(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-120184(P2021-120184A)
(43)【公開日】2021年8月19日
(54)【発明の名称】容器およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
B29C 51/02 20060101AFI20210726BHJP
B29C 51/26 20060101ALI20210726BHJP
B65D 1/00 20060101ALI20210726BHJP
B65D 1/28 20060101ALI20210726BHJP
【FI】
B29C51/02
B29C51/26
B65D1/00 111
B65D1/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2020-13548(P2020-13548)
(22)【出願日】2020年1月30日
(71)【出願人】
【識別番号】390000387
【氏名又は名称】福助工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100106655
【弁理士】
【氏名又は名称】森 秀行
(72)【発明者】
【氏名】大野 輝幸
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 拓也
【テーマコード(参考)】
3E033
4F208
【Fターム(参考)】
3E033AA08
3E033AA10
3E033BA16
3E033BB08
3E033CA18
3E033DD01
3E033EA09
3E033FA04
4F208AC03
4F208AF10
4F208AG03
4F208AG07
4F208AH56
4F208AH58
4F208MA01
4F208MA06
4F208MB01
4F208MC01
4F208MC04
4F208MG04
4F208MH06
4F208MH27
4F208MK02
(57)【要約】
【課題】印刷された文字の損傷が生じ難く、かつ、容器の成形工程を簡略化しうる容器の製造方法を提供する。
【解決手段】容器の製造方法は、印刷用フィルム(6)の一方の面に少なくとも1つの文字、図形または記号(8)を印刷する印刷工程と、基材フィルム(4)を準備する工程と、前記少なくとも1つの文字、図形または記号が印刷された印刷用フィルムの面が基材フィルムに対面するように印刷用フィルムと基材フィルムとをラミネートして、複合フィルムを形成する工程と、成形機を用いて複合フィルムを変形させて立体形状を有する容器を成形する成形工程とを備える。成形工程において複合フィルムに生じる変形の方向および量の分布に基づいて、この変形が補償されるように予め変形させた少なくとも1つの文字、図形または記号を、印刷工程において前記印刷用フィルムに印刷する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の製造方法であって、
印刷用フィルムの一方の面に少なくとも1つの文字、図形または記号を印刷する印刷工程と、
基材フィルムを準備する工程と、
前記少なくとも1つの文字、図形または記号が印刷された前記印刷用フィルムの前記面が前記基材フィルムに対面するように前記印刷用フィルムと前記基材フィルムとをラミネートして、複合フィルムを形成する工程と、
成形機を用いて前記複合フィルムを変形させて立体形状を有する容器を成形する成形工程と、
を備え、
前記成形工程において前記複合フィルムに生じる変形の方向および量の分布に基づいて、前記変形が補償されるように予め変形させた少なくとも1つの文字、図形または記号を、前記印刷工程において前記印刷用フィルムに印刷することを特徴とする、容器の製造方法。
【請求項2】
前記成形工程において前記複合フィルムに生じる変形の方向および量の分布を、成形実験により求める、請求項1記載の容器の製造方法。
【請求項3】
前記成形実験は、方眼パターンを印刷した印刷用フィルムと基材フィルムとをラミネートすることにより得た複合フィルムを用いて行う、請求項2記載の容器の製造方法。
【請求項4】
前記成形工程の後、前記前記少なくとも1つの文字、図形または記号は前記容器の底面に位置する、請求項1記載の容器の製造方法。
【請求項5】
前記成形工程は、真空成形技術を用いて実施される、請求項1記載の容器の製造方法。
【請求項6】
基材フィルム層と、前記基材フィルム層にラミネートされた印刷用フィルム層とを備えた複合フィルムにより形成された立体形状を有する容器であって、
前記基材フィルム層に対面する前記印刷用フィルム層の面に少なくとも1つの文字、図形または記号が印刷されており、かつ、前記複合フィルムの全ての部位が前記基材フィルム層および前記印刷用フィルム層を有している、容器。
【請求項7】
前記文字は前記容器の底面に位置する、請求項6記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
食品等の内容物を収納する容器として、ポリプロピレンなどの合成樹脂シートを熱成形することにより得たトレイ形状等の立体形状を有するものが広く用いられている。このような容器が店舗に並べられるとき、消費者に容器の内容物に関する情報(例えば食品の製造元、原材料、含有添加物等)を知らせるために、容器に文字を印刷したシールが貼り付けられる。容器の外側からの物理的作用(例えば擦れ、引っ掻き等)により、このようなシールは剥離する可能性があり、また、文字が掠れて見えなくなる可能性もある。
【0003】
このような問題を解決するための手段の一つとして、インモールドラベル成形技術が知られている(例えば特許文献1を参照)。インモールドラベル成形では、成形型の内表面にラベルがセットされた状態で、プリフォーム(容器本体となる)が成形型内に導入され、プリフォームをブローすることによりプリフォームを成形型の内表面に倣うように変形させ、このとき、加熱されたラベルとプリフォームとが一体化する。このようにして設けられたラベルはプリフォーム(容器本体)から剥離し難い。また、ラベルのプリフォームと対面する面に印刷することにより、容器の外側からの物理的作用により印刷された文字が損傷することが防止される。しかし、インモールドラベル成形では、成形前にラベルを予め成形型内にセットしなければならず、工程が煩雑であり、専用の製造ラインが必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−136486号公報
【発明の概要】
【0005】
本発明は、印刷された文字の損傷が生じ難く、かつ、容器の成形工程を簡略化しうる容器およびその製造方法を提供することを目的としている。
【0006】
本発明の一実施形態によれば、容器の製造方法であって、印刷用フィルムの一方の面に少なくとも1つの文字、図形または記号を印刷する印刷工程と、基材フィルムを準備する工程と、前記少なくとも1つの文字、図形または記号が印刷された前記印刷用フィルムの前記面が前記基材フィルムに対面するように前記印刷用フィルムと前記基材フィルムとをラミネートして、複合フィルムを形成する工程と、成形機を用いて前記複合フィルムを変形させて立体形状を有する容器を成形する成形工程と、を備え、前記成形工程において前記複合フィルムに生じる変形の方向および量の分布に基づいて、前記変形が補償されるように予め変形させた少なくとも1つの文字、図形または記号を、前記印刷工程において前記印刷用フィルムに印刷することを特徴とする、容器の製造方法が提供される。
【0007】
上記実施形態によれば、一つの材料(複合フィルム)から容器が成形されるため、成形工程を簡略化することができる(例えばインモールドラベル成形のような二つの別々の材料を用いる場合と比較して)。成形工程においては基材フィルムだけでなく少なくとも1つの文字、図形、記号(以下、「文字等」とも呼ぶ)が印刷された印刷用フィルムも比較的大きく歪む(例えばインモールドラベル成形と比較して)ことにより文字等が変形する問題は、その変形が補償されるように予め変形させた文字等を印刷用フィルムに印刷しておくことにより解決される。また、文字等が印刷された印刷用フィルムの面が基材フィルムに対面するように印刷用フィルムと基材フィルムとがラミネートされているため、文字等の損傷を防止することができる。
【0008】
本発明の他の実施形態によれば、基材フィルム層と、前記基材フィルム層にラミネートされた印刷用フィルム層とを備えた複合フィルムにより形成された立体形状を有する容器であって、前記基材フィルム層に対面する前記印刷用フィルム層の面に少なくとも1つの文字、図形または記号が印刷されており、かつ、前記複合フィルムの全ての部位が前記基材フィルム層および前記印刷用フィルム層を有している、容器が提供される。この容器は、上記製造方法により製造することができる。この容器は、複合フィルムの全ての部位が基材フィルム層および印刷用フィルム層を有している点において、インモールドラベル成形により製造した容器とは相違する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】複合フィルムの製法の一例を説明する概略断面図である。
【
図3】基材フィルムおよび印刷用フィルムのラミネートについて説明する概略図である。
【
図4】容器の成形のための装置の全体構成を示す概略側面図である。
【
図5】プラグアシスト成形について説明する概略図である。
【
図6】予め変形させた文字の形状を決定する方法について説明する図である。
【
図7】予め変形させた文字の形状を決定する方法について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。
【0011】
図1に概略的に示されるように、容器1は、複合フィルム2を、それ自体公知の樹脂成形技術を用いて立体形状を与えることにより形成されている。容器1は、例えば平面視で、長方形または正方形の薄型の箱の形状とすることができるが、これに限定されるものではない。
【0012】
複合フィルム2は、基材フィルム層4(ラミネート前は「基材フィルム4」とも呼ぶ)と、基材フィルム層4にラミネートされた印刷用フィルム層6(ラミネート前は「印刷用フィルム6」とも呼ぶ)とを備えている。基材フィルム層4と印刷用フィルム層6との間に、印刷層8が設けられている。
【0013】
基材フィルム層4を構成する材料としては、フィラーを配合したPP(ポリプロピレン)が例示される。フィラーは、容器1の剛性を向上させる。フィラーとしては例えばタルクフィラーが例示される。PPのグレードは容器1の使用環境に応じて決定することができる。容器1が冷凍食品容器であるなら、耐寒グレードのPPを用いることができる。基材フィルム層4の厚さは例えば700μm程度(これに限定されるものではない)とすることができる
【0014】
印刷用フィルム層6を構成する材料としては、CPP(無延伸ポリプロピレン)が例示される。印刷用フィルム層6の基材フィルム層4に対面する面7に印刷層8が形成されている。印刷層8は例えばグラビア印刷により形成することができる。印刷用フィルム層6の厚さは例えば25μm程度(これに限定されるものではない)とすることができる。
【0015】
図1に示すように、基材フィルム層4は容器1の内側面(収容空間5に面した面)を構成し、印刷用フィルム層6は容器1の外側面を構成している。複合フィルム2において印刷層8は基材フィルム層4と印刷用フィルム層6との間に位置している。つまり、印刷層8は基材フィルム層4および印刷用フィルム層6の両方により保護されている。特に容器1の外側からの物理的作用(例えば擦れ、引っ掻き等)により印刷層8が損傷する可能性は非常に低い。基材フィルム層4を構成するフィラーを配合したPPは不透明であるが、印刷用フィルム層6を構成するCPPは透明であるため、印刷層8により形成される文字は容器1の外側から視認することができる。
【0016】
印刷層8により形成される文字は、例えば容器1の内容物に関する情報を表示するものとすることができる。容器1の内容物が食品である場合には、内容物に関する情報には、例えば、食品の製造者、食品の販売者、食品の成分等を含めることができる。
図1に示す実施形態では、容器1の底面1Bに対応する領域に印刷層8が設けられているため、底面1Bを
図1の下側から眺めると印刷層8により形成された文字を視認することができる。
【0017】
容器1の製造方法について以下に説明する。
【0018】
印刷用フィルム6(印刷用フィルム層)に、公知の印刷技術、例えばグラビア印刷により、印刷層8が形成される(
図3(a)も参照)(印刷工程)。印刷工程についての図示は省略する。印刷層8により形成される文字の形状については後に詳述する。
【0019】
印刷層8が形成された印刷用フィルム6は、基材フィルム4(基材フィルム層)にラミネートされる。好適な一実施形態においては、
図2に概略的に示すように、基材フィルム4は、公知のフィルム製造技術、例えば、溶融樹脂材料をTダイ10から押し出すことにより形成され、押し出し後直ちに(冷却される前に)、冷却ドラム12およびニップロール14のところで印刷用フィルム6に押しつけられる。これにより基材フィルム4に印刷用フィルム6がラミネートされ、複合フィルム2が形成される(
図3(b)も参照)。
【0020】
なお、図示はしないが、原反ロールから印刷用フィルム6が冷却ドラム12およびニップロール14に送られる途中に、印刷用フィルム6へのグラビア印刷および乾燥を行うような製造ラインを構築してもよい。
【0021】
図4は、複合フィルム2から容器1を製造する成形装置20を示す概略図である。原反ロール(複合フィルム2のロール)がセットされた原反掛け21から、シート受け箱22を介して複合フィルム2がヒーターゾーン23に送られ、加熱される。このとき、複合フィルム2に熱によるドローダウンが生じた後、一旦複合フィルム2が張り返され、その後、再びドローダウンが生じたタイミングで、複合フィルム2はヒーターゾーン23から真空成形機24(ここではプラグアシスト成形機24)に送られ、そこで容器1の形の立体形状に成形される。その後、成形された複合フィルム2はトリミングプレス機25に送られ、個々の容器1が切り離される。容器1は製品テーブル26に払い出され、そこで作業者によって外観目視検査がなされる。その後、容器1は包装機27に送られてそこで包装され、さらに金属探知機28を通されて金属異物の混入の検査が行われる。
【0022】
図5の(a)〜(c)は、プラグアシスト成形機24での成形(成形工程)について簡単に示した図である。プラグアシスト成形機24の型24Aの上方にある複合フィルム2が、プラグ24Bにより型24Aの中(キャビティ)に押し込まれ(
図5の(a)から(b)を参照)、この状態で複合フィルム2を型24Aの表面に真空吸着(VAC)することにより、複合フィルム2が型24Aの表面に倣った形状に成形される。その後、
図5の(c)に示すようにプラグ24Bが上昇し、真空吸着が解除され、図示はしないがさらに型24Aが降下することにより、容器1となる部分1Aが型24Aから取り外される。なお、プラグアシスト成形機24で容器1の成形を行うときに、 プラグの形状やそれをシートに当てるタイミングを変化させる事で、成型品の側面または底面に残す肉厚(シート厚)を変えることができる。
【0023】
成形時に複合フィルム2が型24Aの表面に倣おうとするときに、複合フィルム2は不均一に引っ張られる。印刷用フィルム6上に印刷された文字(印刷層8)は不均一に変形する。変形の態様は、容器1の全体形状、および、容器1の底面1Bに形成された補強リブ、凹凸等(図示せず)の配置などにより影響を受ける。文字が不均一に変形すると、文字の認識が困難となる。
【0024】
この問題を解決するため、本実施形態では、成形工程において複合フィルム2に生じる変形の方向および量の分布に基づいて、印刷工程において前記変形が補償されるように予め変形させた文字を印刷することとしている。
【0025】
成形工程において複合フィルム2に生じる変形の方向および量の分布は、例えば、方眼を印刷した印刷用フィルム6を基材フィルム4にラミネートすることにより得た複合フィルム2を、プラグアシスト成形機24により容器1の形状に成形する成形実験を行うことにより測定することができる。
【0026】
図6は、方眼の一部を抽出した図であり、方眼の縦線および横線の間隔は例えば1mm(これには限定されない)とすることができる。方眼の横軸をX軸、方眼の縦軸をY軸とするXY直交座標系を設定し、容器1の底面1B上の適当な位置(例えば底面1Bの中心)に原点O(座標(0,0))を定める。
図6中の「○」(白抜き丸)は、容器1の底面1Bに成形に伴う変形が無いと仮定した場合において、成形後の容器1の底面1B上における方眼の格子点の位置を示している。
図6中の「●」(黒丸)は、実際に成形を行った場合において、成形後の容器1の底面1B上における方眼の格子点の位置を示している。なお、本明細書では、格子点とは、方眼を形成する縦線と横線との交点を意味する。隣接して対を成す「○」(白抜き丸)から「●」(黒丸)に延びるベクトルの向きおよび大きさが、対応する格子点近傍における複合フィルム2の変形の方向および量を示している。
【0027】
実際に製品としての容器1の材料としての複合フィルム2を作製するときには、上記の変形データに基づいて、変形が補償されるように定められた予め変形させた文字を印刷用フィルム6に印刷する(印刷層8の形成)。
【0028】
「予め変形させた文字」は、
(1)「●」(黒丸)を結ぶ破線により構成された歪んだ方眼上に本来の形状を有する文字を記述し、
(2)その後、「●」(黒丸)の位置を対応する「○」(白抜き丸)の位置に移動させることにより歪んだ方眼を文字ごと変形させて、歪みの無い方眼にすること、
により得ることができる。
上記(2)の操作により得られた歪みの無い方眼上には、本来の形状に対して歪んだ文字が記述されているので、これが「予め変形させた文字」になる。
【0029】
「予め変形させた文字」について
図7に示す単純化したモデルで説明する。
図7の(a)の方眼が成形前の複合フィルム2の一部の領域であるとし、この領域は、成形により、
図7の(b)に示すように、縦方向長さが2倍になるように変形するが、横方向には変形しないものとする。
図7の(b)の変形した方眼上に最終的に表示させたい整った形状を有する文字「A」を記述する。
図7の(b)の変形した方眼を、横方向には変形させずに、縦方向長さが1/2の長さとなるように変形させ、成形前の方眼形状に戻す。
図7の(C)に示すように、この方眼の変形にあわせて文字「A」を変形させることにより「予め変形させた文字A」が得られることになる。
【0030】
なお、成形時の複合フィルム2の変形により、個々の文字の形状だけでなく、文字同士の位置関係についても同様の問題が生じうる。つまり、例えば本来なら一直線上に等間隔で並ぶべき複数の文字(文字群)が、アーチ状または蛇行状に並んだり、間隔が不均一になる問題も生じうる。このような問題も、上記(1)、(2)と同様の手順により解決することができる。この場合、「●」(黒丸)を結ぶ破線により構成された歪んだ方眼上に本来の配列を有する文字群を記述し(上記(1)に対応)、その後、「●」(黒丸)の位置を対応する「○」(白抜き丸)の位置に移動させることにより歪んだ方眼を変形させて歪みの無い方眼とすることにより、「予め変形させた文字群」を得ることができる(上記(2)に対応)。このようにして得られた「予め変形させた文字群」を印刷用フィルム6に印刷すればよい。
【0031】
なお、上記の手法によれば、個々の文字の歪みと、文字群の配列の歪みの両方に同時に対応できることは言うまでもない。
【0032】
上記実施形態によれば、一つの材料(複合フィルム2)から容器1が成形されるため、例えばインモールドラベル成形のような二つの材料を用いる場合と比較して、成形工程を簡略化することができる。成形工程においては、基材フィルム4だけでなく文字が印刷された印刷用フィルム6も比較的大きく歪む(例えばインモールドラベル成形と比較して)ことにより文字が変形する問題は、その変形が補償されるように予め変形させた文字または文字群を印刷用フィルム6に印刷しておくことにより解決される。また、文字が印刷された印刷用フィルム6の面が基材フィルム4に対面するように印刷用フィルム6と基材フィルム4とがラミネートされているため、文字の損傷を防止することができる。
【0033】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りに、様々な変更を行うことが可能である。
【0034】
上記実施形態では、印刷用フィルム6に印刷されるものが文字または文字群であったが、これには限定されない。印刷用フィルム6に印刷されるものは、少なくとも1つの文字、図形または記号(「文字等」とも呼ぶ)であってよい。印刷用フィルム6に予め変形させた文字等を印刷することにより、成形後の容器1に本来の形状の文字等を表示することができる。
【0035】
また、複合フィルム2を構成する基材フィルム4としては、上述したタルクフィラー入りPPの他、例えばPP単体(フィラーを含まないPP)を用いることができる。
【0036】
基材フィルム4および印刷用フィルム6をラミネートする方法も、上述したものに限定されるものではなく、例えば押出しラミネートを用いることができる。
【0037】
印刷用フィルム6に印刷層8を形成する方法としては、グラビア印刷に限定されるものではなく、例えばフレキソ印刷を用いることができる。
【0038】
複合フィルム2から容器1を成形する方法は、プラグアシスト成形に限定されるものではなく、例えば熱板成型を用いることができる。
【符号の説明】
【0039】
1 容器
2 複合フィルム
4 基材フィルム
6 印刷用フィルム
8 印刷層