【解決手段】所定の第一数値をmとし、前記第一数値よりも多数である第二数値をnとする。印刷充填装置21は、m列に並んだ状態で錠剤5を搬送する搬送装置52と、搬送される錠剤5に印刷を施す印刷装置54と、印刷が施されるとともにn列に並んだ錠剤5を、容器フィルム3に形成されたポケット部2に充填する充填装置58と、搬送装置52及び充填装置58間において、錠剤5の列数をmからnに変換する列数変換装置57とを備える。比較的少ない列数で錠剤5の印刷処理を行うことができるため、印刷装置54の規模を小さなものとすることができ、各種コストの抑制を図ることができる。一方、比較的多い列数で錠剤5の充填を行うことができるため、錠剤5の充填に係る高速化を図ることができ、良好な生産速度を確保することができる。
容器フィルムに形成されたポケット部に内容物が収容されるとともに、該ポケット部を塞ぐように前記容器フィルムに対しカバーフィルムが取着されてなるブリスタシートを製造するためのブリスタ包装機であって、
所定の第一数値をmとし、前記第一数値よりも多数である第二数値をnとしたときに、
m列に並んだ状態で前記内容物を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段により搬送される前記内容物に印刷を施す印刷手段と、
前記印刷手段によって印刷が施され、かつ、n列に並んだ前記内容物を、帯状の前記容器フィルムに形成された前記ポケット部に充填する充填手段と、
前記搬送手段及び前記充填手段間において、前記内容物の列数をmからnに変換する列数変換手段とを備えることを特徴とするブリスタ包装機。
前記排出制御手段は、前記受取部のそれぞれに対し前記内容物が均等に振り分けられるように、前記排出手段を制御することを特徴とする請求項2に記載のブリスタ包装機。
n個の前記受取部は、前記搬送手段による前記内容物の搬送方向と交差する方向に延びるとともに、前記搬送方向に沿って並んだ状態で設けられていることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載のブリスタ包装機。
容器フィルムに形成されたポケット部に内容物が収容されるとともに、該ポケット部を塞ぐように前記容器フィルムに対しカバーフィルムが取着されてなるブリスタシートの製造方法であって、
所定の第一数値をmとし、前記第一数値よりも多数である第二数値をnとしたときに、
m列に並んだ状態で前記内容物を搬送する搬送工程と、
前記搬送工程にて搬送される前記内容物に印刷を施す印刷工程と、
前記印刷工程にて印刷が施され、かつ、n列に並んだ前記内容物を、帯状の前記容器フィルムに形成された前記ポケット部に充填する充填工程と、
前記搬送工程及び前記充填工程間において、前記内容物の列数をmからnに変換する列数変換工程とを含むことを特徴とするブリスタシートの製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記特許文献1に記載の技術において、内容物に対する印刷処理やポケット部に対する内容物の充填処理は、内容物を複数列に並べた状態で搬送しつつ行われるが、印刷処理を行うときにおける内容物の列数は、ポケット部へと内容物を充填するときにおける内容物の列数と同一(上記特許文献1ではそれぞれ8列)とされている。従って、印刷装置としては、ポケット部への充填時における内容物の列数と同数(上記特許文献1の場合には8つ)の内容物を一度に印刷可能なものを用いる必要がある。しかしながら、このような印刷装置は、複雑かつ大型のもの(例えば多数又は大型の印刷ヘッドを備えたもの)となるため、包装機の製造や印刷装置のメンテナンスなどに係るコストの増大を招くおそれがある。
【0008】
さらに、内容物の向きや位置等によってインクを吐出するノズルを選択・制御するように構成されたインクジェット方式の印刷装置を利用する場合には、内容物の列数に対応する数のノズル制御系統を設ける必要があり、結果的に、制御処理に係るコストの増大を招くおそれがある。
【0009】
これに対し、例えば、ポケット部へと内容物を充填するときにおける内容物の列数を比較的少ないものとすることで、結果的に、印刷処理を行うときにおける内容物の列数をも比較的少ないものとすることが考えられる。しかしながら、この場合には、単位時間当たりにおける内容物の充填数が減少し、ブリスタシートの生産速度が低下するおそれがある。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、良好な生産速度を確保しつつ、各種コストの抑制を図ることができるブリスタ包装機及びブリスタシートの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以下、上記目的を解決するのに適した各手段につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
【0012】
手段1.容器フィルムに形成されたポケット部に内容物が収容されるとともに、該ポケット部を塞ぐように前記容器フィルムに対しカバーフィルムが取着されてなるブリスタシートを製造するためのブリスタ包装機であって、
所定の第一数値をmとし、前記第一数値よりも多数である第二数値をnとしたときに、
m列に並んだ状態で前記内容物を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段により搬送される前記内容物に印刷を施す印刷手段と、
前記印刷手段によって印刷が施され、かつ、n列に並んだ前記内容物を、帯状の前記容器フィルムに形成された前記ポケット部に充填する充填手段と、
前記搬送手段及び前記充填手段間において、前記内容物の列数をmからnに変換する列数変換手段とを備えることを特徴とするブリスタ包装機。
【0013】
上記手段1によれば、列数変換手段によって、搬送手段による搬送時(すなわち、印刷手段による印刷時)における内容物の列数(m列)よりも、ポケット部に対する内容物の充填時における内容物の列数(n列)を増加させることができる。すなわち、上記手段1によれば、比較的少ない列数で内容物の印刷処理を行いつつ、比較的多い列数で内容物の充填を行うことができる。比較的少ない列数で内容物の印刷処理を行うことができるため、印刷手段の規模を小さなものとすることができ、包装機の製造や印刷手段のメンテナンス、印刷手段の制御処理などに係る各種コストの抑制を図ることができる。一方、比較的多い列数で内容物の充填を行うことができるため、内容物の充填に係る高速化を図ることができ、良好な生産速度を確保することができる。
【0014】
また、上記手段1によれば、ブリスタ包装機が印刷手段のクリーニング装置を備える場合、クリーニング装置の規模をも小さなものとすることができる。そのため、包装機の製造等に係るコストの抑制をより効果的に図ることができる。尚、印刷手段が、インクを吐出可能な複数のノズルを有してなる印刷ヘッドを備えた、インクジェット方式の装置により構成される場合、「クリーニング装置」としては、例えば、ノズルの内部に詰まった塵埃や増粘又は固形化したインク等を外部に排出するための加圧パージを行うクリーニング機構や、パージ後の印刷ヘッドを拭くワイピング機構などを備えた装置を挙げることができる。
【0015】
また、印刷手段が、上記のようなインクジェット方式の装置により構成されており、複数のノズルのうちの選択・制御されたものがインクを吐出することによって、内容物における任意の位置に印刷を施すものである場合には、上記手段1によって次のような作用効果をも得ることができる。すなわち、上記手段1によれば、結果的に印刷手段による印刷頻度を増加させることができるため、各ノズルがインクの吐出対象として選択されやすくなる。従って、一般にインクの吐出対象として選択されにくいノズル(例えば、印刷手段による印刷可能領域の端を担当するノズル)であってもインクの吐出を行いやすくなる。これにより、インクの固形化や増粘等によるノズルの目詰まり不良を効果的に抑制して、印刷不良の発生をより確実に防止することができる。また、ノズルの目詰まりが生じにくくなることで、印刷手段のクリーニング頻度を低くすることができる。これらの結果、ブリスタシートの生産に係るコストの低減や生産速度の一層の向上を図ることができる。
【0016】
手段2.前記列数変換手段は、
前記搬送手段により搬送される前記内容物を選択的に排出可能な排出手段と、
前記排出手段によって排出された前記内容物を受け取るとともに、該内容物を前記充填手段側へと搬送する受取搬送手段と、
前記排出手段による前記内容物の排出ポジションを制御可能な排出制御手段とを備え、
前記受取搬送手段は、
前記排出手段によって排出された前記内容物を受け取るn個の受取部と、
それぞれ前記受取部に対応するn個の搬送路を有し、該搬送路において前記受取部へと受け渡された前記内容物をn列に並んだ状態で前記充填手段側へと搬送する中間搬送手段とを備え、
前記排出手段による前記内容物の排出ポジションを変化させることによって、該内容物の受け渡し対象となる前記受取部が変化するように構成されていることを特徴とする手段1に記載のブリスタ包装機(尚、m及びnは自然数)。
【0017】
上記手段2によれば、列数変換手段を比較的単純な構造により実現することができ、包装機の製造やメンテナンス等に係るコストの低減を一層効果的に図ることができる。
【0018】
手段3.前記排出制御手段は、前記受取部のそれぞれに対し前記内容物が均等に振り分けられるように、前記排出手段を制御することを特徴とする手段2に記載のブリスタ包装機。
【0019】
尚、「均等」とあるのは、厳密に均等である場合、つまり各受取部に振り分けられる内容物の個数が厳密に同一である場合のみならず、ほぼ均等である場合、つまり各受取部に振り分けられる内容物の個数差がほとんどない(例えば個数差が数個以内に抑えられる)場合も含む。
【0020】
上記手段3によれば、列数変換手段を経て内容物がn列に並んだ状態において、各列における内容物の個数をほぼ等しいものとすることができる。従って、内容物をポケット部に充填するにあたって、ある列の内容物が足りなくなるといった事態をより確実に防ぐことができる。その結果、ブリスタシートの生産に係る不具合の発生防止を図ることができ、生産速度をより確実に向上させることができる。
【0021】
手段4.前記搬送手段により搬送される前記内容物を検査する検査手段と、
前記検査手段により不良品と判定された前記内容物を系外へと取り除く不良品除去手段とを備え、
前記排出手段は、前記検査手段により良品と判定された前記内容物のみを排出可能に構成されていることを特徴とする手段2又は3に記載のブリスタ包装機。
【0022】
上記手段4によれば、検査手段によって良品と判定された(つまり不良品と判定されていない)内容物のみを受取部へと受け渡して、不良品と判定された内容物を単体で系外へと取り除くことができる。従って、ブリスタシートに不良品の内容物が含まれることをより確実に防止でき、ひいては1の不良品の内容物に起因してブリスタシート全体が不良品となるといった事態をより確実に防ぐことができる。その結果、ブリスタシートの製造に係るコストの低減をより効果的に図ることができる。
【0023】
尚、上記手段4とともに上記手段3を合わせて採用することが好ましい。この場合には、搬送手段によって搬送される内容物の各列の間で良品の数に多少の差が生じたとしても、良品の内容物を各受取部へと均等に振り分けることが可能となる。
【0024】
手段5.n個の前記受取部は、前記搬送手段による前記内容物の搬送方向と交差する方向に延びるとともに、前記搬送方向に沿って並んだ状態で設けられていることを特徴とする手段2乃至4のいずれかに記載のブリスタ包装機。
【0025】
上記手段5によれば、受取部を簡素な構成により実現することができる。これにより、包装機の小型化・簡素化をより確実に図ることができ、包装機の製造に係るコストの抑制を一層効果的に図ることができる。
【0026】
尚、内容物の受渡し範囲(すなわち、前記搬送手段による内容物の搬送方向に沿った受取部の全体長さ)をより小さなものとして、構成の簡素化をより効果的に図るという点では、n個の前記受取部を、前記搬送手段による内容物の搬送方向と直交する方向に延びるように構成することが好ましい。
【0027】
手段6.前記搬送手段は、前記内容物の搬送方向沿って前記内容物を吸着保持可能な複数の吸着孔が並ぶとともに、該吸着孔の列がm列形成されてなる吸着回転部を備え、
前記排出手段は、前記吸着回転部の内部に配置されるとともに、前記吸着孔に対しブローを行うことで前記内容物の吸着保持を解除して該内容物を排出可能な複数のブローノズルを備え、
前記ブローノズルがn個の前記受取部のそれぞれに対応するようにして前記搬送方向にn個並ぶとともに、該ブローノズルの列が前記吸着孔の列に対応するようにしてm列設けられていることを特徴とする手段2乃至5のいずれかに記載のブリスタ包装機。
【0028】
上記手段6によれば、吸着回転部を利用することによって、搬送手段による搬送時に内容物を安定的に保持することができ、ひいては内容物に対する印刷をより正確に行うことができる。
【0029】
また、ブローノズルによる吸着孔へのブローにより、内容物の吸着保持を解除するため、内容物の選択的な排出をより正確に行うことができる。さらに、列数の変換に際し、内容物との接触により各受取部に対する内容物の振り分けを行う手法と比較して、内容物に与えるダメージを比較的小さなものとすることができ、印刷部分や内容物自体の損傷をより生じにくくすることができる。その結果、ブリスタシートの製造に係るコストの低減をより一層図ることができる。
【0030】
さらに、上記手段6によれば、ブローノズルがn個の受取部に対応するようにして内容物の搬送方向にn個並ぶとともに、このブローノズルの列が吸着孔の列に対応するようにしてm列設けられている。従って、搬送手段によって搬送される各列の内容物を、複数の受取部のそれぞれへと受け渡すことができる。つまり、ある列の内容物を、特定の受取部のみではなく、全ての受取部へと受け渡すことができる。これにより、例えば印刷手段の不良などによって、ある列の内容物の全てに異常が生じ、この列の内容物を受取部へと受け渡すことが適切ではないような場合であっても、その他の列の内容物を各受取部へと適切に分配することができる。その結果、生産速度の低下を効果的に抑えることができる。
【0031】
手段7.容器フィルムに形成されたポケット部に内容物が収容されるとともに、該ポケット部を塞ぐように前記容器フィルムに対しカバーフィルムが取着されてなるブリスタシートの製造方法であって、
所定の第一数値をmとし、前記第一数値よりも多数である第二数値をnとしたときに、
m列に並んだ状態で前記内容物を搬送する搬送工程と、
前記搬送工程にて搬送される前記内容物に印刷を施す印刷工程と、
前記印刷工程にて印刷が施され、かつ、n列に並んだ前記内容物を、帯状の前記容器フィルムに形成された前記ポケット部に充填する充填工程と、
前記搬送工程及び前記充填工程間において、前記内容物の列数をmからnに変換する列数変換工程とを含むことを特徴とするブリスタシートの製造方法。
【0032】
上記手段7によれば、上記手段1と同様の作用効果が奏されることとなる。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下に、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。まず、「ブリスタシート」としてのPTPシートの構成について説明する。
【0035】
図1,2に示すように、PTPシート1は、複数のポケット部2を備えた容器フィルム3と、ポケット部2を塞ぐようにして容器フィルム3に取着されたカバーフィルム4とを有している。
【0036】
本実施形態における容器フィルム3は、例えばPP(ポリプロピレン)やPVC(ポリ塩化ビニル)等の透明の熱可塑性樹脂材料により形成され、透光性を有している。一方、カバーフィルム4は、例えばポリプロピレン樹脂等からなるシーラントが表面に設けられた不透明材料(例えばアルミニウム箔等)により構成されている。勿論、各フィルム3,4の材料は、これらに限定されるものではなく、他の材質のものを採用してもよい。
【0037】
PTPシート1は、帯状の容器フィルム3及び帯状のカバーフィルム4から形成された帯状のPTPフィルム6(
図4参照)がシート状に打抜かれることによって製造されるものであり、平面視略矩形状に形成されている。
【0038】
PTPシート1には、その長手方向に沿って配列された5個のポケット部2からなるポケット列が、その短手方向に2列形成されている。つまり、計10個のポケット部2が形成されている。各ポケット部2には、「内容物」としての錠剤5が1つずつ収容されている。
【0039】
図2,3に示すように、本実施形態における錠剤5は、平面視円形状をなす円盤状の素錠であって、側面5aと、該側面5aを挟む表面5b及び裏面5cとを有した構成となっている。そして、
図3に示すように、錠剤5の表面5b及び裏面5cのうちの一方には、錠剤5に関する製品情報を示す識別情報(文字や記号、数字、図形など)が印刷されている。
【0040】
錠剤5に関する製品情報としては、例えば「製品名」、「含量」、「剤形」、「製造元」及び「ロット番号」などを挙げることができる。
図3に示す例では、「製品名」としての「ABC」の文字と、「含量」としての「20」の数字とが印刷されている。以下では、これら「ABC」の文字や「20」の数字が印刷された部位を「印刷部5e」と称する。尚、本実施形態の印刷部5eにおいて、「ABC」の部分と「20」の部分とはそれぞれ異なる色とされている。
【0041】
次に、上記PTPシート1を製造するためのPTP包装機10の概略構成について説明する。本実施形態では、PTP包装機10が「ブリスタ包装機」に相当する。
【0042】
図5に示すように、PTP包装機10の最上流側では、帯状の容器フィルム3の原反がロール状に巻回されている。ロール状に巻回された容器フィルム3の引出し端側は、ガイドロール13に案内されている。容器フィルム3は、ガイドロール13の下流側において間欠送りロール14に掛装されている。間欠送りロール14は、間欠的に回転するモータに連結されており、容器フィルム3を間欠的に搬送する。
【0043】
ガイドロール13と間欠送りロール14との間には、容器フィルム3の搬送経路に沿って、加熱装置15及びポケット部形成装置16が順に配設されている。そして、加熱装置15によって容器フィルム3が加熱されて該容器フィルム3が比較的柔軟になった状態において、ポケット部形成装置16によって容器フィルム3の所定位置に複数のポケット部2が形成される。ポケット部2の形成は、間欠送りロール14による容器フィルム3の搬送動作間のインターバルの際に行われる。
【0044】
間欠送りロール14から送り出された容器フィルム3は、テンションロール18、ガイドロール19及びフィルム受けロール20の順に掛装されている。フィルム受けロール20は、一定回転するモータに連結されているため、容器フィルム3を連続的に且つ一定速度で搬送する。テンションロール18は、容器フィルム3を弾性力によって緊張する側へ引っ張った状態とされており、間欠送りロール14とフィルム受けロール20との搬送動作の相違による容器フィルム3の弛みを防止して容器フィルム3を常時緊張状態に保持する。
【0045】
ガイドロール19とフィルム受けロール20との間には、容器フィルム3の搬送経路に沿って、印刷充填装置21及び検査装置22が順に配設されている。
【0046】
印刷充填装置21は、錠剤5に印刷部5eを形成する機能と、錠剤5をポケット部2に充填する機能とを有する。印刷充填装置21の詳細については後述する。
【0047】
検査装置22は、例えば錠剤5が各ポケット部2に確実に充填されているか否か、錠剤5の異常の有無、ポケット部2への異物混入の有無などに関する検査を行う。
【0048】
一方、帯状に形成されたカバーフィルム4の原反は、最上流側においてロール状に巻回されている。ロール状に巻回されたカバーフィルム4の引出し端は、ガイドロール24によって加熱ロール25の方へと案内されている。
【0049】
加熱ロール25は、前記フィルム受けロール20に圧接可能となっており、両ロール20,25間に容器フィルム3及びカバーフィルム4が送り込まれるようになっている。そして、容器フィルム3及びカバーフィルム4が、両ロール20,25間を加熱圧接状態で通過することで、容器フィルム3にカバーフィルム4が取着され、ポケット部2がカバーフィルム4で塞がれる。これにより、錠剤5が各ポケット部2に収容された帯状のPTPフィルム6が製造される。
【0050】
フィルム受けロール20から送り出されたPTPフィルム6は、テンションロール27及び間欠送りロール28の順に掛装されている。間欠送りロール28は、間欠的に回転するモータに連結されているため、PTPフィルム6を間欠的に搬送する。テンションロール27は、PTPフィルム6を弾性力によって緊張する側へ引っ張った状態とされており、前記フィルム受けロール20と間欠送りロール28との搬送動作の相違によるPTPフィルム6の弛みを防止してPTPフィルム6を常時緊張状態に保持する。
【0051】
間欠送りロール28から送り出されたPTPフィルム6は、テンションロール31及び間欠送りロール32の順に掛装されている。間欠送りロール32は、間欠的に回転するモータに連結されているため、PTPフィルム6を間欠的に搬送する。テンションロール31は、PTPフィルム6を弾性力によって緊張する側へ引っ張った状態とされており、前記間欠送りロール28,32間でのPTPフィルム6の弛みを防止する。
【0052】
間欠送りロール28とテンションロール31との間には、PTPフィルム6の搬送経路に沿って、スリット形成装置33及び刻印装置34が順に配設されている。スリット形成装置33は、PTPフィルム6の所定位置に切離用スリットを形成する機能を有する。また、刻印装置34はPTPフィルム6の所定位置(例えばタグ部)に刻印を付す機能を有する。尚、
図1等では、切離用スリットや刻印の図示を省略している。
【0053】
間欠送りロール32から送り出されたPTPフィルム6は、その下流側においてテンションロール35及び連続送りロール36の順に掛装されている。間欠送りロール32とテンションロール35との間には、PTPフィルム6の搬送経路に沿って、シート打抜装置37が配設されている。シート打抜装置37は、PTPフィルム6をPTPシート1単位にその外縁を打抜く機能を有する。
【0054】
シート打抜装置37によって打抜かれたPTPシート1は、コンベア39によって搬送され、完成品用ホッパ40に一旦貯留される。但し、前記検査装置22によって不良判定がなされた場合、この不良判定に係るPTPシート1は、完成品用ホッパ40へ送られることなく、図示しない不良シート排出機構によって別途排出される。
【0055】
前記連続送りロール36の下流側には、裁断装置41が配設されている。そして、シート打抜装置37による打抜き後に帯状に残った残材部(スクラップ部)を構成する不要フィルム部42は、テンションロール35及び連続送りロール36に案内された後、裁断装置41に導かれる。裁断装置41は、不要フィルム部42を所定寸法に裁断する。裁断された不要フィルム部42(スクラップ)はスクラップ用ホッパ43に貯留された後、別途廃棄処理される。
【0056】
次いで、印刷充填装置21の構成について詳しく説明する。
図6及び
図7に示すように、印刷充填装置21は、供給装置51、搬送装置52、錠剤検査装置53、印刷装置54、印刷検査装置55、不良品除去装置56、列数変換装置57、充填装置58及び制御装置59を備えている。本実施形態では、搬送装置52が「搬送手段」を構成し、同様に、錠剤検査装置53及び印刷検査装置55が「検査手段」を、印刷装置54が「印刷手段」を、不良品除去装置56が「不良品除去手段」を、列数変換装置57が「列数変換手段」を、充填装置58が「充填手段」を、制御装置59が「排出制御手段」を構成する。
【0057】
供給装置51は、多数の錠剤5が貯留された図示しない貯留部(例えばホッパ等)から搬送装置52へと錠剤5を供給する。供給装置51は、供給シュート511及び供給ドラム512を備えている。尚、前記貯留部に貯留された錠剤5は、印刷部5eが形成されていないものである。
【0058】
供給シュート511は、前記貯留部から供給された錠剤5を、1錠ずつ供給ドラム512へと受け渡すものであり、供給ドラム512により搬送される錠剤5の列数と同数並んで設けられている。各供給シュート511は、筒状をなしており、錠剤5を鉛直方向に一列で積載できるように構成されている。また、各供給シュート511は、その下側開口部が供給ドラム512の回転軸の真上において該供給ドラム512に近接した状態で設置されている。
【0059】
各供給シュート511の下側開口部近傍には、該開口部を開閉可能なシャッタ(図示せず)が設けられている。該シャッタの開閉動作によって、錠剤5が、供給シュート511から1錠ずつ落下して、供給ドラム512へと供給される。
【0060】
供給ドラム512は、供給シュート511から供給された錠剤5を受け取った上で、該錠剤5を吸着保持しつつ、搬送装置52側へと搬送する。供給ドラム512は、円筒形状をなすとともに、図示しない駆動手段によって回転可能に構成されている。
【0061】
供給ドラム512の外周面には、錠剤5を吸着保持するための吸着部512aが多数形成されている。各吸着部512aは、供給ドラム512の回転軸の真上から真下付近まで移動する間、所定の吸引手段(図示せず)により負圧が供給された状態となるように構成されている。これにより、各吸着部512aは、供給ドラム512の回転軸の真上から真下付近まで移動する間、錠剤5を吸着保持する。一方、各吸着部512aは、供給ドラム512の回転軸の真下から真上付近まで移動する間、大気に開放された状態となるように構成されている。これにより、吸着部512aにより吸着保持された錠剤5は、供給ドラム512の回転軸の真下にて吸着解除されて、搬送装置52へと受け渡される。
【0062】
また、吸着部512aは、供給ドラム512の周方向及び軸方向に所定間隔で規則的に配列されている。本実施形態において、吸着部512aは、供給ドラム512の周方向に沿って等間隔で多数設けられている。そして、この周方向に並ぶ吸着部512aの列が、供給ドラム512の軸方向に沿って等間隔に複数設けられている。尚、吸着部512aの列数は、搬送装置52により搬送される錠剤5の列数と同一とされる。
【0063】
搬送装置52は、供給装置51から受け渡された錠剤5を吸着保持しつつ、列数変換装置57側へと搬送するものである。搬送装置52は、一対のプーリ521,522と、これらプーリ521,522に掛け渡された搬送ベルト523とを備えている。本実施形態では、搬送ベルト523が「吸着回転部」に相当する。
【0064】
一対のプーリ521,522は、所定間隔をあけた状態で配設されており、それぞれ図示しない駆動手段によって、供給ドラム512の回転軸と平行な回転軸にて回転可能とされている。
【0065】
搬送ベルト523は、前記プーリ521,522の回転に伴い回転移動する。また、搬送ベルト523は、錠剤5を吸着保持するための吸着孔523aを備えている。
【0066】
吸着孔523aは、搬送ベルト523の移動方向つまり錠剤5の搬送方向に沿って、等間隔で多数並んで設けられている。そして、所定の第一数値(但し、自然数)をmとしたとき、搬送ベルト523の移動方向(錠剤5の搬送方向)に沿って並ぶ吸着孔523aの列がm列形成されている。本実施形態において、第一数値(つまりm)は「3」である。
【0067】
搬送ベルト523で囲まれてなる、搬送ベルト523の内部空間には、図示しない吸引機構によって負圧が供給されており、該内部空間は真空状態となっている。これにより、吸着孔523aに負圧が供給された状態となり、搬送装置52は、吸着孔523aによって錠剤5を吸着保持しつつ、前記プーリ521,522の回転に伴い、m列に並んだ状態で錠剤5を搬送する。本実施形態では、搬送装置52によって、m列に並んだ状態で錠剤5を搬送する工程が「搬送工程」に相当する。尚、
図6等では、不良品除去装置56や後述するブローノズル571aを示すべく、搬送ベルト523の内部空間が外部に開放された状態を示しているが、実際には、該内部空間は密閉された状態となっている。
【0068】
また、本実施形態において、搬送装置52には図示しないエンコーダが設けられており、該エンコーダから制御装置59へと前記プーリ521,522の回転量(移動量)に関する信号が所定時間毎に送信されるようになっている。これにより、制御装置59は、搬送装置52によって搬送される錠剤5の位置を把握可能となっている。
【0069】
錠剤検査装置53は、
図8に示すように、搬送装置52による錠剤5の搬送経路に沿って設けられており、搬送される錠剤5の検査を行う。錠剤検査装置53は、搬送される錠剤5を撮像するためのカメラ、及び、該カメラにより得られた撮像画像に基づき錠剤5の良否を判定する錠剤判定装置(それぞれ不図示)を備えている。前記カメラにより得られた錠剤5の撮像画像や前記錠剤判定装置による判定結果は、制御装置59へと送信される。
【0070】
印刷装置54は、搬送装置52による錠剤5の搬送方向に沿って錠剤検査装置53の下流に配置されており、所定のインクジェット方式(例えばピエゾ方式やサーマル方式)で、搬送される錠剤5に対し非接触で印刷を行う。印刷装置54は、第一印刷機構541及び第二印刷機構542を備えている。
【0071】
各印刷機構541,542は、搬送ベルト523の幅方向に並ぶm個の吸着孔523a(錠剤5)に対応するようにして、該幅方向に並ぶm個の印刷ヘッド(図示せず)をそれぞれ備えている。各印刷ヘッドは、搬送ベルト523の移動方向に並ぶ1列の錠剤5の印刷をそれぞれ担当する。各印刷ヘッドは、印刷装置54を通過する各錠剤5に向けてインクを吐出することで、各錠剤5に印刷を施して前記印刷部5eを形成する。
【0072】
また、各印刷ヘッドは、インクの液滴を吐出可能な複数のノズルを一定間隔で配列した2列のノズル列La,Lbを備えている(
図14参照)
ノズル列Laは、x個のノズルNa(Na1,Na2,Na3,Na4,Na5,・・・,Nax)をヘッド幅方向に一定間隔で備え、ノズル列Lbは、x個のノズルNb(Nb1,Nb2,Nb3,Nb4,Nb5,・・・,Nbx)をヘッド幅方向に一定間隔で備えている。本実施形態では、各ノズルNa,Nbに対し、図示しないインクタンクから所定の可食性インクが供給されるようになっている。
【0073】
さらに、ノズル列Lbの各ノズルNbは、ノズル列Laの各ノズルNaに対してヘッド幅方向に位置ずれしており、各ノズルNa間に位置している。つまり、両ノズル列La,LbのノズルNa,Nbは、全体として千鳥状に配置され、ヘッド幅方向に一定間隔に並んだ状態となっている。
【0074】
また、各印刷ヘッドには、ノズルNa,Nbの内部に詰まった塵埃や増粘又は固形化したインク等を外部に排出する加圧パージを行うクリーニング機構や、パージ後の印刷ヘッドを拭くワイピング機構などを備えたクリーニング装置(不図示)が設けられている。
【0075】
尚、本実施形態において、第一印刷機構541は、印刷部5eのうちのある色の部分(例えば「ABC」の部分)を錠剤5に形成し、第二印刷機構542は、印刷部5eにおける前記色とは異なる色の部分(例えば「20」の部分)を錠剤5に形成する。本実施形態では、印刷部5eが2色で構成されているため、1の色を担当する第一印刷機構541と、その他の色を担当する第二印刷機構542とが設けられている。
【0076】
加えて、印刷装置54は、制御装置59によって印刷位置が制御されるようになっている。その結果、搬送されている各錠剤5の状態(本実施形態では位置)がそれぞれ異なるものであっても、各錠剤5の適切な位置に印刷部5eが形成されるようになっている。本実施形態では、搬送装置52により搬送される錠剤5に対し印刷装置54により印刷を施す工程が「印刷工程」に相当する。
【0077】
印刷検査装置55は、印刷装置54によって形成された印刷部5eの検査を行う。印刷検査装置55は、搬送される錠剤5を撮像するためのカメラ、及び、該カメラにより得られた撮像画像に基づき印刷部5eの良否を判定し、ひいては錠剤5の良否を判定する印刷判定装置(それぞれ不図示)を備えている。前記印刷判定装置による判定結果は、制御装置59へと送信される。
【0078】
不良品除去装置56は、錠剤検査装置53や印刷検査装置55によって不良品と判定された錠剤5を系外(つまり搬送装置52による搬送経路の外)へと取り除くための装置である。不良品除去装置56は、搬送装置52による錠剤5の搬送方向に沿って、印刷検査装置55よりも下流に設けられている。また、不良品除去装56は、搬送ベルト523の内部空間に配置されている(
図6,7参照)。
【0079】
さらに、不良品除去装置56は、
図9に示すように、吸着孔523aに対しブローを行うことで錠剤5の吸着保持を解除して、該錠剤5を系外へと排出可能な不良品用ブローノズル561を複数備えている。各不良品用ブローノズル561は、錠剤5の搬送方向と直交する方向に沿ってm個並んで設けられており、該搬送方向に沿って並ぶ1列の錠剤5の除去をそれぞれ担当するように構成されている。これにより、不良品の錠剤5のみを選択的に系外へと除去可能である。尚、不良品用ブローノズル561のブロー動作によって除去された錠剤5は、所定の不良品収容部61へと投入される。
【0080】
列数変換装置57は、搬送装置52及び充填装置58間において、充填装置58による充填時における錠剤5の列数を、搬送装置52による搬送時における錠剤5の列数よりも増大させるためのものである。すなわち、前記第一数値よりも多数である第二数値をnとしたとき(但し、nは自然数)、列数変換装置57は、搬送装置52及び充填装置58間において、錠剤5の列数をmからnに変換する機能を有する。尚、本実施形態において、第二数値(つまりn)は「5」である。
【0081】
列数変換装置57は、
図10〜12に示すように、排出装置571及び受取搬送装置572を備えている。尚、本実施形態においては、制御装置59におけるその一部機能(特に排出装置571による錠剤5の排出に関する機能)も、列数変換装置57の一部を構成している。本実施形態では、排出装置571が「排出手段」に相当し、受取搬送装置572が「受取搬送手段」に相当する。
【0082】
排出装置571は、搬送装置52によって搬送される錠剤5を選択的に受取搬送装置572側へと排出する。排出装置571は、搬送ベルト523の内部に配置された複数のブローノズル571aを備えている。
【0083】
各ブローノズル571aは、吸着孔523aに対しブローを行うことで錠剤5の吸着保持を解除して、該錠剤5を排出する。各ブローノズル571aは、搬送装置52による錠剤5の搬送方向に沿ってn個並んでおり、また、このブローノズル571aの列は、前記搬送方向に沿って並ぶ吸着孔523aの列数に対応するようにしてm列設けられている。従って、m×n本(本実施形態では15本)のブローノズル571a設けられている。
【0084】
また、前記搬送方向に沿った各ブローノズル571aの間隔は、前記搬送方向に沿った各吸着孔523aの間隔と同一とされており、前記搬送方向と直交する方向に沿った各ブローノズル571aの間隔は、前記搬送方向と直交する方向に沿った各吸着孔523aの間隔と同一とされている。これにより、各ブローノズル571aにおけるブロー口〔気体(例えばエア)の吹き出し口〕の全てが、一定タイミング毎に、吸着孔523aと重なるようになっている。
【0085】
受取搬送装置572は、排出装置571によって排出されて落下した錠剤5を受け取るとともに、該錠剤5を充填装置58側へと搬送する。受取搬送装置572は、受取部572a及び中間搬送装置572bを備えている。本実施形態では、中間搬送装置572bが「中間搬送手段」に相当する。尚、
図10等では、受取搬送装置572によって搬送される錠剤5の図示を省略している。
【0086】
受取部572aは、排出装置571によって排出されて落下した錠剤5を受け取るためのものである。受取部572aは、n個設けられており、各受取部572aは、少なくとも上面が斜めになった底壁と、該底壁に立設されて錠剤5の搬送経路を形成する隔壁とによって構成されている。尚、本実施形態においては、1の底壁に複数の隔壁が立設されることで、n個の受取部572aが一体的に形成されているが、各受取部572aが分離した状態となるように構成してもよい。
【0087】
各受取部572aは、搬送装置52による錠剤5の搬送方向と直交する方向に延びるとともに、該搬送方向に沿って並んだ状態で設けられている。各受取部572aは、前記搬送方向と直交する方向に並ぶブローノズル571aの列の鉛直下方に配置されている。従って、1列に並んだm個のブローノズル571aのいずれかによって排出された錠剤5は、このブローノズル571aの列に対応する1の受取部572aへと落下する。受取部572aへと落下した錠剤5は、傾斜面である前記底壁の上面を伝わって中間搬送装置572bへと搬送されていく。
【0088】
中間搬送装置572bは、それぞれ受取部572aに対応するn個の搬送路を有し、該搬送路において受取部572aへと受け渡された錠剤5をn列に並んだ状態で充填装置58側へと搬送する。中間搬送装置572bは、自重落下搬送部572c及び直進フィーダ572dを備えている。
【0089】
自重落下搬送部572cは、少なくとも上面が斜めになった底壁と、該底壁に立設されるとともに錠剤5の搬送路を形成する隔壁とによって構成されており、平面視したときにほぼ直角に湾曲する形状とされている。自重落下搬送部572cは、受取部572aと接続されており、自身における錠剤5の搬送路が受取部572aにおける錠剤5の搬送路と連続するように構成されている。受取部572aから自重落下搬送部572cに至った錠剤5は、自重によって、搬送方向を約90度変えつつ直進フィーダ572dへと搬送されていく。
【0090】
直進フィーダ572dは、n本の錠剤5の搬送路を備えており、これら搬送路が自重落下搬送部572cの搬送路と連続するようにして、自重落下搬送部572cと接続されている。直進フィーダ572dは、所定の振動が加えられることで、錠剤5を充填装置58側へと徐々に搬送していく。直進フィーダ572dの最下流に搬送された錠剤5は、充填装置58の後述する充填用シュート581へと供給される。
【0091】
上記のように、列数変換装置57によれば、錠剤5の列数がmからnに変換される。本実施形態では、列数変換装置57による、錠剤5の列数をmからnに変換する工程が「列数変換工程」に相当する。
【0092】
充填装置58は、n列に並んだ状態で搬送される錠剤5を、帯状の容器フィルム3に形成されたポケット部2へと充填する。充填装置58は、
図13に示すように、充填用シュート581及び充填ドラム582を備えている。
【0093】
充填用シュート581は、中間搬送装置572bを経て供給された錠剤5を、1錠ずつ充填ドラム582へと受け渡すものであり、容器フィルム3の幅方向に沿ったポケット部2の数と同数(本実施形態ではn個)設けられている。各充填用シュート581は、基本的には、前記供給シュート511と同様の機能を有しており、所定のシャッタを開閉動作させることで、錠剤5を1錠ずつ落下させて充填ドラム582へと供給する。
【0094】
充填ドラム582は、充填用シュート581から供給された錠剤5を吸着保持しつつ、搬送される容器フィルム3のポケット部2へと該錠剤5を充填する。充填ドラム582は、円筒形状をなすとともに、図示しない駆動手段によって回転可能に構成されている。
【0095】
また、充填ドラム582の外周面には、錠剤5を吸着保持するための吸着部582aが多数形成されている。各吸着部582aは、基本的には、前記供給ドラム512と同様の機能を備えており、充填ドラム582の回転軸の真上から真下付近まで移動する間、錠剤5を吸着保持する一方、充填ドラム582の回転軸の真下にて錠剤5の吸着を解除して、該錠剤5をポケット部2へと投入する。
【0096】
また、吸着部582aは、充填ドラム582の周方向及び軸方向に所定間隔で規則的に配列されている。本実施形態において、吸着部582aは、充填ドラム582の周方向に沿って等間隔で多数設けられている。そして、この周方向に並ぶ吸着部582aの列が、容器フィルム3の幅方向に沿ったポケット部2の列数に対応するようにして、充填ドラム582の軸方向に沿って等間隔にn列設けられている。これにより、充填装置58は、吸着部582aに吸着保持されてn列に並んだ錠剤5を、容器フィルム3の幅方向にn個並んだポケット部2へと順次充填していく。本実施形態では、充填装置58によって、n列に並んだ印刷済みの錠剤5をポケット部2に充填する工程が「充填工程」に相当する。
【0097】
制御装置59は、演算手段としてのCPUや、各種プログラムを記憶するROM、各種データを一時的に記憶するRAM、情報を長期記憶するための記憶媒体(例えばハードディスク等)などを備えている。制御装置59は、CPUが所定のプログラムを実行することによって、印刷充填装置21の各装置に対する制御処理を実行する。
【0098】
また、制御装置59は、印刷部5eに関する印刷データを予め記憶している。そして、錠剤5に印刷部5eを形成する際に、制御装置59は次のようにして動作する。すなわち、制御装置59は、錠剤検査装置53の前記カメラにより得られた撮像画像に基づき、錠剤5の状態(本実施形態では、位置)を把握する。そして、制御装置59は、把握した錠剤5の状態に基づきインクの吐出対象として適切なノズルNa,Nbを選択し、この選択したノズルNa,Nbからインクを吐出するように印刷装置54を制御する。また、このとき、制御装置59は、搬送装置52の前記エンコーダからの信号に基づき、印刷装置54による印刷タイミング(インクの吐出タイミング)を制御する。これにより、錠剤5の状態に応じた適切な位置に印刷部5eが形成される。
【0099】
また、制御装置59は、錠剤検査装置53及び印刷検査装置55による判定結果に基づき不良品の錠剤5を特定可能とされている。そして、制御装置59は、搬送装置52の前記エンコーダからの信号に基づき、不良品の錠剤5が不良品除去装置56に到達するタイミングを算出するとともに、この算出したタイミングで、該錠剤5の吸着を解除するためのブローを行うように不良品用ブローノズル561を制御する。その結果、不良品の錠剤5は、系外へと排出されて不良品収容部61に投入される。
【0100】
加えて、制御装置59は、排出装置571の各ブローノズル571aを選択的にブロー動作させることで、排出装置571による錠剤5の排出ポジションを制御する。排出ポジションを変化させることで、錠剤5の受け渡し対象となる受取部572aが変化する。
【0101】
また、制御装置59は、受取部572aのそれぞれに対し錠剤5が均等に振り分けられるように、各ブローノズル571aの動作を制御する。本実施形態において、制御装置59は、基本的には、搬送方向と直交する方向に並んだm個の錠剤5が最上流に位置するブローノズル571aの配設位置へと到達したタイミング(排出タイミング)となる度に、m個の受取部572aのそれぞれに錠剤5を1錠ずつ排出して、最終的に、各受取部572aに同数の錠剤5が受け渡されるように各ブローノズル571aの動作を制御する。
【0102】
例えば、複数の受取部572aを、錠剤5の搬送方向に沿って上流側から順に、(1)、(2)、(3)、(4)及び(5)と番号付けした場合、制御装置59は、ある排出タイミングでは(1)、(2)、(3)の受取部572aに、次の排出タイミングでは(1)、(4)、(5)の受取部572aに、次の排出タイミングでは(2)、(3)、(4)の受取部572aに、次の排出タイミングでは(1)、(2)、(5)の受取部572aに、次の排出タイミングでは(3)、(4)、(5)の受取部572aに、錠剤5を1錠ずつ受け渡すように各ブローノズル571aの動作を制御する。
【0103】
但し、不良品除去装置56により不良品の錠剤5が除去された場合、制御装置59は、錠剤検査装置53及び印刷検査装置55により良品と判定された錠剤5のみを排出するように、各ブローノズル571aの動作を制御する。このとき、制御装置59は、不良品の錠剤5による影響を極力小さなものとして、各受取部572aに受け渡される錠剤5が均等となるように、動作対象となるブローノズル571aを選択する。ここで、制御装置59は、各受取部572aに受け渡された錠剤5の個数を記憶するように構成されており、動作対象となるブローノズル571aを、この記憶した個数を利用して選択する。尚、上記の「均等」とは、厳密に均等である場合、つまり各受取部572aに振り分けられる錠剤5の個数が厳密に同一である場合のみならず、各受取部572aに振り分けられる錠剤5の個数差がほとんどない(例えば個数差が数個以内に抑えられる)場合も含む。
【0104】
以上詳述したように、本実施形態によれば、列数変換装置57によって、搬送装置52による搬送時(すなわち、印刷装置54による印刷時)における錠剤5の列数(m列)よりも、ポケット部2に対する錠剤5の充填時における錠剤5の列数(n列)を増加させることができる。すなわち、比較的少ない列数で錠剤5の印刷処理を行いつつ、比較的多い列数で錠剤5の充填を行うことができる。比較的少ない列数で錠剤5の印刷処理を行うことができるため、印刷装置54の規模を小さなものとすることができ、PTP包装機10の製造や印刷装置54のメンテナンス、印刷装置54の制御処理などに係る各種コストの抑制を図ることができる。一方、比較的多い列数で錠剤5の充填を行うことができるため、錠剤5の充填に係る高速化を図ることができ、良好な生産速度を確保することができる。
【0105】
また、本実施形態によれば、印刷装置54における前記クリーニング装置の規模をも小さなものとすることができる。そのため、PTP包装機10の製造等に係るコストの抑制をより効果的に図ることができる。
【0106】
さらに、結果的に印刷装置54による印刷頻度を増加させることができるため、各ノズルNa,Nbがインクの吐出対象として選択されやすくなる。従って、一般にインクの吐出対象として選択されにくいノズルNa,Nb(例えば、印刷装置54による印刷可能領域の端を担当するノズル)であってもインクの吐出を行いやすくなる。これにより、インクの固形化や増粘等によるノズルNa,Nbの目詰まり不良を効果的に抑制して、印刷不良の発生をより確実に防止することができる。また、ノズルの目詰まりが生じにくくなることで、印刷装置54のクリーニング頻度を低くすることができる。これらの結果、PTPシート1の生産に係るコストの低減や生産速度の一層の向上を図ることができる。
【0107】
また、列数変換装置57は、排出装置571や受取搬送装置572を備えており、排出装置571による錠剤5の排出ポジションを変化させて、錠剤5の受け渡し対象となる受取部572aを変化させることで、錠剤5の列数を変換する。従って、列数変換装置57を比較的単純な構造により実現することができ、PTP包装機10の製造やメンテナンス等に係るコストの低減を一層効果的に図ることができる。
【0108】
さらに、錠剤5がn列に並んでいるときにおいて、各列における錠剤5の個数をほぼ等しいものとすることができる。従って、錠剤5をポケット部2に充填するにあたって、ある列の錠剤5が足りなくなるといった事態をより確実に防ぐことができる。その結果、PTPシート1の生産に係る不具合の発生防止を図ることができ、生産速度をより確実に向上させることができる。尚、本実施形態では、搬送装置52によって搬送される錠剤5の各列の間で良品の数に多少の差が生じたとしても、良品の錠剤5を各受取部572aへと均等に振り分けることができる。
【0109】
加えて、良品と判定された錠剤5のみを受取部572aへと受け渡して、不良品と判定された錠剤5を単体で系外へと取り除くことができる。従って、PTPシート1に不良品の錠剤5が含まれることをより確実に防止でき、ひいては1の不良品の錠剤5に起因してPTPシート1全体が不良品となるといった事態をより確実に防ぐことができる。その結果、PTPシート1の製造に係るコストの低減をより効果的に図ることができる。
【0110】
併せて、n個の受取部572aは、搬送装置52による錠剤5の搬送方向と直交する方向に延びるとともに、前記搬送方向に沿って並んだ状態で設けられている。従って、受取部572aを非常に簡素な構成により実現することができる。これにより、PTP包装機10の小型化・簡素化をより確実に図ることができ、PTP包装機10の製造に係るコストの抑制を一層効果的に図ることができる。
【0111】
また、本実施形態によれば、搬送ベルト523を利用することによって、搬送時に錠剤5を安定的に保持することができ、ひいては錠剤5に対する印刷をより正確に行うことができる。
【0112】
さらに、ブローノズル571aによる吸着孔523aへのブローにより、錠剤5の吸着保持を解除するため、錠剤5の選択的な排出をより正確に行うことができる。加えて、列数の変換に際し、錠剤5との接触により各受取部572aに対する錠剤5の振り分けを行う手法と比較して、錠剤5に与えるダメージを比較的小さなものとすることができ、印刷部5eや錠剤5自体の損傷をより生じにくくすることができる。その結果、PTPシート1の製造に係るコストの低減をより一層図ることができる。
【0113】
加えて、ブローノズル571aは、n個の受取部572aに対応するようにして錠剤5の搬送方向にn個並ぶとともに、このブローノズル571aの列が吸着孔523aの列数に対応するようにしてm列設けられている。従って、搬送される各列の錠剤5を、複数の受取部572aのそれぞれへと受け渡すことができる。つまり、ある列の錠剤5を、特定の受取部572aのみではなく、全ての受取部572aへと受け渡すことができる。これにより、例えば印刷装置54の不良などによって、ある列の錠剤5の全てに異常が生じ、この列の錠剤5が系外へと除去されて受取部572aへと受け渡されない場合であっても、その他の列の錠剤5を各受取部572aへと適切に分配することができる。その結果、生産速度の低下を効果的に抑えることができる。
【0114】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0115】
(a)上記実施形態において、排出装置571は、ブローノズル571aのブローによって錠剤5を排出するように構成されているが、錠剤5を搬送装置52による搬送経路外へと排出可能なものであればよく、排出装置の構成を適宜変更してもよい。
【0116】
(b)上記実施形態において、搬送装置52における吸着孔523aは、搬送ベルト523の移動方向に沿って間隔をあけて設けられる構成とされているが、
図15に示すように、前記移動方向に沿って吸着孔523bが連続する構成としてもよい。すなわち、搬送装置52は、スリット状の吸着孔523bを有するものであってもよい。尚、この場合、搬送方向に沿った錠剤5同士の間隔が一定とはならないことがあるが、前記エンコーダからの信号などに基づき錠剤5の位置を把握することで、錠剤5に対する印刷処理や検査処理、受取部572a側への錠剤5の排出処理などを適切に行うことができる。
【0117】
また、搬送ベルト523を備えない搬送装置を利用してもよい。例えば、搬送装置として吸着ドラムなどを用いてもよい。
【0118】
(c)上記実施形態では、列数変換装置57によって、錠剤5の列数が「3」から「5」に変更される例を挙げているが、変換後の錠剤5の列数が変換前の錠剤5の列数よりも多くなる限り、変換前及び変換後の錠剤5の列数を適宜変更してもよい。例えば、
図16に示すように、列数変換装置57によって、錠剤5の列数を「2」から「5」に変更するようにしてもよい。
【0119】
(d)上記実施形態では、内容物として錠剤5を挙げているが、内容物は錠剤に限定されるものではない。
【0120】
また、上記実施形態では、錠剤5として、平面視円形状をなす円盤状の素錠(円盤形状の平錠)が例示されているが、錠剤の種別や形状等については、上記実施形態に限定されるものではない。例えば錠剤には、医薬のみならず、飲食用に用いられる錠剤なども含まれる。また、錠剤には、素錠のみならず、糖衣錠やフィルムコーティング錠、口腔内崩壊錠、腸溶錠、ゼラチン被包錠などが含まれるのは勿論のこと、硬カプセルや軟カプセルなどの各種カプセル錠なども含まれる。
【0121】
さらに、内容物の形状に関しては、例えば平面視円形状のみならず、平面視多角形状、平面視楕円形状、平面視長円形状等であってもよい。
【0122】
(e)上記実施形態において、印刷部5eは、錠剤5の表面5b及び裏面5cのうちの一方に設けられているが、印刷部5eを表面5b及び裏面5cの双方に設けてもよい。
【0123】
(f)製造されるPTPシートの構成は上記実施形態に限定されるものではない。例えばPTPシート1単位のポケット部2の配列や個数は上記実施形態に何ら限定されるものではない。
【0124】
また、上記実施形態において、PTPフィルム6は、その幅方向に沿って1シート分に対応する数のポケット部2が配列された構成となっているが、これに限定されるものではなく、例えば、その幅方向に沿って複数シート分に対応する数のポケット部2が配列された構成であってもよい。尚、この場合、第二数値(n)は、このポケット部2の数と同数とされる〔例えば、上記例において、2シート分であれば第二数値(n)は「10」とされる〕。
【0125】
さらに、上記実施形態では、ブリスタシートとしてPTPシート1を挙げているが、PTPシート1以外のブリスタシートに対し本発明の技術思想を適用してもよい。
【0126】
(g)印刷装置54の構成は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態において、印刷装置54は、1の色を担当する第一印刷機構541と、その他の色を担当する第二印刷機構542とを備えているが、印刷部5eの態様に応じて、印刷機構の数を適宜変更してもよい。また、上記実施形態において、両印刷機構541,542は、搬送ベルト523の幅方向に並ぶ複数の印刷ヘッドを備えているが、印刷ヘッドを1つのみ備える構成とし、この1つの印刷ヘッドによって前記幅方向に並ぶ複数の錠剤5の印刷を一度に行うものとしてもよい。
【0127】
加えて、印刷ヘッドの構成は、上記実施形態に限定されるものではなく、1列又は3列以上のノズル列を備えた構成としてもよい。
【0128】
さらに、上記実施形態の印刷ヘッドに係るクリーニング機構は、塵埃やインク等を加圧パージにより取り除く構成となっているが、これに限らず、塵埃等を吸引パージにより取り除く構成としてもよい。
【0129】
また、インクジェット方式以外の方式を利用した印刷装置を用いてもよい。例えば、印刷装置として、錠剤5と直接接触することで印刷を施すものや、錠剤5にレーザを照射することで印刷を施すものなどを用いてもよい。
【0130】
(h)上記実施形態において、受取部572aは、搬送装置52による錠剤5の搬送方向と直交する方向に延びるように構成されているが、
図17に示すように、受取部572aを、搬送装置52による錠剤5の搬送方向と交差する方向であって当該搬送方向と直交しない方向に延びるように構成してもよい。この構成は、例えば、PTP包装機10内における錠剤5の搬送方向を極力合わせたいといった事情がある場合などに有効である。尚、上記のように構成した場合、受取部572aの構成に合わせて、排出装置571の構成(例えば、ブローノズル571aの配置位置など)やブローノズル571aの制御タイミングなどを適宜変更してもよい。
図17に示す例では、受取部572aの構成と合うように、n個のブローノズル571aが並んでなるブローノズル571aの列のそれぞれが、1ピッチ(前記搬送方向に沿った吸着孔523aの間隔)分ずつずれるようにして配置されている。