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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-116254(P2021-116254A)
(43)【公開日】2021年8月10日
(54)【発明の名称】油中水型乳化化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/06 20060101AFI20210712BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20210712BHJP
   A61K 8/92 20060101ALI20210712BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20210712BHJP
   A61Q 1/12 20060101ALI20210712BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20210712BHJP
【FI】
   A61K8/06
   A61K8/37
   A61K8/92
   A61Q17/04
   A61Q1/12
   A61Q19/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2020-10275(P2020-10275)
(22)【出願日】2020年1月24日
(71)【出願人】
【識別番号】000135324
【氏名又は名称】株式会社ノエビア
(72)【発明者】
【氏名】山田 千晶
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB172
4C083AB212
4C083AB242
4C083AB332
4C083AB432
4C083AC112
4C083AC122
4C083AC331
4C083AC332
4C083AC342
4C083AC422
4C083AC552
4C083AD092
4C083AD152
4C083AD162
4C083AD172
4C083AD241
4C083AD242
4C083BB11
(57)【要約】      (修正有)
【課題】保存安定性に優れ、肌なじみが良好で、べたつき感を抑制した優れた使用感を有する油中水型乳化化粧料を提供することを課題とする。
【解決手段】下記(A)〜(C)を含有する、油中水型乳化化粧料。(A)下記式(a)R−(OCHCH−OOC−R−COO−(CHCHO)−R(a)(式中、R及びRは、独立して、飽和又は不飽和の、直鎖状、分枝状又は環状の、一価のCからC12炭化水素基を表し;Rは、飽和又は不飽和の、直鎖状、分枝状又は環状の、二価のCからC12炭化水素基を表し;m及びnは、独立して、1から20の整数を示す。)で表される少なくとも1つのジエステル化合物、(B)多糖脂肪酸エステル、(C)油剤を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)〜(C)を含有する、油中水型乳化化粧料。
(A)下記式(a)
−(OCHCH−OOC−R−COO−(CHCHO)−R (a)
(式中、
及びRは、独立して、飽和又は不飽和の、直鎖状、分枝状又は環状の、一価のCからC12炭化水素基を表し;
Rは、飽和又は不飽和の、直鎖状、分枝状又は環状の、二価のCからC12炭化水素基を表し;
m及びnは、独立して、1から20の整数を示す。)
で表される少なくとも1つのジエステル化合物
(B)多糖脂肪酸エステル
(C)油剤
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油中水型乳化化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
多糖脂肪酸エステルは、油相を増粘する目的で広く化粧料に配合されており、アニオン性界面活性剤と併用した油性固形クレンジング料(特許文献1)等が知られている。しかしながら、多糖脂肪酸エステルは優れた安定性改善効果を有する反面、使用感触がべたついたものになりやすく、化粧料に配合することは大きな難点となっている。べたつきについては種々検討されている(特許文献2)が、十分ではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017−160176号公報
【特許文献2】特開2018−222251号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、保存安定性に優れ、肌なじみが良好で、べたつき感を抑制した優れた使用感を有する油中水型乳化化粧料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、
下記(A)〜(C)を含有する、油中水型乳化化粧料
(A)下記式(a)
−(OCHCH−OOC−R−COO−(CHCHO)−R (a)
(式中、
及びRは、独立して、飽和又は不飽和の、直鎖状、分枝状又は環状の、一価のCからC12炭化水素基を表し;
Rは、飽和又は不飽和の、直鎖状、分枝状又は環状の、二価のCからC12炭化水素基を表し;
m及びnは、独立して、1から20の整数を示す。)
で表される少なくとも1つのジエステル化合物
(B)多糖脂肪酸エステル
(C)油剤
を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の油中水型乳化化粧料は、保存安定性に優れ、肌なじみが良好で、べたつき感を抑制した優れた使用感を有するという効果を発揮する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下本発明を実施するための形態を説明する。
【0008】
本発明の油中水型乳化化粧料には、(A)少なくとも1つの特定のジエステル化合物を含む2つ以上のジエステル化合物を組み合わせて使用してもよい。したがって、単一のタイプのジエステル化合物、または異なるタイプのジエステル化合物の組み合わせを使用することができる。
【0009】
(A)ジエステル化合物は、下記式(a)
−(OCHCH−OOC−R−COO−(CHCHO)−R (a)
(式中、
及びRは、独立して、飽和又は不飽和の、直鎖状、分枝状又は環状の、一価のCからC12炭化水素基を表し;
Rは、飽和又は不飽和の、直鎖状、分枝状又は環状の、二価のCからC12炭化水素基を表し;
m及びnは、独立して、1から20の整数を示す。)によって表すことができる。
【0010】
及びRは、独立して、飽和の、直鎖状、分枝状又は環状の、一価のCからC12炭化水素基、より好ましくは直鎖状、分枝状又は環状のCからC12アルキル基、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−デシル基及びn−ドデシル基、更に好ましくはメチル基及びエチル基、特にエチル基であることが好ましい。
【0011】
Rは、飽和の、直鎖状、分枝状又は環状の、二価のCからC12炭化水素基、より好ましくは直鎖状、分枝状又は環状のCからC12アルキレン基、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基、n−ペンチレン基、n−ヘキシレン基、シクロヘキシレン基、n−オクチレン基、2−エチルヘキシレン基、n−デシレン基及びn−ドデシレン基、更に好ましくはシクロヘキシレン基、特に1,4−シクロヘキシレン基であることが好ましい。
【0012】
m及びnは、独立して、1から20、好ましくは1から15、より好ましくは2から11、さらに2又は3であることが特に好ましい。
【0013】
(A)ジエステル化合物の例としては、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ビス(ジエチレングリコールモノエチルエーテル)、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ビス(トリエチレングリコールモノエチルエーテル)、アジピン酸ビス(ジエチレングリコールモノエチルエーテル)、アジピン酸ビス(トリエチレングリコールモノエチルエーテル)、及びコハク酸ジカルビトール等を挙げることができる。1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ビス(ジエチレングリコールモノエチルエーテル)(INCI名:シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸ビスエトキシジグリコール)を用いることがより好ましい。1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ビス(ジエチレングリコールモノエチルエーテル)は、「Neosolue(登録商標)−Aqulio」(日本精化株式会社)の名称で市販されている。
【0014】
本発明による油中水型乳化化粧料中の(A)ジエステル化合物の配合量は、油中水型乳化化粧料の総質量に対して0.01〜15質量%、好ましくは0.05〜10質量%、より好ましくは0.1〜5質量%の範囲である。
【0015】
本発明の油中水型乳化化粧料に配合する(B)多糖脂肪酸エステルは、特に限定されず、1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができる。かかる多糖脂肪酸エステルとしては、デキストリン脂肪酸エステル、イヌリン脂肪酸エステルから選択される1種又は2種を用いることが好ましい。
【0016】
デキストリン脂肪酸エステルとしては、炭素数6〜32の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和脂肪酸とデキストリンとのエステルで、その平均置換度が一単糖あたり1.5以上のものが好ましく、デキストリンの糖平均重合度が10〜50のものが好ましく用いられる。具体的には、ミリスチン酸デキストリン、パルミチン酸デキストリン、イソパルミチン酸デキストリン、パルミチン酸/2−エチルヘキサン酸デキストリン、ステアリン酸デキストリン、イソステアリン酸デキストリン、パルミチン酸/ステアリン酸デキストリン、オレイン酸デキストリン等が挙げられる。特に、パルミチン酸デキストリンを用いることが最も好ましい。市販品としては、レオパールMKL2、レオパールKL2、レオパールKLC2、レオパールTL2、レオパールKE2、レオパールTT2、レオパールWX、ユニフィルマHVY(いずれも千葉製粉社製)等が挙げられる。
【0017】
イヌリン脂肪酸エステルとしては、炭素数6〜32の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和脂肪酸とイヌリンとのエステルで、その平均置換度が一単糖あたり1〜3のものが好ましく、イヌリンの糖平均重合度は、10〜60のものが好ましく用いられる。市販品としては、ステアリン酸イヌリンである、レオパールISK2、レオパールISL2(いずれも千葉製粉社製)等が挙げられる。
【0018】
本発明の油中水型乳化化粧料中の(B)多糖脂肪酸エステルの配合量は、特に限定されず、種類や目的等によって調整することができるが、効果や安定性などの点から、油中水型乳化化粧料の総質量に対して、好ましくは0.01〜20質量%であり、より好ましくは0.1〜10質量%である。20質量%を超えて配合すると、安定性が保てない場合がある。
【0019】
本発明の油中水型乳化化粧料に配合する(C)油剤は、通常化粧料に用いられるものであれば特に限定されない。例えば、ドデカン、イソドデカン、ヘキサデカン、イソヘキサデカン、流動パラフィン、重質流動イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、α−オレフィンオリゴマー、スクワラン、水添ポリイソブテン等の炭化水素油;ヤシ油、パーム油、パーム核油、サフラワー油、オリーブ油、ヒマシ油、アボカド油、ゴマ油、茶油、月見草油、小麦胚芽油、マカデミアナッツ油、ヘーゼルナッツ油、ククイナッツ油、ローズヒップ油、アルガニアスピノサ核油、メドウフォーム油、パーシック油、ティートリー油、ハッカ油、ツバキ油、トウモロコシ油、ナタネ油、ヒマワリ油、小麦胚芽油、アマニ油、綿実油、大豆油、落花生油、コメヌカ油、カカオ脂、シア脂、水素添加ヤシ油、水素添加ヒマシ油、ホホバ油、水素添加ホホバ油等の植物油;トリエチルヘキサン酸グリセリル、トリカプリル酸グリセリル、トリカプリン酸グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、トリオレイン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリエチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、ジネオペンタン酸3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ジネオペンタン酸2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、エチルヘキサン酸セチル、エチルヘキサン酸ヘキシルデシル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソデシル、イソノナン酸イソトリデシル、ネオペンタン酸イソデシル、ネオペンタン酸イソトリデシル、ネオペンタン酸イソステアリル、ネオデカン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ヘキシルデシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸エチルヘキシル、パルミチン酸セチル、パルミチン酸オクチルドデシル、オレイン酸エチル、オレイン酸オレイル、オレイン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸オクチルドデシル、エルカ酸オクチルドデシル、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリン脂肪酸オクチルドデシル、炭酸ジカプリリル、コハク酸ジエチルヘキシル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジエチルヘキシル、クエン酸トリエチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ダイマージリノール酸ジイソステアリル、ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)等のエステル油;(エイコサン二酸/テトラデカン二酸)ポリグリセリル−10、コハク酸ビスエトキシジグリコール等の両親媒性エステル油;γ−テトラデカラクトン、γ−ヘキサデカラクトン、γ−オクタデカラクトン、γ−イコサラクトン、γ−ドコサラクトン等のラクトン誘導体;ジメチコン、シクロペンタシロキサン、シクロヘキサシロキサン、フェニルジメチコン等のシリコーン油等が挙げられる。
【0020】
これらの油剤は1種を単独で、あるいは2種類以上を組み合わせて使用してもよい。ジメチコン、シクロペンタシロキサンから選択される1種又は2種を用いることが特に好ましい。
【0021】
本発明の油中水型乳化化粧料中の(C)油剤の配合量は、油中水型乳化化粧料の総質量に対して、0.1〜50質量%であり、より好ましくは1〜40質量%であり、さらに好ましくは10〜40質量%である。
【0022】
本発明の油中水型乳化化粧料に、有機紫外線吸収剤を配合することにより、紫外線防御能を有する化粧料を提供することができる。かかる有機紫外線吸収剤は、化粧料に配合し得るものであれば特に限定されない。例えば、パラメトキシケイヒ酸エチルオキシル、メトキシケイヒ酸イソプロピル、メトキシケイヒ酸イソアミル、メトキシケイヒ酸エチルへキシル等の桂皮酸誘導体;パラアミノ安息香酸(以下、「PABA」と略記する)、エチルPABA、エチル−ジヒドロキシプロピルPABA、エチルヘキシル−ジメチルPABA、グリセリルPABA等のPABA誘導体;ホモサラート、エチルヘキシルサリチラート、ジプロピレングリコールサリチラート、TEAサリチラート等のサリチル酸誘導体;ベンゾフェノン−1、ベンゾフェノン−2、ベンゾフェノン−3またはオキシベンゾン、ベンゾフェノン−4、ベンゾフェノン−5、ベンゾフェノン−6、ベンゾフェノン−8、ベンゾフェノン−9、ベンゾフェノン−12等のベンゾフェノン誘導体;3−ベンジリデンショウノウ、4−メチルベンジリデンショウノウ、ベンジリデンショウノウスルホン酸、メト硫酸ショウノウベンザルコニウム、テレフタリリデンジショウノウスルホン酸、ポリアクリルアミドメチルベンジリデンショウノウ等のベンジリデンショウノウ誘導体;アニソトリアジン、ジエチヘキシルブタミドトリアゾン、2,4,6−トリス(ジイソブチル−4’−アミノベンザルマロナート)−s−トリアジン、2,4−ビス−〔{4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ}−フェニル〕−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス〔4−(2−エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ〕−1,3,5−トリアジン等のトリアジン誘導体;フェニルジベンゾイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウム等のフェニルベンゾイミダゾール誘導体;ドロメトリゾールトリシロキサン、メチレンビス(ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール)等のフェニルベンゾトリアゾール誘導体;アントラニル酸メンチル等のアントラニル誘導体;ジメトキシベンジリデンオキソイミダゾリジンプロピオン酸2−エチルヘキシル等のイミダゾリン誘導体;ベンザルマロナート官能基を有するポリオルガノシロキサン等のベンザルマロナート誘導体;1,1−ジカルボキシ(2,2’−ジメチルプロピル)−4,4−ジフェニルブタジエン等の4,4−ジアリールブタジエン誘導体;オクトクリレン、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン等が挙げられる。これらの有機紫外線吸収剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0023】
メトキシケイヒ酸エチルへキシル、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルから選択される1種又は2種を用いることが特に好ましい。有機紫外線吸収剤を配合する場合の配合量は、0.1〜20質量%が好ましい。
【0024】
本発明の油中水型乳化化粧料には、紫外線を遮蔽する効果を有する無機微粒子を配合することができる。無機微粒子としては、化粧料に使用できる紫外線を遮蔽する無機微粒子であれば特に限定されない。具体例としては、微粒子酸化チタン、微粒子鉄含有酸化チタン、微粒子酸化亜鉛、微粒子酸化セリウム、及びそれらの複合体等が挙げられる。この中でも、紫外線遮蔽効果の点から、微粒子酸化亜鉛が好ましく用いられる。無機微粒子の形状としては、球状、多面体形状、紡錘状、針状、及び板状等が挙げられ、紫外線を遮蔽する用途で化粧料に使用できるものであれば特に限定されない。無機微粒子の体積平均粒径は、紫外線を遮蔽する効果と使用感の観点から、10〜200nmであることが好ましく、20〜100nmであることがさらに好ましく、20〜50nmであることが最も好ましい。本明細書でいう体積平均粒径は、レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置により測定した値である。
【0025】
上記した無機微粒子に対して、撥水性や分散性を付与する目的で、疎水化処理を施した疎水化処理無機微粒子を紫外線遮蔽剤として用いることもできる。疎水化処理により、無機微粒子の油相中での分散安定化を図ることができる。疎水化処理としては、化粧料の材料に対して通常なされる方法であれば特に限定されない。疎水化処理の具体例としては、疎水化処理剤と無機微粒子とを直接混合し、加熱、若しくは非加熱で被覆する乾式被覆方法、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ヘキサン、塩化メチレン、揮発性メチルポリシロキサン、揮発性炭化水素油等の溶媒に疎水化処理剤を溶解又は分散した後、無機微粒子を添加し、混合後、前記溶媒を乾燥等により除去、加熱、粉砕する湿式被覆方法、溶媒に溶解又は分散した疎水化処理剤を流動層中で粉体にスプレーコートする気相被覆方法、メカノケミカル方法等が挙げられる。
【0026】
疎水化処理剤の具体例としては、フッ素系化合物、シリコーン系化合物、アルキルチタネート等の有機チタネート化合物、金属石鹸、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル油、ワックス、ロウ、界面活性剤等が挙げられ、これらを組み合わせた複合処理を行なってもよい。
【0027】
本発明の油中水型乳化化粧料は、中実球状ホウケイ酸塩粉体を配合することができる。中実球状ホウケイ酸塩粉体の平均粒子径は、0.1μm以上が好ましく、1μm以上がより好ましく、5μm以上がさらに好ましく、7μm以上が一層好ましい。また、中実球状ホウケイ酸塩粉体の平均粒子径は、20μm以下が好ましく、15μm以下がより好ましく、13μm以下がさらに好ましい。例えば、中実球状ホウケイ酸塩粉体の平均粒子径は、べたつき軽減効果の観点から、好ましくは1〜20μmであり、より好ましくは5〜15μmであり、さらに好ましくは7〜13μmである。
【0028】
中実球状ホウケイ酸塩粉体において、ホウケイ酸塩は、Na、K等のアルカリ金属塩、Mg、Ca等アルカリ土類金属塩、Al塩、又はこれらの塩の組み合わせであってよい。好ましくは、ホウケイ酸Na、ホウケイ酸Ca、ホウケイ酸Al、ホウケイ酸(Ca/Na)、ホウケイ酸(Ca/Al)であり、より好ましくはホウケイ酸(Ca/Na)である。中実球状ホウケイ酸塩粉体は、化粧品表示名称(INCI名称)としては、ホウケイ酸(Ca/Na)(CALCIUMSODIUMBOROSILICATE)、ホウケイ酸(Ca/Al)(CALCIUMALUMINUMBOROSILICATE)等と表示されるが、本発明においてはいずれの表示名称の中実球状ホウケイ酸塩粉体を用いてもよく、ホウケイ酸(Ca/Na)を用いることがより好ましい。
【0029】
中実球状ホウケイ酸塩粉体は未処理のものを用いてもよいし、親水化処理、又は疎水化処理を施したものを用いてもよい。
【0030】
本発明の油中水型乳化化粧料には、本発明の効果を損なわない範囲で前記の粉体以外の粉体を配合することが出来る。本発明に配合する粉体としては、酸化チタン、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化亜鉛、酸化セリウム、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット、酸化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルト、群青、紺青、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、タルク、カオリン、絹雲母(セリサイト)、白雲母、金雲母、合成雲母、紅雲母、黒雲母、バーミキュライト、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト、窒化ホウ素、パール顔料、オキシ塩化ビスマスなどの無機顔料や、赤色3号、赤色10号、赤色106号、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色227号、赤色228号、赤色230号、赤色401号、赤色405号、赤色505号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、黄色205号、黄色401号、橙色201号、橙色203号、橙色204号、橙色205号、橙色206号、橙色207号、青色1号、青色2号、青色201号、青色404号、緑色3号、緑色201号、緑色204号、緑色205号などの有機色素や、クロロフィルやβ−カロチンなどの天然色素や、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウムなどの金属石鹸等が挙げられる。
【0031】
本発明の油中水型乳化化粧料には、その剤型の特徴から乳化剤を当然に含有する。かかる乳化剤としては特に限定されない。
【0032】
本発明の油中水型乳化化粧料には、その剤型の特徴から水性成分を当然に含有する。かかる水性成分としては、通常化粧料に配合し得る水性成分であれば特に限定されず、精製水のほか、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール等の多価アルコール等が例示される。
【0033】
本発明の油中水型乳化化粧料の調製方法は、特に限定されず、通常の油中水型乳化化粧料を調製する方法により調製することができる。
【0034】
本願発明の油中水型乳化化粧料には、上述の必須成分、任意成分の他に、必要に応じて通常化粧料に配合される、水性成分、保湿剤、色素、界面活性剤、増粘剤、美容成分、香料、高分子物質、防菌防腐剤、アルコール類、粉体、生体由来成分等を適宜配合することができる。
【0035】
本発明の油中水型乳化化粧料は、例えば、ローション剤、乳剤、軟膏等の剤型で用いることができる。具体的には化粧水、乳液、化粧下地、日焼け止め、ファンデーション、コンシーラー、白粉、頬紅、アイシャドウ、アイブロウ、口紅等で実施することができる。
【実施例】
【0036】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、これにより本発明の範囲が限定されるものではない。なお配合量は、特に断りのない限り質量%である。
【0037】
まず、調製した油中水型乳化化粧料の評価方法を説明する。
【0038】
[保存安定性]
調製した実施例及び比較例にかかる化粧料を50℃の恒温槽で保管し、1カ月後の乳化状態を観察し、良好なものを「○」、分離などが認められ良好でないものを「×」として評価した。
【0039】
[使用感評価]
化粧料の官能評価専門員3名が、実施例及び比較例にかかる化粧料をそれぞれ独立して使用し、合議により下記の評価を行った。
・べたつき
べたつきがない:○
少しべたつく:△
非常にべたつく:×
・肌なじみ
良い:〇
少し悪い:△
悪い:×
【0040】
以下に示す処方にて、本発明の実施例並びに比較例となる油中水型乳化化粧料を調製した。実施例並びに比較例は、油性成分を均質に分散させた後、水性成分を添加して乳化することにより調製した。
【0041】
【表1】
【0042】
表1に示した通り、本発明の実施例1にかかる油中水型乳化化粧料は、保存安定性が良好で、べたつきがなく、肌なじみの良好な使用感であった。これに対し、比較例1は、保存安定性は良好であったが、べたつきが気になり肌なじみの悪い使用感であった。また、比較例2は、保存安定性に問題があった。
【0043】
【表2】
【0044】
表2に示した通り、本発明の実施例2にかかる油中水型乳化化粧料は、保存安定性が良好で、べたつきがなく、肌なじみの良好な使用感であった。これに対し、比較例3は、保存安定性は良好であったが、べたつきが気になり肌なじみの悪い使用感であった。また、比較例4は、保存安定性に問題があった。
【0045】
【表3】
【0046】
表3に示した通り、本発明の実施例3にかかる油中水型乳化化粧料は、保存安定性が良好で、べたつきがなく、肌なじみの良好な使用感であった。これに対し、比較例5は、保存安定性は良好であったが、べたつきが気になり肌なじみの悪い使用感であった。また、比較例6は、保存安定性に問題があった。