(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-117946(P2021-117946A)
(43)【公開日】2021年8月10日
(54)【発明の名称】患者の服薬状況を継続的に記録するための装置、方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 20/10 20180101AFI20210712BHJP
A61J 7/04 20060101ALI20210712BHJP
【FI】
G16H20/10
A61J7/04 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2020-13052(P2020-13052)
(22)【出願日】2020年1月29日
(71)【出願人】
【識別番号】516302270
【氏名又は名称】株式会社カケハシ
(74)【代理人】
【識別番号】100174078
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 寛
(72)【発明者】
【氏名】工藤 知也
【テーマコード(参考)】
4C047
5L099
【Fターム(参考)】
4C047JJ27
4C047JJ28
4C047NN09
4C047NN11
5L099AA25
(57)【要約】
【課題】患者の服薬状況を継続的に記録するための方法を提供する。
【解決手段】まず、患者は、書類110に記載された二次元コード111を撮影して処方情報300を生成する(S201)。処方情報300が初めて生成された場合(S202)、アラーム設定画面を表示する(S203)。次に、装置100は、処方情報300の少なくとも一部をサーバ120に送信する(S204)。サーバ120は、各薬剤についてアラーム時間として設定された時刻に装置100にアラームを送信する(S205)。アラームの内容として服用すべき薬剤が表示され、服用した場合には服薬履歴を記録するための表示要素をタップ又はクリックによって選択することで、装置100は、サーバ120に対して服薬履歴を送信可能である(S206)。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の服薬状況を継続的に記録するための方法であって、携帯端末にインストールされたアプリケーションが、
二次元コードに基づいて前記二次元コードにより表される1又は複数の薬剤に関する処方情報を生成するステップと、
薬剤名又はその識別子及び服用時間若しくは前記服用時間に対応するアラーム時間又はいずれかに対応する識別子を含む送信情報を前記携帯端末と通信可能なサーバに送信するステップと、
前記アラーム時間として設定された時刻に前記サーバから送信されたアラームを受信するステップと、
前記アラームの内容として前記アプリケーション上で服薬履歴を記録するための表示要素を表示するステップと、
前記表示要素が選択されたことを含む服薬履歴を前記サーバに送信するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記アプリケーションが、前記処方情報が前記アプリケーション上で生成された初めての処方情報である場合、アラーム時間に関する設定を行うためのアラーム設定画面を表示するステップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記アラーム設定画面は、前記処方情報に含まれる服用時間に対応するアラーム時間が有効化された状態で表示されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記アラームの内容として、薬剤師又は薬局からのメッセージが表示されることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記アプリケーションが、前記アラームとは別に、前記服薬履歴に基づく服薬状況がアラートの条件を満たしたことに応じた、薬剤師又は薬局からのアラートを前記サーバから受信するステップをさらに含むことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記アプリケーションが、
前記患者の体調履歴を入力するための入力画面を表示するステップと、
前記体調履歴を前記サーバに送信するステップと
をさらに含むことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記入力画面における入力項目は、前記アラームに含まれる薬剤の種類に応じて可変であることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記アプリケーションが、前記アラームとは別に、前記体調履歴に基づく体調がアラートの条件を満たしたことに応じた、薬剤師又は薬局からのアラートを前記サーバから受信するステップをさらに含むことを特徴とする請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
携帯端末に、患者の服薬状況を継続的に記録するための方法を実行させるためのプログラムであって、前記方法は、前記携帯端末にインストールされたプログラムが、
二次元コードに基づいて前記二次元コードにより表される1又は複数の薬剤に関する処方情報を生成するステップと、
薬剤名又はその識別子及び服用時間若しくは前記服用時間に対応するアラーム時間又はいずれかに対応する識別子を含む送信情報を前記携帯端末と通信可能なサーバに送信するステップと、
前記アラーム時間として設定された時刻に前記サーバから送信されたアラームを受信するステップと、
前記アラームの内容として前記プログラム上で服薬履歴を記録するための表示要素を表示するステップと、
前記表示要素が選択されたことを含む服薬履歴を前記サーバに送信するステップと
を含むことを特徴とするプログラム。
【請求項10】
携帯端末を、患者の服薬状況を継続的に記録するための装置として動作させるための前記携帯端末にインストールされるプログラムであって、
二次元コードに基づいて前記二次元コードにより表される1又は複数の薬剤に関する処方情報を生成するステップと、
薬剤名又はその識別子及び服用時間若しくは前記服用時間に対応するアラーム時間又はいずれかに対応する識別子を含む送信情報を前記携帯端末と通信可能なサーバに送信するステップと、
前記アラーム時間として設定された時刻に前記サーバから送信されたアラームを受信するステップと、
前記アラームの内容として前記プログラム上で服薬履歴を記録するための表示要素を表示するステップと、
前記表示要素が選択されたことを含む服薬履歴を前記サーバに送信するステップと
を前記携帯端末に実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の服薬状況を継続的に記録するための装置、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、医師の診断を受けた患者は発行された処方箋を薬局で渡し、薬剤師から薬剤を受け取る。患者は、薬剤を受け取る際に薬剤師から服薬指導を受ける。出願人による特許文献1には、薬剤師が十分な服薬指導を患者に対して行うことを可能とするための技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6381088号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、薬剤師は、患者が適切に薬剤を服用できるよう指導を行っており、それを円滑に行うための技術も存在するものの、患者が薬剤師の下を訪れる頻度は高くないことから、服用期間全体からすれば、薬剤師が患者を指導できる機会は限られており、結果として薬剤師が把握できる患者の服薬状況(medication condition)も限られている。
【0005】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、患者の服薬状況を継続的に記録するための装置、方法又はそのためのプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的を達成するために、本発明の第1の態様は、患者の服薬状況を継続的に記録するための方法であって、携帯端末にインストールされたアプリケーションが、二次元コードに基づいて前記二次元コードにより表される1又は複数の薬剤に関する処方情報を生成するステップと、薬剤名又はその識別子及び服用時間若しくは前記服用時間に対応するアラーム時間又はいずれかに対応する識別子を含む送信情報を前記携帯端末と通信可能なサーバに送信するステップと、前記アラーム時間として設定された時刻に前記サーバから送信されたアラームを受信するステップと、前記アラームの内容として前記アプリケーション上で服薬履歴を記録するための表示要素を表示するステップと、前記表示要素が選択されたことを含む服薬履歴を前記サーバに送信するステップとを含むことを特徴とする。
【0007】
また、本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記アプリケーションが、前記処方情報が前記アプリケーション上で生成された初めての処方情報である場合、アラーム時間に関する設定を行うためのアラーム設定画面を表示するステップをさらに含むことを特徴とする。
【0008】
また、本発明の第3の態様は、第2の態様において、前記アラーム設定画面は、前記処方情報に含まれる服用時間に対応するアラーム時間が有効化された状態で表示されることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の第4の態様は、第1から第3のいずれかの態様において、前記アラームの内容として、薬剤師又は薬局からのメッセージが表示されることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の第5の態様は、第1から第4のいずれかの態様において、前記アプリケーションが、前記アラームとは別に、前記服薬履歴に基づく服薬状況がアラートの条件を満たしたことに応じた、薬剤師又は薬局からのアラートを前記サーバから受信するステップをさらに含むことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の第6の態様は、第1から第5のいずれかの態様において、前記アプリケーションが、前記患者の体調履歴を入力するための入力画面を表示するステップと、前記体調履歴を前記サーバに送信するステップとをさらに含むことを特徴とする。
【0012】
また、本発明の第7の態様は、第6の態様において、前記入力画面における入力項目は、前記アラームに含まれる薬剤の種類に応じて可変であることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の第8の態様は、第6又は第7の態様において、前記アプリケーションが、前記アラームとは別に、前記体調履歴に基づく体調がアラートの条件を満たしたことに応じた、薬剤師又は薬局からのアラートを前記サーバから受信するステップをさらに含むことを特徴とする。
【0014】
また、本発明の第9の態様は、携帯端末に、患者の服薬状況を継続的に記録するための方法を実行させるためのプログラムであって、前記方法は、前記携帯端末にインストールされたプログラムが、二次元コードに基づいて前記二次元コードにより表される1又は複数の薬剤に関する処方情報を生成するステップと、薬剤名又はその識別子及び服用時間若しくは前記服用時間に対応するアラーム時間又はいずれかに対応する識別子を含む送信情報を前記携帯端末と通信可能なサーバに送信するステップと、前記アラーム時間として設定された時刻に前記サーバから送信されたアラームを受信するステップと、前記アラームの内容として前記プログラム上で服薬履歴を記録するための表示要素を表示するステップと、前記表示要素が選択されたことを含む服薬履歴を前記サーバに送信するステップとを含むことを特徴とする。
【0015】
また、本発明の第10の態様は、携帯端末を、患者の服薬状況を継続的に記録するための装置として動作させるための前記携帯端末にインストールされるプログラムであって、二次元コードに基づいて前記二次元コードにより表される1又は複数の薬剤に関する処方情報を生成するステップと、薬剤名又はその識別子及び服用時間若しくは前記服用時間に対応するアラーム時間又はいずれかに対応する識別子を含む送信情報を前記携帯端末と通信可能なサーバに送信するステップと、前記アラーム時間として設定された時刻に前記サーバから送信されたアラームを受信するステップと、前記アラームの内容として前記プログラム上で服薬履歴を記録するための表示要素を表示するステップと、前記表示要素が選択されたことを含む服薬履歴を前記サーバに送信するステップとを前記携帯端末に実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一態様によれば、患者が用いる装置にインストールされたアプリケーションに対するアラームを二次元コードにより表される処方情報に基づいて簡便に設定可能とすることによって、患者は、自己に処方された各薬剤の服用時間に適切に服用することが促され、服用の有無の履歴についても、同一のアプリケーション上で記録してサーバに服用履歴として送信可能であることから、患者の服薬状況を継続的に記録することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の第1の実施形態にかかる装置を示す図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態における方法の流れ図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態において生成された処方情報の一例を示す図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態におけるアラーム設定画面の一例を示す図である。
【
図5】本発明の第1の実施形態におけるプッシュ通知の一例を示す図である。
【
図6】本発明の第1の実施形態におけるアラーム内容の一例を示す図である。
【
図7】本発明の第1の実施形態における服薬状況の一例を示す図である。
【
図8】本発明の第2の実施形態にかかる体調履歴入力項目の一例を示す図である。
【
図9】本発明の第2の実施形態にかかる薬剤師が患者にアドバイスを含むメッセージを送信するためのメッセージ送信画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0019】
(第1の実施形態)
図1に本発明の第1の実施形態にかかる装置を示す。装置100は、スマホ、タブレットなどの携帯端末とすることができ、撮像素子101を備え、処方箋に記載された処方情報を表す二次元コード111を撮像して、処方情報を生成する。二次元コード111は、お薬手帳データシードなどの薬剤とともに交付される書類110に記載されており、患者は、これをたとえば自宅で装置100を用いて撮影すればよい。
【0020】
装置100は、通信インターフェースなどの通信部102と、プロセッサ、CPU等の処理部103と、メモリ、ハードディスク等の記憶装置又は記憶媒体を含む記憶部104とを備え、各処理を行うためのプログラムを実行することによって構成することができ、1又は複数の装置、コンピュータないしサーバを含むことがある。また当該プログラムは、1又は複数のプログラムを含むことがあり、また、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記録して非一過性のプログラムプロダクトとすることができる。当該プログラムは、記憶部104又は装置100からアクセス可能な記憶装置又は記憶媒体に記憶しておき、処理部103において実行することができる。装置100は、コンピュータネットワークを介してサーバ120と通信可能であり、図示しないが、サーバ120についても装置100と同様の構成とすることができる。
【0021】
図2に、本実施形態にかかる患者の服薬状況を継続的に記録するための方法の流れ図を示す。まず、患者は、自宅等で書類110に記載された二次元コード111をスマホなどの装置100によって撮影して処方情報を生成する(S201)。ここで、二次元コード111は、書類110に記載されたものとして説明したが、電子的に装置100が受信してもよく、二次元コード111を処理することによって二次元コード111により表される処方情報が生成されればよい。
【0022】
図3に、生成された処方情報の一例を示す。患者氏名として「中尾 豊」、薬剤名として「ムコダイン錠250mg」、用法として「1日3回」などの服用回数、「毎食後」などの服用時間が含まれている。図示するように「ムコダイン錠250mg」以外にも薬品名が含まれ、複数の薬剤に関する情報が処方情報に含まれることがある。処方情報300の形式は、二次元コード111を生成したシステムによって必ずしも同一ではない。
【0023】
装置100には、この方法を実行するためのアプリケーション又はプログラムがインストールされており、当該アプリケーションによって処方情報が初めて生成された場合(S202)、アラーム設定画面を表示する(S203)。初めてではない場合、アラーム設定画面は表示せずに次に進んでもよい。この点さらに後述する。
【0024】
図4に、アラーム設定画面の一例を示す。服用時間に対応するアラーム時間として、起床時、朝、昼、夕、寝る前が示されている。
図4の例では、ムコダイン錠250mgの服用時間として「毎食後」と定められていることに対応して、朝食、昼食及び夕食の時間がアラーム時間として有効化された状態でアラーム設定画面400が表示され、それぞれの時刻を変更可能である。ここでは、朝として「7:00」、昼として「12:00」、夕として「18:00」が初期設定として与えられ、昼の時刻設定を「11:00」に変更している。装置100における処理の観点からは、記憶部104又は装置100からアクセス可能な記憶装置又は記憶媒体に記憶された服用時間とアラーム時間との対応づけ(機械学習により生成される予測モデルを含む。)を参照して、処方情報に含まれる薬剤の服用時間に対応するアラーム時間を有効化してアラーム設定画面400を表示している。
図3に示す処方情報には服用時間として「起床時」及び「寝る前」に対応する時間が含まれないことから、
図4において、これらは有効化されていない。
【0025】
次に、装置100は、処方情報300の少なくとも一部をサーバ120に送信する(S204)。装置100は、アラーム設定画面400が表示されない場合には、処方情報の生成の後に当該送信に進んでもよい。送信される情報は、各薬剤について、薬剤名又はそれに対応する薬剤識別子を含み、また服用時間若しくはそれに対応するアラーム時間又はそのいずれかに対応する識別子をさらに含む。また、送信される情報は、患者氏名をさらに含んでもよい。また、送信される情報は、薬局名又はこれに対応する識別子をさらに含んでもよい。装置100にインストールされたアプリケーションを利用するユーザーのユーザー識別子が、処方情報300の少なくとも一部と同時又はその前後に必要に応じて送信される。
【0026】
サーバ120においては、受信した服用時間若しくはそれに対応するアラーム時間又はそれに対応する識別子を各薬剤について記憶し、アラーム時間として設定された時刻に装置100にインストールされたアプリケーションに直接的又は間接的にアラームを送信する(S205)。アラームの送信は、サーバ120が直接的に行う場合のほかにサーバ120とコンピュータネットワークを介して通信可能な装置、コンピュータ又はサーバから間接的に行う場合があり、いずれもサーバ120から送信されたものに包含される。
【0027】
図5に、装置が受信するアラームのプッシュ通知の一例を示す。
図5は、装置100の表示画面500であり、夕食後のアラーム時間として設定された「17:23」になったため、必要な薬剤を服用し、その記録をつけることを促している。サーバ120は、受信した処方情報300の少なくとも一部に基づいて、各薬剤についてアラーム時間として設定された時刻にアラームを送信することができ、一例として、プッシュ通知によってアラームの内容の確認を促すことができる。
【0028】
図6に、プッシュ通知をタップして表示されるアラーム内容の一例を示す。服用すべき薬剤として「クラリス錠50小児用」が表示されており、服用した場合には「使った」等の服薬履歴を記録するための表示要素をタップ又はクリックによって選択することで、サーバ120に対して、薬剤名又はそれに対応する薬剤識別子、及び、服用時間若しくはそれに対応するアラーム時間又はこれらに対応する識別子を含む服薬履歴を送信可能である(S206)。
【0029】
このように、患者が用いる装置100にインストールされたアプリケーションに対するアラームを二次元コードにより表される処方情報に基づいて簡便に設定可能とすることによって、患者は、自己に処方された各薬剤の服用時間に適切に服用することが促され、服用の有無の履歴についても、同一のアプリケーション上で記録してサーバ120に服用履歴として送信可能であることから、患者の服薬状況を継続的に記録することができる。
【0030】
図6に示すように、薬剤師は、サーバ120が提供するサービスを利用するためのウェブサイトにおいて、所属する薬局のアカウントでログインして、アラームに患者の服薬を促すためのメッセージを含ませることができる。アラームの内容はより一般に、サーバ120において、サーバ120に送信される処方情報300の少なくとも一部に含まれる薬局名又はこれに対応する識別子に応じて、各薬局について記憶された設定に基づくものとすることができる。
【0031】
薬剤師は、当該ウェブサイトにおいて、
図7に示すような服薬履歴に基づいて表示可能な服薬状況700を閲覧することができる。薬剤師又はその所属する薬局が服薬状況に問題があると判断すれば、あるいは服薬状況がアラートの条件を満たした場合には、サーバ120は、当該患者が用いる装置100のアプリケーションに対して、状況に応じたアドバイスを含むメッセージを送信することができる。これによって、患者の服薬状況の継続的な記録が一層促進される。
【0032】
上述の説明では、処方情報が初めて生成された場合にアラーム設定画面400の表示がなされるものとして説明を行ったが、処方情報の生成が二回目以降であってもアラーム設定画面400を表示させるのが好ましいことがある。具体的には、前回までに生成された処方情報に含まれた服用時間のいずれにも該当しない服用時間が今回生成された処方情報に含まれる場合には、当該服用時間に対応するアラーム時間を有効化した状態でアラーム設定画面400を表示させることができる。
図4の例でいえば、起床時に含まれる服用時間が新たに生成された処方情報に含まれる場合に、起床時のアラーム時間を有効化して表示することが考えられる。また、ここまでの説明ではアラーム設定画面400において必要なアラーム時間を有効化した状態で表示することを例として挙げたが、有効化せずに有効化するためのスライダーなどの要素を表示して有効化可能とすることでもよい。また、アラーム設定画面400において行われた設定内容は、サーバ120に送信して記憶することができる。
【0033】
また、上述の説明では、処方情報300の少なくとも一部がサーバ120に送信され、サーバ120においてアラーム時間、さらにはアラーム内容が設定されるものとして説明を行ったが、装置100においてアラーム時間、さらにはアラーム内容の設定がなされることも考えられる。
【0034】
なお、「××のみに基づいて」、「××のみに応じて」、「××のみの場合」というように「のみ」との記載がなければ、本明細書においては、付加的な情報も考慮し得ることが想定されていることに留意されたい。また、一例として、「aの場合にbする」という記載は、明示した場合を除き、「aの場合に常にbする」こと、「aの直後にbする」ことを必ずしも意味しないことに留意されたい。また、「Aを構成する各a」という記載は、必ずしもAが複数の構成要素によって構成されることを意味するものではなく、構成要素が単数であることを含む。
【0035】
また、念のため、なんらかの方法、プログラム、端末、装置、サーバ又はシステム(以下「方法等」)において、本明細書で記述された動作と異なる動作を行う側面があるとしても、本発明の各態様は、本明細書で記述された動作のいずれかと同一の動作を対象とするものであり、本明細書で記述された動作と異なる動作が存在することは、当該方法等を本発明の各態様の範囲外とするものではないことを付言する。
【0036】
また、本明細書において「アラーム」という用語は広く「通知」を意味するものであることを付言する。
【0037】
(第2の実施形態)
第1の実施形態においては、装置100にインストールされたアプリケーションから、サーバ120に対し、患者の服薬履歴が送信され、サーバ120が提供するウェブサイトにおいて、当該患者の服薬状況を薬剤師が閲覧可能としている。第2の実施形態ではさらに、装置100にインストールされたアプリケーションから、患者の体調履歴が送信され、当該ウェブサイトにおいて、当該患者の体調(body condition)を薬剤師が閲覧可能とする。
【0038】
一例として、
図8に示すような体調履歴を入力するための項目一覧800を装置100にインストールされたアプリケーション上で表示することができる。患者がいずれかの項目をタップ又はクリックによって選択した後に、当該項目の入力画面が表示される。項目一覧800又はいずれかの項目の入力画面は、患者がアプリケーション上で表示させることができるほか、服用のアラーム内容の表示の前又は後に表示させて、服薬履歴に加えて体調履歴の入力を促すことができる。また、サーバ120から直接的又は間接的に体調履歴の入力を促す通知を行ってもよい。
【0039】
各項目の入力画面における入力項目は、アラームが設定された薬剤の種類に応じて可変とすることができる。たとえば、抗がん剤が処方されている場合、一般的な体温、体重等に加えて、排便数、口内炎、めまい、息切れ等のがん患者の体調として注視すべき項目又は抗がん剤の副作用として現れやすい項目を薬剤の種類と入力項目との対応づけ(機械学習により生成される予測モデルを含む。)を参照して表示することが好ましい。
【0040】
このように、患者が用いる装置100にインストールされたアプリケーション上で体調履歴の入力を可能とすることで、サーバ120において、患者の服薬状況に加えて体調を記録することができる。記録されたデータは、服薬の効果、服薬による副作用等の検出、評価、予測等のデータ解析に活用可能なものとして、大きな意義をもつ。
【0041】
薬剤師は、サーバ120が提供するウェブサイトにおいて、体調に基づいて表示可能な体調を閲覧することができる。薬剤師又はその所属する薬局が体調に問題があると判断すれば、あるいは体調がアラートの条件を満たした場合には、サーバ120は、当該患者が用いる装置100のアプリケーションに対して、状況に応じたアドバイスを含むメッセージを送信し、薬剤師又はその所属する薬局は、適切な薬学的管理を継続的に実施することができる。これによって、患者の適切な服薬が効果的に図られる。
【0042】
図9は、サーバ上で提供されるウェブサイトにおいて薬剤師又はその所属する薬局が患者にアドバイスを含むメッセージを送信するためのメッセージ送信画面の一例である。服薬状況又は体調に応じて、1又は複数のアドバイスの定型文が選択可能に表示されており、薬剤師又は薬局は、必要に応じて定型文を用いて患者に対するメッセージを作成可能である。かかるメッセージは、第1の実施形態又は第2の実施形態におけるアラートに含めてもよい。
【符号の説明】
【0043】
100 装置
101 撮像素子
102 通信部
103 処理部
104 記憶部
110 書類
111 二次元コード
120 サーバ
300 処方情報
400 アラーム設定画面
500 装置100の表示画面
600 アラーム内容
700 服薬状況
800 体調履歴の項目一覧
900 メッセージ送信画面
【手続補正書】
【提出日】2021年3月31日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の服薬状況を継続的に記録するための方法。