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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-119093(P2021-119093A)
(43)【公開日】2021年8月12日
(54)【発明の名称】振動搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 27/30 20060101AFI20210716BHJP
   B65G 47/14 20060101ALI20210716BHJP
【FI】
   B65G27/30
   B65G47/14 101C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2020-13225(P2020-13225)
(22)【出願日】2020年1月30日
(71)【出願人】
【識別番号】000002059
【氏名又は名称】シンフォニアテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130498
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 禎哉
(72)【発明者】
【氏名】田邉 喜文
(72)【発明者】
【氏名】犬井 智三
【テーマコード(参考)】
3F037
3F080
【Fターム(参考)】
3F037BA03
3F037CA14
3F037CB03
3F080AA13
3F080CB03
3F080CB16
(57)【要約】
【課題】設計上制約のある限られた加振力であっても大振幅の振動性能を発揮し、搬送対象物の搬送速度を向上させることが可能な振動搬送装置を提供する。
【解決手段】振動によってリニア搬送面上の搬送対象物Wを搬送させる振動搬送装置Xであって、リニア搬送面を有する第1質量体1と、第1質量体1に対して逆位相で振動する第2質量体2と、第1質量体1と第2質量体2を接続する第1弾性体3と、基台4と第1弾性体3を接続する第2弾性体5とを備え、第1質量体1の少なくとも一部(可動ウェイト11)と、第2質量体2の少なくとも一部(カウンターウェイト21)と、第1弾性体3とを一体構造にした。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動によってリニア搬送面上の搬送対象物を搬送させる振動搬送装置であり、
前記リニア搬送面を有する第1質量体と、
前記第1質量体に対して逆位相で振動する第2質量体と、
前記第1質量体と前記第2質量体を接続する第1弾性体とを備え、
前記第1質量体の少なくとも一部と、前記第2弾性体の少なくとも一部と、前記第1弾性体とを一体構造にしていることを特徴とする振動搬送装置。
【請求項2】
前記第1質量体及び前記第2質量体における前記搬送対象物の搬送方向上流側の端部同士及び搬送方向下流側の端部同士を接続する位置に前記第1弾性体を配置している請求項1に記載の振動搬送装置。
【請求項3】
前記第1質量体及び前記第2質量体における前記搬送方向上流側端部と前記搬送方向下流側端部の間の中途部分同士を接続する位置に前記第1弾性体を配置している請求項2に記載の振動搬送装置。
【請求項4】
前記第1質量体が、前記一体構造にしたメインフレームを構成する第1質量体本体と、前記第1質量体本体とは別体であって且つ前記リニア搬送面を有する搬送路とを備えたものである請求項1乃至3の何れかに記載の振動搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送対象物を所定方向に搬送可能な振動搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、ワーク等の搬送対象物を振動により搬送路に沿って所定の搬送先へ搬送可能な振動搬送装置が知られている。振動搬送装置は、搬送路を有する可動部(第1質量体)と、固定部として機能する第2質量体と、第1質量体と第2質量体とを接続する板状の第1弾性体(駆動バネ)とを有し、可動部(第1質量体)が有する搬送路を加振源によって水平方向に振動させることで搬送対象物を搬送方向下流側へ搬送可能に構成されている。また、振動搬送装置は、第1質量体、第2質量体及び第1弾性体を有する構造物を第2弾性体(防振バネ)で大地から支持するように構成されている。
【0003】
搬送対象物の生産量増大により振動搬送装置からの供給量(振動搬送装置による搬送速度)の向上がこれまで以上に求められている。搬送速度を向上させるには駆動周波数及び振幅を上げることが第1優先事項である。
【0004】
そこで、高周波大振幅の振動を実現するため、目標振幅時にも破損しない1枚の薄い板バネを複数枚重ねて使用する態様(重ね板バネ方式)が案出されている(特許文献1)。
【0005】
このような重ね板バネ方式を採用すると、板バネを重ねるほど第1弾性体としてのバネ定数は大きくなり、高周波振動が可能になるとともに、大振幅でも個々の板バネが破損しない駆動バネを振動搬送装置に搭載することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平09−123126号公報(特許第3509397号公報)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、重ね板バネ方式の採用如何を問わず、従来の板バネは一般に第1質量体と第2質量体の両端同士をそれぞれ接続する位置にボルトで固定されている。
【0008】
ここで、搬送速度を向上するためのポイントとして、共振特性のピーク(以下、共振ピークと略す場合がある)を向上させる点が挙げられる。すなわち、同じ加振力であっても共振倍率が高いほど大きな振幅を得ることができ、少ない加振力で大振幅を実現することが可能になり、このことが搬送速度の向上に寄与する。
【0009】
しかしながら、第1質量体と第2質量体の両端同士を板バネで接続する際にボルト止めを必須とする従来の構成であれば、板バネとボルト平ワッシャとの摩擦により粘性減衰が増加し、共振ピークが低下するという問題が生じる。また、板バネの大きな弾性変形(曲げ)により平ワッシャとの固定形状が変化して板バネの有効長が変化し、これによって元来線形特性バネであった板バネが非線形特性バネとなり、これもまた共振ピークを低下させる要因、また駆動周波数(共振周波数)の低下につながる要因と考えられる。
【0010】
さらに、1質量体と第2質量体の両端同士を接続する板バネをボルトで固定する従来の構成であれば、板バネが撓んだ際に、第1質量体及び第2質量体の両端(バネ固定端)に曲げモーメントが作用し、これによって剛体であることが望ましい第1質量体及び第2質量体がS字状に撓む弾性体となる。第1質量体及び第2質量体がS字状に撓むと、部品間で摩擦が生じ、粘性減衰が増加することで、共振ピークや駆動周波数が低下することになる。
【0011】
本発明は、このような点に着目したものであって、主たる目的は、設計上制約のある限られた加振力であっても大振幅の振動性能を発揮し、搬送対象物の搬送速度を向上させることが可能な振動搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
すなわち本発明は、振動によってリニア搬送面上の搬送対象物を搬送させる振動搬送装置に関するものである。ここで、搬送対象物としては、例えば微小サイズの電子部品(ワーク)や医療用部品等を挙げることができるが、本発明の振動搬送装置によって搬送可能なものであれば特に限定されない。
【0013】
そして、本発明に係る振動搬送装置は、リニア搬送面を有する第1質量体と、第1質量体に対して逆位相で振動する第2質量体と、第1質量体と第2質量体を接続する第1弾性体とを備え、第1質量体の少なくとも一部と、第2弾性体の少なくとも一部と、第1弾性体とを一体構造にしていることを特徴としている。
【0014】
ここで、本発明における「第1質量体の少なくとも一部と、第2弾性体の少なくとも一部と、第1弾性体とを一体構造にしている」態様には、i)第1質量体の全部と、第2質量体の全部と、第1弾性体とを一体構造にしている態様、ii)第1質量体の一部と、第2質量体の全部と、第1弾性体とを一体構造にしている態様、iii)第1質量体の全部と、第2質量体の一部と、第1弾性体とを一体構造にしている態様、iv)第1質量体の一部と、第2質量体の一部と、第1弾性体とを一体構造にしている態様、これら全ての態様が包含される。以下では、一体構造にしている塊を一体構造物とする。リニア搬送面は第1質量体を構成するものであるが、ii)の態様、及びiv)の態様を採用した場合、第1質量体は一体構造物を構成するパーツと、一体構造物とは別体のパーツとを備えたものになり、第1質量体のうち一体構造物を構成するパーツにリニア搬送面を形成するか、一体構造物とは別体のパーツにリニア搬送面を形成するかは適宜選択することができる。
【0015】
本発明に係る振動搬送装置であれば、第1質量体の少なくとも一部と、第2弾性体の少なくとも一部と、第1弾性体とを一体構造にしているため、第1質量体と第1弾性体の接続箇所、及び第2質量体と第1弾性体の接続箇所において摩擦が発生せず、ボルト等の固定具で第1弾性体を第1質量体や第2質量体に固定する構成と比較して、粘性係数が減少し、共振ピークが低下しない。また、大振幅時でも固定条件(接続箇所における接続条件)が変化せず、第1弾性体のバネ定数非線形性による駆動周波数(共振周波数)の低下を低減できる。ここで、ボルト等の固定具で第1弾性体を第1質量体や第2質量体に固定する構成であれば、第1弾性体の振幅が大きくなるほど、第1弾性体である板バネとボルトのうち板バネに接触するボルト端面との間や、板バネと第1質量体もしくは第2質量体のうち板バネに接触する接触面との間に隙間が発生し、板バネの有効長が長くなることで、バネ定数が下がる。このように振幅変位に対してバネ定数が変化することを第1弾性体のバネ定数非線形性と呼び、従来の振動搬送装置では、大振幅になるとバネ定数が下がり、駆動周波数が低下する傾向になる。したがって、従来のボルト等の固定具で第1弾性体を第1質量体や第2質量体に固定する構成であれば回避できない共振ピークが低下する要因を、本発明に係る振動搬送装置によれば悉く解消することができ、少ない加振力で大振幅を実現することができる。
【0016】
本発明に係る振動搬送装置において、第1弾性体によって第1質量体と第2質量体を接続する位置は特に限定されないが、安定した支持状態を確保するには、従来の駆動バネによる接続箇所に準じた構成、すなわち、第1質量体及び第2質量体における搬送対象物の搬送方向上流側の端部同士及び搬送方向下流側の端部同士を接続する位置に第1弾性体を配置する構成が望ましい。
【0017】
第1質量体と第2質量体の両端同士を接続する板バネをボルトで固定する従来の構成であれば、板バネが撓んだ際、第1質量体、第2質量体の両端(バネ固定端)には、曲げモーメントが作用し、これによってバネの固定部として剛体であることが望ましい第1質量体及び第2質量体がS字状に撓む。この際、バネの固定部である第1質量体と第2質量体が撓むことで、バネの固定ができず、バネ定数が下がり周波数の低下を招来する。また、部品間で摩擦が生じ、粘性減衰が増加することで共振ピークが低下する。そこで、第1質量体及び第2質量体における搬送方向上流側端部と搬送方向下流側端部の間の中途部分同士を接続する位置にも第1弾性体を配置した振動搬送装置であれば、第1弾性体によって第1質量体及び第2質量体を搬送方向(前後方向)の両端と中途部分で支持するため、中途部分に配置した第1弾性体がリブとしての役割を果たし、第1質量体及び第2質量体の曲げ剛性を向上させることができ、これによって第1質量体及び第2質量体の撓み変化がより一層少なくなり、リニア搬送路の変形を抑制することができるとともに、バネ定数が上がり、駆動周波数が高く、且つ部品間の摩擦が減って共振ピークを上げる好条件を満たす構成となる。
【0018】
上述の通り、第1質量体は一体構造物を構成するパーツと、一体構造物とは別体のパーツとを備えたものであっても構わないが、後者の場合、第1質量体が、一体構造にしたメインフレーム(一体構造物)を構成する第1質量体本体と、第1質量体本体とは別体であって且つリニア搬送面を有する搬送路とを備えたものであれば、高度な設計仕様が要求されるリニア搬送路をメインフレームとは別体に専用品として用意することができ、一体構造物であるメインフレームの製造時の加工負担を軽減することができる。
【0019】
さらに、第1質量体及び第2質量体の間において複数の第1弾性体を搬送対象物の搬送方向に沿って離間させて配置した振動搬送装置であれば、搬送方向に隣り合う第1弾性体によって区切られるスペースが一体構造物(メインフレーム)の内部空間に形成され、そのスペースが比較的大きなスペースであれば、当該スペースを、例えば第1弾性体に圧電素子を取り付けるためのアクセス空間としても利用できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、第1質量体の少なくとも一部と、第2弾性体の少なくとも一部と、第1弾性体とを一体構造にするというこれまで着想されることの無かった斬新な構成を採用したことによって、一体構造体(メインフレーム)が振動する駆動周波数を高周波化することができるとともに、高い共振倍率を達成して大振幅を得ることが可能な振動搬送装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態に係る振動搬送装置(リニアフィーダ)の全体を模式的に示す平面図。
図2】同実施形態に係る振動搬送装置の分解斜視図。
図3図2の要部拡大図。
図4図1における矢印A方向から見た振動搬送装置を一部省略して示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0023】
本実施形態に係る振動搬送装置Xは、図1に示すように、例えば電子部品等のワークKを搬送路14(後述するリニア搬送路14)上において振動により移動させながら所定の搬送先(供給先)に搬送する装置である。なお、リニア搬送路14の上流端には、整列させながら搬送するボウルフィーダの搬送路(ボウル搬送路)の下流端が接続されている(図示省略)。したがって、リニアフィーダXは、ボウルフィーダに形成した搬送路(ボウル搬送路)を経由して搬送されたワークKを振動によってリニア搬送路14の終端まで搬送して所定の搬送先に供給可能なものである。このリニアフィーダXには、オーバーフロー時やワークKが所定の搬送姿勢ではないと判別した場合にその対象となるワークK(オーバーフローとなるワークKや所定搬送姿勢ではないと判別したワークK)をボウル搬送路に戻すリターン部(リターン用搬送路)を備えている。
【0024】
リニアフィーダXは、図1乃至図4に示すように、リニア搬送面を有する第1質量体1と、第1質量体1に対して逆位相で振動する第2質量体2と、第1質量体1及び第2質量体2を相互に接続する第1弾性体3と、基台4と、基台4及び第1弾性体3を相互に接続する第2弾性体5とを備えたものである。
【0025】
本実施形態では、搬送方向Tに沿って長尺な形態を有する基台4の上方に、第1質量体1のメインパーツである可動ウェイト11(可動部)を配置し、可動ウェイト11の上方に、第1弾性体3を介して第2質量体2のメインパーツであるカウンターウェイト21(固定部)を配置し、カウンターウェイト21の上方に側面連結板12を介して可動ウェイト11に連結したシュート台13を配置している。本実施形態では、図2に示すように、対をなす側面連結板12を介して可動ウェイト11及びシュート台13を相互に連結している。なお、図4では、対をなす側面連結板12のうち紙面手前側の側面連結板12を省略している。
【0026】
シュート台13の上面には、ボルト等の固定具を介して搬送路14を着脱自在に設け、搬送路14に振動が付与されることにより、ワークKが搬送路14に設けられたリニア搬送面(搬送溝)内を移動する。シュート台13は、可動ウェイト11の振動と同期した動きをするものであり、可動ウェイト11の振動を搬送路14に伝達する振動伝達部として機能する。
【0027】
以下の説明では、搬送路14に沿ったワークKの搬送方向Tを前後方向Tとし、搬送方向T上流側を後側とし、搬送方向T下流側を前側とする。また、搬送方向Tに対して水平面内で直交する方向を幅方向W(横断方向)とする(図1等参照)。
【0028】
図2及び図4に示すように、シュート台13の前端部分及び後端部分は、可動ウェイト11よりも前方及び後方にそれぞれ出っ張ったオーバーハング部分になっている。シュート台13の前方オーバーハング部分の下向き面に例えばサブ可動ウェイト(図示省略)を取り付けることもできる。側面連結板12、シュート台13及び搬送路14は、可動ウェイト11と同様に第1質量体1を構成するパーツである。
【0029】
本実施形態では、第1質量体1のメインパーツである可動ウェイト11と、第2質量体2のメインパーツであるカウンターウェイト21の搬送方向Tに沿った寸法(前後寸法)を略同一に設定し、これらカウンターウェイト21及び可動ウェイト11を高さ方向において対向する姿勢で配置している。
【0030】
本実施形態のリニアフィーダXでは、これら可動ウェイト11及びカウンターウェイト21の前端同士及び後端同士を接続する位置に第1弾性体3を配置している。
【0031】
第1弾性体3は、厚み方向を搬送方向Tに略一致させた平板状のバネ(板バネ)の形態を有するものである。第1弾性体3には、加振源として機能する圧電素子31を貼り付け、圧電素子31に電荷を付与することにより第1弾性体3が弾性変形して振動が生じ、第1質量体1及び第2質量体2が振動する。したがって、第1弾性体3は駆動バネとして機能する。本実施形態の第1弾性体3は、弾性変形していない通常姿勢が鉛直方向に起立した姿勢となるように設定している。第1弾性体3及び圧電素子31からなるバネ定数は、搬送する部品の搬送速度や搬送路14(トラフ)の重量等によって定められる任意の共振周波数の条件に応じて適宜選択される。本実施形態では、第1質量体1及び第2質量体2を複数の第1弾性体3によって接続している。
【0032】
また、本実施形態では、可動ウェイト11及びカウンターウェイト21の前端と後端の間における所定の中途部分同士を接続する位置にも第1弾性体3を配置している。第1弾性体3は、それぞれの配置箇所(可動ウェイト11とカウンターウェイト21を接続する箇所)において前後方向Tに僅かな隙間を隔てて2枚1組で配置されている。本実施形態では、可動ウェイト11及びカウンターウェイト21の前端同士を接続する箇所と、可動ウェイト11及びカウンターウェイト21の後端同士を接続する箇所と、可動ウェイト11及びカウンターウェイト21の前端と後端の間における中途部分のうち前後方向T中央よりも前端側に所定距離寄った箇所と、可動ウェイト11及びカウンターウェイト21の前端と後端の間における中途部分のうち前後方向T中央よりも後端側に所定距離寄った箇所の4箇所に、それぞれ2枚の第1弾性体3を前後方向Tに並ぶ形態で配置した態様、すなわち全部で8枚の第1弾性体3を備えた態様を採用している。
【0033】
そして、本実施形態に係るリニアフィーダXは、第1質量体1のメインパーツである可動ウェイト11、第2質量体2のメインパーツであるカウンターウェイト21、及び第1弾性体3を一体構造物(以下、この一体構造物を「メインフレームM」と称す)としている。本実施形態の振動搬送装置Xは、可動部である第1質量体1のメインパーツである可動ウェイト11と、可動ウェイト11に対して固定部として機能する第2質量体2のメインパーツであるカウンターウェイト21と、第1弾性体3とを一体に有する構造物(メインフレームM)を備え、この一体構造物(メインフレームM)を第2弾性体5で大地(本実施形態では大地と見做すことができる基台4)から支持するように構成し、第2弾性体5を防振バネとして機能させている。
【0034】
本実施形態に係るリニアフィーダXは、図2乃至図4に示すように、第2弾性体5をメインフレームMの前方及び後方にそれぞれ配置し、各第2弾性体5によって、基台4とメインフレームMとを連結している。
【0035】
本実施形態では、鉛直方向に延伸する鉛直アーム部51と、水平方向に延伸する水平アーム部52とを一体に有する平板L字状の弾性部材(L字型バネ5A)を用いて第2弾性体5を構成している。図2等に示す第2弾性体5は、鉛直アーム部51の先端(上端)部分を第1弾性体3に固定し、水平アーム部52の先端(鉛直アーム部51が立ち上がっていない方の端部)部分を基台4に固定したものである。
【0036】
本実施形態では、第1弾性体3のうち、水平方向及び鉛直方向に変位しない節の部分に前方または後方に突出する突部32を設け、この突部32に鉛直アーム部51の先端部分を固定している。なお、第1弾性体3は、両端(上端、下端)を可動ウェイト11とカウンターウェイト21にそれぞれ固定したもの(両端固定持ち)であるため、節は長手方向中央部分である。ここで、第1弾性体3の節は、点として捉えることができるものであるが、第1弾性体3において突部32を設けた領域は、第1弾性体3の節を含む所定領域(節及び節の近傍領域)である。突部32には、幅方向Wに離間した2箇所に雌ネジ孔33が設けられている(図3参照)。鉛直アーム部51には、各雌ネジ孔33に連通するボルト挿通孔を形成し、ボルト挿通孔に挿通したボルトB1を雌ネジ孔33に螺合することで、第1弾性体3に第2弾性体5の鉛直アーム部51を固定することができる。ボルトB1の頭部と第2弾性体5の鉛直アーム部51との間に押さえ板を介在させている。
【0037】
基台4の前端部及び後端部には、幅方向Wに離間した2箇所に雌ネジ孔41が設けられている(図3参照)。水平アーム部52には、各雌ネジ孔41に連通する雌ボルト挿通孔を形成し、雌ボルト挿通孔に挿通したボルトB2を雌ネジ孔41に螺合することで、基台4に第2弾性体5の水平アーム部52を固定することができる。
【0038】
本実施形態に係るリニアフィーダXでは、搬送方向Tにおいて第1弾性体3と重複しない位置に第2弾性体5を配置し、第2弾性体5の上端部を第1弾性体3のうち高さ方向H略中央部分である節に取り付けているため、防振性が向上し、低反力化を実現できる。
【0039】
また、本実施形態に係るリニアフィーダXでは、第1弾性体3の前後方向Tの傾斜角度を変更することなく、第2弾性体5の水平方向及び鉛直方向の各弾性係数を独立して調整することで、第1弾性体3の振動がピッチング現象を皆無か略皆無にする所望の振動となるように調節することができる。ここで、本実施形態における「第2弾性体の水平方向の弾性係数」は、「第2弾性体のうち水平成分の弾性係数」と同義であり、「第2弾性体の鉛直方向の弾性係数」は、「第2弾性体のうち鉛直成分の弾性係数」と同義である。また、本実施形態における「水平方向」は、第1弾性体3の取付角度で規定される弾性主軸に沿う方向(弾性主軸に対して平行または略平行となる方向)を意味し、本実施形態における「鉛直方向」は、弾性主軸に対して直交または略直交する方向(弾性主軸に対する法線方向)を意味する。本実施形態に係るリニアフィーダXでは、鉛直方向の振動成分に対する弾性係数を調整可能な水平アーム部52と、水平方向の振動成分に対する弾性係数を調整可能な鉛直アーム部51とを有する平板L字状の第2弾性体5を用いて、第2弾性体5の水平方向及び鉛直方向の各弾性係数を相互に悪影響を及ぼすことなく独立して調整可能な構成を実現している。
【0040】
本実施形態では、図3及び図4に示すように、第2弾性体5の水平部であるL字型板バネ5Aの水平アーム部52のうち先端部分を高さ方向Hに挟む位置に平板状の弾性調整部材6を配置し、これら弾性調整部材6及び水平アーム部52を共通のボルトB2で固定している。弾性調整部材6には、搬送方向T(前後方向T)に延伸する長孔61を形成し、この長孔61に挿入したボルトB2を水平アーム部52の雌ボルト挿通孔にも挿入して、基台4の雌ネジ孔41に螺合することで締め付けている。そして、ボルトB2による締付状態を少し緩めた状態で長孔61内にボルトB2を案内させて水平アーム部52に対する弾性調整部材6の固定位置を変更し、当該位置においてボルトB2を再度締め付けることで、第2弾性体5の水平アーム部52のうちフリーな領域(ボルトB2及び弾性調整部材6で締め付けられたり、押圧されていない領域)の大きさを変更することができ、その結果、第2弾性体5の水平アーム部52における有効長が変更し、第2弾性体5の鉛直方向の弾性係数(バネ定数)を調節することができる。
【0041】
このような調節作業を第2弾性体5毎に順に行うか、同時に行うかは、ピッチング現象の発生状態に応じて選択することができる。
【0042】
弾性調整部材6は、水平アーム部52を厚み方向に挟む位置に配置されたもの、すなわち1つの水平アーム部52に対して2つ配置されるものに限らず、1つの水平アーム部52に対して1つだけ配置されるものであってもよい。この場合、水平アーム部52を厚み方向に押圧する弾性調整部材を適用し、弾性調整部材によって弾性変形不能に押圧する領域を調整することによって水平アーム部52における有効長を変更可能に構成すればよい。弾性調整部材6をスペーサまたはワッシャとして機能させることも可能である。
【0043】
なお、本実施形態では、第2弾性体5の鉛直アーム部51であるL字型板バネ5Aの鉛直アーム部51については、フリーな領域(有効長)を調整できない構成を採用している。このような構成において、第2弾性体5の水平方向の弾性係数(バネ定数)の調整は、鉛直アーム部51のサイズ(鉛直方向の長さ、バネの厚みや幅、重ねる枚数)が異なる他の第2弾性体(図示省略)に取り替える(交換する)ことによって行うことができる。なお、第2弾性体5の鉛直アーム部51についても、水平アーム部52に準じた構成、すなわち、鉛直アーム部51の先端部分を搬送方向T(前後方向T)に挟む位置に平板状の弾性調整部材を配置して、弾性調整部材に高さ方向Hに延伸する長孔を形成し、長孔を利用して鉛直アーム部51に対する弾性調整部材の固定位置を変更することで、第2弾性体5の鉛直アーム部51のうちフリーな領域(ボルトB2及び弾性調整部材6で締め付けられたり、押圧されていない領域)の大きさを変更する構成を適用することが可能である。もちろん、水平アーム部52に関する弾性調整部材の変形例と同様に、1つの鉛直アーム部51に対して1つの弾性調整部材を配置する態様を採用することもできる。この場合、鉛直アーム部51を厚み方向に押圧する弾性調整部材を適用し、弾性調整部材によって弾性変形不能に押圧する領域を調整することによって鉛直アーム部51における有効長を変更可能に構成すればよい。
【0044】
そして、本実施形態に係る振動搬送装置Xは、上述の通り、第1質量体1のメインパーツである可動ウェイト11と、第2質量体2のメインパーツであるカウンターウェイト21と、第1弾性体3とを一体構造物(メインフレームM)にしている。これにより、第1質量体1と第1弾性体3の接続箇所、及び第2質量体2と第1弾性体3の接続箇所において摩擦が発生せず、粘性係数が減少するとともに、大振幅時でも固定条件(接続箇所における接続条件)が変化せず、バネの非線形性が低減される。
【0045】
また、本実施形態に係る振動搬送装置Xによれば、第1弾性体3によって可動ウェイト11及びカウンターウェイト21を前後方向Tの両端と中途部分で支持しているため、可動ウェイト11及びカウンターウェイト21の撓み変化が少なくなり、特に、メインフレームMの可動ウェイト11と、側面連結板12との摩擦が少なくなり、粘性係数が減少する。
【0046】
さらに、第1弾性体3をボルト等の固定具で第1質量体1(可動ウェイト11)や第2質量体2(カウンターウェイト21)に固定する場合であれば、固定具の配置スペースを確保する必要があったが、本実施形態によれば、固定具の配置スペースを確保する必要がなく、第1質量体1の形状に関する設計自由度が高くなり、例えば第1質量体1の高さ寸法を大きく設定することで曲げ剛性を向上させることができ、その結果、第1質量体1(可動ウェイト11)がS字状に撓み難くなり、駆動周波数が高くなる。このように、本実施形態に係るリニアフィーダXによれば、構造体(メインフレームM)が振動する駆動周波数及び振幅を上げることができ、高い共振倍率を達成して大振幅を得ることができる。
【0047】
本実施形態のリニアフィーダXでは、第1質量体1(可動ウェイト11)及び第2質量体2(カウンターウェイト21)の前端と後端の間における中途部分に配置した第1弾性体3がリブとしての役割を果たし、これによっても第1質量体1及び第2質量体2がS字に撓み難くなる。
【0048】
本実施形態では、一塊の金属素材に対してワイヤカット加工を施すことによって、可動ウェイト11、カウンターウェイト21及び第1弾性体3を一体に有するメインフレームMを成形している。なお、ワイヤカット加工以外の加工処理によってメインフレームMを成形することも可能である。
【0049】
本実施形態に係るリニアフィーダXでは、例えば、メインフレームMとは別体のカウンターウェイト(サブカウンターウェイト)をカウンターウェイト21に一体的に取り付けることも可能である。サブカウンターウェイトの設置箇所としては、メインフレームMの内部空間MS、つまり、搬送方向Tに沿って隣り合う第1弾性体3同士の間に形成される比較的大きなスペースMS(2枚1組で近接配置される第1弾性体3同士のスペースは除く)を挙げることができる。この場合、メインフレームMの内部空間MSにサブカウンターウェイトを設けた状態で、サブカウンターウェイトが、カウンターウェイト21以外のパーツ(第1弾性体3、圧電素子31、可動ウェイト11、側面連結板12)に接触しないという条件を満たすことが肝要である。サブカウンターウェイトは、カウンターウェイト21と同様に第2質量体2を構成するパーツである。メインフレームMの内部空間MS(搬送方向Tに隣り合う第1弾性体3によって仕切られる比較的大きなスペースMS)のサイズは、図3及び4等に示すように相互に均等なサイズ(等分)であってもよし、不均等なサイズ(不等分)であってもよい。なお、図3図2の要部拡大図である。また、メインフレームMの内部空間MSは、第1弾性体3に圧電素子31を取り付けるためのアクセス空間としても利用できる。
【0050】
このように、本実施形態に係るリニアフィーダXによれば、第1質量体1と第2質量体2を接続する第1弾性体3を加振源(圧電素子31)によって駆動させて振動させると、第2質量体2が固定部(カウンターウェイト)として機能し、第2弾性体5が防振体として機能することで、第1質量体1が振動し、リニア搬送路14上の搬送対象物Kを所定の搬送方向Tに搬送することができる。さらに、本実施形態に係るリニアフィーダXによれば、第1質量体1の一部である可動ウェイト11と、第2弾性体2の一部であるカウンターウェイト21と、第1弾性体3とを一体構造にしているため、第1質量体1と第1弾性体3の接続箇所、及び第2質量体2と第1弾性体3の接続箇所において摩擦が発生せず、ボルト等の固定具で第1弾性体を第1質量体や第2質量体に固定する構成と比較して、粘性係数が減少し、共振ピークが低下しない。また、大振幅時でも固定条件(接続箇所における接続条件)が変化せず、第1弾性体3の非線形性による駆動周波数(共振周波数)の低下を低減できる。したがって、従来のボルト等の固定具で第1弾性体を第1質量体や第2質量体に固定する構成であれば回避できない共振ピークが低下する要因を、本実施形態に係る振動搬送装置Xによれば悉く解消することができ、少ない加振力で大振幅を実現することができる。
【0051】
加えて、本実施形態に係る振動搬送装置Xでは、第1質量体1及び第2質量体2を第1弾性体3で接続する箇所を、従来の駆動バネによる接続箇所と同様に、第1質量体1及び第2質量体2における搬送方向T上流端部(後端部)同士及び搬送方向T下流端部(前端部)同士を接続する位置に設定しているため、第1弾性体3による安定した支持状態を確保することができる。
【0052】
特に、本実施形態に係る振動搬送装置Xでは、可動ウェイト11(第1質量体1のメインパーツ)及びカウンターウェイト21(第2質量体2のメインパーツ)における搬送方向T上流側端部(後端部)と搬送方向T下流側端部(前端部)の間の中途部分同士を接続する位置にも第1弾性体3を配置しているため、中途部分に配置した第1弾性体3がリブとしての役割を果たし、可動ウェイト11及びカウンターウェイト21の曲げ剛性を更に向上させることができ、これによって可動ウェイト11及びカウンターウェイト21の撓み変化がより一層少なくなり、リニア搬送路14の変形を抑制することができるとともに、バネ定数が上がり、駆動周波数が高く、且つ部品間の摩擦が減って共振ピークを上げる好条件を満たす構成となる。
【0053】
以上のように、本実施形態によれば、第1質量体1の少なくとも一部(可動ウェイト11)と、第2弾性体2の少なくとも一部(カウンターウェイト21)と、第1弾性体3とを一体構造にするというこれまで着想されることの無かった斬新な構成を採用したことによって、一体構造体(メインフレームM)が振動する駆動周波数及び振幅を上げることができ、高い共振倍率を達成して大振幅を得ることが可能になり、搬送対象物Kの搬送速度を向上させることが可能な振動搬送装置Xを実現できる。
【0054】
また、本実施形態係る振動搬送装置Xでは、第1質量体1として、一体構造物であるメインフレームM(一体構造物)を構成する可動ウェイト11(本発明の「第1質量体本体」に相当)と、可動ウェイト11とは別体であって且つリニア搬送面を有する搬送路14とを備えたものを適用しているため、高度な設計仕様が要求されるリニア搬送路14をメインフレームMとは別体に専用品として用意することができ、一体構造物であるメインフレームMの製造時の加工負担を軽減することができる。
【0055】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、第1弾性体の数や形状、第1質量体及び第2質量体に対する第1弾性体の接続位置も適宜変更することができる。搬送方向に所定角度傾斜した姿勢で第1弾性体を配置することも可能である。
【0056】
上述の実施形態では、可動ウェイト11(第1質量体1の一部)、カウンターウェイト21(第2質量体2の一部)及び第1弾性体3を一体構造にする態様を例示したが、第1質量体の全部、第2質量体の一部及び第1弾性体を一体構造にする態様や、第1質量体の一部、第2質量体の全部及び第1弾性体を一体構造にする態様、或いは第1質量体の全部、第2質量体の全部及び第1弾性体を一体構造にする態様を採用してもよい。
【0057】
すなわち、本発明における第1質量体は、一体構造物(メインフレーム)を構成するパーツ(可動ウェイト)のみからなるものであってもよいし、一体構造物(メインフレーム)を構成するメインのパーツと、一体構造物とは別体のパーツとを備えたものであってもよい。
【0058】
同様に、本発明における第2質量体は、一体構造物(メインフレーム)を構成するメインのパーツ(カウンターウェイト)のみからなるものであってもよいし、一体構造物(メインフレーム)を構成するメインのパーツと、一体構造物とは別体のパーツとを備えたものであってもよい。
【0059】
第1質量体は、リニア搬送面を有するものであればよく、上述の搬送路(トラフ)を備えず、シュート台の上向き面にリニア搬送面を形成したものや、シュート台も備えず、可動ウェイトの上向き面にリニア搬送面を形成したもの、あるいは可動ウェイトに同期して振動するパーツ(シュート台に限定されず)にリニア搬送面を形成したものであっても構わない。特に、第1質量体を上述の可動ウェイトに相当するパーツのみで構成する場合には、第1質量体を第2質量体よりも上方に配置し、第1質量体の上向き面にリニア搬送面を形成することが好ましい。
【0060】
本発明の振動搬送装置は、防振作用を奏する第2弾性体を、一体構造物(メインフレーム)に対して各々直接接続した態様や、別の部材を介在することで間接的に接続した態様を含むものである。第2弾性体の数や基台または一体構造物(メインフレーム)に対する固定位置は適宜変更することができる。また、第2弾性体が、基台と第2質量体を接続するものであっても構わない。
【0061】
L字型バネ以外のバネ(例えばI字型のバネの基端同士を接続したバネやT字型バネ等)
や、バネ以外の弾性体(ゴム等)によって第2弾性体を構成したり、搬送方向に所定角度傾斜した姿勢で配置した板バネによって第2弾性体を構成することも可能である。また、第2弾性体を備えていない振動搬送装置も本発明に含まれる。
【0062】
加振源が、圧電素子以外のものであっても構わない。
【0063】
また、搬送対象物は、LED等の各種LEDや、LED以外の電子部品、あるいは食品など電子部品以外のものであってもよい。
【0064】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0065】
1…第1質量体
1L…リニア搬送面
2…第2質量体
3…第1弾性体
K…搬送対象物
X…振動搬送装置(リニアフィーダ)
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2020年9月29日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項1】
振動によってリニア搬送面上の搬送対象物を搬送させる振動搬送装置であり、
前記リニア搬送面を有する第1質量体と、
前記第1質量体に対して高さ方向に対向する位置に配置され且つ前記第1質量体に対して逆位相で振動する第2質量体と、
前記第1質量体と前記第2質量体を接続する第1弾性体とを備え、
前記第1質量体の少なくとも一部と、前記第2質量体の少なくとも一部と、前記第1弾性体とを一体構造にしていることを特徴とする振動搬送装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
そして、本発明に係る振動搬送装置は、リニア搬送面を有する第1質量体と、第1質量体に対して高さ方向に対向する位置に配置され且つ第1質量体に対して逆位相で振動する第2質量体と、第1質量体と第2質量体を接続する第1弾性体とを備え、第1質量体の少なくとも一部と、第2質量体の少なくとも一部と、第1弾性体とを一体構造にしていることを特徴としている。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
ここで、本発明における「第1質量体の少なくとも一部と、第2質量体の少なくとも一部と、第1弾性体とを一体構造にしている」態様には、i)第1質量体の全部と、第2質量体の全部と、第1弾性体とを一体構造にしている態様、ii)第1質量体の一部と、第2質量体の全部と、第1弾性体とを一体構造にしている態様、iii)第1質量体の全部と、第2質量体の一部と、第1弾性体とを一体構造にしている態様、iv)第1質量体の一部と、第2質量体の一部と、第1弾性体とを一体構造にしている態様、これら全ての態様が包含される。以下では、一体構造にしている塊を一体構造物とする。リニア搬送面は第1質量体を構成するものであるが、ii)の態様、及びiv)の態様を採用した場合、第1質量体は一体構造物を構成するパーツと、一体構造物とは別体のパーツとを備えたものになり、第1質量体のうち一体構造物を構成するパーツにリニア搬送面を形成するか、一体構造物とは別体のパーツにリニア搬送面を形成するかは適宜選択することができる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
本発明に係る振動搬送装置であれば、第1質量体の少なくとも一部と、第2質量体の少なくとも一部と、第1弾性体とを一体構造にしているため、第1質量体と第1弾性体の接続箇所、及び第2質量体と第1弾性体の接続箇所において摩擦が発生せず、ボルト等の固定具で第1弾性体を第1質量体や第2質量体に固定する構成と比較して、粘性係数が減少し、共振ピークが低下しない。また、大振幅時でも固定条件(接続箇所における接続条件)が変化せず、第1弾性体のバネ定数非線形性による駆動周波数(共振周波数)の低下を低減できる。ここで、ボルト等の固定具で第1弾性体を第1質量体や第2質量体に固定する構成であれば、第1弾性体の振幅が大きくなるほど、第1弾性体である板バネとボルトのうち板バネに接触するボルト端面との間や、板バネと第1質量体もしくは第2質量体のうち板バネに接触する接触面との間に隙間が発生し、板バネの有効長が長くなることで、バネ定数が下がる。このように振幅変位に対してバネ定数が変化することを第1弾性体のバネ定数非線形性と呼び、従来の振動搬送装置では、大振幅になるとバネ定数が下がり、駆動周波数が低下する傾向になる。したがって、従来のボルト等の固定具で第1弾性体を第1質量体や第2質量体に固定する構成であれば回避できない共振ピークが低下する要因を、本発明に係る振動搬送装置によれば悉く解消することができ、少ない加振力で大振幅を実現することができる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
本発明によれば、第1質量体の少なくとも一部と、第2質量体の少なくとも一部と、第1弾性体とを一体構造にするというこれまで着想されることの無かった斬新な構成を採用したことによって、一体構造体(メインフレーム)が振動する駆動周波数を高周波化することができるとともに、高い共振倍率を達成して大振幅を得ることが可能な振動搬送装置を提供することができる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0050
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0050】
このように、本実施形態に係るリニアフィーダXによれば、第1質量体1と第2質量体2を接続する第1弾性体3を加振源(圧電素子31)によって駆動させて振動させると、第2質量体2が固定部(カウンターウェイト)として機能し、第2弾性体5が防振体として機能することで、第1質量体1が振動し、リニア搬送路14上の搬送対象物Kを所定の搬送方向Tに搬送することができる。さらに、本実施形態に係るリニアフィーダXによれば、第1質量体1の一部である可動ウェイト11と、第2質量体2の一部であるカウンターウェイト21と、第1弾性体3とを一体構造にしているため、第1質量体1と第1弾性体3の接続箇所、及び第2質量体2と第1弾性体3の接続箇所において摩擦が発生せず、ボルト等の固定具で第1弾性体を第1質量体や第2質量体に固定する構成と比較して、粘性係数が減少し、共振ピークが低下しない。また、大振幅時でも固定条件(接続箇所における接続条件)が変化せず、第1弾性体3の非線形性による駆動周波数(共振周波数)の低下を低減できる。したがって、従来のボルト等の固定具で第1弾性体を第1質量体や第2質量体に固定する構成であれば回避できない共振ピークが低下する要因を、本実施形態に係る振動搬送装置Xによれば悉く解消することができ、少ない加振力で大振幅を実現することができる。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0053
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0053】
以上のように、本実施形態によれば、第1質量体1の少なくとも一部(可動ウェイト11)と、第2質量体2の少なくとも一部(カウンターウェイト21)と、第1弾性体3とを一体構造にするというこれまで着想されることの無かった斬新な構成を採用したことによって、一体構造体(メインフレームM)が振動する駆動周波数及び振幅を上げることができ、高い共振倍率を達成して大振幅を得ることが可能になり、搬送対象物Kの搬送速度を向上させることが可能な振動搬送装置Xを実現できる。