ平坦な板状部材で構成されるベース部1と、ベース部1の中央位置に配置される熱源部2と、食材が刺された串を保持する串保持部3と、熱源部2の外周に円筒を構成するように配置される反射板4と、熱源部2および串保持部3に保持された串を回転させるための回転機構である円筒形の筒8と、ベース部1と結合されて熱源部2の上方に配置された五徳19とを備えている。
【0024】
ベース部1は、四本の脚を四隅に持つ平坦な板状部材であり、串焼き器の基台(台座部)を構成する。ベース部1は、中央に円形の孔を有しており、この孔に熱源部2を配置できるようになっている。
【0025】
ベース部1の上側には、それぞれ円形の孔を有する四角形の平板部材である下段スイベルプレート5と、上段スイベルプレート6とが重ねて配置されており、下段スイベルプレート5がベース部1と固定されている。ベース部1の中央の孔、下段スイベルプレート5および上段スイベルプレート6の孔は、それぞれの孔の中心点が同じ垂直線上にあり、下段スイベルプレート5および上段スイベルプレート6の孔はベース部1の中央の孔の直径よりやや小さくなっている。上段スイベルプレート6は熱源部2を載置するための台座として機能し、上段スイベルプレート6の上面には熱源部2の底部に合わせて、可動するL字型のプレート7が備えられている。4つのL字型プレート7の一辺は上段スイベルプレート6の上面にコイルバネとともにネジ止めされ、他方の一辺は垂直方向に起立しており、その途中に設けられた突起で熱源部2の底面を受け止めるように構成されている。
【0026】
ベース部1の下側、つまり、地面側には、熱源部2の台座となる上段スイベルプレート6を回転させるための動力部がある。取り外し可能な円筒形の筒8がベース部1の孔を通って上段スイベルプレート6の孔に嵌められる。
【0027】
円筒形の筒8の上部外側には溝を持つ突起部が設けられており、上段スイベルプレート6の孔の淵がこの溝に嵌合することで、筒8の回転がそのまま台座である上段スイベルプレート6の回転となり、熱源部2を回転させることになる。また、筒8の下部外側には周方向全体に亘ってスプロケットのための歯が付けられており、この歯に噛み合うベルト9が嵌められるようになっている。
【0028】
ベルト9の一端は、無電力の際に用いられる手動ハンドルで回るウォームギアや乾電池等で駆動するモーター10のウォームギアのいずれかそれぞれに噛み合うよう平ギアにかけられる。さらに、筒8の真下には乾電池等で稼働する取り外し可能な送風機11が配置されている。
【0029】
熱源部2の台座となる上段スイベルプレート6の上部中心には、熱源部2の中心へ風を送るための漏斗状の漏斗状送風口12が取り外し可能に取り付けられており、同様に、熱源部2を炭や薪で構成した場合に発生する灰を受けるための灰受け皿14も取り外し可能に取り付けられている。
【0030】
熱源部2は、炭、ガス、灯油、薪といった燃料で構成される加熱源である。熱源部2の全体形状は円柱で、円柱の外周面は網目状に形成されている。また、熱源部2の上方は開放されている。熱源部2の上縁はフランジ状になっていて、上縁面にはC字状の取っ手が取り付けられている。使用される燃料によって熱源部2の使用方法は異なる。
【0031】
例えば、熱源部2が炭や薪で構成される場合は、熱源部2を中に炭や薪を投入する籠のように使用することになる。また、燃料として灯油やガスバーナーを用いる場合は、熱源部2には上記のような籠ではなく、石油ストーブ等で使用されるガラス炎筒を使用すれば効果的である。
【0032】
串保持部3は、熱源部2の周囲において串を垂直軸で回転可能に保持するものであり、本第1実施形態では、反射板4上縁の任意の箇所へ取り外し可能に装着される。串保持部3については、後に詳述する。
【0033】
反射板4は、ステンレス等の金属製の板状部材を曲げ加工して形成され、熱源部2の熱を逃がさずに内側方向へ反射させるための外壁部として機能する。反射板4を単一の円筒状に構成して、上方から被せて外壁部とするような構成にしてもよいが、ここでは反射板4を複数枚(ここでは4枚)組み合わせることで外壁部を構成する例を示している。
【0034】
4枚の反射板4は、各々が上下に分断されたものではなく、熱源部2の外側円周を分割するように配置されている。また、反射板4の外側には火傷防止と保温のために、布製の反射板カバー20が取り外し可能に装着されている。また、各反射板4は、
図2に示すように、複数の串保持部3が並べて配置できる大きさに形成されており、多数の串をまとめて焼き上げられる。
【0035】
図4は、串保持手段としての串保持部3の構成例を示す図である。
【0036】
食材が刺された串を垂直方向に立てたまま串の軸が回転可能な状態で保持する串保持部3は、縦長のコの字型の形状をしており、上下でそれぞれ串の上下を保持するように構成されている。串保持部3の串を回転可能に保持する側に熱源部2が位置するようになっており、熱源部2とは反対側の串保持部3の外側上部には逆向きU字型の串保持部取手17が取り付けられている。
【0037】
串保持部3の全体は、金属製の板状部材により形成されているが、コの字の下にあたる底部の上面には食材から滴り落ちる油分などの受け皿となる半球状の油受け15が取り付けられている。この油受け15は、縦軸で回転するよう構成されており、コの字底部の下面にある十字状羽根車16が回されると一緒に回ることになる。この油受け15に串の下側の先端部を設置し、串の上側の先端部をコの字の上部に設けられた孔に通すことで、串保持部3は串を回転可能に保持するようになっている。
【0038】
串保持部3の反射板4への取り付けについて説明する。串保持部3は、串保持部取手17を反射板4の上縁に引っ掛けることで反射板4に装着される。串保持部3の串保持部取手17の取り付け部は平板状の取付用爪21を備えており、この取付用爪21を反射板4の上縁の任意の位置に引っ掛けることで串保持部3は反射板4に保持される。これにより多数の串保持部3を簡単に着脱できる。
【0039】
熱源部2を取り囲む4枚の反射板4は、反射板4の下部外側に向かって逆U字状に湾曲した逆U字型取手22を備えている。この逆U字型取手22の他方の端部側は、反射板4の底面方向に屈曲して串焼き器の中心方向へ向けて延びる平板になっており、この平板部分(板状差込部材22a)がベース部1の裏面側(下面側)に設けられた差込口23に挿入されて収まる。このようにして、反射板4はベース部1に取り外し可能に装着される。
【0040】
反射板4の板状差込部材22aを差込口23の一番奥に差し込むと、串保持部3が熱源部2に最も近づくことになる。そして、この串保持部3が熱源部2に最も近づいた状態のときに、熱源部2と一緒に回転するリングである回転伝達部13の外周に取り付けられ、外方向へ突き出た部材である伝達アーム13aがコの字底部の下面にある十字状羽根車16をなぞって十字状羽根車16を回転させる。また、反射板4の板状差込部材22aを差込口23から外側に引き出すことで串の回転を停止させることもできる。
【0041】
このように、反射板4の板状差込部材22aを差込口23へ差し込む程度を調整することで、回転伝達部13が串保持部3へ伝達する回転動力の伝達の程度を調整可能にしている。反射板4の板状差込部材22aの差込口23への差し込み程度が調整可能で、回転伝達部13の串保持部3へ伝達する回転動力の伝達程度が調整可能になるということは、串保持部3に保持されている串と熱源部2との距離も調整可能になることを意味する。すなわち、反射板4の板状差込部材22aを差込口23へ差し込む程度を調整することで、串保持部3に保持されている串の熱源部2までの距離および熱源部2から受ける熱量も調整可能にしている。また、反射板4に取り付けられた串保持部3の食材は、それぞれの反射板4ごとにまとめて焼き上げることができるとともに、焼き上がった多数の串を簡単かつまとめて取り出すことができるようになっている。
【0042】
回転伝達部13は、筒8、ベルト9およびモーター10の熱源回転手段による回動を受けて熱源部2と共に回転するリング部材である。すなわち、回転伝達部13は、熱源部2と同じ垂直の回転軸で回転する。
【0043】
この回転伝達部13は、その外周に串焼き器の中心側から外側方向へ突き出た部材である伝達アーム13aを複数備えている。回転伝達部13の回転軸が垂直方向であるのに対して、伝達アーム13aは垂直方向と交差する方向、好ましくは水平方向へ放射状に突出しており、回転伝達部13の回転を十字状羽根車16を介して串保持部3に伝達し、串保持部3で回転可能に保持されている串を回転させる動力伝達部材となる。
【0044】
伝達アーム13aは、反射板4の板状差込部材22aを差込口23に差し込んで串保持部3を熱源部2に最も近づけたときに、串保持部3の底面にある十字状羽根車16に接触し、かつ、十字状羽根車16を回転させるのに十分な長さを有している。
【0045】
この伝達アーム13aは、十字状羽根車16をなぞって回転させるのに十分な硬さを有しており、熱源部2の熱に耐えうる耐熱性も有している必要があるため、腰のある金属ワイヤー等の硬質材で構成されている。硬質材でなくても、十字状羽根車16をなぞって回転させるのに十分な強度と耐熱性を有しているものであればよく、元の状態に復元する弾性材等で構成されていてもよい。
【0046】
串保持部3の底部に設けられた十字状羽根車16は、伝達アーム13aから伝達される回転動力を受けて回転し、串保持部3で回転可能に保持されている串を回転させる回転動力の受け部となる。なお、串保持部3は、串刺しに適した食材を調理する際に使用することができるが、串に刺しにくい食材や食パン等の食材を調理するために、串保持部3を食材保持部として構成してもよい。
【0047】
図5は、食材保持部の構成例を示す図である。
【0048】
串に刺しにくい食材や食パン等の食材のために、串保持部3の代りに、網状の箱に食材を入れて反射板4に取り付け可能とした網状ボックス18aを食材保持部としてもよい。また、食材が加熱によって崩れ落ちたりするおそれがある場合には、網状串18bに食材を入れて串保持部3に取り付け回転可能に構成してもよい。このように、本発明において、串に保持された食材とは、串に刺された食材のみならず、串を備えた容器等に保持されている食材を含む。
【0049】
このように構成された串焼き器は、次のような作用効果を得ることができる。
【0050】
まず、熱源と串を回転させる回転機構が串焼き器の中心部に近く、食材の取り出しや補充に関係する機構の動きに対して影響を与えることが無く、また、熱源と串の回転を止めずに食材の取り出し等を行うことができるため、手指の火傷を予防し素人でも扱いやすくすることができる。つまり、調理済み食材の取り出し、補充の簡易化が得られる。串がセットされた串保持部3は上部に持ち上げるだけで反射板4から取り外し可能である。
【0051】
また反射板4を串がセットされた串保持部3ごと外側に水平にずらすこともでき、熱源部2から離して食材の向きの変更等の作業をすることもできる。これにより回転運動および調理を中断しなくても、食材の取り出し、補充が可能であり、食材取り扱い時の手指の火傷も防止することができる。
【0052】
また、熱源部2を回転させる回転機構が簡易で部品構成が少なく、わずかなモーメントで回転を得られ、回転の動力源も小型、軽量となり、串焼き器本体を小型で軽量なものにすることができる。
【0053】
熱源部2の燃料の種類に関わりなく食材に均等に熱量が伝わる。また火移りの心配がないため、熱源部2の上部で調理する場合より、食材を熱源部2の近くで調理できるため、短時間に多くの熱量を得られ、調理時間を短縮することができる。また、調理時間は調理後の味を左右するものであるから、調理時間の短縮は、調理後の味を良好にすることにもつながる。
【0054】
食材から滴る油分による炎の立ち上がり、また、それによる焦げ付き、油分の飛散や発生する煙の減少が期待できる。炭焼きなどで熱源の上方で焼き調理をすると食材から滴り落ちる油が熱源に触れて炎が立ち上がることがある。立ち上がった炎が食材に火移りして、食材を焦がしたり、食材に煤が付着することが多くなるため、調理中は調理に付きっきりになってしまう。また、煙の発生も多く、微小な油が四方へ飛散することがある。この点、熱源の横に食材を配置することで、火移りのおそれが無くなり、また、熱源のより近くに食材を配置できるため十分な熱や遠赤外線が得られ、煙も少なくなり、油分の飛散も容器内で済むという利点がある。
【0055】
特に串焼き料理を提供する小規模店舗では七輪の上で加熱する炭火焼きを売りにしていることが多く、食材が焦げないよう調理中に料理人が付きっきりとなって串の配置を変えたり、裏返したりしているが、本第1実施形態の串焼き器では熱源部2の側面での加熱となり、このような手間を省くことができ、素人でも焼け具合を確認するだけで、焦がさずに串焼き料理の調理が可能となる。
【0056】
なお、熱源上方での加熱料理を排除する趣旨ではない。串焼きと同時に上部での鍋、直火焼き等が可能である。本第1実施形態の串焼き器は熱源部2の上部に五徳19が位置しており、鍋物、直火焼き等の熱の利用を可能としている。
【0057】
串焼き器において使用される串は、食材に刺した串の形状、材質の種類を問わず使用可能である。
【0058】
串焼き器本体は、熱源部2と串を回転させる回転機構が省電力または手動で作動させられるので、乾電池等を用いれば屋外での調理も可能であり、熱源部2や反射板4を折り畳み可能な形状に変更すれば、折り畳み可能な串焼き器とすることもでき、持ち運びや清掃、メンテナンスの簡易化を図ることができる。
【0059】
調理中の炭や薪の補充を簡易に行うことができる。炭や薪の入れられた熱源部2を台座にセットした状態でベース部1の下側からカセットガスコンロ等を用いた着火が可能である。また熱源部2の真下から漏斗状送風口12を介し送風することができ、火のついていない炭や薪を追加しても、素早く火を起こすことが可能である。また熱源部2自体が取り出せるため、熱源部2をガスコンロ等に乗せて火をおこすことも可能である。
【0060】
このように、本第1実施形態に係る串焼き器は、串の軸がおよそ垂直となるように食材の刺された串を保持する串保持部3が、熱源部2の周囲に配列され、熱源部2の回転の動きを串保持部3へ伝達し、串保持部3で回転可能に保持されている串を回転させる回転動力伝達手段(伝達アーム13a)を備えることにより、熱源に炭、薪を用いた場合の、熱源が周囲に及ぼす熱量のムラを解決することができ、また熱源部2の回転を受けて串保持部3の串が串の長軸を軸心とし回転するので、串に刺された食材が熱源から均等に熱量を得ることができるようになる。
【0061】
つぎに、本発明に係る串焼き器の第2実施形態について説明する。なお、本第2実施形態の構成のうち、上述した第1実施形態と同一もしくは相当する構成については同一の符号を付し、再度の説明を省略する。
【0062】
図6は、本発明の第2実施形態に係る串焼き器の主な構成を示す図である。
図7は、本第2実施形態に係る串焼き器の構成部品を示す部品展開図である。
図8は、本発明の第2実施形態に係る串焼き器の内部構成を示す図である。
【0063】
本第2実施形態の串焼き器は、串に保持された肉や魚などの食材を焼いて調理するための調理器具であり、四隅にそれぞれ脚を持つ平坦な板状部材で構成されるベース部1と、ベース部1の中央に配置される熱源部2と、食材が刺された串を保持する串保持部3と、熱源部2の外周に円筒を構成するよう配置される反射板4と、熱源部2および串保持部3に保持された串を回転させるための回転機構であるギアボックス24と、ベース部1と結合されて熱源部2の上方に配置された五徳19とを備えている。
【0064】
ベース部1は、四本の脚を四隅に持つ平坦な板状部材であり、外周は油や灰がこぼれないよう上部に反りがあり、串焼き器の基台(台座部)を構成する。ベース部1は、中央に円形の孔を有しており、上側には、熱源部2を乗せる、下部に円筒を具備した台座25がスイベルベアリング26とワッシャー27を介して、この孔にさしてある。孔の下側には、送風用のエルボー28をはめるためのネジ付きパイプ29が付く。
【0065】
ベース部1の下側、つまり、地面側には、上記円筒を回転させるギアボックス24がありそこから上向きに突き出た軸と円筒の中心に設けられた差し込み口とを繋いで駆動させる、ギアボックス24内には、乾電池等で駆動するモーターがあり、また手動ハンドル30が外部から繋がり、無電力の際に用いられる。さらに、円筒の下部に送風用のエルボー28が取り外し可能であり、この穴から風を送ることになる。
【0066】
熱源部2は、主に炭、薪といった燃料で構成される加熱源である。熱源部2の全体形状は円柱または多角柱で、底部と外周面は熱が伝わるよう隙間のある形状である。また、熱源部2の上方は開放されている。熱源部2の上縁面にはC字状の取っ手が取り付けられている。
【0067】
図9は、串保持部3の構成例を示す図である。
【0068】
串保持部3の全体は、金属製の板状部材により形成されており、コの字の下にあたる底部の面には穴があり串の先端を入れための円柱31がはめてある。この円柱31は、縦軸で回転するよう構成されており、円柱31のコの字底部の下面側に出ている部分に十字状突起32が形成されている。串の上側の先端部はコの字の上部に設けられた孔に通すことで、串保持部3は串を回転可能に保持するようになっている。
【0069】
串保持部3の反射板4への取り付けについて説明する。串保持部3は反射板4の熱源部2側に取り外しできないように固着される場合と、反射板4の熱源部2側に取り外し可能に装着される場合の2種類の形態があり、取り外し可能の場合は、串保持部3は、串保持部取手17を反射板4の上縁に引っ掛けることで反射板4に装着される。串保持部3の串保持部取手17の取り付け部は平板状の取付用爪21を備えており、この取付用爪21を反射板4の上縁に引っ掛けることで串保持部3は反射板4に保持される。また串保持部3の揺れを防止するための波状ワイヤー34を反射板4内面に取り外し可能である。
【0070】
熱源部2を取り囲む4枚の反射板4には、左右にクリップ33が付いており、それぞれ五徳19の足に取り外し可能に装着される。反射板4の隣り合う二枚を観音開きに開く事で、ストーブとして使う事もできる。串保持部3が熱源部2に近づいた状態のときに、熱源部2周囲を回転する伝達アーム13aがコの字底部の下面にある十字状突起32をなぞって円柱31を回転させる。また、反射板4のクリップ33を五徳19の足から外側に引き出すことで串の回転を停止させることもできる。
【0071】
本第2実施形態では、反射板4はクリップ33を用いて五徳19の足にはめ込んで固定しているが、反射板4の下部に中心方向に向いた板状差込部材22aを設け、ベース部1に設けた差込口23に差し込んで、開閉する仕様にすることもできる。
【0072】
伝達アーム13aは、十字状突起32をなぞって回転させるのに十分な硬さを有している必要があり、耐熱材で構成されている。
【0073】
本第2実施形態では、十字状突起32はコの字状の平板底部に設けているが、串の上部に取り外し可能に設置することでも同じ効果が得られる。この場合、熱源部2の上部で伝達アーム13aが回転するように配置することとなる。
【0074】
本第2実施形態では、伝達アーム13aを台座25の回転を利用して回転させているが、同じ効果が得られるならば、熱源部2の回転とは別の動力を用いて伝達アーム13aを回転させてもよい。また串を回転させるための動力の伝播はアーム状の形態に限らず、歯車やキャタピラを介してもよく、伝達アーム13aが直接、串や串に刺された食材をなぞって回転させてもよい。
【0075】
以上のような本第2実施形態の串焼き器によれば、第1実施形態の串焼き器と同様の作用効果を奏する。また、熱源部2の真下から、送風用のエルボー28を介し送風することができ、火のついていない炭や薪を追加しても、素早く火を起こすことが可能である。また熱源部2自体が取り出せるため、熱源部2をガスコンロ等に乗せて火をおこすことも可能である。
【0076】
以上、本発明に係る串焼き器について、各実施形態に基づいて説明したが本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の目的を達成でき、かつ発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々設計変更が可能であり、それらも全て本発明の範囲内に包含されるものである。
【0077】
例えば、上記各実施形態では、串焼き器の全体を円筒形で構成する例を説明したが、平面視で楕円形となるよう構成してもよく、また、円に限らず平面視で四角形状となるよう構成してもよい。
【0078】
また、回転伝達部13は、必ずしも熱源部2の回転軸と同じ軸で回転するものでなくてもよい。例えば、回転伝達部13を、周回するチェーンベルトと、チェーンベルトに外方向へ突き出た部材である伝達アーム13aを放射状に配置する構成としてもよい。回転伝達部13を複数段で構成してもよく、内外方向へ突き出た伝達アーム13aを組み合わせて構成してもよい。
【0079】
さらに、上述した各実施形態では、串保持部3を反射板4に取り付けていたが、この構成に限定されるものではなく、串保持部3をベース部1に取り付けてもよい。具体的には、串保持部3の下端部を十字状羽根車16や十字状突起32よりも下方へ延出し、当該下端部をベース部1に設けた差込口に着脱可能に差し込んだり、当該下端部をベース部1に固定してもよい。
串保持部3の全体は、金属製の板状部材により形成されており、コの字の下にあたる底部の面には穴があり串の先端を入れるための円柱31がはめてある。この円柱31は、縦軸で回転するよう構成されており、円柱31のコの字底部の下面側に出ている部分に十字状突起32が形成されている。串の上側の先端部はコの字の上部に設けられた孔に通すことで、串保持部3は串を回転可能に保持するようになっている。