【解決手段】LED照明装置10において、波長範囲が少なくとも450nmから700nmまで連続する発光スペクトルを持つ白色LED11と、少なくとも一つのピークを発光スペクトルに持つ単色LED12と、複数の白色LED11を配置するとともに、この白色LED11の群中において単色LED12を均一に配置する回路基板と、を備える。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1実施形態)
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図1(A)は本発明の第1実施形態に係る植物栽培用のLED照明装置10Aを示す回路図であり、
図1(B)はその他の例のLED照明装置10Bを示す部分回路図である。
【0014】
図1(A)に示すように、LED照明装置10Aは、波長範囲が少なくとも450nmから700nmまで連続する発光スペクトルを持つ白色LED11と、少なくとも一つのピークを発光スペクトルに持つ単色LED12と、複数の白色LED11を配置するとともにこの白色LED11の群中において単色LED12を均一に配置する回路基板(図示略)と、を備えている。
【0015】
白色LED11には、発光効率に優れる一般照明用のものを用いる。前述したように、育成効果を向上させる目的で、この一般照明用の白色LEDよりも色温度が低く且つ高演色で発光する植物栽培用の白色LED(演色値Ra=90前後、色温度3000K前後)が市販されている。しかし、この植物栽培用の白色LEDは、チップの発光効率が悪く、光量が少ないので、積極的に採用する必要はない。
【0016】
単色LED12としては、後述される赤色LED12a、遠赤色LED12b、紫外線LED12c等が挙げられるが、特に限定はない。これら単色LED12を一種類の配置する場合もあるし、二種類以上を組み合わせて配置する場合もある。
【0017】
図1(B)に示すように、LED照明装置10Bにおいて、図示略の回路基板には、少なくとも1つの単色LED12に、個別に通電をON/OFFさせるスイッチ16が設けられている。
【0018】
図1(B)のLED照明装置10Bでは、白色LED11及び単色LED12は、互いに直列に接続され、定電流回路15aに接続されている。そして、
図1(A)のLED照明装置10Aでは、互いに直列に接続された白色LED11及び単色LED12の群が、さらに相互に並列(図示は3列)に接続されて、定電流回路15aに接続されている。
【0019】
ここで、LED照明装置10における白色LED11及び単色LED12の配置は、それぞれの発光が照射面に対して均一に混色するように、全体的にいずれか一方が偏在しないように配置されている。
図1(A)の例示では、白色LED11の二つおきに単色LED12が一つ規則的に配置されているが、この配置に規則性を持たせる必要は特にない。また、
図1(A)では、例示される三つの列の各々が同じ配列をとるが、異なる配列をとってもよい。
【0020】
LED照明装置10は、白色LED11及び単色LED12を実装させた回路基板を透明な円筒に収容し、口金形状や長さ等をそろえることにより、従来の直管蛍光灯と構造的に互換性をもたせることができる。また、LED照明装置10は、白色LED11及び単色LED12を実装させた回路基板を透明な半球体に収容し、口金形状や大きさ等をそろえることにより、従来の白熱電球と構造的に互換性をもたせることができる。白熱電球と互換性をもたせる場合、円形の回路基板に、白色LED11及び単色LED12が面状に配置されることになる。
【0021】
スイッチ16は、
図1(B)のように、通電のON/OFFの対象となる単色LED12に並列接続されている場合は、このスイッチ16が開状態で単色LED12は点灯し、閉状態で単色LED12は消灯する。
【0022】
なお、スイッチ16は、全ての単色LED12に対して設けられる必要はなく、白色LED11の発光に合成させる単色光の調整代に応じて設ければよい。また、スイッチ16は、具体的には、回路基板(図示略)上で、電気的につながっていない配線のプリントパターンに導体を挿入したり抜いたりすることで相互を短絡させたり導通させたりする、ジャンパ等で実現される。もしくは、スイッチ16は、ON/OFFを可逆的に行う機械式のものであっても良い。
【0023】
このように、LED照明装置10を白色LED11及び単色LED12で構成することにより、これらの配置数比を調整することで、発光スペクトルのR/B比(赤/青比)及びR/FR比(赤/遠赤色比)等を最適化することができ、植物の栽培育成効果を向上させることができる。
【0024】
また、スイッチ16が設けられることで、回路基板(図示略)の配線パターンを変更することなく、点灯させる単色LED12の数を容易に変更することができ、発光スペクトルのR/B比及びR/FR比等を最適化することができる。このことは、栽培植物の種類や育成段階によって、R/B比及びR/FR比等の最適条件が異なる場合、製品の設計仕様を大きく変更することなく、スイッチ16の設定のみで最適条件を設定することができる。もしくは、栽培植物の最適条件を探索する実験においても、発光スペクトルの分布を容易に変更することができる。
【0025】
なお第1実施形態に係る植物栽培用のLED照明方法は、上述したLED照明装置10を用いることに限定されない。すなわち、複数が配置されている白色LEDの群中において単色LEDを均一に配置し、この白色LEDから波長範囲が少なくとも450nmから700nmまで連続する発光スペクトルを発光させ、さらに単色LEDから少なくとも一つのピークを発光スペクトルに発光させることにより実施される。
【0026】
(第2実施形態)
次に
図1及び
図2を参照して本発明における第2実施形態について説明する。
図2(A)は第2実施形態に係る植物栽培用のLED照明装置10に適用される、白色LED11及び赤色LED12a(単色LED12)の単体の発光スペクトルを重ね書きしたグラフであり、
図2(B)は白色LED11及び赤色LED12aの発光スペクトルを合成したグラフである。なお、
図2において
図1と関連することは同一符号で示して重複する説明を省略する。
【0027】
第2実施形態に係るLED照明装置10の回路基板には、白色LED11として一般照明用の演色値Ra=80付近、色温度5000Kのチップを選択し、単色LED12として600nmから700nmの波長範囲において中心波長が660nmのピークを有する赤色LED12aのチップを選択している。
【0028】
そして、
図2(B)に示される合成発光スペクトルにおいて、600nmから700nmの赤色波長範囲に存在する赤色LED12a由来のピークトップと、415nmから500nmの青色波長範囲に存在する白色LED11由来のピークトップと、のR/B比が2.5に近づく様に、赤色LED12aの点灯数が調整されている。
【0029】
図7のテーブルの実施例2の列に、第2実施形態に係る植物栽培用のLED照明方法の効果を示す。比較例1として、40型蛍光灯を使用し、レタス、トマト苗、イチゴに対して実施した栽培評価を、100ポイントの基準値で表した。
【0030】
なお、レタスはリーフレタスで行い、トマトはトマト自根苗で行い、生育の判断材料は目視による量感、株幅、葉寸、色等を総合的に判断した。そして、リーフレタスは定植から20日後に判定し、トマト自根苗は播種から19日目に判定した。また、イチゴは「とちおとめ」6株に対し、生育の判断材料は葉柄長、果実数、果実重等を総合的に判断し、定植から1か月目に判定した。
【0031】
その結果、第2実施形態(実施例2)の評価は、レタスが120ポイント、トマトが40ポイント、イチゴが120ポイントであった。
【0032】
(第3実施形態)
次に
図1及び
図3を参照して本発明における第3実施形態について説明する。
図3(A)は第3実施形態に係る植物栽培用のLED照明装置に適用される、白色LED11、赤色LED12a(単色LED12)及び遠赤色LED12b(単色LED12)の単体の発光スペクトルを重ね書きしたグラフであり、
図3(B)は白色LED11、赤色LED12a及び遠赤色LED12bの発光スペクトルを合成したグラフである。なお、
図3において
図1及び
図2と関連することは同一符号で示して重複する説明を省略する。
【0033】
第3実施形態に係るLED照明装置10の回路基板には、白色LED11と、単色LED12として赤色LED12aと、単色LED12として700nmから800nmの波長範囲において中心波長が735nmのピークを有する遠赤色LED12bと、が配置されている。
【0034】
そして、
図3(B)に示される合成発光スペクトルにおいて、R/B比(=2.5)は、
図2(B)の状態を維持しつつ、赤色LED12a由来のピークトップと700nmから800nmの遠赤色波長範囲に存在する遠赤色LED12b由来のピークトップとのR/FR比が5に近づく様に、遠赤色LED12bの点灯数が調整されている。
【0035】
図7のテーブルの実施例3の列に、第3実施形態に係る植物栽培用のLED照明方法の効果を示す。その結果、第3実施形態(実施例3)の評価は、レタスが150ポイント、トマトが50ポイント、イチゴが130ポイントであった。
【0036】
(第4実施形態)
次に
図1及び
図4を参照して本発明における第4実施形態について説明する。
図4(A)は第4実施形態に係る植物栽培用のLED照明装置10に適用される、白色LED11及び紫外線LED12c(単色LED12)の単体の発光スペクトルを重ね書きしたグラフであり、
図4(B)は白色LED11及び紫外線LED12cの発光スペクトルを合成したグラフである。なお、
図4において
図1〜
図3と関連することは同一符号で示して重複する説明を省略する。
【0037】
第4実施形態に係るLED照明装置10の回路基板には、白色LED11と、単色LED12として350nmから425nmの波長範囲において中心波長が395nmのピークを有する紫外線LED12cと、が配置されている。
【0038】
そして、
図4(B)に示される合成発光スペクトルにおいて、350nmから425nmの紫外線波長範囲に紫外線LED12c由来のピークトップと415nmから500nmの青色波長範囲に存在する白色LED11由来のピークトップとのUVA/B比が1に近づく様に、紫外線LED12cの点灯数が調整されている。
【0039】
図7のテーブルの実施例4の列に、第4実施形態に係る植物栽培用のLED照明方法の効果を示す。その結果、第4実施形態(実施例4)の評価は、レタスが100ポイント、トマト苗が100ポイント、イチゴが150ポイントであった。
【0040】
(第5実施形態)
次に
図1及び
図5を参照して本発明における第5実施形態について説明する。
図5(A)は第5実施形態に係る植物栽培用のLED照明装置10に適用される、白色LED11、赤色LED12a(単色LED12)及び紫外線LED12c(単色LED12)の単体の発光スペクトルを重ね書きしたグラフであり、
図5(B)は白色LED11、赤色LED12a及び紫外線LED12cの発光スペクトルを合成したグラフである。なお、
図5において
図1〜
図4と関連することは同一符号で示して重複する説明を省略する。
【0041】
第5実施形態に係るLED照明装置10の回路基板には、白色LED11と、単色LED12として赤色LED12a及び紫外線LED12cと、が配置されている。
【0042】
そして、
図5(B)に示される合成発光スペクトルにおいて、R/B比(=2.5)は
図2(B)と同じ状態、さらにUVA/B比(=1)は
図4(B)と同じ状態となるように赤色LED12a及び紫外線LED12cの点灯数が調整されている。
【0043】
図7のテーブルの実施例5の列に、第5実施形態に係る植物栽培用のLED照明方法の効果を示す。その結果、第5実施形態(実施例5)の評価は、レタスが120ポイント、トマト苗が110ポイント、イチゴが170ポイントであった。
【0044】
(第6実施形態)
次に
図1及び
図6を参照して本発明における第6実施形態について説明する。
図6(A)は第6実施形態に係る植物栽培用のLED照明装置10に適用される、白色LED11、赤色LED12a(単色LED12)、遠赤色LED12b(単色LED12)及び紫外線LED12c(単色LED12)の単体の発光スペクトルを重ね書きしたグラフであり、
図6(B)は白色LED11、赤色LED12a、遠赤色LED12b及び紫外線LED12cの発光スペクトルを合成したグラフである。なお、
図6において
図1〜
図5と関連することは同一符号で示して重複する説明を省略する。
【0045】
第6実施形態に係るLED照明装置10の回路基板には、白色LED11と、単色LED12として赤色LED12a、遠赤色LED12b及び紫外線LED12cと、が配置されている。
【0046】
そして、
図6(B)に示される合成発光スペクトルにおいて、R/B比(=2.5)は
図2(B)と同じ状態、R/FR比(=5)は
図3(B)と同じ状態、さらにUVA/B比(=1)は
図4(B)と同じ状態となるように赤色LED12a、遠赤色LED12b及び紫外線LED12cの点灯数が調整されている。
【0047】
図7のテーブルの実施例6の列に、第6実施形態に係る植物栽培用のLED照明方法の効果を示す。その結果、第6実施形態(実施例6)の評価は、レタスが150ポイント、トマト苗が130ポイント、イチゴが200ポイントであった。
【0048】
以上説明した通り、各実施形態に係る植物栽培用のLED照明装置を用いて、レタスなどの葉菜類、トマトやイチゴなどの果菜類に対する効果の有効性を確認した。その他、キク類、シソ類、ギキョウ類などの電照栽培用としての効果の有効性も確認している。