特開2021-120591(P2021-120591A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-120591(P2021-120591A)
(43)【公開日】2021年8月19日
(54)【発明の名称】締結ナット用緩み止め具
(51)【国際特許分類】
   F16B 39/38 20060101AFI20210726BHJP
【FI】
   F16B39/38 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】書面
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2020-159082(P2020-159082)
(22)【出願日】2020年9月3日
(31)【優先権主張番号】特願2020-24728(P2020-24728)
(32)【優先日】2020年1月30日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】598154453
【氏名又は名称】鈴木 康之
(71)【出願人】
【識別番号】302008490
【氏名又は名称】石徳螺子株式会社
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 康之
(57)【要約】
【課題】ボルトに装着されるナットの緩み止めが簡単な構造で、容易に作製できるナットの緩み止め装置を提供する。
【解決手段】ナット8に螺合するボルト9の雄ネジ9aのピッチに整合するコイルバネ2のコイル部3を備えてなる締結ナット用緩み止め具1であって、
前記コイル部3の下方の外周より外方向に延び、先端が上方に屈曲される下部4と、この下部4に対して前記コイル部3の上方の外周より外方向に延びる上部5とを設けるとともに、
前記コイル部3より大径で、かつ前記ナット8の外周より小径となる環状の着座部6を形成し、前記着座部6を前記上部5より屈曲して前記コイル部3の軸線と平行な支柱7により連結し、前記コイル部3を前記ボルト9の雄ネジ溝9bにネジ込むことにより、前記着座部6を前記ナット8の上面8aに当接させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナットに螺合するボルトの雄ネジのピッチに整合するコイルバネのコイル部を備えてなる締結ナット用緩み止め具であって、
前記コイル部の下方の外周より外方向に延び、先端が上方に屈曲される下部と、この下部に対して前記コイル部の上方の外周より外方向に延びる上部とを設けるとともに、
前記コイル部より大径で、かつ前記ナットの外周より小径となる環状の着座部を形成し、前記着座部を前記上部より屈曲して前記コイル部の軸線と平行な支柱により連結し、前記コイル部が前記ボルトの雄ネジ溝にネジ込むことにより、前記着座部を前記ナットの上面に当接させることを特徴とする締結ナット用緩み止め具。
【請求項2】
前記着座部が前記ナットの上面に圧接するまで前記コイル部を前記雄ネジ溝にネジ込み、前記着座部の圧接にて生じる摩擦力により前記着座部を前記ナットに対して固定状態にするとともに、前記下部を自由状態にし、この下部を周方向に操作して前記コイル部を拡径して前記コイル部が前記雄ネジ溝より離反し摩擦力を軽減させることを特徴とする請求項1に記載の締結ナット用緩み止め具。
【請求項3】
前記下部に至る直前の前記コイル部の内径を前記ボルトの前記雄ネジの外径以上よりなる大径部とし、この大径部を前記ボルトの雄ネジ溝に嵌ることなく、前記下部の先端を前記ナットの上面より上方に突出させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の締結ナット用緩み止め具。
【請求項4】
前記コイル部の外周に回動可能に嵌合する筒体よりなり、この筒体の下端に前記下部が突出する離脱開口と、前記支柱が突出する締結開口とを設け、前記筒体を一方向に回動することにより前記離脱開口に前記下部を係止させ、前記コイル部を拡径して前記雄ネジ溝より前記コイル部を離反させるとともに、前記筒体を他方向に回動することにより前記締結開口に前記支柱を係止させ、前記コイル部を前記雄ネジ溝にネジ込むようにすることを特徴とする請求項1乃至請求項3に記載の締結ナット用緩み止め具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ボルトに螺合するナットの緩みや外れを防止するナット用緩み止め具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ナットの緩みを防止するものとして、特許文献1のようにボルトの雄ネジ溝のピッチに整合するコイルバネをナットのバネ収容凹部に収容し、ボルトとナットとが螺合したときのボルトに対するナットの離脱方向への回転に伴いボルトの雄ネジ溝にコイルバネが密着し摩擦力を増加して回転を阻止し、ボルトにナットを一旦締結すればその締結を容易に外すことができないようにするものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−307210号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
解決しようとする問題点として、特許文献1による場合は、ナットにボルトの雄ネジ溝に密着するコイルバネを収納する凹部とか、コイルバネの折曲支持部の先端を嵌装保持する取付孔を設けることになり、これらの加工がナットに必要で、しかも、コイルバネの組み付けに手間がかかるなどの問題があった。
【0005】
この発明は、以上のようなことを考慮してなされたもので、ボルトがコイルバネに簡易に螺合され、長期間にわたって振動や外力等が作用することによるナットの緩みを確実に防止することができ、しかも、緩む止めのための加工が少なく製作が容易な緩み止めナットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決し、かつ目的を達成するために、この発明は、以下のように構成した。
【0007】
請求項1に記載の発明は、ナットに螺合するボルトの雄ネジのピッチに整合するコイルバネのコイル部を備えてなる締結ナット用緩み止め具であって、
前記コイル部の下方の外周より外方向に延び、先端が上方に屈曲される下部と、この下部に対して前記コイル部の上方の外周より外方向に延びる上部とを設けるとともに、
前記コイル部より大径で、かつ前記ナットの外周より小径となる環状の着座部を形成し、前記着座部を前記上部より屈曲して前記コイル部の軸線と平行な支柱により連結し、前記コイル部が前記ボルトの雄ネジ溝にネジ込むことにより、前記着座部を前記ナットの上面に当接させることを特徴とする締結ナット用緩み止め具である。
【0008】
請求項2に記載の発明は、前記着座部が前記ナットの上面に圧接するまで前記コイル部を前記雄ネジ溝にネジ込み、前記着座部の圧接にて生じる摩擦力により前記着座部を前記ナットに対して固定状態にするとともに、前記下部を自由状態にし、この下部を周方向に操作して前記コイル部を拡径して前記コイル部が前記雄ネジ溝より離反し摩擦力を軽減させることを特徴とする請求項1に記載の締結ナット用緩み止め具である。
【0009】
請求項3に記載の発明は、前記下部に至る直前の前記コイル部の内径を前記ボルトの前記雄ネジの外径以上よりなる大径部とし、この大径部を前記ボルトの雄ネジ溝に嵌ることなく、前記下部の先端を前記ナットの上面より上方に突出させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の締結ナット用緩み止め具である。
【0010】
請求項4に記載の発明は、前記コイル部の外周に回動可能に嵌合する筒体よりなり、この筒体の下端に前記下部が突出する離脱開口と、前記支柱が突出する締結開口とを設け、前記筒体を一方向に回動することにより前記離脱開口に前記下部を係止させ、前記コイル部を拡径して前記雄ネジ溝より前記コイル部を離反させるとともに、前記筒体を他方向に回動することにより前記締結開口に前記支柱を係止させ、前記コイル部を前記雄ネジ溝にネジ込むようにすることを特徴とする請求項1乃至請求項3に記載の締結ナット用緩み止め具である。
【発明の効果】
【0011】
前記構成により、この発明は、以下のような効果を有する。
【0012】
請求項1に記載の発明では、ナットに螺合するボルトの雄ネジのピッチに整合するコイルバネのコイル部を備えてなる締結ナット用緩み止め具であって、
前記コイル部の下方の外周より外方向に延び、先端が上方に屈曲される下部と、この下部に対して前記コイル部の上方の外周より外方向に延びる中間部とを設けるとともに、前記コイル部より大径で、かつ前記ナットの外周より小径となる環状の着座部を形成し、前記着座部を前記中間部より屈曲して前記コイル部の軸線と平行な支柱により連結し、前記コイル部が前記ボルトの雄ネジ溝に嵌め込むことにより、前記着座部を前記ナットの上面に当接させるので、前記ボルトの振動などで、前記ボルトに螺合する前記ナットの緩みを確実に阻止でき、コイルバネがナットの外径以下に小型化になり、ナットの増し締め等の現場作業が迅速にでき作業効率が向上する。
【0013】
請求項2に記載の発明では、前記着座部が前記ナットの上面に圧接するまで前記コイル部を前記雄ネジ溝にネジ込み、前記着座部の圧接にて生じる摩擦力により前記着座部を前記ナットに対して固定状態にするとともに、前記下部を自由状態にし、この下部を周方向に操作して前記コイル部を拡径して前記コイル部が前記雄ネジ溝より離反し摩擦力を軽減させるので、ナットの緩み防止を簡単な構造でき、製作が容易になり緩み止めの対策にかける費用を低減できる。
【0014】
請求項3に記載の発明では、前記下部に至る直前の前記コイル部の内径を前記ボルトの前記雄ネジの外径以上よりなる大径部とし、この大径部を前記ボルトの雄ネジ溝に嵌ることなく、前記下部の先端を前記ナットの上面より上方に突出させることにより、前記コイルバネの前記下部に至る直前の前記コイル部の外周が前記ナットの雌ネジの加工開始時に形成される面取り面に接触しなくなり、前記ナットが緩む方向に微動しても雌ネジの加工開始の面取り面に沿って前記コイル部が上方に押し出されるような問題は生じなく、前記ナットの緩みが確実に防止できる。
【0015】
請求項4に記載の発明では、前記コイル部の外周に回動可能に嵌合する筒体よりなり、この筒体の下端に前記下部が突出する離脱開口と、前記支柱が突出する締結開口とを設け、前記筒体を一方向に回動することにより前記離脱開口に前記下部を係止させ、前記コイル部を拡径して前記雄ネジ溝より前記コイル部を離反させるとともに、前記筒体を他方向に回動することにより前記締結開口に前記支柱を係止させ、前記コイル部を前記雄ネジ溝にネジ込むようにするので、前記筒体により、前記ボルトの前記雄ネジ溝に前記コイルバネのコイル部を容易にネジ込むことができ、前記下部を破損とか、変形させることなくコイル部を前記雄ネジ溝より離反し摩擦力を軽減させることになり、前記コイルバネの離脱が円滑にできる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】この発明の締結ナット用緩み止め具の第1実施形態を示す側面図。
図2】この発明の締結ナット用緩み止め具の第1実施形態を示す平面図。
図3】この発明の締結ナット用緩み止め具の締め付け状態を示す側面図、
図4】この発明の締結ナット用緩み止め具の緩み状態を示す側面図。
図5】この発明の第2実施形態の締め付け状態を示す側面図。
図6図5におけるA−A線に沿う断面図。
図7】この発明の第3実施形態の締め付け状態を示す側面図。
図8】この発明の第3実施形態の緩み状態を示す側面図。
図9図7におけるB−B線に沿う断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明のナット用緩み止め具の実施形態について説明する。この発明の実施形態は、発明の最も好ましい形態を示すものであり、この発明はこれに限定されない。
【0018】
この発明の第1実施形態を、図1および図4に基づいて説明する。符号1で示されるものは、ナット8に螺合するボルト9の雄ネジ9aのピッチに整合するコイルバネ2のコイル部3を備えてなる締結ナット用緩み止め具である。
【0019】
前記コイルバネ2には前記コイル部3の外周より外方向に延び、先端が上方に屈曲される下部4と、この下部4に対して半周するような位置となる前記コイル部3の外周より外方向に延びる上部5とを設ける。
【0020】
前記コイルバネ2の前記下部4と同一位置に前記コイル部3より大径で、かつ前記ナット8の外周より小径にした六角形の環状の着座部6を形成し、この着座部6を前記上部5より屈曲して前記コイル部3の軸線と平行な支柱7により連結する。
【0021】
前記支柱7の前記着座部6より前記上部5に連結する長さは、前記コイル部3の高さほぼ同一となる。そして、前記支柱7を摘み前記ナット8の締付け方向と同方向に前記コイル部3を前記雄ネジ溝9aにネジ込み、前記着座面6が前記ナット8の上面8aに当接する。
【0022】
さらに、前記ボルト9の前記雄ネジ溝9bに前記コイル部3をネジ込むと、前記着座部6が前記ナット8の上面8aに圧接し、接触摩擦力が生じて前記着座部6が固定状態になる。
【0023】
これにより、前記ボルト9の前記雄ネジ9aに対し前記コイル部3がナット離脱方向に回ろうとしても、図3に示すように内径方向に収縮する状態となり前記コイル部3の素線が引っ張られて前記ボルト9の軸中心に向って押さえ付けられ、前記ボルト9にネジ込まれた前記コイル部3は、前記ボルト9の前記雄ネジ溝9bの谷に嵌り込み前記ボルと9の前記雄ネジ溝9aを締め付け、強力な緩み止め状態にさせる。このため、前記コイルバネ2と一体化した前記ナット8は前記コイルバネ2の前記コイル部3で回転が阻止されて緩まなくなる。
【0024】
次に、前記コイルバネ2を前記ボルト9より離脱するときには、自由状態の前記下部4を外方向に操作すると、図4に示すように前記コイルバネ2の前記コイル部3が拡径し、前記ボルト9の前記雄ネジ溝9bの谷と、前記コイル部3との密着を解除して摩擦が無くなり、あるいは軽減する等で自由に回転を許容するようになるから、前記ボルト9に対し前記コイルバネ3を回転して前記ボルト9より離脱する。
【0025】
しかも、前記ナット8の増し締め等の作業する際は、前記コイルバネ3の前記着座部6が前記ナット8の外径以下になっているので、前記コイルバネ3を外さなくて、ソケットレンチ、メガネレンチ等の工具Wを使用して現場作業ができ、作業効率の向上を計るとともに、緩み止め具1が小型化になる。
【0026】
また、第2実施形態を、図5および図6に基づいて説明する。この実施の形態において第1の実施の形態と同じ構成は同一の符号を付して説明する。
【0027】
この第2実施形態では、第1実施形態で説明している締結ナット用緩み止め具1において、前記コイルバネ2の前記コイル部3より大径で、かつ前記ナット8の外周より小径にした着座部6を円形の環状に形成する。
【0028】
前記コイル部3の下方の外周より外方向に延び、先端が上方に屈曲される前記下部4に至る直前の前記コイル部3の内径を前記ボルト9の前記雄ネジ9aの外径以上の大径部10にし、前記下部4の先端を前記ナット8の上面8aより上方に突出させる。
【0029】
これにより、前記大径部10は前記ボルト9の前記雄ネジ溝9bに嵌り込まなく前記ナット8の上面8aより上方になるので、前記コイルバネ2の前記下部4に至る直前の前記コイル部3の外周が前記ナット8の雌ネジの加工開始時に形成される面取り面に接触しなく、前記ナット8が緩む方向に動いても前記雌ネジの加工開始時の面取り面に沿って前記コイル部3が上方に押し出されるような問題は生じない。
【0030】
次に、第3実施形態を、図7乃至図9に基づいて説明する。この実施の形態において第1の実施の形態と同じ構成は同一の符号を付して説明する。
【0031】
この第3実施形態では、第1実施形態で説明している締結ナット用緩み止め具1において、前記コイル部3の外周に回動可能に嵌合する筒体11よりなる。
【0032】
前記筒体11は前記コイル部3が嵌合する貫通孔12を有するとともに、大径の上筒部11aと、これより小径の下筒部11bとが形成され、この下筒部11bは前記コイル部3の外周と前記着座部6の内周との間に嵌入する。
【0033】
前記筒体11の前記下筒部11bには離脱開口13を穿設し、前記下筒部11bより前記上筒部11aに至って締結開口14を穿設し、前記離脱開口13より前記下部4が突出し、前記締結開口14より前記支柱7が突出する。
【0034】
前記筒体11を図9に示す矢印A方向に回動することにより前記締結開口14の側縁に前記支柱7が係止し、前記コイル部3を前記ナット8の締付け方向と同方向に回転させ、前記着座部6が前記ナット8の上面8aに当接するまで前記コイル部3をネジ込む。
【0035】
さらに、前記着座部6が前記ナット8の上面8aに圧接するまで前記コイル部3を前記雄ネジ溝9aにネジ込み、前記着座部6の圧接によって接触摩擦力が生じて前記着座部6が固定状態になる。
【0036】
これにより、前記ボルト9の前記雄ネジ溝9bに対し前記コイル部3がナット離脱方向に回ろうとしても、図7に示すように内径方向に収縮する状態となり前記コイル部3の素線が引っ張られて前記ボルト9の軸中心に向って押さえ付けられ、前記ボルト9にネジ込まれた前記コイル部3は、前記ボルト9の前記雄ネジ溝9bの谷に嵌り込み前記ボルと9の前記雄ネジ溝9bを締め付け、強力な緩み止め状態にさせる。このため、前記コイルバネ2と一体化した前記ナット8は前記コイルバネ2の前記コイル部3で回転が阻止されて緩まなくなる。
【0037】
また、前記筒体11を図9に示す矢印B方向に回動することにより前記離脱開口13の側縁に前記下部4が係止し、図8に示すように前記コイルバネ2の前記コイル部3が外方へ広がり、前記ボルト9の前記雄ネジ溝9bの谷と、前記コイル部3との密着を解除して摩擦がなくなり、あるいは軽減する等で自由に回転を許容するようになるから、前記ボルト9の前記雄ネジ溝9bから前記コイルバネ3を回転して前記ボルト9から離脱する。
【0038】
前記筒体11の前記上筒体11aに通孔16を設け、この通孔16に操作部材15を着脱可能に取付け、前記操作部材15により前記筒体11を矢印A方向または矢印B方向に回動させる。
【0039】
前記ナット8の増し締め等の作業する際は、着脱可能な前記操作部材15を前記通孔16より抜き、前記筒体11を外さないで、ソケットレンチ、メガネレンチ等の工具Wを使用して現場作業する。
【0040】
なお、第1実施形態及び第3実施形態におけるコイルバネ2の前記着座部6については、前記ナット8の前記上面8aへの当接面積が増して接触摩擦力が大きくするために、着座部6の環状は八角形などの多角形でもよいし、また、前記着座部6の先端6aを前記支柱7に近接させるとよい。
【0041】
以上の構成における締結ナット用緩み止め具1では、前記コイル部3の外周より外方向に延びる前記下部4と、この下部4に対して前記コイル部3の外周より外方向に延びる前記上部5とを設け、
前記コイル部3より大径で、かつ前記ナット8の外周より小径にする環状の着座部6を形成し、この着座部6を前記上部5より屈曲して前記コイル部3の軸線と平行な前記支柱7により連結し、前記コイル部3を前記雄ネジ溝9bにネジ込むことにより、前記着座部6を前記ナット8の上面8aに当接させるので、前記ボルト9に対する前記ナット8の緩み止めが確実にでき、前記ナット8の増し締め等の作業時に前記コイルバネ3を外さなくても、ソケットレンチ、メガネレンチ等の工具Wが使用でき、現場作業の効率が向上する。
【0042】
また、前記着座部6が前記ナット8の上面8aに圧接するまで前記コイル部3を前記雄ネジ溝9aにネジ込み、前記着座部6の圧接にて生じる摩擦力により前記着座部6を固定状態にするとともに、前記下部4を自由状態にし、この下部4を外方向に操作して前記コイル部3を拡径して前記コイル部3が前記雄ネジ溝9bより離反し摩擦力を軽減させることにより、前記ナット8に前記コイルバネ2を固定状態にする加工が必要なく、構造を簡単にでき、しかも前記ボルト9に対して前記コイルバネ2の離脱が迅速になり、緩み止めの対策にかける費用を低減できる。
【0043】
そして、前記下部4に至る直前の前記コイル部3の内径を前記ボルト9の前記雄ネジ9aの外径以上の大径部10とし、この大径部10を前記ボルト9の前記雄ネジ溝9bに嵌り込まなく前記ナット8の上面8aより上方に突出させることにより、前記コイルバネ2の前記下部4に至る直前の前記コイル部3の外周が前記ナット8の雌ネジの加工開始時に形成される面取り面に接触しなくなり、前記ナット8が緩む方向に微動しても雌ネジの加工開始時の面取り面に沿って前記コイル部3が上方に押し出されるような問題は生じなく、前記ナット8の緩みが確実に防止できる。
【0044】
さらに、前記コイル部3の外周に回動可能に嵌合する前記筒体11よりなり、この筒体11の下端に前記下部4が突出する前記離脱開口13と、前記支柱7が突出する前記締結開口14とを設け、前記筒体11を一方向に回動することにより前記離脱開口13に前記下部4を係止させ、前記コイル部3を拡径して前記雄ネジ溝9bより前記コイル部3を離反させるとともに、前記筒体11を他方向に回動することにより前記締結開口14に前記支柱7を係止させ、前記コイル部3を前記雄ネジ溝9bにネジ込むようにするので、前記筒体11により、前記ボルト9の前記雄ネジ溝9bに前記コイルバネ2の前記コイル部3を容易にネジ込むことができ、前記下部4を破損とか、変形させることなく前記コイル部3を前記雄ネジ溝9bより離反し摩擦力を軽減させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
この発明は、ボルトに装着されるナットの振動等による緩み止めが簡単な構造で、容易に作製できる締結ナット用緩み止め具である。
【符号の説明】
【0046】
1 締結ナット用緩み止め具
2 コイルバネ
3 コイル部
4 下部
5 上部
6 着座部
6a 先端
7 支柱
8 ナット
8a ナット上面
9 ボルト
9a 雄ネジ
9b 雄ネジ溝
10 大径部
11 筒体
11a 上筒部
11b 下筒部
12 貫通孔
13 離脱開口
14 締結開口
15 操作部材
16 通孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9