【課題】回転機構を備えるロードポートにおいて、容器の受渡位置を、回転機構を備えないロードポートに合わせた場合でも、容器の回転時に容器のドア部等への衝突を回避するロードポート及び基板搬送システムを提供する。
【解決手段】基板搬送システムにおいて、ロードポート4は、開口部を有するベース20と、ベース20に設けられ、開口部を開閉するドア部と、ベースと直交する前後方向において、ベースから前方に突設され、載置トレイ23を支持するフレーム22と、載置トレイを鉛直軸周りに回転させる回転機構24と、FOUP300がOHTによって載置トレイに載置された後、回転機構が載置トレイを回転させる前又は回転させている最中に、ドア部及び載置トレイのうち少なくともいずれか一方を他方から遠ざける移動機構と、を備える。FOUPとドア部等とが相対的に遠ざかるため、FOUPが回転時にドア部等に衝突することを回避できる。
基板を収容する容器が載置される載置部を備えており、前記載置部が、予め設置された軌道に沿って走行し前記容器を輸送する輸送手段との間で前記容器を受渡し可能な受渡位置にあるときに、前記容器を前記輸送手段との間で受渡しするロードポートであって、
立設配置され、開口部を有するベースと、
前記ベースに設けられ、前記開口部を開閉するドア部と、
前記ベースと直交する前後方向において、前記ベースから前方に突設され、前記載置部を支持するフレームと、
前記載置部を鉛直軸周りに回転させる回転機構と、
前記容器が前記輸送手段によって前記載置部に載置された後、前記回転機構が前記載置部を回転させる前に又は回転させている最中に、前記ドア部及び前記載置部のうち少なくともいずれか一方を他方から遠ざける移動機構と、を備えることを特徴とするロードポート。
前記回転機構は、前記移動機構が前記受渡位置よりも前記前方の回転位置まで前記載置部を移動させた後に、前記載置部を回転させることを特徴とする請求項2に記載のロードポート。
前記移動機構は、前記載置部を前記フレームよりも前記前方に突出させることで、前記載置部を前記回転位置に移動させることを特徴とする請求項3に記載のロードポート。
前記移動機構が、前記容器の側面に設けられた蓋が前記ドア部とともに開閉されるドア開閉位置へ前記載置部を移動させる前に又は移動させる最中に、前記ノズルが前記接続位置に移動し、前記ノズルを介して前記容器へのガスの注入又は排出が開始されることを特徴とする請求項6に記載のロードポート。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1〜3に記載のロードポートのように、OHT等の無人搬送車による容器の受渡しを前提としておらず、受渡位置をドア開閉位置から十分遠い位置にすることができる場合には、容器の回転位置を受渡位置と同一又は受渡位置よりもドア開閉位置側に設定することができる。しかしながら、前述の規格に準拠して、ドア開閉位置に近い位置に受渡位置を定めると、これらのロードポートでは、寸法上、回転時に容器がドアやその周辺の壁面に衝突してしまう。このため、これらの回転機構を備えるロードポートにおける受渡位置と、回転機構を備えないロードポートにおける受渡位置とを、同一の輸送手段の軌道に沿って配置することができず、容器の輸送効率が落ちるという問題がある。
【0009】
本発明の目的は、回転機構を備えるロードポートにおいて、輸送手段から載置部に容器が受け渡される受渡位置を、回転機構を備えないロードポートにおける受渡位置と同一の輸送手段の軌道に沿って配置した場合でも、容器の回転時に容器のドア等への衝突を回避することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の発明のロードポートは、基板を収容する容器が載置される載置部を備えており、前記載置部が、予め設置された軌道に沿って走行し前記容器を輸送する輸送手段との間で前記容器を受渡し可能な受渡位置にあるときに、前記容器を前記輸送手段との間で受渡しするロードポートであって、立設配置され、開口部を有するベースと、前記ベースに設けられ、前記開口部を開閉するドア部と、前記ベースと直交する前後方向において、前記ベースから前方に突設され、前記載置部を支持するフレームと、前記載置部を鉛直軸周りに回転させる回転機構と、前記容器が前記輸送手段によって前記載置部に載置された後、前記回転機構が前記載置部を回転させる前に又は回転させている最中に、前記ドア部及び前記載置部のうち少なくともいずれか一方を他方から遠ざける移動機構と、を備えることを特徴とするものである。
【0011】
回転機構を備えるロードポートにおいて、容器が輸送手段によって載置部に載置された後、回転機構が載置部を回転させる前に又は回転させている最中に、ドア部と載置部との前後方向の距離が相対的に遠ざかる。したがって、回転機構を備えるロードポートにおいて、輸送手段から載置部に容器が受け渡される受渡位置を、回転機構を備えないロードポートにおける受渡位置と同一の輸送手段の軌道に沿って配置した場合でも、容器の回転時に容器がドア部やベースに衝突することを回避することができる。
【0012】
第2の発明のロードポートは、前記第1の発明において、前記移動機構は、前記載置部を、前記輸送手段との間で前記容器が前記載置部に受渡しされる受渡位置から前後方向に移動させるものであり、前記容器が前記輸送手段によって前記受渡位置にある前記載置部に載置された後、前記回転機構が前記載置部を回転させる前に又は回転させている最中に、前記載置部を前記受渡位置よりも前記前方に移動させることを特徴とするものである。
【0013】
容器が載置部に載置された後、回転手段が載置部を回転させる前に又は回転させながら、載置部が移動機構によって受渡位置よりも前方に移動するため、容器の回転時に容器がドア部やベースに衝突することを回避することができる。なお、ドア部を後退させる場合と比べて、ロードポート側の空気が開口部を通じて後方の空間に入り込みにくいため、後方の空間の汚染の心配が少ない。
【0014】
第3の発明のロードポートは、前記第2の発明において、前記回転機構は、前記移動機構が、前記受渡位置よりも前記前方の回転位置まで前記載置部を移動させた後に、前記載置部を回転させることを特徴とするものである。
【0015】
載置部が、移動機構によって受渡位置よりも前方の回転位置まで移動した後に、回転機構によって回転するため、容器の回転時に容器がドア部やベースに衝突することをより確実に回避することができる。
【0016】
第4の発明のロードポートは、前記第3の発明において、前記移動機構は、前記載置部を前記フレームよりも前記前方に突出させることで、前記載置部を前記回転位置に移動させることを特徴とするものである。
【0017】
本発明によれば、載置部のみが回転位置まで突出するため、フレームを回転位置まで突出させる必要がなくなり、フレームの前後方向の大きさがコンパクトになり、ロードポートの設置面積を小さくすることができる。
【0018】
第5の発明のロードポートは、前記第4の発明において、前記フレームの前記前方にある障害物を検知する検知手段と、前記検知手段が前記障害物を検知した場合に前記載置部の前記回転位置への移動を規制する制御手段と、を備えることを特徴とするものである。
【0019】
本発明によれば、人等が近くを通行するときに、載置部及び容器がフレームよりも前方に飛び出すことを防止できるため、安全性が確保できる。
【0020】
第6の発明のロードポートは、前記第2〜第5のいずれかの発明において、前記移動機構は、前記回転機構を下方から支持し、且つ、前記前後方向に移動可能な可動部を有しており、前記載置部は、前記回転機構によって下方から支持されており、前記載置部に載置された前記容器の下面に形成されたノズル挿入口に接続する接続位置と、前記ノズル挿入口から下方に離間する離間位置との間で昇降可能な、ガスの注入又は排出用のノズルが、前記可動部に支持されていることを特徴とするものである。
【0021】
本発明によれば、回転機構が移動機構の可動部によって支持され、載置部が回転機構に支持されるため、載置部のみが回転機構によって回転し、移動機構の可動部の上面に設けられたガス注入又は排出用のノズルは回転しない。したがって、ノズルに接続されるガスの注入又は排出用の配管によって回転機構の動きを妨げられることなく、載置部を回転させることができる。
【0022】
第7の発明のロードポートは、前記第6の発明において、前記移動機構が、前記容器の側面に設けられた蓋が前記ドア部とともに開閉されるドア開閉位置へ前記載置部を移動させる前に又は移動させる最中に、前記ノズルが前記接続位置に移動し、前記ノズルを介して前記容器へのガスの注入又は排出が開始されることを特徴とするものである。
【0023】
ガスの注入又は排出用のノズルは、可動部の上面に設けられているため、載置部が移動機構によって移動している間でも、ノズルと載置部との前後方向の相対位置は変化しない。そのため、載置部がドア開閉位置に移動させる前に又は移動させる最中に、容器へのガスの注入又は排出を開始することができる。したがって、載置部の移動完了後にガスの注入等を始めるよりも早くガスの注入等を完了させることができ、ドア部の開閉までの時間を短縮することができる。
【0024】
第8の発明の基板搬送システムは、前記第1〜第7のいずれかの発明のロードポートである第1ロードポートと、前記載置部を備えており、且つ、前記回転機構を備えていない第2ロードポートと、前記基板を前記容器に出し入れする搬送手段を有する搬送室と、を備え、前記第1ロードポートの前記載置部の前記受渡位置と、前記第2ロードポートの前記載置部の前記受渡位置とが、前記輸送手段の前記軌道に沿って配置されていることを特
徴とするものである。
【0025】
回転機構を備える第1ロードポート及び回転機構を備えていない第2ロードポートについて、それぞれのロードポートの載置部が取る受渡位置が、同一の輸送手段の走行軌道に沿って配置される。したがって、それぞれのロードポートに対して、同一の輸送手段を用いて容器の受渡しをすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
次に、本発明の実施の形態について、
図1〜
図8を参照しながら説明する。なお、
図1に示すように、複数のロードポート4、5が並ぶ方向を左右方向とする。また、左右方向と直交し、ロードポート4、5が搬送室6に向かう方向を前後方向とする。前後方向において、ロードポート4、5側を前方、搬送室6側を後方とする。
【0028】
(ロードポートを含む半導体装置及び周辺の概略構成)
図1は、半導体工場に設置された半導体製造装置1及びその周辺の概略図である。
図1(a)に示すように、半導体製造装置1は、ウェハ等の基板を処理する基板処理装置2と、基板を基板処理装置2との間で受渡しするEFEM3(本発明の基板搬送システム)とを備える。半導体製造装置1は、以下の一連の動作を行う。まず、EFEM3が、基板を収容するFOUP300(本発明の容器)を、後述するOHT400(本発明の輸送手段)等から受け取る。次に、EFEM3は、FOUP300から基板を取り出して、基板処理装置2に基板を渡す。基板処理装置2は、EFEM3から受け取った基板の処理を行い、基板をEFEM3に戻す。EFEM3は、基板をFOUP300に戻す。その後、FOUP300は、OHT400等によって運ばれていく。
【0029】
基板処理装置2は、図示しない基板処理機構と、制御装置10とを備える。制御装置10は、基板処理機構を制御して、基板の処理やEFEM3との間での基板の受渡しを行うほか、上位コンピュータであるホスト200等との間で通信を行う。
【0030】
EFEM3は、1台のロードポート4(本発明のロードポート及び第1ロードポート)と、2台のロードポート5(本発明の第2ロードポート)と、搬送室6と、搬送ロボット7(本発明の搬送手段)と、制御装置11とを備える。なお、ロードポート4とロードポート5との大きな相違点は、後述する回転機構24の有無である。すなわち、ロードポー
ト4は回転機構24を備え、ロードポート5は回転機構24を備えていない。
【0031】
ロードポート4、5は、それぞれの後端部が、後述する搬送室6の前側の隔壁8に沿うように、左右方向に並設される。ロードポート4、5には、FOUP300が載置される。 なお、FOUP300は、OHT400によって工場内を輸送される。
図1(a)、(b)に示すように、OHT400は、工場内の天井に予め設置されたレール401(本発明の軌道)に沿って走行し、上方からロードポート4、5にアクセスする無人搬送車である。OHT400は、ホスト200からの指令に基づいて、FOUP300をロードポート4又はロードポート5に受渡しする。
【0032】
搬送室6は、隔壁8によって外部空間から隔離された搬送空間9を構成する。なお、レール401と、搬送室6の前方の隔壁8との前後方向の距離Lは、例えばSEMI規格によって定められる243mm前後である。
【0033】
搬送ロボット7は、搬送室6内に設置され、ロードポート4、5に載置されたFOUP300と基板処理装置2との間で基板の受渡しをする。制御装置11は、搬送ロボット7の制御を行うほか、基板処理装置2の制御装置10、後述するロードポート4の制御装置29及びホスト200等との間で通信を行う。
【0034】
(ロードポートの構成)
次に、ロードポート4の構成について説明する。なお、
図2に示される方向を前後左右上下方向とする。
【0035】
図2、
図3及び
図5に示すように、ロードポート4は、ベース20と、ドア部21と、フレーム22と、載置トレイ23(本発明の載置部)と、回転機構24と、移動機構25と、窒素ガスパージユニット27と、制御装置29(本発明の制御手段)等を備える。
【0036】
ベース20は、正面視で略矩形状の平板状の部分である。ベース20は、搬送室6の隔壁8の一部を構成するように立設配置される。また、ベース20の上側部分には、正面視で略矩形状の開口部30が形成されている。開口部30は、FOUP300の側面に設けられた蓋301が前後に通過できる大きさを有する。
【0037】
ドア部21は、ドア31と、ドアアーム32とを有する。ドア31は、略矩形状の平板状の部材であり、開口部30を後方から塞ぐことができる大きさを有する。ドア31は、FOUP300の蓋301を吸着する吸着部33と、蓋301の錠を開閉するラッチキー34とを有する。ドアアーム32は、ドア31の後部に取り付けられ、ドア31を下方から支持する部材である。また、ドアアーム32は、ドア移動部35に接続される。ドア移動部35は、ベース20の後方に設けられ、ドア31及びドアアーム32を前後方向及び上下方向に移動させる。
【0038】
フレーム22は、ベース20から前方に突設された部分である。フレーム22は、平面視で略矩形状であり、FOUP300よりも大きい面積を有する。なお、フレーム22の前面には、センサ26(本発明の検知手段)が設けられている。センサ26は、例えば発光部と受光部とを有する光学センサである。発光部が、フレーム22の前方に光を発し、フレーム22の前方に障害物がある場合、障害物によって反射された光を受光部が検知し、検知信号を制御装置29に送る。
【0039】
載置トレイ23は、平面視で略矩形状の部材であり、FOUP300が安定して載置されることができる面積を有する。載置トレイ23は、後述するように、回転機構24及び移動機構25を介してフレーム22に下方から支持される。
【0040】
載置トレイ23の上面には、3つの位置決めピン36、37、38が設けられている。位置決めピン36、37、38は、後述する正規の向きにFOUP300が載置された場合に、FOUP300の底面に設けられた図示しない3つの穴と係合するように配置されている。なお、
図2及び
図3における載置トレイ23の向きは、FOUP300の蓋301とドア31とが正対する状態における向きである。すなわち、位置決めピン36と位置決めピン37との前後方向の位置が略等しく、位置決めピン38が位置決めピン36、37よりも前方に位置するとき、FOUP300の蓋301とドア31とが正対する。載置トレイ23の上記の向きを、正規の向きと称する。
【0041】
また、載置トレイ23には、載置トレイ23の上面から下面に亘って貫通する、2つのノズル通過孔39、40が形成されている。これらのノズル通過孔39、40は、載置トレイ23が正規の向きにあるときに、後述する注入ノズル55及び排出ノズル56をそれぞれ通過させることができるように配置されている。
【0042】
図3に示すように、回転機構24は、モータ41と、シャフト42とを有する。モータ41には、例えば回転式のエアモータ等が用いられる。モータ41は、後述する移動機構25の可動部47に支持される。シャフト42は、モータ41の上部及び載置トレイ23の下部に、鉛直方向に延びるように取り付けられ、載置トレイ23を下方から支持するとともにモータ41の回転動力を載置トレイ23に伝える。上記の構成を有する回転機構24のモータ41がシャフト42を回転させることによって、載置トレイ23は、鉛直軸周りに回転する。
【0043】
図2〜
図4に示すように、移動機構25は、シリンダ45と、伝動部46と、可動部47と、スライドレール48と、レールブロック49とを有する。シリンダ45には、例えば、シリンダ45を構成するロッド50が3種類の位置を取りうる3ポジションエアシリンダが用いられる。シリンダ45は、ロッド50が前後方向に移動するようにフレーム22内に設けられる。伝動部46は、ロッド50の端部及び可動部47の下部に取り付けられ、シリンダ45の動力を可動部47に伝えるように設置される。可動部47は、伝動部46の上部に接続され、前後方向に移動するように設置される。また、可動部47は、回転機構24のモータ41を下方から支持する。スライドレール48は、可動部47の下部に前後方向に沿って取り付けられる。レールブロック49は、フレーム22の上面に固定され、スライドレール48を下方から前後移動可能に支持する。
【0044】
上記の構成を有する移動機構25のシリンダ45が、ロッド50を前後方向に動かすことによって、載置トレイ23は、
図4に示すように、前後方向において3つの位置の間で移動可能になる。ロードポート4が
図1に示すように配置されている状態で、
図4(a)に示すように、載置トレイ23が前後方向において中間の位置にあるとき、載置トレイ23は、レール401の真下に位置する。すなわち、載置トレイ23は、OHT400によってFOUP300を受け渡されることができる。載置トレイ23の上記の位置を、受渡位置と称する。
【0045】
また、
図4(b)に示すように、載置トレイ23が受渡位置よりも前方にあるとき、後述するように、載置トレイ23は回転機構24によって回転させられる。この前方の位置を、回転位置と称する。さらに、
図4(c)に示すように、載置トレイ23が受渡位置よりも後方にあるとき、載置トレイ23上のFOUP300の蓋301がドア部21に近接し、蓋301がドア部21とともに開閉される。この後方の位置を、ドア開閉位置と称する。
【0046】
また、ロードポート4は、
図5に示すように、FOUP300内に窒素ガスの注入及び
排出をする窒素ガスパージユニット27を備える。窒素ガスパージユニット27は、窒素ガスを供給するガス供給手段51と、FOUP300内に予め満たされているエアーを排出する排気手段52と、配管53,54と、注入ノズル55及び排出ノズル56(本発明のノズル)と、モータ57,58とを有する。
【0047】
注入ノズル55は、移動機構25の可動部47の上面から上向きに突出するように設けられ、載置トレイ23が正規の向きにあるときにノズル通過孔39を通過できるように配置されている。注入ノズル55は、配管53に接続され、また、モータ57によって昇降可能になっている。配管53は、ガス供給手段51につながっている。同様に、排出ノズル56は、載置トレイ23が正規の向きにあるときにノズル通過孔40を通過できるように配置され、配管54に接続され、また、モータ58によって昇降可能になっている。配管54は、排気手段52につながっている。
【0048】
図5(a)に示すように、注入ノズル55及び排出ノズル56が最も下降したときは、注入ノズル55及び排出ノズル56の上端が載置トレイ23よりも下方に離間した位置(離間位置)にある。また、
図5(b)に示すように、注入ノズル55及び排出ノズル56が最も上昇したときは、注入ノズル55及び排出ノズル56の上端部がFOUP300の底面のノズル挿入口302、303にそれぞれ接続される位置(接続位置)にある。
【0049】
制御装置29は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備える。制御装置29は、ROMに格納されたプログラムに従い、CPUにより、ロードポート4の各機構を制御するほか、EFEM3の制御装置11やホスト200等との間で通信を行う。
【0050】
次に、ロードポート5について説明する。ロードポート5の構成は、ロードポート4の構成と概ね同様であるが、前述のように、回転機構24を備えていないという点でロードポート4の構成と異なる。すなわち、ロードポート5において、FOUP300は、蓋301がドア31と正対する状態で載置トレイ23に載置される。なお、ロードポート5の載置トレイ23は、移動機構25に直接的に支持されている。また、ロードポート5の載置トレイ23は、回転位置には移動せず、受渡位置とドア開閉位置との間で移動させられる。ロードポート4とロードポート5とにおいて、載置トレイ23の受渡位置及びドア開閉位置の前後方向の位置は、同じである。
【0051】
(ロードポートの動作ステップ)
次に、
図6に示すように、EFEM3に設置されたロードポート4の動作ステップについて、
図6〜
図9を用いて説明する。
【0052】
図7は、ロードポート4の動作のフローチャートである。まず、載置トレイ23上にFOUP300が載置されていない状態で、ロードポート4の制御装置29はホスト200と通信し、OHT400によって輸送されてくるFOUP300の情報を取得する(S101)。なお、このFOUP300の情報には、載置トレイ23に載置されるときのFOUP300の向きに関する情報が含まれる。FOUP300の蓋301がロードポート4のドア31に正対する向きで載置される場合には、正規の向きである旨の情報が、蓋301が正規の向きと反対の向きで載置される場合には、反対向きである旨の情報が、それぞれホスト200から送られてくる。
【0053】
次に、制御装置29は、ホスト200から受け取った情報に基づき、FOUP300が載置トレイ23に載置される向きが正規の向きであるか反対向きであるかを判定する(S102)。まず、FOUP300が反対向きで載置トレイ23に載置される場合について説明する。
【0054】
制御装置29は、載置トレイ23が正規の向きに配置されている場合、回転機構24のモータ41を駆動して、反対向きのFOUP300が載置されるように載置トレイ23を回転させる。載置トレイ23が初めから反対向きに配置されている場合は、制御装置29は、載置トレイ23を回転させない。また、制御装置29は、載置トレイ23が受渡位置以外の位置にある場合、移動機構25のシリンダ45を動作させて、載置トレイ23を受渡位置に移動させる。載置トレイ23が初めから受渡位置にある場合は、制御装置29は、載置トレイ23を移動させない。すなわち、制御装置29は、載置トレイ23が、
図8(a)に示すような位置及び向きにある状態で待機する(S103)。
【0055】
このとき、
図6に示すように、ロードポート4の載置トレイ23は、平面視でレール401に沿って配置されており、FOUP300がOHT400によって載置されることができる。なお、同様に、ロードポート5における載置トレイの受渡位置も、平面視でレール401に沿って配置されている。
【0056】
次に、
図8(b)及び
図9(a)に示すように、FOUP300がOHT400によって載置トレイ23に載置される(S104)。その後、
図8(c)に示すように、制御装置29は、移動機構25のシリンダ45を動作させて、載置トレイ23を受渡位置よりも前方の回転位置に移動させ、載置トレイ23をドア31から遠ざける(S105)。
図8(c)及び
図9(b)に示すように、載置トレイ23が回転位置にある状態では、載置トレイ23は、フレーム22よりも前方に突出している。
【0057】
なお、図示しないが、フレーム22の前方に障害物がある場合、センサ26が予め障害物を検知して、制御装置29に検知信号を送る。検知信号を受け取った制御装置29は、例えばシリンダ45への制御信号を発しない等、載置トレイ23の回転位置への移動を規制する。したがって、人等が近くを通行するときに、載置トレイ23やFOUP300がフレーム22よりも前方に飛び出すことを防止でき、安全性が確保できる。
【0058】
次に、
図8(d)、(e)及び
図9(c)に示すように、制御装置29は回転機構24のモータ41を駆動して、載置トレイを180°回転させる(S106)。ここで、載置トレイ23が受渡位置にある状態でFOUP300が回転すると、FOUP300はロードポート4のドア31或いはベース20に衝突してしまうが、載置トレイ23が受渡位置よりも前方の回転位置にあるときにFOUP300が回転するため、FOUP300は、ドア31やベース20に衝突せずに回転する。すなわち、ロードポート4において、載置トレイ23の受渡位置を、ロードポート5における載置トレイ23の受渡位置と同一のOHT400のレール401に沿って配置した場合でも、FOUP300が回転時にドア31やベース20に衝突することを回避することができる。なお、本実施形態では、後述の変形例で示すようにドア部21aを後退させる場合と比べて、ロードポート4側の空気が開口部30を通じて搬送空間9に入り込みにくいため、搬送空間9の汚染の心配が少ない。
【0059】
なお、回転機構24は移動機構25の可動部47によって支持され、載置トレイ23は回転機構24によって支持されるため、回転機構24によって回転するのは載置トレイ23及びFOUP300のみである。すなわち、可動部47の上面に設けられた前述の注入ノズル55及び排出ノズル56は回転しない。したがって、載置トレイ23は、配管53、54によって回転機構24の動きを妨げられることなく回転することができる。
【0060】
次に、制御装置29は窒素ガスパージユニット27のモータ57、58を駆動して、注入ノズル55及び排出ノズル56を接続位置まで上昇させてFOUP300の底部のノズル挿入口302、303に接続させる。そして、制御装置29は、ガス供給手段51及び
排気手段52を制御して、注入ノズル55及び排出ノズル56を通じて、FOUP300への窒素ガスの注入及びエアーの排出を開始する(S107)。なお、
図9(a)、(b)に示すように、載置トレイ23が反対向きに配置されている状態では、注入ノズル55及び排出ノズル56の前後方向の位置とノズル通過孔39、40の前後方向との位置とが一致しないため、注入ノズル55及び排出ノズル56をFOUP300に接続させることはできない。
図9(c)に示すように、載置トレイ23が正規の向きに配置されることによって、初めて注入ノズル55、及び排出ノズル56のFOUP300への接続が可能になる。
【0061】
次に、
図8(f)に示すように、制御装置29はシリンダ45を動作させて、載置トレイ23を後方のドア開閉位置に移動させる(S108)。そして、制御装置29は、ガス供給手段51及び排気手段52の動作を止め、モータ57、58を駆動して注入ノズル55及び排出ノズル56を離間位置まで下降させる(S109)。なお、ガスの注入及び排出は、載置トレイ23がドア開閉位置へ移動するよりも前に開始されるため、載置トレイ23の移動完了後に窒素ガスの注入等を始めるよりも早く窒素ガスの注入等を完了させることができ、後述するドア開閉動作までの時間を短縮することができる。
【0062】
次に、ロードポート4はドア開閉動作を行う(S110)。すなわち、制御装置29は、ドア31のラッチキー34によってFOUP300の蓋301を開錠し、ドア31の吸着部33に蓋301を吸着させて保持する。そして、制御装置29はドア移動部35を動作させて、ドア31及び蓋301を後方に移動させ、ドア31及び蓋301を下降させる。その後、EFEM3の制御装置11が搬送ロボット7を動作させて、FOUP300内から基板を取り出して基板処理装置2に渡し、処理が完了した基板を基板処理装置2から受け取ってFOUP300内に戻す。必要な全ての基板処理が終わった後、制御装置29はドア移動部35を動作させてドア31及び蓋301を上昇、前進させ、蓋301をFOUP300に戻し、ラッチキー34によって蓋301を施錠し、吸着部33への蓋301の吸着を解除する。
【0063】
その後、制御装置29は、ホスト200に基板処理が終わった旨の情報を送る。また、制御装置29は、ホスト200からの指令に従って、FOUP300の移動及び回転の制御をする。すなわち、FOUP300が正規の向きのままOHT400によって輸送されていく場合、制御装置29は、移動機構25を制御して載置トレイ23をそのままの向きで受渡位置に移動させる。また、FOUP300が反対向きでOHT400によって輸送されていく場合、制御装置29は、移動機構25により載置トレイ23をいったん回転位置に移動させる。そして、制御装置29は、回転機構24により載置トレイ23を反転させた後、移動機構25を制御し、載置トレイ23を受渡位置に移動させる。最後に、ホスト200から指示を受けたOHT400によって、FOUP300が輸送されていく(S111)。
【0064】
ステップS102に戻り、FOUP300が正規の向きで載置される場合について説明する。制御装置29は、載置トレイ23が反対向きに配置されている場合、回転機構24により載置トレイ23を正規の向き(
図2参照)に回転させる。また、制御装置29は、載置トレイ23が受渡位置以外に配置されている場合、移動機構25により載置トレイ23を受渡位置に移動させる。すなわち、制御装置29は、載置トレイ23が正規の向き且つ受渡位置にある状態で待機する(S121)。FOUP300は、OHT400によって、正規の向きで載置トレイ23に載置される(S122)。この場合、制御装置29は、載置トレイ23の回転位置への移動及び載置トレイ23の回転を行わず、ステップS107のガスの注入及びエアーの排出を開始する。以降、制御装置29は、FOUP300が反対向きに載置された場合と同様の動作を行う。
【0065】
以上のように、ロードポート4は、載置トレイ23が平面視でレール401に沿って受渡位置を取る場合でも、FOUP300の回転時にFOUP300がドア31やベース20に衝突することを回避することができる。そのため、EFEM3において、ロードポート4の載置トレイ23の受渡位置と、回転機構24を有しないロードポート5の載置トレイ23の受渡位置とが、同一のレール401に沿って配置される。したがって、それぞれのロードポート4、5に対して、同一のOHT400を用いてFOUP300の受渡しをすることができる。
【0066】
また、ロードポート4の載置トレイ23が回転位置にある状態では、載置トレイ23は、フレーム22よりも前方に突出している。すなわち、フレーム22は前後方向において回転位置まで突出している必要はなく、フレーム22の前後方向の大きさがコンパクトになる。したがって、ロードポート4の設置面積を、ロードポート5と同程度に小さくすることができる。
【0067】
次に、前記実施形態に変更を加えた変形例について説明する。但し、前記実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。
【0068】
(1)
図10〜
図12に示すように、ロードポート4aは、ドア部21aを載置トレイ23から遠ざける移動機構60を備えていても良い。以下、具体的に説明する。
【0069】
図10及び
図11に示すように、ドア部21aは、回動板61,62をさらに有する。ベース20aの開口部30aは、ドア部21aのドア31aよりも上下方向に広く、開口部30aの上側部分が回動板61によって、下側部分が回動板62によって、それぞれ塞がれる。回動板61,62は、左右方向を軸にしてそれぞれ回動可能に支持される。回動板61は上側部分が、回動板62は下側部分が、それぞれベース20aに支持される。
【0070】
移動機構60は、ドア部21aのドアアーム32aを前後方向及び上下方向に移動させるドア移動部35aと、回動板61に接続されるモータ63と、回動板62に接続されるモータ64と、を有する。モータ63,64は、回動板61,62を、開口部30aを塞ぐ閉止位置(
図10(a))と、開口部30aを開放する開放位置(
図10(b))との間で、それぞれ回動させる。
図10(b)に示すように、回動板61,62は、後方に回動することで開放位置に移動する。
【0071】
図12は、FOUP300が反対向きに載置された場合のロードポート4aの動作を示す平面図である。まず、制御装置29が載置トレイ23を反対向き、且つ、受渡位置で待機させ(
図12(a))、FOUP300が反対向きで載置トレイ23に載置される(
図12(b))ところまでは、前記実施形態と同様である。
【0072】
次に、制御装置29は、
図12(c)に示すように、移動機構60を制御してドア31aを後退させ、且つ、回動板61,62を後方に回動させる。つまり、この変形例では、回動板61,62を後方に回動させることで、ドア部21aを載置トレイ23から相対的に遠ざけている。次に、制御装置29は、
図12(d)、(e)に示すように、回転機構24を制御して、載置トレイ23を回転させる。この変形例では、載置トレイ23が受渡位置から移動せずに回転するが、
図12(d)に示すように、FOUP300の回転時にFOUP300がドア31aやベース20aに衝突することを回避できる。なお、制御装置29は、移動機構25aを制御して載置トレイ23を回転位置に移動させ、且つ、移動機構60を制御してドア31aの後退等をさせても良い。
【0073】
載置トレイ23の回転が完了した後、制御装置29は、
図12(f)に示すように、移動機構60を制御して、ドア31aを前進させ、回動板61,62を閉止位置に移動させ
る。また、制御装置29は、移動機構25aを制御して、載置トレイ23をドア開閉位置に移動させる。以降のロードポート4aの動作は、前述の実施形態と同様である。
【0074】
(2)回転機構24が載置トレイ23を回転させる角度は、180°に限られず、例えば90°回転させるような構成でも良い。
図13に示すEFEM3bでは、2台のロードポート5が搬送室6bの前方の壁面に沿って設置されているのに対し、ロードポート4は搬送室6bの左方の壁面に沿って設置されている。このような場合、ロードポート4が、載置トレイ23を正規の向きから90°回転させた状態で待機することによって、OHT400との間でFOUP300の受渡しが可能になる。そして、FOUP300がOHT400によって載置トレイ23に載置された後、制御装置29は、移動機構25によって載置トレイ23を回転位置に移動させ、回転機構24によって載置トレイ23を90°回転させる。
【0075】
(3)ロードポート4の他の構成も、適宜変更できる。例えば、ロードポート4が窒素ガスパージユニット27を備えておらず、ガスの注入及び排出の動作ステップがなくても良い。また、フレーム22の前後方向の大きさを、載置トレイ23が回転位置にあるときでもフレーム22から前方に突出しない程度に大きくしても良い。さらに、FOUP300が載置される載置部は、載置トレイ23に限られない。例えば、前述の特許文献2(特許第4168724号公報)に記載されるような平面視で三角形状のものでも良く、FOUP300が載置されるものであれば良い。
【0076】
回転機構24の構成は本実施形態のものに限られず、載置トレイ23を鉛直軸周りに回転させることができれば良い。また、移動機構25の構成も本実施形態のものに限られず、載置トレイ23を3つの位置の間で前後方向に移動させることができれば良い。センサ26は、例えば超音波検知器などでも良い。
【0077】
(4)移動機構25が載置トレイ23を回転位置に移動させるよりも前に、回転機構24が載置トレイ23を回転させ始めても良い。すなわち、FOUP300がドア31やベース20に衝突しないようなタイミングで、回転機構24が載置トレイ23を回転させている最中に、移動機構25が載置トレイ23を前方に移動させても良い。
【0078】
(5)ロードポート4の制御装置29は、必ずしもロードポート4内に組み込まれていなくても良く、基板処理装置2の制御装置10或いはEFEM3の制御装置11がロードポート4の制御に兼用されても良い。
【0079】
(6)その他の構成も適宜変更できる。例えば、EFEM3において、ロードポート4,5の台数は3台に限定されない。また、ロードポート5を全てロードポート4に置き換えても良い。FOUP300に注入されるガスは、窒素以外の不活性ガスでも良い。基板が収容される容器は、FOUP300に限られず、例えば、工場間で基板を輸送するためのFOSB(Front Opening Shipping Box)等でも良い。ロードポート4、5と、搬送室6とを備える搬送システムは、EFEM3に限られず、例えば、複数の容器間で基板の出し入れをするソータ等でも良い。基板を搬送する搬送手段は、搬送ロボット7に限られない。容器を輸送する輸送手段は、OHT400に限られず、予め設置された軌道に沿って容器を輸送するものであれば良い。上記軌道と、搬送室6の前方の隔壁8との前後方向の距離Lは、243mm前後に限られない。
基板を収容する容器が載置される載置部を備えており、前記載置部が、予め設置された軌道に沿って走行し前記容器を輸送する輸送手段との間で前記容器を受渡し可能な受渡位置にあるときに、前記容器を前記輸送手段との間で受渡しするロードポートであって、
立設配置され、開口部を有するベースと、
前記ベースに設けられ、前記開口部を開閉するドア部と、
前記ベースと直交する前後方向において、前記ベースから前方に突設され、前記載置部を支持するフレームと、
前記載置部を鉛直軸周りに回転させる回転機構と、
前記ドア部を後方へ後退させるドア部前後移動機構と、
を備え、
前記ドア部前後移動機構は、前記容器が前記輸送手段によって前記載置部に載置された後に、
前記回転機構が前記載置部を回転させる前に又は回転させている最中に、前記ドア部を後退させることを特徴とするロードポート。