[3]ポリマーブロックBが、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルメタクリレート等のモノマー(B−1)に由来する構成単位(B−1)を50〜100質量%含む、水溶解性又は水易溶性のポリマーブロックである。
水不溶性又は水難溶性の有機薬剤を水中に分散させるために用いる乳化剤であって、
下記[1]〜[4]の要件を満たすポリマーである乳化剤。
[1]メタクリレート系モノマーに由来する構成単位を90質量%以上含有する、ポリマーブロックA及びポリマーブロックBを含むA−Bブロックコポリマーである。
[2]前記ポリマーブロックAが、下記一般式(1)で表されるモノマー(A−1)に由来する構成単位(A−1)を50〜100質量%含み、ガラス転移温度が0℃以下であり、水不溶性又は水難溶性であり、前記A−Bブロックコポリマーの10〜40質量%を占めるポリマーブロックである。
(前記一般式(1)中、R
1は、炭素数6〜22の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を示す)
[3]前記ポリマーブロックBが、数平均分子量200〜4,000のポリエチレングリコールモノメタクリレート及びポリエチレングリコールモノメチルエーテルメタクリレートの少なくともいずれかのモノマー(B−1)に由来する構成単位(B−1)を50〜100質量%含む、水溶解性又は水易溶性のポリマーブロックである。
[4]数平均分子量が5,000〜20,000であり、分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)が1.5以下である。
前記モノマー(A−1)が、2−エチルヘキシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、トリデシルメタクリレート、及びオクタデシルメタクリレートからなる群より選択される少なくとも一種であり、
前記ポリマーブロックA中の前記構成単位(A−1)の含有量が、50〜90質量%であり、
前記ポリマーブロックAが、数平均分子量200〜4,000のポリエチレングリコールモノメチルエーテルメタクリレートに由来する構成単位(A−2)をさらに含み、
前記ポリマーブロックA中の前記構成単位(A−2)の含有量が、10〜50質量%であり、
前記構成単位(B−1)が、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルメタクリレートのみに由来する構成単位であり、
前記ポリマーブロックBの数平均分子量が、4,000〜15,000である請求項1に記載の乳化剤。
ビタミンC、ビタミンE、ジt−ブチルヒドロキシトルエン、及びブチルヒドロキシアニソールからなる群より選択される少なくとも一種の化合物を触媒として用いて、前記モノマー成分を重合する請求項5に記載の乳化剤水溶液の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、界面活性剤や、特許文献1及び2等で提案されたポリマーを用いた場合であっても、近年要求される、より高度に安定した分散性を示す水中油分散液を調製することは困難であった。
【0005】
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、水を主成分とする水性媒体中に水不溶性又は水難溶性の有機薬剤を容易に分散させて、分散安定性に優れた水中油分散液を調製することが可能な乳化剤を提供することにある。また、本発明の課題とするところは、上記の乳化剤を用いた乳化剤水溶液、この乳化剤水溶液の製造方法、及び水中油分散液を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明によれば、以下に示す乳化剤が提供される。
[1]水不溶性又は水難溶性の有機薬剤を水中に分散させるために用いる乳化剤であって、下記[1]〜[4]の要件を満たすポリマーである乳化剤。
[1]メタクリレート系モノマーに由来する構成単位を90質量%以上含有する、ポリマーブロックA及びポリマーブロックBを含むA−Bブロックコポリマーである。
[2]前記ポリマーブロックAが、下記一般式(1)で表されるモノマー(A−1)に由来する構成単位(A−1)を50〜100質量%含み、ガラス転移温度が0℃以下であり、水不溶性又は水難溶性であり、前記A−Bブロックコポリマーの10〜40質量%を占めるポリマーブロックである。
【0007】
(前記一般式(1)中、R
1は、炭素数6〜22の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を示す)
【0008】
[3]前記ポリマーブロックBが、数平均分子量200〜4,000のポリエチレングリコールモノメタクリレート及びポリエチレングリコールモノメチルエーテルメタクリレートの少なくともいずれかのモノマー(B−1)に由来する構成単位(B−1)を50〜100質量%含む、水溶解性又は水易溶性のポリマーブロックである。
[4]数平均分子量が5,000〜20,000であり、分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)が1.5以下である。
[2]前記モノマー(A−1)が、2−エチルヘキシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、トリデシルメタクリレート、及びオクタデシルメタクリレートからなる群より選択される少なくとも一種であり、前記ポリマーブロックA中の前記構成単位(A−1)の含有量が、50〜90質量%であり、前記ポリマーブロックAが、数平均分子量200〜4,000のポリエチレングリコールモノメチルエーテルメタクリレートに由来する構成単位(A−2)をさらに含み、前記ポリマーブロックA中の前記構成単位(A−2)の含有量が、10〜50質量%であり、前記構成単位(B−1)が、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルメタクリレートのみに由来する構成単位であり、前記ポリマーブロックBの数平均分子量が、4,000〜15,000である請求項1に記載の乳化剤。
【0009】
また、本発明によれば、以下に示す乳化剤水溶液が提供される。
[3]前記[1]又は[2]に記載の乳化剤を含有する乳化剤水溶液。
[4]金属ヨウ化物をさらに含有する前記[3]に記載の乳化剤水溶液。
【0010】
さらに、本発明によれば、以下に示す乳化剤水溶液の製造方法が提供される。
[5]前記[4]に記載の乳化剤水溶液の製造方法であって、ヨウ素原子を有する有機化合物を開始化合物とするリビングラジカル重合方法により前記モノマー(A−1)及び前記モノマー(B−1)を含むモノマー成分を重合した後、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、及び炭酸水素カリウムからなる群より選択される少なくとも一種を反応させて、前記乳化剤及び前記金属ヨウ化物を含有する乳化剤水溶液を得る工程を有する乳化剤水溶液の製造方法。
[6]ビタミンC、ビタミンE、ジt−ブチルヒドロキシトルエン、及びブチルヒドロキシアニソールからなる群より選択される少なくとも一種の化合物を触媒として用いて、前記モノマー成分を重合する前記[5]に記載の乳化剤水溶液の製造方法。
【0011】
また、本発明によれば、以下に示す水中油分散液が提供される。
[7]水、水不溶性又は水難溶性の有機薬剤、及び前記有機薬剤を前記水中に分散させる乳化剤を含有する水中油分散液であって、前記乳化剤が、前記[1]又は[2]に記載の乳化剤である水中油分散液。
[8]前記有機薬剤が、香料、医薬、農薬、及びオイルからなる群より選択される少なくとも一種の有機化合物である前記[7]に記載の水中油分散液。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、水を主成分とする水性媒体中に水不溶性又は水難溶性の有機薬剤を容易に分散させて、分散安定性に優れた水中油分散液を調製することが可能な乳化剤を提供することができる。また、本発明によれば、上記の乳化剤を用いた乳化剤水溶液、この乳化剤水溶液の製造方法、及び水中油分散液を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。なお、本明細書中の各種物性値は、特に断りのない限り、常温(25℃)における値である。
【0014】
<乳化剤>
本発明の乳化剤は、水不溶性又は水難溶性の有機薬剤を水中に分散させるために用いるものであり、下記[1]〜[4]の要件を満たすポリマーである。以下、本発明の乳化剤の詳細について説明する。
[1]メタクリレート系モノマーに由来する構成単位を90質量%以上含有する、ポリマーブロックA及びポリマーブロックBを含むA−Bブロックコポリマーである。
[2]前記ポリマーブロックAが、下記一般式(1)で表されるモノマー(A−1)に由来する構成単位(A−1)を50〜100質量%含み、ガラス転移温度が0℃以下であり、水不溶性又は水難溶性であり、前記A−Bブロックコポリマーの10〜40質量%を占めるポリマーブロックである。
【0015】
(前記一般式(1)中、R
1は、炭素数6〜22の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を示す)
【0016】
[3]前記ポリマーブロックBが、数平均分子量200〜4,000のポリエチレングリコールモノメタクリレート及びポリエチレングリコールモノメチルエーテルメタクリレートの少なくともいずれかのモノマー(B−1)に由来する構成単位(B−1)を50〜100質量%含む、水溶解性又は水易溶性のポリマーブロックである。
[4]数平均分子量が5,000〜20,000であり、分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)が1.5以下である。
【0017】
(要件[1])
乳化剤であるポリマーは、メタクリレート系モノマーに由来する構成単位を90質量%以上含有する、ポリマーブロックA及びポリマーブロックBを含むA−Bブロックコポリマーである。ヨウ素原子を有する有機化合物を開始化合物として用いるヨウ素移動重合、好ましくは有機触媒を用いる可逆的移動触媒重合や可逆的触媒媒介重合によってA−Bブロックコポリマーを製造する場合に、メタクリレート系モノマーを用いると、末端のヨウ素原子が第3級炭素原子に結合するので、安定性ラジカルを容易に生成させることができ、リビング性が向上する。これにより、A−Bブロックコポリマーの特定のブロック構造を形成しやすくなるとともに、分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)を狭くすることができる。
【0018】
A−Bブロックコポリマー中のメタクリレート系モノマーに由来する構成単位の含有量が90質量%未満であると、分子量分布が広くなりやすい。A−Bブロックコポリマー中のメタクリレート系モノマーに由来する構成単位の含有量は、95質量%以上であることが好ましく、100質量%であることがさらに好ましい。すなわち、A−Bブロックコポリマーは、メタクリレート系モノマーに由来する構成単位のみで実質的に形成されていることが好ましい。
【0019】
A−Bブロックコポリマーは、メタクリレート系モノマーに由来する構成単位以外の構成単位(その他の構成単位)を10質量%以下含んでいてもよい。その他の構成単位は、メタクリレート系モノマー以外のモノマー(その他のモノマー)に由来する構成単位である。その他のモノマーとしては、スチレン、酢酸ビニル等のビニル系モノマー;ブチルアクリレート等のアクリレート系モノマー;マレイン酸ジブチル等のビニレン系モノマー;等を挙げることができる。
【0020】
乳化剤であるポリマーは、水不溶性又は水難溶性の有機薬剤と親和する油性のポリマー鎖であるポリマーブロックAと、水に溶解しうるポリマー鎖であるポリマーブロックBとを含み、好ましくはポリマーブロックAとポリマーブロックBのみで実質的に構成されたA−Bブロックコポリマーである。これら二つのポリマー鎖を有するブロック構造とすることで、水不溶性又は水難溶性の有機薬剤を水中に分散させるための乳化剤としての機能を発揮させることができる。
【0021】
(要件[2])
ポリマーブロックA(以下、「A鎖」とも記す)は、下記一般式(1)で表されるモノマー(A−1)に由来する構成単位(A−1)を50〜100質量%含み、ガラス転移温度が0℃以下であり、水不溶性又は水難溶性であり、A−Bブロックコポリマーの10〜40質量%を占めるポリマーブロックである。
【0022】
(前記一般式(1)中、R
1は、炭素数6〜22の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を示す)
【0023】
一般式(1)で表されるモノマー(A−1)は、炭素数6〜22の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有するメタクリレートである。モノマー(A−1)としては、ヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、デシルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、トリデシルメタクリレート、テトラデシルメタクリレート、ヘキサデシルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、イソステアリルメタクリレート、ベヘニルメタクリレート等を挙げることができる。
【0024】
ポリマーブロックAのガラス転移温度(Tg)は0℃以下であり、好ましくは−10℃以下である。ガラス転移温度(Tg)を0℃以下とすることで、ポリマーブロックAを流動性のある液状のポリマーブロックとすることができる。また、ポリマーブロックAが流動性を有する液状のポリマーブロックであると、分散対象となる有機薬剤に対するポリマーブロックAの親和性及び吸着性を高めることができるために好ましい。一方、ポリマーブロックAが流動性を有しない固体状のポリマーブロックであると、有機薬剤に吸着しにくく、有機薬剤の乳化分散を進行させることが困難になる。
【0025】
ポリマーブロックAのガラス転移温度(Tg)は、ポリマーブロックA中の構成単位(A−1)の含有量を調整することで制御することができる。ポリマーブロックAは、一般式(1)で表されるモノマー(A−1)に由来する構成単位(A−1)を50〜100質量%、好ましくは60〜100質量%、さらに好ましくは70〜100質量%、特に好ましくは70〜90質量%含む。ポリマーブロックA中の構成単位(A−1)の含有量が50質量%未満であると、有機薬剤との親和性が不足する場合がある
【0026】
ポリマーブロックAは、構成単位(A−1)以外の構成単位を含んでいてもよい。構成単位(A−1)以外の構成単位を構成するモノマーとしては、モノマー(A−1)以外のメタクリレートを用いることが好ましい。モノマー(A−1)以外のメタクリレートとしては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、トリシクロデシルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、メトキシエチルメタクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、t−ブチルアミノエチルメタクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノブチルエーテルメタクリレート、メタクリル酸等を挙げることができる。
【0027】
ポリマーブロックAは、水不溶性又は水難溶性のポリマーブロックである。ポリマーブロックAが水溶解性であると、乳化して微分散した有機薬剤から容易に脱離してしまい、水中油分散液の分散安定性(保存安定性)が不足する。
【0028】
モノマー(A−1)としては、ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が0℃以下であるものが好ましい。また、モノマー(A−1)としては、そのホモポリマーが、加熱すると軟質化して流動性を示すものが好ましい。モノマー(A−1)としては、市販品として入手しやすい、2−エチルヘキシルメタクリレート(Tg:−10℃)、ドデシルメタクリレート(Tg:−65℃)、トリデシルメタクリレート(Tg:−46℃)、及びオクタデシルメタクリレート(Tg:−100℃)からなる群より選択される少なくとも一種が好ましく、ドデシルメタクリレートが特に好ましい。
【0029】
ポリマーブロックA中の構成単位(A−1)の含有量は、50〜90質量%であることが好ましい。そして、ポリマーブロックAは、数平均分子量200〜4,000のポリエチレングリコールモノメチルエーテルメタクリレートに由来する構成単位(A−2)をさらに含むとともに、ポリマーブロックA中の構成単位(A−2)の含有量は、10〜50質量%であることが好ましい。数平均分子量200〜4,000のポリエチレングリコールモノメチルエーテルメタクリレートに由来する構成単位(A−2)をポリマーブロックAに含有させることで、有機薬剤に対するポリマーブロックAの濡れ性が向上し、有機薬剤の初期分散性を高めることができる。なお、ポリマーブロックA中の構成単位(A−2)の含有量が50質量%超であると、ポリマーブロックAの水親和性が高まりすぎる場合があり、ポリマーブロックAが水に溶けやすくなることがある。
【0030】
リビングラジカル重合方法によってA−Bブロックコポリマーを製造する場合、通常、ポリマーブロックBを重合して形成した後、ポリマーブロックAを重合して形成する。この場合、リビング重合性を維持すべく、ポリマーブロックBの重合率が100%に到達する前に、ポリマーブロックAを形成するためのモノマーを重合系に添加する。このため、後に形成されるポリマーブロックA中に、ポリマーブロックBを形成するための未反応のモノマー(数平均分子量200〜4,000のポリエチレングリコールモノメチルエーテルメタクリレート)に由来する構成単位(A−2)が導入されることになる。
【0031】
ポリマーブロックAは、A−Bブロックコポリマーの10〜40質量%、好ましくは20〜35質量%を占めるポリマーブロックである。A−Bブロックコポリマー中のポリマーブロックAの含有量が10質量%未満であると、有機薬剤に対する親和性が不足する。一方、A−Bブロックコポリマー中のポリマーブロックAの含有量が40質量%超であると、水不溶性又は水難溶性のポリマーブロックAの含有量が多すぎてしまい、乳化性能が低下することがある。
【0032】
(要件[3])
ポリマーブロックB(以下、「B鎖」とも記す)は、数平均分子量200〜4,000のポリエチレングリコールモノメタクリレート及びポリエチレングリコールモノメチルエーテルメタクリレートの少なくともいずれかのモノマー(B−1)に由来する構成単位(B−1)を50〜100質量%含む、水溶解性又は水易溶性のポリマーブロックである。ポリマーブロックBが水に溶解することで、有機薬剤を水中に乳化及び分散させることができる。すなわち、ポリマーブロックBはノニオン型の水溶解性鎖である。なお、モノマー(B−1)の数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定されるポリスチレン換算の値である。
【0033】
モノマー(B−1)の数平均分子量が200未満であると、形成されるポリマーブロックBの水に対する親和性が不足し、乳化剤としての機能を得ることができない。一方、数平均分子量が4,000超のモノマー(B−1)は、ワックス状に固化しやすいために取り扱い性の面で不利である。なお、モノマー(B−1)の数平均分子量は、400〜1,000であることが好ましい。
【0034】
モノマー(B−1)としては、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルメタクリレートが好ましい。すなわち、構成単位(B−1)は、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルメタクリレートのみに由来する構成単位であることが好ましい。ポリエチレングリコールモノメタクリレートには官能基(メタクリレート基)が2つ含まれている場合があり、ゲル化しやすくなることがある。
【0035】
ポリマーブロックB中の構成単位(B−1)の含有量は、50〜100質量%、好ましくは70〜100質量%、さらに好ましくは90〜100質量%である。ポリマーブロックB中の構成単位(B−1)の含有量が50質量%未満であると、ポリマーブロックBの水溶解性が不十分になる。なお、ポリマーブロックB中の構成単位(B−1)の含有量を100質量%とすることで、酸性基や塩基性基などの反応性基を導入しなくてもポリマーブロックBの水溶解性を十分に高めることができ、環境面でも有利である。なお、ポリマーブロックBが水溶解性を示す範囲内で、メタクリレート系モノマー等に由来する、構成単位(B−1)以外の構成単位がポリマーブロックBに含まれていてもよい。
【0036】
A−Bブロックポリマー中のポリマーブロックBの含有量は、60〜90質量%であることが好ましく、65〜80質量%であることがさらに好ましい。また、ポリマーブロックBの数平均分子量は、4,000〜15,000であることが好ましく、5,000〜12,000であることがさらに好ましい。ポリマーブロックBの数平均分子量が4,000未満であると、ポリマーブロックAの含有量にもよるが、ポリマーブロックBの水溶解性が不足することがある。一方、ポリマーブロックBの数平均分子量が15,000超であると、水に溶解する部分が大きくなるので、このA−Bブロックコポリマーを用いて調製される水中油分散液の粘度が高くなる場合がある。
【0037】
(要件[4])
A−Bブロックポリマーの数平均分子量は5,000〜20,000、好ましくは7,000〜15,000である。A−Bブロックポリマーの数平均分子量が5,000未満であると、乳化・分散安定性が不十分になる場合がある。一方、A−Bブロックポリマーの数平均分子量が20,000超であると、得られる水中油分散液の粘度が過度に上昇してしまう。A−Bブロックポリマーは、分子量分布がシャープであること、すなわち分子量がより揃っていることが好ましい。具体的には、A−Bブロックポリマーの分子量分布(PDI=重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))は1.5以下、好ましくは1.3以下である。分子量分布(PDIの値)が1.5超であると、乳化性能が不十分になる。
【0038】
(乳化剤(A−Bブロックコポリマー)及び乳化剤水溶液の製造方法)
乳化剤であるA−Bブロックコポリマーは、例えば、停止反応を抑えたリビング重合方法によって製造することができる。なかでも、分子量分布が狭いブロック構造を有すること等を考慮すると、リビングラジカル重合方法によって製造することが好ましい。リビングラジカル重合方法としては、例えば、ニトロキサイドラジカルを生じうる化合物を使用する方法(ニトロキサイド法;NMP法);金属錯体の酸化還元を利用する方法(原子移動ラジカル重合法;ATRP法);ジチオカーバメート等の硫黄化合物を使用する方法(可逆的付加開裂型連鎖移動重合法;RAFT法);有機テルル化合物を重合開始化合物とする方法(有機テルル法;TERP法);等を挙げることができる。
【0039】
但し、上記の方法では、使用した金属塩や有機金属を除去する工程を要するので、環境等への負荷が生じやすい。このため、有機ヨウ素化合物を使用し、ヨウ素が移動して行われる方法(ヨウ素移動重合法;ITP法);ヨウ素化合物を重合開始化合物とし、リン化合物、窒素化合物、酸素化合物、又は炭化水素などの有機化合物を触媒として用いて得る方法(可逆的移動触媒重合;RTCP法、可逆的触媒媒介重合;RCMP法);等によってA−Bブロックコポリマーを製造することが好ましい。すなわち、ヨウ素原子を有する有機化合物を開始化合物とするリビングラジカル重合方法によってA−Bブロックコポリマーを製造することが好ましい。ヨウ素原子を有する有機化合物を開始化合物として用いるリビングラジカル重合方法の場合、ヨウ素原子が重合の保護基として機能する。そして、重合終了後にはヨウ素原子は人体に比較的やさしい化合物に変換させることが可能であるため、高度な精製をしなくても使用可能な乳化剤及び乳化剤水溶液を得ることができる。
【0040】
ヨウ素原子を有する有機化合物は、ヨウ素ラジカルが脱離しうる化合物である。開始化合物として用いることが可能なヨウ素原子を有する有機化合物としては、エチルアイオドフェニルアセテート、2−アイオド−2−メチルプロピオニトリル、エチル−2−アイオド−2−メチルプロピオネート等を挙げることができる。また、ヨウ素と、アゾビスイソブトチロニトリル等のアゾ系開始剤とを重合系中で反応させ、ヨウ素原子を有する有機化合物をin−situで生成させてもよい。ヨウ素は、海藻等の天然物に含まれているとともに、うがい薬やヨードチンキといった医薬品類に配合される、人体や環境にとって比較的安全な元素である。また、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系開始剤も、従来用いられている汎用の開始剤である。ヨウ素原子を有する上記の有機化合物をin−situで生成させた場合、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ開始剤の切片がポリマー末端に結合することになる。そして、ヨウ素はヨウ素として存在していても安定であるとともに、重合終了後に比較的安全な化合物に容易に変換することができる。このため、ヨウ素原子を有する上記の有機化合物をin−situで生成させる方法によれば、環境や人体への影響に配慮しつつ、安全性に優れた乳化剤及び乳化剤水溶液を製造することができる。
【0041】
リビングラジカル重合方法によりモノマー(A−1)及びモノマー(B−1)を含むモノマー成分を順次重合した後、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、及び炭酸水素カリウムからなる群より選択される少なくとも一種(塩基性成分)を反応させる。これにより、乳化剤(A−Bブロックコポリマー)が形成されるとともに、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、及びヨウ化カルシウム等の金属ヨウ化物が生成し、乳化剤及び金属ヨウ化物を含有する乳化剤水溶液を得ることができる。
【0042】
生成した金属ヨウ化物は、精製等して除去しなくとも、得られた乳化剤水溶液中にそのまま含有させておいてもよい。すなわち、精製工程を省略することで、乳化剤及び乳化剤水溶液を製造するためのコストを低減することができる。なお、生成する金属ヨウ化物のうち、ヨウ化ナトリウムやヨウ化ナトリウムは、一般的に、安定ヨウ素製剤やヨード欠乏症の治療薬として用いられている。また、ヨウ化カルシウムは、ペットフードの添加剤として用いられている。すなわち、生成する金属ヨウ化物は、環境や人体に安全な化合物であるといえる。
【0043】
ヨウ素原子を有する有機化合物を開始化合物として用いるリビングラジカル重合方法としては、有機触媒を用いるRTCP法であることが好ましい。RTCP法では、ヨウ素を引き抜くことが可能な、ラジカルを生成しうる有機化合物を有機触媒として使用する。このような有機触媒としては、ビタミンC、ビタミンE、ジt−ブチルヒドロキシトルエン、及びブチルヒドロキシアニソールからなる群より選択される少なくとも一種の化合物を用いることができる。これらの化合物は、天然物、又は医薬品や化粧品等に添加される添加剤として汎用されている化合物である。このため、上記の有機触媒を用いて重合した後、これらの有機触媒を精製等して除去せず、得られる乳化剤水溶液中にそのまま含有させておいても、環境や人体への影響はほとんどなく、安全性に優れている。
【0044】
ヨウ素原子を有する有機化合物を開始化合物とするリビングラジカル重合方法により、例えば、有機溶剤中でモノマー(B−1)を重合することで、その末端がヨウ素原子で保護されたポリマーブロックBを形成することができる。次いで、重合系にモノマー(A−1)を添加してさらに重合する。ポリマーブロックBの末端がリビング性を有する(生きている)ので、ポリマーブロックBの末端から重合が開始してポリマーブロックAが形成され、目的とする乳化剤であるA−Bブロックコポリマーを得ることができる。開始化合物の量を調整することで、得られるポリマーの分子量を制御することができる。有機触媒は、重合開始基に対して、0.05〜10mol%用いることが好ましい。
【0045】
重合の際に用いる有機溶剤としては、ヘキサン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒;メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ドデカノール等のアルコール系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、イソブチルメチルケトン等のケトン系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、コハク酸ジメチル、アジピン酸ジメチル、乳酸メチル、乳酸ジメチル等のエステル系溶媒;ジプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒;ジメチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ピロリドン、N−メチルピロリドン、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド、3−ブトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド等のアミド系溶媒;テトラメチルウレア、ジメチルイミダゾリジノン等のウレア系溶媒;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド溶媒;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールモノエーテル系溶媒;エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等のグリコールジエーテル系溶媒;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のグリコールエーテルモノエーテルエステル系溶媒;ポリジメチルシロキサン、ポリフェニルメチルシロキサン等のシリコーン系溶媒;塩化メチレン、テトラフロロエタン、ポリフロロアルカン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;等を挙げることができる。
【0046】
乳化剤(A−Bブロックコポリマー)は、上述の通り、溶液重合によって製造することができる。溶液重合によって得られた乳化剤溶液を、そのまま「乳化剤」として用いることができる。また、乳化剤溶液から取り出した固形分(A−Bブロックコポリマー)や、有機溶剤を実質的に含有しない乳化剤水溶液を「乳化剤」として用いることが好ましい。溶液重合によって得られた乳化剤溶液と貧溶媒を混合することで、固形分であるA−Bブロックコポリマーを析出させることができる。但し、A−Bブロックコポリマーは、親油性及び親水性の両方の性質を有するとともに、ガラス転移温度も低いため、比較的軟質で取り扱いにくい場合がある。このため、低沸点の有機溶剤中で溶液重合した後に水を添加し、有機溶剤を除去することで、有機溶剤を実質的に含有しない乳化剤水溶液を得ることが好ましい。なお、水の添加前又は添加後に、前述の塩基性成分又はその水溶液を添加して反応させることで、乳化剤及び金属ヨウ化物を含有する乳化剤水溶液を得ることができる。低沸点の有機溶剤としては、エチレングコリールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、酢酸エチル等の沸点が100℃以下の有機溶剤を用いることが好ましい。
【0047】
<水中油分散液>
上述の乳化剤を用いることで、水不溶性又は水難溶性の有機薬剤を水中に分散させて、分散安定性に優れた水中油分散液を調製することができる。すなわち、本発明の水中油分散液は、水、水不溶性又は水難溶性の有機薬剤、及びこの有機薬剤を水中に分散させる前述の乳化剤を含有する水中油分散液である。本発明の水中油分散液は、前述の乳化剤を用いて有機薬剤を水中に分散させたものであるため、長期間保存しても分離や沈降が起こりにくく、分散安定性(乳化安定性)に優れているとともに、振とうしても泡立ちが少ない。
【0048】
水不溶性又は水難溶性の有機薬剤としては、水に不溶又は難溶な、常温(25℃)で液状又は固体粒子状の有機化合物を用いることができる。このような有機薬剤としては、香料、医薬、農薬、及びオイル等の有機化合物を挙げることができる。
【0049】
乳化剤の量は、水中に分散させる対象となる有機薬剤の量を基準として、1〜30質量%とすることが好ましく、5〜15質量%とすることがさらに好ましい。有機薬剤の物性や、調製しようとする水中油分散液中の微粒子(有機薬剤)の粒子径等を考慮して、乳化剤の使用量を設定すればよい。水中油分散体中の有機薬剤の含有量は、10〜50質量%とすることが好ましい。
【0050】
水中油分散液には、必要に応じて添加剤を含有させることができる。添加剤としては、例えば、染料、顔料、フィラー、レベリング剤、チクソトロピック剤、ポリマー成分、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、防腐剤、消泡剤、粘度調整剤、乾燥防止剤、界面活性剤等を挙げることができる。
【0051】
従来公知の方法にしたがって、有機薬剤、乳化剤又は乳化剤水溶液、及び必要に応じて用いられる各種添加剤や溶媒等を撹拌及び混合することで、水中油分散液を調製することができる。各種材料の撹拌及び混合には、撹拌機、乳化機、分散機等を用いることができる。より具体的には、ディゾルバー、ホモミキサー、コロイドミル、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー、衝突式超高圧ホモジナイザー等を用いることができる。なお、各種材料を撹拌及び混合する際には、適度に加温又は加熱してもよい。得られる水中油分散液中の有機薬剤(微粒子)の粒子径は任意であり、水中油分散液の用途に応じて適宜設計すればよい。本発明の水中油分散液は、例えば、化粧品、香水、農薬、医薬品等に用いることができる。
【実施例】
【0052】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。成分量に関して「部」及び「%」と記載しているものは特に断らない限り質量基準である。
【0053】
<ブロックコポリマーの合成>
(合成例1)
撹拌機、逆流コンデンサー、温度計、及び窒素導入管を取り付けたセパラブルフラスコに、テトラヒドロフラン(THF)357.3部、ヨウ素2.0部、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(商品名「V−65」、富士フィルム和光純薬社製、)(V−65)8.0部、ジt−ブチルヒドロキシトルエン(BHT)0.4部、及び数平均分子量(Mn)約400のポリエチレングリコールモノメチルエーテルメタクリレート(商品名「ブレンマー(登録商標)PME−400」、日油社製、ホモポリマーのガラス転移温度(Tg):−60℃)(PME−400)397.3部を入れ、窒素をバブリングしながら60℃で4.5時間撹拌し、B鎖を重合した。THFを展開溶媒とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したB鎖のポリスチレン換算のMnは10,000、分子量分布(PDI(Mw/Mn))は1.14であった。分子量は、GPCの示差屈折率検出器により測定した値である。濃度の異なるPME−400のTHF溶液を複種調製し、GPCによって得たピーク面積から検量線を作成した。作成した検量線を用いて算出した重合転化率は、84.6%であった。
【0054】
V−65 5.0部及びラウリルメタクリレート(LMA、ホモポリマーのTg:−65℃)122.1部を添加した。60℃で4時間撹拌してA鎖を重合し、ブロックコポリマーの溶液を得た。得られた溶液の一部をサンプリングして測定したブロックコポリマーのMnは12,000であり、PDIは1.29であった。加熱及び減圧してTHFを除去した後、水804部を投入して、固形分38.6%の半透明溶液(ブロックコポリマーを含む液LP−1)を得た。
【0055】
(合成例2〜7)
表1に示す種類及び量の原材料を用いたこと以外は、前述の合成例1と同様にして、ブロックコポリマーを含む液LP−2〜7を得た。
【0056】
表1中の略号の意味は以下に示す通りである。カッコ内の数値は、ホモポリマーのTgである。
・PME−200:Mn約200のポリエチレングリコールモノメチルエーテルメタクリレート(−59℃)
・PME−1000:Mn約1,000のポリエチレングリコールモノメチルエーテルメタクリレート(−52℃)
・SMA:ステアリルメタクリレート(−100℃)
・EHMA:2−エチルへキシルメタクリレート(−10℃)
【0057】
A鎖及びブロックコポリマーのTgは、下記式により算出した。
1/Tg=(W
A/Tg
A)+(W
B/Tg
B)+(W
C/Tg
C)+・・・
W
A:モノマーAの質量分率
Tg
A:モノマーAのホモポリマーのTg(K)
W
B:モノマーBの質量分率
Tg
B:モノマーBのホモポリマーのTg(K)
W
C:モノマーCの質量分率
Tg
C:モノマーCのホモポリマーのTg(K)
【0058】
【0059】
(比較合成例1〜3)
表2に示す種類及び量の原材料を用いたこと以外は、前述の合成例1と同様にして、ブロックコポリマーを含む液HP−1〜3を得た。
【0060】
【0061】
<香料水分散液の調製>
(実施例1〜7)
合成例1〜7で得たブロックコポリマーを含む液LP−1〜7、及び水を表3に示す量で混合した。香料であるヒノキチオール(東京化成工業社製)20.0部を添加した後、ホモジナイザーを使用し、10,000rpmで5分間撹拌して、白色エマルジョンである香料水分散液(分散液−1〜7)を得た。香料100部に対する乳化剤(ブロックコポリマー)の量は、10部とした。
【0062】
【0063】
(比較例1〜5)
表4に示す種類及び量の材料を用いたこと以外は、前述の実施例1〜7と同様にして、香料水分散液(分散液−8〜12)を得た。表4中、「ノニオン性界面活性剤A」としては、商品名「エマルゲン109P」(花王社製)を用いた。また、表4中、「ノニオン性界面活性剤B」としては、商品名「ノニオンE−212」(日油社製)を用いた。
【0064】
【0065】
<香料水分散液の評価>
調製した香料水分散液の外観(乳化性)を表5に示す。その外観が「均一な白色エマルジョン」であった分散液について、粒子径(μm)及び粘度(mPa・s)を測定した。結果を表5に示す。エマルジョンの粒子径は、光学顕微鏡を使用して香料水分散液を観察し、測定した。また、分散液の粘度は、E型粘度計を使用し、60rpm、25℃の条件で測定した。
【0066】
【0067】
<農薬水分散液の調製>
(実施例8〜14)
合成例1〜7で得たブロックコポリマーを含む液LP−1〜7、及び水を表6に示す量で混合した。農薬(除草剤)であるジフルフェニカン(東京化成工業社製)20.0部を添加した後、ホモジナイザーを使用し、10,000rpmで5分間撹拌して、白色エマルジョンである農薬水分散液(分散液−13〜19)を得た。農薬100部に対する乳化剤(ブロックコポリマー)の量は、10部とした。
【0068】
【0069】
(比較例6〜10)
表7に示す種類及び量の材料を用いたこと以外は、前述の実施例8〜14と同様にして、農薬水分散液(分散液−20〜24)を得た。表7中、「ノニオン性界面活性剤A」としては、商品名「エマルゲン109P」(花王社製)を用いた。また、表7中、「ノニオン性界面活性剤B」としては、商品名「ノニオンE−212」(日油社製)を用いた。
【0070】
【0071】
<農薬水分散液の評価>
調製した農薬水分散液の外観(乳化性)を表8に示す。その外観が「均一な白色エマルジョン」であった分散液について、粒子径(μm)及び粘度(mPa・s)を測定した。結果を表8に示す。エマルジョンの粒子径は、光学顕微鏡を使用して香料水分散液を観察し、測定した。また、分散液の粘度は、E型粘度計を使用し、60rpm、25℃の条件で測定した。
【0072】