走行機体への装着用装着部を設けた主フレーム11と、水平状に折り畳んだ収納状態と伸張状態との選択可能であるとともに中間部で前後方向に回動可能な伸縮手段41と、伸縮手段41を鉛直軸周りに回動可能なマストフレーム21と、伸縮手段41は前後方向への回動駆動させる前後回動シリンダ(第3シリンダ)417と、マストフレーム21は回動駆動させる水平回動シリンダ212と、を備え、前後回動シリンダ(第3シリンダ)417と水平回動シリンダ212はバイパス回路aによって接続されている、草刈作業機。
作業部に障害物が衝突して作業部が退避状態に移行する場合は、水平回動シリンダのストロークが短縮し、水平回動シリンダのロッド側室内に流体を引き込み、水平回動シリンダのボトム側室内から流体を押し出す方向に水平回動シリンダのシリンダが移動し、水平回動シリンダのロッド側室内にタンクから流体を引き込み、水平回動シリンダのボトム側室内の流体をタンクに押し出し、
作業部を退避状態から通常状態に復元する場合であって、作業部に外力を加えて行う場合は、水平回動シリンダのストロークを強制的に伸長させて、水平回動シリンダのロッド側室内から流体を押し出し、水平回動シリンダのボトム側室内に流体を引き込み、ロッド側室内の流体をタンクに押し出し、ボトム側室内にタンクから流体を引き込み、
作業部を退避状態から通常状態に復元する場合であって、水平回動シリンダの動作によって行なう場合は、
流体圧発生源で発生した流体を、接続点、バイパス回路から水平回動シリンダのボトム側室内に引き込み、前後回動シリンダのロッド側室内から流体をタンクに押し出し、水平回動シリンダのストロークエンド方向にシリンダを伸長させて、
水平回動シリンダのシリンダがストロークエンドに到達後は、前後回動シリンダのボトム側室内に流体圧発生源で発生した流体を引き込み、前後回動シリンダのロッド側室内から流体をタンクに押出し、前後回動シリンダのストロークエンド方向にシリンダを伸長させて、
前後回動シリンダのボトム側室内への流体の流入が、限界となり、水平回動シリンダのシリンダ及び前後回動シリンダのシリンダが共にストロークエンドに到達後は、流体は前後回動シリンダのボトム側室内及び水平回動シリンダのボトム側室内へ流入をせずに、接続点から、バイパス回路に流入し、バイパス回路の流体は、直接タンクに流入し、水平回動シリンダ及び前後回動シリンダを伸長させ、マストフレームを通常位置側に回動させ、マストフレームを通常位置に復帰させる、
ことを特徴とした請求項2記載の草刈作業機。
前記マストフレームは回動位置によって通常位置及び退避位置を設け、退避位置から通常位置に復帰させる場合、前記水平回動シリンダが動作して前記バイパス回路内の圧力が高まった後に前記前後回動シリンダが動作する、
ことを特徴とした請求項1乃至6のいずれかに記載の草刈作業機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の草刈装置は、回動を規制及び解除する安全装置と共にシリンダを配置する必要があり、コスト高であるという課題を持つ。また、安全装置は第2アームの中間部にあるため、第2アーム自体(特に中間部から上部)及び第1アームに負荷が加わったときに回避動作が取れない課題がある。
【0007】
特許文献2に記載の草刈機は、回避動作後のアーム部を基の位置に復帰させるために、作業部を設置させたままトラクタを後退させる必要がある。このため、トラクタ及び草刈機を操作する作業者にとっては、操作及びこの手順が煩雑となり、操作難易度が高いという課題がある。
【0008】
特許文献3記載の「メインフレ−ムの緩衝装置」の回路構成は、緩衝用油圧シリンダ16と昇降用油圧シリンダ7が直結状態であるため、作業部であるモア10に後方に向かう力がかかると、即上昇してしまう。この場合、特にモア10の上方や、ア−ム6の上方にも作業上の障害物となるものがある場合は、これと衝突してしまう危険がある。
【0009】
例えば、軒下や太陽光パネルの下等での作業で上方に余裕がない状態だと、不意に上昇してしまうと上方の物体に衝突する問題がある。また、この機構は、障害物と衝突してアーム6が上昇すると、例えば切り株のような作業部であるモア10程度の高さの障害物に対しては、この障害物に乗り上げることになってしまう。このため、最初の側方からの衝突時以外にもモア10が上方から障害物に接触することになるので、障害物又は作業部(モア10)を保護したい場合には、不都合が生じる。
【0010】
特許文献4、特許文献5記載発明は、シリンダを操作する専用の制御バルブ(方向制御弁)を設置しており、また、制御バルブとシリンダをつなぐ回路に、他のシリンダを短絡させるバイパス回路を設けるものではない。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明は、
走行機体への装着用装着部を設けた主フレームと、
水平状に折り畳んだ収納状態と伸張状態との選択可能であるとともに中間部で前後方向に回動可能な伸縮手段と、
伸縮手段を鉛直軸周りに回動可能なマストフレームと、
伸縮手段は前後方向への回動駆動させる前後回動シリンダと、
マストフレームは回動駆動させる水平回動シリンダと、を備え、
前記前後回動シリンダと前記水平回動シリンダはバイパス回路によって接続されていて、前記バイパス回路は、前記水平回動シリンダへの流体の流入が停止した後に、前記前後回動シリンダへ流体を流入させることが可能である、
ことを特徴とした草刈作業機、
に係る。
【0012】
この発明は、
走行機体への装着用装着部を設けた主フレームと、
水平状に折り畳んだ収納状態と伸張状態との選択可能であるとともに中間部で前後方向に回動可能な伸縮手段と、
伸縮手段を鉛直軸周りに回動可能なマストフレームと、
伸縮手段を前後方向に、ストロークの伸縮によって回動駆動させる前後回動シリンダと、
マストフレームは、マストフレームをストロークの伸縮によって回動駆動させる水平回動シリンダと、を備え、
前後回動シリンダと水平回動シリンダはバイパス回路によって接続されているとともに、
水平回動シリンダは、ロッド側室内とボトム側室内とを有し、ボトム側室内に流体を引き込みロッド側室内から流体を押し出すとストロークはストロークエンド方向に伸長し、ストロークが短縮するとボトム側室内から流体を押し出しロッド側室内に流体を引き込み、
前後回動シリンダは、ロッド側室内とボトム側室内とを有し、ストロークをストロークエンド方向に伸長するとボトム側室内に流体を引き込みロッド側室内から流体を押し出し、ストロークが短縮するとボトム側室内から流体を押し出しロッド側室内に流体を引き込み、
水平回動シリンダのロッド側室内はタンクと接続し、
水平回動シリンダのボトム側室内は分岐して、一方はタンクに接続し、他方はバイパス回路の一端に接続し、
バイパス回路の他端は、接続点に接続し、
接続点で分岐した回路の一方は、前後回動シリンダのボトム側室内から接続点方向への流体の移動を抑圧可能なチェック弁を介して前後回動シリンダのボトム側室内に接続し、
接続点で分岐した他方の回路は、流体圧発生源を介してタンクに接続し、
前後回動シリンダのロッド側室内は、前後回動シリンダのロッド側室内からタンク方向への流体の移動を抑圧可能なチェック弁を介してタンクに接続し、
水平回動シリンダと前後回動シリンダとに流体を流しても、水平回動シリンダが優先して流体を流す、
ことを特徴とした草刈作業機、
に係る。
【0013】
この発明は、更に、
作業部に障害物が衝突して作業部が退避状態に移行する場合は、水平回動シリンダのストロークが短縮し、水平回動シリンダのロッド側室内に流体を引き込み、水平回動シリンダのボトム側室内から流体を押し出す方向に水平回動シリンダのシリンダが移動し、水平回動シリンダのロッド側室内にタンクから流体を引き込み、水平回動シリンダのボトム側室内の流体をタンクに押し出し、
作業部を退避状態から通常状態に復元する場合であって、作業部に外力を加えて行う場合は、水平回動シリンダのストロークを強制的に伸長させて、水平回動シリンダのロッド側室内から流体を押し出し、水平回動シリンダのボトム側室内に流体を引き込み、ロッド側室内の流体をタンクに押し出し、ボトム側室内にタンクから流体を引き込み、
作業部を退避状態から通常状態に復元する場合であって、水平回動シリンダの動作によって行なう場合は、
流体圧発生源で発生した流体を、接続点、バイパス回路から水平回動シリンダのボトム側室内に引き込み、前後回動シリンダのロッド側室内から流体をタンクに押し出し、水平回動シリンダのストロークエンド方向にシリンダを伸長させて、
水平回動シリンダのシリンダがストロークエンドに到達後は、前後回動シリンダのボトム側室内に流体圧発生源で発生した流体を引き込み、前後回動シリンダのロッド側室内から流体をタンクに押出し、前後回動シリンダのストロークエンド方向にシリンダを伸長させて、
前後回動シリンダのボトム側室内への流体の流入が、限界となり、水平回動シリンダのシリンダ及び前後回動シリンダのシリンダが共にストロークエンドに到達後は、流体は前後回動シリンダのボトム側室内及び水平回動シリンダのボトム側室内へ流入をせずに、接続点から、バイパス回路に流入し、バイパス回路の流体は、直接タンクに流入し、水平回動シリンダ及び前後回動シリンダを伸長させ、マストフレームを通常位置側に回動させ、マストフレームを通常位置に復帰させる、
ことを特徴とした草刈作業機、
に係る。
【0014】
この発明は、更に、
前記水平回動シリンダが前記マストフレームを回動させるために必要な推力は、前記前後回動シリンダが前記伸縮手段を前後回動させるために必要な推力より小さい、
草刈作業機、
に係る。
【0015】
この発明は、更に、
前記前後回動シリンダにはダブルパイロットチェック弁を近接して設け、
前記バイパス回路は前記ダブルパイロットチェック弁より流体圧発生源側に接続している、
ことを特徴とした草刈作業機、
に係る。
【0016】
この発明は、更に、
前記水平回動シリンダは、前記前後回動シリンダを動作させる操作部を操作することで駆動が可能である、
ことを特徴とした草刈作業機、
に係る。
【0017】
この発明は、更に、
前記マストフレームは回動位置によって通常位置及び退避位置を設け、退避位置から通常位置に復帰させる場合、前記水平回動シリンダが動作して前記バイパス回路内の圧力が高まった後に前記前後回動シリンダが動作する、
ことを特徴とした草刈作業機、
に係る。
【0018】
この発明は、更に、
前記前後回動シリンダの伸縮は第1リリーフ弁を有した方向制御弁によって制御され、
前記水平回動シリンダ及びタンクを接続する回路中に第2リリーフ弁を備え、
前記第2リリーフ弁の設定圧力は、第1リリーフ弁の設定圧力より低い、
ことを特徴とした草刈作業機、
に係る。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、障害物に衝突しても上下方向への移動がないので、作業部やブーム上方の物体等を気にする必要がない。また、水平回動シリンダを単独で動かす(元の位置に復帰させる)ことができるので、作業者の意図とは別に動くこと(上下方向に作業部が動くこと)がなく、作業者は意図したとおりに作業部やブームを動作可能となっている。
また、本発明は、障害物と作業部の接触は、最初の側面からの衝突のみで、作業部が後方に退避する構造である。衝突後の作業部は、作業者の意思によって元の位置に復帰させるので、不意に障害物や作業部及びその他の部材等を損傷させる恐れがない。
本発明は、機体の構成を簡易な構成としながらも、作業者にとって取扱性の良い作業機を提供することを目的とする。
【発明を実施するための形態】
【0021】
この発明に係る作業機の実施例の機械構造について、
図1乃至
図5に基づき説明する。
Aは、作業機である。作業機Aは、この発明の第1実施例では、草刈等の作業を行う作業機に係る。作業機Aは、トラクタ等からなる走行機体Bの装着用装着部111、112に取り付け駆動する。
トラクタ等からなる走行機体Bは、第1実施例では、
図1、
図3、に図示する作業機Aの奥側、
図2、
図4に図示する作業機Aの上方、
図5に図示する作業機Aの右側に位置する。
【0022】
11は、主フレームである。主フレーム11は、作業機Aに取り付ける。主フレーム11には、図示するように走行機体Bへの装着用の装着部111、112を設ける。2個の111は下部に設ける装着部(ロア)、112は上部に設ける装着部(トップ)であり、3点で作業機Aを走行機体Bに装着する。
操作部(図示せず)は、走行機体Bに設け、後述する方向制御弁25を操作する。
図1、
図3等に図示する22は、入力軸である。入力軸22は、取り付ける走行機体Bから駆動力を作業機Aに取り入れる。
図1、
図3等に図示する23は、変速部である。変速部23では、入力軸22により走行機体Bから入力した駆動力を変速する。
【0023】
図1、
図3等に図示する24は、流体圧発生源である油圧ポンプである。油圧ポンプ24は、入力軸22により走行機体Bから入力し、変速機23で変速した駆動力により、駆動する。油圧ポンプ24により、作業機Aの油圧で作動する油圧機器関係に油圧を配送する。
図1、
図7以下に図示する25は、方向制御弁であるバルブユニットである。バルブユニット25では、油圧の流れを切換制御する。
【0024】
図1等に図示する21は、マストフレームである。マストフレーム21は、作業機Aの、主フレーム11の進行方向左右に対する一端部あるいは中央部に設ける。マストフレーム21は、伸縮手段41を、水平方向へ回動可能である。マストフレーム21は、伸縮手段41を鉛直軸周りに回動可能である。この実施例において、一端側を支点に回動するマストフレーム21は、マストフレーム21の他端側を進行方向と直交する方向に位置させた時を通常位置及び通常状態、通常位置より後方側にマストフレーム21の他端側を回動させた時は退避位置及び退避状態としている。
211は、マストフレーム回動軸である。マストフレーム21は、マストフレーム回動軸211によって、主フレーム11に回動自在に取り付ける。
【0025】
212は、水平回動シリンダ(マストフレーム回動軸用シリンダ)である。水平回動シリンダであるマストフレーム回動軸用シリンダ212は、油圧シリンダからなり油圧により伸縮する。
水平回動シリンダ212は、一端を主フレーム11に取り付け、他端はマストフレーム21に取り付ける。そのため、ストロークの移動によって水平回動シリンダ212を伸縮して、主フレーム11に対して、マストフレーム21を回動駆動する。
【0026】
31は、タンクであり、この実施例では、オイルタンクである。第1実施例では、オイルタンク31は、作業機Aの進行方向左右に対する主フレーム11の他端部に設ける。草刈機Aに使用される各シリンダは油圧シリンダであるため、オイルタンク31は各オイルシリンダ駆動用のオイルを貯蔵する。
オイルタンク31の前端部は、主フレーム11の前端部とほぼ同じ、あるいは、主フレーム11の前端部よりやや後方に位置する。
【0027】
41は、伸縮手段である。伸縮手段41は、
図1及び
図2に図示するように、作業部51に伸縮手段41を折り畳んで主フレーム11上に作業部51を位置させた格納状態と、
図3乃至
図5に図示する伸縮手段41を伸展させて、主フレーム11より進行方向に対する側方に位置させた作業部51の作業状態を取らせる。
伸縮手段41は、第1ブーム411、第1連結体412、第2ブーム413、第2連結体414、第1シリンダ415、第2シリンダ416、第3シリンダ417、第4シリンダ418を有する。
【0028】
第1ブーム411は、マストフレーム21に一端部を連結し、上下方向へ回動可能に設ける。
第1連結体412は、第1ブーム411の他端側の先端部に一端部を連結し、上下方向へ回動可能に設ける。
第2ブーム413は、第1連結体412の他端側の先端部に一端部を連結し、マストフレーム21が通常位置において、進行方向に対して前後方向へ回動可能に設ける。
第2連結体414は、第2ブーム413の他端側の先端部に一端部を設け、マストフレーム21が通常位置において、第1連結体412に対して前後方向へ並行に移動可能である。
【0029】
第1シリンダ415は、油圧シリンダからなり、マストフレーム21と第1ブーム411とを、マストフレーム21と第1ブーム411を連結させたリンク機構42を介して連結する。第1シリンダ415は、第1ブーム411回動用であり、第1ブーム411に設け、伸縮すると同時に第1ブーム411共に回動して第1ブーム411を上下回動させる。
第1ブーム411は上下回動自在に、第1ブーム回動軸411Aを回動中心として回動自在にマストフレーム21に連結される。
【0030】
第2シリンダ416は、油圧シリンダからなり、第1ブーム411と第1連結体412の他端側とを連結する。第2シリンダ416は、第1連結体412の上下回動用である。
第3シリンダ417は、前後回動シリンダであって、油圧シリンダからなり、第1連結体412と第2ブーム413とを連結する。第3シリンダ417は、第2ブーム413の第1ブーム411に対する前後回動用である。第3シリンダ(前後回動シリンダ)417は、ストロークの伸縮により、マストフレーム21が通常位置において、伸縮手段41を前後方向へ回動駆動させる。
【0031】
第4シリンダ418は、油圧シリンダからなり、第2連結体414と作業部51とを連結する。第4シリンダ418は、作業部51の上下回動用である。
第1シリンダ415、第2シリンダ416、第3シリンダ(前後回動シリンダ)417、第4シリンダ418の各シリンダは、それぞれ、ロッド側室内とボトム側室内とを有する。
419は、ロッドである。ロッド419は、第2ブーム413と共に平行リンクを形成する。ロッド419によって、第2連結体414は第1連結体412に対して進行方向における左右方向に角度を変えることなく、前後方向に並行して移動が可能である。
【0032】
51は、作業部である。作業部51は、第2連結体414の他端側の先端部且つ第2連結体414の進行方向に対する前方側に設ける。作業部51は、更に、第2連結体414に対して上下方向へ回動可能に設ける。
作業部51は、この第1実施例では、マストフレーム21が通常位置において、進行方向と直交する方向に向けた回転軸512に複数の刃部を配置し、これを回転駆動させることで草刈等の作業を行う。ただし、作業目的や作業部51の構造は開示した実施例に限定はされない。
作業部51が格納姿勢である第1ブーム411及び第2ブーム413のそれぞれがほぼ水平状態をとって折り畳んだ場合、第1ブーム411及び第1連結体412及び第2ブーム413及び第2連結体414はオイルタンク31の上方に位置する。より詳細に説明すると、マストフレーム21は前方側に回動した状態の通常状態に位置させ、オイルタンク31の直上には、第1ブーム411の他端部、第2ブーム413の一端部、第2連結体414が位置する。
【0033】
作業部51が格納姿勢をとったとき、作業部51の前端部は主フレーム11の上方に位置し、作業部51の前端部が装着部(ロア)111、装着部(トップ)112より後方で、且つ、第1シリンダはオイルタンク31の上方に位置させる。
作業部51が、格納姿勢をとったとき、
図1及び
図2に図示するように、第1ブーム411の長手方向及び第2ブーム413の長手方向は、ほぼ水平で進行方向と直交する方向に向けられ、且つ、第2ブーム413の長手方向は第1ブーム411の長手方向に対して前後方向に傾斜している。より詳細には、第2ブーム413は、他端側に向かうにつれて他端を進行方向の後方に位置するように第1ブーム411に対して傾斜させている。
【0034】
作業部51は進行方向と平行の向きに作業部51の回動軸である回動軸511を備える。作業部51の格納姿勢において、回動軸511は第1ブーム411の第1ブーム回動軸411Aと平行に配置する。回動軸511は軸方向を進行方向に対する前後方向に向けていて、マストフレーム21の回動と共に水平方向にマストフレーム回動軸211を軸にして回動することができる。回動軸511は、第2連結体414によって、マストフレーム21が後方側に回動したときの退避状態を除き、作業部の展開状態及び格納状態に関わらず、常時前後方向を向いている。
伸縮手段41を伸長させて作業部51を走行機体Bの側方部に展開させた展開姿勢の場合、
図4に示す通常の作業状態である通常状態と、
図5に示すように作業部51が障害物J等に当接し、作業部51及び伸縮手段41と共にマストフレーム21が後方に回動する退避状態を取ることができる。
【0035】
展開姿勢における通常状態は、マストフレーム21が前方に回動した状態であるため、マストフレーム21に連結した伸縮手段41の第1ブーム411は、平面視において、走行機体の進行方向と直交する側方に展開する。第1ブーム411は、マストフレーム21側を支点に上下方向に回動可能である。展開姿勢での通常状態において、第2ブーム413は第1連結体412に連結した一端側を支点にして、下方に位置する他端側を前後方向に回動できる。第2ブーム413の他端側に位置する作業部51は、展開姿勢での通常状態において、第2ブーム413の前後動に伴って、進行方向に対する左右方向の角度を変えずに、前後に移動可能である。
【0036】
展開姿勢における退避状態は、走行機体Bの進行に伴って、作業部51の前方部に障害物J等が当接すると、作業部51は障害物Jによって相対的に走行機体Bの後方側に押される。作業部51は伸縮手段41を介してマストフレーム21に連結しているので、伸縮手段41と共にマストフレーム21を後方に回動させるように構成している。このように構成することによって、作業機A及び走行機体B及び障害物Jの損傷を抑制することができる。
作業部51の格納状態のとき、
図1に図示するように、第1ブーム411、第1連結体412、第2ブーム413、第2連結体414はオイルタンク31の上方に位置させることで、作業部51あるいはオイルタンク31が走行機体Bの側方から突出することを防ぐ。
第1ブーム411及び第2ブーム413の長さを走行機体Bの幅一杯に使用できるので、側方へ展開したときの最大長さを可能な限り大きくできる。
【0037】
この発明の実施例に係る油圧回路について、
図6乃至
図12に従って説明する。
aはバイパス回路、bはダブルパイロットチェック弁、cは第1リリーフ弁、dは第2リリーフ弁、eはスローリターンチェック弁、e1はスローリターンチェック弁eの絞り弁、e2はスローリターンチェック弁eのチェック弁(逆止弁)、fは可変絞り式スローリターンチェック弁、f1は可変絞り式スローリターンチェック弁fの可変絞り弁、f2は可変絞り式スローリターンチェック弁fのチェック弁(逆止弁)、gは逆止弁であるチェック弁である。a1は、接続点である。
【0038】
方向制御弁25は、方向制御弁(第1)251、方向制御弁(第2)252は、方向制御弁(第3)253、方向制御弁(第4)254で構成する。第1リリーフ弁cは、方向制御弁25に設ける。第1リリーフ弁cは、設定圧で自動的に開き、圧力を下げる機能を備る。第1リリーフ弁cは、方向制御弁25内の回路内の流体に異常圧力が発生した時の圧力の逃がしあるいは、安全リリーフバルブである。
水平回動シリンダ(マストフレーム回動軸用シリンダ)212は、ロッド側室内212bとボトム側室内212aとを有する。水平回動シリンダ212のロッド側室内212bはタンク(オイルタンク)31と接続する。ロッド側室内212bとタンク(オイルタンク)31とを接続する油圧回路中に、スローリターンチェック弁eを設ける。
【0039】
スローリターンチェック弁eは、絞り弁e1にチェック弁e2を組込んだもので、一方向の流量を小さく絞って制限し、逆方向の流れを自由に通過させることができる。実施例において、ロッド側室内212bからタンク(オイルタンク)31へ向かう側への流体の流れは絞り弁e1によって制限して行い、タンク(オイルタンク)31からロッド側室内212bへ向かう流れは、チェック弁e2によって制限なく行うことができるように構成している。
【0040】
可変絞り式スローリターンチェック弁fは、可変絞り弁f1に、チェック弁f2を組込んだもので、一方向の流量を可変絞り弁f1によって無段階に絞って調整することが可能で、逆方向の流れをチェック弁f2によって自由に通過させることができる。実施例において、作業機Aを用いた作業時は、可変絞り弁f1は常時閉じている。つまり、ボトム側室内212aからタンク(オイルタンク)31へ向かう側への流体の流れは、可変絞り弁f1とチェック弁f2によって遮られ、タンク(オイルタンク)31からボトム側室内212aへ向かう流れは、制限なく行うことができるように構成している。
可変絞り弁f1は、作業時以外のメンテナンス時に開状態とすることで、回路内の流体に高い圧力をかけずとも、自由にボトム側室内212a及びロッド側室内212bに流体を流入させて、水平回動シリンダ212を伸縮させることができる。つまり、マストフレーム21を自由に回動させることができる。
【0041】
水平回動シリンダ212のボトム側室内212aから出た油圧回路は分岐して、一方はタンク31に接続し、他方はバイパス回路aの一端に、水平回動シリンダ212のボトム側室内212aから接続点a1方向への流体の移動を抑圧可能であるチェック弁gを介して、接続する。バイパス回路aの他端は、接続点a1に接続する。
水平回動シリンダ212のボトム側室内212aから出て、分岐した油圧回路の一方に、第2リリーフ弁dを設ける。つまり、ボトム側室内212aは、可変絞り式スローリターンチェック弁fと第2リリーフ弁dを介して、タンク31と接続している。
【0042】
図8に図示するように、油圧等の流体は、可変絞り式スローリターンチェック弁fのチェック弁f2側を通って、タンク31から流量の規制なくボトム側室内212aに送られる。
ボトム側室内212aの接続回路を分岐した油圧回路の一方である、水平回動シリンダ212及びタンク31を接続する回路中に、第2リリーフ弁dを備える。第2リリーフ弁dは、ボトム側室内212a及びボトム側室内212aに接続する回路で発生した油圧を、設定圧で自動的に開き、タンク31側に流体を流して圧力を下げる機能を備る。水平回動シリンダ212のボトム側室内212aの接続回路に接続する回路内の流体に異常圧力が発生した時の圧力の逃がしあるいは、安全リリーフバルブである。
【0043】
第2リリーフ弁dは、ボトム側室内212a側の回路から、タンク31に設定圧力による弁の開放によって、流体を流すことができるが、タンク31から第2リリーフ弁dを介して、ボトム側室内212a側へ向かうように流体を移動させることはできない。
水平回動シリンダ212のボトム側室内212aに、油圧等の流体を引き込み、水平回動シリンダ212のロッド側室内212bから流体を押し出すと、ストロークはストロークエンド方向に伸長し、ストロークの移動によってストロークが短縮するとボトム側室内から流体を押し出しロッド側室内212bに流体を引き込む。ストロークの移動によって水平回動シリンダ212を伸縮して、主フレーム11に対して、マストフレーム21を回動駆動する。
【0044】
タンク(オイルタンク)31から、油圧ポンプである流体圧発生源24を介して、方向制御弁25に接続する。方向制御弁25内では、方向制御弁(第4)254、方向制御弁(第3)253、方向制御弁(第2)252、方向制御弁(第1)251に順次接続する。
方向制御弁25内の、方向制御弁(第4)254、方向制御弁(第3)253、方向制御弁(第2)252、方向制御弁(第1)251は、それぞれ、第1シリンダ415、第2シリンダ416、前後回動シリンダである第3シリンダ417、第4シリンダ418と、操作部による操作がない場合において、それぞれの方向制御弁251,252,253,254へ流入した流体をタンク(オイルタンク)31に戻すアンロード回路(無負荷回路)hに接続する。
【0045】
第1リリーフ弁cの一端は、それぞれの方向制御弁251,252,253,254からタンク(オイルタンク)31側に戻す方向制御弁251,252,253,254に設けたアンロード回路hと、前記それぞれの方向制御弁251,252,253,254から第1リリーフ弁c側に流体の流入を抑制可能であるチェック弁251a,252a,253a,254aを介して方向制御弁251,252,253,254に接続する。第1リリーフ弁cの他端は、タンク(オイルタンク)31に接続する。
【0046】
図6乃至
図12に図示するように、第1シリンダ415は、ロッド側室内415bとボトム側室内415aとを有する。
第2シリンダ416は、ロッド側室内416bとボトム側室内416aとを有する。
前後回動シリンダ(第3シリンダ)417は、ロッド側室内417bとボトム側室内417aとを有する。第4シリンダ418のロッド側室内418bとボトム側室内418aとを有する。
【0047】
方向制御弁(第1)251は、第1シリンダ415のロッド側室内415bとボトム側室内415aとにそれぞれ接続する。方向制御弁(第2)252は、第2シリンダ416のロッド側室内416bとボトム側室内416aとにそれぞれ接続する。方向制御弁(第3)253は、第3シリンダ417(前後回動シリンダ417)のロッド側室内とボトム側室内とにそれぞれ接続する。方向制御弁(第4)254は、第4シリンダ418のロッド側室内418bとボトム側室内418aとにそれぞれ接続する。
【0048】
方向制御弁(第1)251は、方向制御弁(第1)251から第1シリンダ415へ向かう回路と、方向制御弁(第1)251からタンク(オイルタンク)31に向かう回路を接続可能に構成している。この実施例において、方向制御弁(第1)251が操作されない場合においても、第1シリンダ415のロッド側室内415bは方向制御弁(第1)251内で分岐した一方の回路によってタンク(オイルタンク)31に接続する。分岐した他方の回路は、ボトム側室内415aと接続していて、ボトム側室内415aとロッド側室内415bは接続状態である。
【0049】
方向制御弁(第2)252は、方向制御弁(第2)252から第2シリンダ416へ向かう回路と、方向制御弁(第2)252からタンク(オイルタンク)31に向かう回路を接続可能に構成している。方向制御弁(第3)253は、方向制御弁(第3)253から第3シリンダ417へ向かう回路と、方向制御弁(第3)253からタンク(オイルタンク)31に向かう回路を接続可能に構成している。方向制御弁(第4)254は、方向制御弁(第4)254から第4シリンダ418へ向かう回路と、向制御弁(第4)254からタンク(オイルタンク)31に向かう回路を接続可能に構成している。
【0050】
この実施例の第2シリンダ416乃至第4シリンダ418を制御する方向制御弁252,253,254は、操作部による切替操作がされない場合において、方向制御弁252,253,254から第2シリンダ416乃至第4シリンダ418への流体の流出入ができないように、方向制御弁252,253,254内で回路を遮断する。操作部による切替操作がされると、流体圧発生源24から第2シリンダ416乃至第4シリンダ418への流体の流入、及び、第2シリンダ416乃至第4シリンダ418からタンク(オイルタンク)31への流体の流出が可能に構成する。
また、この実施例で使用する方向制御弁251,252,253,254のそれぞれは、非操作時の中立状態において、流体圧発生源24から常時移送される流体をアンロード回路hによってタンク31に回送する。
【0051】
方向制御弁(第1)251は、方向制御弁(第1)251からアンロード回路hとは異なるタンク31側に向かう回路と、方向制御弁(第1)251から、第1リリーフ弁cの一端端側に流体の流入を抑制可能であるチェック弁251aを介して、第1リリーフ弁c及びアンロード回路hに接続する回路を有する。
方向制御弁(第2)252は、方向制御弁(第2)252からアンロード回路とは異なるタンク31側に向かう回路と、方向制御弁(第2)252から、第1リリーフ弁cの一端端側に流体の流入を抑制可能であるチェック弁252aを介して、第1リリーフ弁c及びアンロード回路に接続する回路を有する。
【0052】
方向制御弁(第3)253は、方向制御弁(第3)253からアンロード回路hとは異なるタンク31側に向かう回路と、方向制御弁(第3)253から、第1リリーフ弁cの一端端側に流体の流入を抑制可能であるチェック弁253aを介して、第1リリーフ弁c及びアンロード回路に接続する回路を有する。
接続点a1は、第3シリンダ417(前後回動シリンダ417)のボトム側室内417aおよびダブルパイロットチェック弁bと、接続した方向制御弁(第3)253の間に設ける。
方向制御弁(第4)254は、方向制御弁(第4)254からアンロード回路hとは異なるタンク31側に向かう回路と、方向制御弁(第4)254から、第1リリーフ弁cの一端端側に流体の流入を抑制可能であるチェック弁254aを介して、第1リリーフ弁c及びアンロード回路に接続する回路を有する。
【0053】
前後回動シリンダ417のロッド側室内417bと、前後回動シリンダ417のボトム側室内417aは、ダブルパイロットチェック弁bを介して、方向制御弁(第3)253にそれぞれ接続する。
前後回動シリンダ417は、ストロークをストロークエンド方向に伸長するとボトム側室内417aに流体を引き込みロッド側室内417bから流体を押し出し、ストロークが短縮するとボトム側室内417aから流体を押し出しロッド側室内417bに流体を引き込む。
前後回動シリンダ(第3シリンダ)417は、ストロークの伸縮により、マストフレーム21が通常状態において、伸縮手段41を構成する第2ブーム413を前後方向へ回動駆動させる。
【0054】
ダブルパイロットチェック弁bに、方向制御弁(第3)253側から油圧等の流体の圧力がかからないと、前後回動シリンダ417のボトム側室内417aに流体は流れない。ダブルパイロットチェック弁bは、逆止弁となっているので、ボトム側室内417a側から圧力がかかっても、方向制御弁(第3)253側に流体は流れない。したがって、第3シリンダ417のストローク長を安定的に維持でき、第2ブーム413の回動位置を安定的に維持できる。
図11に図示するように、方向制御弁(第3)253とダブルパイロットチェック弁b間の油圧回路の流体圧が高まると、ダブルパイロットチェック弁bを開放できる。ダブルパイロットチェック弁bの開放の後、前後回動シリンダ417のボトム側室内417aあるいはロッド側室内417bに流体は流れる。
【0055】
前記前後回動シリンダ417の伸縮は第1リリーフ弁cを有した方向制御弁25によって制御される。
第2リリーフ弁dは、第1リリーフ弁cとは独立して構成している。第1シリンダ415、第2シリンダ416、前後回動シリンダ417、第4シリンダ418は、第1リリーフ弁cを共通して使用しているが、第2リリーフ弁dは、水平回動シリンダ212と前後回動シリンダ417に係る動作のみに機能する。第2リリーフ弁dは、作業部51を前後させる動作に関してのみ機能する。
【0056】
第1シリンダ415、第2シリンダ416、第4シリンダ418に関する回路とは別に、第2リリーフ弁dを独立させて、水平回動シリンダ212と前後回動シリンダ417に関する回路に組み込むので、第1リリーフ弁cとは別の圧力設定を任意に設定できる。このため、第1リリーフ弁cは前後回動シリンダ417と接続しているものの、流体圧力のリリーフ動作は第2リリーフ弁dの圧力設定に依存することになる。
【0057】
この発明の実施例の場合、第2リリーフ弁dの設定圧力は、第1リリーフ弁cの設定圧力より低く設けている。そのため、第2リリーフ弁dは、第1リリーフ弁cより低圧で先に開き、衝突時の水平回動シリンダ212による回避動作を衝突圧力が高まる前の早期に、行うことができる。障害物J等の作業部51への衝突によって、マストフレーム21は作業部51及び伸縮手段41と共に後方側に回動する退避動作をして、マストフレーム21を退避状態にさせる。
また、マストフレーム21が通常状態であっても、第2ブーム413が前後回動シリンダ417によって後方から前進方向に回動する場合、作業部51が障害物Jに衝突しても、第1リリーフ弁cよりも弱い圧力設定の第2リリーフ弁dによって、第2ブーム413、作業部51、障害物Jの損傷を防ぐことができる。
【0058】
前後回動シリンダ417と水平回動シリンダ212はバイパス回路aによって接続されている。
接続点a1で分岐した油圧回路の一方はチェック弁gを介して前後回動シリンダ417のボトム側室内417aに接続する。チェック弁gは水平回動シリンダ212のボトム側室内212aから接続点a1方向への流体の移動を抑圧可能である。
接続点a1で分岐した他方の回路は、方向制御弁253を介してタンク31に接続可能にする。
【0059】
前後回動シリンダ417のロッド側室内417bは、ダブルパイロットチェック弁bを介してタンク31に接続する。該ダブルパイロットチェック弁bは前後回動シリンダ417のロッド側室内417bからタンク31方向への流体の移動を抑圧可能である。
前後回動シリンダ417にはダブルパイロットチェック弁bを近接して設ける。
バイパス回路aは前記ダブルパイロットチェック弁bより流体圧発生源24側に接続している。
【0060】
バイパス回路aは、前後回動シリンダ417にも、水平回動シリンダ212にも接続している。しかし、前後回動シリンダ417のピストン径より水平回動シリンダ212のピストン径が大きく設定し、且つ、マストフレーム21の水平方向への回動に必要なトルクを、作業部51及び第2連結体を接続した第2ブーム414を前後方向に回動させるトルクより小さくしている。
また、水平回動シリンダがマストフレームを垂直軸周りの水平方向に回動させるために必要な推力は、前後回動シリンダが通常状態における伸縮手段を前後回動させるために必要な推力より小さい。
【0061】
そのため、水平回動シリンダ212が優先して伸長動作する。このため、水平回動シリンダ212に優先して流体が流れ、ダブルパイロットチェック弁bに圧力がかからず、前後回動シリンダ417には流体が流れない。
また、
図6〜
図12のように構成した回路において、ダブルパイロットチェック弁bの弁が圧力によって開放されて前後回動シリンダと挿通状態になるときの動作圧力は、水平回動シリンダの動作圧力より高くなるように設定されている。このため、水平回動シリンダ212の伸長動作は、前後回動シリンダの動作よりも優先的かつ安定的に行うことができる。
すなわち、水平回動シリンダ212と前後回動シリンダ417とに同時に流体を流しても、水平回動シリンダ212を優先して流体が流れる。
【0062】
前記マストフレームは回動位置によって通常位置及び退避位置を設け、退避位置から通常位置に復帰させる場合、前記水平回動シリンダ212が動作して前記バイパス回路a内の圧力が高まった後に前記前後回動シリンダ417が動作する。
【0063】
この発明の実施例に係る油圧回路の動作順序について、
図7乃至
図11にしたがって、説明する。
図7に図示する状態は、作業部51に障害物Jが衝突して作業部51が退避状態に移行する場合である。この状態では、作業部51の障害物Jへの衝突によるマストフレーム21の回動により、水平回動シリンダ212のストロークが強制的に短縮する。すると、水平回動シリンダ212のロッド側室内212bに流体を引き込み、水平回動シリンダ212のボトム側室内から流体を押し出す方向に水平回動シリンダ212のシリンダが移動する。水平回動シリンダ212のロッド側室内212bにタンク31から流体を引き込み、水平回動シリンダ212のボトム側室内の流体をタンク31に押し出す。
【0064】
図7を参照して、更に、退避状態に移行する動作順序を説明する。
作業部51に障害物Jが衝突すると、第2ブーム413、第1ブームを介してマストフレーム21が後方にマストフレーム回動軸211を回動中心として、回動しようとする。
図4、
図5に図示する水平回動シリンダ212が、障害物Jと衝突することにより、水平回動シリンダ212のストロークが短縮する方向に外力がかかり、ボトム側室内212aの圧力が高まる。
ボトム側室内212aの圧の高まりにより、第2リリーフ弁dを開放状態にさせる。
【0065】
この時、逆止弁であるチェック弁gは、
図6及び
図7の図中に示すチェック弁gより上側の水平回動シリンダ212側の圧力が高く、閉じたままなので、バイパス回路aに液等、流体は流入しない。
水平回動シリンダ212のボトム側室内212aの流体は、圧力の高まりによって弁を開放した第2リリーフ弁dを通って、タンク31内に押し戻される。
【0066】
水平回動シリンダ212のロッド側室内212bの圧力は低圧状態であるので、(図中低圧状態は太線一点鎖線であらわし、高圧状態は、太線実線であらわす。)タンク31内の流体がスローリターンチェック弁eのチェック弁(逆止弁)e2を解放させる。且つ、このチェック弁(逆止弁)e2を経由して水平回動シリンダ212のロッド側室内212bに入るすなわち吸入される。
すると、マストフレーム21が後方側に回動する。つまり、伸縮手段41は、
図4に示す通常状態から、
図5に示すように、障害物Jに押されて後方に回動した退避状態になる。
【0067】
図8に図示するように、作業部51を退避状態から通常状態に復元する場合であって、作業部51を接地させながら後進で行なう場合、すなわち、作業部51に外力を加えて通常状態に復帰させる場合は、水平回動シリンダ212のストロークを強制的に伸長させる。すると、水平回動シリンダ212のロッド側室内212bから流体を押し出し、水平回動シリンダ212のボトム側室内212aに流体を引き込み、ロッド側室内212bの流体をタンク31に押し出し、ボトム側室内212aにタンク31から流体を引き込む。
【0068】
退避状態から通常状態に復元する場合であって、作業部51に外力を加えて強制的に通常状態に復元する場合の動作順序について
図8を参照して説明する。実施例では、作業部51を接地させながら後進で行なうことによって、作業部51に外力を加えるものとして説明する。
作業部51に外力を加えて行う場合としては、作業部の接地摩擦力によるものと、接地によらず、例えば作業者の手によって戻される場合が想定される。
【0069】
(1)地面に設置させた状態で、作業部51を走行機体B(トラクタ)を後進させる(走行機体Bに対し相対的に作業部51を前進側に強制的に移動させる)と、第2ブーム413、第1ブーム411を介してマストフレーム21を前方に回動する力が働く。
(2)すると、水平回動シリンダ212が伸長する方向に外力がかかり、ロッド側室内212bの圧力が高まる。
(3)ロッド側室内212bの流体は、スローリターンチェック弁eの絞り弁e1側を通ってタンク31に送られる。絞り弁e1は、作業部51を含む伸縮手段41が急激に通常状態に復帰しないための配慮で、水平回動シリンダ212をゆっくりと伸長させる。
(4)ボトム側室内212aの内圧は低圧になるので、タンク31内の流体が可変絞り式スローリターンチェック弁fのチェック弁f2側を通って、流量の規制なくボトム側室内212aに送られる。
【0070】
第2リリーフ弁dは、一方通行回路であるため、タンク31からボトム側室内212aに向かう流体は行止となる。また、ボトム側室内212aに向かう回路は低圧のため第2リリーフ弁dの弁が開くことはなく、ボトム側室内212aから第2リリーフ弁dを介して流体がタンク31に行くことはない。チェック弁gは、ボトム側室内212aへ向かう回路内圧力と、この回路内圧力より高いバイパス回路a内の圧力の差により、弁が解放されて連通状態になる。
しかし、バイパス回路aの一端側のチェック弁gが開放されても、他端側である無操作時の方向制御弁(第3)253及びダブルパイロットチェック弁bは閉じられているため、バイパス回路a内の流体はボトム側室内212aへ向かうことがない。
伸縮手段41が完全に復帰した通常状態になるまで、作業部51に外力を与えて(1)〜(4)と続ける。
【0071】
図9乃至
図11を参照して、退避状態から通常状態に復元する場合であって、水平回動シリンダ212の動作によって行なう場合の動作順序を説明する。
図9では、作業部51を退避状態から通常状態に復元する場合であって、水平回動シリンダ212の動作によって行なう状態をあらわす。水平回動シリンダ212は、前後回動シリンダ417を伸長動作させるように操作部を操作し、方向制御弁(第3)253の回路を切り替えることによって、伸長方向に駆動が可能である。
流体圧発生源24で発生した流体を、方向制御弁25の方向制御弁(第3)253、接続点a1を経て、バイパス回路aからチェック弁gを経て、水平回動シリンダ212のボトム側室内に引き込む。
【0072】
第2リリーフ弁dの設定された開放圧力は、水平回動シリンダ212の動作中において、ボトム側室内212aに向かう回路内の圧力より高いので、第2リリーフ弁dによってタンク31へ向かう回路は遮断され、流体は行止となる。また、可変絞り式スローリターンチェック弁fにおいて、絞り弁f1は常時閉状態であり、チェック弁f2はボトム側室内212aからタンク31に向かう方向において弁が閉じられるため、流体が行止となる。
ついで、前後回動シリンダ417のロッド側室内212bから流体をスローリターンチェック弁eの絞り弁e1を経て、タンク31に押し出す。すると、水平回動シリンダ212を、ストロークエンド方向にシリンダを伸長させる。
【0073】
前後回動シリンダ417を伸長させる方向(作業部51を前進させる方向)に操作部で操作する場合を、水平回動シリンダが伸長してストロークエンドに達する直前(通常状態に復帰する直前)をあらわす
図9にしたがって説明する。操作部には、方向制御弁25,方向制御弁(第3)253を操作するスイッチを設ける。
バイパス回路aは、前後回動シリンダ417に対しても、水平回動シリンダ212に対しても開いているが、まず、水平回動シリンダ212に流体は、流れる。
前後回動シリンダ417のピストン径より水平回動シリンダ212のピストン径が大きく設定し、且つ、マストフレーム21の回動に必要な水平回動シリンダ212の推力を小さくしているため、水平回動シリンダ212が優先して伸長動作する。このため、水平回動シリンダ212に優先して流体が流れ、ダブルパイロットチェック弁bに圧力がかからず、前後回動シリンダ417には流体が流れない。
【0074】
図10に図示するように、水平回動シリンダ212のシリンダがストロークエンドに到達後は、バイパス回路a内の圧力が高まり、方向制御弁(第3)253から接続点a1に向かった流体は、ダブルパイロットチェック弁bに向かう。すると、回路内の圧力の高まりによってダブルパイロットチェック弁bの弁を解放し、流体はボトム側室内417aに向かう。
前後回動シリンダ417のボトム側室内417aに、流体圧発生源24で発生した流体を、第1リリーフ弁c側に配置した流体の流入を抑制可能であるチェック弁253a、方向制御弁25の方向制御弁(第3)253を介して、引き込む。
【0075】
すると、前後回動シリンダ417のロッド側室内417bから流体を、ダブルパイロットチェック弁bを経て、方向制御弁25の方向制御弁(第3)253を介して、タンク31に押出し、前後回動シリンダ417のストロークエンド方向にシリンダを伸長させる。
すなわち、
図10に図示するように、流体圧発生源24である油圧ポンプで発生した流体圧は、方向制御弁25,方向制御弁253、チェック弁253a、ダブルパイロットチェック弁bを介して前後回動シリンダ417側に伝わる。
【0076】
次いで、
図10に図示するように、第3方向制御弁253とダブルパイロットチェック弁b間の回路の流体圧が高まるので、ダブルパイロットチェック弁bを開放できる。
その後、前後回動シリンダ417のボトム側室内417aに流体を流入させて、作業部51及び第2ブーム413を前進させる方向に前後回動シリンダ417を伸長させる。
【0077】
図11に図示するように、前後回動シリンダ417のシリンダが伸長しきり、ストロークエンドまで至る。すると、前後回動シリンダ417の一方の室であるボトム側室内417aへの流体である油圧の流入が、限界となり、流体は、前後回動シリンダ417の一方の室であるボトム側室内417aへの流入は、できなくなる。
水平回動シリンダ212のシリンダ及び前後回動シリンダ417のシリンダが共にストロークエンドに到達する。
【0078】
両シリンダのストロークエンドに到達後は、更に流入し続ける流体である油は、前後回動シリンダ417のボトム側室内417a及び水平回動シリンダ212のボトム側室内417aへ流入をせずに、チェック弁253a及び方向制御弁(第3)253を経て、接続点a1から、バイパス回路aに流入する。
バイパス回路aに流入した流体は、チェック弁g、第2リリーフ弁dを経て、直接タンク31に流入し、流体を回収する。この時、可変絞り式スローリターンチェック弁fのチェック弁f2は、行止となっている。
すると、マストフレーム21を通常位置側に回動させ、マストフレーム21を通常位置に復帰させる。
【0079】
バイパス回路aの流体はチェック弁gを通過して、水平回動シリンダ212のボトム側室内212aに流入し、水平回動シリンダ212を伸長させる。結果、マストフレーム21を通常位置側である前方方向に回動させる。
マストフレーム21が通常位置に復帰し、水平回動シリンダ212が伸長を停止させられる。すると、水平回動シリンダ212への流体の流入が停止し、バイパス回路a内の圧が高まるとともに、ボトム側室内212aに接続する回路内の圧力も高まる。その後、第2リリーフ弁dが開放され、前後回動シリンダ417及び水平回動シリンダ212に向かう流体は第2リリーフ弁dを介してタンク31に回送される。操作部による操作を停止すると、方向制御弁253は中立位置に戻り、前後回動シリンダ417及び水平回動シリンダ212のストローク長は維持される。すなわち、マストフレーム21及び伸縮手段41の第2ブームの位置が第2リリーフ弁dの開放圧力に達するまで固定される。
【0080】
なお、実施例において、水平回動シリンダ212のシリンダ及び前後回動シリンダ417が共にストロークエンドに到達した状態で説明したが、両シリンダのストロークが中途状態で方向制御弁253の操作を停止しても、この時点のストローク長を維持できる。したがって、不意にマストフレーム21や第2ブーム413が動くことがない。また、水平回動シリンダ212のシリンダ及び前後回動シリンダ417を動作させる回路内に異常圧力が発生した場合あっても、第2リリーフ弁dの設定圧力によって、異常圧力が発生した流体をタンク31に逃がすことができる。
【0081】
水平回動シリンダ212は、タンク31と直接的に回路を連結させ、且つ、このタンク31側との回路の一部を分岐して前後回動シリンダ417を制御する方向制御弁25の回路とバイパス回路aで連結している。また、水平回動シリンダ212のマストフレーム21への外力による強制的な伸縮に必要な流体をタンク31と直接的に受け渡し可能になる。これらにより、水平回動シリンダ212を制御する方向制御弁25は前後回動シリンダ417を制御する方向制御弁25を兼用する形にできるので、必要部材を削減して、回路構成を簡略化できる。すなわち、シリンダの個数に対して、これらの駆動を制御する方向制御弁の数を少なくできる。
【0082】
バイパス回路aの構成により、5本あるシリンダの内、伸縮手段41を伸縮させる4本を操作する操作部を構成するのみでよくなる。水平回動シリンダ212を直接操作する専用の操作部は設けなくとも、別の操作部で兼用ができる。操作部を簡易な構成とすることができ、作業者が選択する操作部の種類が減るので操作も容易になる。操作部の図示はしていないが、それぞれのシリンダの伸縮に対応したレバー及びボタンからなる。
【0083】
走行機体Bを使用した作業部51へ外力を与える強制復帰で、水平回動シリンダ212の復帰状態が途中であっても、操作部の操作で強制的に水平回動シリンダ212を伸長させて通常状態に復帰できる。復帰が途中の状態で、走行機体Bを前進させた時でも、再度走行機体Bを後進させることなく、手元の操作部のスイッチを操作すると通常状態に復帰させることができる。したがって、走行機体Bを使用して復帰状態が途中で止まるような失敗をしても、再度、走行機体の進行方向を変えるための走行機体の操作に係る手間を省き、作業機Aに係る操作部を操作するのみで復帰ができる。
【0084】
前後回動シリンダ417を短縮動作させる(第2ブーム413を後退方向に動作させる)場合、水平回動シリンダ212の近傍に配置したチェック弁gによって、水平回動シリンダ212のボトム側室内212a,ロッド側室内212bの圧力を保ち、低圧状態になっているバイパス回路a方向に流体が流出しない。これにより、前後回動シリンダ417を短縮動作させても、水平回動シリンダ212の動作によるマストフレーム21は後方に回動動作せず、作業者はマストフレーム21の回動を気にする必要がない。
【0085】
図12は、マストフレーム21が通常状態であって、前後回動シリンダ(第3シリンダ)417を短縮させて第2ブーム413を後方側に回動させた時の油圧回路の状態をあらわす。
流体圧発生源24で発生した流体を、チェック弁253a及び方向制御弁25の方向制御弁(第3)253を介して、前後回動シリンダ417のロッド側室内417bに、ダブルパイロットチェック弁bを経て、流入させる。すると、前後回動シリンダ417のシリンダは、短縮される。
チェック弁gにより、水平回動シリンダ212からパイパス回路aに向かう流体の流れは停止し、水平回動シリンダ212のストロークは、衝突まで維持される。前後回動シリンダ417の短縮動作時において、バイパス回路aから、水平回動シリンダ212に、流体は流入することはない。
【0086】
説明において、展開状態の作業部51を接地させながら走行機体Bを後進させて、通常状態に戻す説明をしたが、必ずしもこれに準じない。マストフレーム21及び伸縮手段41を介して強制的に水平回動シリンダを伸長させればよい。たとえば、走行機体Bを停止させ、展開状態の作業部51の接地を解除し、作業者によって作業部51を通常位置に向かうように外力を与えてマストフレーム21回動させても、作業部51及び伸縮手段41及びマストフレーム21を通常位置に復帰させることができる。