(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-117084(P2021-117084A)
(43)【公開日】2021年8月10日
(54)【発明の名称】ロール幅検査装置
(51)【国際特許分類】
G01B 11/04 20060101AFI20210712BHJP
【FI】
G01B11/04 Z
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2020-10228(P2020-10228)
(22)【出願日】2020年1月24日
(71)【出願人】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】510152585
【氏名又は名称】比奈鉄工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】特許業務法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】西家 昌邦
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 隆
【テーマコード(参考)】
2F065
【Fターム(参考)】
2F065AA22
2F065BB06
2F065BB15
2F065CC02
2F065DD02
2F065DD03
2F065FF02
2F065FF15
2F065FF64
2F065GG04
2F065GG08
2F065HH04
2F065JJ01
2F065MM02
2F065PP15
2F065PP22
2F065QQ03
2F065QQ25
2F065QQ28
(57)【要約】
【課題】光学センサーを用いた高精度な寸法測定を比較的安価に実現したロール幅検査装置提供。
【解決手段】シートロールWの搬送ライン10に設けられた、シートロールWの寸法が許容寸法公差内に収まっているかどうかを検査するロール幅検査装置100において、位置検出器及び制御装置を有した搬送コンベア駆動用モータ111によって駆動され、シートロールWをその搬送方向に対して軸が平行になる姿勢で横搬送する搬送コンベア110と、シートロールWの幅を計測するために、搬送されるシートロールWの外面に一定周期でパルス発振するレーザー光を照射し、被検出体となる前記シートロールの有無を検出するパルスレーザーセンサ115と、搬送コンベア110を制御し、パルスレーザーセンサ115からの検出信号を記憶する記憶部を備えた制御盤160と、を備えている。そして、制御盤160により、位置検出器より得られたパルス信号をカウントし、パルス信号と搬送コンベア110の搬送速度を用いてシートロールWの幅を計算する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートロールの搬送ラインに設けられた、前記シートロールの幅が許容寸法公差内に収まっているかどうかを検査するロール幅検査装置において、
位置検出器及び制御装置を有した駆動機構によって駆動され、前記シートロールをその搬送方向に対して軸が平行になる姿勢で横搬送する搬送コンベアと、
前記シートロールの幅を計測するために、搬送される前記シートロールの外面に一定周期でパルス発振するレーザー光を照射し、被検出体となる前記シートロールの有無を検出する測長センサーと、
前記搬送コンベアを制御し、前記測長センサーからの検出信号を記憶する記憶部を備えた制御手段と、を備え、
前記制御手段により、
前記位置検出器より得られたパルス信号をカウントし、
該パルス信号と前記搬送コンベアの搬送速度を用いて前記シートロールの幅を計算すること、
を特徴とするロール幅検査装置。
【請求項2】
請求項1に記載のロール幅検査装置において、
前記測長センサーは、パルスレーザーを用いた光学式のセンサーであり、連続パルスのパルス間隔が、0.1msec以下であること、
を特徴とするロール幅検査装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のロール幅検査装置において、
前記搬送コンベアで搬送される前記シートロールを、前記搬送ラインから排出する排出手段を備え、
前記測長センサーは、前記搬送コンベアの進行方向左側に配置される第1測長センサーと、前記搬送コンベアの進行方向右側であって前記第1測長センサーと対向する位置に設けられる第2測長センサーを含み、
前記第1測長センサーで前記シートロールの左側面に光を当てて測長し、
前記第2測長センサーで前記シートロールの右側面に光を当てて測長し、
前記第1測長センサーのデータを用いて算出される第1の計測結果と、前記第2測長センサーのデータを用いて算出される第2の計測結果の両方が、前記許容寸法公差から外れると判定した場合、前記排出手段で前記許容寸法公差から外れた前記シートロールを排出すること、
を特徴とするロール幅検査装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載のロール幅検査装置において、
前記搬送コンベアに平行に配置される押圧用コンベアを備え、
前記搬送コンベアは、前記押圧用コンベアとで前記シートロールを挟んで搬送し、
挟まれて搬送される前記シートロールに前記レーザー光を当てて前記測長センサーを用いて測長すること、
を特徴とするロール幅検査装置。
【請求項5】
請求項1に記載のロール幅検査装置において、
前記パルス信号は、前記位置検出器より得られる信号に代えて、前記制御手段より得られる信号を用いること、
を特徴とするロール幅検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トイレットロール等のシートロールを搬送する際に、製品ロールの幅を正確に測定することが可能な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
トイレットロールやキッチンロールなどは、長尺物を切断して1ロールとして製造される。定寸に切断された製品ロールは、規定の範囲内にその幅が収められているかどうかを検査する必要があり、通常、こうした製品ロールの幅の検査は搬送ラインで製品ロールを搬送している最中に行われる。
【0003】
特許文献1には、ロール状衛生用紙の寸法測定装置に関する技術が開示されている。搬送されるロール状衛生用紙は、搬送ラインの途中に設けられた放射状に配置されるバケットの中に投入される。ロール状衛生用紙は投入位置にあるバケットに投入されると、その幅寸法が測定される測定位置に移動し、その後、バケットからロール状衛生用紙が放出されて、下流の搬送ラインに送られる。この際に、ロール状衛生用紙は光学式のセンサーを用いて遮光するか否かで寸法測定がなされている。
【0004】
特許文献2には、シートロールの形状検査装置及び検査方法に関する技術が開示されている。コンベア上を移動するシートロールは、搬送途中に設けられた第1撮像手段と第2撮像手段を備え、その形状を画像処理によって識別し合否を判定している。そして、不合格品の発生が確認されれば、該当製品を排出する。この際、不合格品の発生率が多い場合には警告を出す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−159291号公報
【特許文献2】特許第5064874号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示される技術を用いた場合、シートロール(文献ではロール状衛生用紙)の幅が必要な寸法に収まっているかどうかを判断することはできるが、必要とする寸法に足りない場合には不合格品として判定することができない。また、シートロールの端部にバリや紙粉などが付着していた場合に検査結果に影響を及ぼす。
【0007】
一方、特許文献2に開示される技術を用いた場合では、画像処理を行って寸法測定を行っているが、シートロールの搬送速度が速くなると対応できなくなる可能性が高い。これは、画像認識を行う場合にショット数が多くなると、画像認識に用いる部品の耐久性が問題となり易いが、搬送速度が速くなることはすなわちショット数の増加を意味し、結果的に部品の交換サイクルが早くなる。しかしメンテナンスを行う場合にはラインを停止する必要があるため、その分、製品のコストに影響することになる。
【0008】
更に、画像認識システムを用いて、検出する寸法精度を上げようとすると、処理に必要な解像度が高くする必要があり、扱うデータ量が多くなる。このため、高価なシステムを採用して高速な画像処理を行う必要があるが、この点も製品コストに影響するため望ましくない。
【0009】
一般的に、シートロールとなる紙製品、例えばトイレットペーパーやキッチンペーパーなどは、製品単価が安く大量生産が求められる傾向にあるため、シビアなコスト管理が要求されるケースが多い。したがって、求められる寸法公差に収まっているかどうかを検査する精度は、許容される寸法公差に対して数倍以上の精度が求められ、良品を不合格品として排出することは極力避けることが望ましい。また、製品単価を下げる為に、装置自体のコストを下げることも要求されている。
【0010】
そこで、本発明はこの様な課題を解決し、光学センサーを用いた高精度な寸法測定を比較的安価に実現したロール幅検査装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するために、本発明の一態様によるロール幅検査装置は、以下のような特徴を有する。
【0012】
(1)シートロールの搬送ラインに設けられた、前記シートロールの幅が許容寸法公差内に収まっているかどうかを検査するロール幅検査装置において、
位置検出器及び制御装置を有した駆動機構によって駆動され、前記シートロールをその搬送方向に対して軸が平行になる姿勢で横搬送する搬送コンベアと、
前記シートロールの幅を計測するために、搬送される前記シートロールの外面に一定周期でパルス発振するレーザー光を照射し、被検出体となる前記シートロールの有無を検出する測長センサーと、
前記搬送コンベアを制御し、前記測長センサーからの検出信号を記憶する記憶部を備えた制御手段と、を備え、
前記制御手段により、
前記位置検出器より得られたパルス信号をカウントし、
該パルス信号と前記搬送コンベアの搬送速度を用いて前記シートロールの幅を計算すること、を特徴とする。
【0013】
(2)(1)に記載のロール幅検査装置において、
前記測長センサーは、パルスレーザーを用いた光学式のセンサーであり、連続パルスのパルス間隔が、0.1msec以下であること、が好ましい。
【0014】
上記(1)又は(2)に記載の態様により、シートロールの幅を高精度に測定して許容寸法公差内に収まっているかどうかを判断することが可能である。これは、シートロールであるトイレットペーパーの寸法公差は、概ね±2mm程度に設定されていることが多い。そこで測長センサーに例えばパルスレーザーなどを用い、一定周期でパルス発振するレーザー光をシートロールに当てて、そのレーザー光を検出できるか否かで判断する方式を採用した。
【0015】
また、搬送コンベアを駆動する駆動機構が備えた位置検出器よりパルス信号を得てシートロール搬送速度を算出し、測長センサーによる測定データと搬送速度を用いてシートロールの幅を計算することが出来る。測長センサーのパルスのオンオフされる間隔を、例えば0.1msec程度とすれば、シートロールの搬送速度が例えば100個/分以上であっても、シートロールの幅を許容寸法公差の1/10以下の精度で求めることが可能となる。
【0016】
(3)(1)又は(2)に記載のロール幅検査装置において、
前記搬送コンベアで搬送される前記シートロールを、前記搬送ラインから排出する排出手段を備え、
前記測長センサーは、前記搬送コンベアの進行方向左側に配置される第1測長センサーと、前記搬送コンベアの進行方向右側であって前記第1測長センサーと対向する位置に設けられる第2測長センサーを含み、
前記第1測長センサーで前記シートロールの左側面に光を当てて測長し、
前記第2測長センサーで前記シートロールの右側面に光を当てて測長し、
前記第1測長センサーのデータを用いて算出される第1の計測結果と、前記第2測長センサーのデータを用いて算出される第2の計測結果の両方が、前記許容寸法公差範囲から外れると判定した場合、前記排出手段で前記許容寸法公差範囲から外れた前記シートロールを排出すること、が好ましい。
【0017】
上記(3)に記載の態様により、許容寸法公差範囲から外れたシートロールを排出手段によって確実に排出することが可能となる。シートロールは紙製品であり、その製造において長い巻体を許容寸法公差に収まるように切断して製造される。この際に、バリなどが生じたり、斜めに切断されたりすることが考えられる。こうした製品に関して、許容寸法公差内に入っていたとしても排出手段によって排出してしまうと、許容寸法公差に収まっている良品を排出してしまうことが考えられるが、第1測長センサーと第2測長センサーの2つを使い、右側面と左側面の両側で幅を測定し、両方の計測結果が許容公差範囲から外れたものを検出することで、良品の誤排出を抑制することが可能となる。その結果、製品のコストダウンに貢献することができる。
【0018】
(4)(1)乃至(3)のいずれか1つに記載のロール幅検査装置において、
前記搬送コンベアに平行に配置される押圧用コンベアを備え、
前記搬送コンベアは、前記押圧用コンベアとで前記シートロールを挟んで搬送し、
挟まれて搬送される前記シートロールに前記レーザー光を当てて前記測長センサーを用いて測長すること、が好ましい。
【0019】
上記(4)に記載の態様により、搬送コンベアに平行に配置される押圧用コンベアを備えてシートロールを挟んで搬送するため、この地点で測長センサーを用いて測長する際に、外的要因によってシートロールが動くことを防ぐことができる。このため、測定精度が向上して、許容寸法公差に収まっている良品を排出してしまうことを防ぐことが可能となる。
【0020】
(5)(1)に記載のロール幅検査装置において、
前記パルス信号は、前記位置検出器より得られる信号に代えて、前記制御手段より得られる信号を用いること、が好ましい。
【0021】
上記(5)に記載の態様により、位置検出器より得られる信号ではなく、外部の、例えばプログラマブルロジックコントローラーからのパルス信号を用いて、シートロールの幅を計算することで、シートロールの幅が許容寸法公差内に収まっているかを判断することが出来る。ロール幅検査装置にはPLCを用いて制御されることが考えられ、PLC自身のパルス信号を用いてシートロールの幅を計算することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本実施形態の、ロール幅検査装置の平面図である。
【
図2】本実施形態の、ロール幅検査装置の側面図である。
【
図3】本実施形態の、ロール幅検査装置の正面図である。
【
図4】本実施形態の、シートロール計測部分の側面断面図である。
【
図5】本実施形態の、シートロール排出部の拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施形態について、図面を用いて説明を行う。
図1には、本実施形態のロール幅検査装置の平面図を示す。
図2には、ロール幅検査装置の側面図を示す。
図3には、ロール幅検査装置の正面図を示す。シートロールWを搬送する搬送ライン10には、ロール幅検査装置100が設けられている。このロール幅検査装置100には、シートロールWを搬送する搬送コンベア110と、搬送コンベア110上部に設けられた押圧用コンベア120と、搬送コンベア110の下流であって下部に、排出用コンベア140が設けられている。そしてこれらはフレーム200に支持されている。
【0024】
搬送コンベア110は、前工程搬送コンベア50から搬送されてきたシートロールWを搬送するコンベアであり、4つのコンベアが平行に配置されている。便宜上、第1搬送コンベア110A、第2搬送コンベア110B、第3搬送コンベア110C、及び第4搬送コンベア110Dとしているが、特に断りなく搬送コンベア110とした場合は、第1搬送コンベア110A乃至第4搬送コンベア110Dのいずれか、或いは全てを指すものとする。
【0025】
搬送コンベア110は、フレーム200に固定された搬送コンベア駆動用モータ111によって、第1搬送コンベア110A乃至第4搬送コンベア110Dの全てが駆動される。1つの搬送コンベア駆動用モータ111によって4つの搬送コンベア110を動かすことで、同じ速度で駆動させることが可能である。搬送コンベア駆動用モータ111には、サーボモータが用いられ、位置検出器に相当するエンコーダーが内蔵されている。
【0026】
搬送コンベア110の上部に、搬送コンベア110と平行して配置される押圧用コンベア120も、搬送コンベア110と同様に4つ設けられている。便宜上、第1押圧用コンベア120A、第2押圧用コンベア120B、第3押圧用コンベア120C、及び第4押圧用コンベア120Dとしているが、特に断りなく押圧用コンベア120とした場合は、第1押圧用コンベア120A乃至第4押圧用コンベア120Dのいずれか、或いは全てを指すものとする。これらの押圧用コンベア120は、4本のシャフト131に支持される、上下に高さを調整が可能な位置調整機構130を備えている。
【0027】
押圧用コンベア120は、位置調整機構130に取り付けられた押圧用コンベア駆動用モータ121によって、第1押圧用コンベア120A乃至第4押圧用コンベア120Dの全てが駆動される。1つの押圧用コンベア駆動用モータ121によって4つの押圧用コンベア120を動かすことで、同じ速度で駆動させることが可能である。押圧用コンベア駆動用モータ121には、サーボモータが用いられている。押圧用コンベア駆動用モータ121によって、押圧用コンベア120は搬送コンベア110と同じ速度でベルトが動くよう制御される。
【0028】
位置調整機構130には、1つのハンドル132と同期して動く2つの台形ネジ133が備えられている。したがって、位置調整機構130のハンドル132を手回しすることで、4つの押圧用コンベア120の高さを任意の高さに調整することが可能となる。この押圧用コンベア120の高さは、搬送用コンベア110と押圧用コンベア120にてシートロールWを挟んで軽く押圧する程度に設定されることが望ましい。
【0029】
図4に、シートロール計測部分の側面断面図を示す。シートロール計測部分201には、複数のパルスレーザーセンサ115が配置されている。パルスレーザーセンサ115を用いてシートロールWの幅を測定している。パルスレーザーセンサ115にはパルス間隔は0.1msec以下のセンサーを採用している。これはシートロールWの寸法公差が±2mmに設定されているからであり、少なくともシートロールWの幅の測定精度は1/10以下である±0.2mm以下となることが望ましいからである。もちろん、パルスレーザーセンサ115にパルス間隔の更に短いものを採用しても良い。
【0030】
このパルスレーザーセンサ115は、1つの搬送コンベア110に対して2つずつ用意され、
図3に示すように、4つ設けられた搬送コンベア110をそれぞれ挟むように向き合って備えられ、ロール幅検査装置100では合計8つ備えられる。したがって、搬送コンベア110の左側に備えられた第1のパルスレーザーセンサ115は、シートロールWの左側面に光を当てて測長し、搬送コンベア110の右側に備えられた第2のパルスレーザーセンサ115は、シートロールWの右側面に光を当てて測長する。なお、向かい合うパルスレーザーセンサ115は、光軸が重ならないように工夫して配置されている。
【0031】
図5に、シートロール排出部の拡大平面図を示す。シートロール排出部202には、搬送コンベア110に面して排出ノズル部150が設けられており。複数の排出ノズル151が備えられている。排出ノズル151には図示しない空圧ホースが接続され、任意のタイミングでシートロールWに向かって圧縮気体を噴出することが可能である。そして、シートロール排出部202には搬送コンベア110に直交する方向に排出コンベア140が備えられている。
【0032】
搬送コンベア110に対して排出コンベア140は下方に配置されており、排出ノズル151によって吹き飛ばされたシートロールWを排出することができる。排出コンベア140には排出用駆動モータ141が接続されており、排出コンベア140を駆動する。シートロール排出部202における搬送コンベア110には、
図5に示すように内側ガイド116と外側ガイド117が設けられており、第3搬送コンベア110Cと第4搬送コンベア110Dの間に排出ノズル部150が設けられている。
【0033】
したがって、内側ガイド116は、排出ノズル部150と第3搬送コンベア110C又は第4搬送コンベア110Dの間に配置され、シートロールWの高さ全体をガイドするように板材を用いて設けられている。一方、外側ガイド117は、排出ノズル部150側から見て搬送コンベア110の遠い側の側面を、シートロールWの下部だけガイドするように、丸棒を用いて設けられている。このような構造であるため、シートロールWを搬送コンベア110で搬送する際には、内側ガイド116及び外側ガイド117でガイドし、排出する場合には、排出ノズル151から圧縮気体を噴出してシートロールWを吹き飛ばし、外側ガイド117を乗り越えて、下側に設けられた排出用コンベア140に落とされる。
【0034】
このような構成のロール幅検査装置100は、制御盤160によって制御されており、制御盤160には表示装置161とプログラマブルロジックコントローラー(以下、PLCとする)162を備えている。また、搬送コンベア駆動用モータ111を制御する制御装置に相当する第1サーボアンプ163と、押圧用コンベア駆動用モータ121を制御する制御装置に相当する第2サーボアンプ164が、制御盤160内に収められている。
【0035】
そして、前工程搬送コンベア50から横搬送、すなわち搬送方向に対して軸が平行になる姿勢で搬送されてきたシートロールWを、シートロール計測部分201にてパルスレーザーセンサ115を用いて幅を計測する。パルスレーザーセンサ115の光軸上にシートロールWが存在すれば、レーザー光がシートロールWによって遮られ、シートロールWの存在を検出できる。その検出されている時間を用いて、その時間に搬送コンベア110のエンコーダーから得られるパルス数をカウントし、当該時間内のコンベアの移動量を掛けることでシートロールWの幅を計算することができる。
【0036】
搬送されるシートロールWはトイレットペーパーであり、その幅は114mm±2mmと許容される寸法公差がJISによって定められている。したがって、シートロールWの幅が規格から外れた場合には、シートロール計測部201より下流に設けられたシートロール排出部202にて、排出する必要がある。
【0037】
このため、搬送コンベア110によって搬送されるシートロールWの幅をPLC162で計算して図示しない記憶装置に記録し、何番目のシートロールWが規格外であるかを調べ、シートロール排出部202にてタイミング良く排出ノズル151から圧縮気体を噴出し、NG品のシートロールWをはじき飛ばす。これらの結果は制御盤160に設けられた表示装置161によって表示されることで、作業者に目視でシートロールWの幅がきちんと測長できているかを知らせることが出来る。
【0038】
そして、NG判定されるシートロールWが続くような場合には、制御盤160にて判断して警報を出し、警告画面を表示することが可能である。そして、搬送ライン10が無人運転されているケースが多いため、PLC162に備えた記憶装置にこれらの情報を記録している。したがって、作業者は後に表示装置161を用いてNG品の排出状況を把握することが出来る。
【0039】
本実施形態のロール幅検査装置100は、上記構成であるため、以下に示すような作用及び効果を奏する。
【0040】
まず、ロール幅検査装置100を用いることで、シートロールWの高精度な寸法測定を実現することが可能となる。これは、シートロールWの搬送ライン10に設けられた、シートロールWの寸法が許容寸法公差内に収まっているかどうかを検査するロール幅検査装置100において、位置検出器及び制御装置を有した駆動機構である搬送コンベア駆動用モータ111によって駆動され、シートロールWをその搬送方向に対して軸が平行になる姿勢で横搬送する搬送コンベア110と、を備えている。
【0041】
また、シートロールWの幅を計測するために、搬送されるシートロールWの外面に一定周期でパルス発振するレーザー光を照射し、被検出体となるシートロールの有無を検出する測長センサーであるパルスレーザーセンサ115と、搬送コンベア110を制御し、パルスレーザーセンサ115からの検出信号を記憶する記憶部を備えた制御盤160と、を備えている。そして、制御盤160により、位置検出器より得られたパルス信号をカウントし、パルス信号と搬送コンベア110の搬送速度を用いてシートロールWの幅を計算する。具体的には、レーザー光がシートロールWによって遮られ、シートロールWの存在を検出できる。その検出されている間の時間を用いて、その時間に搬送コンベア110のエンコーダーから得られるパルス数をカウントし、当該時間内のコンベアの移動量を掛けることでシートロールWの幅を計算することができる。
【0042】
このような構成により、搬送コンベア駆動用モータ111の位置検出器に相当するエンコーダーから得られるパルス信号と、パルスレーザーセンサ115より得られるパルス信号と、を制御盤160に備えたPLC162に取り込み、これをカウントすることによって、搬送コンベア110の搬送速度に基づいてシートロールWの幅を計測することが可能となる。この時、レーザー光のパルス幅は0.1msec以下と非常に短いため、シートロールWの幅を精確に算出することが可能となる。
【0043】
搬送コンベア110のシートロールWの搬送速度は、1レーンあたり最速で160個/分であり、課題にも示した様に画像認識などの手段を用いた場合には、画像処理を行う為には相応に高価な機材を必要とする。シートロールWに求められる許容寸法公差は±2mmであるため、その測定精度は±0.2mm以上が求められるが、画像認識によるシートロールWの幅の判定を行う場合には、それに応じた解像度のデータを取り込む必要があり、1つのシートロールWに対して最低1ショットの撮影が必要となる。このため、膨大な数の撮影を行うと、画像認識装置の耐久性が実用に耐えなくなる。
【0044】
しかしながら、画像認識装置に比べて比較的安価なパルスレーザーセンサ115を用い、そのパルス信号をカウントするという手法を用いることで、シートロールWの幅を算出することが可能となる。パルスレーザーセンサ115は、レーザー光のスポット径が小さく、レーザーパルスをシートロールWの側面に光を当てて検出し、シートロールWの有無を判断している。搬送コンベア110の速度は搬送コンベア駆動用モータ111によって決定されるため、この搬送コンベア駆動用モータ111に備えたエンコーダーより得られるパルス信号を用いることで、シートロールWの搬送速度を求めることが出来る。
【0045】
一方、パルスレーザーセンサ115によってシートロールWを検出している間のエンコーダーのパルスをカウントして、当該時間内のコンベアの移動量を掛けることでシートロールWの幅を計算することができる。したがって、パルスレーザーセンサ115のパルスが0.1msec程度あれば、測定精度は±0.2mm以上を実現が可能であり、その耐久性に関しても画像認識装置に比べて遙かに高めることが可能である。
【0046】
次に、シートロールWの良品をバリや紙粉などの影響でNG判定するようなことを防ぐ効果が得られる。これは、搬送コンベア110で搬送されるシートロールWを、搬送ライン110から排出する排出手段に相当する排出ノズル部150を備え、パルスレーザーセンサ115は、搬送コンベア110の進行方向左側に配置される第1測長センサーと、搬送コンベア110の進行方向右側であって第1のパルスレーザーセンサ115と対向する位置に設けられる第2のパルスレーザーセンサ115を含み、第1のパルスレーザーセンサ115のデータを用いて算出される第1の計測結果と、第2のパルスレーザーセンサ115のデータを用いて算出される第2の計測結果の両方が、許容寸法公差範囲から外れると判定した場合、排出ノズル151から圧縮気体を噴出して、許容寸法公差範囲から外れたシートロールWを排出している。
【0047】
こうすることで、測定精度を高めることが出来る。これは、
図3に示すように、パルスレーザーセンサ115を対向する位置に配置して、シートロールWの両側面から計測して、その双方の計測結果がNGである場合に、NGであると判断しているためである。
【0048】
シートロールWは長尺のロールから定尺で切り出されるため、刃物の具合によってはシートロールWの端にバリや紙粉が付着している場合がある。こうしたケースでは、パルスレーザーセンサ115がバリなどの影響によってシートロールWの幅を正確に測定できないことも考えられるが、第1のパルスレーザーセンサ115から得られる計算結果と、第2のパルスレーザーセンサ115から得られる計算結果を計測し、両方とも許容寸法公差から外れていなければ、良品と判断することで、バリや紙粉が付いていた場合でもNGと判定されなくなる。一方、斜めに切断されている場合であっても、正確に幅を判定できるため、良品がNG判定されることを防ぐことが可能である。
【0049】
また、搬送コンベア110に平行に配置される押圧用コンベア120を備え、搬送コンベア110は、押圧用コンベア120とでシートロールWを挟んで搬送していることにより、シートロールWの動きを抑え、良品がNG判定されることを防ぐ効果が得られる。これは、押圧されて搬送されるシートロールWに、光を当ててパルスレーザーセンサ115を用いて測長することで、搬送コンベア110に対して動かない状態のシートロールWの幅を測ることが可能になるためである。
【0050】
搬送コンベア110と押圧用コンベア120は対向する位置に平行に配置され、搬送コンベア駆動用モータ111と押圧用コンベア駆動用モータ121によって、同じ速度でベルトが動くように制御されることで、シートロールWを軽く押圧された状態で搬送することが出来る。
【0051】
搬送コンベア110でシートロールWを搬送中には、意図しない外力によってシートロールWが僅かに動くことが考えられるが、搬送コンベア110と押圧用コンベア120でシートロールWを挟んで搬送することで、そうした外力によってシートロールWの姿勢が変わることを防ぐことが出来る。そして、パルスレーザーセンサ115を用いて挟んで搬送されるシートロールWの幅を計測するため、測定精度を向上させることが出来る。
【0052】
また、押圧用コンベア120に位置調整機構130を備えていることで、巻径の異なるシートロールWに対応させることが可能となる。なお、シートロールWの幅を計算するにあたって、搬送コンベア駆動用モータ111に備える位置検出器より得られるパルス信号を用いて計算しているが、PLC162の内部に備えたパルスカウンタを用いて速度の計算を行っても良い。
【0053】
以上、本発明に係るロール幅検査装置100に関する説明をしたが、本発明はこれに限定されるわけではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。例えば、ロール幅検査装置100の構造について、設計事項の範囲内で変更することを妨げない。また、シートロールWはトイレットペーパーとして説明しているが、キッチンペーパーなど、ある程度の弾力性を有した紙製品の巻回体であれば、本発明を適用することが可能である。また、パルスレーザーセンサ155には、反射型のセンサーや透過型のセンサーを必要に応じて選ぶことができる。
【符号の説明】
【0054】
10 搬送ライン
50 前工程搬送コンベア
100 ロール幅検査装置
110 搬送コンベア
111 搬送コンベア駆動用モータ
115 パルスレーザーセンサ
120 押圧用コンベア
121 押圧用コンベア駆動用モータ
130 位置調整機構
140 排出用コンベア
200 フレーム
W シートロール
【手続補正書】
【提出日】2021年5月28日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートロールの搬送ラインに設けられた、前記シートロールの幅が許容寸法公差内に収まっているかどうかを検査するロール幅検査装置において、
位置検出器及び制御装置を有した駆動機構によって駆動され、前記シートロールをその搬送方向に対して軸が平行になる姿勢で横搬送する搬送コンベアと、
前記シートロールの幅を計測するために、搬送される前記シートロールの外面に一定周期でパルス発振するレーザー光を照射し、被検出体となる前記シートロールの有無を検出する測長センサーと、
前記搬送コンベアを制御し、前記測長センサーからの検出信号を記憶する記憶部を備えた制御手段と、を備え、
前記制御手段により、
前記シートロールの存在が検出されている時間を用いて前記位置検出器より得られたパルス信号をカウントし、
該パルス信号と前記搬送コンベアの搬送速度を用いて前記シートロールの幅を計算すること、
前記測長センサーは、前記搬送コンベアの進行方向左側に配置される第1測長センサーと、前記搬送コンベアの進行方向右側であって前記第1測長センサーと対向する位置に設けられる第2測長センサーを含み、
前記第1測長センサーのデータを用いて算出される第1の計測結果と、前記第2測長センサーのデータを用いて算出される第2の計測結果の両方が、前記許容寸法公差から外れると判定した場合、前記シートロールをNG判定すること、
を特徴とするロール幅検査装置。
【請求項2】
請求項1に記載のロール幅検査装置において、
前記測長センサーは、パルスレーザーを用いた光学式のセンサーであり、連続パルスのパルス間隔が、0.1msec以下であること、
を特徴とするロール幅検査装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のロール幅検装置において、
前記搬送コンベアで搬送される前記シートロールを、前記搬送ラインから排出する排出手段を備え、
前記第1測長センサーで前記シートロールの左側面に光を当てて測長し、
前記第2測長センサーで前記シートロールの右側面に光を当てて測長し、
前記NG判定された前記シートロールを排出すること、
を特徴とするロール幅検査装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載のロール幅検査装置において、
前記搬送コンベアに平行に配置される押圧用コンベアを備え、
前記搬送コンベアは、前記押圧用コンベアとで前記シートロールを挟んで搬送し、
挟まれて搬送される前記シートロールに前記レーザー光を当てて前記測長センサーを用いて測長すること、
を特徴とするロール幅検査装置。