特開2021-115650(P2021-115650A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ DMG森精機株式会社の特許一覧
特開2021-115650工作機械、切り屑の検知方法、および切り屑の検知プログラム
<>
  • 特開2021115650-工作機械、切り屑の検知方法、および切り屑の検知プログラム 図000003
  • 特開2021115650-工作機械、切り屑の検知方法、および切り屑の検知プログラム 図000004
  • 特開2021115650-工作機械、切り屑の検知方法、および切り屑の検知プログラム 図000005
  • 特開2021115650-工作機械、切り屑の検知方法、および切り屑の検知プログラム 図000006
  • 特開2021115650-工作機械、切り屑の検知方法、および切り屑の検知プログラム 図000007
  • 特開2021115650-工作機械、切り屑の検知方法、および切り屑の検知プログラム 図000008
  • 特開2021115650-工作機械、切り屑の検知方法、および切り屑の検知プログラム 図000009
  • 特開2021115650-工作機械、切り屑の検知方法、および切り屑の検知プログラム 図000010
  • 特開2021115650-工作機械、切り屑の検知方法、および切り屑の検知プログラム 図000011
  • 特開2021115650-工作機械、切り屑の検知方法、および切り屑の検知プログラム 図000012
  • 特開2021115650-工作機械、切り屑の検知方法、および切り屑の検知プログラム 図000013
  • 特開2021115650-工作機械、切り屑の検知方法、および切り屑の検知プログラム 図000014
  • 特開2021115650-工作機械、切り屑の検知方法、および切り屑の検知プログラム 図000015
  • 特開2021115650-工作機械、切り屑の検知方法、および切り屑の検知プログラム 図000016
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-115650(P2021-115650A)
(43)【公開日】2021年8月10日
(54)【発明の名称】工作機械、切り屑の検知方法、および切り屑の検知プログラム
(51)【国際特許分類】
   B23Q 17/24 20060101AFI20210712BHJP
   B23Q 17/00 20060101ALI20210712BHJP
   B23Q 11/00 20060101ALI20210712BHJP
【FI】
   B23Q17/24 Z
   B23Q17/00 A
   B23Q11/00 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2020-9358(P2020-9358)
(22)【出願日】2020年1月23日
(71)【出願人】
【識別番号】000146847
【氏名又は名称】DMG森精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西川 静雄
(72)【発明者】
【氏名】山田 智明
【テーマコード(参考)】
3C011
3C029
【Fターム(参考)】
3C011BB11
3C029EE00
3C029EE20
(57)【要約】
【課題】従来に無い方法で切り屑を検知することが可能な技術を提供する。
【解決手段】ワークの加工により生じた切り屑を検知することが可能な工作機械は、上記工作機械内に設けられている導線部と、上記導線部に電流を流すための電源と、上記導線部の温度を検知するための温度検知部と、上記工作機械を制御するための制御部とを備える。上記制御部は、上記電源が上記導線部に電流を流している間に上記温度検知部によって検知された温度に基づいて、上記導線部に付着している切り屑を検知する処理を実行する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークの加工により生じた切り屑を検知することが可能な工作機械であって、
前記工作機械内に設けられている導線部と、
前記導線部に電流を流すための電源と、
前記導線部の温度を検知するための温度検知部と、
前記工作機械を制御するための制御部とを備え、前記制御部は、前記電源が前記導線部に電流を流している間に前記温度検知部によって検知された温度に基づいて、前記導線部に付着している切り屑を検知する処理を実行する、工作機械。
【請求項2】
前記工作機械は、さらに、
前記切り屑を除去するためのクーラントを吐出する吐出部と、
前記吐出部を駆動するための駆動部とを備え、
前記制御部は、さらに、前記検知する処理で前記切り屑が検知された場合に、前記切り屑にクーラントを吐出するように前記駆動部を制御する処理を実行する、請求項1に記載の工作機械。
【請求項3】
前記導線部は、少なくともその一部が、前記工作機械内にある非磁性体の部品に設けられている、請求項1または2に記載の工作機械。
【請求項4】
前記導線部は、
電線と、
前記電線を覆う被覆部とを含み、
前記被覆部は、絶縁体で構成される絶縁部分と、導電体で構成される導電部分とを有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の工作機械。
【請求項5】
前記温度検知部は、赤外線カメラを含み、
前記赤外線カメラは、当該赤外線カメラの撮影視野に前記導線部を含むように配置されており、
前記検知する処理は、前記赤外線カメラから得られた画像に基づいて、前記導線部に付着している前記切り屑の位置を検知する処理を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の工作機械。
【請求項6】
ワークの加工により生じた切り屑の検知方法であって、
工作機械内に設けられている導線部に電流を流すステップと、
前記電流が前記導線部に流されている間に前記導線部の温度を検知するステップと、
前記検知するステップで検知された温度に基づいて、前記導線部に付着している切り屑を検知するステップとを備える、検知方法。
【請求項7】
ワークの加工により生じた切り屑の検知プログラムであって、
前記検知プログラムは、工作機械に、
工作機械内に設けられている導線部に電流を流すステップと、
前記電流が前記導線部に流されている間に前記導線部の温度を検知するステップと、
前記検知するステップで検知された温度に基づいて、前記導線部に付着している切り屑を検知するステップとを実行させる、検知プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ワークの加工によって生じた切り屑を検知するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ワークの加工によって生じた切り屑は、工作機械の動作不良、ワークの損傷、および加工不良など様々な問題を引き起こし得る。このような問題を解決するために、切り屑を自動で検知するための技術がある。当該技術に関し、特開平7−108435号公報(特許文献1)は、輝度画像から切り屑を検知することができる切屑除去装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−108435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
輝度画像に基づく切り屑の検知精度は、画像処理のアルゴリズムや、カメラの設置位置などに依存する。そのため、従来に無い方法で切り屑を検知することが可能な技術が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一例では、ワークの加工により生じた切り屑を検知することが可能な工作機械は、上記工作機械内に設けられている導線部と、上記導線部に電流を流すための電源と、上記導線部の温度を検知するための温度検知部と、上記工作機械を制御するための制御部とを備える。上記制御部は、上記電源が上記導線部に電流を流している間に上記温度検知部によって検知された温度に基づいて、上記導線部に付着している切り屑を検知する処理を実行する。
【0006】
本開示の一例では、上記工作機械は、さらに、上記切り屑を除去するためのクーラントを吐出する吐出部と、上記吐出部を駆動するための駆動部とを備える。上記制御部は、さらに、上記検知する処理で上記切り屑が検知された場合に、上記切り屑にクーラントを吐出するように上記駆動部を制御する処理を実行する。
【0007】
本開示の一例では、上記導線部は、少なくともその一部が、上記工作機械内にある非磁性体の部品に設けられている。
【0008】
本開示の一例では、上記導線部は、電線と、上記電線を覆う被覆部とを含む。上記被覆部は、絶縁体で構成される絶縁部分と、導電体で構成される導電部分とを有する。
【0009】
本開示の一例では、上記温度検知部は、赤外線カメラを含む。上記赤外線カメラは、当該赤外線カメラの撮影視野に上記導線部を含むように配置されている。上記検知する処理は、上記赤外線カメラから得られた画像に基づいて、上記導線部に付着している上記切り屑の位置を検知する処理を含む。
【0010】
本開示の他の例では、ワークの加工により生じた切り屑の検知方法は、工作機械内に設けられている導線部に電流を流すステップと、上記電流が上記導線部に流されている間に上記導線部の温度を検知するステップと、上記検知するステップで検知された温度に基づいて、上記導線部に付着している切り屑を検知するステップとを備える。
【0011】
本開示の他の例では、ワークの加工により生じた切り屑の検知プログラムは、工作機械に、工作機械内に設けられている導線部に電流を流すステップと、上記電流が上記導線部に流されている間に上記導線部の温度を検知するステップと、上記検知するステップで検知された温度に基づいて、上記導線部に付着している切り屑を検知するステップとを実行させる。
【0012】
本発明の上記および他の目的、特徴、局面および利点は、添付の図面と関連して理解される本発明に関する次の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】工作機械の外観を示す図である。
図2】工作機械の内部構成の概略を示す図である。
図3】工作機械における駆動機構の構成例を示す図である。
図4】導電体の内部を可視化した図である。
図5】導電体の内部を可視化した図である。
図6】切り屑を検知するための構成の一例を示す図である。
図7】接触式の温度センサによる出力値の推移をグラフで示す図である。
図8】切り屑が付着している導電体を撮影することで赤外線カメラから得られた温度画像を示す図である。
図9】切り屑が付着していない導電体を撮影することで赤外線カメラから得られた温度画像を示す図である。
図10】吐出機構が切り屑にクーラントを吐出している様子を示す図である。
図11】変形例に従う導電体を示す図である。
図12】CPU(Central Processing Unit)ユニットのハードウェア構成の一例を示す模式図である。
図13】CNC(Computer Numerical Control)ユニットのハードウェア構成の一例を示す模式図である。
図14】導電体70の温度に基づく切り屑の検知処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ、本発明に従う各実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、これらについての詳細な説明は繰り返さない。なお、以下で説明される各実施の形態および各変形例は、適宜選択的に組み合わされてもよい。
【0015】
<A.工作機械100の構成>
まず、図1および図2を参照して、工作機械100の構成について説明する。図1は、工作機械100の外観を示す図である。図2は、工作機械100の内部構成の概略を示す図である。
【0016】
図1および図2には、立形マシニングセンタとしての工作機械100が示されている。以下では、立形マシニングセンタとしての工作機械100について説明するが、工作機械100は、立形マシニングセンタに限定されない。たとえば、工作機械100は、横形マシニングセンタであってもよいし、旋盤であってもよいし、その他の切削機械や研削機械であってもよい。
【0017】
以下では、説明の便宜のために、水平面の一方向をX軸方向と称する。また、X方向に直交する水平面上の一方向をY軸方向と称する。また、X方向およびY方向の両方に直交する方向(すなわち、鉛直方向)をZ軸方向と称する。
【0018】
工作機械100は、操作盤130を含む。操作盤130は、加工に関する各種情報を表示するためのディスプレイ131と、工作機械100に対する各種操作を受け付ける入力デバイス132とを含む。
【0019】
また、工作機械100は、その内部に、主軸頭21を有する。主軸頭21は、主軸22と、ハウジング23とで構成されている。主軸22は、ハウジング23の内部に配置されている。主軸22には、被加工物であるワークを加工するための工具が装着される。主軸22は、Z軸方向に移動可能に構成されるとともに、Z軸方向を軸中心として回転可能に構成される。
【0020】
主軸頭21には、導電体70が設けられる。導電体70は、ワークの切り屑を検知するためのセンサとして機能する。導電体70の詳細については後述する。
【0021】
工作機械100は、加工対象のワークをXY平面上で移動するための移動機構50をさらに有する。移動機構50は、ガイド51,53と、ボールねじ52,54と、ワークを保持するためのテーブル55とで構成されている。
【0022】
ガイド51は、Y軸に対して平行に設置されている。ガイド53は、X軸方向に対して平行に設置されている。ガイド53は、ガイド51上に設けられており、Y軸方向に駆動可能に構成されている。テーブル55は、ガイド53上に設けられており、ガイド53に沿って駆動可能に構成されている。
【0023】
<B.工作機械100の駆動機構>
次に、図3を参照して、工作機械100内の各種の駆動機構について説明する。図3は、工作機械100における駆動機構の構成例を示す図である。
【0024】
図3に示されるように、工作機械100は、制御部10と、主軸頭21と、工具32と、移動機構50と、サーボドライバ111A,111R,111X〜111Zと、サーボモータ112A,112B,112R,112X〜112Zと、吐出機構125とを含む。
【0025】
本明細書でいう「制御部10」とは、工作機械100を制御するための少なくとも1つの制御回路を意味する。制御部10の装置構成は、任意である。一例として、制御部10は、PLC(Programmable Logic Controller)としてのCPUユニット200と、CNCユニット300とで構成されている。CPUユニット200およびCNCユニット300は、フィールドバスBに接続されており、フィールドバスBを介して互いに通信を行う。
【0026】
吐出機構125は、工作機械100内に設けられている。吐出機構125は、たとえば、工作機械100内の天井に設置される。吐出機構125は、クーラントの貯蔵タンク、配管、クーラントのポンプ、および、クーラントノズルなどで構成される。配管の一端はポンプに繋がれ、配管の他端はクーラントノズルに繋がれる。ポンプは、クーラントを貯蔵タンクから吸い上げ、当該クーラントをクーラントノズルに送る。クーラントの吐出により、ワークWの加工により生じた切り屑が回収機構(図示しない)に回収される。回収機構は、コンベアや回収部などで構成され、ワークWの切り屑をコンベアによって回収部に搬出する。
【0027】
CPUユニット200は、予め設計されているPLCプログラムに従って、制御部10を構成する各種ユニットを制御する。当該PLCプログラムは、たとえば、ラダープログラムで記述されている。
【0028】
CNCユニット300は、CPUユニット200からの加工開始指令を受けたことに基づいて、予め設計されている加工プログラムの実行を開始する。当該加工プログラムは、たとえば、NC(Numerical Control)プログラムで記述されている。CNCユニット300は、当該加工プログラムに従ってサーボドライバ111Aを制御し、吐出機構125によるクーラントの吐出のオンオフや、吐出機構125によるクーラントの吐出量や、吐出機構125の回転駆動を制御する。また、CNCユニット300は、当該加工プログラムに従ってサーボドライバ111R,111X〜111Zを制御し、主軸22や移動機構50の駆動を制御する。
【0029】
図3の例では、サーボドライバ111Aは、2軸一体型のサーボアンプとして示されている。サーボドライバ111Aは、サーボモータ112Aの目標回転速度の入力と、サーボモータ112Bの目標回転速度の入力とのそれぞれをCNCユニット300から受け、サーボモータ112A,112Bのそれぞれを制御する。
【0030】
サーボモータ112Aは、吐出機構125によるクーラントの吐出口を回転駆動し、X軸方向を回転軸とした回転方向(所謂、A軸方向)にクーラントの吐出方向を変える。より具体的には、サーボドライバ111Aは、サーボモータ112Aの回転角度を検知するためのエンコーダ(図示しない)のフィードバック信号からサーボモータ112Aの実回転速度を算出し、当該実回転速度が目標回転速度よりも小さい場合にはサーボモータ112Aの回転速度を上げ、当該実回転速度が目標回転速度よりも大きい場合にはサーボモータ112Aの回転速度を下げる。このように、サーボドライバ111Aは、サーボモータ112Aの回転速度のフィードバックを逐次的に受けながらサーボモータ112Aの回転速度を目標回転速度に近付ける。
【0031】
サーボモータ112Bは、吐出機構125によるクーラントの吐出口を回転駆動し、Y軸方向を回転軸とした回転方向(所謂、B軸方向)にクーラントの吐出方向を変える。より具体的には、サーボドライバ111Aは、サーボモータ112Bの回転角度を検知するためのエンコーダ(図示しない)のフィードバック信号からサーボモータ112Bの実回転速度を算出し、当該実回転速度が目標回転速度よりも小さい場合にはサーボモータ112Bの回転速度を上げ、当該実回転速度が目標回転速度よりも大きい場合にはサーボモータ112Bの回転速度を下げる。このように、サーボドライバ111Aは、サーボモータ112Bの回転速度のフィードバックを逐次的に受けながらサーボモータ112Bの回転速度を目標回転速度に近付ける。
【0032】
このように、サーボドライバ111Aは、サーボモータ112AによるA軸方向の回転駆動と、サーボモータ112BによるB軸方向の回転駆動とを個別に制御することで、工作機械100内の任意の場所にクーラントを吐出する。
【0033】
サーボドライバ111Xは、CNCユニット300から目標位置の入力を逐次的に受け、サーボモータ112Xを制御する。サーボモータ112Xは、上述のボールねじ54(図2参照)を駆動することで、ガイド53(図2参照)に沿って移動機構50を移動する。これにより、移動機構50は、X軸方向の任意の位置に駆動される。サーボドライバ111Xによるサーボモータ112Xの制御方法は、サーボドライバ111Aと同様であるので、その説明については繰り返さない。
【0034】
サーボドライバ111Yは、CNCユニット300から目標位置の入力を逐次的に受け、サーボモータ112Yを制御する。サーボモータ112Yは、上述のボールねじ52を駆動することでガイド53(図2参照)をガイド51に沿って移動し、Y軸方向の任意の位置に移動機構50を移動する。サーボドライバ111Yによるサーボモータ112Yの制御方法は、サーボドライバ111Aと同様であるので、その説明については繰り返さない。
【0035】
サーボドライバ111Zは、CNCユニット300から目標位置の入力を逐次的に受け、サーボモータ112Zを制御する。サーボモータ112Zは、主軸頭21に接続されているボールねじ(図示しない)を介して送り駆動し、Z方向の任意の位置に主軸22を移動する。サーボドライバ111Zによるサーボモータ112Zの制御方法は、サーボドライバ111Aと同様であるので、その説明については繰り返さない。
【0036】
サーボドライバ111Rは、CNCユニット300から目標回転速度の入力を逐次的に受け、サーボモータ112Rを制御する。サーボモータ112Rは、Z軸方向を中心として主軸22を回転駆動する。サーボドライバ111Rによるサーボモータ112Rの制御方法は、サーボドライバ111Aと同様であるので、その説明については繰り返さない。
【0037】
このように、CNCユニット300は、サーボドライバ111X〜111Z,111Rを制御することで、移動機構50の駆動と、主軸22の駆動とを協働させる。これにより、工作機械100は、移動機構50に保持されるワークを任意の形状に加工することができる。
【0038】
<C.原理説明>
工作機械100は、導電体70(図3参照)に交流電流を印加し、当該交流電流の印加に伴う導電体70の温度変化に基づいて、導電体70に付着した切り屑や、導電体70の付近にある切り屑を検知する。この検知方法の理解を深めるために、まず、図4および図5を参照して、切り屑が導電体70に付着しているか否かで導電体70の温度変化に差が生じる原理について説明する。
【0039】
図4および図5は、導電体70の内部を可視化した図である。図4および図5に示されるように、導電体70は、電線71と、絶縁体72と、シース73とで構成される。
【0040】
電線71は、銅などの電流を通す金属素材で構成され、絶縁体72に覆われている。電線71には、後述の電源60(図6参照)によって交流電流が印加される。当該交流電流は、たとえば、10〜50Aである。
【0041】
シース73(被覆部)は、導電体70の外膜を成し、電線71および絶縁体72を被覆する。シース73は、ステンレス、銅、または鉄などの金属素材で構成される。
【0042】
交流電流が電線71に印加されることにより、電線71の周囲の磁界が変化する。その結果、電磁誘導がシース73に生じ、起電力がシース73に発生する。この起電力によって、図4に示される循環電流I1と、図5に示される渦電流I2とがシース73に発生する。循環電流I1および渦電流I2は、印加した交流電流の損失となる(所謂、シース損)。循環電流I1は、シース73の長手方向に発生する電流である。渦電流I2は、シース73の円周方向に発生する電流である。渦電流I2は、シース73に鎖交している磁束φによりシース73に発生する。
【0043】
シース73には抵抗があるため、循環電流I1および渦電流I2がシース73に流れることで、シース73は発熱する。この発熱の度合いは、シース73の厚さに応じて変化する。そのため、切り屑が付着した場合におけるシース73の温度変化は、切り屑が付着していない場合におけるシース73の温度変化とは異なる態様になる。典型的には、切り屑が付着した場合におけるシース73の温度は、切り屑が付着していない場合におけるシース73の温度よりも高くなる。工作機械100は、この温度変化の差に基づいて、導電体70に付着している切り屑や、導電体70の付近にある切り屑を検知する。
【0044】
導電体70は、たとえば、パイプ形状を有し、上述のハウジング23(図2参照)に設けられる。なお、導電体70の設置位置は、ハウジング23に限定されない。導電体70は、切り屑が付着する可能性のある、工作機械100内の任意の場所に設けられ得る。
【0045】
好ましくは、導電体70の一部または全部は、工作機械100内にある非磁性体の部分に設けられる。非磁性体の部分は、たとえば、樹脂部品、セラミック部品、または、その他の部品である。非磁性体の部分は、磁界変化の影響を受けないので発熱しない。そのため、温度変化が導電体70のみに生じ、工作機械100は、導電体70の発熱度合いをより正確に測定することができる。その結果、工作機械100は、切り屑の検知精度を改善することができる。
【0046】
<D.切り屑の検知方法>
次に、図6図9を参照して、導電体70を用いた切り屑の検知方法について説明する。図6は、切り屑を検知するための構成の一例を示す図である。
【0047】
工作機械100は、ハードウェア構成として、制御部10と、電源60と、導電体70と、温度センサ80とを含む。制御部10は、機能構成として、加工制御部12と、電源制御部14と、切り屑検知部16と、クーラント制御部18とを含む。
【0048】
典型的には、これらの機能構成は、上述のCNCユニット300(図3参照)に実装されるが、これらの機能構成の一部または全部は、上述のCPUユニット200(図3参照)に実装されてもよいし、工作機械100と通信可能なその他の通信端末(たとえば、サーバーなど)に実装されてもよい。
【0049】
以下では、加工制御部12、電源制御部14、切り屑検知部16、およびクーラント制御部18について順に説明する。
【0050】
(D1.加工制御部12)
加工制御部12は、予め設計されている加工プログラム322に従って、上述のサーボドライバ111X〜111Z,111R(図3参照)に制御指令を出力し、移動機構50や主軸22の駆動を制御する。これにより、加工制御部12は、移動機構50に保持されるワークを任意の形状に加工することができる。
【0051】
また、加工制御部12は、加工情報を電源制御部14に出力する。当該加工情報は、ワークの加工の進行度合いや、主軸22の状態などを示す情報である。当該加工情報は、定期的に電源制御部14に出力される。
【0052】
(D2.電源制御部14)
次に、電源制御部14の機能について説明する。
【0053】
電源制御部14は、電源60のオンオフや、電源60の出力強度を制御する。電源60は、交流電源である。電源60は、導電体70内の電線71の一端に電気的に接続されるとともに、当該電線71の他端に電気的に接続される。電源60は、電源制御部14からの制御指令に従って、導電体70内の電線71に交流電流を印加する。
【0054】
電源制御部14は、加工制御部12から出力される加工情報に基づいて、電源60を制御する。一例として、電源制御部14は、主軸22が停止しているときに電源60をオンにし、主軸22が駆動しているときには電源60をオフにする。これにより、電源制御部14は、電力を削減できるだけでなく、工作機械100のピーク電力を抑えることができる。
【0055】
(D3.切り屑検知部16)
次に、切り屑検知部16の機能について説明する。
【0056】
切り屑検知部16は、電源60が導電体70(導線部)に交流電流を流している間に温度センサ80(温度検知部)によって検知された温度に基づいて、導電体70に付着している切り屑を検知する。温度センサ80は、導電体70の温度を検知するためのセンサである。温度センサ80は、サーミスタなどの接触式のセンサであってもよいし、赤外線カメラなどの非接触式のセンサであってもよい。
【0057】
以下では、接触式の温度センサ80を用いた場合における切り屑の検知方法の具体例と、非接触式の温度センサ80を用いた場合における切り屑の検知方法の具体例とについて順に説明する。
【0058】
(a)具体例1
本具体例では、切り屑検知部16は、接触式の温度センサ80を用いて、導電体70に付着した切り屑を検知する。
【0059】
接触式の温度センサ80は、導電体70のシース73に接して設けられる。図7は、接触式の温度センサ80による出力値の推移をグラフで示す図である。当該グラフ内の実線は、切り屑が導電体70に付着している場合における導電体70の温度変化を示す。また、当該グラフ内の破線は、切り屑が導電体70に付着していない場合における導電体70の温度変化を示す。
【0060】
時刻T0において、上述の電源制御部14は、電源60をオンにし、交流電流を導電体70に印加したとする。その結果、上述の「C.原理説明」で説明したように、導電体70のシース73は磁界の変化の影響を受けて、シース73の温度が上昇していく。
【0061】
このとき、図7に示されるように、切り屑が付着している場合におけるシース73の温度は、切り屑が付着していない場合におけるシース73の温度よりも高くなる。この差に着目して、切り屑検知部16は、導電体70に付着している切り屑を検知する。一例として、切り屑検知部16は、接触式の温度センサ80から出力される温度が所定の閾値thを超えたことに基づいて、導電体70に付着している切り屑を検知する。
【0062】
なお、接触式の温度センサ80を用いた切り屑の検知方法は、上述の例に限定されない。たとえば、切り屑検知部16は、一タイミングにおける導電体70の温度に基づいて切り屑を検知するのではなく、所定時間当たりにおける導電体70の温度変化の度合いに基づいて切り屑を検知してもよい。
【0063】
この場合、切り屑検知部16は、学習済みモデルを用いて切り屑を検知する。当該学習済みモデルは、学習用データセットを用いた学習処理により予め生成されている。学習用データセットは、交流電流を導電体70に印加している際に得られた温度変化データ(たとえば、温度の時系列データ)を複数含む。時系列データの各々には、切り屑が付着しているか否かを示す情報がラベルとして関連付けられる。学習済みモデルの内部パラメータは、このような学習用データセットを用いた学習処理により予め最適化されている。
【0064】
学習済みモデルを生成するための学習手法には、種々の機械学習アルゴリズムが採用され得る。一例として、当該機械学習アルゴリズムとして、ディープラーニング、コンボリューションニューラルネットワーク(CNN)、全層畳み込みニューラルネットワーク(FCN)、サポートベクターマシンなどが採用される。
【0065】
(b)具体例2
次に、図8および図9を参照して、切り屑の検知方法の他の具体例について説明する。本具体例では、切り屑検知部16は、非接触式の温度センサ80を用いて、導電体70に付着している切り屑を検知する。
【0066】
非接触式の温度センサ80は、たとえば、サーモグラフィカメラなどの赤外線カメラを含む。赤外線カメラは、その視野に、導電体70を含むように配置される。切り屑検知部16は、赤外線カメラから得られた温度画像に基づいて、導電体70に付着している切り屑を検知する。
【0067】
図8は、切り屑G1が付着している導電体70を撮影することで赤外線カメラ80Aから得られた温度画像83を示す図である。図9は、切り屑が付着していない導電体70を撮影することで赤外線カメラ80Aから得られた温度画像84を示す図である。
【0068】
温度画像83,84内の各画素は、赤外線カメラ80Aの視野内の対応箇所の温度を表わす。上述のように、切り屑が導電体70に付着している場合に得られる温度画像83は、切り屑が導電体70に付着していない場合に得られる温度画像84よりも、切り屑G1に対応する画像領域G2において高い温度を示す。この差に着目して、切り屑検知部16は、導電体70に付着している切り屑を検知する。
【0069】
温度画像を用いた切り屑の検知方法には、種々の方法が採用される。一例として、切り屑検知部16は、学習済みモデルを用いて切り屑を検知する。この場合、学習済みモデルは、学習用データセットを用いた学習処理により予め生成されている。学習用データセットは、切り屑を表わす複数の温度画像と、切り屑を表わさない複数の温度画像とを含む。各温度画像には、切り屑が写っているか否かを示すラベルが関連付けられる。学習済みモデルの内部パラメータは、このような学習用データセットを用いた学習処理により予め最適化されている。
【0070】
学習済みモデルを生成するための学習手法には、種々の機械学習アルゴリズムが採用され得る。一例として、当該機械学習アルゴリズムとして、ディープラーニング、コンボリューションニューラルネットワーク(CNN)、全層畳み込みニューラルネットワーク(FCN)、サポートベクターマシンなどが採用される。
【0071】
切り屑検知部16は、赤外線カメラ80Aから温度画像を取得したことに基づいて、当該温度画像を複数の領域に区分し、各区分の部分画像を学習済モデルに入力する。その結果、当該学習済モデルは、入力された部分画像に切り屑が含まれている確率を出力する。切り屑検知部16は、当該確率が所定値を超えた部分画像の位置を切り屑の画像領域G2として検知する。
【0072】
なお、切り屑の位置の検知方法は、学習済モデルを用いた方法に限定されず、ルールベースに基づく画像処理が採用されてもよい。一例として、切り屑検知部16は、切り屑を表わす基準温度画像を予め保持しておき、当該基準温度画像を、赤外線カメラ80Aから得られた入力温度画像内で走査することで、当該入力温度画像内の各領域について基準温度画像との類似度を算出する。そして、切り屑検知部16は、当該類似度が所定値を超えた領域を切り屑の領域として検知する。
【0073】
(D4.クーラント制御部18)
次に、図10を参照して、クーラント制御部18の機能について説明する。図10は、吐出機構125が切り屑G1にクーラントCを吐出している様子を示す図である。
【0074】
クーラント制御部18は、吐出機構125によるクーラントの吐出のオンオフや、吐出機構125によるクーラントの吐出量や、吐出機構125によるクーラントの吐出方向を制御する。一例として、クーラント制御部18は、切り屑検知部16によって切り屑G1が検知された場合には、クーラントを切り屑G1に吐出するように上述のサーボドライバ111A(駆動部)を制御する。これにより、切り屑G1が導電体70から除去される。
【0075】
より具体的な処理として、クーラント制御部18は、切り屑検知部16によって切り屑G1が検知されたことに基づいて、工作機械100内における導電体70の位置(座標値)を取得する。導電体70が工作機械100内で不動である場合には、予め設定されている位置が導電体70の位置として取得される。一方で、導電体70が主軸頭21などの移動機構に設けられている場合には、クーラント制御部18は、加工プログラムから当該移動機構の位置を読み取り、当該移動機構の位置に基づいて、導電体70の位置を算出する。次に、クーラント制御部18は、導電体70の位置と、工作機械100内における吐出機構125の予め定められた位置とに基づいて、吐出機構125によるクーラントの吐出角度を算出する。その後、クーラント制御部18は、吐出機構125の吐出口を当該算出した吐出角度に向け、吐出機構125にクーラントを吐出させる。クーラントの吐出方向は、サーボドライバ111Aが上述のサーボモータ112A,112Bを制御することで変えられる。
【0076】
なお、上述の赤外線カメラ80Aが切り屑の検知に用いられた場合には、工作機械100内における切り屑の位置が正確に特定され得る。この場合には、クーラント制御部18は、温度画像内における切り屑G1の位置(以下、「位置P1」ともいう。)に基づいて、吐出機構125を制御する。
【0077】
より具体的には、クーラント制御部18は、赤外線カメラ80Aを基準とする座標系(以下、「第1座標系」ともいう。)から、工作機械100内における座標系(以下、「第2座標系」ともいう。)に変換するための予め定められた座標変換行列に基づいて、第1座標系で示される上記位置P1を第2座標系に変換する。次に、クーラント制御部18は、予め定められた吐出機構125の位置(以下、「位置P2」ともいう。)を取得する。吐出機構125の位置P2は、たとえば、第2座標系で示される。クーラント制御部18は、第2座標系で示される切り屑の上記位置P1と、第2座標系で示される吐出機構125の上記位置P2とに基づいて、吐出機構125によるクーラントの吐出角度を算出する。その後、クーラント制御部18は、吐出機構125の吐出口を当該算出した吐出角度に向け、吐出機構125にクーラントを吐出させる。
【0078】
なお、上述では、サーボドライバ111Aがサーボモータ112A,112Bを制御することで吐出機構125の吐出口が駆動される前提で説明を行ったが、吐出機構125の駆動機構は、1つのサーボモータで構成されてもよいし、3つ以上のサーボモータで構成されてもよい。また、吐出機構125は、必ずしも、A軸方向およびB軸方向に駆動されるように構成される必要は無く、X〜Z軸方向に駆動されるように構成されてもよい。
【0079】
また、上述では、切り屑の検知結果がクーラントによる切り屑の除去に応用される例について説明を行ったが、切り屑の検知結果は、様々な用途に応用され得る。一例として、切り屑の検知結果は、工作機械100の操作盤130などに表示されるだけでもよい。この場合、作業者は、切り屑の検知結果を操作盤130上で確認し、作業者自身で切り屑を除去する。
【0080】
<E.導電体70の変形例>
次に、図11を参照して、導電体70の変形例について説明する。図11は、変形例に従う導電体70Aを示す図である。
【0081】
本変形例では、導電体70Aのシース73は、導電体で構成される導電部分と、絶縁体で構成される絶縁部分とを有する。図11の例では、導電体70Aのシース73は、導電部分74A〜74Dと、絶縁部分75A〜75Cとで構成されている。
【0082】
以下では、導電部分74A〜74Dを特に区別しない場合は、導電部分74A〜74Dのいずれか1つを導電部分74ともいう。同様に、絶縁部分75A〜75Cを特に区別しない場合は、絶縁部分75A〜75Cのいずれか1つを絶縁部分75ともいう。
【0083】
絶縁部分75がワークの切り屑で埋まった場合には、上述の「C.原理説明」で説明したように、循環電流I1および渦電流I2が導電体70Aのシース73に流れ、シース73の温度が上昇する。一方で、絶縁部分75がワークの切り屑で埋まっていない場合には、循環電流I1および渦電流I2が導電体70Aのシース73に流れないので、導電体70Aのシース73の温度が上昇しない。このように、絶縁部分75が導電体70Aに設けられることで、切り屑が付着しているか否かによって、導電体70Aの温度変化に差が生じる。この差により、工作機械100は、導電体70Aに付着している切り屑をより確実に検知することができる。
【0084】
導電部分74は、たとえば、ステンレス、銅、または鉄などの金属素材で構成される。絶縁部分75は、たとえば、樹脂またはセラミック部品などの絶縁素材で構成される。
【0085】
導電体70Aの長手方向における導電部分74の幅W1は、同長手方向における絶縁部分75の幅W2(すなわち、直径)よりも長い。
【0086】
好ましくは、導電体70Aの長手方向に直交する方向における導電部分74の幅D1(すなわち、直径)は、同方向における絶縁部分75の幅D2(すなわち、直径)よりも長い。これにより、シース73の絶縁部分75において、ギャップが形成されることになる。その結果、切り屑が絶縁部分75により貯まりやすくなる。
【0087】
<F.CPUユニット200のハードウェア構成>
次に、図12を参照して、図3に示されるCPUユニット200のハードウェア構成について説明する。図12は、CPUユニット200のハードウェア構成の一例を示す模式図である。
【0088】
CPUユニット200は、制御回路201と、ROM(Read Only Memory)202と、RAM(Random Access Memory)203と、通信インターフェイス204と、フィールドバスコントローラ205と、記憶装置220とを含む。これらのコンポーネントは、内部バス209に接続される。
【0089】
制御回路201は、たとえば、少なくとも1つの集積回路によって構成される。集積回路は、たとえば、少なくとも1つのCPU、少なくとも1つのGPU(Graphics Processing Unit)、少なくとも1つのASIC(Application Specific Integrated Circuit)、少なくとも1つのFPGA(Field Programmable Gate Array)、またはそれらの組み合わせなどによって構成され得る。
【0090】
制御回路201は、PLCプログラム222などの各種プログラムを実行することでCPUユニット200の動作を制御する。PLCプログラム222は、工作機械10内の各種装置を制御するための命令を規定している。制御回路201は、PLCプログラム222の実行命令を受け付けたことに基づいて、記憶装置220またはROM202からRAM203にPLCプログラム222を読み出す。RAM203は、ワーキングメモリとして機能し、PLCプログラム222の実行に必要な各種データを一時的に格納する。
【0091】
通信インターフェイス204には、LAN(Local Area Network)やアンテナなどが接続される。CPUユニット200は、通信インターフェイス204を介して外部機器(たとえば、サーバー)とデータをやり取りする。CPUユニット200は、当該外部機器からPLCプログラム222をダウンロードできるように構成されてもよい。
【0092】
フィールドバスコントローラ205は、フィールドバスに接続される各種ユニットとの通信を実現するためのインターフェイスである。当該フィールドバスに接続されるユニットの一例として、上述のCNCユニット300やI/Oユニット(図示しない)などが挙げられる。
【0093】
記憶装置220は、たとえば、ハードディスクやフラッシュメモリなどの記憶媒体である。記憶装置220は、PLCプログラム222などを格納する。PLCプログラム222の格納場所は、記憶装置220に限定されず、制御回路201の記憶領域(たとえば、キャッシュメモリなど)、ROM202、RAM203、外部機器(たとえば、サーバー)などに格納されていてもよい。
【0094】
<G.CNCユニット300のハードウェア構成>
次に、図13を参照して、図3に示されるCNCユニット300のハードウェア構成について説明する。図13は、CNCユニット300のハードウェア構成の一例を示す模式図である。
【0095】
CNCユニット300は、制御回路301と、ROM302と、RAM303と、通信インターフェイス304と、フィールドバスコントローラ305と、記憶装置320とを含む。これらのコンポーネントは、内部バス309に接続される。
【0096】
制御回路301は、たとえば、少なくとも1つの集積回路によって構成される。集積回路は、たとえば、少なくとも1つのCPU、少なくとも1つのGPU、少なくとも1つのASIC、少なくとも1つのFPGA、またはそれらの組み合わせなどによって構成され得る。
【0097】
制御回路301は、加工プログラム322や検知プログラム324などの各種プログラムを実行することでCNCユニット300の動作を制御する。加工プログラム322は、ワークの加工を実現するための各種命令を規定している。検知プログラム324は、上述の導電体70の温度変化に基づいて切り屑を検知するための各種命令を規定している。
【0098】
制御回路301は、加工プログラム322や検知プログラム324などのプログラムの実行命令を受け付けたことに基づいて、記憶装置320またはROM302からRAM303にプログラムを読み出す。RAM303は、ワーキングメモリとして機能し、プログラムの実行に必要な各種データを一時的に格納する。
【0099】
通信インターフェイス304には、LANやアンテナなどが接続される。CNCユニット300は、通信インターフェイス304を介して外部機器(たとえば、サーバー)とデータをやり取りする。CNCユニット300は、当該外部機器から加工プログラム322をダウンロードできるように構成されてもよい。
【0100】
フィールドバスコントローラ305は、フィールドバスに接続される各種ユニットとの通信を実現するためのインターフェイスである。当該フィールドバスに接続されるユニットの一例として、CPUユニット200やI/Oユニット(図示しない)などが挙げられる。
【0101】
記憶装置320は、たとえば、ハードディスクやフラッシュメモリなどの記憶媒体である。記憶装置320は、加工プログラム322や検知プログラム324などを格納する。加工プログラム322および検知プログラム324の格納場所は、記憶装置320に限定されず、制御回路301の記憶領域(たとえば、キャッシュメモリなど)、ROM302、RAM303、外部機器(たとえば、サーバー)などに格納されていてもよい。また、加工プログラム322や検知プログラム324は、1つのプログラムとして実装されてもよいし、図13に示されるように別々のプログラムとして実装されてもよい。
【0102】
検知プログラム324は、単体のプログラムとしてではなく、任意のプログラムの一部に組み込まれて提供されてもよい。この場合、検知プログラム324による加工処理は、任意のプログラムと協働して実現される。このような一部のモジュールを含まないプログラムであっても、本実施の形態に従う検知プログラム324の趣旨を逸脱するものではない。さらに、検知プログラム324によって提供される機能の一部または全部は、専用のハードウェアによって実現されてもよい。さらに、少なくとも1つのサーバーが検知プログラム324の処理の一部を実行する所謂クラウドサービスのような形態でCNCユニット300が構成されてもよい。
【0103】
<H.切り屑の検知処理に係るフローチャート>
図14を参照して、導電体70の温度に基づく切り屑の検知処理の流れについて説明する。図14は、導電体70の温度に基づく切り屑の検知処理の流れを示すフローチャートである。
【0104】
図14に示される処理は、工作機械100の制御部10(典型的には、CNCユニット300の制御回路301)が上述の検知プログラム324(図13参照)を実行することにより実現される。他の局面において、処理の一部または全部が、回路素子またはその他のハードウェアによって実行されてもよい。
【0105】
制御部10は、検知プログラム324が実行されると、図14に示される各ステップの処理を順次実行する。
【0106】
より具体的には、ステップS110において、制御部10は、切り屑の検知タイミングが到来したか否かを判断する。一例として、切り屑の検知タイミングは、主軸22の停止中の一タイミングである。典型的には、切り屑の検知タイミングは、ワークの加工が終了したタイミングで到来する。制御部10は、切り屑の検知タイミングが到来したと判断した場合には(ステップS110においてYES)、制御をステップS112に切り替える。そうでない場合には(ステップS110においてNO)、制御部10は、ステップS110の処理を再び実行する。
【0107】
ステップS112において、制御部10は、上述の電源制御部14(図6参照)として機能し、上述の電源60(図6参照)をオンするための制御指令を電源60に出力する。このことに基づいて、電源60は、導電体70に交流電流を出力する。
【0108】
ステップS120において、制御部10は、ステップS112において交流電流の印加を開始してから所定時間(たとえば、数秒)が経過したか否かを判断する。一例として、制御部10は、工作機械100に標準に備えられている時計機能を用いて時間をカウントする。制御部10は、ステップS112において交流電流の印加を開始してから所定時間が経過したと判断した場合(ステップS120においてYES)、制御をステップS122に切り替える。そうでない場合には(ステップS120においてNO)、制御部10は、ステップS120の処理を再び実行する。
【0109】
ステップS122において、制御部10は、上述の切り屑検知部16(図6参照)として機能し、上述の温度センサ80(図6参照)から導電体70の温度情報を取得する。
【0110】
ステップS130において、制御部10は、上述の切り屑検知部16として機能し、ステップS122で取得した温度情報に基づいて、導電体70に切り屑が付着しているか否かを判断する。当該温度情報は、たとえば、導電体70の温度値と、導電体70の温度画像との少なくとも1つを含む。温度情報に基づく切り屑の検知方法については上記「D3.切り屑検知部16」で説明した通りであるので、その説明については繰り返さない。制御部10は、導電体70に切り屑が付着していると判断した場合(ステップS130においてYES)、制御をステップS140に切り替える。そうでない場合には(ステップS130においてNO)、制御部10は、制御をステップS110に戻す。
【0111】
ステップS140において、制御部10は、上述のクーラント制御部18として機能し、導電体70に向けてクーラントが吐出されるように吐出機構125を制御する。これにより、導電体70に付着している切り屑が除去される。
【0112】
ステップS140の処理の完了後、制御部10は、処理をステップS110に戻す。これにより、切り屑の除去処理が繰り返される。図14に示される処理は、たとえば、ユーザによる終了操作を受け付けたことで終了する。
【0113】
<I.まとめ>
以上のように、工作機械100は、交流電流を導電体70に印加した際における導電体70の発熱の度合いに応じて、導電体70に付着している切り屑を検知する。このような温度に基づく切り屑の検知機能自体が新規である。本検知機能は、たとえば、通常のカメラの死角にある切り屑を検知するために利用される。あるいは、本検知機能は、通常のカメラを用いた切り屑の検知機能の補助機能または代替機能として利用される。
【0114】
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0115】
10 制御部、12 加工制御部、14 電源制御部、16 検知部、18 クーラント制御部、21 主軸頭、22 主軸、23 ハウジング、32 工具、50 移動機構、51,53 ガイド、52,54 ボールねじ、55 テーブル、60 電源、70,70A 導電体、71 電線、72 絶縁体、73 シース、74A〜74D 導電部分、75A〜75C 絶縁部分、80 温度センサ、80A 赤外線カメラ、83,84 温度画像、100 工作機械、111A,111R,111X〜111Z サーボドライバ、112A,112B,112R,112X〜112Z サーボモータ、125 吐出機構、130 操作盤、131 ディスプレイ、132 入力デバイス、200 CPUユニット、201,301 制御回路、202,302 ROM、203,303 RAM、204,304 通信インターフェイス、205,305 フィールドバスコントローラ、209,309 内部バス、220,320 記憶装置、222 プログラム、300 CNCユニット、322 加工プログラム、324 検知プログラム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14