特開2021-118531(P2021-118531A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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▶ 梅田 俊之の特許一覧

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  • 特開2021118531-重力波通信装置 図000003
  • 特開2021118531-重力波通信装置 図000004
  • 特開2021118531-重力波通信装置 図000005
  • 特開2021118531-重力波通信装置 図000006
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-118531(P2021-118531A)
(43)【公開日】2021年8月10日
(54)【発明の名称】重力波通信装置
(51)【国際特許分類】
   H04B 1/04 20060101AFI20210712BHJP
   H04L 27/02 20060101ALI20210712BHJP
   H04L 27/10 20060101ALI20210712BHJP
   H04L 27/18 20060101ALI20210712BHJP
   H04B 1/16 20060101ALI20210712BHJP
【FI】
   H04B1/04 Z
   H04L27/02
   H04L27/10
   H04L27/18
   H04B1/16 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】書面
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2020-22857(P2020-22857)
(22)【出願日】2020年1月28日
(71)【出願人】
【識別番号】520053027
【氏名又は名称】梅田 俊之
(72)【発明者】
【氏名】梅田 俊之
【テーマコード(参考)】
5K060
5K061
【Fターム(参考)】
5K060CC04
5K060FF02
5K060FF03
5K061BB16
(57)【要約】
【課題】 いかなる遮蔽物も通過し、送受信が可能な無線通信装置を提供する。
【解決手段】 錘の位置を振動的に変化させる送信装置と、錘の振動的変化による万有引力若しくは重力場の加速度変化を検出する受信装置とで構成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
質量を有する第1の錘と、当該第1の錘を振動周波数で振動させる振動手段を具備する送信装置と、前記第1の錘が有する万有引力による加速度を検出する加速度検出手段を具備する受信装置とで構成される無線通信装置において、
前記振動手段の周波数成分にはデータ信号を含み、前記受信装置は前記振動周波数から前記データ信号を復元する
ことを特徴とする、重力波通信装置。
【請求項2】
前記周波数成分は、振幅変調、若しくは周波数変調、若しくは位相変調、若しくはオンオフ変調によって、前記振動周波数を変調したデータ信号を含む
ことを特徴とする、請求項1記載の重力波通信装置。
【請求項3】
前記加速度検出手段は、質量を有する第2の錘と、当該第2の錘の位置の変化を電気信号に変換する電気信号変換手段を具備する
ことを特徴とする、請求項1乃至、請求項2記載の重力波通信装置。
【請求項4】
前記加速度検出手段は、前記第2の錘と復元力を有する弾性体とで構成され、前記加速度検出手段の持つ共振周波数と、前記振動手段の前記振動周波数とが大概等しい
ことを特徴とする、請求項1乃至、請求項3記載の重力波通信装置。
【請求項5】
前記振動手段の前記振動周波数と大概等しい周波数で前記電気信号変換手段からの出力信号を復調する
ことを特徴とする、請求項1乃至、請求項4記載の重力波通信装置。
【請求項6】
前記データ信号には拡散符号が乗じられ、前記電気信号変換手段からの出力信号には前記拡散符号の逆拡散符号が乗じられ、当該データ信号を復元する
ことを特徴とする、請求項1乃至、請求項5記載の重力波通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物質の持つ万有引力若しくは重力場を用いて信号を送受信する通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からの無線通信装置は電磁波、音波、光等を用いて送受信する装置が主であった。また、万有引力を検出する手段として万有引力実験器がある。しかし、万有引力もしくは重力場を用いて信号を無線通信する装置は従来例が無い。
【0003】
【非特許文献1】・株式会社 島津理化,“万有引力実験器 GN−10”,インターネット<URL:https://www.shimadzu−rika.co.jp/kyoiku/butsuri/chikara_undo/121_330.html>
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来からの無線通信装置は、金属、水等の遮蔽物によって通信経路が断たれ、通信が不通となる場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明では従来通信に利用されていなかった万有引力もしくは重力場を用いて、通信経路中の遮蔽物等の影響を受けない通信装置を提供するのである。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【実施例】
【0007】
図1は本発明に係わる重力波通信装置の一実施例を示す機能ブロック図である。送信データ入力手段4へ入力されたデータ信号は、振動制御手段3において、送信基準周波数(f0)にデータ信号成分(f1)を含んだ振動周波数(f0±f1)へ変調される。ここで変調方式はAM変調、FM変調、PM変調、OOK変調、QAM変調等の信号変調手法を用いている。振動手段2は、振動制御手段3で所望の信号に変調された周波数(f0±f1)で錘1を振動させる。これらの機能ブロックによって送信装置101は構成される。
【0008】
錘1は振動によって位置が変動する。この錘1の変動が振動的な重力場の変化を与え、空間的に錘1から離れた場所にある加速度検出手段5は、錘1の位置変動によって生ずる重力場変動による加速度変化を検出する。加速度変化は電気信号変換手段6で周波数(f0±f1)の電気信号に変換される。信号復調手段7は周波数(f0±f1)の検出信号を送信基準周波数(f0)と大概同一な受信基準周波数で復調され、元のデータ信号成分(f1)と同一のデータ信号が受信データ出力手段8から出力される。ここで送信基準周波数と受信基準周波数との周波数は1%程度以下の精度で一致する。これらの機能ブロックによって受信装置201は構成される。
【0009】
このように本実施形態では、データ成分を含めた周波数で錘1を振動させることにより送信装置101からデータを送信し、離れた場所にある受信装置201が重力場変動を検出し、データを受信する無線通信手法を提供するものである。
【0010】
図2は本発明に係わる受信装置の一実施例を示す構成図である。加速度検出手段5の筐体内部には錘9と弾性体であるバネ10の一方が接続され、バネ10のもう一方は筐体に接続されている。バネ10の伸縮方向に加速度が与えられると、錘9は加速度による位置変化が生じ、バネ10の弾性力とで振動が発生する。錘9と筐体には電極が平行して設置される電気容量検出手段11があり、加速度による錘9の位置変化を電気容量の変化に変換し、導線を経由し、この電気容量変化を電気信号に変換する電気信号変換手段6へつながっている。ここで弾性体は圧電素子等の形状−電気変換素子等でもよい。
【0011】
図3は本発明に係わる加速度検出手段の感度周波数特性の一例を示すグラフである。加速度検出手段は錘9とバネ10で構成されているため、共振周波数f0で共振する。このとき加速度検出感度は極大値を持ち、感度特性が良好となる。一方、この共振周波数f0から外れた周波数f0−f1では感度は周波数にほとんどよらない低い値となる。図3のグラフでは周波数f0−f1の感度は0dB、共振時の感度は60dBという値となっている。
【0012】
図4は本発明に係わる送信装置の錘の時間変位、受信装置の加速度検出波形、受信装置の出力データ信号の観測結果の一例を示すグラフである。送信装置の振動制御手段3において、入力データが1の場合は周波数f0で振動させ、入力データが0の場合は周波数f0−f1で振動させる周波数変調を例にして波形を示している。
【0013】
入力データ列を1、0、1、1とすると、送信装置の錘1はデータビット毎にf0、fo−f1、f0、f0と周波数が変化して振動する。受信装置の加速度検出装置5は周波数f0が共振周波数となるため、感度特性が向上し、周波数f0−f1と比べ検出波形の振幅に差異が生じる。この振幅変化と周波数変化を信号復調手段7で検出し、データ列1、0、1、1として出力する。
【0014】
送信装置101の振動制御手段3は、入力データの信号変調と共に拡散符号化等の符号化手法を用い、受信装置201の信号復調手段7は逆拡散符号での復号化と信号データの復調をおこなうこともできる。例えば1000倍の拡散符号化により30dBの拡散利得が得られ、ノイズ以下のデータ信号が復元可能となる。
【発明の効果】
【0015】
上記のように、送信装置101の錘1の振動的な位置変位による万有引力もしくは重力場の変化を、受信装置201では検出することができ、従来に無い重力波による無線通信を提供することができる。本発明の効果は重力場の性質からどのような物質も通過することができ、従来通信ができなかった金属遮蔽物や水中での無線通信も可能となる無線通信装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
図1】本発明に係わる重力波通信装置の一実施例を示す機能ブロック図。
図2】本発明に係わる受信装置の一実施例を示す構成図。
図3】本発明に係わる加速度検出手段の感度周波数特性の一例を示すグラフ。
図4】本発明に係わる送信装置の錘の時間変位、受信装置の加速度検出波形、受信装置の出力データ信号の観測結果の一例を示すグラフ
【符号の説明】
1:錘
2:振動手段
3:振動制御手段
4:送信データ入力手段
5:加速度検出手段
6:電気信号変換手段
7:信号復調手段
8:受信データ出力手段
101:送信装置
201:受信装置
9:錘
10:バネ
11:電気容量検出手段
図1
図2
図3
図4