(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-119250(P2021-119250A)
(43)【公開日】2021年8月12日
(54)【発明の名称】クロム含有触媒を利用する重合方法
(51)【国際特許分類】
C08F 10/00 20060101AFI20210716BHJP
C08F 4/69 20060101ALI20210716BHJP
【FI】
C08F10/00
C08F4/69
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2021-81872(P2021-81872)
(22)【出願日】2021年5月13日
(62)【分割の表示】特願2019-526241(P2019-526241)の分割
【原出願日】2017年6月19日
(31)【優先権主張番号】62/423,943
(32)【優先日】2016年11月18日
(33)【優先権主張国】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TEFLON
(71)【出願人】
【識別番号】509004675
【氏名又は名称】エクソンモービル ケミカル パテンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100193493
【弁理士】
【氏名又は名称】藤原 健史
(72)【発明者】
【氏名】リン ゼロン
(72)【発明者】
【氏名】スミス エドワード エフ
(72)【発明者】
【氏名】トラップ キース ウェスリー
【テーマコード(参考)】
4J100
4J128
【Fターム(参考)】
4J100AA00P
4J100AA02P
4J100CA01
4J100CA03
4J100DA01
4J100DA04
4J100DA42
4J100FA08
4J128AA01
4J128AB00
4J128BA01A
4J128BA01B
4J128BB01A
4J128BB01B
4J128BC15A
4J128BC25A
4J128BC25B
4J128CA24A
4J128CA27A
4J128CA28A
4J128CA28B
4J128CA29A
4J128DB10A
4J128EA01
4J128EB01
4J128EB02
4J128EB09
4J128EB13
4J128EB16
4J128EB17
4J128EB18
4J128EC01
4J128EC02
4J128FA02
4J128FA07
4J128GA01
4J128GA05
4J128GA06
4J128GA07
4J128GA08
4J128GB01
(57)【要約】
【課題】 本発明は、一般にアルキルアルミニウムと共にクロム含有触媒を利用するポリオレフィンポリマーの生成方法を提供する。
【解決手段】本明細書に開示される発明の実施形態は、重合反応時において1種もしくは複数のポリオレフィンポリマーの高荷重メルトインデックス(I
21.6)、質量平均分子量(M
w)、および分子量分布(M
w/M
n)の1つもしくは複数を調整し、または重合反応の触媒活性を調整する方法であって、a)少なくとも1種のクロム含有触媒と少なくとも1種のアルキルアルミニウムを事前接触させて、触媒混合物を重合反応器の外で形成するステップ、b)触媒混合物を重合反応器に移すステップ、c)触媒混合物を1種または複数のモノマーと重合可能な条件下で接触させて、1種または複数のポリオレフィンポリマーを形成するステップ、およびd)1種または複数のポリオレフィンポリマーを回収するステップを含む、方法に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
重合反応時において1種もしくは複数のポリオレフィンポリマーの高荷重メルトインデックス(I21.6)、質量平均分子量(Mw)、および分子量分布(Mw/Mn)の1つもしくは複数を調整し、または重合反応の触媒活性を調整する方法であって、
a)少なくとも1種の活性化されたクロム含有触媒と少なくとも1種のアルキルアルミニウムを事前接触させて、触媒スラリー混合物を重合反応器の外で形成するステップ、
b)触媒スラリー混合物を重合反応器に移すステップ、
c)触媒混合物を1種または複数のモノマーと重合可能な条件下で接触させて、1種または複数のポリオレフィンポリマーを形成するステップ、および
d)1種または複数のポリオレフィンポリマーを回収するステップ
を含む方法。
【請求項2】
アルキルアルミニウムを少なくとも1種のクロム含有触媒と0.01〜10.00のAl/Crモル比で事前接触させる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
アルキルアルミニウムを少なくとも1種のクロム含有触媒と0.05〜8.00のAl/Crモル比で事前接触させる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
アルキルアルミニウムを少なくとも1種のクロム含有触媒と0.10〜5.00のAl/Crモル比で事前接触させる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
アルキルアルミニウムを少なくとも1種のクロム含有触媒と1.00〜3.00のAl/Crモル比で事前接触させる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
アルキルアルミニウムのクロム含有触媒に対する比が変わると、1種もしくは複数のポリオレフィンポリマーの高荷重メルトインデックス(I21.6)、質量平均分子量(Mw)、および分子量分布(Mw/Mn)の1つもしくは複数または重合反応の触媒活性が変わる、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
1種または複数のポリオレフィンポリマーが、少なくとも第1の高荷重メルトインデックス(I21.6)および少なくとも第2の高荷重メルトインデックス(I21.6)を有する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
少なくとも第1の高荷重メルトインデックス(I21.6)および少なくとも第2の高荷重メルトインデックス(I21.6)が、0.1〜100g/10分の範囲である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
少なくとも第1の高荷重メルトインデックス(I21.6)および少なくとも第2の高荷重メルトインデックス(I21.6)が、1〜50g/10分の範囲である、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
1種または複数のポリオレフィンポリマーが、少なくとも第1の質量平均分子量(Mw)および少なくとも第2の質量平均分子量(Mw)を有する、請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
少なくとも第1の質量平均分子量(Mw)および少なくとも第2の質量平均分子量(Mw)が、20,000〜400,000g/molの範囲である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
少なくとも第1の質量平均分子量(Mw)および少なくとも第2の質量平均分子量(Mw)が、100,000〜350,000g/molの範囲である、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
1種または複数のポリオレフィンポリマーが、少なくとも第1の分子量分布(Mw/Mn)および少なくとも第2の分子量分布(Mw/Mn)を有する、請求項1から12までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
少なくとも第1の分子量分布(Mw/Mn)および少なくとも第2の分子量分布(Mw/Mn)が、5〜50の範囲である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
少なくとも第1の分子量分布(Mw/Mn)および少なくとも第2の分子量分布(Mw/Mn)が、10〜40の範囲である、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
事前接触が、1秒間〜100分間行われる、請求項1から15までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
事前接触が、30秒間〜30分間行われる、請求項1から16までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
少なくとも1種のクロム含有触媒が、酸化クロム(CrO3)および/またはシリルクロメート触媒を含み、担体を一緒に含んでもよい、請求項1から17までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
担体が、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化トリウム、またはそれらの混合物を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
少なくとも1種のアルキルアルミニウムが、アルキルアルミニウムアルコキシド化合物である、請求項1から19までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
アルキルアルミニウムアルコキシド化合物が、ジエチルアルミニウムエトキシドである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
少なくとも1種のアルキルアルミニウムが、トリエチルアルミニウム、トリ−イソブチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム、トリ−n−オクチルアルミニウム、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から19までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
触媒活性が、少なくとも2,000g/g/時以上である、請求項1から22までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
触媒活性が、少なくとも2,250g/g/時以上である、請求項1から23までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
触媒活性が、少なくとも2,500g/g/時以上である、請求項1から24までのいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2016年11月18日出願の米国特許仮出願第62/423,943号に基づく優先権および利益を主張するものであり、その開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
本発明は、一般にアルキルアルミニウムと共にクロム含有触媒を利用するポリオレフィンポリマーの生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレンポリマーは、様々な成形品の樹脂材料として一般的にかつ広範に使用されており、成形方法および目的に応じて異なる性質のものが求められている。例えば、比較的低い分子量および狭い分子量分布を有するポリマーは、射出成形法によって成形される物品に適している。他方、比較的高い分子量および広い分子量分布を有するポリマーは、ブロー成形またはインフレーション成形によって成形される物品に適している。多くの用途において、中〜高分子量のポリエチレンポリマーが望ましい。そのようなポリエチレンポリマーは、そのような強度を必要とする用途(例えば、パイプ用途)に十分な強度を有し、同時に良好な加工性特性をもつ。
【0003】
広い分子量分布を有するポリエチレンポリマーは、無機酸化物担体に担持されたクロム化合物を非還元雰囲気中でか焼して、担持されたクロム原子の少なくとも一部分が、通常フィリップス触媒と呼ばれる六価クロム原子(Cr+6)に変換されるようにクロム化合物を活性化することによって得られるクロム含有触媒の使用により得ることができる。それぞれの材料をシリカ上に配置し、流動化し、酸素の存在下で約400℃〜860℃に加熱して、クロムを酸化状態+3から酸化状態+6に変換する。高密度ポリエチレン用途に使用される第2のクロム触媒は、脱水シリカに吸着され、引き続いて、例えばジエチルアルミニウムエトキシド(DEALE)などのアルキルアルミニウムで還元されたシリルクロメート(ビス−トリフェニルシリルクロメート)からなる。例えば、米国特許第6,989,344号、米国特許出願公開第2003/0232935号、WO2011/161412、およびWO2016/036745を参照のこと。
【0004】
これらの触媒のそれぞれによって生成された結果得られるポリエチレンポリマーは、いくつかの重要な性質が異なる。シリカ担持酸化クロム触媒は、一般に、活性(PE(g)/触媒(g)−時)によっても測定された良好な生産性(PE(g)/触媒(g))を有するとみなされるが、所望の分子量より低い分子量分布をもつポリエチレンポリマーを生成する。シリルクロメートベース触媒は、望ましい分子量特性(すなわち、分子量分布曲線に高分子量のショルダーがある、より広い分子量分布であり、異なる2つの分子量集団を示唆する)をもつポリエチレンポリマーを生成する。
しかし、高密度ポリエチレン(HDPE)生成に使用される上記のものなど活性化クロム触媒には、それにもかかわらず、低触媒活性、汚損、低すぎるもしくは高すぎるMW容量、および/または不十分なHDPE特性に関連した問題があることがある。活性化クロム触媒を用いて製造されたHDPEのメルトインデックスおよび高荷重メルトインデックスは、一般に反応器温度によって制御される。いくつかのHDPEグレードでは、目標のメルトインデックスまたは高荷重メルトインデックスに到達するために、反応器温度は汚損温度に近い必要がある。さらに、複数のグレードのHDPE生成物を調製するために、複数の触媒および複数の触媒活性化温度の使用が必要とされている。そのような要件は、製造方法を複雑にする。したがって、高生産性を有する活性化触媒を使用しながらポリマー特性の良好なバランスおよび/または複数のグレードのHDPEを生成する製造方法における単純化を提供する必要が存続する。
【0005】
活性化クロム触媒を用いて、より高い分子量のHDPEを生成することができる。例えば、400〜700℃の範囲のより低いか焼温度によって、活性が低下する。また、シリカの表面積が増加すると、分子量の増加が促進される。石灰化より前にアルミニウムまたはチタン化合物を添加することによるクロム触媒のさらなる改変によって、所望の分子量増加がもたらされる。したがって、重合反応器条件の所望のバランスを達成して、MIまたはHLMIによって示唆される所望の分子量分布、良好な溶融強度、ならびに適切に加工して、典型的にESCRによって測定される最終成形物の剛性および強度を生じる膨潤をもたらす、長年にわたる切実な要求があった。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、重合反応時においてポリオレフィンポリマーの1種もしくは複数の高荷重メルトインデックス(I
21.6)、質量平均分子量(M
w)、および分子量分布(M
w/M
n)の1つもしくは複数を調整し、または重合反応の触媒活性を調整する方法であって、a)重合反応器の外で、少なくとも1種の活性化クロム含有触媒と少なくとも1種のアルキルアルミニウムを触媒スラリー混合物中で事前接触させるステップ、b)触媒混合物を重合反応器に移すステップ、c)触媒混合物を1種または複数のモノマーと重合可能な条件下で接触させて、1種または複数のポリオレフィンポリマーを形成するステップ、およびd)1種または複数のポリオレフィンポリマーを回収するステップを含む方法を提供する。多くの実施形態において、本方法は、石灰化より前にアルミニウムおよび/またはチタン化合物で改変されたクロム触媒に匹敵する性質をもつ様々なMIおよびHLMI HDPEポリマーを作製するように、単一の活性化酸化クロム触媒を調整することができる。
本発明の他の実施形態は、本明細書で説明され、特許請求され、以下の開示によって明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】Al/Cr比によって示唆される高まるレベルのDEALEと事前接触させた活性化Cr触媒から調製することができるポリエチレンの高荷重メルトインデックス(I
21.6)の範囲を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本化合物、成分、組成物、および/または方法を開示および説明する前に、別段の指示がない限り、本発明は、そのようなものが、別段の指定がない限り変わることがあるように、具体的な化合物、成分、組成物、反応物、反応条件、リガンド、構造などに限定されないことを理解すべきである。また、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明するためのものにすぎず、限定するものではないことも理解すべきである。
本開示の実施形態は、重合反応時において1種もしくは複数のポリオレフィンポリマーの高荷重メルトインデックス(I
21.6)、質量平均分子量(M
w)、および分子量分布(M
w/M
n)の1つもしくは複数を調整し、または重合反応の触媒活性を調整する方法であって、a)少なくとも1種の活性化されたクロム含有触媒と少なくとも1種のアルキルアルミニウムを溶媒スラリー中で事前接触させて、触媒混合物を重合反応器の外で形成するステップ、b)触媒スラリー混合物を重合反応器に移すステップ、c)触媒混合物を1種または複数のモノマーと重合可能な条件下で接触させて、1種または複数のポリオレフィンポリマーを形成するステップ、およびd)1種または複数のポリオレフィンポリマーを回収するステップを含む方法を提供する。本明細書に記載される実施形態のいずれにおいても、アルキルアルミニウムのクロム含有触媒に対する比が変わると、1種もしくは複数のポリオレフィンポリマーの高荷重メルトインデックス(I
21.6)、質量平均分子量(M
w)、および分子量分布(M
w/M
n)の1つもしくは複数、または重合反応の触媒活性が変わることがある。
【0009】
触媒および触媒担体
クロム、クロム含有、またはクロムベース触媒は周知であり、ポリオレフィンポリマーの重合に有用である。広く使用されている2種の触媒の例には、酸化クロム(CrO
3)およびシリルクロメート触媒が含まれ、少なくとも1種の担体を一緒に含んでもよい。クロム含有触媒は、ポリエチレンポリマーの生成のための連続流動層気相およびスラリー重合の領域における多くの開発の対象であった。そのような触媒および重合方法は、例えば米国特許出願公開第2011/0010938号および米国特許第2,825,721号、同第7,915,357号、同第8,129,484号、同第7,202,313号、同第6,833,417号、同第6,841,630号、同第6,989,344号、同第7,504,463号、同第7,563,851号、同第8,420,754号、および同第8,101,691号に記載されている。
典型的に、触媒系は、担持クロム触媒および共触媒または活性剤を含む。一般に、1つのそのような触媒としては、無機酸化物マトリックスに担持させたクロム化合物が挙げられる。典型的な担体としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウムおよび酸化トリウム、ならびにそれらの組合せが挙げられる。様々なグレードのシリカおよびアルミナ担体材料が、多数の商業的供給源から広く入手可能である
【0010】
特定の実施形態において、担体はシリカである。適当なシリカは、一般に高表面積と大粒子径のバランスが良好である。これらのシリカは、典型的に噴霧乾燥方法により得られうる球状粒子の形または粉砕方法により得られうる顆粒状粒子の形であり、少なくとも約300m
2/gの表面積および少なくとも25μmの平均粒子径を有する。表面積、細孔容積、および平均粒子径を測定する方法は、WO2011/161412で開示されている。より高い分子量のHDPEの生成には、AlまたはTiを用いた改変と共に、約500〜600m
2/gというより大きい表面積が典型的に使用される。
いくつかの実施形態において、シリカ担体は硬質であり、平均約90〜110μmの大粒子径および少なくとも800m
2/gまで広がる高表面積を有する。例えば、WO2011/161412を参照のこと。理論に拘束されることなく、高表面積は、HDPEドラムや中型容器(IBC)などの高荷重メルトインデックス生成物に改善された物理的ポリマー特性、特に耐応力亀裂性をもたらす高分子量成分の形成を促進する。それは、Cr/シリカ活性化触媒の低レベルのAlまたはTi改変の使用も可能にする。
【0011】
市販のシリカ担体としては、PQ Corporation、Malvern、Pennsylvaniaから入手可能なPQ PD−11050触媒(表面積880m
2/gおよび細孔容積1.87mL/g)の担体、PD−13070触媒(表面積872m
2/gおよび細孔容積2.03mL/g)の担体が挙げられるが、これらに限定されない。以前は、PQシリカは、ES 70、CS2133およびCS2050、MS3065シリカなどの約650m
2/g以下の表面積に限定されていた。あるいは、Sylopol 952、955、2408などが、Grace Speciality Catalysts、W.R.Grace& Co.、Columbia、Marylandから入手可能である。
別の実施形態において、担体は、シリカ−チタニア担体である。シリカ−チタニア担体は、当技術分野において周知であり、例えば米国特許第3,887,494号に記載されている。シリカ−チタニア担体は、米国特許第3,887,494号、同第5,096,868号、および同第6,174,981号に記載されているように、シリカおよびチタン化合物を「共ゲル化」または共沈させることによって生成することもできる。
【0012】
クロムは、触媒中に0.1、0.5、0.8、1.0質量%、または1.5質量%の下限から10質量%、8質量%、5質量%、または3質量%の上限までの量で存在していることがあり、いずれかの下限からいずれかの上限までの範囲が企図される。
適当な市販のクロム含有触媒としては、約1質量%のCrを含有する、W.R.Grace&Co.の生成物HA−30、HA30WおよびHA30LFが挙げられる。担持チタン−クロム触媒も市販されており、C−23307、C−25305、C−25345、C−23305、およびC−25307などPQ Corporationのチタン表面改変クロム触媒が挙げられる。市販のチタン表面改変クロム触媒は、典型的に約1〜5質量%のTiおよび1質量%のCrを含有する。他の市販の触媒としては、PQ Corporationから市販されているクロム含有PD−11050触媒およびアルミニウム表面改変PD−13070クロム触媒が挙げられる。
【0013】
典型的に、触媒は、乾燥触媒系を非還元雰囲気、好都合には空気中または酸素富化雰囲気中で加熱することによって、使用前に活性化される。活性化温度は、400℃、450℃、500℃または550℃から900℃、800℃、または700℃までとすることができ、いずれかの下限からいずれかの上限までの範囲が企図される。特定の実施形態において、活性化温度は約600℃である。典型的な加熱時間は、30分間〜50時間とすることができ、一般に2〜20時間で十分である。活性化は、好都合には流動空気流中で実施され、流動空気流は材料が冷却されるので継続される。
共触媒
クロム含有触媒を少なくとも1種の共触媒または活性剤と共に使用することができる。一般に、共触媒は、第13族金属の金属アルキルとすることができる。共触媒は、式MR
3の化合物とすることができ、式中、Mは、第13族金属(IUPACの新しい番号付けスキームに準拠)であり、Rはそれぞれ独立して、直鎖状または分枝状C
1またはC
2またはC
4−C
12またはC
10またはC
8アルキル基である。2種以上のそのような金属アルキルの混合物も企図され、本明細書では、「共触媒」という用語の範囲内に含められる。
【0014】
実施形態の一クラスにおいて、Mはアルミニウムであり、共触媒は少なくとも1種のアルキルアルミニウムである。アルキルアルミニウムとしては、トリエチルアルミニウム(TEAl)、トリ−イソブチルアルミニウム(TIBAl)、トリ−n−ヘキシルアルミニウム(TNHA)、トリ−n−オクチルアルミニウム(TNOA)、およびそれらの混合物が挙げられる。
実施形態の別のクラスにおいて、少なくとも1種のアルキルアルミニウムは、例えばジエチルアルミニウムエトキシド(DEAlE)などのアルキルアルミニウムアルコキシド化合物とすることができる。
上記の実施形態のいずれにおいても、アルキルアルミニウムを少なくとも1種のクロム含有触媒と0.01〜10.00のAl/Crモル比、0.05〜10.00のAl/Crモル比、0.05〜8.00のAl/Crモル比、0.10〜8.00のAl/Crモル比、0.10〜5.00のAl/Crモル比、0.50〜5.00のAl/Crモル比、または1.00〜3.00のAl/Crモル比で事前接触させることができる。
【0015】
重合方法
本開示の実施形態は、重合可能な条件下で、以上で説明した少なくとも1種のクロム含有触媒および少なくとも1種の共触媒とモノマー(エチレンおよび/またはプロピレンなど)を接触させ、コモノマーを接触させてもよい重合方法を含む。本明細書では「重合可能な条件」は、当業者による温度、圧力、反応物濃度、任意選択の溶媒/希釈剤、反応物混合/添加パラメータ、および活性化オレフィン重合触媒と接触させると、所望のポリオレフィンポリマーを生成する1種または複数のオレフィンモノマーの反応をもたらす少なくとも1つの重合反応器内の他の条件の選択を含む条件を指す。
【0016】
本明細書で有用なモノマーとしては、置換または非置換のC2−C40のアルファ−オレフィン、好ましくはC2−C20のアルファ−オレフィン、好ましくはC2−C12のアルファ−オレフィン、好ましくはエチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン、ウンデセン、ドデセンおよびそれらの異性体が挙げられる。好ましい実施形態において、オレフィンとしては、エチレンまたはプロピレンであるモノマー、およびC4−C40オレフィン、好ましくはC4−C20オレフィン、または好ましくはC6−C12オレフィンの1種または複数を含む1種または複数の任意選択のコモノマーが挙げられる。C4−C40オレフィンモノマーは、直鎖状、分枝状、または環状とすることができる。C4−C40環状オレフィンは、歪んでいても、歪んでいなくても、単環状でも、多環状でもよく、1個もしくは複数のヘテロ原子および/または1つもしくは複数の官能基を含むことができる。別の好ましい実施形態において、オレフィンとしては、エチレンであるモノマー、およびC3−C40オレフィン、好ましくはC4−C20オレフィン、または好ましくはC6−C12オレフィンの1種または複数を含む任意選択のコモノマーが挙げられる。C3−C40オレフィンモノマーは、直鎖状、分枝状、または環状とすることができる。C3−C40環状オレフィンは、歪んでいても、歪んでいなくても、単環状でも、多環状でもよく、ヘテロ原子および/または1つもしくは複数の官能基を含むことができる。
【0017】
例示的なC2−C40オレフィンモノマーおよび任意選択のコモノマーとしては、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン、ウンデセン、ドデセン、ノルボルネン、ノルボルナジエン、ジシクロペンタジエン、シクロペンテン、シクロヘプテン、シクロオクテン、シクロオクタジエン、シクロドデセン、7−オキサノルボルネン、7−オキサノルボルナジエン、それらの置換誘導体、およびそれらの異性体、好ましくはヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン、ドデセン、シクロオクテン、1,5−シクロオクタジエン、1−ヒドロキシ−4−シクロオクテン、1−アセトキシ−4−シクロオクテン、5−メチルシクロペンテン、シクロペンテン、ジシクロペンタジエン、ノルボルネン、ノルボルナジエン、およびそれらの置換誘導体、好ましくはノルボルネン、ノルボルナジエン、およびジシクロペンタジエンが挙げられる。
【0018】
ジオレフィンモノマーとしては、少なくとも2つの不飽和結合を有し、立体特異性または非立体特異性触媒によって、不飽和結合の少なくとも2つがポリマーに容易に組み込まれる、任意の炭化水素構造、好ましくはC4−C30が挙げられる。ジオレフィンモノマーが、アルファ,オメガ−ジエンモノマー(すなわち、ジビニルモノマー)から選択されることがさらに好ましい。少なくとも一実施形態において、ジオレフィンモノマーは、4〜30個の炭素原子を含むものなどの直鎖状ジビニルモノマーである。ジエンは限定されるものではないが、例えば、ブタジエン、ペンタジエン、ヘキサジエン、ヘプタジエン、オクタジエン、ノナジエン、デカジエン、ウンデカジエン、ドデカジエン、トリデカジエン、テトラデカジエン、ペンタデカジエン、ヘキサデカジエン、ヘプタデカジエン、オクタデカジエン、ノナデカジエン、イコサジエン、ヘンエイコサジエン、ドコサジエン、トリコサジエン、テトラコサジエン、ペンタコサジエン、ヘキサコサジエン、ヘプタコサジエン、オクタコサジエン、ノナコサジエン、トリアコンタジエンが挙げられ、特に好ましいジエンとしては、1,6−ヘプタジエン、1,7−オクタジエン、1,8−ノナジエン、1,9−デカジエン、1,10−ウンデカジエン、1,11−ドデカジエン、1,12−トリデカジエン、1,13−テトラデカジエン、および低分子量ポリブタジエン(Mw 1000g/mol未満)が挙げられる。環状ジエンは限定されるものではないが、例えば、シクロペンタジエン、ビニルノルボルネン、ノルボルナジエン、エチリデンノルボルネン、ジビニルベンゼン、ジシクロペンタジエン、または環の様々な位置に置換基があるもしくはない高級環含有ジオレフィンが挙げられる。
【0019】
本開示の重合方法は、当技術分野において公知の適当な方式ならいずれでも実施することができる。当技術分野において公知の懸濁、均一、バルク、溶液、スラリー、または気相重合方法ならいずれでも使用することができる。そのような方法は、バッチ、半バッチ、または連続モードで実行することができる。均一重合方法は、生成物の少なくとも約90質量%が反応媒体に可溶である方法であると定義される。バルク方法は、反応器へのすべてのフィード物中におけるモノマーの濃度が70体積%以上である方法であると定義される。あるいは、溶媒もしくは希釈剤が(触媒系もしくは他の添加剤のための担体として使用されている少量、または典型的にモノマーと共に見出される量、例えばプロピレン中のプロパンを除いて)、反応媒体中に存在しておらず、または添加されていない。
別の実施形態において、方法はスラリー方法である。本明細書では、「スラリー重合方法」という用語は、担持触媒が使用され、モノマーが担持触媒粒子上で重合される重合方法を意味する。担持触媒に由来するポリマー生成物の少なくとも95質量%は、(希釈剤に溶解していない)固体粒子として顆粒の形をとる。
【0020】
重合に適した希釈剤/溶媒としては、非配位性の不活性液体が挙げられる。限定されるものではないが、例えば、直鎖および分枝鎖の炭化水素、例えばイソブタン、ブタン、ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、イソヘキサン、ヘプタン、オクタン、ドデカン、およびそれらの混合物;環状および脂環状炭化水素、例えばシクロヘキサン、シクロヘプタン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロヘプタン、およびそれらの混合物、例えば市販品として見出すことができるもの(Isopar(商標));過ハロゲン化炭化水素、例えば過フッ素化C4−C10アルカン、クロロベンゼン、ならびに芳香族およびアルキル置換芳香族化合物、例えばベンゼン、トルエン、メシチレン、およびキシレンが挙げられる。適当な溶媒には、モノマーまたはコモノマーとして働くことができる液体オレフィンも含まれ、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい実施形態において、脂肪族炭化水素溶媒、例えばイソブタン、ブタン、ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、イソヘキサン、ヘプタン、オクタン、ドデカン、またはそれらの混合物;環状および脂環状炭化水素、例えばシクロヘキサン、シクロヘプタン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロヘプタン、またはそれらの混合物が溶媒として使用される。
【0021】
好ましい重合方法は、所望のポリオレフィンを得るのに適したいずれの温度および/または圧力でも実行することができる。典型的な温度および/または圧力は、約0℃〜約300℃の間、例えば約20℃〜約200℃の間、例えば約35℃〜約150℃の間、例えば約40℃〜約120℃の間、例えば約45℃〜約80℃の間の温度;および約0.35MPa〜約10MPaの間、例えば約0.45MPa〜約6MPaの間、または好ましくは約0.5MPa〜約4MPaの間の圧力を含む。
ポリオレフィンの分子量制御のために、水素を反応器に添加することができる。少なくとも一実施形態において、水素は、重合反応器中に約0.001〜50psig(0.007〜345kPa)の間、例えば約0.01〜約25psig(0.07〜172kPa)の間、例えば約0.1〜10psig(0.7〜70kPa)の間の分圧で存在している。一実施形態において、600ppm以下の水素が添加され、または500ppm以下、または400ppm以下、または300ppm以下の水素が添加される。他の実施形態において、少なくとも50ppm、または100ppm以上、または150ppm以上の水素が添加される。
【0022】
実施形態の一クラスにおいて、重合方法は気相重合方法である。一般に、ポリマーを生成するのに使用する流動ガス層法において、1種または複数のモノマーを含有するガス流が、触媒の存在下に反応性条件下で流動層を通って連続的に循環される。ガス流を流動層から取り出し、反応器に戻して再循環させる。同時に、ポリマー生成物を反応器から取り出し、新鮮なモノマーを添加して、重合したモノマーを置きかえる。典型的には、気相反応器は、縮合モードで作動することができ、上記の希釈剤/溶媒の1種または複数が、流動床反応器中で不活性縮合剤(ICA)として働き、熱を除去して、生成速度を増加し、かつ/またはポリマー特性を改変する。例えば、米国特許第4,543,399号;同第4,588,790号;同第5,028,670号;同第5,317,036号;同第5,352,749号;同第5,405,922号;同第5,436,304号;同第5,453,471号;同第5,462,999号;同第5,616,661号;および同第5,668,228号を参照のこと。
【0023】
実施形態の別のクラスにおいて、重合方法はスラリー相重合方法である。スラリー重合方法は、一般に1〜約50気圧範囲(15psi〜735psi、103kPa〜5068kPa)の間またはさらにそれ以上および0℃〜約120℃の範囲の温度で行う。スラリー重合方法において、液体重合希釈剤媒体中で固体粒子状ポリマーの懸濁液を形成し、そこにモノマーおよびコモノマーを触媒と共に添加する。希釈剤を含む懸濁液を、反応器から断続的または連続的に除去し、揮発性成分をポリマーから分離し、反応器に再循環させ、蒸留の後に再循環させてもよい。重合媒体において使用される液体希釈剤は、典型的には3〜7個の炭素原子を有するアルカン、好ましくは分枝状アルカンである。使用される媒体は、重合条件下で液体であり、比較的に不活性であるべきである。プロパン媒体が使用されるとき、方法は、反応希釈剤臨界温度および圧力を超えて行われるべきである。好ましくは、ヘキサンまたはイソブタン媒体が使用される。
【0024】
クロム含有触媒およびアルキルアルミニウムの送達
以上に論じられた重合反応器システムおよび重合方法では、反応器の外でスラリー混合物中において事前接触させ、次いで触媒混合物として反応器に導入される、少なくとも1種のクロム含有触媒および少なくとも1種のアルキルアルミニウムを送達する送達システムまたは方法を使用することができる。例えば、実施形態は、ポリオレフィン反応器を操作する方法であって、次いでアルキルアルミニウムと事前接触させた活性化クロム含有触媒のイソブタン(isobutante)または白色鉱油などの反応器溶媒中スラリー混合物を、気相反応器またはスラリー反応器などの重合反応器にフィードするステップを含む方法を提供する。触媒混合物は、重合反応器に実質的に連続的にフィードすることができる。送達システムは、クロム含有触媒とアルキルアルミニウムを均一に接触させるスタティックミキサーまたは撹拌槽などのミキサーを含むことができる。さらに、より高い粘度の鉱油などの溶媒または希釈剤はそれぞれ、クロム含有触媒とアルキルアルミニウムを事前接触させる接触滞留時間の調整を必要とすることがある。
【0025】
実施形態の数クラスにおいて、事前接触させるステップは、重合反応器への注入の直前に反応器の外においてインラインで行われることがある。送達は、複数の方法によって達成することができる。例えば、クロム含有触媒とアルキルアルミニウム(またはより低い濃度のアルキルアルミニウム溶液)を、回転式メカニカル撹拌機を備えた混合容器またはインラインスタティックミキサー、続いて指定長の下流パイピング中で混合することができ、クロム含有触媒とアルキルアルミニウムの接触時間が可能になる。あるいは、クロム含有触媒とアルキルアルミニウムの事前接触は、パイピングの代わりにまたはそれと組み合わせて容器中で行うことができる。これらの実施形態のいずれにおいても、クロム含有触媒とアルキルアルミニウムの接触時間は、接触時間を所望通りに増減するのに使用することができるフィードシステムに様々な量の希釈剤を添加することによって制御することができる。
【0026】
クロム含有触媒とアルキルアルミニウムの例示的な接触時間は、1秒間〜150分間、1秒間〜100分間、1秒間〜10分間、1秒間〜90秒間、30秒間〜30分間、2分間〜120分間、10分間〜30分間、または18分間〜30分間の範囲とすることができる。
【0027】
有利なことには、本明細書に開示される実施形態は、アルキルアルミニウムとクロム含有触媒の比が変わると、重合反応時において1種もしくは複数のポリオレフィンポリマーの高荷重メルトインデックス(I
21.6)、質量平均分子量(M
w)、および分子量分布(M
w/M
n)の1つもしくは複数を調整もしくは変更する、または重合反応の触媒活性を調整する柔軟性をもった方法を提供する。その比は、接触時間の増加/低減;希釈剤濃度の増加/低減;ならびにクロム含有触媒および/またはアルキルアルミニウムの濃度の増加/低減などの1つまたは複数によって調整することができる。
実施形態の数クラスにおいて、重合反応の触媒活性は、少なくとも1,500g/g/時以上、少なくとも1,750g/g/時以上、少なくとも2,000g/g/時以上、少なくとも2,250g/g/時以上、少なくとも2,500g/g/時以上、少なくとも2,600g/g/時以上、少なくとも2,750g/g/時以上、少なくとも3,000g/g/時以上、または少なくとも3,100g/g/時以上である。
【0028】
ポリマー生成物
本開示はまた、本明細書に記載されるクロム含有触媒および共触媒ならびに方法によって生成されるポリオレフィンポリマーの生成にも関する。少なくとも一実施形態において、方法は、エチレン−アルファオレフィン(好ましくは、C3−C20)コポリマー(エチレン−ブテン、エチレン−ヘキセンコポリマーまたはエチレン−オクテンコポリマーなど)などのエチレンホモポリマーまたはエチレンコポリマーを生成するステップを含む。
少なくとも一実施形態において、本明細書で生成されるポリオレフィンポリマーは、エチレンのホモポリマー、または約0〜25モル%(約0.5〜20モル%の間、約1〜約15モル%の間、または約3〜約10モル%の間など)の間の1種もしくは複数のC3−C20オレフィンコモノマーを有することが好ましいエチレンのコポリマーである。オレフィンコモノマーは、プロピレン、ブテン、ヘキセン、オクテン、デセン、ドデセン、好ましくはプロピレン、ブテン、ヘキセン、オクテンの1つまたは複数などのC3−C12のアルファ−オレフィンとすることができる。
【0029】
本明細書で生成されるポリオレフィンポリマーは、ASTM D−4703およびASTM D−1505/ISO 1183に準拠する密度が約0.935〜約0.960g/cm
3、約0.940〜約0.959g/cm
3、約0.945〜約0.957g/cm
3、約0.945〜約0.955g/cm
3、または約0.945〜約0.950g/cm
3とすることができる。
本明細書で生成されるポリオレフィンポリマーは、ASTM D−1238−E(190℃/2.16kg)によって測定して、メルトインデックス(MI)または(I
2.16)が約0.01〜約300g/10分、約0.1〜約100g/10分、約0.1〜約50g/10分、約0.1g/10分〜約5.0g/10分、約0.1g/10分〜約3.0g/10分、約0.2g/10分〜約2.0g/10分、約0.1g/10分〜約1.2g/10分、約0.2g/10分〜約1.5g/10分、約0.2g/10分〜約1.1g/10分、約0.3g/10分〜約1.0g/10分、約0.4g/10分〜約1.0g/10分、約0.5g/10分〜約1.0g/10分、約0.6g/10分〜約1.0g/10分、約0.7g/10分〜約1.0g/10分、または約0.75g/10分〜約0.95g/10分とすることができる。
【0030】
本明細書で生成されるポリオレフィンポリマーは、ASTM D−1238−F(190℃/21.6kg)によって測定して、高荷重メルトインデックス(HLMI)または(I
21.6)が約0.1〜約300g/10分、約0.1〜約100g/10分、約0.1〜約50g/10分、約1.0g/10分〜約50.0g/10分、約0.1g/10分〜約35.0g/10分、約0.1g/10分〜約30.0g/10分、約1.0g/10分〜約10.0g/10分、約1.0g/10分〜約6.0g/10分、約1.0g/10分〜約5.0g/10分、約2.0g/10分〜約4.0g/10分、約0.4g/10分〜約1.0g/10分、約0.5g/10分〜約1.0g/10分、約0.6g/10分〜約1.0g/10分、約0.7g/10分〜約1.0g/10分、または約0.75g/10分〜約0.95g/10分とすることができる。
【0031】
実施形態の一クラスにおいて、1種または複数のポリオレフィンポリマーは、少なくとも第1の高荷重メルトインデックス(I
21.6)および少なくとも第2の高荷重メルトインデックス(I
21.6)を有する。少なくとも第1の高荷重メルトインデックス(I
21.6)および少なくとも第2の高荷重メルトインデックス(I
21.6)は、0.1〜100g/10分または1〜50g/10分の範囲とすることができる。
本明細書で生成されるポリオレフィンポリマーは、質量平均分子量(M
w)が約15,000〜約500,000g/mol、約20,000〜約250,000g/mol、約25,000〜約200,000g/mol、約150,000〜約400,000g/mol、約200,000〜約400,000g/mol、または約180,000〜約350,000g/molとすることができる。
【0032】
実施形態の一クラスにおいて、1種または複数のポリオレフィンポリマーは、少なくとも第1の質量平均分子量(M
w)および少なくとも第2の質量平均分子量(M
w)を有することができる。少なくとも第1の質量平均分子量(M
w)および少なくとも第2の質量平均分子量(M
w)は、20,000〜400,000g/molまたは100,000〜350,000g/molの範囲とすることができる。M
z平均分子量も、ESCRに望ましい高MWテールの指標として報告されるべきである。
本明細書で生成されるポリオレフィンポリマーは、分子量分布(MWD)または(M
w/M
n)が約1〜約60、約5〜約50、約15〜約40、または約17〜約35とすることができる。以上で指摘したように、Mz/Mw比は、高MW特性を示唆するために報告されるべきである。ショルダーの外観も重要である。
【0033】
実施形態の一クラスにおいて、1種または複数のポリオレフィンポリマーは、少なくとも第1の分子量分布(M
w/M
n)および少なくとも第2の分子量分布(M
w/M
n)を有することができる。少なくとも第1の分子量分布(M
w/M
n)および少なくとも第2の分子量分布(M
w/M
n)は、5〜50または10〜40の範囲とすることができる。
分子量分布(「MWD」)は、M
w/M
nという表現に等しい。M
w/M
nという表現は、質量平均分子量(M
w)の数平均分子量(M
n)に対する比である。質量平均分子量は、
【数1】
によって与えられ、数平均分子量は、
【数2】
によって与えられ、z−平均分子量は、
【数3】
(式中、n
iは、分子量M
iの分子の数分率である)
によって与えられる。Mw、MnおよびMw/Mnは、示差屈折率検出器(DRI)を装備した高温ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(Polymer Laboratories)を使用することによって決定される。Polymer Laboratories PLgel 10μm Mixed−Bカラムを3本使用する。公称の流速は1.0mL/分であり、公称の注入量は300μLである。様々な搬送ライン、カラム、および示差屈折計(DRI検出器)を、160℃に保持されたオーブンに入れる。実験用の溶媒は、6グラムのブチル化ヒドロキシトルエンを酸化防止剤として4リットルのAldrich試薬グレードの1,2,4−トリクロロベンゼン(TCB)に溶解することによって調製される。次いで、TCB混合物を0.1μmのTeflonフィルターに通して濾過する。次いで、TCBを、GPC装置に入れる前にオンライン脱気装置を用いて脱気する。ポリマー溶液は、乾燥ポリマーをガラスバイアルに入れ、所望の量のTCBを添加し、次いで混合物を約2時間連続振盪させながら160℃で加熱することによって調製される。すべての量は、重量によって測定される。注入濃度は、0.5〜2.0mg/mlであり、より低い濃度は、より高い分子量の試料のために使用される。各試料を実行する前に、DRI検出器をパージする。次いで、装置の流速を1.0ml/分に上げ、最初の試料を注入する前にDRIを8時間安定化させる。分子量は、ユニバーサル較正関係と一連の単分散ポリスチレン(PS)標準品を用いて行われるカラム較正を組み合わせることによって決定される。MWは、溶出体積毎に次式
【0034】
【数4】
で算出され、式中、下付き文字「X」の付いた変数は、被験試料を表し、下付き文字「PS」の付いた変数は、PSを表す。この方法では、a
PS=0.67およびK
PS=0.000175であり、a
XおよびK
Xは、既刊文献から得られる。具体的には、PEではa/K=0.695/0.000579であり、PPではa/K=0.705/0.0002288である。
【0035】
クロマトグラムの各点における濃度cは、ベースライン減算DRIシグナルのI
DRIから、次式
c=K
DRII
DRI/(dn/dc)
を使用して算出され、式中、K
DRIは、DRIを較正することによって決定された定数であり、(dn/dc)は、系の屈折率増分である。具体的には、PEとPPの両方でdn/dc=0.109である。質量回収率は、溶出体積にわたる濃度クロマトグラフィーの積分面積と注入ループ体積を乗じた所定の濃度の等しい注入質量に対する比から算出される。すべての分子量は、別段の注記がない限りg/molの単位で報告されている。
最終使用用途
本明細書に記載されるクロム含有触媒および共触媒ならびに方法によって生成されるポリオレフィンポリマーは、フィルム、成形品、シート、パイプ、ドラム、中型容器(IBC)、ワイヤーおよびケーブルコーティングなどにすることができる。フィルムは、押出、共押出、積層、吹込および流延を含めて当技術分野において公知である通常の技法のいずれかによって形成することができる。
【0036】
成形品を作製するためにポリオレフィンポリマーを加工する方法は、例えば、Carraher,Jr.、Charles E.(1996年):POLYMER CHEMISTRY:AN INTRODUCTION、Marcel Dekker Inc.、New York、512〜516頁にて議論されている。押出品の例としては、チュービング、医療用チュービング、ワイヤーおよびケーブルコーティング、パイプ、ジオメンブラン、ならびに池のライナーが挙げられる。成形品の例としては、ビン、ドラム、IBC、槽、大型中空物品、硬質食品容器および玩具などの形をした、単層および多層構造物が挙げられる。
【0037】
望ましい物品としては、自動車用部品、スポーツ用具、屋外用家具(例えば、ガーディン用家具)および運動場用設備、ボートおよび船舶用部品、および他のそのような物品が挙げられる。さらに詳細には、自動車用部品としては、バンパー、グリル、装備品、ダッシュボードおよび計器盤、外部ドアおよびボンネット部品、スポイラー、フロントガラス、ハブキャップ、ミラー筺体、車体パネル、保護サイドモールディング、ならびに自動車、トラック、ボート、および他の車両に関連する他の内装および外装部品などが挙げられる。
他の物品としては、クレート、容器、包装材料、実験器具、オフィスフロアーマット、計測試料ホルダーおよび試料ウィンドウ;血液または溶液の貯蔵およびIV輸注用の袋、パウチ、およびビンなど医療用の液体貯蔵容器;照射によって保存される食品のラッピングまたは収容材料、輸注キット、カテーテル、および呼吸療法器具を含めて、他の医療機器、ならびにトレーを含めて、ガンマ線または紫外線を照射することができる医療機器および食品用の包装材料、ならびに単位サービングを含む貯蔵液体、特に水、乳、またはジュース容器、ならびにバルクおよび産業用貯蔵容器も挙げられる。
【実施例】
【0038】
本発明を具体的なその実施形態と関連して説明してきたが、前述の説明は、本発明の範囲を例示するためのものであって、限定するものではないことを理解すべきである。他の態様、利点および改変は、本発明が属する技術分野の技術者に明らかである。
したがって、以下の実施例は、当業者に完全に開示および説明するように提示されており、本発明者らが本発明とみなすものの範囲を限定するものではない。
【0039】
触媒調製
触媒A
窒素でパージしたドライボックス中で、ガラスバイアルに、乾燥空気中677℃で活性化された0.1gのPD−11050クロム触媒(1質量%Cr、表面積880m
2/g;および細孔容積1.87mL/g)(PQ Corporationから入手可能)および2mLの乾燥ヘキサンを投入した。活性化PD−11050触媒を含むボルテックスバイアルに0.5〜1.5mLの0.04M DEALEのヘキサン溶液を滴下添加して、触媒およびDEALE溶液を混合した。触媒とDEALEをエチレン重合用反応器に投入する前に10〜30分間事前接触させた。
触媒B
DEALE事前接触手順がない点以外は触媒Aと同じ方法を使用して、PQ PD−11050クロム触媒を乾燥空気中677℃で活性化して、触媒Bを生成した。
触媒C
DEALE事前接触手順がない点以外は触媒Aと同じ方法を使用して、PQ PD−13070クロム触媒(1質量%Crおよび0.6質量%Al;表面積872m
2/g;および細孔容積2.03mL/g)(PQ Corporationから入手可能)を乾燥空気中677℃で活性化して、触媒Cを生成した。
【0040】
エチレン重合
エチレン重合を2Lのジッパークレーブ反応器中で実施した。反応器を、まず窒素流下に120〜140℃で2時間パージした。次いで、1−ヘキセンおよび750mLのイソブタンを反応器に添加した。反応器を99〜105℃に加熱し、エチレンで全圧410〜450psig(2.83〜3.10MPa)に加圧した。触媒A、BまたはCおよび脱水シリカに担持させた0.05mmolのTEALを含有する捕捉剤0.1gを、250mLのイソブタンを触媒投入チューブに通して添加することによって最後に反応器に投入した。重合時に、反応器温度は、反応器中の熱電対および外部ジャケットによって制御した。エチレンをオンデマンドでフィードして、所望の全圧に保持した。PE約2500g/触媒1gの生産性が得られた後、熱を止め、揮発性物質を放出することによって重合を停止させした。
【0041】
(実施例1〜7)
触媒Aを用いて、エチレン共重合を行った。重合および試験結果を表1に要約する。
(比較例1〜6)
触媒Bおよび触媒Cを用いて、エチレン共重合を行った。重合および試験結果を表2に要約する。
データが示すように、Al/Crモル比を高めると、ポリエチレンの高荷重メルトインデックス(I
21.6)および密度が高くなる。本発明の実施例からの分子量分布(Mw/Mn)はより広かった。これによって、ブロー成形生成物の性質、例えば耐環境応力亀裂性が改善されるはずである。DEALE/Crモル比1〜2の実施例1〜2および4〜5は、同じ重合条件の比較例2より触媒活性も高かった。
【0042】
図は、DEALE(実施例1〜6)と事前接触させたPD−11050活性化Cr触媒から調製されたポリエチレンの高荷重メルトインデックス(I
21.6)が、DEALE事前接触手順なしのPD−11050活性化Cr触媒から調製されたもの(比較例2)より高かったことを示している。したがって、データおよび図は、良好な触媒活性を保持しながらもAl/Cr比を調整することによって、異なるポリマー特性、例えばメルトインデックス、高荷重メルトインデックス、および/または分子量分布を有する多種多様なポリマーを重合することができることを示している。この解決策は、常に触媒を取り換える必要なしに、複数のグレードのポリマーを生成する簡単な手法を提供する。
【表1】
【表2】
別段の指定がない限り、「から本質的になる」および「から本質的になること」という語句は、本明細書に具体的に記載されているか否かを問わず、他のステップ、要素、または材料の存在を、そのようなステップ、要素、または材料が、本発明の基本的で新規な特徴に影響を及ぼさない限り排除せず、さらに、使用された要素および材料に通常付随する不純物および変異を排除しない。
【0043】
簡潔にするために、本明細書にはいくつかの範囲のみ明確に開示されている。しかし、いずれかの下限からの範囲をいずれかの上限と組み合わせて、明示されていない範囲を示すことができ、ならびにいずれかの下限からの範囲をいずれかの他の下限と組み合わせて、明示されていない範囲を示すことができ、同じように、いずれかの上限からの範囲をいずれか他の上限と組み合わせて、明示されていない範囲を示すことができる。さらに、ある範囲内には、その終点間のあらゆる点または個々の値がたとえ明示されていないにしても含まれる。したがって、あらゆる点または個々の値は、それ自体の下限または上限をいずれかの他の点もしくは個々の値またはいずれかの他の下限もしくは上限と組み合わせて、明示されていない範囲を示すように機能することができる。
【0044】
すべての優先権文献の参照による本明細書への十分な組込みは、そのような組込みが認められるすべての管轄について、そのような開示が本発明の説明と矛盾しない程度に行われる。さらに、試験手順、刊行物、特許、学術論文などを含めて、本明細書に引用されたすべての論文および参考文献の参照による本明細書への十分な組込みは、そのような組込みが認められるすべての管轄について、そのような開示が本発明の説明と矛盾しない程度に行われる。
本発明をいくつかの実施形態および実施例に関して説明してきたが、本開示の利益を受ける当業者は、本明細書に開示される本発明の範囲および趣旨から逸脱しない他の実施形態に想到することができることを理解する。
【手続補正書】
【提出日】2021年5月17日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
重合反応時において1種もしくは複数のポリオレフィンポリマーの高荷重メルトインデックス(I21.6)、質量平均分子量(Mw)、および分子量分布(Mw/Mn)の1つもしくは複数を調整し、または重合反応の触媒活性を調整する方法であって、
a)少なくとも1種の活性化されたクロム含有触媒と少なくとも1種のアルキルアルミニウムを事前接触させて、触媒スラリー混合物を重合反応器の外で形成するステップ、
b)前記触媒スラリー混合物を重合反応器に移すステップ、
c)前記触媒スラリー混合物を1種または複数のモノマーと重合可能な条件下で接触させて、1種または複数のポリオレフィンポリマーを形成するステップ、および
d)1種または複数のポリオレフィンポリマーを回収するステップ
を含む方法。
【請求項2】
アルキルアルミニウムのクロム含有触媒に対する比が変わると、1種もしくは複数のポリオレフィンポリマーの高荷重メルトインデックス(I21.6)、質量平均分子量(Mw)、および分子量分布(Mw/Mn)の1つもしくは複数または重合反応の触媒活性が変わる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
1種または複数のポリオレフィンポリマーが、少なくとも第1の質量平均分子量(Mw)および少なくとも第2の質量平均分子量(Mw)を有する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
1種または複数のポリオレフィンポリマーが、少なくとも第1の分子量分布(Mw/Mn)および少なくとも第2の分子量分布(Mw/Mn)を有する、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
事前接触が、1秒間〜100分間行われる、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
事前接触が、30秒間〜30分間行われる、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも1種のクロム含有触媒が、酸化クロム(CrO3)および/またはシリルクロメート触媒を含み、担体を一緒に含んでもよい、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
少なくとも1種のアルキルアルミニウムが、アルキルアルミニウムアルコキシド化合物である、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
触媒活性が、少なくとも2,000g/g/時以上である、請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
触媒活性が、少なくとも2,250g/g/時以上である、請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0044
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0044】
すべての優先権文献の参照による本明細書への十分な組込みは、そのような組込みが認められるすべての管轄について、そのような開示が本発明の説明と矛盾しない程度に行われる。さらに、試験手順、刊行物、特許、学術論文などを含めて、本明細書に引用されたすべての論文および参考文献の参照による本明細書への十分な組込みは、そのような組込みが認められるすべての管轄について、そのような開示が本発明の説明と矛盾しない程度に行われる。
本発明をいくつかの実施形態および実施例に関して説明してきたが、本開示の利益を受ける当業者は、本明細書に開示される本発明の範囲および趣旨から逸脱しない他の実施形態に想到することができることを理解する。
本発明は、以下の事項を含む。
(付記1)
重合反応時において1種もしくは複数のポリオレフィンポリマーの高荷重メルトインデックス(I21.6)、質量平均分子量(Mw)、および分子量分布(Mw/Mn)の1つもしくは複数を調整し、または重合反応の触媒活性を調整する方法であって、
a)少なくとも1種の活性化されたクロム含有触媒と少なくとも1種のアルキルアルミニウムを事前接触させて、触媒スラリー混合物を重合反応器の外で形成するステップ、
b)触媒スラリー混合物を重合反応器に移すステップ、
c)触媒混合物を1種または複数のモノマーと重合可能な条件下で接触させて、1種または複数のポリオレフィンポリマーを形成するステップ、および
d)1種または複数のポリオレフィンポリマーを回収するステップ
を含む方法。
(付記2)
アルキルアルミニウムを少なくとも1種のクロム含有触媒と0.01〜10.00のAl/Crモル比で事前接触させる、付記1に記載の方法。
(付記3)
アルキルアルミニウムを少なくとも1種のクロム含有触媒と0.05〜8.00のAl/Crモル比で事前接触させる、付記1に記載の方法。
(付記4)
アルキルアルミニウムを少なくとも1種のクロム含有触媒と0.10〜5.00のAl/Crモル比で事前接触させる、付記1に記載の方法。
(付記5)
アルキルアルミニウムを少なくとも1種のクロム含有触媒と1.00〜3.00のAl/Crモル比で事前接触させる、付記1に記載の方法。
(付記6)
アルキルアルミニウムのクロム含有触媒に対する比が変わると、1種もしくは複数のポリオレフィンポリマーの高荷重メルトインデックス(I21.6)、質量平均分子量(Mw)、および分子量分布(Mw/Mn)の1つもしくは複数または重合反応の触媒活性が変わる、付記1から5までのいずれか1項に記載の方法。
(付記7)
1種または複数のポリオレフィンポリマーが、少なくとも第1の高荷重メルトインデックス(I21.6)および少なくとも第2の高荷重メルトインデックス(I21.6)を有する、付記6に記載の方法。
(付記8)
少なくとも第1の高荷重メルトインデックス(I21.6)および少なくとも第2の高荷重メルトインデックス(I21.6)が、0.1〜100g/10分の範囲である、付記7に記載の方法。
(付記9)
少なくとも第1の高荷重メルトインデックス(I21.6)および少なくとも第2の高荷重メルトインデックス(I21.6)が、1〜50g/10分の範囲である、付記7に記載の方法。
(付記10)
1種または複数のポリオレフィンポリマーが、少なくとも第1の質量平均分子量(Mw)および少なくとも第2の質量平均分子量(Mw)を有する、付記1から9までのいずれか1項に記載の方法。
(付記11)
少なくとも第1の質量平均分子量(Mw)および少なくとも第2の質量平均分子量(Mw)が、20,000〜400,000g/molの範囲である、付記10に記載の方法。
(付記12)
少なくとも第1の質量平均分子量(Mw)および少なくとも第2の質量平均分子量(Mw)が、100,000〜350,000g/molの範囲である、付記10に記載の方法。
(付記13)
1種または複数のポリオレフィンポリマーが、少なくとも第1の分子量分布(Mw/Mn)および少なくとも第2の分子量分布(Mw/Mn)を有する、付記1から12までのいずれか1項に記載の方法。
(付記14)
少なくとも第1の分子量分布(Mw/Mn)および少なくとも第2の分子量分布(Mw/Mn)が、5〜50の範囲である、付記13に記載の方法。
(付記15)
少なくとも第1の分子量分布(Mw/Mn)および少なくとも第2の分子量分布(Mw/Mn)が、10〜40の範囲である、付記13に記載の方法。
(付記16)
事前接触が、1秒間〜100分間行われる、付記1から15までのいずれか1項に記載の方法。
(付記17)
事前接触が、30秒間〜30分間行われる、付記1から16までのいずれか1項に記載の方法。
(付記18)
少なくとも1種のクロム含有触媒が、酸化クロム(CrO3)および/またはシリルクロメート触媒を含み、担体を一緒に含んでもよい、付記1から17までのいずれか1項に記載の方法。
(付記19)
担体が、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化トリウム、またはそれらの混合物を含む、付記18に記載の方法。
(付記20)
少なくとも1種のアルキルアルミニウムが、アルキルアルミニウムアルコキシド化合物である、付記1から19までのいずれか1項に記載の方法。
(付記21)
アルキルアルミニウムアルコキシド化合物が、ジエチルアルミニウムエトキシドである、付記20に記載の方法。
(付記22)
少なくとも1種のアルキルアルミニウムが、トリエチルアルミニウム、トリ−イソブチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム、トリ−n−オクチルアルミニウム、およびそれらの混合物からなる群から選択される、付記1から19までのいずれか1項に記載の方法。
(付記23)
触媒活性が、少なくとも2,000g/g/時以上である、付記1から22までのいずれか1項に記載の方法。
(付記24)
触媒活性が、少なくとも2,250g/g/時以上である、付記1から23までのいずれか1項に記載の方法。
(付記25)
触媒活性が、少なくとも2,500g/g/時以上である、付記1から24までのいずれか1項に記載の方法。
【外国語明細書】