【解決手段】 パワーユニット1は、油タンク11内の作動油を駆動装置3の油圧シリンダに供給する油圧ポンプ12と、油圧ポンプ12を駆動するモータ13と、モータ13の累積回転回数をカウントするカウンター16と、荷受台2が上昇限位置から下降して接地するまでのモータ13の予定累積回転回数に対応する予定カウント数CMを予め記憶可能な記憶部17と、荷受台2を上昇させる際に、カウンター16によるカウント数が所定値に達した際に荷受台2のスローストップを開始させるようにモータ13を制御する制御部18と、を備え、制御部18は、荷受台2の下降動作中にカウンター16によるカウント数が予定カウント数CMに達したら、荷受台2の上昇動作が開始するまでカウンター16によるカウントを停止させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えば、荷受台の下降をプラスに、上昇をマイナスにカウントするとした場合、スローストップ制御においては、接地状態(予定カウント数CM)から荷受台を上昇させて、カウント数がCSまで低下した際にスローストップを開始させる。すなわち、スローストップを開始させるカウント数CSは、荷受台が地面に接地した際のカウント数がCMであることを前提として設定されたものである。
【0005】
しかしながら、例えば、下降動作時にユーザによる停止操作が遅れてしまった場合には、荷受台が地面に接地して下降していない、すなわち、モータが空回りしている状態にも関わらずカウント数が進んでしまうこととなる。
【0006】
従って、例えば、予定カウント数CM+αで下降動作が停止されて荷受台を上昇させた場合であっても、スローストップはカウント数がCSに低下するまで開始されないので、スローストップの開始が本来よりも遅れてしまう。その結果、荷受台が高速のまま上限位置に達してしまい、車両や昇降装置等に大きなダメージを与えてしまう可能性がある。
【0007】
そこで、本発明は、スローストップを適切に行うことの可能なパワーユニットを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、車両に支持された荷受台を昇降させるための駆動装置を駆動するためのパワーユニットであって、油タンク内の作動油を前記駆動装置の油圧シリンダに供給する油圧ポンプと、前記油圧ポンプを駆動するモータと、前記モータの累積回転回数をカウントするカウンターと、前記荷受台が上昇限位置から下降して接地するまでの前記モータの予定累積回転回数に対応する予定カウント数を予め記憶可能な記憶部と、前記荷受台を上昇させる際に、前記カウンターによるカウント数が所定値に達した際に前記荷受台のスローストップを開始させるように前記モータを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記荷受台の下降動作中に前記カウンターによるカウント数が前記予定カウント数に達したら、前記荷受台の上昇動作が開始するまで前記カウンターによるカウントを停止させることを特徴とするパワーユニットを提供している。
【0009】
このような構成によれば、荷受台の下降動作や開動作の停止が遅れたような場合であっても、本来のカウント数に相当する位置でスローストップが開始されるので、車両や駆動装置等に大きなダメージを与えてしまうことが防止される。また、荷受台の開閉・昇降動作の繰り返しによりカウント数の誤差が累積することでスローストップの開始点が大きくずれてしまうことが予防される。
【0010】
また、従来より、貨物自動車の車体後部に設けられた荷受台を下降させる際には、作動油の戻りルートを設け、荷受台の自重を利用して下降させていたが、この場合にはモータを逆転させる必要があり、一般的なブラシ付きモータでは、逆転させるとブラシ寿命が従来の大凡半分になってしまうことから、前記モータはブラシレスモータであることが好ましい。
【0011】
更に、荷受台を開く際や下降させる際に重力によって荷受台の速度が上がり過ぎないように、モータの逆回転にブレーキをかければ、荷受台の位置エネルギーを電圧変換(回生)することができるので、従来と比べてバッテリー消費を抑制することができ、バッテリー上がり等の問題を軽減することが可能となる。また、開閉用単動油圧シリンダ又は昇降用単動油圧シリンダから作動油が戻ってくるルートと、開閉用単動油圧シリンダ又は昇降用単動油圧シリンダに作動油を送出するルートと、を共通化することができるので、作動油の戻りルートを別途設ける必要がなくなり、その結果、戻りルート用の電磁切換え開閉や、戻りルートに設けられるフローコントロールバルブやリストリクションバルブが不要となる。
【0012】
また、本発明の別の観点によれば、車両に支持された荷受台又はウイングを開閉させるための駆動装置を駆動するためのパワーユニットであって、油タンク内の作動油を前記駆動装置の油圧シリンダに供給する油圧ポンプと、前記油圧ポンプを駆動するモータと、前記モータの累積回転回数をカウントするカウンターと、前記荷受台が全閉状態から全開状態になるまでの前記モータの予定累積回転回数に対応する予定カウント数を予め記憶可能な記憶部と、前記荷受台を閉じる際に、前記カウンターによるカウント数が所定値に達した際に前記荷受台又はウイングのスローストップを開始させるように前記モータを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記荷受台の開動作中に前記カウンターによるカウント数が前記予定カウント数に達したら、前記荷受台又はウイングの閉動作が開始するまで前記カウンターによるカウントを停止させることを特徴とするパワーユニットを提供している。
【0013】
また、従来より、貨物自動車の車体後部に設けられた荷受台を下降させる際には、作動油の戻りルートを設け、荷受台の自重を利用して下降させていたが、この場合にはモータを逆転させる必要があり、一般的なブラシ付きモータでは、逆転させるとブラシ寿命が従来の大凡半分になってしまうことから、前記モータはブラシレスモータであることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明のパワーユニットによれば、スローストップを適切に行うことが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態によるパワーユニット1について、
図1−
図4を参照して説明する。
【0017】
パワーユニット1は、
図1及び
図2に示すように、貨物自動車等の車両の後部に設けられた荷受台(テールゲート)2の駆動装置3を駆動するためのものである。
【0018】
駆動装置3は、開閉用アーム31と、開閉用アーム31に設けられた開閉用単動油圧シリンダ32と、昇降用アーム33と、昇降用アーム33に設けられた昇降用単動油圧シリンダ34と、を備えている。
【0019】
荷受台2は、開閉用単動油圧シリンダ32内に作動油が供給されるに連れて伸動し、
図1の(a)に示すような垂直状態に近づき、開閉用単動油圧シリンダ32内から作動油が排出されるに連れて縮動し、
図1の(b)に示すような水平状態に近づく。本実施の形態では、図示せぬロック機構により、荷受台2が略垂直状態になるまでしか伸動しないように、及び、略水平状態になるまでしか縮動しないように設定されている。なお、本実施の形態における“垂直”、“水平”とは、車体(の接地面)に対する“垂直”、“水平”を意味する。
【0020】
また、荷受台2は、昇降用単動油圧シリンダ34内に作動油が供給されるに連れて伸動し、
図2の(a)に示すような車体床面と同じ高さの上昇限位置に近づき、昇降用単動油圧シリンダ34内から作動油が排出されるに連れて縮動し、
図2の(b)に示すような下降限位置に位置する。本実施の形態では、図示せぬロック機構により、荷受台2が略上昇限位置に到達するまでしか伸動しないように設定されている。一方、縮動に関しては、地面よりも下方まで縮動することが可能であるが、本実施の形態では、荷受台2が接地する位置を下降限位置とする。
【0021】
続いて、パワーユニット1の構成について説明する。
【0022】
図3に示すように、パワーユニット1は、油タンク11 と、油圧ポンプ12と、モータ13と、リリーフ弁(安全弁)14と、電磁切換弁15a及び15bと、カウンター16と、記憶部17と、制御部18と、を備えている。
【0023】
油圧ポンプ12は、荷受台2を閉じる際、及び、上昇させる際に、回転により油タンク11内の作動油を吸い上げ、開閉ポート又は昇降ポートを介して、
図1及び
図2に示す開閉用単動油圧シリンダ32又は昇降用単動油圧シリンダ34内に作動油を供給する。本実施の形態では、油圧ポンプ12の回転方向として、作動油を吸い上げる方向の回転を正回転とする。
【0024】
また、荷受台2が開く際、及び、下降する際には、重力によって荷受台2が下方に移動するので、それに伴い、開閉用単動油圧シリンダ32又は昇降用単動油圧シリンダ34内の作動油が開閉ポート又は昇降ポートを介してパワーユニット1内に戻り、油圧ポンプ12を介して油タンク11に戻る。この際、油圧ポンプ12は、作動油の負荷圧力によって逆回転されることとなる。
【0025】
モータ13は、油圧ポンプ12を駆動するためのものである。本実施の形態では、モータ13として、ブラシレスモータを採用し、モータ13が正回転を行うことにより油圧ポンプ12も正回転し、作動油を吸い上げるものとする。更に、本実施の形態では、開閉用単動油圧シリンダ32又は昇降用単動油圧シリンダ34から戻ってきた作動油によって油圧ポンプ12が逆回転されると、それに伴い、モータ13も逆回転される。
【0026】
リリーフ弁14は、油圧ポンプ12から吐出される作動油の圧力を所定値までに制限するためのものであり、圧力が所定値を超えた時に開いて作動油を別ルートで油タンク11内に排出する。
【0027】
電磁切換弁15aは、図示せぬ開閉操作スイッチが操作された際に励磁されて開き、開閉ポートを介しての作動油の通過を可能にする。
【0028】
電磁切換弁15bは、図示せぬ昇降操作スイッチが操作された際に励磁されて開き、昇降ポートを介しての作動油への通過を可能にする。
【0029】
カウンター16は、モータ13の回転回数をカウントする。本実施の形態では、モータ13が逆回転する際、すなわち、荷受台2が開く際及び下降する際には、プラスにカウントし、モータ13が正回転する際、すなわち、荷受台2が閉じる際及び上昇する際にはマイナスにカウントする。
【0030】
特に、本実施の形態では、荷受台2の開閉と昇降を別個にカウントするために、開閉用カウンター16aと、昇降用カウンター16bと、を備えている。従って、荷受台2の開閉の際には、開閉用カウンター16aがカウントを行い、荷受台2の昇降の際には、昇降用カウンター16bがカウントを行う。
【0031】
記憶部17には、荷受台2が閉状態から開状態に至るまでのモータ13の予定累積回転回数に対応する予定カウント数CM1、及び、上昇限位置(開状態、水平状態)から下降限位置(接地状態)に至るまでのモータ13の予定累積回転回数に対応する予定カウント数CM2が予め記憶されている。予定カウント数CM1、CM2は、ユーザがパワーユニット1を最初に使用する際に、ユーザが実際に荷受台2の開閉、昇降を行い、閉状態及び下降限位置において図示せぬ記憶ボタン等を押下することで、予定カウント数CM1、CM2を記憶部17に記憶する等の方法が考えられる。
【0032】
制御部18は、荷受台2の開閉動作、及び、荷受台2の昇降動作を制御するために、モータ13の制御を行う。
【0033】
また、本実施の形態の制御部18は、通常の開閉・昇降の制御に加えて、
図4に示すスロースタート制御、及び、スローストップ制御を行う。スロースタートは、“開”、“閉”、“上昇”、“下降”のいずれかの動作が開始すると共に開始し、スロースタートの開始から所定時間経過後に終了させる。一方、スローストップは、カウンター16によってカウントされたモータ13の回転回数が所定の回転回数に達した際に開始させる。なお、
図4は、上昇動作時、及び、閉動作時のスロースタート制御、及び、スローストップ制御を例示したものであり、下降動作時、及び、開動作時には、スロースタートは、カウント“ゼロ”で開始し、スローストップも、CS1、CS2とは異なるカウントで行われることとなる。
【0034】
続いて、荷受台2の開閉・昇降動作について説明を行う。
(1)開動作
【0035】
開動作は、
図1に示すように、垂直に閉じた状態の荷受台2を水平に開く動作(閉→開)である。本実施の形態では、荷受台2は、完全に開いた(水平に開いた)状態で、車体床面と同じ高さ(上昇限位置)に位置するものとする。
【0036】
この開動作は、図示せぬ開スイッチが操作されている間、行われる。開スイッチが操作されると、電磁切換弁15aが励磁されて開き、開閉用単動油圧シリンダ32内の作動油が開閉ポート及び油圧ポンプ12を介して油タンク11に戻る。この際、油圧ポンプ12は、作動油の負荷圧力によって逆回転され、それに伴い、モータ13も逆回転される。開動作期間中に油タンク11に戻ってきた作動油の総量は、その間のモータ13の回転回数、すなわち、カウンター16によるカウント数に比例する。
【0037】
開動作開始から所定時間の間はスロースタート区間であり、モータ13に印加する電圧を徐々に増加させることで緩やかに荷受台2を開いていく(回動させていく)。スロースタート区間経過後は、荷受台2は通常の速度で開いていくが、カウンター16aによるカウントが荷受台2の荷受台2が水平状態(上昇限位置)の手前に設定されたカウント数まで低下した際に、スローストップ区間を開始し、モータ13に印加する電圧を徐々に低下させることで、荷受台2を水平状態(上昇限位置)まで緩やかに開いていく。荷受台2が水平状態(上昇限位置)に達した際には、上記した荷受台2が上記したロック機構と突き当たるので、その際に、ユーザが開スイッチの操作を停止させることとなる。カウンター16aによるカウントも、開スイッチの操作の停止と共に停止する。
【0038】
なお、本実施の形態では、荷受台2を開く際には、重力によって荷受台2の速度が上がり過ぎないように、モータ13の逆回転にブレーキをかける制御を行う。
(2)下降動作
【0039】
下降動作は、
図2に示すように、水平に開いた(上昇限位置にある)荷受台2を下降させる動作である。本実施の形態では、荷受台2は、最大に降下した状態で、地面に相当する下降限位置に位置するものとする。
【0040】
この下降動作は、図示せぬ下降スイッチが操作されている間、行われる。下降スイッチが操作なされると、電磁切換弁15bが励磁して開き、昇降用単動油圧シリンダ34内の作動油が昇降ポート及び油圧ポンプ12を介して油タンク11に戻る。この際、油圧ポンプ12は、作動油の負荷圧力によって逆回転され、それに伴い、モータ13も逆回転される。下降動作期間中に油タンク11に戻ってきた作動油の総量は、その間のモータ13の回転回数、すなわち、カウンター16によるカウント数に比例する。
【0041】
下降動作開始から所定時間の間はスロースタート区間であり、モータ13に印加する電圧を徐々に増加させることで緩やかに荷受台2を下降させていく。スロースタート区間経過後は、荷受台2は通常の速度で下降していくが、荷受台2が接地状態(下降限位置)に達した際には、荷受台2が地面と突き当たるので、その際に、ユーザが下降スイッチの操作を停止させることとなる。カウンター16bによるカウントも、下降スイッチの操作の停止と共に停止する。
【0042】
なお、本実施の形態では、荷受台2を下降させる際には、重力によって荷受台2の速度が上がり過ぎないように、モータ13の逆回転にブレーキをかける制御を行う。
【0043】
また、上述したように、開動作の場合には、全閉から全開まで操作されるのが通常であり、全閉から全開までのモータ3の回転回数が予め分かるので、カウンター16(開閉用カウンター16a)によってカウントされたモータ13の回転回数が所定の回転回数に達した際にスローストップを開始させたが、下降動作の場合には、地面の高さ等によって荷受台2が接地する位置(モータ3の回転回数)が異なるので、スローストップを行わなくても良い。
(3)上昇動作
【0044】
上昇動作は、荷受台2を下降限位置から上昇限位置まで上昇させる動作である。
【0045】
この上昇動作は、図示せぬ上昇スイッチが操作されている間、行われる。上昇スイッチが操作されると、電磁切換弁15bが励磁して開くと共に、制御部18は、モータ13を正回転させる。これにより、油圧ポンプ12も正回転し、作動油が油タンク11から汲み上げられて昇降用単動油圧シリンダ34に送出される。上昇動作期間中に油タンク11から送出された作動油の総量は、その間のモータ13の回転回数、すなわち、カウンター16によるカウント数に比例する。
【0046】
この上昇動作において、
図4に示すように、上昇開始(予定カウント数CM2)から所定時間の間はスロースタート区間であり、モータ13に印加する電圧を徐々に増加させることで緩やかに荷受台2を上昇させていく。スロースタート区間経過後は、通常の速度で荷受台2は上昇するが、カウンター16bによるカウントが荷受台2の上昇限位置の手前に設定されたカウント数CS2まで低下した際に、スローストップ区間を開始し、モータ13に印加する電圧を徐々に低下させることで、荷受台2を上昇限位置まで緩やかに上昇させる。
【0047】
そして、荷受台2が水平状態(上昇限位置)に達した際には、荷受台2が上記したロック機構と突き当たるので、その際に、ユーザが上昇スイッチの操作を停止させることとなる。カウンター16bによるカウントも、上昇スイッチの操作の停止と共に停止する。
(4)閉動作
【0048】
閉動作は、水平状態に開いた荷受台2を垂直状態に閉じる動作である。
【0049】
この閉動作は、図示せぬ閉スイッチが操作されている間、行われる。閉スイッチが操作されると、電磁切換弁15aが励磁して開くと共に、制御部18は、モータ13を正回転させる。これにより、油圧ポンプ12も正回転し、作動油が油タンク11から汲み上げられて開閉用単動油圧シリンダ32に送出される。閉動作期間に油タンク11から送出された作動油の総量は、その間のモータ13の回転回数、すなわち、カウンター16のカウント数に比例する。
【0050】
この閉動作において、
図4に示すように、閉動作開始(予定カウント数CM1)から所定時間の間はスロースタート区間であり、モータ13に印加する電圧を徐々に増加させることで緩やかに荷受台2を閉じて(回動させて)いく。スロースタート区間経過後は、通常の速度で荷受台2は閉じていくが、カウンター16aによるカウントが垂直位置の手前に設定されたカウント数CS1まで低下した際に、スローストップ区間を開始し、モータ13に印加する電圧を徐々に低下させることで、荷受台2が垂直になるまで緩やかに回動させる。
【0051】
そして、荷受台2が垂直状態に達した際には、荷受台2が上記したロック機構と突き当たるので、その際に、ユーザが閉スイッチの操作を停止させることとなる。カウンター16aによるカウントも、上昇スイッチの操作の停止と共に停止する。
【0052】
ここで、例えば、下降動作時にユーザによる停止操作が遅れてしまった場合には、荷受台2が地面に接地して下降していないにも関わらずカウント数が進んでしまうこととなる。換言すると、昇降用単動油圧シリンダ34は、それ以上縮むことができないにも関わらず、モータ13が空回り(逆回転)し、カウント数が予定カウント数CM2以上となってしまう。
【0053】
その後、例えば、予定カウント数CM2+αで下降動作が停止されて荷受台2を上昇させた場合であっても、スローストップはカウント数がCS2に低下するまで開始されないので、スローストップの開始が本来よりも遅れてしまう。その結果、荷受台2が高速のまま水平状態となってしまい、車両や駆動装置3等に大きなダメージを与えてしまう可能性がある。
【0054】
また、記憶部17に記憶された予定カウント数CM1及びCM2は実測値であるため、本来のカウント数とは僅かに誤差が生じている場合がある。その場合、荷受台2の開閉・昇降動作を繰り返していくと、誤差が累積していき、結果として、スローストップの開始点が大きくずれてしまうこととなる。
【0055】
そこで、本実施の形態では、カウンター16によるカウント数がCM1及びCM2まで上昇した際に、制御部18が、カウンター16によるそれ以上の上昇カウントを停止させる。そして、上昇動作が開始された際に、カウンター16によるカウントを再開させ、カウント数は減少させていく。
【0056】
これにより、本来のカウント数CS1やCS2に相当する位置でスローストップが開始するので、車両や駆動装置3等に大きなダメージを与えてしまうことが防止される。
【0057】
以上説明したように、本実施の形態によるパワーユニット1では、荷受台2の下降動作中(又は、開動作中)にカウンター16によるカウント数が、予定カウント数CM2(又は、CM1)に達したら、荷受台2の上昇動作(又は、閉動作)が開始するまでカウンター16によるカウントを停止させる。
【0058】
このような構成によれば、荷受台2の下降動作や開動作の停止が遅れたような場合であっても、本来のカウント数CS2やCS1に相当する位置でスローストップが開始されるので、車両や駆動装置3等に大きなダメージを与えてしまうことが防止される。また、荷受台2の開閉・昇降動作の繰り返しによりカウント数の誤差が累積することでスローストップの開始点が大きくずれてしまうことが予防される。
【0059】
また、従来より、貨物自動車の車体後部に設けられた荷受台を下降させる際には、作動油の戻りルートを設け、荷受台の自重を利用して下降させていたが、この場合にはモータを逆転させる必要があり、一般的なブラシ付きモータでは、逆転させるとブラシ寿命が従来の大凡半分になってしまうことから、本実施の形態では、モータ13は、ブラシレスモータである。
【0060】
更に、荷受台2を開く際や下降させる際に重力によって荷受台2の速度が上がり過ぎないように、モータ13の逆回転にブレーキをかければ、荷受台2の位置エネルギーを電圧変換(回生)することができるので、従来と比べてバッテリー消費を抑制することができ、バッテリー上がり等の問題を軽減することが可能となる。
【0061】
また、開閉用単動油圧シリンダ32又は昇降用単動油圧シリンダ34から作動油が戻ってくるルートと、開閉用単動油圧シリンダ32又は昇降用単動油圧シリンダ34に作動油を送出するルートと、を共通化することができるので、作動油の戻りルートを別途設ける必要がなくなり、その結果、戻りルート用の電磁切換え開閉や、戻りルートに設けられるフローコントロールバルブやリストリクションバルブが不要となる。
【0062】
尚、本発明のパワーユニットは、上述した実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変形や改良が可能である。
【0063】
例えば、上記実施の形態では、パワーユニット1では、駆動装置3が貨物自動車の荷受台2を駆動したが、貨物自動車のウイングを駆動してもよく、この場合にも同様の制御を行うことが可能である。
【0064】
また、上記実施の形態では、カウンター16と制御部18が別体であったが、一体であっても良い。
【0065】
また、上記実施の形態では、開動作及び下降動作をプラスにカウントし、閉動作及び上昇動作をマイナスにカウントしたが、カウントを逆に行っても良い。
【0066】
また、上記実施の形態では、
図4において、理解容易のために、上昇動作時と閉動作時のスロースタート区間及びスローストップ区間を同じタイミングで行ったが、他のタイミングで行っても良い。
【0067】
また、上記実施の形態では、荷受台2の開閉と昇降を別個にカウントしたが、上昇限位置でなければ閉作動出来ない若しくは全開でなければ下降作動出来ない構造を前提として、両者を続けてカウントしても良い。
【0068】
また、上記実施の形態では、スローストップを本来のカウント数CM1やCM2に相当する位置で開始させるためにカウントを停止させる制御を行ったが、所定のカウント数でスロースタートを終了させる構成の場合にも、同様の制御を行うことが可能である。この場合には、スロースタートが本来のカウント数に相当する位置で終了することとなるので、通常速度の期間が短かったり長かったりといったストレスが軽減される。
【0069】
また、閉動作において閉状態(垂直状態)に達した際や、上昇動作において上昇限位置に達した際に、閉状態又は上昇限位置でカウントをリセットしてもよい。閉状態(垂直状態)に達したことや、上昇限位置に達したことは、ロック機構等に突き当たった際の電流によって判断する等が考えられる。
【0070】
例えば、リリーフ弁14が作動したような場合には、作動油が油圧ポンプ12を通らない別ルートで油タンクへ戻るため、移動した作動油の量とカウンター16によるカウント数とが比例しなくなってしまうが、閉状態又は上昇限位置でカウントをリセットすることで、次回の動作からはスローストップを適切に行うことが可能となる。なお、上記実施の形態とは逆に、開動作及び下降動作をマイナスにカウントし、閉動作及び上昇動作をプラスにカウントする場合には、閉状態又は上昇限位置でカウントをCM1、CM2にリセットすることとなる。