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特開2021-119263金属基材を処理するためのシステム及び方法
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  • 特開2021119263-金属基材を処理するためのシステム及び方法 図000007
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-119263(P2021-119263A)
(43)【公開日】2021年8月12日
(54)【発明の名称】金属基材を処理するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 22/60 20060101AFI20210716BHJP
【FI】
   C23C22/60
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】43
(21)【出願番号】特願2021-69586(P2021-69586)
(22)【出願日】2021年4月16日
(62)【分割の表示】特願2019-507254(P2019-507254)の分割
【原出願日】2017年8月14日
(31)【優先権主張番号】62/374,188
(32)【優先日】2016年8月12日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/431,454
(32)【優先日】2016年12月8日
(33)【優先権主張国】US
(71)【出願人】
【識別番号】502328466
【氏名又は名称】ピーアールシー−デソト インターナショナル,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】モリス、エリック エル.
【テーマコード(参考)】
4K026
【Fターム(参考)】
4K026AA09
4K026AA22
4K026BA06
4K026BB08
4K026CA15
4K026CA18
4K026CA19
4K026CA37
4K026DA03
4K026DA06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】金属の酸化と劣化を防ぐために無機保護コーティングを金属表面に適用する処理ラインを提供する。
【解決手段】金属基材を処理するための処理ラインであって、0.001g/L〜20g/Lの量の三価クロムカチオンを含む化成組成物と、リチウムカチオンを含み、pH9.5〜12.5を有するシーリング組成物とを含み、リチウムカチオンが、シーリング組成物の総重量に基づいて、5ppm〜5500ppmの量でシーリング組成物中に存在し、処理が金属基材を化成組成物及びシーリング組成物と接触、噴霧、及び/又は浸漬することを含む、処理ラインである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属基材を処理するためのシステムであって、
0.001g/L〜20g/Lの量の三価クロムカチオンを含む化成組成物と、
リチウムカチオンを含むシーリング組成物と
を含む、システム。
【請求項2】
前記化成組成物が、前記三価クロムカチオンと塩を形成するのに適したアニオンをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記化成組成物が、少なくとも1つの共抑制剤をさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記シーリング組成物が、pH9.5〜12.5を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記リチウムカチオンが、前記シーリング組成物の総重量に基づいて(金属カチオンとして)、5ppm〜5500ppmの量でシーリング組成物中に存在する、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
炭酸塩、水酸化物、又はそれらの組合せをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記シーリング組成物が、アゾール、インジケータ化合物、又はそれらの組合せをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
洗浄組成物をさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記洗浄組成物が、水酸化物源及び/又はリン酸源を含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記洗浄組成物が、pH7〜13を有する、請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
前記洗浄組成物が、pH0.5〜6を有する、請求項8に記載のシステム。
【請求項12】
前記洗浄組成物が、金属カチオン及び/又はアゾールを含む腐食防止剤をさらに含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項13】
前記洗浄組成物が、脱酸素剤を含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項14】
前記システムが、化学的脱酸素剤をさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
請求項1に記載のシステムで得られる基材。
【請求項16】
基材を処理する方法であって、
基材表面の少なくとも一部を、0.001g/L〜20g/Lの量の三価クロムカチオンを含む化成組成物と接触させる工程と、
基材表面の少なくとも一部を、リチウムカチオンを含むシーリング組成物と接触させる工程と
を含む方法。
【請求項17】
前記シーリング組成物が、pH9.5〜12.5を有する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
請求項16に記載の方法であって、前記基材の表面の少なくとも一部を、洗浄組成物と接触させる工程をさらに含み、当該洗浄組成物との接触工程が、前記化成組成物との接触工程の前に起こる、方法。
【請求項19】
請求項16に記載の方法によって得られる基材。
【請求項20】
ASTMB117に従って操作される中性塩スプレーキャビネット内での7日間の暴露の後で、前記シーリング組成物と接触させた基材は、シーリング組成物で処理されなかった基材と比較して、基材表面上のピットの数が少なくとも40%減少している、請求項19に記載の基材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、「シーリング組成物」という発明の名称で2016年8月12日に出願された米国仮出願第62/374,188号、及び「基質を処理するためのシステム」という発明の名称で2016年12月8日に出願された米国仮出願第62/431,454号に対する優先権を主張し、両方ともその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、金属基材を処理するための組成物、システム及び方法に関する。本発明はまた、そのシステム及び方法で処理することによって得られる基材に関する。
【背景技術】
【0003】
航空宇宙産業、商業産業、及びび民間産業で用いられる金属の酸化及び劣化は、深刻で費用のかかる問題である。これらの用途に用いられる金属の酸化と劣化を防ぐために、無機保護コーティングを金属表面に適用することができる。化成コーティングとも呼ばれるこの無機保護コーティングは、金属に適用される唯一のコーティングであってもよく、又は、その後のコーティングが適用される中間コーティングであってもよい。
【0004】
しかしながら、これらの組成物及び方法を用いて調製されたコーティングの少なくともいくつかは、表面上に腐食及び/又はピットを発生させる可能性がある。さらに、当該技術分野において公知の化成組成物の少なくともいくつかはまた、以下の欠点のうちの1つ又は複数に悩まされる可能性がある。
(1)スラッジ状材料の形態で金属表面から離れて成分が溶液中に沈殿する傾向;
(2)オーバーコートする傾向がなく、基材への低い接着性を示さない均一なコーティングを得ることの困難さ;
(3)コーティングを堆積させるために複数の工程及び長い期間を用いる必要性;
(4)多重合金、特にアルミニウム2024合金をコートするために特定の前処理及び溶液組成を使用する必要性。
【0005】
したがって、既知の化成コーティングのいくつかの欠陥、欠点及び望ましくないパラメータを克服する化成組成物及び/又は処理システムが必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
本明細書に開示されているのは、金属基材を処理するためのシステムであって、水性担体及び0.001g/L〜20g/Lの量の三価クロムカチオンを含む化成組成物と、リチウムカチオンを含むシーリング組成物とを含む、システムである。
【0007】
また、本明細書に開示されているのは、金属基材を処理する方法であって、以下の工程を含む:基材の表面の少なくとも一部を、0.001g/L〜20g/Lの量の三価クロムカチオンを含む化成組成物と接触させる工程;基材表面の少なくとも一部を、リチウムカチオンを含むシーリング組成物と接触させる工程。
【0008】
また、前記のシステムを用いた処理によって得られる、及び/又は処理の方法によって得られる基材も開示されている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、基材表面上のシーリング組成物の層の厚さを説明する概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、金属基材を処理するためのシステムであって、水性担体及び0.001g/L〜20g/Lの量の三価クロムカチオンを含む、又は場合によっては、から本質的になる、又は場合によっては、からなる、化成組成物と、リチウムカチオンを含む、又は場合によっては、から本質的になる、又は場合によっては、からなる、シーリング組成物とを含む、又は場合によっては、から本質的になる、又は場合によっては、からなる、システムに関する。本発明はまた、金属基材を処理する方法に関し、以下の工程を含む、又は場合によっては、から本質的になる、又は場合によっては、からなる:基材の表面の少なくとも一部を、0.001g/L〜20g/Lの量の三価クロムカチオンを含む、又は場合によっては、から本質的になる、又は場合によっては、からなる、化成組成物と接触させる工程;基材表面の少なくとも一部を、リチウムカチオンを含む、又は場合によっては、から本質的になる、又は場合によっては、からなる、シーリング組成物と接触させる工程。
【0011】
本発明において使用され得る適切な基材は、金属基材、金属合金基材、及び/又はニッケルメッキされたプラスチックなどの金属化された基材を含む。本発明によれば、金属又は金属合金は、鋼、アルミニウム、亜鉛、ニッケル、及び/又はマグネシウムであるか、又はそれらを含むことができる。例えば、鋼基材は、冷間圧延鋼、熱間圧延鋼、電気亜鉛めっき鋼、及び/又は溶融亜鉛めっき鋼であってもよい。1XXX、2XXX、3XXX、4XXX、5XXX、6XXX、又は7XXXシリーズのアルミニウム合金及びクラッドアルミニウム合金もまた、基材として使用することができる。アルミニウム合金は、0.01重量%〜10重量%の銅を含んでもよい。処理されるアルミニウム合金はまた、1XX.X、2XX.X、3XX.X、4XX.X、5XX.X、6XX.X、7XX.X、8XX.X、又は9XX.X(例えば、A356.0)のような鋳物を含んでもよい。AZ31B、AZ91C、AM60B、又はEV31Aシリーズのマグネシウム合金もまた、基材として使用することができる。本発明において使用される基材はまた、チタン及び/又はチタン合金、亜鉛及び/又は亜鉛合金、並びに/又は、ニッケル及び/又はニッケル合金を含んでもよい。本発明によれば、基材は、乗り物のボディ(例えば、限定するものではないが、ドア、ボディパネル、トランクデッキリッド、ルーフパネル、フード、ルーフ及び/若しくはストリンガー、リベット、着陸装置部品、及び/又は航空機上で用いられる外板)並びに/又は乗り物のフレームなどの乗り物の一部を構成することができる。本明細書で使用されるとき、「乗り物」又はその変形は、民間、商用及び軍用の航空機、並びに/又は自動車、オートバイ、及び/又はトラックなどの陸上の乗り物を含むがこれらに限定されない。
【0012】
上記のように、本発明の化成組成物は、三価クロムカチオンを含む化成組成物を含んでもよい。化成組成物は、例えば、硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩、炭酸塩、水酸化物、又はそれらの組合せを含む、三価クロムカチオンと塩を形成するのに適し得るアニオンをさらに含んでもよい。
【0013】
本発明によれば、三価クロム塩は、少なくとも0.001g/L、例えば少なくとも0.1g/L、例えば少なくとも0.5g/Lの量で化成組成物中に存在してもよく、場合によっては、20g/L以下、例えば10g/L以下、例えば5g/L以下の量で化成組成物中に存在してもよい。本発明によれば、三価クロム塩は、0.001g/L〜20g/L、例えば0.1g/L〜10g/L、例えば0.5g/L〜5g/Lの量で化成組成物中に存在してもよい。
【0014】
任意選択で、本発明によれば、化成組成物はまた、I族及び/又はII族金属カチオン塩などの金属カチオンを含んでもよい。そのような場合、I族及び/又はII族カチオンと塩を形成するアニオンは、例えば、ハロゲン、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、リン酸塩、ケイ酸塩(オルトケイ酸塩及びメタケイ酸塩)、炭酸塩、水酸化物などを含んでもよい。
【0015】
任意選択で、本発明によれば、化成組成物はまた、少なくとも1つの共抑制剤を含んでもよい。例では、共抑制剤は、IIA族金属カチオン、遷移金属カチオン、ランタニド系列カチオン、アゾール、又はそれらの組合せを含んでもよい。本発明によれば、ランタニド系列カチオンは、例えば、セリウム、プラセオジム、テルビウム、又はそれらの組合せを含んでもよく;IIA族金属カチオンは、マグネシウムを含んでもよく;遷移金属カチオンは、イットリウム、スカンジウム、又はそれらの組合せなどのIIIB族金属、ジルコニウム、チタン、ハフニウム、又はそれらの組合せなどのIVB族金属カチオン、バナジウムなどのVB族金属カチオン、モリブデンなどのVIB族などの金属カチオン、マンガンなどのVIIB族金属カチオン;及び/又は亜鉛などのXIII族金属カチオンを含んでもよい。
【0016】
本発明によれば、化成組成物は、例えば、ハロゲン、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩、リン酸塩、ケイ酸塩(オルトケイ酸塩及びメタケイ酸塩)、炭酸塩、酢酸塩、水酸化物などの共抑制剤の化成組成物金属カチオンと塩を形成するのに適し得るアニオンをさらに含んでもよい。
【0017】
本発明によれば、化成組成物の共抑制剤の塩は、少なくとも0.001g/L、例えば少なくとも0.1g/L、例えば少なくとも0.5g/Lの量で化成組成物中に存在してもよく、場合によっては、20g/L以下、例えば10g/L以下、例えば5g/L以下の量で化成組成物中に存在してもよい。本発明によれば、化成組成物の共抑制剤の塩は、0.001g/L〜20g/L、例えば0.1g/L〜10g/L、例えば0.5g/L〜5g/Lの量で化成組成物中に存在してもよい。
【0018】
本発明によれば、化成組成物は、六価クロム又は六価クロムを含む化合物を除外することができる。そのような材料の非限定的な例には、クロム酸、三酸化クロム、無水クロム酸、重クロム酸塩(重クロム酸アンモニウム、重クロム酸ナトリウム、重クロム酸カリウム、重クロム酸バリウム、重クロム酸マグネシウム、重クロム酸亜鉛、重クロム酸カドミウム及び重クロム酸ストロンチウムなど)が挙げられる。化成組成物及び/又はそれから形成されるコーティング若しくは層が、それぞれ、六価クロムを実質的に含まない、本質的に含まない、又は完全に含まない場合、これには、任意の形態の六価クロム(上記に列挙された六価クロム含有化合物などが挙げられるがこれらに限定されない)が含まれる。
【0019】
それゆえ、任意選択で、本発明によれば、化成組成物及び/又はそれから堆積されるコーティング又は層は、それぞれ、先の段落に列挙された元素又は化合物のうちの1つ以上を実質的に含まない、本質的に含まない、及び/又は完全に含まなくてもよい。実質的に六価クロム又はその誘導体を含まない化成組成物及び/又はそれから形成されるコーティング又は層とは、それぞれ、六価クロム又はその誘導体が、意図的には添加されていないが、不純物又は環境からの不可避の汚染などのために微量で存在し得る、ことを意味する。換言すると、六価クロムの場合、材料の量は非常に少ないので、化成組成物の特性に影響を及ぼさない。これはさらに、その元素又はその化合物が、化成組成物及び/又はそれから形成されるコーティング又は層中に環境に負担をかけるほどのレベルで存在しないということを含み得る。「実質的に含まない」という用語は、化成組成物及び/又はそれから形成されるコーティング又は層が、それぞれ、組成物又は組成物の総重量に基づいて、仮にあるとしても、先の段落に列挙した元素又は化合物のいずれか又は全てを10ppm未満含有することを意味する。「本質的に含まない」という用語は、化成組成物及び/又はそれから形成されるコーティング又は層が、それぞれ、仮にあるとしても、先の段落に列挙した元素又は化合物のいずれか又は全てを1ppm未満含有することを意味する。「完全に含まない」という用語は、化成組成物及び/又はそれから形成されるコーティング又は層が、それぞれ、仮にあるとしても、先の段落に列挙した元素又は化合物のいずれか又は全てを1ppb未満含有することを意味する。
【0020】
本発明によれば、化成組成物は、場合によっては、例えば、リン酸アルミニウム、リン酸鉄、及び/又はリン酸亜鉛(リン酸亜鉛系の処理剤を用いる場合に形成される)などのリン酸イオン又はリン塩酸含有化合物及び/又はスラッジ形成を排除し得る。本明細書で使用されるとき、「リン酸塩含有化合物」は、オルトリン酸塩、ピロリン酸塩、メタリン酸塩、トリポリリン酸塩、有機ホスホネートなどのリン元素を含有する化合物を含み、ナトリウム、カリウム、カルシウム、亜鉛、ニッケル、マンガン、アルミニウム及び/又は鉄などの一価、二価、又は三価カチオンを含み得るがこれらに限定されない。化成組成物及び/又はそれを含む層又はコーティングが、リン酸塩を実質的に含まない、本質的に含まない、又は完全に含まない場合、これは、任意の形態のリン酸イオン又はリン酸塩を含む化合物を含む。
【0021】
それゆえ、本発明によれば、化成組成物及び/又はそれから堆積される層は、先の段落に列挙されたイオン又は化合物のうちの1つ以上を実質的に含まない、又は場合によっては本質的に含まない、又は場合によっては完全に含まなくてもよい。実質的にリン酸塩を含まない化成組成物及び/又はそれから堆積される層とは、リン酸イオン又はリン酸塩を含有する化合物が、意図的には添加されていないが、不純物又は環境からの不可避の汚染などのために微量で存在し得る、ことを意味する。換言すると、材料の量は非常に少ないので、組成物の特性に影響を及ぼさない。これはさらに、リン酸塩が、化成組成物及び/又はそれから堆積される層中に環境に負担をかけるほどのレベルで存在しないということを含み得る。「実質的に含まない」という用語は、化成組成物及び/又はそれから堆積される層が、それぞれ、組成物又は層の総重量に基づいて、仮にあるとしても、先の段落に列挙したリン酸アニオン又は化合物のいずれか又は全てを5ppm未満含有することを意味する。「本質的に含まない」という用語は、化成組成物及び/又はそれを含む層が、先の段落に列挙したリン酸アニオン又は化合物のいずれか又は全てを1ppm未満含有することを意味する。「完全に含まない」という用語は、化成組成物及び/又はそれを含む層が、仮にあるとしても、先の段落に列挙したリン酸アニオン又は化合物のいずれか又は全てを1ppb未満含有することを意味する。
【0022】
本発明によれば、化成組成物のpHは、場合によっては、7未満、例えば5未満、例えば1.5〜6.9、例えば2.0〜6.0、例えば2.5〜4.5であってもよい。他の例では、化成組成物のpHは7より大きく、例えば9より大きく、例えば11より大きく、例えば7.1〜13、例えば7.5〜11、例えば8〜10であってもよい。化成組成物が酸性であるか塩基性であるかにかかわらず、pHは、必要に応じて、例えば任意の酸及び/又は塩基を用いて調整することができる。それゆえ、本発明によれば、化成組成物のpHは、水溶性及び/又は水分散性の酸(例えば硝酸、硫酸、及び/又はリン酸)を含む酸性材料を含めることによって維持することができる。さらに、本発明によれば、組成物のpHは、水溶性及び/又は水分散性の塩基(例えば、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム、アンモニウム、及び/又はアミン(トリエチルアミン、メチルエチルアミンなど)、又はそれらの混合物)を含む塩基性材料を含めることによって維持することができる。
【0023】
化成組成物は水性媒体を含んでもよく、化成組成物の技術分野において従来から用いられている非イオン性界面活性剤及び助剤のような他の材料を任意に含有してもよい。水性媒体中には、水分散性有機溶媒、例えば、メタノール、イソプロパノールなどの約8個までの炭素原子を有するアルコールが存在していてもよく、あるいは、エチレングリコール、ジエチレングリコール、又はプロピレングリコールのモノアルキルエーテルなどのグリコールエーテルなどが存在してもよい。存在する場合、水分散性有機溶媒は、典型的には、水性媒体の全体積に基づいて約10体積%までの量で使用される。さらに、水性媒体中に、セルロース系、ケイ酸系のような増粘剤、又はアクリル系増粘剤が存在してもよい。存在する場合、そのような増粘剤は、典型的には少なくとも0.00001重量%、例えば少なくとも0.5重量%、場合によっては、5重量%以下、例えば1重量%以下の量で使用される。存在する場合、そのような増粘剤は、典型的には、0.00001重量%〜5重量%、例えば0.5重量%〜1重量%の量で使用される。
【0024】
他の任意の材料には、消泡剤又は基材湿潤剤として機能する界面活性剤が含まれる。
アニオン性、カチオン性、両性、及び/又は非イオン性界面活性剤を使用することができる。消泡性界面活性剤は、化成組成物の総重量に基づいて、1重量%まで、例えば0.1重量%までのレベルで任意に存在してもよく、湿潤剤は、典型的には、化成組成物の総重量に基づいて、2重量%まで、例えば0.5重量%までのレベルで存在する。
【0025】
上記のように、化成組成物は、担体、多くの場合は水性媒体を含んでもよく、その結果、組成物は、担体中の三価クロムカチオンと任意選択で他の金属イオン及び/又は共抑制剤との溶液又は分散液の形態である。本発明によれば、溶液又は分散液は、任意の様々な既知の技術(例えば、ディッピング又は浸漬、噴霧、間欠噴霧、ディッピングしてから噴霧、噴霧してからディッピング、ブラッシング、又はロールコーティングなど)のいずれかを用いて基材と接触させることができる。本発明によれば、溶液又は分散液は、金属基材に適用されるとき、40°Fから160°F、例えば60°Fから110°F、例えば70°Fから90°Fの範囲の温度である。例えば、化成プロセスは周囲温度又は室温で実施することができる。接触時間は、1秒〜30分、例えば30秒〜15分、例えば4分〜10分であることが多い。
【0026】
本発明によれば、化成組成物との接触に続いて、基材を、任意に室温で風乾してもよく、又は熱風で乾燥してもよい。例えば、エアナイフを用いることにより、水を飛ばすことにより、基材を高温に短時間さらすことにより(例えば、オーブン中で15℃〜100℃、例えば20℃〜90℃で、又は赤外線熱などを用いるヒータアセンブリ中で例えば70℃で10分間、基材を乾燥させることにより)、あるいは、スキージロールの間に基材を通過させることにより、乾燥してもよい。本発明によれば、化成組成物との接触に続いて、残留物を除去するために、基材を、任意に水道水、脱イオン水、逆浸透(RO)水及び/又はすすぎ剤の水溶液ですすいでもよく、その後、任意に乾燥してもよく、例えば前の文に記載されるように風乾するか又は熱風で乾燥してもよい。
【0027】
本発明によれば、グリース、汚れ、及び/又はその他の異物を除去するために、基材表面の少なくとも一部を上記の化成組成物と接触させる前に、基材表面の少なくとも一部を洗浄及び/又は脱酸素することができる。基材の表面の少なくとも一部を、物理的及び/又は化学的手段によって洗浄してもよく、例えば、表面を機械的に研磨し、及び/又はアルカリ性又は酸性の洗浄組成物で表面を洗浄/脱脂することにより洗浄してもよい。そのような洗浄剤は、水リンス(水道水、蒸留水、RO水、又はそれらの組合せなど)の前又は後にしばしば用いられる。本明細書で使用されるとき、本発明の処理システム及び方法に含まれる「洗浄組成物」は、脱脂特性に加えて脱酸素官能基を有することができる。
【0028】
上記のように、本発明によれば、洗浄組成物はアルカリ性であってもよく、7より大きいpH、例えば9より大きいpH、例えば11より大きいpHを有してもよい。本発明によれば、洗浄組成物のpHは7〜13、例えばpHは9〜12.7であってもよい。他の例では、本発明によれば、洗浄組成物は酸性であってもよく、7未満のpH、例えば6未満のpH、例えば5.5未満のpHを有してもよい。本発明によれば、洗浄組成物のpHは0.5〜6、例えばpHは1.5〜4.5であってもよい。
【0029】
本発明の例では、洗浄化合物は、市販のアルカリ洗浄剤を含んでもよく、それには、Chemkleen(商標)163、177、611L、490MX、2010LP、及び181ALP、Ultrax 32、Ultrax 97、及びUltrax 94D(それぞれPPG Industries、Inc。(Cleveland、OH)から市販されている)、並びにDFMシリーズ、RECC 1001、及び88X1002のいずれかのクリーナー(PRC−DeSoto International(Sylmar、CA)から市販されている)、並びにTurco 4215−NCLT及びRidolene(Henkel Technologies、Madison Heights、MIから市販されている)、並びにSOCOCLEANシリーズのいずれかのクリーナー(Socomoreから市販されている)が含まれる。
【0030】
本発明によれば、洗浄組成物は、水酸化物及び/又はリン酸塩及び/又はメタケイ酸塩を含んでもよい。本発明によれば、水酸化物イオンは、存在する場合には、0.05〜25g/1000g溶液、例えば18〜20g/1000g溶液の量で組成物中に存在してもよい。リン酸塩を有する組成物において、リン酸塩は、リン酸塩(PO3−、リン酸二水素塩(P、及び/又はピロリン酸塩(P4−、例えばリン酸塩(PO3−及び/又は(P4−を含んでもよい。リン酸塩は、50g/1000g溶液から10g/1000g溶液、例えば70g/1000g溶液から90g/1000g溶液の量で組成物中に存在してもよい。適切なリン酸塩の他の非限定的な例としては、Monsanto(St.Louis,MO)から入手可能なDequest(登録商標)などの有機リン酸塩が挙げられる。
【0031】
本発明によれば、洗浄組成物は、水素及び/又は鉄、カリウムなどの鉱物を含んでもよい。例えば、洗浄組成物は、リン酸、酢酸、硝酸、硫酸、フッ化水素酸、塩酸、及び/又は硫酸鉄を含んでもよい。
【0032】
例では、本発明の洗浄組成物はまた、金属カチオン及び/又ははアゾール化合物を含む腐食防止剤を任意に含んでもよい。本発明によれば、腐食防止剤中の金属カチオン(含まれる場合)は、腐食防止特性を有する様々な金属カチオンを含んでもよい。例えば、金属カチオンは、ランタニド系列元素、IA族金属、IIA族金属、及び/又は遷移金属を含んでもよい。
【0033】
本発明によれば、洗浄組成物は、金属カチオンを含む腐食防止剤を、少なくとも0.01g/L、例えば少なくとも0.05g/L、例えば少なくとも0.1g/L、例えば少なくとも1g/Lの濃度で含むことができ、場合によっては、25g/L以下、例えば16g/L以下、例えば10g/L以下、例えば5g/Lの濃度で洗浄組成物中に存在してもよい。本発明によれば、金属カチオンは、0.01g/L〜25g/Lの濃度、例えば0.05g/L〜16g/L、例えば0.1g/L〜10g/L、例えば1g/L〜5g/Lの濃度で洗浄組成物中に存在してもよい。場合によっては、金属イオンの量の上限は、金属イオンの供給源として使用される塩の溶解度に依存し得る。以下でさらに詳細に論じるように、金属カチオンは金属塩の形態で組成物中に提供されてもよく、その場合、本明細書に列挙される量は組成物中の塩の量を反映する。
【0034】
上記のように、金属カチオンは、アニオンと塩のカチオンとしての金属カチオンとを有する塩(すなわち、金属塩が組成物中の金属カチオンの供給源として役立ち得る)の形態で洗浄組成物中に提供されてもよい。塩のアニオンは、ランタニド系列元素、IA族金属、IIA族金属、及び/又は遷移金属と塩を形成することができる任意の適切なアニオンであってもよい。そのようなアニオンの非限定的な例としては、炭酸塩、水酸化物、硝酸塩、ハロゲン、硫酸塩、リン酸塩及び/又はケイ酸塩(例えば、オルトケイ酸塩及びメタケイ酸塩)が挙げられる。しかしながら、本発明による洗浄組成物は、少なくとも1つの水酸化物及び/又はリン酸塩を含んでもよい。任意選択で、本発明によれば、洗浄組成物は、少なくとも2つの金属塩を含んでもよく、少なくとも2つの金属塩は、互いに異なるアニオン及び/又はカチオンを含んでもよい。例えば、少なくとも2つの金属塩は、異なるアニオンを含むが同じカチオンを含んでもよく、又は異なるカチオンを含むが同じアニオンを含んでもよい。
【0035】
上記のように、本発明の洗浄組成物はハロゲンを含んでもよい。ハロゲンは、組成物中に上記の金属カチオンとの塩の形態で提供されてもよい。本発明によれば、ハロゲンは、少なくとも0.2g/Lの量で洗浄組成物中に存在してもよく(ハロゲンが塩として提供される場合には塩は組成物中に存在してもよい)、場合によっては、洗浄組成物1Lあたり1.5g以下の量で存在してもよい。本発明によれば、ハロゲンは、0.2g/L〜1.5g/Lの量で洗浄組成物中に存在することができる。
【0036】
任意選択で、本発明の洗浄組成物は、窒素含有複素環式化合物をさらに含んでもよい。
含窒素複素環式化合物としては、ピロールなどの1個の窒素原子を有する環式化合物、並びに、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール及びペンタゾールなどの2個以上の窒素原子を有するアゾール化合物、オキサゾール及びイソオキサゾールなどの1個の窒素原子及び1個の酸素原子を有するアゾール化合物、又はチアゾール及びイソチアゾールなどの1個の窒素原子及び1個の硫黄原子を有するアゾール化合物が挙げられる。適切なアゾール化合物の非限定的な例には、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール(CAS:1072−71−5)、1H−ベンゾトリアゾール(CAS:95−14−7)、1H−1,2,3−トリアゾール(CAS:288−36−8)、5−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−チオールとも呼ばれる2−アミノ−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール(CAS:2349−67−9)、及び2−アミノ−1,3,4−チアジアゾール(CAS:4005−51−0)が挙げられる。いくつかの実施形態では、例えば、アゾール化合物は、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールを含む。さらに、本発明によれば、窒素含有複素環式化合物は、ナトリウム塩などの塩の形態であってもよい。
【0037】
本発明によれば、窒素含有複素環式化合物は、少なくとも0.5g/L、例えば少なくとも1g/L、例えば少なくとも5g/Lの量で、洗浄組成物中に存在してもよく、場合によっては、15g/L以下、例えば12g/L以下、例えば10g/L以下の量で洗浄組成物中に存在してもよい。本発明によれば、窒素含有複素環式化合物は、有効な腐食防止量、例えば、0.5g/L〜15g/L、例えば1g/L〜12g/L、例えば5g/L〜10g/Lの量で洗浄組成物中に存在してもよい。
【0038】
本発明によれば、洗浄組成物は、他の成分及び/又は添加剤を含有してもよく、例えば、これらに限定されないが、炭酸塩、界面活性剤、キレート剤、増粘剤、アラントイン、ポリビニルピロリドン、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、ハロゲン化物、接着促進剤、例えば接着促進シラン(例えば、アミン及び/又はヒドロキシル官能基を有するシラン;又はジルコニウムアルコキシド及び/又はシランカップリング剤)並びにアルコールを含有してもよい。例えば、本発明によれば、界面活性剤(存在する場合)は、0.015g/1000g溶液から60g/1000g溶液の量で洗浄組成物中に存在してもよい。本発明での使用に適した界面活性剤には、Dynol 604及びCarbowet(商標)DC01界面活性剤(どちらもペンシルベニア州アレンタウンに事務所を有するAir Productsから市販されている)、及びTriton X−100(ミシガン州ミッドランドのDow Chemical Companyから入手可能)が含まれる。
【0039】
さらに、任意選択で、本発明によれば、添加剤は、ポリビニルピロリドンを含んでもよく、存在する場合には、0.01g/L〜5g/Lの量で、例えば、0.02g/L〜約1g/Lの量で洗浄組成物中に存在してもよい。
【0040】
本発明によれば、本発明の洗浄組成物は、洗浄組成物が溶液又は分散液の形態であるように、水などの担体を含むことができる。本発明によれば、溶液又は分散液は、任意の様々な既知の技術(ディッピング、浸漬、噴霧、拭き取り、又はブラシ、ローラーなどを用いた塗布が挙げられるがこれらに限定されない)によって、基材と接触させることができる。噴霧による適用に関しては、空気噴霧に用いられる従来の(自動又は手動)噴霧技術及び装置を使用することができる。本発明によれば、洗浄組成物は、電解コーティングシステムを用いて適用することができる。洗浄組成物が金属基材と接触したままでいる滞留時間は、数秒から数時間まで、例えば30分未満又は3分以下の間で変動し得る。
【0041】
洗浄組成物が浸漬によって金属基材に塗布されるとき、浸漬時間は数秒から数時間まで、例えば30分未満又は3分以内、例えば2秒まで変動してもよい。洗浄組成物がスプレー塗布を用いて金属基材に塗布されるとき、組成物は、従来のスプレー塗布方法を用いて基材の少なくとも一部と接触させることができる。洗浄組成物が金属基材と接触したままでいる滞留時間は、数秒から数時間まで、例えば30分未満又は3分以内、例えば2秒まで変動してもよい。
【0042】
金属基材を洗浄組成物と接触させた後、場合によっては金属基材を風乾し、次いで水道水、RO水、及び/又は蒸留/脱イオン水ですすいでもよい。あるいは、金属基材を組成物と接触させた後、金属基材を水道水、RO水、及び/又は蒸留/脱イオン水ですすぎ、次いでその後(必要があれば)風乾してもよい。しかしながら、基材を乾燥させる必要はなく、場合によっては、乾燥は省略される。さらに、上記のように、基材をすすぐ必要はなく、次いで金属基材をさらに化成コーティング、プライマー及び/又はトップコートで被覆して、完成したコーティングを有する基材を得ることができる。したがって、場合によっては、この後続のすすぎを省略することができる。
【0043】
いくつかの例において、本発明によれば、洗浄組成物を、1〜10分間(例えば、3〜5分間)金属基材に適用してもよく、金属基材の表面は、組成物を再適用することによって、湿潤状態に保たれてもよい。次いで、組成物の最後の適用後、例えば室温を超える熱がない状態で、組成物を5〜10分間(例えば7分間)乾燥してもよい。しかしながら、基材を乾燥させる必要はなく、場合によっては、乾燥は省略される。例えば、本発明によれば、溶媒(例えばアルコール)を用いて基材をすすぎ洗いすることができ、これにより乾燥工程を省くことができる。
【0044】
金属基材を洗浄組成物と接触させた後、場合によっては金属基材を風乾してもよい。しかしながら、基材を乾燥させる必要はなく、場合によっては、乾燥を省略してもよい。すすぎは必須ではないが、必要があれば行ってもよい。
【0045】
本発明によれば、金属基材は、金属基材を上記の洗浄組成物と接触させる前に、任意にコンディショニングすることができる。本明細書で使用されるとき、用語「コンディショニング」は、後続の処理の前の基材の表面改質を指す。そのような表面改質は、当技術分野で知られているように、(表面から不純物及び/又は汚れを除去するための)洗浄、脱酸素、及び/又は溶液若しくはコーティングの適用を含むが、これらに限定されない様々な操作を含むことができる。コンディショニングは、より均一な出発金属表面の生成、前処理された基材上への後続のコーティングの接着性の向上、及び/又は後続の組成物の堆積を容易にするよう手法で出発金属表面の改質すること、などの1つ以上の利点を有し得る。
【0046】
本発明によれば、金属基材は、組成物を金属基材に適用する前に、金属を溶媒拭きすることによって前処理することができる。適切な溶媒の非限定的な例としては、メチルエチルケトン(MEK)、メチルプロピルケトン(MPK)、アセトンなどが挙げられる。
【0047】
本発明によれば、金属基材は、金属基材を洗浄組成物と接触させる前に、最初に金属基材を溶媒処理することによって任意に調製することができる。本明細書で使用されるとき、用語「溶媒処理」は、すすぎ、拭き取り、噴霧、又は基材を溶媒中に浸漬することを指し、それにより、金属表面に存在し得るインク、オイルなどの除去を助ける。あるいは、金属基材は、金属基材を洗浄組成物と接触させる前に、従来の脱脂方法を用いて金属基材を脱脂することによって調製することができる。
【0048】
金属基材を調製するためのさらなる任意の手順としては、酸洗若しくは軽酸エッチングなどの表面光沢剤、又はスマットリムーバーの使用が挙げられる。
【0049】
金属基材は、各前処理工程の間に、水道水、RO水、及び/又は蒸留水/脱イオン水のいずれかですすいでもよく、本発明による組成物と接触させた後、蒸留水/脱イオン水及び/又はアルコールでよくすすいでもよい。しかしながら、上記のように、本発明によれば、上記の前処理手順及びすすぎのいくつかは、洗浄組成物の適用の前又は後に必要ではないかもしれない。
【0050】
上記のように、本発明によれば、任意選択で、洗浄された基板表面の少なくとも一部を、機械的に及び/又は化学的に脱酸素することができる。本明細書で使用されるとき、用語「脱酸素する」は、基材の表面に見られる酸化物層の除去を意味し、前処理組成物の均一な堆積を促進するため(後述)、及び基材表面への前処理組成物コーティングの接着を促進するためのものである。適切な脱酸素剤は当業者によく知られているであろう。典型的な機械的脱酸素剤は、例えば、研磨パッド又はクリーニングパッドを用いることによる、基材表面の均一な粗面化であってもよい。典型的な化学的脱酸素剤としては、例えば、リン酸、硝酸、フルオロホウ酸、硫酸、クロム酸、フッ化水素酸、及び二フッ化アンモニウムなどの酸系脱酸素剤、又はAmchem7/17脱酸素剤(Henkel Technologies、Madison Heights,MIから入手可能)、OAKITE脱酸素剤LNC(Chemetallから市販されている)、TURCO脱酸素剤6(Henkelから市販されている)、又はそれらの組合せが挙げられる。多くの場合、化学的脱酸素剤は担体、多くの場合は水性媒体を含むので、脱酸素剤は担体中の溶液又は分散液の形態であってもよく、この場合、溶液又は分散液は、任意の様々な既知の技術(例えば、ディッピング又は浸漬、噴霧、間欠噴霧、ディッピングしてから噴霧、噴霧してからディッピング、ブラッシング、又はロールコーティングなどのいずれかを用いて基材と接触させることができる。本発明によれば、当業者は、金属基材に適用した場合に、エッチング速度に基づいて、溶液又は分散液の温度範囲を選択するであろう。その温度範囲、例えば、50°F〜150°F(10℃〜66℃)、例えば70°F〜130°F(21℃〜54℃)、例えば、80°F〜120°F(27℃〜49℃)である。接触時間は、30分〜20分、例えば1分〜15分、例えば90秒〜12分、例えば3分〜9分であってもよい。
【0051】
シーリング組成物は、リチウムカチオンを含んでもよい。リチウムカチオンはリチウム塩の形態であってもよい。さらに、シーリング組成物はまた、リチウム以外の少なくとも1つのIA族金属カチオン、VB族金属カチオン、及び/又はVIB族金属カチオンをさらに含んでもよい。リチウム以外の少なくとも1つのIA族金属カチオン、VB族金属カチオン、及び/又はVIB族金属カチオンは、塩の形態であってもよい。リチウム、リチウム以外のIA族カチオン、VB族カチオン、及び/又はVIB族カチオンと塩を形成するのに適したアニオンの非限定的な例としては、炭酸塩、水酸化物、硝酸塩、ハロゲン、硫酸塩、リン酸塩及びケイ酸塩(例えばオルトケイ酸塩及びメタケイ酸塩)金属塩は、炭酸塩、水酸化物、硝酸塩、ハロゲン化物、硫酸塩、リン酸塩、ケイ酸塩(例えば、オルトケイ酸塩及びメタケイ酸塩)が挙げられ、その金属塩は、炭酸塩、水酸化物、硝酸塩、ハロゲン化物、硫酸塩、リン酸塩及びケイ酸塩(例えばオルトケイ酸塩及びメタケイ酸塩)、過マンガン酸塩、クロム酸塩、バナジン酸塩、モリブデン酸塩、及び/又は過塩素酸塩を含み得る。
【0052】
本発明によれば、シーリング組成物の金属塩(すなわち、リチウムの塩、リチウム以外のIA族金属の塩、VB族金属の塩、及び/又はVIB族金属の塩)はそれぞれ、シーリング組成物の総重量に基づいて、少なくとも25ppm、例えば少なくとも150ppm、例えば少なくとも500ppm(総化合物として計算)の量でシーリング組成物中に存在してもよく、場合によっては、シーリング組成物の総重量に基づいて、30000ppm以下、例えば2000ppm以下、例えば1500ppm以下(総化合物として計算)の量でシーリング組成物中に存在してもよい。本発明によれば、シーリング組成物の金属塩(すなわち、リチウムの塩、リチウム以外のIA族金属の塩、VB族金属の塩、及び/又はVIB族金属の塩)はそれぞれ、シーリング組成物の総重量に基づいて、25ppm〜30000ppm、例えば150ppm〜2000ppm、例えば500ppm〜1500ppm(全化合物として計算)の量でシーリング組成物中に存在してもよい。
【0053】
本発明によれば、リチウムカチオン、リチウム以外のIA族カチオン、VB族金属カチオン、及びVIB族金属カチオンはそれぞれ、シーリング組成物の総重量に基づいて、少なくとも5ppm、例えば少なくとも50ppm、例えば少なくとも150ppm、例えば少なくとも250ppm(カチオンとして計算)の量でシーリング組成物中に存在してもよく、場合によっては、シーリング組成物の総重量に基づいて、5500ppm以下、例えば1200ppm以下、例えば1000ppm以下、例えば500ppm以下(カチオンとして計算)の量でシーリング組成物中に存在してもよい。場合によっては、本発明によれば、リチウムカチオン、リチウム以外のIA族カチオン、VB族金属カチオン、及びVIB族金属カチオンはそれぞれ、シーリング組成物の総重量に基づいて、少なくとも5ppm〜5500ppm、例えば少なくとも50ppm〜1000ppm、例えば少なくとも150ppm〜500ppm(カチオンとして計算)の量でシーリング組成物中に存在してもよい。
【0054】
本発明によれば、本発明のリチウム塩は、無機リチウム塩、有機リチウム塩、又はそれらの組合せを含んでもよい。本発明によれば、リチウム塩のアニオン及びカチオンは、両方とも水溶性であり得る。本発明によれば、例えば、リチウム塩は、25℃(K;25℃)の温度で、少なくとも1×10−11、例えば少なくとも1×10−4の、水中での溶解度定数を有してもよく、場合によっては、5×10+2以下であってもよい。本発明によれば、リチウム塩は、25℃(K;25℃)の温度で、1×10−11〜5×10+2、例えば1×10−4〜5×10+2の水中での溶解度定数を有してもよい。本明細書で使用されるとき、「溶解度定数」は、それぞれのリチウム塩の飽和水溶液中のイオンの平衡濃度の積を意味する。各濃度は、平衡式におけるそれぞれのイオン係数のべき乗になる。様々な塩に対する溶解度定数は、Handbook of Chemistry and Physicsにおいて見出すことができる。
【0055】
本発明によれば、本発明のシーリング組成物は、過酸化水素、過硫酸塩、過塩素酸塩、スパージした散布酸素、臭素酸塩、過酸化安息香酸塩、オゾンなどの酸化剤、又はそれらの組合せを含むことができる。例えば、シーリング組成物は、シーリング組成物の総重量に基づいて、0.1重量%〜15重量%、例えば2重量%〜10重量%、例えば6重量%〜8重量%の酸化剤を含んでもよい。あるいは、本発明によれば、シーリング組成物は、酸化剤を実質的に含まない、又は場合によっては本質的に含まない、又は場合によっては完全に含まなくてもよい。
【0056】
本発明によれば、シーリング組成物は、IIA族金属カチオン又はIIA族金属含有化合物(カルシウムを含むがこれに限定されない)を除外することができる。そのような材料の非限定的な例には、IIA族金属水酸化物、IIA族金属硝酸塩、IIA族金属ハロゲン化物、IIA族金属スルファミン酸塩、IIA族金属硫酸塩、IIA族炭酸塩及び/又はIIA族金属カルボン酸塩が挙げられる。シーリング組成物及び/又はそれから形成されるコーティング若しくは層が、それぞれ、IIA族金属カチオンを実質的に含まない、本質的に含まない、又は完全に含まない場合、これには、任意の形態のIIA族金属カチオン(上記に列挙されたIIA族金属含有化合物などが挙げられるがこれらに限定されない)が含まれる。
【0057】
本発明によれば、シーリング組成物は、クロム又はクロム含有化合物を除外することができる。本明細書で使用されるとき、用語「クロム含有化合物」は、六価クロムを含む材料を指す。そのような材料の非限定的な例には、クロム酸、三酸化クロム、無水クロム酸、二クロム酸塩(例えば、二クロム酸アンモニウム、二クロム酸ナトリウム、二クロム酸カリウム、二クロム酸カルシウム、二クロム酸バリウム、二クロム酸マグネシウム、二クロム酸亜鉛、二クロム酸カドミウム、及び二クロム酸ストロンチウム)が含まれる。シーリング組成物及び/又はそれから形成されるコーティング若しくは層が、それぞれ実質的にクロムを含まない、本質的に含まない、又は完全に含まない場合、これには、任意の形態のクロム(上記に列挙された六価クロム含有化合物などが挙げられるがこれらに限定されない)が含まれる。
【0058】
それゆえ、任意選択で、本発明によれば、本発明のシーリング組成物及び/又はそれから堆積されるコーティング又は層は、それぞれ、先の段落に列挙された元素又は化合物のうちの1つ以上を実質的に含まない、本質的に含まない、及び/又は完全に含まなくてもよい。実質的にクロム又はその誘導体を含まないシーリング組成物及び/又はそれから形成されるコーティング又は層とは、それぞれ、クロム又はその誘導体が、意図的には添加されていないが、不純物又は環境からの不可避の汚染などのために微量で存在し得る、ことを意味する。換言すると、クロムの場合、材料の量は非常に少ないので、シーリング組成物の特性に影響を及ぼさない。これはさらに、その元素又はその化合物が、シーリング組成物及び/又はそれから形成されるコーティング又は層中に環境に負担をかけるほどのレベルで存在しないということを含み得る。「実質的に含まない」という用語は、シーリング組成物及び/又はそれから形成されるコーティング又は層が、それぞれ、組成物又は組成物の総重量に基づいて、仮にあるとしても、先の段落に列挙した元素又は化合物のいずれか又は全てを10ppm未満含有することを意味する。「本質的に含まない」という用語は、シーリング組成物及び/又はそれから形成されるコーティング又は層が、それぞれ、仮にあるとしても、先の段落に列挙した元素又は化合物のいずれか又は全てを1ppm未満含有することを意味する。「完全に含まない」という用語は、シーリング組成物及び/又はそれから形成されるコーティング又は層が、それぞれ、仮にあるとしても、先の段落に列挙した元素又は化合物のいずれか又は全てを1ppb未満含有することを意味する。
【0059】
本発明によれば、シーリング組成物は、場合によっては、例えば、リン酸アルミニウム、リン酸鉄、及び/又はリン酸亜鉛(リン酸亜鉛系の処理剤を用いる場合に形成される)などのリン酸イオン又はリン塩酸含有化合物及び/又はスラッジ形成を排除し得る。本明細書で使用されるとき、「リン酸塩含有化合物」は、オルトリン酸塩、ピロリン酸塩、メタリン酸塩、トリポリリン酸塩、有機ホスホネートなどのリン元素を含有する化合物を含み、ナトリウム、カリウム、カルシウム、亜鉛、ニッケル、マンガン、アルミニウム及び/又は鉄などの一価、二価、又は三価カチオンを含み得るがこれらに限定されない。組成物及び/又はそれを含む層又はコーティングが、リン酸塩を実質的に含まない、本質的に含まない、又は完全に含まない場合、これは、任意の形態のリン酸イオン又はリン酸塩を含む化合物を含む。
【0060】
それゆえ、本発明によれば、シーリング組成物及び/又はそれから堆積される層は、先の段落に列挙されたイオン又は化合物のうちの1つ以上を実質的に含まない、又は場合によっては本質的に含まない、又は場合によっては完全に含まなくてもよい。実質的にリン酸塩を含まないシーリング組成物及び/又はそれから堆積される層とは、リン酸イオン又はリン酸塩を含有する化合物が、意図的には添加されていないが、不純物又は環境からの不可避の汚染などのために微量で存在し得る、ことを意味する。換言すると、材料の量は非常に少ないので、組成物の特性に影響を及ぼさない。これはさらに、リン酸塩が、シーリング組成物及び/又はそれから堆積される層中に環境に負担をかけるほどのレベルで存在しないということを含み得る。「実質的に含まない」という用語は、シーリング組成物及び/又はそれから堆積される層が、それぞれ、組成物又は層の総重量に基づいて、仮にあるとしても、先の段落に列挙したリン酸アニオン又は化合物のいずれか又は全てを5ppm未満含有することを意味する。「本質的に含まない」という用語は、シーリング組成物及び/又はそれを含む層が、先の段落に列挙したリン酸アニオン又は化合物のいずれか又は全てを1ppm未満含有することを意味する。「完全に含まない」という用語は、シーリング組成物及び/又はそれを含む層が、仮にあるとしても、先の段落に列挙したリン酸アニオン又は化合物のいずれか又は全てを1ppb未満含有することを意味する。
【0061】
本発明によれば、シーリング組成物は、場合によっては、フッ化物又はフッ化物源を除外することができる。本明細書で使用されるとき、「フッ化物源」は、フッ化物イオンを生成することが知られている一フッ化物、二フッ化物、フッ化物錯体、及びそれらの混合物を含む。組成物及び/又はそれを含む層又はコーティングが、フッ化物を実質的に含まない、本質的に含まない、又は完全に含まない場合、これは、任意の形態のフッ化物イオン又はフッ化物源を含むが、意図しないフッ化物(例えば、処理ライン、都市水源(例えば、虫歯を防ぐために給水に添加されるフッ化物)、前処理された基材からのフッ化物などにおける前処理浴からの持ち越しの結果として存在し得るもの)を含まない。すなわち、フッ化物を実質的に含まない、本質的に含まない、又は完全に含まない浴は、たとえ処理ラインで使用する前に浴を作るために使用された組成物がフッ化物を実質的に含まない、本質的に含まない、又は完全に含まなかったとしても、浴は、これらの外部源から由来し得る意図しないフッ化物を含み得る。
【0062】
例えば、シーリング組成物は、アンモニウム及びアルカリ金属フッ化物、酸フッ化物、フルオロホウ酸、フルオロケイ酸、フルオロチタン酸、及びフルオロジルコニウム酸、並びにそれらのアンモニウム及びアルカリ金属塩、並びに他の無機フッ化物などの任意のフッ化物源を実質的に含まなくてもよい。その非限定的な例は、フッ化亜鉛、フッ化亜鉛アルミニウム、フッ化チタン、フッ化ジルコニウム、フッ化ニッケル、フッ化アンモニウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、及びフッ化水素酸、並びに当業者に公知の他の同様の材料である。
【0063】
シーリング組成物中に存在し、本明細書で「遊離フッ化物」と定義される、金属イオン(IVB族金属イオンなど)又は水素イオンに結合していないフッ化物は、シーリング組成物中の操作上のパラメータとして測定することができる。測定は、例えば、サーモサイエンティフィック社から入手可能なフッ化物イオン選択性電極(「ISE」)を備えたOrion Dual Star Dual Channel Benchtop Meter、VWR Internationalから供給されるsymphony(登録商標)フッ化物イオン選択的組合せ電極、又は同様の電極を用いて行うことができる。例えば、Light and Cappccino、イオン選択性電極を用いた練り歯磨き中のフッ化物の測定、J.Chem.Educ.,52:4,247−250,1975年4月を参照のこと。フッ化物ISEは、電極を既知のフッ化物濃度の溶液に浸し、読みをミリボルトで記録し、次いでこれらのミリボルトの読みを対数グラフにプロットすることによって、標準化することができる。未知のサンプルのミリボルト測定値は、この校正グラフと比較され、フッ化物濃度が決定される。あるいは、フッ化物ISEは、内部で較正計算を実行する計器と共に使用することができ、これにより、較正後に未知の試料の濃度を直接読み取ることができる。
【0064】
フッ化物イオンは、高い電荷密度を有する小さな負イオンであるため、水溶液中では、高い正電荷密度を有する金属イオン(IVB族金属イオンなど)又は水素イオンと錯体を形成することが多い。金属カチオン又は水素イオンにイオン的又は共有結合的に結合している、溶液中のフッ化物アニオンは、本明細書において「結合フッ化物」として定義される。このように錯化したフッ化物イオンは、それらが存在する溶液が、そのような錯体からフッ化物イオンを放出するイオン強度調整緩衝液(例えば、クエン酸アニオン又はEDTA)と混合されない限り、フッ化物ISEで測定できない。その時点で(すべての)フッ化物イオンはフッ化物ISEによって測定可能であり、測定は「全フッ化物」として知られている。あるいは、全フッ化物は、シーラー組成物中に供給されたフッ化物の重量を組成物の全重量と比較することによって計算することができる。
【0065】
本発明によれば、処理組成物は、コバルトイオン又はコバルト含有化合物を、場合によっては、実質的に含まない、又は場合によっては、本質的に含まない、又は場合によっては、完全に含まなくてもよい。本明細書で使用されるとき、「コバルト含有化合物」は、例えば、硫酸コバルト、硝酸コバルト、炭酸コバルト及び酢酸コバルトなどのコバルト元素を含有する化合物、錯体又は塩を含む。組成物及び/又はそれを含む層又はコーティングが、コバルトを実質的に含まない、本質的に含まない、又は完全に含まない場合、これは任意の形態のコバルトイオン又はコバルト含有化合物を含む。
【0066】
本発明によれば、処理組成物は、バナジウムイオン又はバナジウム含有化合物を、場合によっては、実質的に含まない、又は場合によっては、本質的に含まない、又は場合によっては、完全に含まなくてもよい。本明細書で使用されるとき、「バナジウム含有化合物」は、例えば、アルカリ金属の対イオン又はアンモニウムカチオンを含むバナジウム酸塩及びデカバナジウム酸塩などのバナジウム元素を含有する化合物、錯体又は塩を含む(例えば、デカバナジウム酸アンモニウムナトリウムを含む))。組成物及び/又はそれを含む層又はコーティングが、バナジウムを実質的に含まない、本質的に含まない、又は完全に含まない場合、これは任意の形態のバナジウムイオン又はCa2+を含まないバナジウム含有化合物を含む。
【0067】
本発明によれば、シーリング組成物は、任意選択的にインジケータ化合物をさらに含有してもよく、そのように命名されるのは、例えば、金属イオンのような化学種の存在、組成物のpHなどを示すからである。本明細書で使用される「インジケータ」、「インジケータ化合物」、及び類似の用語は、何らかの外部刺激、パラメータ、又は状態(金属イオンの存在など)に応じて、あるいは特定のpH又はpH範囲に応じて、色が変わる化合物を指す。
【0068】
本発明に従って使用されるインジケータ化合物は、種の存在、特定のpHなどを示す、当技術分野において公知の任意のインジケータであってもよい。例えば、適切なインジケータは、特定の金属イオンと金属イオン錯体を形成した後に色を変えるものであってもよい。金属イオンインジケータは一般に高度に共役した有機化合物である。本明細書で使用される「共役化合物」は、且つ当業者によって理解されるように、単結合によって分離された2つの二重結合、例えば単一の炭素−炭素結合を有する2つの炭素−炭素二重結合を有する化合物を指す。任意の共役化合物を、本発明に従って使用することができる。
【0069】
同様に、インジケータ化合物は、pHが変化すると色が変化するものであってもよい。例えば、その化合物は、酸性又は中性のpHである色であってアルカリ性のpHで色を変えることができ、あるいはその逆であってもよい。そのようなインジケータはよく知られており、広く市販されている。したがって、「第1のpHから第2のpHへの移行時に色が変化する」インジケータ(すなわち、第1のpHから、多かれ少なかれ酸性又はアルカリ性である第2のpHへ移行時に色が変化するインジケータ)は、第1のpHに曝されると第1の色を有し(又は無色であり)、第2のpHに移行すると第2の色に変化する(又は無色から有色に変わる)。例えば、「よりアルカリ性のpH(又はより低酸性のpH)への移行時に色が変化する」インジケータは、pHが酸性/中性からアルカリ性に移行すると、第1の色/無色から第2の色/色に変わる。例えば、「より酸性のpH(又はより低アルカリ性のpH)への移行時に色が変化する」インジケータは、pHがアルカリ性/中性から酸性に移行すると、第1の色/無色から第2の色/色に変わる。
【0070】
そのようなインジケータ化合物の非限定的な例としては、メチルオレンジ、キシレノールオレンジ、カテコールバイオレット、ブロモフェノールブルー、グリーン及びパープル、エリクロームブラックT、セレスティンブルー、ヘマトキシリン、カルマガイト、ガロシアニン、及びそれらの組合せが挙げられる。任意選択的に、インジケータ化合物は、金属イオンインジケータである有機インジケータ化合物を含んでもよい。インジケータ化合物の非限定的な例には、表1に見られるものが含まれる。特定の条件で光を発する蛍光インジケータもまた、本発明に従って使用することができるが、蛍光インジケータの使用もまた特に除外してもよい。すなわち、代替的には、蛍光を示す共役化合物は特に除外される。本明細書で使用されるとき、「蛍光インジケータ」及び同様の用語は、紫外線又は可視光線にさらされると蛍光を発するか、そうでなければ色を示す化合物、分子、顔料、及び/又は染料を指す。「蛍光を発する」とは、より短い波長の光又は他の電磁放射線の吸収後に光を放出すると理解されるであろう。しばしば「タグ」と呼ばれるそのようなインジケータの例としては、アクリジン、アントラキノン、クマリン、ジフェニルメタン、ジフェニルナフチルメタン、キノリン、スチルベン、トリフェニルメタン、アントラシン及び/又はこれらの部分のいずれかを含む分子及び/又はこれらの誘導体、例えば、ローダミン、フェナントリジン、オキサジン、フルオロン、シアニン及び/又はアクリジンが挙げられる。

【表1】
【0071】
本発明によれば、インジケータとして有用な共役化合物は、表1に示すように、例えばカテコールバイオレットを含むことができる。カテコールバイオレット(CV)は、2モルのピロカテコールを1モルのo−スルホ安息香酸無水物と縮合させることで作製されたスルホンフタレイン染料である。CVはインジケータ特性(指示薬特性)を有することが見出され、金属イオンを有する組成物中に組み入れられると、それは錯体を形成し、錯滴定試薬として有用になる。CVを含有する組成物が、金属基材に由来する金属イオン(すなわち、2価以上の価数を有するもの)をキレート化するにつれて、一般に青色から青紫色が観察される。
【0072】
表1に示されるように、キシレノールオレンジも同様に、本発明による組成物に使用することができる。キシレノールオレンジは、金属イオン(すなわち、2価以上の価数を有するもの)インジケータ特性を有することが見出され、金属イオンを有する組成物中に組み入れられると、それは錯体を形成し、錯滴定試薬として有用になる。キシレノールオレンジを含有する組成物が、金属イオンをキレート化するにつれて、キシレノールオレンジの溶液は赤色からほぼ青色に変わる。
【0073】
本発明によれば、インジケータ化合物は、少なくとも0.01g/1000g、例えば少なくとも0.05g/1000gの量でシーリング組成物中に存在してもよく、場合によっては、3g/1000g以下、例えば0.3g/1000g以下の量でシーリング組成物中に存在してもよい。本発明によれば、インジケータ化合物は、0.01g/1000gから3g/1000gの量でシーリング組成物中に存在してもよく、例えば0.05g/1000gから0.3g/1000gの量でシーリング組成物中に存在してもよい。
【0074】
本発明によれば、特定の外部刺激に応答して色が変化するインジケータ化合物は、シーリング組成物を使用する場合に、例えば、基材が組成物で処理されたことの視覚的表示として役立ち得るという点で、利点をもたらす。例えば、基材中に存在する金属イオンにさらされると色が変わるインジケータを含むシーリング組成物は、その基材中の金属イオンと錯化すると色が変わり、これにより、使用者は、基材が組成物と接触したことを確認することができる。アルカリ層又は酸性層を基材上に堆積させ、その基材と、アルカリ性又は酸性のpHにさらされると色が変化する本発明の組成物とを接触させることによって、同様の利点を実現することができる。
【0075】
任意選択的に、本発明のシーリング組成物は、窒素含有複素環式化合物をさらに含んでもよい。含窒素複素環式化合物としては、ピロールなどの1個の窒素原子を有する環式化合物、並びに、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール及びペンタゾールなどの2個以上の窒素原子を有するアゾール化合物、オキサゾール及びイソオキサゾールなどの1個の窒素原子及び1個の酸素原子を有するアゾール化合物、又はチアゾール及びイソチアゾールなどの1個の窒素原子及び1個の硫黄原子を有するアゾール化合物が挙げられる。適切なアゾール化合物の非限定的な例には、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール(CAS:1072−71−5)、1H−ベンゾトリアゾール(CAS:95−14−7)、1H−1,2,3−トリアゾール(CAS:288−36−8)、5−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−チオールとも呼ばれる2−アミノ−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール(CAS:2349−67−9)、及び2−アミノ−1,3,4−チアジアゾール(CAS:4005−51−0)が挙げられる。いくつかの実施形態では、例えば、アゾール化合物は、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールを含む。さらに、本発明によれば、窒素含有複素環式化合物は、ナトリウム塩などの塩の形態であってもよい。
【0076】
窒素含有複素環式化合物は、シーリング組成物中に、組成物1リットル当たり少なくとも0.0005g、例えば組成物1リットル当たり少なくとも0.0008g、例えば組成物1リットル当たり少なくとも0.002gの濃度で存在してもよく、場合によっては、シーリング組成物中に、組成物1リットル当たり3g以下、例えば組成物1リットル当たり0.2g以下、例えば組成物1リットル当たり0.1g以下の量で存在してもよい。本発明によれば、窒素含有複素環式化合物は、シーリング組成物中に(存在する場合)、組成物1リットル当たり0.0005gから組成物1リットル当たり3gまで、例えば、組成物1リットル当たり0.0008gから組成物1リットル当たり0.2gまで、例えば、組成物1リットル当たり0.002gから組成物1リットル当たり0.1gまで存在してもよい。
【0077】
本発明によれば、シーリング組成物は水性媒体を含んでもよく、任意選択で少なくとも1種の有機溶媒のような他の物質を含んでもよい。適切なそのような溶媒の非限定的な例には、プロピレングリコール、エチレングリコール、グリセロール、低分子量アルコールなどが含まれる。存在する場合、有機溶媒は、シーリング組成物中に、シーリング組成物1リットル当たり少なくとも1gの溶媒、例えばシーリング溶液1リットル当たり少なくとも約2gの溶媒の量で存在してもよく、場合によっては、シーリング組成物中に、シーリング組成物1リットル当たり40g以下の溶媒、例えばシーリング溶液1リットル当たり20g以下の溶媒の量で存在してもよい。リング組成物中に、存在する場合、シーリング組成物1リットル当たり溶媒1gからシーリング組成物1リットル当たり溶媒40gまで、例えば、シーリング組成物1リットル当たり溶媒2gからシーリング組成物1リットル当たり溶媒20gまでの量で存在してもよい。
【0078】
本発明によれば、シーリング組成物のpHは、少なくとも9.5、例えば少なくとも10、例えば少なくとも11であってもよく、場合によっては、12.5以下、例えば12以下、例えば11.5以下であってもよい。本発明によれば、シーリング組成物のpHは、9.5〜12.5、例えば10〜12、例えば11〜11.5であってもよい。シーリング組成物のpHは、必要に応じて、例えば、任意の酸及び/又は塩基を用いて調整することができる。本発明によれば、シーリング組成物のpHは、二酸化炭素、水溶性及び/又は水分散性の酸(例えば硝酸、硫酸、及び/又はリン酸)を含む酸性物質を含めることによって維持することができる。本発明によれば、シーリング組成物のpHは、水溶性及び/又は水分散性の塩基を含み、炭酸塩(I族炭酸塩、II族炭酸塩など)、水酸化物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、又は水酸化アンモニウムなど)、アンモニア、及び/又はアミン(トリエチルアミン、メチルエチルアミンなど)、又はそれらの混合物を含む塩基性材料を含めることによって維持することができる。
【0079】
上記のように、シーリング組成物は、担体、多くの場合は水性媒体を含んでもよく、その結果、組成物は、担体中のリチウムカチオンの溶液又は分散液の形態である。本発明によれば、溶液又は分散液は、任意の様々な既知の技術(例えば、ディッピング又は浸漬、噴霧、間欠噴霧、ディッピングしてから噴霧、噴霧してからディッピング、ブラッシング、又はロールコーティングなどのいずれかを用いて基材と接触させることができる。本発明によれば、溶液又は分散液は、金属基材に適用されるとき、40°Fから約160°F、例えば60°Fから110°Fの範囲の温度であってもよい。例えば、金属材料をシーリング組成物と接触させるプロセスは、周囲温度又は室温で実施することができる。接触時間は、約1秒〜約15分、例えば約5秒〜約2分であることが多い。
【0080】
本発明によれば、化成組成物との接触に続いて、基材を、任意に室温で風乾してもよく、又は熱風で乾燥してもよい。例えば、エアナイフを用いることにより、水を飛ばすことにより、基材を高温に短時間さらすことにより(例えば、オーブン中で15℃〜100℃、例えば20℃〜90℃で、又は赤外線熱などを用いるヒータアセンブリ中で例えば70℃で10分間、基材を乾燥させることにより)、あるいは、スキージロールの間に基材を通過させることにより、乾燥してもよい。本発明によれば、基材表面を任意の水、溶液、組成物などとその後に接触させる前に、基材表面を部分的に、又は場合によっては完全に乾燥させることができる。基材表面に関して本明細書で使用されるとき、「完全に乾燥」又は「完全に乾燥させる」は、基材表面に、人間の目に見える水分がないことを意味する。
【0081】
任意選択で、本発明によれば、シーリング組成物との接触に続いて、基材表面の少なくとも一部を次の処理組成物と接触させてその上にフィルム、層、及び/又はコーティングを形成する前に(後述)、任意選択で基材をすすいだり、任意の水溶液と接触させたりしない。
【0082】
任意選択で、本発明によれば、シーリング組成物との接触に続いて、基材を、任意に水道水、脱イオン水、RO水、及び/又は基材処理の当業者に知られている任意の水溶液と接触させることができ、そのような水又は水溶液は、室温(60°F)から212°Fの温度であってもよい。次いで、基材を任意に乾燥してもよく、例えば前の段落に記載されるように風乾するか又は熱風で乾燥してもよく、すなわち、その後に基材表面を任意の水、溶液、組成物などとその後に接触させる前に、基材表面を部分的に、又は場合によっては完全に乾燥してもよい。
【0083】
本発明によれば、処理組成物によって形成される層の厚さは、例えば550nmまで、例えば5nm〜550nm、例えば10nm〜400nm、例えば25nm〜250nmであってもよい。処理組成物から形成される層の厚さは、これらに限定されないが、XPS(X線光電子分光法)深さプロファイリング又はTEM(透過型電子顕微鏡)を含む分析技術を用いて決定することができる。本明細書で使用されるとき、「厚さ」は、本発明の処理組成物によって形成された層に関して使用される場合、図1に示すように、(a)元の空気/基材界面の上に形成された層、(b)前処理/基材界面の下に形成された改質層、又は(c)は(a)と(b)の組合せ、のいずれかを指す。図1では改質層(b)は前処理/基材界面まで延びているように示されているが、改質層(b)と前処理/基材界面との間に介在層が存在してもよい。同様に、(a)と(b)の組合せである(c)は、連続層に限定されなくてもよく、それらの間に介在層を有する複数の層を含んでもよく、層(c)の厚さの測定は介在層を除外してもよい。
【0084】
本発明によれば、本明細書に開示されているのは、三価クロムを含む、又は場合によっては、から本質的になる、又は場合によっては、からなる、化成組成物から形成されたフィルムを含む、又は場合によっては、から本質的になる、又は場合によっては、からなる、基材。
【0085】
本発明によれば、本明細書に開示されているのは、三価クロムを含む、又は場合によっては、から本質的になる、又は場合によっては、からなる、化成組成物から形成されたフィルムを含む、又は場合によっては、から本質的になる、又は場合によっては、からなる、基材と、シーリング組成物から形成された5nm〜550nm、例えば10nm〜400nm、例えば25nm〜250nmの厚さを有する層、である。
【0086】
本発明によれば、本明細書に開示されているのは、基材を処理する方法であって、以下の工程を含む、又は場合によっては、から本質的になる、又は場合によっては、からなる:基材表面の少なくとも一部を三価クロムを含む、又は場合によっては、から本質的になる、又は場合によっては、からなる、化成組成物と接触させる工程。
【0087】
本発明によれば、本明細書に開示されているのは、基材を処理する方法であって、以下の工程を含む、又は場合によっては、から本質的になる、又は場合によっては、からなる:基材の少なくとも一部を三価クロムを含む、又は場合によっては、から本質的になる、又は場合によっては、からなる、化成組成物と接触させる工程;並びに化成組成物と接触した表面をシーリング組成物と接触させる工程。
【0088】
驚くべきことに、従来の洗浄及び脱酸処理並びに三価クロム化成組成物による処理の後に、基材をリチウム含有シーリング組成物(すなわち、過酸化水素を含まないもの)で処理すると、過酸化水素を含有するシーリング組成物で処理された基材と比較して、腐食性能が改善されたことが発見された。これらの結果は予想外であった。
【0089】
本発明によれば、基材をシーリング組成物と接触させた後、フィルム形成樹脂を含むコーティング組成物を、シーリング組成物と接触している基材の表面の少なくとも一部の上に堆積させることができる。そのようなコーティング組成物を基材上に堆積させるためには、例えば、ブラッシング、ディッピング、流し塗り、噴霧などの任意の適切な技術を使用することができる。しかしながら、いくつかの例では、以下により詳細に記載されるように、そのようなコーティング組成物の堆積は、電着によって金属基材上に電着可能組成物が堆積される電着工程を含んでもよい。他の特定の例では、以下により詳細に記載されるように、そのようなコーティング組成物の堆積は粉末コーティング工程を含む。さらに他の例では、コーティング組成物は液体コーティング組成物であってもよい。
【0090】
本発明によれば、コーティング組成物は、熱硬化性フィルム形成樹脂又は熱可塑性フィルム形成樹脂を含んでもよい。本明細書で使用されるとき、用語「フィルム形成樹脂」は、組成物中に存在する任意の希釈剤若しくは担体の除去時、又は周囲温度若しくは高温での硬化時に、基材の少なくとも水平面上に自立連続フィルムを形成し得る樹脂を指す。使用され得る従来のフィルム形成樹脂としては、特に限定されないが、とりわけ自動車OEMコーティング組成物、自動車補修コーティング組成物、工業用コーティング組成物、建築用コーティング組成物、コイルコーティング組成物、及び航空宇宙用コーティング組成物に使用されるものが挙げられる。本明細書で使用されるとき、用語「熱硬化性」は、硬化又は架橋の際に不可逆的に「硬化」する樹脂を指し、ポリマー成分のポリマー鎖は共有結合によって互いに結合される。この性質は通常、例えば熱又は放射線によってしばしば誘発される組成物成分の架橋反応と関連している。硬化又は架橋反応も周囲条件下で実施することができる。一旦硬化又は架橋すると、熱硬化性樹脂は熱を加えても溶融せず、溶媒に不溶である。本明細書で使用されるとき、用語「熱可塑性」は、共有結合によって結合されておらず、それによって加熱時に液体流動を受けることができ、溶媒に可溶であるポリマー成分を含む樹脂を指す。
【0091】
前述のように、本発明によれば、電着工程によって基材上に堆積させることができる水分散性イオン性塩基含有フィルム形成樹脂を含む電着可能コーティング組成物は、電着によって金属基材上に堆積される。
【0092】
イオン性塩基含有フィルム形成ポリマーは、カチオン性電着可能コーティング組成物に使用するためのカチオン性塩基含有フィルム形成ポリマーを含んでもよい。本明細書で使用されるとき、用語「カチオン性塩基含有フィルム形成ポリマー」は、正電荷を付与する、スルホニウム基及びアンモニウム基などの少なくとも部分的に中和されたカチオン性基を含むポリマーを指す。カチオン性塩基含有フィルム形成ポリマーは、例えば、ヒドロキシル基、一級又は二級アミン基、及びチオール基を含む活性水素官能基を含んでもよい。活性水素官能基を含むカチオン性塩基含有フィルム形成ポリマーは、活性水素含有カチオン性塩基含有フィルム形成ポリマーと呼ぶことができる。カチオン性塩基含有フィルム形成ポリマーとしての使用に適したポリマーの例としては、とりわけ、アルキドポリマー、アクリル、ポリエポキシド、ポリアミド、ポリウレタン、ポリウレア、ポリエーテル、及びポリエステルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0093】
カチオン性塩基含有フィルム形成ポリマーは、カチオン性電着可能コーティング組成物中に、電着可能コーティング組成物の樹脂固形分の総重量に基づいて、40重量%〜90重量%、例えば50重量%〜80重量%、例えば60重量%〜75重量%の量で存在してもよい。本明細書で使用されるとき、、「樹脂固形分」は、イオン性塩基含有フィルム形成ポリマー、硬化剤、及び電着可能コーティング組成物中に存在する任意のさらなる水分散性非着色成分を含む。
【0094】
あるいは、イオン性塩基含有フィルム形成ポリマーは、アニオン性電着可能コーティング組成物に使用するためのアニオン性塩基含有フィルム形成ポリマーを含んでもよい。本明細書で使用されるとき、用語「アニオン性塩基含有フィルム形成ポリマー」は、負電荷を付与する、カルボン酸基及びリン酸基などの少なくとも部分的に中和されたアニオン性基を含むポリマーを指す。アニオン性塩基含有フィルム形成ポリマーは、活性水素官能基を含んでもよい。活性水素官能基を含むアニオン性塩基含有フィルム形成ポリマーは、活性水素含有アニオン性塩基含有フィルム形成ポリマーと呼ぶことができる。
【0095】
アニオン性塩基含有フィルム形成ポリマーは、塩基可溶化カルボン酸基含有フィルム形成ポリマーを含んでもよく、例えば、乾燥油若しくは半乾燥脂肪酸エステルとジカルボン酸若しくは無水物との生成物又は付加物;ポリオールとさらに反応する、脂肪酸エステル、不飽和酸、又は無水物及び任意の追加の不飽和改質材料の反応生成物を含んでもよい。また、不飽和カルボン酸のヒドロキシ−アルキルエステルの少なくとも部分的に中和されたインターポリマー、不飽和カルボン酸、及び少なくとも1種の他のエチレン性不飽和モノマーも適切である。さらに別の適切なアニオン性電着可能樹脂は、アルキド−アミノプラストビヒクル、すなわちアルキド樹脂及びアミン−アルデヒド樹脂を含有するビヒクルを含む。他の好適なアニオン性電着可能樹脂組成物は、樹脂ポリオールの混合エステルを含む。リン酸化ポリエポキシド又はリン酸化アクリルポリマーのような他の酸官能性ポリマーもまた、使用され得る。例示的なリン酸化ポリエポキシドは、米国特許出願公開第2009−0045071号明細書の[0004]〜[0015]、及び米国特許出願第13/232,093号の[0014]〜[0040]に開示されており、その引用部分は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0096】
アニオン性塩基含有フィルム形成ポリマーは、アニオン性電着可能コーティング組成物中に、電着可能コーティング組成物の樹脂固形分の総重量に基づいて、50%〜90%、例えば55%〜80%、例えば60%〜75%の量で存在してもよい。
【0097】
電着可能コーティング組成物は、硬化剤をさらに含んでもよい。硬化剤は、イオン性塩基含有フィルム形成ポリマーの活性水素基などの反応性基と反応して、コーティング組成物の硬化を達成してコーティングを形成し得る。適切な硬化剤の非限定的な例は、少なくとも部分的にブロックされたポリイソシアネート、アミノプラスト樹脂及びフェノプラスト樹脂、例えばそれらのアリルエーテル誘導体を含むフェノールホルムアルデヒド縮合物である。
【0098】
硬化剤は、カチオン性電着可能コーティング組成物中に、電着可能コーティング組成物の樹脂固形分の総重量に基づいて、10重量%〜60重量%、例えば20重量〜50重量%、例えば25重量%〜40重量%の量で存在してもよい。あるいは、硬化剤は、アニオン性電着可能コーティング組成物中に、電着可能コーティング組成物の樹脂固形分の総重量に基づいて、10重量%〜50重量%、例えば20重量%〜45重量%、例えば25重量%〜40重量%の量で存在してもよい。
【0099】
電着可能コーティング組成物は、顔料組成物のような他の任意成分、並びに所望により様々な添加剤、例えば、充填剤、可塑剤、酸化防止剤、殺生物剤、紫外線吸収剤及び安定剤、ヒンダードアミン光安定剤、消泡剤、殺菌剤、分散助剤、流動制御剤、界面活性剤、湿潤剤、又はそれらの組合せ、をさらに含んでもよい。
【0100】
電着可能コーティング組成物は、水及び/又は1つ以上の有機溶媒を含んでもよい。水は、電着可能コーティング組成物の総重量に基づいて、例えば、40重量%〜90重量%、例えば50重量%〜75重量%の量で存在してもよい。使用される場合、有機溶媒は、電着可能コーティング組成物の総重量に基づいて、典型的には、10重量%未満、例えば5重量%未満の量で存在してもよい。電着可能コーティング組成物は、特に水性分散液の形態で提供されてもよい。電着可能コーティング組成物の全固形分は、電着可能コーティング組成物の総重量に基づいて、1重量%〜50重量%、例えば5重量%〜40重量%、例えば5重量%〜20重量%であってもよい。本明細書で使用するとき、「全固形分」とは、電着可能コーティング組成物の不揮発分、すなわち、110℃に15分間加熱しても揮発しない材料を指す。
【0101】
カチオン性電着可能コーティング組成物は、組成物を導電性カソード及び導電性アノードと接触させることによって導電性基材上に堆積させることができ、コーティングされる表面はカソードである。あるいは、アニオン性電着可能コーティング組成物は、組成物を導電性カソード及び導電性アノードと接触させることによって導電性基材上に堆積させることができ、コーティングされる表面はアノードである。十分な電圧が電極間に印加されると、電着可能コーティング組成物の接着性フィルムが、それぞれカソード又はアノード上に実質的に連続的に堆積される。印加電圧は変化させることができ、例えば、1ボルト程度の低いものから数千ボルト程度の高いもの(例えば、50ボルトと500ボルトの間)とすることができる。電流密度は、通常1平方フィート当たり1.0アンペアから15アンペア(1平方メートル当たり10.8から161.5アンペア)の間であって、電着プロセス中に急速に減少する傾向があり、連続的な自己絶縁膜の形成を示す。
【0102】
一旦、カチオン性又はアニオン性電着可能コーティング組成物が導電性基材の少なくとも一部の上に電着されると、コーティングされた基材は、基材上の電着コーティングを硬化させるのに十分な温度と時間で加熱される。カチオン性電着では、コーティング基材を250°F〜450°F(121.1℃〜232.2℃)、例えば275°F〜400°F(135℃〜204.4℃)、例えば300°F〜360°F(149℃〜180℃)の範囲の温度に加熱することができる。アニオン性電着では、コーティング基材を200°F〜450°F(93℃〜232.2℃)、例えば275°F〜400°F(135℃〜204.4℃)、例えば300°F〜360°F(149℃〜180℃)、例えば200°F〜210.2°F(93℃〜99℃)の範囲の温度に加熱することができる。硬化時間は、硬化温度並びに他の変数、例えば電着コーティングの膜厚、組成物中に存在する触媒の量及び種類などに依存し得る。例えば、硬化時間は10分〜60分、例えば20〜40分の範囲であってもよい。得られる硬化電着コーティングの厚さは、2〜50ミクロンの範囲であってもよい。
【0103】
あるいは、上記のように、本発明によれば、基材をシーリング組成物と接触させた後、次いで粉末コーティング組成物を基材の表面の少なくとも一部の上に堆積させることができる。本明細書で使用されるとき、「粉末コーティング組成物」は、水及び/又は溶媒を完全に含まないコーティング組成物を指す。したがって、本明細書に開示されている粉末コーティング組成物は、当技術分野で公知の水性及び/又は溶媒型コーティング組成物と同義ではない。
【0104】
本発明によれば、粉末コーティング組成物は、例えば、(a)反応性官能基を有するフィルム形成ポリマー;及び(b)前記官能基と反応する硬化剤、を含んでもよい。本発明で使用することができる粉末コーティング組成物の例には、ENVIROCRON(登録商標)ラインのポリエステル系の粉末コーティング組成物(PPG Industries、Inc.から市販されている)又はエポキシ−ポリエステルハイブリッド粉末コーティング組成物が含まれる。本発明において使用され得る粉末コーティング組成物の代替例としては、低温硬化熱硬化性粉末コーティング組成物;硬化性粉末コーティング組成物、並びに少なくとも30℃のTgを有する反応性基含有ポリマーの固体微粒子混合物を含むもの(例えば、PPG Industries、Inc.に譲渡され、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,797,387号に記載されているものなど)が挙げられる。当該低温硬化熱硬化性粉末コーティング組成物には、(a)少なくとも1種の第三級アミノ尿素化合物、少なくとも1種の第三級アミノウレタン化合物、又はそれらの混合物、及び(b)少なくとも1種のフィルム形成性エポキシ含有樹脂及び/又は少なくとも1種のシロキサン含有樹脂(例えば、PPG Industries、Inc.に譲渡され、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,470,752号に記載されているものなど)が含まれ;当該硬化性粉末コーティング組成物には、(a)少なくとも1種の第三級アミノ尿素化合物を含む硬化性粉末コーティング組成物、少なくとも1つの第三級アミノウレタン化合物、又はそれらの混合物、及び(b)少なくとも1種のフィルム形成性エポキシ含有樹脂及び/又は少なくとも1種のシロキサン含有樹脂(例えば、PPG Industries、Inc.に譲渡され、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,432,333号に記載されているものなど)が含まれる。
【0105】
粉末コーティング組成物を堆積した後、堆積した組成物を硬化させるためにコーティングを加熱することが多い。加熱又は硬化の操作は、150℃〜200℃の範囲、例えば170℃〜190℃の範囲の温度で、10分〜20分の範囲の期間にわたって行われることが多い。本発明によれば、得られるフィルムの厚さは、50ミクロンから125ミクロンである。
【0106】
上記のように、本発明によれば、コーティング組成物は液体コーティング組成物であってもよい。本明細書で使用されるとき、「液体コーティング組成物」は、水及び/又は溶媒の一部を含有するコーティング組成物を指す。したがって、本明細書に開示されている液体コーティング組成物は、当技術分野で公知の水性及び/又は溶媒型コーティング組成物と同義である。
【0107】
本発明によれば、液体コーティング組成物は、例えば、(a)反応性官能基を有するフィルム形成ポリマー;及び(b)前記官能基と反応する硬化剤、を含んでもよい。他の例では、液体コーティングは、空気中の酸素と反応し得るか、あるいは水及び/又は溶媒の蒸発を伴って合体してフィルムになり得るフィルム形成ポリマーを含んでもよい。これらのフィルム形成メカニズムは、熱、又は紫外線若しくは赤外線のようなある種の放射線の適用を必要とするか、あるいはこれらの適用によって加速され得る。本発明で使用することができる液体コーティング組成物の例には、SPECTRACRON(登録商標)ラインの溶媒系のコーティング組成物、AQUACRON(登録商標)ラインの水性硬化性コーティング組成物、及びRAYCRON(登録商標)ラインのUV硬化コーティングが含まれる(全てPPG Industries、Inc.から市販されている)。
【0108】
本発明の液体コーティング組成物に使用することができる適切なフィルム形成ポリマーは、(ポリ)エステル、アルキド、(ポリ)ウレタン、イソシアヌレート、(ポリ)尿素、(ポリ)エポキシ、無水物、アクリル、(ポリ)エーテル、(ポリ)スルフィド、(ポリ)アミン、(ポリ)アミド、(ポリ)塩化ビニル、(ポリ)オレフィン、(ポリ)フッ化ビニリデン、(ポリ)シロキサン、又はそれらの組合せ、を含んでもよい。
【0109】
本発明によれば、シーリング組成物と接触させた基材はまた、プライマー組成物及び/又はトップコート組成物と接触させてもよい。プライマーコートは、例えば、クロメート系プライマー及び高性能トップコートであってもよい。本発明によれば、プライマーコートは、従来のクロメート系プライマーコート(例えばPPG Industries、Inc.から入手可能なもの、製品コード44GN072)、又はクロムフリープライマー(例えばPPGから入手可能なもの、DESOPRIME CA7502、DESOPRIME CA7521、Deft 02GN083、Deft 02GN084)であってもよい。あるいは、プライマーコートは、クロメートフリーのプライマーコート(例えば、米国特許出願第10/758,973号、発明の名称「CORROSION RESISTANT COATINGS CONTAINING CARBON」、並びに米国特許出願第10/758,972号、及び米国特許出願第10/758,972号、両方とも発明の名称「CORROSION RESISTANT COATINGS」に記載されたコーティング組成物であり、それらの全ては参照により本明細書に組み込まれる)、及び当技術分野で公知のクロムフリープライマーであってもよく、また、MIL−PRF−85582クラスN又はMIL−PRF−23377クラスNの軍事的要件を満たすことができるものも、本発明と共に使用することができる。
【0110】
上記のように、本発明の基材はトップコートも含み得る。本明細書で使用されるとき、用語「トップコート」はバインダーの混合物を指し、当該バインダーの混合物は、有機系若しくは無機系のポリマー又はポリマーのブレンド、典型的には少なくとも1つの顔料であることができ、少なくとも1つの溶媒又は溶媒の混合物を任意に含むことができ、少なくとも1つの硬化剤を任意に含むことができる。トップコートは、典型的には、その外面が大気又は環境にさらされ且つその内面が他のコーティング層又はポリマー基材と接触している、単層又は多層コーティングシステムにおけるコーティング層である。適切なトップコートの例としては、MIL−PRF−85285Dに準拠するもの(例えばPPGから入手可能なもの、Deft 03W127A及びDeft 03GY292)が挙げられる。本発明によれば、トップコートは、高性能トップコート(例えばPPGから入手可能なもの、Defthane(登録商標)ELT(商標)99GY001及び99W009)であってもよい。しかしながら、本開示を参照して当業者には理解されるように、他のトップコート及び高性能トップコートを本発明に使用することができる。
【0111】
本発明によれば、金属基材はまた、自己下塗りトップコート、又は強化された自己下塗りトップコートを含んでもよい。「基材への直接」コーティング又は「金属への直接」コーティングとも呼ばれる用語「自己下塗りトップコート」は、バインダーの混合物を指し、当該バインダーの混合物は、有機系若しくは無機系のポリマー又はポリマーのブレンド、典型的には少なくとも1つの顔料であることができ、少なくとも1つの溶媒又は溶媒の混合物を任意に含むことができ、少なくとも1つの硬化剤を任意に含むことができる。「強化された基材への直接」コーティング」とも呼ばれる用語「強化された自己下塗りトップコート」は、フルオロエチレン−アルキルビニルなどの官能化フッ素化バインダーの全部又は一部と他のバインダーとの混合物を指し、当該バインダーの混合物は、有機系若しくは無機系のポリマー又はポリマーのブレンド、典型的には少なくとも1つの顔料であることができ、少なくとも1つの溶媒又は溶媒の混合物を任意に含むことができ、少なくとも1つの硬化剤を任意に含むことができる。自己下塗りトップコートの例としては、TT−P−2756Aに準拠したものが挙げられる。自己下塗りトップコートの例としては、PPGから入手可能なもの(03W169及び03GY369)が挙げられ、強化された自己下塗りトップコートの例としては、PPGから入手可能な、Defthane(登録商標)ELT(商標)/ESPT及び製品コード番号97GY121が挙げられる。しかしながら、本開示を参照して当業者には理解されるように、他の自己下塗りトップコート及び強化された自己下塗りトップコートを本発明によるコーティングシステムに使用することができる。
【0112】
本発明によれば、自己下塗りトップコート及び強化された自己下塗りトップコートは、シールされた基材に直接適用することができる。自己下塗りトップコート及び強化された自己下塗りトップコートは、プライマー又はペイントフィルムなどの有機又は無機ポリマーコーティングに任意に適用することができる。自己下塗りトップコート層及び強化された自己下塗りトップコートは、典型的には、コーティングの外面が大気又は環境にさらされ且つコーティングの内面が典型的には基材又は任意のポリマーコーティング若しくはプライマーと接触している、単層又は多層のコーティングシステムにおけるコーティング層である。
【0113】
本発明によれば、トップコート、自己下塗りトップコート、及び強化された自己下塗りトップコートは、経時的に乾燥若しくは硬化する湿潤状態又は「完全に硬化していない」状態のいずれか(すなわち溶媒が蒸発し、及び/又は化学反応が起きる状態)で、シールした基材に適用することができる。コーティングは、自然に又は促進手段(例えば紫外線硬化系)のいずれかによって乾燥又は硬化して、フィルム又は「硬化」塗料を形成することができる。コーティングはまた、接着剤などの半硬化状態又は完全硬化状態で適用することもできる。
【0114】
さらに、着色剤、及び必要に応じて界面活性剤、湿潤剤又は触媒などの様々な添加剤をコーティング組成物(電着可能、粉末又は液体)に含めることができる。本明細書で使用されるとき、用語「着色剤」は、色及び/又は他の不透明性及び/又は他の視覚効果を組成物に付与する任意の材料を意味する。着色剤の例としては、塗料業界で使用されている、及び/又はドライカラー製造業者協会(DCMA)に記載されているものなどの顔料、染料及び色合い(tints)、並びに特殊効果組成物が挙げられる。
【0115】
一般に、着色剤は、所望の視覚的効果及び/又は色彩効果を付与するのに十分な任意の量で、コーティング組成物中に存在することができる。着色剤は、組成物の全重量を基準にした重量パーセントで、1〜65重量パーセント、例えば3〜40重量パーセント又は5〜35重量パーセント含んでもよい。
【0116】
以下の詳細な説明の目的のために、本発明は、明確に反対のことが示されている場合を除き、様々な代替の変更形態及び工程シーケンスを想定し得ることを理解されたい。
さらに、任意の例以外、又は他に指示がある場合以外、値、量、百分率、範囲、部分範囲及び分数などを表すすべての数は、たとえその用語が明示的に現れていなくても、「約」という語が頭に付いているかのように読むことができる。したがって、そうでないと示されない限り、以下の明細書及び添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、本発明によって得られる所望の特性に応じて変わり得る近似値である。各数値パラメータは、少なくとも、特許請求の範囲に対する均等論の原則の適用を制限しようとするものではなく、報告された有効桁数を考慮して通常の四捨五入技術を適用することによって、少なくとも解釈されるべきである。本明細書にクローズド又はオープンエンドの数値範囲が記載されている場合、その数値範囲内の、又はその範囲に含まれる全ての数、値、量、百分率、部分範囲及び分数は、あたかもこれらの数、値、量、百分率、部分範囲及び端数がそれらの全体で明白に記載されていたかのように本出願の最初の開示に具体的に含まれ且つそれに属するものとして、考慮されるべきである。
【0117】
本発明の広範な範囲を記載する数値範囲及びパラメータは、近似値であるにもかかわらず、具体例に記載される数値は、可能な限り正確に記録されている。しかし、いずれの数値も、それらのそれぞれの試験測定値に見られる標準偏差から必然的に生じる特定の誤差を本質的に含む。
【0118】
本明細書で使用されるとき、他に示さない限り、複数形の用語はその単数形の対応物を包含することができ、他に示さない限り、逆もまた同様である。例えば、本明細書では、「単数の(a)」洗浄剤組成物、「単数の(a)」化成組成物、及び「単数の(a)」シーリング組成物を参照しているが、これらの成分の組合せ(すなわち複数)を使用することができる。さらに、本出願において、「又は」の使用は、「及び/又は」がある特定の場合において明示的に使用され得るとしても、特に明記しない限り「及び/又は」を意味する。
【0119】
本明細書で使用されるとき、「含む(including)」、「含有する(containing)」などの用語は、本出願の文脈において、「含む(comprising)」と同義であると理解され、したがって無制限であり、記載されていない及び/又は記述されていない追加の要素、材料、成分及び/又は方法の工程の存在を排除するものではない。本明細書で使用されるとき、「からなる(consisting of)」は、本出願の文脈において、いかなる特定されていない要素、成分及び/又は方法の工程の存在も排除すると理解される。本明細書で使用されるとき、「から本質的になる(consisting essentially of)」は、本出願の文脈において、特定の要素、材料、成分及び/又は方法の工程、並びに記載されている「基本的及び新規の特性に実質的に影響を及ぼさないもの」を含むと理解される。
【0120】
本明細書で使用されるとき、用語「上に(on)」、「上に(onto)」、「に適用された(applied on)」、「に適用された(applied onto)」、「に形成された(formed on)」、「に堆積された(deposited on)」、「に堆積された(deposited onto)」は、表面上に形成され、オーバーレイされ、堆積され、及び/又は提供されることを意味するが、必ずしも表面と接触していることを意味しない。例えば、基材「上方に形成された(formed over)」コーティング層は、形成されたコーティング層と基材との間に配置された同一又は異なる組成の1つ以上の他の介在コーティング層の存在を排除しない。
【0121】
本明細書で他に開示されない限り、用語「実質的に含まない」は、特定の材料が存在しないことに関して使用される場合、そのような材料が、組成物、組成物含有浴、及び/又は組成物から形成されこれを含む層中に存在するならば、場合によっては、組成物又は層の総重量に基づいて、5ppm以下の微量で存在するだけであり、この場合は引き込み、基材、及び/又は機器の溶解の結果として存在又は誘導される可能性のあるそのような材料の量は除外される。本明細書で他に開示されない限り、用語「本質的に含まない」は、特定の材料が存在しないことに関して使用される場合、そのような材料が、組成物、組成物含有浴、及び/又は組成物から形成されこれを含む層中に存在するならば、場合によっては、組成物又は層の総重量に基づいて、1ppm以下の微量で存在するだけである。本明細書で他に開示されない限り、用語「完全に含まない」は、特定の材料が存在しないことに関して使用される場合、そのような材料が、組成物、組成物含有浴、及び/又は組成物から形成されこれを含む層中に存在するならば、組成物、組成物含有浴、及び/又は組成物から形成されこれを含む層には、存在しない(すなわち、組成物、組成物含有浴、及び/又は組成物から形成されこれを含む層は、そのような材料を0ppm含有する)。
【0122】
本明細書で使用されるとき、「塩」は、金属カチオン及び非金属アニオンからなり、全体の電荷がゼロであるイオン性化合物を指す。塩は水和されていてもよく、又は無水であってもよい。
【0123】
本明細書で使用されるとき、「水性組成物」は、主に水を含む媒体の溶液又は分散液を指す。例えば、水性媒体は、媒体の総重量に基づいて、50重量%を超える、又は70重量%を超える、又は80重量%を超える、又は90重量%を超える、又は95重量%を超える量の水を含んでもよい。水性媒体は、例えば実質的に水からなってもよい。
【0124】
本明細書で使用されるとき、「化成組成物」は、基材表面と反応し、基材表面を化学的に変化させ、それと結合して腐食防止をもたらすフィルムを形成することができる組成物を指す。
【0125】
本明細書で使用されるとき、「シーリング組成物」は、基材表面の物理的及び/又は化学的性質を変化させるように、基材表面又は基材表面上に堆積された材料に影響を及ぼす組成物(例えば、溶液又は分散液であって、すなわち、その組成物は腐食防止をもたらす)を指す。
【0126】
本明細書で使用されるとき、「酸化剤」という用語は、シーリング組成物の成分に関して用いられるとき、シーリング組成物及び/又はシーリング組成物中に存在する金属錯化剤のうちの少なくとも1つを酸化することができる化学物質を指す。「酸化剤」に関して本明細書で使用されるとき、「酸化することができる」という語句は、基材又はシーリング組成物中に存在する原子又は分子から電子を除去することができ、場合によっては、それによって電子の数を減らすことができることを意味する。
【0127】
本明細書で使用されるとき、用語「遷移金属」は、ランタニド系列元素及び元素89〜103を除いて、例えば、Handbook of Chemistry and Physics 第63版(1983年)に示されているように、元素周期表のCAS版の第IIIB族から第XIIBのいずれかにある元素を指し、実際のIUPAC番号付けの3族から12族に対応する。
【0128】
本明細書で使用されるとき、用語「遷移金属化合物」は、元素周期表のCAS版の遷移金属である少なくとも1つの元素を含む化合物を指す。
【0129】
本明細書で使用されるとき、用語「IA族金属」は、例えば、Handbook of Chemistry and Physics 第63版(1983年)に示されているように、元素周期表のCAS版の第IA族にある元素を指し、実際のIUPAC番号付けの1族に対応する。
【0130】
本明細書で使用されるとき、用語「IA族金属化合物」は、元素周期律表のCAS版のIA族にある少なくとも1つの元素を含む化合物を指す。
【0131】
本明細書で使用されるとき、用語「IIA族金属」は、例えば、Handbook of Chemistry and Physics 第63版(1983年)に示されているように、元素周期表のCAS版の第IIA族にある元素を指し、実際のIUPAC番号付けの2族に対応する。
【0132】
本明細書で使用されるとき、用語「IIA族金属化合物」は、元素周期表のCAS版の第IIA族にある少なくとも1つの元素を含む化合物を指す。
【0133】
本明細書で使用されるとき、用語「IIIB族金属」は、例えば、Handbook of Chemistry and Physics 第63版(1983年)に示されているように、元素周期表のCAS版のイットリウム及びスカンジウムを指し、実際のIUPAC番号付けの3族に対応する。
明確にするために、「IIIB族金属」は、ランタニド系列元素を明確に除外している。
【0134】
本明細書で使用されるとき、用語「IIIB族金属化合物」は、上で定義された元素周期表のCAS版の第IIIB族にある少なくとも1つの元素を含む化合物を指す。
【0135】
本明細書で使用されるとき、用語「IVB族金属」は、例えば、Handbook of Chemistry and Physics 第63版(1983年)に示されているように、元素周期表のCAS版の第IVB族にある元素を指し、実際のIUPAC番号付けの4族に対応する。
【0136】
本明細書で使用されるとき、用語「IVB族金属化合物」は、元素周期表のCAS版の第IVB族にある少なくとも1つの元素を含む化合物を指す。
【0137】
本明細書で使用されるとき、用語「VB族金属」は、例えば、Handbook of Chemistry and Physics 第63版(1983年)に示されているように、元素周期表のCAS版の第VB族にある元素を指し、実際のIUPAC番号付けの5族に対応する。
【0138】
本明細書で使用されるとき、用語「VB族金属化合物」は、元素周期表のCAS版の第VB族にある少なくとも1つの元素を含む化合物を指す。
【0139】
本明細書で使用されるとき、用語「VIB族金属」は、例えば、Handbook of Chemistry and Physics 第63版(1983年)に示されているように、元素周期表のCAS版の第VIB族にある元素を指し、実際のIUPAC番号付けの6族に対応する。
【0140】
本明細書で使用されるとき、用語「VIB族金属化合物」は、元素周期表のCAS版の第VIB族にある少なくとも1つの元素を含む化合物を指す。
【0141】
本明細書で使用されるとき、用語「第VIIB族金属」は、例えば、Handbook of Chemistry and Physics 第63版(1983年)に示されているように、元素周期表のCAS版の第VIB族にある元素を指し、実際のIUPAC番号付けの7族に対応する。
【0142】
本明細書で使用されるとき、用語「VIIB族金属化合物」は、元素周期表のCAS版のVIIB族にある少なくとも1つの元素を含む化合物を指す。
【0143】
本明細書で使用されるとき、用語「第XII族金属」は、例えば、Handbook of Chemistry and Physics 第63版(1983年)に示されているように、元素周期表のCAS版の第VIB族にある元素を指し、実際のIUPAC番号付けの12族に対応する。
【0144】
本明細書で使用されるとき、用語「XII族金属化合物」は、元素周期表のCAS版のXII族にある少なくとも1つの元素を含む化合物を指す。
【0145】
本明細書で使用されるとき、用語「ランタニド系列元素」は、元素周期表のCAS版の元素57〜71を指し、ランタニド系列元素の元素バージョンを含む。本発明によれば、ランタニド系列元素は、+3と+4の両方の一般的な酸化状態を有するものであってもよく、以後、+3/+4酸化状態と呼ぶ。
【0146】
本明細書で使用されるとき、用語「ランタニド化合物」は、元素の周期表のCAS版の元素57〜71のうちの少なくとも1つを含む化合物を指す。
【0147】
本明細書で使用されるとき、用語「ハロゲン」は、元素周期表のCAS版のフッ素、塩素、臭素、ヨウ素、及びアスタチンのいずれかの元素を指し、周期表のVIIA族に対応する。
【0148】
本明細書で使用されるとき、用語「ハロゲン化物」は、少なくとも1つのハロゲンを含む化合物を指す。
【0149】
本明細書で使用されるとき、用語「アルミニウム」は、基材に関して使用される場合、アルミニウム及び/若しくはアルミニウム合金からなる、又はそれを含む基材、並びにクラッドアルミニウム基材を指す。
【0150】
孔食(pitting corrosion)は、局部的な腐食の形成であり、それによって空洞又は穴が基材に生成される。
本明細書で使用される「ピット」という用語は、孔食に起因するそのような空洞又は穴を指し、(1)試験パネル表面に対して垂直に見たときの丸みを帯びた、細長い又は不規則な外観、(2)ピッティング空洞から発生する「コメットテール」、線、又は「ハロー」(すなわち、表面変色)、及び(3)ピットの内部又はピットのすぐ周囲の腐食副生成物(例えば、白色、灰色又は黒色の粒状、粉末状又は非晶質の物質)の存在、によって特徴づけられる。観察された表面の空洞又は穴が腐食ピットとみなされるためには、上記の特性のうち少なくとも2つを示さなければならない。これらの特性のうち1つのみを示す表面空洞又は穴は、腐食ピットとして分類される前に追加の分析を必要とする可能性がある。10倍の倍率の顕微鏡を用いた目視検査は、腐食副生成物が肉眼で見えない場合に腐食副生成物の存在を決定するために使用される。
【0151】
本明細書で他に開示されない限り、本明細書で使用されるとき、用語「総組成物重量」、「組成物の総重量」又は類似の用語は、任意の担体及び溶媒を含むそれぞれの組成物中に存在する全成分の総重量をいう。
【0152】
前述の説明に鑑みて、本発明は、特に、それに限定されるものではないが、以下の態様1〜26に関する。
【0153】
<態様>
態様1.水性担体と0.001g/L〜20g/Lの量の三価クロム塩とを含む化成組成物。
【0154】
態様2.三価クロムと塩を形成するのに適したアニオンをさらに含む、態様1に記載の化成組成物。
【0155】
態様3.共抑制剤をさらに含む、態様1又は2に記載の化成組成物。
【0156】
態様4.共抑制剤と塩を形成するのに適したアニオンをさらに含む、態様3に記載の化成組成物。
【0157】
態様5.pHが7未満である、前記態様のいずれかに記載の化成組成物。
【0158】
態様6.pHが6より大きい、態様1〜4のいずれかに記載の化成組成物。
【0159】
態様7.pHが7より大きい、態様1〜4のいずれかに記載の化成組成物。
【0160】
態様8.金属基材を処理するためのシステムであって、洗浄組成物と、前記態様のいずれかに記載の化成組成物とを含む、システム。
【0161】
態様9.洗浄組成物が、水酸化物源及び/又はリン酸源を含む、態様8に記載のシステム。
【0162】
態様10.洗浄組成物が、7未満のpHを有する、態様8又は9に記載のシステム。
【0163】
態様11.洗浄組成物が、7より大きいpHを有する、態様8〜10のいずれかに記載のシステム。
【0164】
態様12.洗浄組成物が、金属カチオン及び/又はアゾールを含む腐食防止剤をさらに含む、態様8〜11のいずれかに記載のシステム。
【0165】
13.
態様13.金属カチオンが、希土類、IA族金属、IIA族金属、IIIB族金属、及び/又はIVB族金属を含む、態様12に記載のシステム。
【0166】
14.
態様14.アゾールが、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、1H−ベンゾトリアゾール、1H−1,2,3−トリアゾール、2−アミノ−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール、及び/又は2−アミノ−1,3,4−チアジアゾールを含む、態様12に記載のシステム。
【0167】
態様15.洗浄組成物が脱酸素剤を含む、態様8〜14のいずれかに記載のシステム。
【0168】
態様16.化学的脱酸素剤及び/又は機械的脱酸素剤をさらに含む、態様8〜15のいずれかに記載のシステム。
【0169】
態様17.シーリング組成物をさらに含む、態様8〜16のいずれかに記載のシステム。
【0170】
態様18.シーリング組成物がリチウム源を含む、態様17に記載のシステム。
【0171】
態様19.リチウム源が、シーリング組成物の総重量に基づいて、50ppm〜30,000ppm(化合物)の量でシーリング組成物中に存在するリチウム塩を含む、態様18に記載のシステム。
【0172】
態様20.シーリング組成物が、炭酸塩源、水酸化物源、又はそれらの組合せをさらに含む、態様17〜19のいずれかに記載のシステム。
【0173】
態様21.シーリング組成物が、リチウム以外のIA族金属の供給源、VB族金属の供給源、VIB族金属の供給源、腐食防止剤、インジケータ化合物又はそれらの組合せをさらに含む、態様17〜20のいずれかに記載のシステム。
【0174】
態様22.シーリング組成物のpHが9.5〜12.5である、態様17〜21のいずれかに記載のシステム。
【0175】
態様23.基材を処理する方法であって、
基材の表面の少なくとも一部を、洗浄組成物と接触させる工程と、
洗浄組成物と接触した表面の少なくとも一部を、態様1〜7のいずれかに記載の化成組成物と接触させる工程と
を含む方法。
【0176】
態様24.態様8〜22のいずれかに記載のシステムで基材が処理される、態様23に記載の方法。
【0177】
態様25.態様8〜22のいずれかに記載のシステムで、好ましくは態様23又は24のいずれかに記載の方法で処理された基材。
【0178】
態様26.基材がプライマー層及び/又はトップコート層をさらに含む、態様25に記載の基材。
【0179】
本発明の特定の特徴は例示の目的で上記に記載されているが、添付の特許請求の範囲の範囲から逸脱することなく、本明細書に開示されるコーティング組成物、コーティング、及び方法の詳細の多数の変形がなされ得ることは、当業者には明らかであろう。
【0180】
以下の実施例は本発明を例示するものであり、本発明をそれらの詳細に限定するものとみなすべきではない。実施例中及び本明細書全体を通して、すべての部及び百分率は、他に指示がない限り重量による。
【実施例】
【0181】
例Aの洗浄組成物は、表2に示す成分を用いて、撹拌プレートを用いて穏やかに撹拌しながらその成分を脱イオン水中に溶解することによって調製した。
【0182】
例Bのシーリング組成物は、表2に示す成分を用いて、撹拌プレートを用いて穏やかに撹拌しながら炭酸リチウムを脱イオン水中に溶解することによって調製した。
【0183】
例Cのシーリング組成物は、表2に示す成分を用いて、撹拌プレートを用いて穏やかに撹拌しながら炭酸リチウムを脱イオン水中に溶解することによって調製した。次に、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、次いでカテコールバイオレットを添加し、上記のように穏やかに撹拌しながら溶解した。
【表2】
【0184】
例1〜7については、他に示さない限り、各々の浴は12Lであった。
【0185】
[例1]
それぞれ3インチ×10インチ×0.032インチの大きさの3つのアルミニウム2024T3裸基材(Priority Metals、Orange County、CA)をメチルエチルケトン(100%)及び使い捨て布で手拭きし、化学洗浄の前に風乾した。各パネルを、SOCOCLEAN A3432(Socomoreから市販されており、製造者の指示に従って調製した洗浄組成物)を含む浴に、55℃で10分間撹拌しながら、浸漬した。次いで、各パネルを脱イオン水で30秒間スプレーリンスした後、直ちに脱イオン水リンスに2分間浸漬した。浸漬リンスの後、各パネルを、SOCOSURF Al858〜Al806(Socomoreから市販されており、製造者の指示に従って調製した脱酸素剤)を含む浴に、50℃で5分間撹拌しながら、浸漬した。次いで、各パネルを脱イオン水で30秒間スプレーリンスした後、直ちに脱イオン水リンスに2分間浸漬した。浸漬リンスの後、各パネルを、SOCOSURF TCS(Socomoreから市販されており、製造者の指示に従って調製した三価クロム含有化成組成物)を含む浴に、撹拌せずに40℃で5分間浸漬した。次いで、各パネルを脱イオン水で2分間スプレーリンスした後、直ちに脱イオン水リンスに2分間浸漬した。試験前に、パネルを周囲条件で一晩風乾した。
【0186】
[例2]
それぞれ3インチ×10インチ×0.032インチの大きさの3つのアルミニウム2024T3裸基材(Priority Metals、Orange County、CA)をメチルエチルケトン(100%)及び使い捨て布で手拭きし、化学洗浄の前に風乾した。各パネルを、SOCOCLEAN A3432(Socomoreから市販されており、製造者の指示に従って調製した洗浄組成物)を含む浴に、55℃で10分間撹拌しながら、浸漬した。次いで、各パネルを脱イオン水で30秒間スプレーリンスした後、直ちに脱イオン水リンスに2分間浸漬した。浸漬リンスの後、各パネルを、SOCOSURF Al858〜Al806(Socomoreから市販されており、製造者の指示に従って調製した脱酸素剤)を含む浴に、50℃で5分間撹拌しながら、浸漬した。次いで、各パネルを脱イオン水で30秒間スプレーリンスした後、直ちに脱イオン水リンスに2分間浸漬した。浸漬リンスの後、各パネルを、SOCOSURF TCS(Socomoreから市販されており、製造者の指示に従って調製した三価クロム含有化成組成物)を含む浴に、撹拌せずに40℃で5分間浸漬した。次いで、各パネルを脱イオン水で2分間スプレーリンスした後、直ちに脱イオン水リンスに2分間浸漬した。次いで、各パネルを、SOCOSURF PACS(Socomoreから市販されており、製造者の指示に従って調製した、Hを含有するシーリング組成物)を含む浴に、25℃で5分間撹拌しながら、浸漬した。試験前に、パネルを周囲条件で一晩風乾した。
【0187】
[例3]
それぞれ3インチ×10インチ×0.032インチの大きさの3つのアルミニウム2024T3裸基板(Priority Metals、Orange County、CA)をメチルエチルケトン(100%)及び使い捨て布で手拭きし、化学洗浄の前に風乾した。各パネルを、SOCOCLEAN A3432(Socomoreから市販されており、製造者の指示に従って調製した洗浄組成物)を含む浴に、55℃で10分間撹拌しながら、浸漬した。次いで、各パネルを脱イオン水で30秒間スプレーリンスした後、直ちに脱イオン水リンスに2分間浸漬した。浸漬リンスの後、各パネルを、SOCOSURF Al858〜Al806(Socomoreから市販されており、製造者の指示に従って調製した脱酸素剤)を含む浴に、50℃で5分間撹拌しながら、浸漬した。次いで、各パネルを脱イオン水で30秒間スプレーリンスした後、直ちに脱イオン水リンスに2分間浸漬した。浸漬リンスの後、各パネルを、SOCOSURF TCS(Socomoreから市販されており、製造者の指示に従って調製した三価クロム含有化成組成物)を含む浴に、撹拌せずに40℃で5分間浸漬した。次いで、各パネルを脱イオン水で2分間スプレーリンスした後、直ちに脱イオン水リンスに2分間浸漬した。次いで、各パネルを、例Bのシーリング組成物を含む浴に、撹拌せずに周囲温度で2分間、浸漬した。試験前に、パネルを周囲条件で一晩風乾した。
【0188】
[例4]
それぞれ3インチ×10インチ×0.032インチの大きさの3つのアルミニウム2024T3裸基板(Priority Metals、Orange County、CA)をメチルエチルケトン(100%)及び使い捨て布で手拭きし、化学洗浄の前に風乾した。各パネルを、SOCOCLEAN A3432(Socomoreから市販されており、製造者の指示に従って調製した洗浄組成物)を含む浴に、55℃で10分間撹拌しながら、浸漬した。次いで、各パネルを脱イオン水で30秒間スプレーリンスした後、直ちに脱イオン水リンスに2分間浸漬した。浸漬リンスの後、各パネルを、SOCOSURF Al858〜Al806(Socomoreから市販されており、製造者の指示に従って調製した脱酸素剤)を含む浴に、50℃で5分間撹拌しながら、浸漬した。次いで、各パネルを脱イオン水で30秒間スプレーリンスした後、直ちに脱イオン水リンスに2分間浸漬した。浸漬リンスの後、各パネルを、SOCOSURF TCS(Socomoreから市販されており、製造者の指示に従って調製した三価クロム含有化成組成物)を含む浴に、撹拌せずに40℃で5分間浸漬した。次いで、各パネルを脱イオン水で2分間スプレーリンスした後、直ちに脱イオン水リンスに2分間浸漬した。次いで、各パネルを、例Cのシーリング組成物を含む浴に、撹拌せずに周囲温度で2分間、浸漬した。試験前に、パネルを周囲条件で一晩風乾した。
【0189】
[例5]
それぞれ3インチ×10インチ×0.032インチの大きさの3つのアルミニウム2024T3裸基板(Priority Metals、Orange County、CA)をメチルエチルケトン(100%)及び使い捨て布で手拭きし、化学洗浄の前に風乾した。各パネルを、例Aの洗浄組成物を含む浴に、周囲温度で4.5分間撹拌しながら、浸漬した。次いで、各パネルを脱イオン水で30秒間スプレーリンスした後、直ちに脱イオン水リンスに2分間浸漬した。浸漬リンスの後、各パネルを、SOCOSURF TCS(Socomoreから市販されており、製造者の指示に従って調製した三価クロム含有化成組成物)を含む浴に、撹拌せずに40℃で5分間浸漬した。次いで、各パネルを脱イオン水で2分間スプレーリンスした後、直ちに脱イオン水リンスに2分間浸漬した。次いで、各パネルを、例Bのシーリング組成物を含む浴に、撹拌せずに周囲温度で2分間撹拌しながら、浸漬した。
【0190】
試験前に、パネルを周囲条件で一晩風乾した。
【0191】
[例6]
それぞれ3インチ×10インチ×0.032インチの大きさの3つのアルミニウム2024T3裸基板(Priority Metals、Orange County、CA)をメチルエチルケトン(100%)及び使い捨て布で手拭きし、化学洗浄の前に風乾した。各パネルを、例Aの洗浄組成物を含む浴に、周囲温度で4.5分間撹拌しながら、浸漬した。次いで、各パネルを脱イオン水で30秒間スプレーリンスした後、直ちに脱イオン水リンスに2分間浸漬した。浸漬リンスの後、各パネルを、SOCOSURF TCS(Socomoreから市販されており、製造者の指示に従って調製した三価クロム含有化成組成物)を含む浴に、撹拌せずに40℃で5分間浸漬した。次いで、各パネルを脱イオン水で2分間スプレーリンスした後、直ちに脱イオン水リンスに2分間浸漬した。次いで、各パネルを、例Cのシーリング組成物を含む浴に、撹拌せずに周囲温度で2分間撹拌しながら、浸漬した。
【0192】
試験前に、パネルを周囲条件で一晩風乾した。
【0193】
[例7]
それぞれ3インチ×10インチ×0.032インチの大きさの3つのアルミニウム2024T3裸基板(Priority Metals、Orange County、CA)をメチルエチルケトン(100%)及び使い捨て布で手拭きし、化学洗浄の前に風乾した。各パネルを、例Aの洗浄組成物を含む浴に、周囲温度で4.5分間撹拌しながら、浸漬した。次いで、各パネルを脱イオン水で30秒間スプレーリンスした後、直ちに脱イオン水リンスに2分間浸漬した。浸漬リンスの後、各パネルを、SOCOSURF TCS(Socomoreから市販されており、製造者の指示に従って調製した三価クロム含有化成組成物)を含む浴に、撹拌せずに40℃で5分間浸漬した。次いで、各パネルを脱イオン水で2分間スプレーリンスした後、直ちに脱イオン水リンスに2分間浸漬した。試験前に、パネルを周囲条件で一晩風乾した。
【0194】
[例8]
3インチ×10インチ×0.032インチの大きさの1つのアルミニウム2024T3裸基板をメチルエチルケトン(100%)及び使い捨て布で手拭きし、化学洗浄の前に風乾した。パネルを、Ridolene 298(Henkel Ag&Co.から市販されており、製造者の指示に従って、水道水9部に対して濃縮液1部で、v/vで調製した)の洗浄剤溶液を含む5ガロンの浴に、55℃で2分間穏やかに撹拌しながら、浸漬した。次いで、パネルを、水道水リンスに、周囲温度で1分間穏やかに撹拌しながら浸漬した後、水道水リンスを10秒間カスケードした。パネルを、Turco脱酸素剤6/16(Henkel Ag&Co.から市販されており、製造者の指示に従って、水道水85部に対して硝酸を10分、6/16を5部で、v/vで調製した)の脱酸素溶液を含む5ガロンの浴に、周囲温度で2.5分間、浸漬し、続いて水道水に周囲温度で1分間浸漬して穏やかに撹拌した後、リンスを10秒間カスケードした。次いで、パネルを、Alodine1200(Henkel Ag&Co.から市販されており、製造者の指示に従って調製した六価クロム含有化成組成物)を含む浴に、撹拌せずに周囲温度で2.5分間、浸漬した。化成組成物浴中に浸漬した後、パネルを、脱イオン水中で穏やかに撹拌しながら周囲温度で1分間浸漬すすぎを行い、続いて脱イオン水を10秒間カスケードした。
試験前に、パネルを周囲条件で一晩風乾した。
【0195】
<中性塩スプレー試験>
パネルを、ASTMB117に従って操作した中性塩スプレーキャビネット内に7日間暴露した。腐食性能を、MIL−C−5541に従って評価した。ここでは、縁部近くのピット、引っ掻き傷、金属欠陥、又は加工クランプ保持領域を省略した/数えなかった。データを表3に報告する。例1〜例7では、報告されたピットの数は、3つのパネルの平均である。例8では、報告されたピットの数は、単一のパネルに対するものである。
【表3】

【表4】
【0196】
[例9]
それぞれ3インチ×10インチ×0.032インチの大きさの3つのアルミニウム2024T3裸基板(Priority Metals、Orange County、CA)をメチルエチルケトン(100%)及び使い捨て布で手拭きし、化学洗浄の前に風乾した。各パネルを、SOCOCLEAN A3432(Socomoreから市販されており、製造者の指示に従って調製した洗浄組成物)を含む浴に、55℃で10分間撹拌しながら、浸漬した。次いで、各パネルを脱イオン水で30秒間スプレーリンスした後、直ちに脱イオン水リンスに2分間浸漬した。浸漬リンスの後、各パネルを、SOCOSURF Al858〜Al806(Socomoreから市販されており、製造者の指示に従って調製した脱酸素剤)を含む浴に、30℃で6分間撹拌しながら、浸漬した。次いで、各パネルを脱イオン水で30秒間スプレーリンスした後、直ちに脱イオン水リンスに2分間浸漬した。浸漬リンスの後、各パネルを、SURTEC 650(Surtecから市販されており、製造者の指示に従って調製した三価クロム含有化成組成物)を含む浴に、撹拌せずに27℃で5分間浸漬した。次いで、各パネルを脱イオン水で2分間浸漬リンスした後、直ちに脱イオン水リンスに2分間浸漬した。試験前に、パネルを周囲条件で一晩風乾した。
【0197】
[例10]
それぞれ3インチ×10インチ×0.032インチの大きさの3つのアルミニウム2024T3裸基板(Priority Metals、Orange County、CA)をメチルエチルケトン(100%)及び使い捨て布で手拭きし、化学洗浄の前に風乾した。各パネルを、SOCOCLEAN A3432(Socomoreから市販されており、製造者の指示に従って調製した洗浄組成物)を含む浴に、55℃で10分間撹拌しながら、浸漬した。次いで、各パネルを脱イオン水で30秒間スプレーリンスした後、直ちに脱イオン水リンスに2分間浸漬した。浸漬リンスの後、各パネルを、SOCOSURF Al858〜Al806(Socomoreから市販されており、製造者の指示に従って調製した脱酸素剤)を含む浴に、30℃で6分間撹拌しながら、浸漬した。次いで、各パネルを脱イオン水で30秒間スプレーリンスした後、直ちに脱イオン水リンスに2分間浸漬した。浸漬リンスの後、各パネルを、SURTEC 650(Surtecから市販されており、製造者の指示に従って調製した三価クロム含有化成組成物)を含む浴に、撹拌せずに30℃で5分間浸漬した。次いで、各パネルを脱イオン水で2分間浸漬リンスした後、直ちにSOCOSURF PACS(Socomoreから市販されており、製造者の指示に従って調製した、Hを含有するシーリング組成物)を含む浴に、30℃で5分間撹拌しながら、浸漬した。
試験前に、パネルを周囲条件で一晩風乾した。
【0198】
[例11]
それぞれ3インチ×10インチ×0.032インチの大きさの3つのアルミニウム2024T3裸基板(Priority Metals、Orange County、CA)をメチルエチルケトン(100%)及び使い捨て布で手拭きし、化学洗浄の前に風乾した。各パネルを、SOCOCLEAN A3432(Socomoreから市販されており、製造者の指示に従って調製した洗浄組成物)を含む浴に、55℃で10分間撹拌しながら、浸漬した。次いで、各パネルを脱イオン水で30秒間スプレーリンスした後、直ちに脱イオン水リンスに2分間浸漬した。浸漬リンスの後、各パネルを、SOCOSURF Al858〜Al806(Socomoreから市販されており、製造者の指示に従って調製した脱酸素剤)を含む浴に、30℃で6分間撹拌しながら、浸漬した。次いで、各パネルを脱イオン水で30秒間スプレーリンスした後、直ちに脱イオン水リンスに2分間浸漬した。浸漬リンスの後、各パネルを、SURTEC 650(Surtecから市販されており、製造者の指示に従って調製した三価クロム含有化成組成物)を含む浴に、撹拌せずに30℃で5分間浸漬した。次いで、各パネルを脱イオン水で2分間浸漬リンスした後、直ちに例Bのシーリング組成物を含む浴に、撹拌せずに周囲温度で1分間、浸漬した。試験前に、パネルを周囲条件で一晩風乾した。
【0199】
[例12]
それぞれ3インチ×10インチ×0.032インチの大きさの3つのアルミニウム2024T3裸基板(Priority Metals、Orange County、CA)をメチルエチルケトン(100%)及び使い捨て布で手拭きし、化学洗浄の前に風乾した。各パネルを、例Aの洗浄組成物を含む浴に、周囲温度で1分間撹拌しながら、浸漬した。次いで、各パネルを脱イオン水で30秒間スプレーリンスした後、直ちに脱イオン水リンスに2分間浸漬した。浸漬リンスの後、各パネルを、SURTEC 650(Surtecから市販されており、製造者の指示に従って調製した三価クロム含有化成組成物)を含む浴に、撹拌せずに30℃で6分間浸漬した。次いで、各パネルを脱イオン水で2分間浸漬リンスした後、直ちに脱イオン水リンス中で2回目の浸漬を2分間行った。試験前に、パネルを周囲条件で一晩風乾した。
【0200】
[例13]
それぞれ3インチ×10インチ×0.032インチの大きさの3つのアルミニウム2024T3裸基板(Priority Metals、Orange County、CA)をメチルエチルケトン(100%)及び使い捨て布で手拭きし、化学洗浄の前に風乾した。各パネルを、例Aの洗浄組成物を含む浴に、周囲温度で3分間撹拌しながら、浸漬した。
次いで、各パネルを脱イオン水で30秒間スプレーリンスした後、直ちに脱イオン水リンスに2分間浸漬した。浸漬リンスの後、各パネルを、SURTEC 650(Surtecから市販されており、製造者の指示に従って調製した三価クロム含有化成組成物)を含む浴に、撹拌せずに30℃で6分間浸漬した。次いで、各パネルを脱イオン水で2分間浸漬リンスした後、直ちに脱イオン水リンス中で2回目の浸漬を2分間行った。試験前に、パネルを周囲条件で一晩風乾した。
【0201】
[例14]
それぞれ3インチ×10インチ×0.032インチの大きさの3つのアルミニウム2024T3裸基板(Priority Metals、Orange County、CA)をメチルエチルケトン(100%)及び使い捨て布で手拭きし、化学洗浄の前に風乾した。各パネルを、例Aの洗浄組成物を含む浴に、周囲温度で6分間撹拌しながら、浸漬した。
次いで、各パネルを脱イオン水で30秒間スプレーリンスした後、直ちに脱イオン水リンスに2分間浸漬した。浸漬リンスの後、各パネルを、SURTEC 650(Surtecから市販されており、製造者の指示に従って調製した三価クロム含有化成組成物)を含む浴に、撹拌せずに30℃で6分間浸漬した。次いで、各パネルを脱イオン水で2分間浸漬リンスした後、直ちに脱イオン水リンス中で2回目の浸漬を2分間行った。試験前に、パネルを周囲条件で一晩風乾した。
【0202】
[例15]
それぞれ3インチ×10インチ×0.032インチの大きさの3つのアルミニウム2024T3裸基板(Priority Metals、Orange County、CA)をメチルエチルケトン(100%)及び使い捨て布で手拭きし、化学洗浄の前に風乾した。各パネルを、SOCOCLEAN A3432(Socomoreから市販されており、製造者の指示に従って調製した洗浄組成物)を含む浴に、55℃で10分間撹拌しながら、浸漬した。次いで、各パネルを脱イオン水で30秒間スプレーリンスした後、直ちに脱イオン水リンスに2分間浸漬した。浸漬リンスの後、各パネルを、SMUTGO(Henkelから市販されており、製造者の指示に従って調製した脱酸素剤)を含む浴に、27℃で1分間撹拌しながら、浸漬した。次いで、各パネルを脱イオン水で30秒間スプレーリンスした後、直ちに脱イオン水リンスに2分間浸漬した。浸漬リンスの後、各パネルを、SURTEC 650(Surtecから市販されており、製造者の指示に従って調製した三価クロム含有化成組成物)を含む浴に、撹拌せずに27℃で5分間浸漬した。次いで、各パネルを脱イオン水で2分間浸漬リンスした後、直ちに第2の脱イオン水リンス中で浸漬を2分間行った。試験前に、パネルを周囲条件で一晩風乾した。
【0203】
[例16]
それぞれ3インチ×10インチ×0.032インチの大きさの3つのアルミニウム2024T3裸基板(Priority Metals、Orange County、CA)をメチルエチルケトン(100%)及び使い捨て布で手拭きし、化学洗浄の前に風乾した。各パネルを、SOCOCLEAN A3432(Socomoreから市販されており、製造者の指示に従って調製した洗浄組成物)を含む浴に、55℃で10分間撹拌しながら、浸漬した。次いで、各パネルを脱イオン水で30秒間スプレーリンスした後、直ちに脱イオン水リンスに2分間浸漬した。浸漬リンスの後、各パネルを、SMUTGO(Henkelから市販されており、製造者の指示に従って調製した脱酸素剤)を含む浴に、27℃で1分間撹拌しながら、浸漬した。次いで、各パネルを脱イオン水で30秒間スプレーリンスした後、直ちに脱イオン水リンスに2分間浸漬した。浸漬リンスの後、各パネルを、SURTEC 650(Surtecから市販されており、製造者の指示に従って調製した三価クロム含有化成組成物)を含む浴に、撹拌せずに30℃で5分間浸漬した。次いで、各パネルを脱イオン水で2分間浸漬リンスした後、直ちにSOCOSURF PACS(Socomoreから市販されており、製造者の指示に従って調製した、Hを含有するシーリング組成物)を含む浴に、30℃で5分間撹拌しながら、浸漬した。
試験前に、パネルを周囲条件で一晩風乾した。
【0204】
[例17]
それぞれ3インチ×10インチ×0.032インチの大きさの3つのアルミニウム2024T3裸基板(Priority Metals、Orange County、CA)をメチルエチルケトン(100%)及び使い捨て布で手拭きし、化学洗浄の前に風乾した。各パネルを、SOCOCLEAN A3432(Socomoreから市販されており、製造者の指示に従って調製した洗浄組成物)を含む浴に、55℃で10分間撹拌しながら、浸漬した。次いで、各パネルを脱イオン水で30秒間スプレーリンスした後、直ちに脱イオン水リンスに2分間浸漬した。浸漬リンスの後、各パネルを、SMUTGO(Henkelから市販されており、製造者の指示に従って調製した脱酸素剤)を含む浴に、27℃で1分間撹拌しながら、浸漬した。次いで、各パネルを脱イオン水で30秒間スプレーリンスした後、直ちに脱イオン水リンスに2分間浸漬した。浸漬リンスの後、各パネルを、SURTEC 650(Surtecから市販されており、製造者の指示に従って調製した三価クロム含有化成組成物)を含む浴に、撹拌せずに30℃で5分間浸漬した。次いで、各パネルを脱イオン水で2分間浸漬リンスした後、直ちに例Bのシーリング組成物を含む浴に、撹拌せずに周囲温度で1分間、浸漬した。試験前に、パネルを周囲条件で一晩風乾した。
図1
【手続補正書】
【提出日】2021年5月17日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属基材を処理するための処理ラインであって、
0.001g/L〜20g/Lの量の三価クロムカチオンを含む化成組成物と、
リチウムカチオンを含み、pH9.5〜12.5を有するシーリング組成物と
を含
前記リチウムカチオンが、前記シーリング組成物の総重量に基づいて(金属カチオンとして)、5ppm〜5500ppmの量でシーリング組成物中に存在し、
前記処理が、前記金属基材を前記化成組成物及び前記シーリング組成物と接触、噴霧、及び/又は浸漬することを含む、前記処理ライン
【請求項2】
前記化成組成物が、前記三価クロムカチオンと塩を形成するのに適したアニオンをさらに含む、請求項1に記載の処理ライン
【請求項3】
前記化成組成物が、少なくとも1つの共抑制剤をさらに含む、請求項1に記載の処理ライン
【請求項4】
炭酸塩、水酸化物、又はそれらの組合せをさらに含む、請求項1に記載の処理ライン
【請求項5】
前記シーリング組成物が、アゾール、インジケータ化合物、又はそれらの組合せをさらに含む、請求項1に記載の処理ライン
【請求項6】
洗浄組成物をさらに含む、請求項1に記載の処理ライン
【請求項7】
前記洗浄組成物が、水酸化物源及び/又はリン酸源を含む、請求項に記載の処理ライン
【請求項8】
前記洗浄組成物が、pH7〜13を有する、請求項に記載の処理ライン
【請求項9】
前記洗浄組成物が、pH0.5〜6を有する、請求項に記載の処理ライン
【請求項10】
前記洗浄組成物が、金属カチオン及び/又はアゾールを含む腐食防止剤をさらに含む、請求項に記載の処理ライン
【請求項11】
前記洗浄組成物が、脱酸素剤を含む、請求項に記載の処理ライン
【請求項12】
前記処理ラインが、化学的脱酸素剤をさらに含む、請求項1に記載の処理ライン
【請求項13】
基材であって、
三価クロムを含むフィルムと、
リチウムを含み、かつ5nm〜550nmの厚さを有する層とを含む、前記基材。
【請求項14】
基材を処理する方法であって、
前記基材表面の少なくとも一部を、0.001g/L〜20g/Lの量の三価クロムカチオンを含む化成組成物と接触させる工程と、
前記基材表面の少なくとも一部を、リチウムカチオンを含むシーリング組成物と接触させる工程と
を含み、
前記リチウムカチオンが、前記シーリング組成物の総重量に基づいて(金属カチオンとして)、5ppm〜5500ppmの量でシーリング組成物中に存在し、
前記シーリング組成物が、pH9.5〜12.5を有する、前記方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法であって、前記基材の表面の少なくとも一部を、洗浄組成物と接触させる工程をさらに含み、当該洗浄組成物との接触工程が、前記化成組成物との接触工程の前に起こる、方法。
【外国語明細書】
2021119263000001.pdf