【解決手段】本発明に係る端子台(1)は、第1の押付面(61)と第2の押付面(62)とを有する板バネ(60)と、端子押付金具(50)が設けられると共に板バネに当接する凸部(41)を有するレバー(40)と、端子と電気的に接続される導電板(70)と、これらを収納するベース(30)とを備える。レバーは、ベースに設けられた軸受(31)に挿入する軸部(44)を有し、回転可能にベース部に装着されている。レバーが第1の方向に回転したとき、端子と導電板とが解放状態となる。レバーが第2の方向に回転したとき、端子と導電板とが接続状態となる。板バネは、凸部が板バネの第1の押付面に当接したときにレバーを第1の方向に付勢しており、凸部が第2の押付面に当接したときにレバーを第2の方向に付勢するように構成されている。
前記ベースに設けられた前記軸受けは、長軸が上下方向に延伸する楕円の形状、または、レバーの軸部の直径よりも大きい直径を有する略円形の形状を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の端子台。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の端子台では、金属からなる板バネで端子を直接に導電板に押し付けることで、端子を導電板に電気的に接続するように構成されている。また、導電板に、板バネとレバーを組み込んでサブアセンブリする構造となっている。この導電板は、端子との電気的な接続の機能以外に、板バネとレバーを保持する機能を付加したことで、複雑な形状を有し、加工が比較的に困難である。また、導電板に板バネとレバーを組み込む際には、導電板の曲げ加工が必要であり、またこの加工のために専用の工具を必要としていた。このように、導電板に、板バネとレバーを組み込むサブアセンブリ工程が複雑で、また端子台全体の組み立てにおいても相当の時間を要するといった課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る端子台は、端子付きケーブルを接続するための端子台であって、第1の押付面と、前記第1の押付面の延伸する方向に交差する方向に延伸する第2の押付面とを有する板バネと、端子押付金具が設けられるともに、前記板バネに当接する凸部を有するレバーと、前記端子と電気的に接続される導電板と、前記板バネ、前記レバー、及び前記導電板を収納するベースとを備える。前記レバーは、前記ベースに設けられた軸受に挿入する軸部を有し、回転可能に前記ベース部に装着されており、前記レバーが第1の方向に回転したとき、前記端子と前記導電板とが解放状態となり、前記レバーが第1の方向と反対の第2の方向に回転したとき、前記レバーの前記端子押付金具が前記端子を押圧することにより前記端子と前記導電板とが接続状態となり、前記板バネは、前記レバーの前記凸部が前記板バネの前記第1の押付面に当接したときに前記レバーを前記第1の方向に付勢しており、前記レバーの前記凸部が前記第2の押付面に当接したときに前記レバーを前記第2の方向に付勢することを特徴とする。
【0007】
本発明に係る端子台では、板バネ、レバー、及び導電板がベースに収納され、レバーは、その軸部がベースの軸受けに挿入されて回転可能に形成されている。また、板バネは、第1の押付面の延伸する方向に交差する方向に延伸する第2の押付面を有し、レバーの凸部が板バネの第1の押付面に当接したときにレバーを第1の方向に付勢しており、凸部が第2の押付面に当接したときにレバーを第2の方向に付勢するように構成されている。このように、レバーの位置に応じて、レバーの凸部が、第1の押付面又は第2の押付面に当接し、レバーに加わる弾性力の方向が切り替わるように構成されている。これにより、レバーを所定の位置で保持することができる。また、レバーが第1の方向に回転したとき、端子と導電板とが解放状態となり、レバーが第1の方向と反対の第2の方向に回転したとき、レバーの端子押付金具が端子を押圧することにより端子と導電板とが接続状態となるように構成されている。この端子と導電板とが電気的に接続する際に、板バネの弾性力を利用して、レバーに設けられた端子押付金具が端子に押し付けられる。この構成により、端子と導電板とが、確実に安定して電気的に接続され、また、端子が端子台から抜けることも防止することができる。
【0008】
また、本発明に係る端子台では、前記端子押付金具は、前記端子押付金具の前方及び後方に配置された第1の凸部と第2の凸部とを有し、前記レバーが前記第2の方向に回転して、前記端子押付金具の前記第1の凸部が前記端子に当接するまでは、前記レバーの前記軸部を支点として回転し、前記第1の凸部が前記端子に当接した後は、前記レバーの回転支点が、前記レバーの前記軸部から、前記第1の凸部に切り替わり、前記第1の凸部及び前記第2の凸部が前記端子に当接することを特徴としてもよい。
【0009】
本発明に係る端子台では、レバーの回転支点が、レバーの軸部から、端子押付金具の第1の凸部に切り替わるように構成されている。これにより、端子押付金具の前方及び後方に配置された第1の凸部と第2の凸部とが端子に当接することができる。つまり、端子と導電板とが電気的に接続された接続状態では、端子押付金具の第1の凸部と、第2の凸部の2ヶ所で端子を押さえることができる。これにより、端子の前後方向でのガタツキが低減され、端子を確実に、安定して導電板に安定して、確実に接続固定することができる。
【0010】
また、本発明に係る端子台では、前記ベースに設けられた前記軸受けは、長軸が上下方向に延伸する楕円の形状、または、レバーの軸部の直径よりも大きい直径を有する略円形の形状を有することを特徴としてもよい。
【0011】
本発明に係る端子台では、ベースに設けられた軸受けの形状として、長軸が上下方向に延伸する楕円の形状、または、レバーの軸部の直径よりも大きい直径を有する略円形の形状を用いることができる。これにより、レバーの回転支点をスムーズに切り替えることができる。
【0012】
また、本発明に係る端子台では、前記端子押付金具は、前記第1の凸部と前記第2の凸部との間に設けられた第3の凸部を有し、前記端子が前記導電板に接続された前記接続状態において、前記端子押付金具の前記第3の凸部が、前記端子の孔部に挿入されるように構成されたことを特徴としてもよい。
【0013】
本発明に係る端子台では、端子が導電板に接続された状態において、端子が抜け出ることが防止できる。
【0014】
また、本発明に係る端子台では、前記端子押付金具は、さらに第4の凸部を有し、前記端子を挿入したたきに、前記端子が前記端子押付金具の前記第4の凸部に当接することにより、前記レバーが前記第2方向に回転し、前記レバーの前記凸部の前記板バネの前記第1の押付面への当接が解除され、前記レバーの前記凸部が前記板バネの前記第2の押付面に当接するとともに前記接続状態に切り替わることを特徴としてもよい。
【0015】
本発明に係る端子台では、端子を端子台に挿入することにより、レバーが回転し、端子を挿入するだけで、自動結線ができる。
【0016】
本発明の上記の目的および他の目的、特徴、並びに利点は、添付図面を参照して進められる本発明の好適な実施の形態の以下の詳細な記述から、より容易に明らかになる。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、端子と導電板の圧着が安定し、また簡単な形状の構成部材となり、かつ組立専用の工具が不要になり組立ても容易になる。従って、トータルコストの大幅な削減が期待できる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面と共に本発明に係る端子台の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0020】
なお、本明細書において、上下とは端子台形状の上下方向にそれぞれ対応する。前後とは丸形端子が挿入される側が前側に対応し、すなわち端子台の中央が後側に対応する。
【0021】
図1は、本実施形態に係る端子台を概略的に示す斜視図である。端子台1は、長手方向における中央部を境に略線対称の構成を有しており、端子台1の両側にそれぞれ端子3を接続できる。ただし、以下の説明では端子台1の一方側(図中右側)の構成のみを説明し、他方側の説明は基本的に省略する。
【0022】
[本実施形態]
図1に示すように、端子台1は、端子台1に挿入される端子(例えば、穴付き丸形端子)3と電気的に接続するための導電板70と、導電板70に向かって回転軸(支点)を中心に初期位置と結線前位置との間で回転可能なレバー40と、レバー40に回転力を与える板バネ60を備える。さらに、端子台1は、導電板70とレバー40と板バネ60とを収納するためのベース30を有している。
【0023】
図1に示すように、本実施形態では、レバー40は軸部44を有し、軸部44がベース30に設けられた凹部を有する軸受31に挿入されることで、回転可能に形成されている。また、板バネ60は、レバー40の第1の凸部41が板バネに当接することで、レバーに回転力を与えることができる。また、レバー40が回転することで、ケーブルの先端に接続された端子(丸形端子)3と導電板70とが電気的に接続するように構成されている。この端子3と導電板70とが電気的に接続する際に、板バネ60の弾性力を利用して、レバー40に設けられた端子押付金具50が端子3に押し付けられる。この構成により、端子3と導電板70とが、確実に安定して電気的に接続され、また、端子3が端子台1から抜けることも防止することができる。
【0024】
図2は、本実施形態に係る端子台1の分解図を概略的に示す図である。
図2に示すように、端子台1は、導電板70、レバー40、板バネ60、及びこれらの部材を収納するベース30から構成されている。レバー40は、丸形端子3を直接押えるための端子押付金具50を取り付けるための圧入溝47が設けられ、端子押付金具50を、この圧入穴47に例えば圧入して固定することができる。なお、端子押付金具50はレバー40の樹脂射出成形時にインサート成形にて固定させることもできる。端子押付金具50は、端子3を押える端子押付金具50第1の凸部51、及び端子押付金具50の第2の凸部52を有している。また、端子押付金具50は、端子3が挿入された時、端子3の先端が当たる端子押付金具50の第4の凸部54を有する。また、端子押付金具50は、端子3の孔部に挿入されて、端子3の抜けを防止するための端子押付金具50の第3の凸部53を有することができる。端子押付金具50の第1の凸部51、及び端子押付金具50の第2の凸部52は、端子3の表面に当接するように形成されており、基準面からの高さは、端子押付金具50の第3の凸部53、及び端子押付金具50の第4の凸部54の高さよりも小さい高さを有するように形成されている。端子押付金具50の側面部には、溝47に圧入固定する際に、端子押付金具50が圧入溝47からの抜けを防止するための突起部55を設けてもよい。端子押付金具50は、例えば、ステンレス製などの金属板から形成することができる。
【0025】
導電板70は、レバー40を初期状態、又は結線状態の位置に回転させたときに、端子押金具50の第3の凸部53、及び端子押付金具50の第4の凸部54を受け入れるためのスリット穴71を有している。ベース30は、導電板70を収納するための凹部35、及び導電板70を挟持するためのベース30の第1のリブ36を有する。導電板70は、ベース30の凹部35に挿入されて固定されることができる。導電板70は、例えば、銅または銅合金から成り、例えば、金属板を打ち抜いて形成することができる。導電板70の板厚は、例えば、0.5mm〜2.0mmとすることができ、本実施形態では、1mmである。
【0026】
レバー40は、作業者が指で操作するレバー40の第3の凸部45を有しており、組み立てられた状態において、レバー40の第3の凸部45は、ベース30の外部に露出する。また、ベース30には、レバー40の回転を制限するためのストッパーリブ32、及び外周リブ33が設けられている。一方、レバー40は、初期状態の位置(以下、「初期位置」と言う。)において、ベース30のストッパーリブ32とあたるレバー40の第2の凸部42と、結線前状態での位置(以下、「結線前位置」と言う。)においてベース30の外周リブ33と当たる側面43を有する。レバー40の第2の凸部42は、レバー40の両側方に突出して形成されている。また、レバー40は、ベース30の軸受31に挿入される軸部44を有する。この軸部44は、レバー40の両側方に突出して形成されている。レバー40は、ベース30の両側面に設けられた軸受31に挿入されて、軸部44を中心に、初期位置から結線前位置の範囲で回転可能に形成されている。また、レバー40は、板バネ60の第1の押付面61及び第2の面押付面62に接するレバー40の第1の凸部41を有している。
【0027】
また、レバー40は、組み立てられた状態で、レバー40がどの位置においても、ベース30の外周リブ33の内側に、一部が重なりオーバーラップするように形成せれた扇状形状のレバー40のリブ46を有する。これにより、板バネ60が目視出来ないようにすることができると共に、埃及び異物混入を防止することができる。また、レバー40の下面には、端子押付金具50を圧入し固定するための圧入溝47が設けられている。レバー40は、例えば、樹脂射出成形などの樹脂成形によって形成することができる。
【0028】
ベース30は、板バネ60を挟持するためのベース30の第2のリブ37と、板バネ60を支持するための固定ボス34とを有している。一方、板バネ60は、固定面64と、曲部63を有し、ベース30の外周面と固定ボス34との間に設けられた空隙に固定面64を挿入し、さらにベース30の第2のリブ37によりこの固定面64を挟持することでベース30に固定される。さらに、板バネ60の曲部63によりベース30の固定ボス34を把持する。これにより、板バネ60を上下、及び前後方向で確実にベース30に固定することができる。
【0029】
また、
図2に示したように、板バネ60は、レバー40の回転状態に対応して、レバー40の第1の凸部41に当接する第1の押付面61、及び第2の押付面62を有する。また、板バネ60は、第1の押付面61、第2の押付面62と固定面64との間に位置し、略U字形状をした変形部65を有する。レバー40の回転状態に対応して、板バネ60は、第1の押付面61または第2の押付面62がレバー40の第1の凸部41に当接し、押し上げられて、変形部65が弾性変形し、レバー40に回転力を付与することができる。板バネ60は、例えば、ステンレス鋼板を打ち抜き、折り曲げて形成することができる。
【0030】
図2に示すように、ベース30は、凹部形状を有し、レバー40の軸部44を挿入するための軸受31を有する。この軸受31は、レバー40の回転状態に対応して、軸部44が上下方向に移動できるように、例えば、長軸が上下方向に延伸する楕円の形状を有することができる。または、レバー40の軸部44の直径よりも大きい直径を有する略円形の形状を有することができる。初期状態、及び結線前の状態では、レバー40の軸部44が軸受31の底部で支持されて、この支持部を支点としてレバー40が回転する。一方、端子3を端子孔から挿入しレバー40を回転させて、導電板70と端子3とが結線されて結線状態になったときには、端子押付金具50の第1の凸部51、及び端子押付金具50の第2の凸部52は、端子3の表面の2箇所に当接するように形成されている。このとき、軸受31の形状に沿って、レバー40の軸部44は、上方に移動し、軸受31の底部から離間し、浮いた状態になっており、レバー40は、端子押付金具50の第1凸部51、及び端子押付金具50の第2の凸部52により支持される。この状態では、端子押付金具50の第1の凸部51がレバー40の回転の支点となることができる。
【0031】
端子押付金具50の第1の凸部51、及び端子押付金具50の第2の凸部52は、導電板70と端子3とが結線状態になったときに、端子3の表面に2箇所で当接するようにするために、端子押付金具50の第1の凸部51、及び端子押付金具50の第2の凸部52は、基準面からの高さが、ほぼ同じ高さとなるように設定されている。
【0032】
また、端子3の先端が当たる端子押付金具50の第4の凸部54と、端子3の抜けを防止するための端子押付金具50の第3の凸部53は、基準面からの高さが、端子押付金具50の第1の凸部51、及び端子押付金具50の第2の凸部52の基準面の高さより大きくなるように形成されているが、端子押付金具50の第3の凸部53と端子押付金具50の第4の凸部54は、導電板70のスリット穴71に挿入されるように構成されているので、端子押付金具50の第3の凸部53と端子押付金具50の第4の凸部54が端子3の表面に当接することはない。
【0033】
また、結線状態において、レバー40の第1の凸部41は、板バネ60で押圧されることで、レバー40には下向きの応力が作用するので、端子押付金具50の第1の凸部51、及び端子押付金具50の第2の凸部52の両方が一層当接可能な状態とすることができる。この場合、端子押付金具50の第1の凸部51、及び端子押付金具50の第2の凸部52は、基準面からの高さが、僅かに異なっている場合でも、端子押付金具50の第1の凸部51、及び端子押付金具50の第2の凸部52の両方を当接させることができる。
【0034】
また、ベース30は、端子が挿入される端子孔38を有しており、端子孔38は外部に開口している。また、ベース30は、対向する2つの外周リブ33同士の間には、表示用凹部90が設けられている。この表示用凹部90はベース30の中央部の上面に設けられており、端子の極等を表示するために、表示板又は表示シール等が表示用凹部90内に配置される。
【0035】
また、ベース30は、複数の圧入穴91を有しており、ベース30の背面(組み立て時に導電板70が挿入される側とは反対側の面)には複数の嵌合突起92が設けられている。すなわち、端子台1の背面を示す
図3に図示されているように、ベース30は、圧入穴91と対応する位置に略円柱状の圧入突起92を有している。そして、圧入突起92の外寸は圧入穴91の内寸よりも大きく、2つのボックス10は圧入によって互いに連結できる。
なお、複数のボックス10を連結させる場合、連結構造体の端部には側板(不図示)が連結される。この側板も、複数の圧入突起92又は複数の圧入穴91を有しており、圧入によってボックス10と連結できる。このようなベース30は、例えば樹脂射出成形によって形成することができる。
【0036】
次に、概略分解図である
図2に戻り、端子台1の組み立て方法について説明する。まず、導電板70を、ベース30の凹部35に挿入し、さらに、ベース30の第1のリブ36により導電板70の表面72を挟持することでベース30に固定する。
【0037】
次に、板バネ60を、ベース30の外周面と固定ボス34との間に設けられた空隙に板バネ60の固定面64が入るように挿入し、ベース30の第2のリブ37の下面により、固定面64を挟持することでベース30に板バネ60を固定する。さらに、板バネ60は、固定面64より内側に折り曲げられた曲部63を有する。本実施形態では、互いに対向して設けられた4個の曲部63が形成されている。板バネ60をベース30に挿入したときに、曲部63によりベース30の固定ボス34が把持されるように、板バネ60をベース30に固定する。これにより、板バネ60は、上下方向、及び前後方向で確実にベース30に固定される。
【0038】
次に、端子押付金具50をレバー40の下面の圧入溝47に圧入し、レバー40に固定し一体化させる。なお、端子押付金具50はレバー40の樹脂射出成形時にインサート成形にて一体化させることもできる。端子押付金具50と一体化されたレバー40(以下、レバー40とは、特に説明がないときは、端子押付金具50と一体化されたレバー40をいう。)の軸部44をベース30の軸受31に挿入する。その際、端子押付金具50の第4の凸部54と端子押付金具50の第3の凸部53が、導電板70の表面72に当るのを防ぐため、レバー40の第1の凸部41と板バネ60の第1の押付面61を当接させて、結線前位置でレバー40を組み立てる。同様に、長手方向における中央部を境界として、反対側のレバー40を組み立てる。
【0039】
その後、ベース30と同じ形状の他のベース、又はベース30に対応する形状を有する側板を、ベース30と対向させる。その際には、レバー40の軸部44を対向するベース又は側板の軸受31に挿入する。次に、ベース30の圧入穴91に、圧入突起92を圧入する。最後に、
図1のように、レバー40を初期位置の状態にして、端子台1の組み立てが完了する。なお、ベース30は、接着又はネジ止め等の方法によって、他のベース等に連結してもよい
【0040】
上記で説明したように、端子台1は、少ない部品で構成されており、しかも構造が簡単であるので、容易に組立を行うことができる。また、組立の際に、部品の位置調整などは必要がない。レバー40を操作するだけで、導電板70と端子3とを再現性良く安定して電気的に導通させることができる。
【0041】
次に、本実施形態に係る端子台1の動作を説明する。
図4〜
図17を参照して端子台1の動作を説明する。なお、
図4、
図7、
図10、
図14における矢印はレバー40の回転方向を表す。
【0042】
本実施形態に係る端子台1の動作として、端子3を端子台1に接続する前の結線前状態、端子3を端子台1に接続するための結線状態、及び端子3が端子台1に接続された結線後状態の3段階に分けて説明する。
【0043】
(結線前状態)
図4は、本実施形態に係る端子台の動作を説明するための図であり、結線前状態を示している。
図4(a)は、端子台1の上面図である。
図4(b)は、側面図を示している。
図5は、
図4(a)のV−V線にそって切った断面を示している。また、
図6は、
図4(a)のVI−VI線にそって切った断面を示している。
【0044】
図4〜6に示すように、本実施形態に係る端子台1に、端子3を結線する前の状態では、レバー40は斜め右下方向に位置している。このとき、レバー40の第1の凸部41が、板バネ60の第2の押付面62に当接し、板バネ60の変形部65が変形した状態となっている。この状態では、ベース30の端子孔38から端子3を挿入しても、レバー40の前面48により当たり、端子3を挿入できないようになっている。レバー40の前面48と導電板70(又は導電板の表面72)との空隙が小さくなっているので、このレバー40の前面48と導電板70との空隙から、埃等が入るのを防止することができる。
【0045】
図6に示すように、レバー40の軸部44が、楕円形状を有するベース30の軸受31に挿入されており、ベース30の軸受31の下側面にレバー40の軸部44の下側面が当接することで、レバー40が支持されている。このとき、レバー40の軸部44の下側面が、回転支点(第1の回転支点101)として機能しており、レバー40が、板バネ60によって、
図4に示した矢印方向(図の右下方向)に応力が作用するように構成されている。このとき、レバー40の第2の凸部42がベース30のストッパーリブ32に押し付けられることで、ガタツキがなく、レバー40の位置が安定して維持されている。
【0046】
また、
図5に示すように、レバー40が斜め右下方向に位置した状態では、ベース30のストッパーリブ32によって、レバー40の位置が制限され、これ以上矢印方向に動かないように設計されているので、端子押付具50の第2の凸部52が導電板70の固定面72と近接した状態となっている。これにより、端子押付金具50の第2の凸部52が導電板70に当たって導電板に傷をつけることを防止することができる。また、端子押付金具50の第2の凸部52と導電板70の固定面72との間には、空隙がほとんど設けられていないので、例えば端子付きケーブル2(
図10参照)を、間違って挿入することを防止することができる。また、レバー40が、
図4に示す斜め右下方向の位置にあることで、結線前状態の状態であることを知ることができる。
【0047】
次に、
図7〜9を用いて、端子3を端子台に接続するときの、端子台の動作について説明する。
図7は、本実施形態に係る端子台の動作を説明するための図であり、結線前状態を表している。
図7(a)は、端子台の上面図である。
図7(b)は、側面図を示している。
図8は、
図7(a)のVIII−VIII線にそって切った断面を示している。また、
図9は、
図7(a)のIX−IX線にそって切った断面を示している。
【0048】
図7及び8に示すように、作業者が、斜め右下方向に位置しているレバー40を、矢印方向(第1の方向)にレバー40の側面43がベース30の外周リブ33に当るまで回転させる。レバー40の回転に応じて、レバー40の第1の凸部41が、板バネ60の第2の押付面62から第1の押付面61に移動し、板バネ60の第2の押付面62に当たっていたレバー40の第1の凸部41が、板バネ60の第1の押付面61に当たる。その結果、レバー40は、板バネ60から
図7及び8に示した矢印方向(図の右上方向)(第1の方向)への応力を受けている。レバー40の側面43がベース30の外周リブ33に押し付けられて、レバー40の回転が制限されるため、レバー40は、
図7〜9に示したように、右上の位置で保持される。この状態が、本実施形態における解放状態に相当する。
【0049】
図9に示すように、レバー40が回転している状態、或いは、右上の位置にある状態においても、第1の回転支点101がレバー40の回転支点となっている。このとき、
図8及び9に示すように、レバー40と導電板70の間には、例えば端子3又は端子付きケーブル2が挿入可能な隙間が形成されることができる。
【0050】
(結線状態)
図10〜13を用いて、端子3を端子台1に接続するための結線状態について、以下に説明する。
図10は、本実施形態に係る端子台の動作を説明するため図であり、支点移動位置を表している。
図10(a)は、端子台の上面図である。
図10(b)は、側面図を示している。
図11は、
図10(a)のXI−XI線にそって切った断面を示している。
図12は、
図11のA部を拡大した拡大図を示す図である。
図13は、
図10(a)のXIII−XIII線にそって切った断面を示している。
【0051】
まず、作業者は、ベース30の端子孔38(
図2参照)を介して、端子付きケーブル2をレバー40と導電板70との間に挿入する。その後、作業者は、端子付きケーブル2に設けられた端子3の先端で、レバー40に装着された端子押付金具50の第4の凸部54を押す。このとき、レバー40は、自動的に右下の方向(
図10の矢印方向)(第2の方向)に回転し、端子3が導電板70と電気的に接続する状態とすることができる。端子3の先端で、端子押付金具50の第4の凸部54を押して、レバー40を右下の方向に回転させたときは、第1の回転支点101が回転支点として機能している。
【0052】
次に、
図11〜13に示すように、レバー40の回転に応じて、レバー40の第1の凸部41が、板バネ60の第1の押付面61から第2の押付面62に移動し、板バネ60の第1の押付面61に当たっていたレバー40の第1の凸部41が、板バネ60の第2の押付面62に当たる。レバー40は、板バネ60によって、
図11〜13に示した矢印方向(図の右下方向)(第2の方向)に応力が作用するようになる。
【0053】
次に、レバー40の回転に応じて、レバー40の回転支点が第1の回転支点101から第2の回転支点102に移動することについて、詳細に説明する。
図11及び12に示すように、レバー40が右下の方向に回転することにより、端子押付金具50の第1の凸部51が端子3の表面に当接する。この端子押付金具50の第1の凸部51が端子3の表面に当接した状態から、さらにレバー40を、右下の方向に回転することにより、レバー40の回転支点が、第1の回転支点101から、端子3の表面に当接した端子押付金具50の第1の凸部51(第2の回転支点102)に切り替わることができる。
【0054】
端子3の表面に当接した端子押付金具50の第1の凸部51(第2の回転支点102)が、レバー40の回転支点(第2の回転支点102)として機能するように、回転支点が切り替わったとき、レバー40の軸部44が、ベース30の軸受31の下側面から上方向に移動しながら離間する。これにより、レバー40の軸部44は、ベース30の軸受31内で、浮いた状態となっている(
図17参照)。本実施形態では、ベース30の軸受31は、楕円形状を有しており、レバー40の回転支点が、第1の回転支点101から、第2の回転支点102に切り替わる際に、ベース30の軸受31の楕円形状に沿って上方向に移動することができる。このため、レバー40を回転した際に、レバーの振れを小さくすることができる。しかし、ベース30の軸受31の形状は、楕円形状に限らず、略円形や長円形の形状であってもよい。
【0055】
(結線後状態)
次に、
図14〜17を用いて、端子3が端子台1に接続された結線後状態について説明する。
図14は、本実施形態に係る端子台の動作を説明するため図であり、結線状態を表している。
図14(a)は、端子台の上面図である。
図14(b)は、側面図を示している。
図15は、
図14(a)のXV−XV線にそって切った断面を示している。
図16は、
図15(b)のB部を拡大した拡大図を示す図である。また、
図17は、
図14(a)のXVII−XVII線にそって切った断面を示している。
【0056】
図15〜17に示すように、第2の回転支点で回転したレバー40は、端子押付金具50の第2の凸部52が端子3の表面に当たり、端子3を導電板70に押圧して電気的に接続する。この状態が、本実施形態における接続状態に相当する。また、レバー40は、端子3と導電板70とが接続された状態で、この位置(「結線後位置」という)に保持される。一方、レバー40の回転支点として機能する端子押付金具50の第1の凸部51(第2の回転支点102)も、端子3の表面に当接している。したがい、端子3と導電板70とが電気的に接続された結線時では、端子押付金具50の第1の凸部51(第2の回転支点102)と、端子押付金具50の第2の凸部52の2ヶ所で端子3を押さえ、端子3の裏面を導電板70の表面に押し付けることができる。つまり、端子3を挿入する方向の2か所で、レバー40に装着された端子押付金具50の第1の凸部51と端子押付金具50の第2の凸部52とで導電板70に端子3を押さえて固定するように構成されているので、端子の前後方向でのガタツキが低減され、端子3を確実に、安定して導電板70に接続固定することができる。
【0057】
上記で説明したように、本実施形態に係る端子台1では、レバー40の回転支点を、レバー40の回転状態に合わせて、第1の回転支点から第2の回転支点に変更するように構成されている。これにより、端子押付金具50の第1の凸部51と端子押付金具50の第2の凸部52とで、端子3をその挿入方向の2か所で押さえることができるので、端子の前後方向でのガタツキが低減され、端子3を確実に、安定して導電板70に接続固定することができる。
【0058】
また、本実施形態に係る端子台1において、例えば、端子3として孔部を有する端子を用いることができる。この場合、結線後状態の際に、端子押付金具50の第3の凸部53は、端子3の孔部に挿入され、端子3が抜け出ることが防止できる。また、レバー40は、結線前状態、結線状態、及び結線後状態の各状態に切り替えるために上下方向に回転させた際に、レバー40の第1の凸部41が常に板バネ60に接触するように構成されており、どの状態においてもレバー40にはガタツキがない。また、端子台1を、例えば振動する場所で使用しても、レバー40のガタツキに起因する異音を防止することができる。
【0059】
板バネ60は、互いに交差する方向に延伸する第1の押付面61と第2の押付面62を有している。レバー40が右下の位置にある状態では、レバー40の第1の凸部41が第2の押付面62に当接し、レバー40に右下方向への回転力(弾性力)が生じる。一方、レバー40が右上の位置にある状態では、レバー40の第1の凸部41が第1の押付面61に当接し、レバー40に右上方向への回転力(弾性力)が生じる。このように、レバー40の位置により、右下方向と右上方向の2方向に、容易に回転力(弾性力)の方向を切り替えることができる。
【0060】
また、本実施形態に係る端子台1によれば、ケーブルの先端部に端子(例えば、穴付き圧着端子)を装着し、端子孔38に端子を挿入するだけで、自動結線ができる。さらに、端子台1は、単純な形状の部品から構成されており、また、構造も簡単であるため、専用工具なしで容易に組み立てを行うことができる。また、組み立てに要する時間を短くすることができる。結果として、従来と比較して低コストで信頼性の高い端子台を提供することができる。
【0061】
また、本実施形態に係る端子台1の端子への接触圧力は板バネ60の付勢力によって定めることができる。板バネ60の付勢力は、板バネの板厚や、板バネのサイズにより調整することができる。そのため、用途に応じて、小電流(例えば、150A以下の電流量)が流れる電線(端子)から、大電流が流れる電線(端子)を接続する場合まで、容易に形状変更して対応できる。