(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-119268(P2021-119268A)
(43)【公開日】2021年8月12日
(54)【発明の名称】ヘアエクステンション
(51)【国際特許分類】
A41G 5/00 20060101AFI20210716BHJP
A41G 3/00 20060101ALI20210716BHJP
【FI】
A41G5/00
A41G3/00 J
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2020-13277(P2020-13277)
(22)【出願日】2020年1月30日
(71)【出願人】
【識別番号】520037739
【氏名又は名称】株式会社MOGU
(74)【代理人】
【識別番号】100129056
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 信雄
(72)【発明者】
【氏名】福田 渉
(57)【要約】
【課題】自毛髪に容易かつ安全に装着することができると共に、自毛髪と見分けが付かないほど自然な仕上がりと違和感のない装着感を実現し得るヘアエクステンションを提供する。
【解決手段】複数本の繊維20aを束ねて編み込み成形される所要長さ及び太さを有する糸体20の両端部21に毛束23が結束されて成るヘアエクステンション10であって、該毛束は23、該糸体20に対し所定の結び方で結ばれた所定長さの毛体23aの集合から成り、複数の毛体23aが糸体20における結び目位置を徐々にズラして該糸体20の端部21に結ばれて成る手段を採用する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数本の繊維を束ねて編み込み成形される所要長さ及び太さを有する糸体の両端部に毛束が結束されて成るヘアエクステンションであって、
該毛束は、該糸体に対し所定の結び方で結ばれた所定長さの毛体の集合から成り、
複数の毛体が糸体における結び目位置を徐々にズラして該糸体の端部に結ばれて成ることを特徴とするヘアエクステンション。
【請求項2】
前記毛体の略中央箇所が糸体に結ばれることで、該糸体との結び目において毛体が折り返されて成ることを特徴とする請求項1に記載のヘアエクステンション。
【請求項3】
前記糸体と毛体とが、同色又は近似色で染色されて成ることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のヘアエクステンション。
【請求項4】
前記糸体が、伸縮自在な繊維素材で形成されて成ることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のヘアエクステンション。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘアエクステンションに関し、詳しくは、新規な毛束の結束手段を採用したヘアエクステンションに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来におけるヘアエクステンションは、毛髪を長く見せたり、毛髪の色を変えたり、ボリューム感を増すなどのために用いられ、特殊な編み方をした多様なヘアエクステンションが提供されている。それらヘアエクステンションの多くは、複数本の取付用毛髪からなるエクステンション束を使用者の自毛髪に巻き付けた状態で熱融着することで、自毛髪に固定する方法を採用している。あるいは、金属製のチューブを付設したヘアエクステンションも存し、かかるヘアエクステンションは、自毛髪を傷めないものの、シールや接着剤によって自毛髪に接着する方法を採用する。このように、従来ヘアエクステンションは、装着に際して熱融着や接着の方法が採られることで、少なからず自毛髪を損傷させてしまうと共に、取り外し作業が煩雑となり、また、一度使用したヘアエクステンションの再使用が困難である、といった問題があった。
【0003】
また、従来ヘアエクステンションには、熱収縮チューブによって固定する方式を採用しているものも存する。しかしながら、装着に際し熱収縮チューブを被覆させた筒状体をアイロンによって加熱しなければならないため、装着に時間がかかると共に危険を伴うもので、さらに取り外し作業が煩雑であると共に一度使用したヘアエクステンションの再利用が困難、といった問題があった。
【0004】
上記のような問題を解決すべく、熱融着や接着といった手段を用いず、ヘアエクステンション束を毛髪に直接結び付けて装着する態様も採られているが、ヘアエクステンション束の太さが嵩張って毛髪が不自然に太い束状になってしまうと共に、洗髪時に結束箇所の乾きが悪くなって不衛生であり、悪臭の発生要因ともなり得る、という問題があった。
【0005】
そこで、これらの問題を解決すべく、従来ヘアエクステンションの具体的な提案として、例えば、自毛髪を傷めることなく、きわめて容易に自毛髪に装着することができる上、自毛髪の拘束力が高いため取れにくく、しかも、横たわった場合でも使用者に違和感を与えることがない「エクステンション」(特許文献1,特許文献2参照)が提案され、公知技術となっている。具体的には、毛髪を束ねた本体部と、その本体部を地毛に装着するための装着手段とを有し、該装着手段は、片端を本体部に接着によって固着させた紐状体により形成され、該紐状体を結束することにより、紐状体の基端と先端とを離す方向に引っ張ることによって収縮する第一ループおよび第二ループが所定の距離を隔てて位置するように形成されてなるものである。
【0006】
しかしながら、上記「エクステンション」の提案は、第一ループおよび第二ループを自毛髪と絡めて装着することで、熱融着や接着による装着に比し自毛髪を傷めることなく装着することができるものの、紐状体と本体部とが接着によって固着されているため、該接着箇所が光沢を有した略球状に固まって膨らんでしまうもので、自毛髪がなびいたりして該接着箇所が露出して露わになった際に目立ち、見た目に不自然な仕上がりになってしまう、といった問題があった。
【0007】
また、従来ヘアエクステンションの具体的な提案として、現在広く利用されているヘアエクステンションの短所を補って、高価な装備と接着剤を不要とし、施術者及び被施術者の肌と頭皮を損傷させないで接着剤による肌トラブルや、やけどなどの問題を発生させない「ヘアエクステンション及びヘアエクステンション施術方法」(特許文献3参照)が提案され、公知技術となっている。具体的には、仮毛部及び該仮毛部の一端に連結されて施術するための頭髪に縛るための糸を設けて、該糸の両端の間には頭髪を挿入後収縮させることで頭髪に固定可能なリング部が形成されてなるものである。
【0008】
しかしながら、上記「ヘアエクステンション及びヘアエクステンション施術方法」の提案は、糸を頭髪に縛り付けた後、最終的に余った糸をカットして処分する必要が存するもので、装着手間が煩雑である、といった問題があった。また、糸と仮毛部とが接着によって連結されているため、該接着箇所が光沢を有して固形化して膨らんでしまうもので、自毛髪がなびいたりして該接着箇所が露出して露わになった際に目立ち、見た目に不自然な仕上がりになってしまう、といった問題があった。
【0009】
さらに、従来ヘアエクステンションの具体的な提案として、エクステンション束の実質的な長さを減少させることなく自毛髪に容易に取り付けることができ、しかも、取り付け時間を短縮することができる「ヘアーエクステンション」(特許文献4参照)が提案され、公知技術となっている。具体的には、複数本の取付用毛髪が束ねられてその一端が接着剤で固着された2以上のエクステンション束と、エクステンション束の一端同士を連結した紐部材と、により形成されてなるものである。
【0010】
しかしながら、上記「ヘアーエクステンション」提案は、エクステンション束と紐部材とが接着によって固着されているため、該接着箇所が光沢を有して固形化して膨らんでしまうもので、自毛髪がなびいたりして該接着箇所が露出して露わになった際に目立ち、見た目に不自然な仕上がりになってしまう、といった問題があった。
【0011】
本出願人は、以上のような従来から提案されているヘアエクステンションにおける装着手段の危険性や装着作業が煩雑であるといった問題、また、装着後において装着箇所が露出した際に当該箇所が目立って不自然な仕上がりとなり得るといった問題点に着目し、自毛髪に容易かつ安全に装着することができると共に、装着箇所が露出した場合でも自毛髪と見分けが付かないほど自然な仕上がりと違和感のない装着感を実現し得るヘアエクステンションを開発し、本発明における「ヘアエクステンション」の提案に至るものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特許第4636631号公報
【特許文献2】特許第5579520号公報
【特許文献3】特許第5261359号公報
【特許文献4】実用新案登録第3166833号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上記問題点に鑑み、自毛髪に容易かつ安全に装着することができると共に、自毛髪と見分けが付かないほど自然な仕上がりと違和感のない装着感を実現し得るヘアエクステンションの提供を図ることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するため、本発明は、 複数本の繊維を束ねて編み込み成形される所要長さ及び太さを有する糸体の両端部に毛束が結束されて成るヘアエクステンションであって、該毛束は、該糸体に対し所定の結び方で結ばれた所定長さの毛体の集合から成り、複数の毛体が糸体における結び目位置を徐々にズラして該糸体の端部に結ばれて成る手段を採る。
【0015】
また、本発明は、前記毛体の略中央箇所が糸体に結ばれることで、該糸体との結び目において毛体が折り返されて成る手段を採る。
【0016】
さらに、本発明は、前記糸体と毛体とが、同色又は近似色で染色されて成る手段を採る。
【0017】
またさらに、本発明は、前記糸体が、伸縮自在な繊維素材で形成されて成る手段を採る。
【発明の効果】
【0018】
本発明にかかるヘアエクステンションによれば、糸体に毛束を装着して、該糸体を自毛髪と結束して取り付ける態様を採用することで、熱融着や接着による取り付け手法で想定し得る頭皮の火傷や毛髪の損傷といった危険を回避し、頭皮や自毛髪を傷めることなく容易かつ安全に装着することができると共に、取り外し後のヘアエクステンションの再利用も可能にする、といった優れた効果を奏する。
【0019】
また、本発明にかかるヘアエクステンションによれば、自毛髪に取り付けるための糸体に毛束を結束するための態様について、糸体に対し所定長さの複数の毛体を所定の結び方で結ぶ態様を採用することで、接着剤による接着の場合の様な固着箇所が球状に固まったり光沢が表出したりすることなく、装着した際に自毛髪と馴染んで自然な仕上がりと違和感のない装着感を実現し得る、といった優れた効果を奏する。
【0020】
さらに、本発明のヘアエクステンションによれば、複数の毛体が糸体における結び目位置を徐々にズラして該糸体の端部に結ばれて成る手段を採ることによって、装着時において自然なボリューム感ならびに装着感が演出される、といった優れた効果を奏する。
【0021】
またさらに、本発明にかかるヘアエクステンションによれば、糸体と毛体とが同色又は近似色で染色されて成る手段を採ることによって、ヘアエクステンション自体の外観的な違和感を軽減できると共に、自毛髪との色合いを違和感なく合わせることができる、といった優れた効果を奏する。
【0022】
さらにまた、本発明にかかるヘアエクステンションによれば、糸体が伸縮自在な繊維素材で形成されて成る手段を採ることによって、頭部への装着作業ならびに取り外し作業が容易になると共に、装着時のひきつり感を緩和することができ、さらには、装着後の自毛髪への拘束力が高くなると共に、該拘束力が偏らずに自毛髪の損傷を効果的に防止することができる、といった優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明にかかるヘアエクステンションの実施形態を示す説明図である。
【
図2】本発明にかかるヘアエクステンションの実施形態を示す説明図である。
【
図3】本発明にかかるヘアエクステンションの糸体と毛体との結束態様を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は、複数本の繊維を束ねて編み込み成形される所要長さ及び太さを有する糸体20の両端部21に毛束23が結束されて成るヘアエクステンション10であって、該毛束23は、該糸体20に対し所定の結び方で結ばれた所定長さの毛体23aの集合から成り、複数の毛体23aが糸体20における結び目位置を徐々にズラして該糸体20の端部21に結ばれて成る手段を採ったことを最大の特徴とする。
以下、本発明にかかるヘアエクステンション10の実施形態を、図面に基づいて説明する。
【0025】
尚、本発明にかかるヘアエクステンション10は、以下に述べる実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内、すなわち同一の作用効果を発揮できる形状や寸法、材質等の範囲内で、適宜変更することができるものである。
【0026】
図1及び
図2は、本発明にかかるヘアエクステンションの実施形態を示す説明図であり、
図1は全体図、
図2は要部拡大図である。
本発明にかかるエクステンションは、複数本の繊維を束ねて編み込み成形される糸体20の両端部21に、夫々毛束23が結束されて形成されている。
【0027】
糸体20は、繊維の集合体、すなわち、複数本の繊維を束ねて編み込み成形(撚り)されるもので、工業的に撚りをかけて成形された撚糸から成る。糸体20を構成する繊維の数については、複数であれば特に限定はないが、常法に従い、概ね数本乃至数十本の繊維を束ねて編み込み成形されて成る。かかる繊維の本数については、結束される毛束23の量に対する耐性も考慮して決定されるのが好ましい。
尚、本発明における繊維とは、細糸を含む概念である。すなわち、繊維の集合体として細糸を成形し、該細糸の集合体として本発明にかかる糸体20を構成し得るものである。
【0028】
糸体20の長さ及び太さについては、所要長さ及び太さを有していれば特に限定はなく、長さについて例えば約30mmとする態様が考え得る。太さについては、糸体20を構成する繊維の太さや本数によって決定されるもので、糸体20に成形された際の太さについて、例えば0.6〜1mm程度とする態様が考え得る。
【0029】
糸体20の素材すなわち繊維の素材については、天然繊維(コットン系)や化学繊維(ポリエステル系)、あるいはこれらの混合繊維が考えられ、特に限定はない。なお、素材について、綿を主成分とする繊維綿糸、あるいは綿の混合比率が70%以上となるように混紡、混繊した繊維とすることで、糸体20について自毛髪に対する高い摩擦力を発現させることができ、さらに拘束した自毛髪が抜けにくくなる上、自毛髪に合わせて各種の色に染め易くなる。
【0030】
尚、糸体20の素材について、伸縮性を有する素材、例えば伸縮性を有する合成樹脂繊維や合成ゴム繊維などの伸縮自在な繊維素材で形成する態様が考え得る。かかる態様を採ることで、頭部への装着作業ならびに取り外し脱着作業が容易になると共に、自毛髪に装着時のひきつり感を緩和することができ、さらには、装着後の自毛髪への拘束力を向上し得ると共に、該拘束力が偏らずに自毛髪の損傷を効果的に防止することも可能となる。
【0031】
糸体20の色については、特に限定するものではないが、自毛髪への装着後に装着箇所が目立つことのないよう、毛束23(毛体23a)と同色若しくは近似色に染色されて成る態様が好適である。染色は、常法に従い、色々なバリエーションで構成される着色染料を使用して成されるもので、ユーザーの好みに合わせて糸体20と毛束23(毛体23a)とを同色若しくは近似色に染色することが可能である。このように、糸体20と毛束23(毛体23a)とが同色又は近似色で染色されることで、糸体20と毛束23(毛体23a)の色が異なることで生じるヘアエクステンション自体の外観的な違和感を軽減できると共に、自毛髪との色合いを違和感なく調合させて装着箇所を目立たなくさせることができ、自然な仕上がりを奏することが可能となる。
【0032】
尚、糸体20の両末端は、編み込まれた繊維が解れないよう、結び目を設けたり、化学繊維で形成されている場合は部分的に圧着又は熱溶着したりして固着する手段を採用することも好適である。
【0033】
毛束23は、前記糸体20の両端に夫々結束されるもので、複数の毛体23aから成る集合体である。該毛体23aの材質は、原則として化学繊維(合成樹脂繊維)によって形成される人工毛髪を使用するもので、場合によっては人毛をそのまま使用することも可能である。尚、人毛を使用する場合は、界面活性剤で処理した上で洗浄し、約50%以上のキューティクル成分を残した状態で使用する態様が好適である。
【0034】
毛束23(毛体23a)の色については、特に限定するものではなく、自毛髪の色に合わせたり、特殊なカラーで演出するなど、ユーザーの好みに合わせて種々の色に染色されて成る。このとき、毛束23(毛体23a)の色について、自毛髪への装着後に装着箇所が目立つことのないよう、糸体20と同色若しくは近似色に染色されて成る態様が好適である。染色は、常法に従い、色々なバリエーションで構成される着色染料を使用して成されるもので、ユーザーの好みに合わせて糸体20と毛束23(毛体23a)とを同色若しくは近似色に染色することが可能である。このように、糸体20と毛束23(毛体23a)とが同色又は近似色で染色されることで、糸体20と毛束23(毛体23a)の色が異なることで生じるヘアエクステンション自体の外観的な違和感を軽減できると共に、自毛髪との色合いを違和感なく調合させて装着箇所を目立たなくさせることができ、自然な仕上がりを奏することが可能となる。
【0035】
毛束23(毛体23a)の長さについては、所望する長さで任意に設定されるもので、特に限定するものではないが、概ね10乃至50cm程度の間で5乃至10cm間隔で複数パターンの長さに成形されている。
また、一の毛束23として束ねられる毛体23aの本数については、特に限定するものではなく、必要に応じて適宜増減させることができるものであるが、例えば50〜100本の毛体23aを束ねて一の毛束23が構成される。
【0036】
以上の構成要素で形成される本発明にかかるヘアエクステンション10は、糸体20の両端部21に夫々毛束23が結束されて成るもので、換言すれば、二つの毛束23が糸体20を介して繋がった態様となっている。糸体20の端部と毛束23との結束態様については、糸体20に対し所定の結び方で結ばれた所定長さの毛体23aの集合から成り、複数の毛体23aが糸体20における結び目位置を徐々にズラして該糸体20の端部21に結ばれて成る態様を採るもので、その概要は
図2に示す態様となる。尚、図面では、複数の毛体23aが結び目位置をズラして結ばれていることについて容易に理解し得るべく、各結び目が離れた状態で図示されているが、実際には各結び目が間隔を空けずに夫々隣接した状態で複数の毛体23aが結ばれて成る態様となっている。
【0037】
ところで、糸体20に対する毛体23aの結び方については、特に限定するものではなく、強固な結束性と、結束作業の煩雑性を共に考慮して決定される。すなわち、強固な結束性のみを考慮すると、複雑な結び方となって、結束作業が煩雑となり、逆に簡単な結び方で結束作業の簡素化のみを図ると、確実な結束力を発揮し得ない場合が想定される。したがって、強固な結束性と結束作業の煩雑性を共に考慮した上で、これらを両立し得る結び方を決定することが望ましい。
図3では、糸体20に対する毛体23aの結び方について、上記点を考慮した結束手法の一例について示している。
【0038】
糸体20に毛体23aを結ぶに際し、該毛体23aにおける結束位置については、特に限定するものではないが、大きく二つの態様が考え得る。一つ目は、毛体23aの端部を糸体20に結束する態様、二つ目は、毛体23aの略中央箇所を糸体20に結束する態様である。
【0039】
一つ目の態様では、毛体23aの端部を糸体20に結束する態様を採用することで、一本の毛体23aがそのまま毛束23における一の毛体23aを構成することとなり、すなわち結んだ数と同数の毛体23aを備える毛束23が構成されることとなる。かかる結束態様を糸体20の両端部21において行うことで、二つの毛束23が糸体20を介して繋がるように存することとなる。尚、結び目において余分となった毛体23aの端部は、必要に応じて切り取っておく。また、結束された毛束23の毛先は、必要に応じて切り揃えておく。
【0040】
上記一つ目の結束態様を採用することで、毛体23aに人毛を使用した場合であっても、キューティクルの方向を一定に揃えることが可能となる。そして、毛束23が糸体20の一部と化して一体化され、毛束23が糸体20から抜け落ちることなく強固に結束されたヘアエクステンション10が完成する。
【0041】
二つ目の態様では、毛体23aの略中央箇所を糸体20に結束する態様を採用することで、一本の毛体23aが結び目で折り返されて、毛束23における二の毛体23aを構成することとなり、すなわち結んだ数の2倍の数の毛体23aを備える毛束23が構成されることとなる。このとき、毛体23aの略中央箇所が糸体20との結び目となる様に、糸体20と毛体23aの位置を調整する。かかる結束態様を糸体20の両端部21において行うことで、二つの毛束23が糸体20を介して繋がるように存することとなる。尚、結束された毛束23の毛先は、必要に応じて切り揃えておく。
【0042】
ところで、上記二つ目の態様において、毛体23aは、略中央箇所で折り返された状態で糸体20に結束されることから、毛体23aとして人毛を使用する場合には、キューティクルの方向が折り返し箇所を境に一方が逆毛となることに留意することを要する。
また、上記二つ目の態様において、毛体23aが略中央箇所で折り返されることで、該毛束23(毛体23a)の長さが略半分となるもので、換言すれば、所望する毛束23の長さに得るには、その倍の長さの毛体23aを略中間で折り返すことで得ることを要する。
【0043】
上記二つ目の結束態様を採用することで、毛束23(毛体23a)が略中央箇所で折り返されることから、結んだ数の2倍の数の毛体23aを備える毛束23を構成することが可能であって、例えば50本の毛体23aを用いて最終的に100本の毛体23aから成る毛束23を構成し得ることとなる。この様に、折り返されることで毛体23aの本数が倍になることから、従来品に比して毛体23aの使用量の軽減ならびに結束作業の容易性ならびに時間的短縮を図ることができ、装着後においてもボリューム感を演出することができる。そして、毛束23が糸体20の一部と化して一体化され、毛束23が糸体20から抜け落ちることなく強固に結束されたヘアエクステンション10が完成する。
【0044】
尚、糸体20における毛体23aの結束位置(結び目位置)について、複数の毛体23aの全てを糸体20の同じ位置に結束した場合、かかる結束位置に複数の結び目が重なってヘアエクステンション10の太さが想定以上に太くなってしまうこととなる。逆に、結び目が重ならないよう、結び目の間隔を大きく空けて毛体23aを結束する態様も考え得るが、それでは糸体20の端部における限られた範囲内に少数の毛体23aしか結ぶことができなくなることも容易に想定し得る。そこで、糸体20における各毛体23aの結束位置を夫々段階的に少しずつズラしながら、各結び目が間隔を空けずに夫々隣接した状態となるよう、複数の毛体23aが糸体20の複数箇所に結束される態様を採ることが好適である。この様に、糸体20の両端部21において、複数の毛体23aが糸体20における結束位置(結び目位置)を徐々にズラして該糸体20の端部に結ばれる手段を採ることで、装着時において自然なボリューム感ならびに装着感が演出されると共に、自然な仕上がりを創出することが可能である。実際には
【0045】
以上の構成から成る本発明にかかるヘアエクステンション10は、自毛髪への装着について、糸体20の部分を使用して、所定量の自毛髪に結び付ることにより装着されることとなる。糸体20と自毛髪との具体的な結び付け方については、特に限定はなく、片結びやその他の解けない結び方及び抜け落ちない手法によって強固に装着されることとなる。
【0046】
以上、本発明にかかるヘアエクステンション10は、熱融着や接着といった手段を用いずに、糸体20を使用して自毛髪に容易かつ安全に装着することができると共に、糸体20の両端には夫々毛束23が結束されていることから、二つの毛束が同時に装着されることで装着時間の短縮に資し、また、装着した際に自毛髪と馴染んで自然な仕上がりと違和感のない装着感を実現することができ、さらには、簡単かつ綺麗に取り外しが可能で、取り外し後のヘアエクステンション10の再利用にも資する、といった従来にない優れた多くの作用効果を奏するものである。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明にかかるヘアエクステンションは、金属や接着剤を使用していないことから、それらに対するアレルギー体質の方へも安心して使用することが可能であって、一般的な用途である付け毛としての使用態様のほか、薄毛や脱毛症に対する部分かつらとしての使用態様、さらに、ペット用や人形用の付け毛として使用できるなど、幅広い用途への応用が考え得る。したがって、本発明にかかる「ヘアエクステンション」の産業上の利用可能性は極めて大であると思料される。
【符号の説明】
【0048】
10 ヘアエクステンション
20 糸体
21 端部
23 毛束
23a 毛体